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p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

県立学校職員 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 15 条の2 第 1 項第 5 号の規定に基づき 山形県教育委員会における職員 ( 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 7 条に規定する校長及び教員等 ) の標準職務遂行

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44 大分県

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はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

( 選定提案 ) は 利用者に貸与しようと福祉用具の種目の候補が決まった後で 具体的な提案品目 ( 商品名 ) を検討する際に用いる つまり ( 選定提案 ) に記載されるのは 候補となる福祉用具を利用者に対して提案 説明を行う内容である 平成 30 年度の制度改正では 提案する種目 ( 付属品含む

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる さらに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイ

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

目次 平成 26 年度学校経営計画 1 平成 26 年度自己評価シート ( 年度末評価 ) 3 平成 26 年度自己評価シート ( 年度末評価まとめ ) 6 平成 26 年度学校関係者評価シート ( 年度末評価 ) 8

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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第4章 道徳

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

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本論文のタイトル

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

①H28公表資料p.1~2

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第2節 茨木市の現況

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2 平成 27 年度に終了した研究課題について 研究成果報告書サマリー集や研究成果 ( 別紙 1 参照 ) の内容は 例えば下記のような場面で用いられ 貴機関や学校等での課題の改善に活用できましたか? 活用の場面研修会やセミナー所管する学校 教職員への情報提供関係機関 ( 医療 保健 福祉 教育 労

31阿賀野全:方針実践のための行動計画

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指導方法等の改善計画について

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

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2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

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(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

平成 31 年度富山県立となみ東支援学校いじめ防止基本方針 富山県立となみ東支援学校 Ⅰ いじめに対する基本的な考えいじめは いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず その生命又は身体に危険を生じさせるおそれのあるもので

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

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4 選抜方法 (1) 選抜の方法 本校の 期待する生徒像 に基づき, 学力検査の成績, 調査書, 面接の結果 等を総合的に判定して入学者の選抜を行う ア 学力検査の成績 による順位と 調査書の得点 による順位が, ともに次のパーセント以内にある者は, 入学許可候補者として内定する ( ア ) 受検者

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

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Transcription:

4.4 個別の教育支援計画 への ICF の活用 静岡県立西部特別支援学校 ICF 推進プロジェクトチーム代表 大谷公子 1. はじめにー ICF を取り入れることになった理由 静岡県立西部特別支援学校 ( 以下, 本校 ) は, 在籍児童生徒数 146 人の特別支援学校 ( 肢体不自由 ) で, 小学部, 中学部, 高等部の 3 学部と訪問教育があります 児童生徒の障害の状況に合わせて学部ごとに学習グループ ( 教科, 生活, 自立活動 ) を編成し, 指導に取り組んでいます 本校では 主体的に活動に取り組む子 の育成を目指し, 個別の教育支援計画 や 個別の指導計画 を基に一人一人が持っている力を最大限に伸ばすための指導を行っています これらの取組の中での課題としては, 個別の教育支援計画 が十分に活用されていないこと, 児童生徒の障害のみを実態として捉え, その改善 克服を目指して指導することにとらわれがちであること等があげられます そこで, 児童生徒一人一人を多面的に把握し, 指導 支援の方向性をより的確に導き出すために,ICF を活用し, 個別の教育支援計画の改善 充実を図ることにしました 2. 取組の実際 (1) 研修組織 ICF の考え方を理解し, 分類項目も取り入れた 個別の教育支援計画 を作成するために校務分掌の主担当者 ( 以下, 課長 ) 及び学部主事を構成員とした ICF 推進プロジェクトチームを組織しました さらに, 個別の教育支援計画 を試行する ICF 試行チーム, 個別の教育支援計画 の試案についての課題を洗い出し, 改善策を検討する ICF 活用チームも組織しました ( 表 1) また, 国立特別支援教育総合研究所の研究協力機関となり, 必要に応じて指導 助言を得ながら研修を進めることにしました 表 1 ICF の研修組織図チーム名構成員 リーダー サブリーダー活動内容 ICF 推進プロジェクトチーム (9 人 ) 中学部主事, 小学部主事, 教務課長, 高等部主事, 教育支援課長, 進路課長, 自立活動課長, 研修課長, 試行チームリーダー 1 ICF についての研修を推進する 2 各学部または分掌において ICF を活用するための手立てを考える ICF 試行チーム )(6 人 ) 試行チームリーダー ( 生活学習グループ ( 以下,G ), 中 1 自立学習 G, 高 1 教科学習 G, 小 1 自立活動学習 G, 小 4 生活学習 G, 訪問教育担当 1 試案を試行する 2 学習グループの立場から, 試案についての課題を洗い出す ICF 活用チーム (14 人 ) ICF 推進チーム + ICF 試行チーム 1 ICF の考え方に基づいた 個別の教育支援計画 ( 試案 ) を試行し, さらに活用しやすい形式を考えて全校試行に向けて, マニュアル作成を行う 2 ICF の考え方についての研修の推進及び ICF 関連図 の活用を図る - 77 -

(2) 個別の教育支援計画での ICF 活用を推進するための研修の構想研修活動をとおして ICF を 個別の教育支援計画 等へ活用するための構想 (3 年計画 ) を図 1に示しました まず平成 20 年度は ICF 推進プロジェクトチームを中心にしながら ICF について理解し, 活用の方向性を検討することにしました 続いて 21 年度は一部の学年で個別の教育支援計画での ICF 活用の試行を行うとともに,ICF についての啓発に力を入れてきました そして 22 年度は, 学校全体での取組を目指し, 進めています 図 1 ICF 活用推進構想のイメージ図 (3) 平成 20 年度の取組 平成 20 年度は, 児童生徒の実態を的確に把握し, 効率的な話し合いができるように, 個別の 教育支援計画 の形式を ICF 関連図 とほぼ同じ形にし, 試案を作成しました その試案を試 行チームが試行するにあたり, 次の3つの視点を満たすことに留意しました K 簡単 ( 分かりやすい ) 職員 保護者に分かりやすく, 他機関に伝えやすい K 効果的 ( 役立つ ) 児童生徒の指導 支援のための話し合いに役立つ K 効率的 ( 電子化 ) データの電子化による作成 活用の効率化 - 78 -

個別の教育支援計画 の試案を外部機関に提示し, 意見を伺ったところ, 活用しやすい方向に改善されているという評価を得ました また, 国立特別支援教育総合研究所の徳永亜希雄主任研究員を講師として招き, ICF 関連図 の活用についての研修を行い, その活用方法について理解を深めました (4) 平成 21 年度の取組平成 21 年度は,ICF 推進プロジェクトチームと自立活動課とが連携し, 平成 20 年度までの自立活動実態把握表を表 2のように ICF の観点を取り入れた実態把握シートに変え, 今まで行っていた実態把握の方法からスムースに ICF の考え方に移行できるようにしました この表に出てくる大分類とは本校の ICF 関連図の6つの観点 (1 健康状態,2 心身機能, 身体構造,3できる活動,4 参加の願い,5 環境因子,6 個人因子 ) を意味し, 大項目とは個別の教育支援計画の中の できる活動 の大項目と合わせてあります 平成 20 年度に作成した 個別の教育支援計画 の試案を一部の学年で試行し, 試行学年からの意見をもとに実効性を検証するとともに試行チームからの意見を取り入れ, また, 外部機関 保護者の意見も取り入れて, 形式を改善し, 図 2のようにさらに活用しやすい形式に改善しました また, ICF 関連図 を学年会や学習グループ会等で実際に活用したところ, 児童生徒を取り巻く環境の把握や話し合いが効率的にできるという成果が見られました 3. まとめ (1) 多面的な視点への気付きについて ICF の考え方を理解することで, 児童生徒の実態を多面的に捉えることの大切さを実感できました また, 児童生徒の障害の改善 克服を目指すことだけにとらわれなくなりました 今までのように肢体不自由があることだけがその子の実態ではなく, 参加や活動の状況や周りの環境や本人の性格等も併せて総合的に捉えることができるようになりました (2) 書式の工夫による効果的な話し合いの実現について 個別の教育支援計画 の中に ICF 関連図 を取り入れたことで, 個別の教育支援計画 をそのまま話し合いのツールとしての ICF 関連図 として活用できるようになり, 学年会や学習グループでの話し合いがしやすくなりました そのため, 課題解決のための話し合いがスムースにでき, 目標達成のための支援 手立ての共通理解がしやすく, 多くの意見が効率よく出され, 記録として保存もできるようになりました また, 個別の教育支援計画 を A3 用紙 1 枚にまとめたことにより, 児童生徒の全体像が把握しやすくなり, 保護者や関係機関との話し合いで活用しやすくなりました (3)ICF の利点を生かす運用上の工夫について 児童生徒一人一人を多面的に把握し, 指導 支援の方向性をより的確に導き出すために,ICF を活用の検討を進めてきました ICF の分類項目は 1424 項目あり, 多岐にわたっているため, - 79 -

児童生徒の生活を網羅的に把握できるという優れた点がある反面, すべての分類項目を用いることは現実的ではないと判断し, 本校独自の実態把握シートを作成することにしました 本シートでは, 肢体不自由のある児童生徒に必要な項目について検討した上で電子化し, パソコンで手軽に記入できるようにしました このことにより本校の児童生徒に必要な実態把握が効率的にしかも的確にできるようになり, 引継ぎもスムースにできるようになりました 4. 今後の方向性 これまでの 2 年間の取組を生かし, この ICF の考え方を取り入れた 個別の教育支援計画 を有効に活用し, 児童生徒の実態を周りの環境も含めて多面的に捉え, 保護者や関係機関と連携をはかりながら, 児童生徒の目指す将来像の実現に向けたより良い指導 支援につなげていきたいと思います そのために3 年構想の最終年度の 22 年度は, 学校全体で着実に進めていきたいと思います - 80 -

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