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平成 26 年度 JST 分野別新技術説明会 2014.1.20 JST( 市ヶ谷 K's 五番町 ) 歩行時における足底圧力の 3 分力分布計測装置 福島大学共生システム理工学類 人間支援システム専攻 教授小沢喜仁

1. 研究背景と目的 研究背景 (1/2) 近年, 高齢化社会が進行している加齢に伴う運動器疾患が増加している 1 高齢者の運動器疾患の要因 運動器疾患の予防加齢 予防するために 運動器の心身機能の向上機能低下 手軽な運動方法 ウォーキング 変形性膝関節症 社会的 心理的習慣的な運動加齢 身体活動量の身体活動の減少維持 向上 1

1. 研究背景と目的 2 研究背景 (2/2) ウォーキング 足は第二の心臓とも呼ばれ, 足を動かすことで心臓から送られてきた血液を送り返す第二の役割を担っている 効果的な有酸素性運動が行えるため, 運動器疾患の 予防に有効的 しかし 歩き方や筋力のバランス悪いと膝痛などを引き起こす原因 歩き方を改善する製品 靴のインソールなど 痛みが出てから使用するものが多い 歩き方の改善や運動器疾患の予防を目的とした靴が必要となっている 2

2. 靴底踏力計測装置の概要 従来技術とその問題点 3 圧力計測装置について (1/2) 一般的な圧力計測装置 1 シート式の足圧接地足跡計測装置 センサユニットを床面に設置し計測を行うのが特徴 ウォーク Way 2 フォースプレート 力の 3 分力 (Fx,Fy,Fz) を計測し, 力学的演算及び解析を用いて, 力 モーメント トルクなどを求めることができる フォースプレート 3 センサを搭載したシューズによる計測 センサをシューズに搭載し計測を行うのが特徴 インソールにセンサを搭載している F- スキャン Ⅱ

2. 靴底踏力計測装置の概要 従来技術とその問題点 4 圧力計測装置について (2/2) 接地面の荷重を測定する方法 1 シート状のセンサ上を歩き計測 足圧分布 :, 接地面の3 分力 : 2 フォースプレートを用いた計測 足圧分布 :, 接地面の3 分力 : 3 センサを搭載したシューズによる計測 足圧分布 :, 接地面の3 分力 : いずれの計測装置も接地面内の 3 分力分布の計測ができない 本研究で作製した計測装置 接地面内の 3 分力分布 (3 次元踏力分布 ) の高精度な計測が可能な装置を開発した

2. 靴底踏力計測装置の概要 5 計測する歩行の区間 歩行は同じ動作を繰り返し行っている 1 歩行周期 : 片足が路面に接地してから, もう一度その足が路面に接地するまでの間 1 歩行周期 立脚期 足が地面に接地している間 片足支持期 両足支持期 + 遊脚期 足が地面から離れている間 加速期 中期 減速期 片足支持 ( 左立脚 ) 右遊脚期 左立脚期 両足支持 1 歩行周期 片足支持 ( 右立脚 ) 右立脚期 左遊脚期 両足支持

2. 靴底踏力計測装置の概要 6 踏力の計測方法 (1/4) 1 丸棒を数本, 台に並べて固定し, 丸棒上端面を踏む 2 丸棒下部に生じたひずみを計測し, 踏力を求める ひずみの計測にはひずみゲージを 3 枚使用する Wp 靴 Wm2 ひずみゲージ 3 枚 Wm2 丸棒 台 180 90 Wm2 進行方向 Wm2 拡大図 上面図

2. 靴底踏力計測装置の概要 踏力の計測方法 (2/4) 3 つのひずみゲージから得られた値から, 丸棒にかかる圧縮荷重 ( 軸方向力 )Wp [N] と曲げ荷重 ( 水平力 )Wm1,Wm2 [N] を求める 7 Wm2 x Wp Wm1 180 90 r Round bar Strain gage 1 1 Strain gage 2 2 Strain gage 3 3 Basement panel 丸棒に生じたひずみをそれぞれ 1, 2, 3とすると, 1, 2 はそれぞれ次式のように表される p 1 2 p p 2 2 m1 m1 (1) (2) ( P : 圧縮によるひずみ, 1: 曲げによるひずみ ) この 2式を解き, p, m 1を求めると, 次式のように表される m 1 2 1 2 (3), m1 (4)

2. 靴底踏力計測装置の概要 踏力の計測方法 (3/4) 8 先ほど求めた p, m 1 からW p, W m1 を求めると, W p r 2 E p (5) Wm2 x Wp Wm1 180 90 Round bar Strain gage 1 1 Strain gage 2 2 Strain gage 3 3 Basement panel W m1 3 r E m 4x ( r : 丸棒の半径,E : 縦弾性係数, 丸棒上端面からひずみゲージまでの距離 ) となり, 3 を求めると, p 3 m2 ( m 2: 曲げによるひずみ ) 1 (6) (6) r

2. 靴底踏力計測装置の概要 踏力の計測方法 (4/4) 9 (6) 式に (3) 式を代入すると, Wp 2 3 2 m2 (7) 1 2 となる. よって, W m2 を求めると, Wm2 Wm x Wm1 Round bar Strain gage 1 1 Strain gage 2 3 r E( 2 3 1 2) W m 2 8x (8) となる. Wm1, Wm2を用いて W m を求めると, 180 90 2 Strain gage 3 3 Basement panel W m 2 2 m1 Wm 2 W (9) r

3. 作製した計測装置について 計測装置の仕様 (1/2) 丸棒のサイズ : 直径 8[mm], 長さ50[mm] 丸棒の本数 : 縦 16 本, 横 6 本の計 96 本 10 100

3. 作製した計測装置について 11 計測装置の仕様 (2/2) 丸棒のひずみゲージの位置 丸棒上端面から40[mm] の位置に3 枚 ひずみゲージ : 共和電業 ( 株 ) 製,KFP-2-120-C1-65 拡大図 ひずみゲージ 1 進行方向 進行方向 ひずみゲージ 2 ひずみゲージ 3 正面図 上面図

4. 靴底踏力計測実験 12 実験の概要 (1/3) 作製した装置での靴底踏力の計測を目的とし, 実験で得られたデータから 3 次元踏力分布の作製を行う 被験者 : 健常な男性 1 名 (24 歳, 身長 177cm, 体重 63kg, 靴のサイズ 26cm) ひずみゲージの計測装置 :PCD( 共和電業 ) サンプリング周波数 :1kHz 計測する丸棒の本数 :4 本 計測を行う丸棒の範囲 縦 横 :220 60 [mm]( 丸棒 12 4 本の計 48 本 ) 計測を行う丸棒の位置 計測する靴底の位置に合わせて, 横一列 4 本の丸棒の位置をずらして計測する 丸棒を踏んだ靴底の位置の特定には, 粘着面を上にした丸いシールを丸棒上端面に置き, 靴底にシールがついた位置を丸棒を踏んだ位置とした 60 [mm] 220 [mm]

4. 靴底踏力計測実験 13 実験の概要 (2/3) 計測を行う靴底の範囲 縦 横 :20 20[mm] を1ブロックとして, 縦 横 :12 4の計 48ブロックの計測を行った データは横 1 列のブロックの時間を縦 1 列のブロックの時間と合わせた

4. 靴底踏力計測実験 実験の概要 (3/3) 歩行時の踏力の計測に使用した歩行台 14 正面図 側面図 進行方向 計測装置上面図 丸棒上面図 進行方向 計測を行ったひずみゲージ 3 枚

4. 靴底踏力計測実験 15 実験結果 : 右足 接地時間 :0.75 [s] 圧縮荷重, 曲げ荷重ともに, 踵接地後, 蹴り出し前に荷重が大きくなる傾向が見られた 踵の内側よりも外側にかかる荷重の方が大きい傾向が見られた R123 R122 圧縮荷重 曲げ荷重

4. 靴底踏力計測実験 16 実験結果 : 左足 接地時間 :0.74 [s] 圧縮荷重, 曲げ荷重ともに, 踵接地後, 蹴り出し前に荷重が大きくなる傾向が見られた 踵の内側, 外側にかかる荷重の差は, あまり見られなかった 圧縮荷重 曲げ荷重

4. 靴底踏力計測実験 3 次元踏力分布図 : 右足 17 爪先側 踵接地から爪先離地まで,0.025[s] ごとに表示 外側 内側 踵側

4. 靴底踏力計測実験 3 次元踏力分布図 : 左足 18 爪先側 踵接地から爪先離地まで,0.025[s] ごとに表示 内側 外側 踵側

4. 靴底踏力計測実験 19 靴底と実験結果の比較 被験者が普段使用している靴の靴底と, 実験結果の比較を行った 左右の足ともに, 圧縮荷重, 曲げ荷重が大きい部位では, 靴底の摩耗が大きいことがわかった Right Left

4. 靴底踏力計測実験 20 実験結果と考察 踵接地から足底接地までの間 右足の踵は内側よりも外側の圧力が高く見られたのに対し, 左足の踵は内側と外側に大きな圧力の差は見られなかった 右足は踵の外側に体重をかけて歩行し, 左足は踵の中心に体重をかけて歩行していることがわかる 被験者が日常的に使用している靴の靴底と実験結果の踏力分布図を比較すると, 圧縮 曲げ荷重が大きくなってる部位で靴底の摩耗が大きいことがわかった 圧縮 曲げ荷重の大きさと靴底の擦り減りが関係している 今後, 靴底の設計を行う場合は, 圧力 曲げが大きく計測された箇所にはすり減りにくい材料や型崩れしにくい材料を用いればよいと考えられる 足のサイズによっては, 計測可能な範囲が小さくなってしまうので, 丸棒同士の間隔を狭くするなど, 装置の改良が必要である

想定される用途 医療福祉分野におけるリハビリや健康維持を目的として高機能な靴底の設計製造のための基礎的なデータが高精度で取得が可能となることから, 歩行時姿勢の維持などを目的とする靴の製造において高度化を図ることができる 上記以外に スポーツアスリートの高性能なシューズの製作も容易となる 達成された技術に着目すると ある面の分布圧の制御による高度な姿勢維持制御が可能となることから, 制御分野での用途に展開することも可能と思われる

実用化に向けた課題 現在 同時計測をするためには多チャンネルひずみ同時計測が課題となっており, これを低価格で実現するために装置設計が必要である 今後 靴底製造にあたっては樹脂メーカーとの連携による適切な反発特性と耐磨耗性を合わせもつ樹脂の設計開発を行っていく必要がある 企業への期待 計測装置の小型化による高度化やひずみの多チャンネル高速度計測に興味を持つ企業との共同研究を希望する 医療福祉分野, またはスポーツ分野における高性能シューズ開発の必要性をもち, これまでの技術開発の蓄積を持つ 企業との共同研究を希望する

本技術に関する知的財産権 発明の名称 : 踏力計測装置 出願番号 : 特願 2014-082184 出願人 発明者 : 福島大学 : 小沢喜仁 吉田義宏 お問い合わせ先 福島大学研究振興課横島善子 TEL:024-548- 5345 FAX:024-548 - 5209 e-mail:ce-yoko@adb.fukushima-u.ac.jp