高次脳機能障害者の就業の継続を可能とする要因に関する研究

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支援マニュアル No.10 発達障害者のためのリラクゼーション技能トレーニング ~ ストレス 疲労のセルフモニタリングと対処方法 ~ 別添 1 支援マニュアルの構成 1 トレーニングの概要 2 トレーニングの進め方 3 トレーニングの解説 資料集トレーニングのガイドブックアセスメントツール集講座用ス

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

失語症のある人の雇用支援のために

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HSR第15回 勉強会資料

Ⅰ 障害福祉計画の策定にあたって

2. 身体障がいの状況 (1) 身体障がいの種別 ( 主な障がいの部位 ) 平成 28 年 6 月 30 日現在の身体障害者手帳所持者の身体障がいの種別 ( 主な障がいの部位 ) をみると 肢体不自由が 27,619 人 (53.3%) と全体の過半数を占めて最も多く 次いで 内部障がいが 15,9

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脳血管疾患による長期入院者の受診状況~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

01 表紙

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また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸

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2. 視空間失認 ( ア ) 注視空間障害 1 バリント症候群同時に 2 つ以上のものを 知覚することが困難 2 半側空間無視 半側空間にある対象の存在を無視 ( イ ) 地誌的障害 1 街並失認 自分の周りの風景がよくわからない 2 道順障害 自宅の道順を説明できない 身体 身体失認 身体認知障害

課題名

様々です まだまだ数は少ないですが 介護保険下の施設で失語症のある方を対象とした通所介護 ( デイサービス ) 通所リハ( デイケア ) などが開設されています 北多摩北部地域 ( 清瀬市 小平市 西東京市 東久留米市 東村山市 ) の場合 高次脳機能障害者と家族会 絆 があり 高次脳機能障害者 (

障害厚生年金 厚生年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に 厚生年金保険法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です なお 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害

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高次脳機能障害の理解と診察

図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

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厚生労働省発表

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高次脳機能障害診断基準ガイドライン案

久保:2011高次脳機能障害研修会:HP掲載用.pptx

3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞の診断が最も多く 2,524 件 (65.3%) 次いで脳内出血 868 件 (22.5%) くも膜下出血 275 件 (7.1%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 2,476 件 (64.0%) 再発が 854 件 (22

花粉症患者実態調査(平成28年度) 概要版

脳循環代謝第20巻第2号

Microsoft Word 送迎アンケート報告版.doc

訪問リハビリテーションに関する調査の概要

教科課程 言語聴覚士学科 系列 開講科目名 ( 英語表記 ) 必修選択 授業形態 時間数 単位数 1 年 2 年 前期後期前期後期 講義概要 医学総論 Introduction to Medicine 必修講義 15 (1) 15 医学の目的や内容の変化 健康と病気等に関する学習を通じ 医療従事者と

さいたま市・岩槻市任意合併協議会協議書

高次脳機能障害とは? 主な原因 1 脳外傷 交通事故や転落事故な ど ( 頭部外傷 ) 2 脳血管障害 脳梗塞 脳出血など 3 その他 脳炎 脳腫瘍 一時的 な心肺停止による低酸 素脳症など 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症により 日常生活または社会生活に制約が生じ その主たる要

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状 介護について全般的に負担感が大きかった 割合が4 割 患者の死亡後に抑うつ等の高い精神的な負担を抱えるものの割合が2 割弱と 家族の介護負担やその後の精神的な負担が高いことなどが示されました 予備調査の結果から 人生の最終段階における患者や家族の苦痛の緩和が難し

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

身体障害者診断書 意見書 ( 聴覚 平衡 音声 言語又はそしゃく機能障害用 ) 総括表 氏名 年月日生 ( ) 歳 男女 住所 1 障害名 ( 部位を明記 ) 2 原因となった 交通 労災 その他の事故 戦傷 戦災 疾病 外傷名 自然災害 疾病 先天性 その他 ( ) 3 4 疾病 外傷発生年月日年

スウェーデン認知症ケア最新情報

言語聴覚士学科 ( 昼間 2 年制 ) 系列 開講科目名 ( 英語表記 ) 必修選択 授業形態 時間数 単位数 1 年 2 年 前期後期前期後期 講義概要 医学総論 Introduction to Medicine 必修講義 15 (1) 15 医学の目的や内容の変化 健康と病気等に関する学習を通じ

第1 総 括 的 事 項

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高次脳機能障害者と働く

スライド 1

11総法不審第120号

高次脳機能障害教室今後の予定 日時 : 毎月第 2 木曜日 * 教室 13:30~14:30 * 交流会 14:30~15:30( 変更になることがあります ) 場所 : 福井総合クリニック 6 階会議室 参加費 : 無料 申込み : 下記申込み先にご連絡ください 開催日内容 ( 予定 ) 4 月お

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

要件の判定に必要な事項 1. 患者数約 400 人 ( 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症及びランドウ クレフナー症候群の総数 ) 2. 発病の機構不明 ( 先天性あるいは早期の後天性脳病変がみられることはあるが発病にかかわる機序は不明 遺伝子異常が関係するという報告もあり ) 3. 効果的


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年金 手当心身障害者扶養共済制度 障がいのある方を扶養している保護者が, 毎月掛金を納めることにより, 保護者が死亡 ( 重度障がいを生じた場合を含む ) した場合, 障がいのある方に年金が支給されます 任意加入の制度です 加入できる保護者の要件障がいのある方 ( 次の 障がいのある方の範囲 を参照

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厚生労働科学研究費補助金

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

市県民税所得課税証明書から年間所得金額を見る場合 平成 年度 ( 平成 年分 ) 市県民税所得課税証明書 住所 羽生市 134 番地 1 氏名 羽生田羽生子 所得の区分 所得金額 所得の区分 所得金額 総所得金額 330,000 所得控除金額 1,500,000 合計所得金額 330,000 課税標

平成24年5月17日

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

Microsoft Word - 単純集計_センター職員.docx

Microsoft PowerPoint 指標の定義[version1.4_1].ppt [互換モード]

治療と仕事の両立に関する支援制度 機関 治療と仕事の両立について 労働者や事業者が利用できる主な支援制度及び支援機関の一覧である 1 労働者が利用できる支援制度 機関 (1) 利用可能な支援制度 類型制度概要 ( 両立支援と関連する部分 ) 医療費 高額療養費制度限度額適用認定証高額療養費貸付制度高

工内耳植込手術等に伴う聴覚 言語機能の障害を有する患者さん 顎 口腔の先天 異常に伴う構音障害を有する患者さん 運動器 上 下肢の複合損傷 脊椎損傷による四肢麻痺その他の急性発症した運動器疾患又 器疾患により 一定程度以上の運動機能及び日常生活能力の低下を来している患者 はその手術後の患者さん 関節

研究計画書

< 集計分析結果 > ( 単純集計版 ) 在宅介護実態調査の集計結果 ~ 第 7 期介護保険事業計画の策定に向けて ~ 平成 29 年 9 月 <5 万人以上 10 万人未満 >

Microsoft Word - 調査結果

第 2 再審査請求の理由 第 3 原処分庁の意見 第 4 争 点 本件の争点は 請求人に残存する障害が障害等級第 14 級を超える障害等級に該当する障害であると認められるか否かにある 第 5 審査資料 第 6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 2 当審査会の判断 (1) 請求代理人は 本

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第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

議案第  号

 

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

Microsoft Word - シラバス.doc

スライド 1

認知症の有病率 筑波大学臨床医学系精神医学 朝田隆 1 認知症の有病率調査 全国 7か所で認知症高齢者数 ( 有病率 症状別 分布 所在の推計 ) を推計する 2

07体制届留意事項(就労継続支援A型)

内閣府自殺対策推進室提出資料 平成 23 年 6 月 15 日内閣府自殺対策推進室内閣府経済社会総合研究所自殺分析班警察庁厚生労働省 東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 平成 23 年 3 月 11 日に発災した東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 以下 のとおり実施する 1. 定

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

求人サイト利用についての自主調査 雇用形態や制度の変化が急激に進む中 求人産業が大きく成長し 求人サイトの利用が高まっています 正社員 派遣 アルバイトといった雇用形態によって 求人サイトの利用状況や サイトに期待される機能は異なっているのでしょうか また 求職者はモバイルサイトと PC サイトをど

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PowerPoint プレゼンテーション

厚生労働科学研究費補助金

今回の調査では 主に次のような結果が得られました 花粉症の現状と生活に及ぼす影響の実態 スギ花粉症を初めて発症してから 10 年以上経つ人が 66.8% と 長年花粉症に悩まされている人が多いという結果に 10 年以上経つ人の割合が多い地域としては静岡県 栃木県 群馬県 山梨県等が上位に 今までにス

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話す、食べるリハビリ ~言語聴覚士の立場から~

軽自動車税 ( 種別割 ) 減免に関する取扱基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この基準は 船橋市市税条例第 89 条及び第 90 条の規定に基づき 軽自動車税 ( 種別割 ) の減免の取り扱いに関し 必要な事項を定める ( 公益のために直接専用するものの範囲 ) 第 2 条条例第 89 条第 1 項第

障害について、用語解説

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平成30年度 患者様満足度調査 【外 来】

第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

虎ノ門医学セミナー

Transcription:

平成 25 年度第 1 回支援コーディネータ全国会議 H25.6.25 13:10-13:50(40 分 ) 失語症のある高次脳機能障害者の就労支援について 1. 失語症とは 2. 高次脳機能障害における失語症の位置づけ 3. 失語症者の就労実態 ( 先行調査研究より ) 4. 調査研究報告書 No.104の解説 5. リーフレットの紹介 障害者職業総合センター調査研究報告書 No.104 参照 障害者職業総合センター 特別研究員田谷勝夫 1

1. 失語症の定義 脳の言語領域の病変により言語表象 ( 音声 文字 ) による表現や理解が選択的に障害された状態を失語症という 構音 ( 発声 ) 機能は保たれ また意識障害や認知症などの脳機能の全般的な障害がないにもかかわらず 言語の理解や表出のみが障害される さまざまな原因で生じる言語 コミュニケーション障害 ( 右図 ) のうち 以下のものは失語症から除外される 1 末梢性の受容器や効果器の損傷による言語障害 ( 難聴 聾に伴う言語障害 構音障害 ) 2 非限局性の脳病変に基づく認知症ないし知的機能の低下に伴うコミュニケーション障害 3 種々の精神疾患や意識障害に伴う言語の異常 麻痺性構音障害 発語失行痴呆認知症 ( 認知症 ) 失語症意識障害

1. 失語症の症状 言語の 4 つの機能 ( 聞く 話す 読む 書く ) の全てにわたり何らかの症状が見られるのが普通 ( 純粋型はまれ ) であり 言語機能が完全に喪失することもまれ ( 何らかの残存機能あり ) である 一般に自動的 具体的で単純な側面 ( 挨拶 相槌 ) は比較的保たれ 回復も早いが 意図的 抽象的で複雑な側面が障害されやすく 回復もしにくい 身体障害者福祉法 の施行規則別表第 5 号 ( 身体障害者障害程度等級表 ) では 失語症は 音声機能 言語機能又はそしゃく機能の障害 として位置づけられ 障害程度により ( 機能喪失の場合は 3 級 著しい障害の場合は 4 級 ) 身体障害者手帳の対象となる (18 歳以上の者 ) 身体障害者手帳を持つことによって 福祉サービスが受けられるようになるとともに 障害者の雇用の促進等に関する法律 で定められた障害者雇用率の対象となる

1. 言語野と言語中枢 言語野は 左大脳半球のシルビウス溝周辺にある ブローカ (Broca) 領域 ( 下前頭回後方 Brodman44 野 45 野 ) の損傷により運動性失語症が ウェルニッケ (Wernicke) 領域 ( 上側頭回後方 Brodman22 野 ) の損傷により感覚性失語症が 角回領域 ( 頭頂葉下部 Brodman39 野 ) の損傷により失書 失算 失読 ( 仮名 ) などがおこる

1. 失語症のタイプと言語症状 言語症状 流暢性構音 韻律換語語性錯語音韻性錯語迂回操作構文聴覚的理解復唱 タイプ ブローカウェルニッケ健忘伝導 重度障害中等度 ~ 軽度障害 ( 笹沼, 2001)

1. 失語症者のコミュニケーションのポイント 1 失語症のタイプに応じたコミュニケーション手段 2 急かさないよう肯定的な態度 3 回復には時間がかかることを理解してもらう 4 良き理解者 支援者でありたい気持ちの伝達 5 心理的状況の洞察力 ( うまく言えない 伝わらない ) 6 わからない時は わからないことを伝える 7 わからなくてもわかりたい気持ちを伝える 8 家族の理解と係わり方の指導 高次脳機能障害ナーシングガイド (2001)

2. 高次脳機能障害とは 行政上の定義 (Disorders of higher brain functions) 外傷性脳損傷 脳血管障害などの器質性脳病変の後遺症として 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害などの認知障害等を呈するものを高次脳機能障害とする これにより 日常生活や社会復帰に困難を来す者を高次脳機能障害者とよぶ 高次脳機能障害支援モデル事業は これらの者を支援するためのサービス提供のあり方について 知見を集積する目的で平成 13 年度から開始された 高次脳機能障害支援モデル事業 中間報告書 (H15 年 3 月 )

2. 高次脳機能障害の分類 脳外傷者も含めて 万歳 (1999) 1. 失語症 2. 失行症 3. 失認症 4. 認知機能障害 1 記憶力障害 2 注意力障害 3 行動障害 5. 前頭葉障害 東京都研究班 (1999) (1) 半側空間無視 (2) 半側身体失認 (3) 地誌的障害 (4) 失認症 (5) 失語症 (6) 記憶障害 (7) 失行症 (8) 注意障害 (9) 遂行機能障害 (10) 行動と情緒の障害

2. 日本リハビリテーション医学会では 1963 年日本リハビリテーション医学会創立 1965 年第 3 回大会 一般演題 : 脳卒中における失語症のリハビリテーション 1968 年展望 : 失語症研究の最近の動向 1969 年第 7 回大会 一般演題 : 失語症セッションが登場 (10 題 ) 1971 年第 9 回大会 セミナー : 失語症の言語療法 ( 笹沼 ) 1973 年第 11 回大会 一般演題 : CVAに関する研究 ( 視空間失認について ) 1974 年研究と報告 : 失語症者の非言語的認知 構成能力について ( 竹内 ) 1974 年第 12 回大会 セミナー : 失行症 失認症とそのリハビリテーション ( 上田 ) 1975 年医師卒後教育研修会 : 失行症 失認症の評価と治療 ( 鎌倉 ) 1983 年第 19 回大会 一般演題 : 視空間失認の軽量化 ( その1) ( 石神 田谷 ) 1988 年第 24 回大会 一般演題 : 高次脳機能障害セッションが登場 (15 題 ) 1990 年第 26 回大会 セミナー : 高次脳機能障害リハの今日的課題 ( 上田 ) 失語症 失認症失行症 高次脳機能障害 リハビリテーション医学より 学会創立後 間もなく失語症に関する研究発表があり 医療リハ領域において失語症は限局性の高次脳機能障害の中で 最も早くから関心のもたれていた症状である

3. 失語症者の就労実態 失語症全国実態調査 ( 第 3 回 ) 調査時期 : 昭和 53 年 (1978) 4 月 ~8 月 調査方法および対象 : 郵送アンケート方式にて 全国の医科大学 300 床以上の国公立 ( およびそれに準ずる ) 病院 リハビリテーション病院 その他失語症者を取り扱っていると思われる病院および施設 合計 862 施設 268 施設より回答あり ( 回収率 31.1%) 失語症者を扱っていない施設が54 施設 言語療法部門有りとの回答が120 施設 調査項目 : 最近 1 年間に診療した脳疾患の患者数およびその原因疾患その中の失語症者数 性別 年齢 原因疾患失語症以外の言語障害者数失語症者のリハビリテーションの実施状況 ---- 系統的に実施 100 施設言語聴覚士の有無 ---- 言語治療士がいる 113 施設 (236 人 ) 言語治療のための設備治療頻度 治療実施期間治療内容検査法失語症者の社会復帰状況 ---- 職業復帰 279 人 (16.2%) 失語症研究 Vol. 1 (1981), No. 1 第 2 回学術集会特別報告

職業復帰 家庭復帰 力を入れて行っている 3. 失語症者の就労実態失語症全国実態調査結果一覧 現職復帰 配置転換 職種転換 社会復帰状況 第 3 回 (S53) 第 4 回 (S57) 第 5 回 (S60) 第 6 回 (S63) 第 7 回 (H3) 第 8 回 (H6) 第 9 回 (H9) 第 10 回 (H13) 第 11 回 (H17) 第 12 回 (H22) 回答施設数 45 43 58 60 87 64 76 61 408 336 総人数 1719 1884 1526 2582 4507 3428 3964 2682 2570 1749 復職者数 279 16.2 236 12.5 190 12.5 341 13.2 404 9.0 395 11.5 558 14.1 215 8.0 141 5.5 102 5.8 実質的 104 6.8 108 4.2 142 3.2 名目上 26 1.7 36 1.4 68 1.5 141 7.5 不明 48 1.9 8 0.2 計 130 8.5 192 7.4 218 4.8 225 11.9 実質的 26 1.7 54 2.1 60 1.3 名目上 6 0.4 16 0.6 14 0.3 56 3.0 不明 8 0.3 2 0.04 220 83 6.4 2.4 335 166 8.5 4.2 102 78 3.8 2.9 82 36 4.4 1.9 64 28 3.4 1.5 計 32 2.1 78 3.0 76 1.7 実質的 27 1.8 28 1.1 44 1.0 名目上 1 0.1 6 0.2 2 0.04 54 2.9 34 1.8 不明 12 0.5 8 0.2 61 1.8 47 1.2 32 1.2 23 1.2 10 0.5 計 28 1.8 46 1.8 54 1.2 形態不明 5 0.3 0 25 56 31 0.9 10 0.3 家庭復帰者数 871 50.7 930 49.4 731 47.9 1447 56.0 2197 48.7 1749 51.0 1504 38.0 1234 46.0 1215 47.3 812 46.4 主婦 学生 他 560 38.7 917 41.7 870 49.7 924 61.4 仕事を引退 381 52.1 646 44.6 702 32.0 720 41.2 484 32.2 不明 241 16.7 578 26.3 159 9.1 96 6.4 言語治療の内容 第 3 回 (S53) 第 4 回 (S57) 第 5 回 (S60) 第 6 回 (S63) 第 7 回 (H3) 第 8 回 (H6) 第 9 回 (H9) 第 10 回 (H13) 第 11 回 (H17) 第 12 回 (H22) 回答施設数 214 267 322 354 511 496 720 783 言語症状の検査 診断 117 54.7 182 68.2 238 73.9 291 82.2 441 86.3 416 83.9 506 70.3 585 74.7 言語治療 115 53.7 164 61.4 227 70.5 287 81.1 440 86.1 421 84.9 508 70.6 607 77.5 心理的問題へのアプローチ 60 28.0 102 38.2 129 40.1 159 44.9 275 53.8 251 50.6 305 42.4 427 54.5 代償法の指導 41 19.2 65 24.3 85 26.4 132 37.3 218 42.7 227 45.8 260 36.1 349 44.6 家族 周囲の指導 64 29.9 115 43.1 130 40.4 186 52.5 281 55.0 270 54.4 317 44.0 400 51.1 職場との折衝 19 8.9 32 12.0 41 12.7 47 13.3 43 8.4 41 8.3 40 5.6 40 5.1 職リハ機関への橋渡し - - 26 9.7 33 10.2 23 6.5 35 6.8 33 6.7 41 5.7 46 5.9 前職業訓練 7 3.3 7 2.6 15 4.7 10 2.8 12 2.3 9 1.8 18 2.5 24 3.1 長期観察 34 15.9 42 15.7 53 16.5 65 18.4 112 21.9 99 20.0 124 17.2 223 28.5 復職者 : 失語症者全体の 10 ~15% 程度 ( 発症時就労者の復職率は 20~30% 程度と推定される ) 現職復帰者は 5 ~10% 程度 ( 発症時就労者の 10~20% 程度と推定される ) 非復職者 : 家庭復帰者のうち 仕事を引退 ( 復職困難者 ) が 30~50% 失語症者の復職は難しく 現職復帰は更に困難 11

3. 失語症者の就労実態主な先行研究調査による復職状況 失語症者の職業復帰 ( 先行調査研究結果一覧表 ) 著者 笹沼ら 佐野ら 中村ら 福迫ら 佐藤ら 加藤ら 渡邉ら 論文タイトル 失語症患者のリハビリテーション 失語症患者の社会適応について 失語症者の職業復帰調査 失語症患者の社会的予後 失語症者の職業復帰 失語症者の職業復帰 失語症者の復職について 掲載雑誌 音声言語医学 老年心理学研究 音声言語医学 リハビリテーション医学 失語症研究 日本災害医学会誌 リハビリテーション医学 発表年 1972 1976 1982 1986 1987 1999 2000 対象者のフィールド 鹿教湯温泉療養所 七沢病院 伊豆韮山温泉病院 九州労災病院 東京都老人医療センター 全国の言語治療施設 85ヶ所 江戸川病院 慈恵医科大学病院 神奈川リハ病院 対象者収集期間 1964-1970 1967-1971 1972-1981 1981 年初診 記載なし 1979-1999 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 症例数 348 115 203 303 344 55 50 男性 301 86.5 226 74.6 301 87.5 53 96.4 44 88.0 女性 43 12.4 77 25.4 43 12.5 2 3.6 6 12.0 発症時就労の有無は不明 発症時就労 192 非就労 102 風全例発症時就労者 全例発症時就労者 全例発症時就労者 年齢範囲 制限なし 制限なし 制限なし 20 歳以上 60 歳未満 28 歳 ~68 歳 平均 53.7 49.9 56.4 59.5 53.2 46.1 49.0 原因疾患 脳梗塞 27 49.1 22 44.0 脳血管障脳出血 296 85.0 294 97.0 85% 前後 25 45.5 23 46.0 くも膜下出血 5 10.0 脳外傷 9 3.0 2 3.6 脳腫瘍 1 1.8 失語症状 タイプ ブローカ 161 46.3 57 18.8 161 46.8 3 5.5 16 32.0 ウェルニッケ 65 18.7 42 13.9 65 18.9 25 45.5 9 18.0 健忘 57 16.4 74 24.4 57 16.6 2 3.6 20 40.0 伝導 7 2.0 19 6.3 7 2.0 全失語 37 12.2 5 10.0 その他 36 10.3 36 10.5 6 10.9 分類不能 16 4.6 59 19.5 16 4.7 19 34.5 無回答 2 0.6 15 5.0 2 0.6 ( 混合型 ) 重症度重度 19 34.5 5 10.0 中等度 17 30.9 19 38.0 軽度 19 34.5 26 52.0 転帰 復職 元 ( 原 現 ) 職復帰 40 11.5 25 21.7 29 9.6 49 14.2 7 12.7 名目元職復帰 15.1 6 10.9 配置転換 7 6.1 20 5.8 12 21.8 23 7.6 転職 ( 再就職 ) 33 9.5 11 9.6 8 2.3 8 14.5 不明 12.0 5 1.5 復職者 73 21.0 43 37.4 53 26.0 52 22.7 82 23.8 33 60.0 21 42.0 62 17.8 27 23.5 27.1 ( 家事 無収入を除く ) ( 事実上の復職 ) ( 発症時就労者 ) 休職中 6 10.9 職業訓練校 2 4.0 福祉的就労 14 28.0 失職 ( 退職 無職 ) 128 16 29.1 13 26.0 不明 7 復帰の可否に関与する要因 年齢 移動能力 上肢機能 - 失語症タイプ - 失語症重症度 訓練開始時期 訓練期間 - 心理 社会的要因 ( 就労意欲 ) 経済的必要性 職場の協力 主な先行調査研究によれば 復職者は21.0~60.0% で そのうち現職復帰が11.5~23.6%( 実質的な現職復帰は9.6~12.7%) 配置転換 転職が 7.6~36.3% となっているが 受け入れ側への積極的な働きかけのあった加藤らのデータ 及び失語症軽度者に特化した渡邉らのデータを除けば 事実 12 上の復職者は17.8~28.1% となり 失語症全国実態調査報告の発症時就労者推計値による復職率 (20.1~35.2%) とほぼ同様

4. 調査研究報告書 No.104 概要 第 1 章 : 失語症者に対する就労支援第 2 章 : 地域障害者職業センター利用実態調査第 3 章 : 医療機関における失語症者の就労支援第 4 章 : 失語症者雇用事業所ヒアリング調査第 5 章 : 総括 巻末資料 13

4. 調査研究報告書 No.104 背景と目的 失語症は脳血管疾患の 3~4 割に出現し 若年層でも交通事故の後遺症等で生ずる場合もあり 国内の失語症者は 50 万人に達するとの推計もあるが 就職 復職等の支援は必ずしも十分とはいえないのが現状である 本研究は 1 失語症者の就労支援に関する基礎知識の整理 2 地域障害者職業センターを利用する失語症者の実態把握 3 医療機関における失語症者支援の実態把握 4 失語症者雇用事業所における具体的支援内容の把握等により 失語症者の就労支援のあり方に関する基礎資料を得ることを目的とする 14

4. 調査研究報告書 No.104 地域障害者職業センター利用実態調査 (H21,22 年 ) 調査の目的 地域センターで行われている就労支援の実態把握 医療機関との連携に関するニーズの検討 調査方法 対象 : 全国の地域障害者職業センター (52 ヵ所 ) 回答 41 ヵ所 ( 回収率 78.8%) 手法 : メールによるアンケート調査 内容 : 失語症者の利用実態医療機関との連携状況 15

4. 調査研究報告書 No.104 地域センター利用状況 利用年度 地域障害者職業センター (41ヶ所) の失語症者利用実績 ( 上半期 ) H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 合計 利用者数 6 12 11 26 23 31 43 68 85 94 51 450 推計値 :635 人 人 120 100 80 60 40 20 0 支援モデル事業開始 支援普及事業開始 43 51 26 23 31 6 12 11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 68 85 94 平成 12~22 年度上半期までの 10.5 年間に地域センター ( 回答した 41 ヵ所 ) を利用した失語症者は計 450 人 全地域センター (47 センター +5 支所 ) の利用者推計値は 635 人 高次脳機能障害支援普及事業が開始された平成 18 年度以降 その展開状況に呼応し 利用者が増加している 失語症 利用者数 ( 年度別 ) 16

4. 調査研究報告書 No.104 手帳申請中 3.6% 身体障害者手帳 身障手帳のみ 210 + 精神障害者保健福祉手帳 12 + 知的障害者療育手帳 0 精神手帳のみ精神障害者保健福祉手帳 52 + 知的障害者療育手帳 1 精神 + 知的療育知的障害者療育手帳 0.3% 精神手帳 14.6% 障害者手帳申請中 身体 + 精神 3.4% 手帳無し 12.9% 障害者手帳 療育手帳のみ 3 3 0.8 身障手帳 2 精神手帳 4 種別不明 7 手帳無し 不明 合計 不明 5.6% 人数 357 222 53 13 46 20 % 62.2 14.8 3.6 12.9 5.6 100.0 身体手帳 58.8% N=357 障害者手帳所持状況 H17~H22(5.5 年間 ) の利用者 357 人の分析結果を示す 障害者手帳所持者は 278 人 (77.9%) 手帳の種類は身体障害者手帳 ----222 人 (62.2%) 精神障害者手帳 ---- 65 人 (18.2%) 手帳無し + 不明 ---- 66 人 (18.5%) 身体身体 + 精神精神療育なし 脳外傷 27 6 19 2 10 脳外傷者は精神障害者手帳の所持率が高く 脳血管障害 168 5 26 63 脳血管障害者は身体障害者手帳の所持率が高い 0% 20% 40% 60% 80% 100% 17

4. 調査研究報告書 No.104 受障原因 原因不明 27 もやもや病 6 脳腫瘍 2.2% 脳炎 1.1% その他 不明 5.3% 脳外傷 17.9% 原因不明 27 転落事故 3 脳血管奇形 5 くも膜下出血 31 交通事故 34 脳梗塞 86 脳内出血 107 脳血管障害 73.4% N=357 受障原因 疾患は脳血管障害 262 人 (73.4%) と脳外傷 64 人 (17.9%) で全体の9 割を占める 脳血管障害の内訳は 脳出血 (107 人 ) や脳梗塞 (86 人 ) が多く 脳外傷の原因は交通事故 (34 人 ) が多い 18

4. 調査研究報告書 No.104 失語症のタイプと重症度 不明 30% 第 1 回調査 (H21) 平成 17-20 年度 重症度人数 % 重度 14 6.6 中度 60 28.3 軽度 75 35.4 不明 63 29.7 合計 212 100 重度 7% 中度 29% 失語症のタイプ 人数 % 1: 全失語 2 1.4 2: ブローカ失語 19 13.1 3: ウェルニッケ失語 16 11.0 4: 超皮質性運動失語 1 0.7 5: 超皮質性感覚失語 0 0.0 6: 言語野孤立症候群 0 0.0 7: 伝導失語 3 2.1 8: 失名詞 ( 健忘失語 ) 6 4.1 9: その他 5 3.4 10: 不明 93 64.1 合計 145 100.0 第 2 回調査 (H22) 平成 21 22 年度 失語重症度 聞く 話す 読む 書く 1: 重度 1 7 8 8 2: 中等度 24 42 33 40 3: 軽度 59 64 45 42 4: なし 37 4 28 22 5: 程度不明 24 28 31 33 合計 145 145 145 145 ( 人 ) 失語重症度 聞く 話す 読む 書く 1: 重度 0.7 4.8 5.5 5.5 2: 中等度 16.6 29.0 22.8 27.6 3: 軽度 40.7 44.1 31.0 29.0 4: なし 25.5 2.8 19.3 15.2 5: 程度不明 16.6 19.3 21.4 22.8 合計 (%) 100 100 100 100 軽度 34% 失語症のタイプ : 不明者が60% 以上と多く 失語症の重症度 : 重度者は10% 以下と少ない 19

4. 調査研究報告書 No.104 失語症に合併する障害 身体機能障害等 他の高次脳機能障害 合併なし 合併なし 合併なし 不明その他てんかん抑うつ知的障害心臓機能 不明 不明 その他 その他 病識欠如 病識欠如 感情障害 感情障害 失認症 失認症 構音障害 失行症 失行症 聴覚障害 視覚障害 左片麻痺 右片麻痺 体幹 両側 0 40 80 120 160 人 社会行動障害 社会行動障害 遂行機能障害 遂行機能障害 注意障害 注意障害 記憶障害 記憶障害 00 40 40 80 80 120 120 160 200 160 人 身体機能障害等を合併しない者は 23 人 (6.4%) と少ない 合併する身体機能障害等では 右片麻痺が突出している (156 人 :43.7%) 他の高次脳機能障害を合併しない者は34 人 (9.5%) と少ない 合併する高次脳機能障害は 記憶障害 166 人 (46.5%) 注意障害 111 人 (31.1%) 遂行機能障害 20 72 人 (20.2%) 等が多い

4. 調査研究報告書 No.104 地域センター利用後の就労状況 ( 転帰 ) 職業訓練 15 新規就職 求職中 55 不明, 13.4 就労中, 35.1 63 18 現職復帰配置転換 福祉施設利用 29 20 職種転換 在宅 療養中 33 非就労, 37.0 休職中, 9.0 20 4 32 復帰形態不明休職中 48 転帰不明 N=357 福祉的就労, 5.6 20 福祉的就労 357 名の利用後 6 ヵ月時点での就労状況 ( 転帰 ) は 就業者が 125 人 (35.1%) 休職中が 32 人 (9.0%) 福祉的就労が 20 人 (5.6%) 非就労者は 132 人 (37.0%) 21

4. 調査研究報告書 No.104 ジョブコーチ (JC) 支援と転帰 在宅 療養中 福祉施設利用 JC 支援なし (N=294) JC 支援あり (N=63) 求職中 JC 支援あり群 (N=63) JC 支援なし群 (N=294) 合計 転帰人数 JC 支援あり% JC 支援なし人数 % 人数 % 転帰 (N=63) (N=294) 新規就職 38 60.3 25 8.5 63 17.6 新規就職 60.3 8.5 職場復帰 ( 現職 ) 5 7.9 13 4.4 18 5.0 職場復帰 31.7 14.3 職場復帰 ( 配置転換 ) 9 14.3 11 3.7 20 5.6 休職中 1.6 10.5 職場復帰 ( 職種転換 ) 6 9.5 18 6.1 24 6.7 福祉的就労 0.0 7.5 休職中 1 1.6 31 10.5 32 9.0 職業訓練 1.6 4.4 福祉的就労 0 0.0 22 7.5 22 6.2 求職中 0.0 18.7 職業訓練 1 1.6 13 4.4 14 3.9 福祉施設利用 0.0 9.5 求職中 0 0.0 55 18.7 55 15.4 在宅 療養中 1.6 11.6 福祉施設利用 0 0.0 28 9.5 28 7.8 その他 不明 3.2 15.0 在宅 療養中 1 1.6 34 11.6 35 9.8 その他 不明合計 100.0 2 3.2 100.0 44 15.0 46 12.9 職業訓練 福祉的就労 休職中 職場復帰 新規就職 JC 支援あり群 (63 名 ): 就労者は 全体の 92.0% 新規就労 38 人 (60.3%) 職場復帰 20 人 (31.7%) JC 支援なし群 (294 名 ): 就労者は 全体の 22.8% 新規就労 25 人 ( 8.5%) 職場復帰 42 人 (14.3%) 合計 63 100.0 294 100.0 357 100.0 0 10 20 30 40 50 60 % 70 22