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する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

手順書03

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

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スライド 1

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

平成 28 年 4 月版 別紙様式 3 研究に係る利益相反状況申告書 Q&A Q1. 学内研究分担者等の氏名 Q1-1 Q1-2 Q1-3 Q1-4 質問学外の研究分担者名を記載しなくてもよいのですか? 学内研究分担者等 というのは どのような人をいうのですか? モニタリング 監査とはどのようなもの

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

CROCO について

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群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : がんサバイバーの出産の実際調査 はじめに近年 がん治療の進歩によりがん治療後に長期間生存できる いわゆる若年のがんサバイバーが増加しています これらのがんサバイバ

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

平成29年度 第1回 臨床研究に関する研修会

12_モニタリングの実施に関する手順書 

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

埼玉医科大学倫理委員会

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Microsoft Word - 2-① 補償ガイドライン平成27年版(本文)Ver3.1.1.do

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

【押印あり】日本医学会宛

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

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岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

都道府県医師会医療安全担当理事殿 ( 法安 56) 平成 27 年 8 月 5 日 日本医師会常任理事今村定臣 酵素電極法を用いた血糖測定に使用する医療機器及び体外診断用医薬品に係る 使用上の注意 の改訂について グルコース分析装置 自己検査用グルコース測定器及び自動分析装置等並びに血液検査用グルコ

薬生安発 0302 第 1 号 平成 30 年 3 月 2 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) 医薬品リスク管理計画の実施に基づく再審査期間終了後の評価報告について の一部改正について 再審査期間中の新医薬品以外の医薬品の医薬品リ

特定臨床研究に関する手順書

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PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

再生医療の制度的な対応の検討について 薬事法等制度改正についてのとりまとめ平成 24 年 1 月 24 日厚生科学審議会医薬品制度改正部会 1 再生医療製品については 今後も 臓器機能の再生等を通じて 重篤で生命を脅かす疾患等の治療等に ますます重要な役割を果たすことが期待される 特に ips 細胞

( 庶務 ) 第 8 条委員会の庶務は 総務課長がこれを行う 2 総務課長は 委員会の開催案内 協議事項等の議事録作成 関係文書の保管等を行う ( 小委員会等の設置 ) 第 9 条委員長は 審議事項に応じ院長の承認を得て小委員会等を設置することができる 2 小委員会等の委員は 委員会委員の中から委員

(目的)

研究報告書レイアウト例(当該年度が最終年度ではない研究班の場合)

医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

同意説明文書(見本)

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製造販売後調査事務手続き等 について

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

従来の医学系研究の規制 治験 :GCP 省令とガイダンス 治験以外 : 研究の種類ごとに行政指針 主要な三つの指針 1. ヒトゲノム 遺伝子解析研究に関する倫理指針 ( ゲノム指針 ) 2. 臨床研究に関する倫理指針 ( 臨床指針 ) 3. 疫学研究に関する倫理指針 ( 疫学指針 ) 指針同士の関係

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薬食機発 0131 第 1 号平成 25 年 1 月 31 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 薬事法に基づく登録認証機関の基準改正に伴う留意事項について ( その 2) 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 以下 法 という )

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はじめに 平成 21(2009) 年 5 月 1 日に倫理委員会 薬物治験審査委員会の皆様に利益相反マネジメントの実施を依頼してより 7 年が経ちました この間 国などによる各種倫理指針の改訂をはじめ 日本医学会や日本学術会議などによるガイドラインの発行など 利益相反マネジメントを取り巻く状況は 日

医療事故調査・支援センター~センターの役割と手引~

別添 治験副作用等症例の定期報告に関する質疑応答集 (Q&A) について < 半年ごとの定期報告の受け付け> Q1 平成 26 年 6 月 30 日までの間は 治験依頼者 ( 自ら治験を実施する者を除く ) が提出する副作用等症例の定期報告は なお従前の例によることができる とあるが 平成 26 年

(3) 倫理学 法律学の専門家等 本法人に所属しない人文 社会科学の有識者若干名 (4) 一般の立場から意見を述べることができる者若干名 (5) 分子生物学 細胞生物学 遺伝学 臨床薬理学 病理学等の専門家若しくは遺伝子治療等臨床研究の対象となる疾患に係る臨床医として 日本医科大学長が推薦した者若干

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京都府立医科大学附属病院

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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本手順書で使用する用語の定義 用語電子的記録書面電子的記録利用システム実務担当者原データ治験関連文書サイボウズサイボウズメッセージ 定義人の知覚では認識できない, 電子式等の方法で記録され, コンピュータで処理される記録紙媒体による資料治験依頼者, 実施医療機関の長, 治験責任医師並びに治験審査委員

治 験 実 施 標 準 業 務 手 順 書

中小医療機関における輸血 療法委員会の設置に向けて 長崎県合同輸血療法委員会平成 31 年 1 月 16 日

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科でおこなわれます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database ( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます.NCD は下記の学会 専門医制度と連携して

Ⅲ-4 調査 研究委託に関する基準 改定改定改定改定改定改定改定 平成 10 年 1 月 20 日公正取引委員会届出平成 13 年 6 月 14 日公正取引委員会届出平成 16 年 5 月 25 日公正取引委員会届出平成 17 年 3 月 29 日公正取引委員会届出平成 17 年 12 月 22 日

薬食審査発第 号平成 19 年 9 月 28 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 国際共同治験に関する基本的考え方について 従来 我が国においては ICH-E5 ガイドラインに基づく 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因について

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臨床研究に参加される研究対象者の方へ 皮膚症状を呈する膠原病における炎症性サイトカインの病態への関与について に関する研究の説明 これは臨床研究への参加についての説明文書です 本臨床研究についてわかりやすく説明しますので 内容を十分ご理解されたうえで 参加するかどうか患者さんご自身の意思でお決め下さ

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

データの取り扱いについて (原則)

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移植治療による効果と危険性について説明し 書面にて移植の同意を得なければならない 意識のない患者においては代諾者の同意を得るものとする 6 レシピエントが未成年者の場合には 親権者からインフォームド コンセントを得る ただし 可能なかぎり未成年者のレシピエント本人にも分かりやすい説明を行い 可能であ

別紙様式 (Ⅴ)-1-3で補足説明している 掲載雑誌は 著者等との間に利益相反による問題が否定できる 最終製品に関する研究レビュー 機能性関与成分に関する研究レビュー ( サプリメント形状の加工食品の場合 ) 摂取量を踏まえた臨床試験で肯定的な結果が得られている ( その他加工食品及び生鮮食品の場合

本日の内容 1. 未承認対照薬等の取り扱い別添の 4.(3) ウ.( ア ) 2. 対象疾患の悪化等を評価項目にする試験別添の 7.(3) イ.( ア ) 3. 承認取得者以外の治験国内管理人が治験 依頼者となる場合別添の7.(3) オ. 4. 医師主導治験との情報共有別添の7.(3) カ. 5.

( 委員会の業務 ) 第 4 条委員会は その責務の遂行のために以下の最新資料を病院長から入手する なお あらかじめ 自ら治験を実施する者 委員会及び病院長の合意が得られている場合においては GCP 省令第 26 条の6 第 2 項に関する通知に限り 自ら治験を実施する者から入手することができる ま

Microsoft Word - 【案1】登録認証機関立入要領改正通知(Ver )

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

前項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの に改め 同項を同条第三項とし 同条第一項の次に次の一項を加える 2治験依頼者は 被験薬について法第八十条の二第六項に規定する事項を知ったときは その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに 当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等

6. 研究が終わった後 血液を他の研究に使わせてください 詳しくは ページへ 病には未解決の部分がまだ多く残っています 今後のさらなる研究のため ご協力をお願いいたします ( 必要に応じて ) バンク事業へのご協力をお願いします 遺伝子を扱う研究を推進するため 多くの人の遺伝子の情報を集めて研究に使

山形県立中央病院治験審査委員会業務手順書

日本医療情報学会

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院医療に係る安全管理のための指針 第 1 趣旨本指針は 医療法第 6 条の10の規定に基づく医療法施行規則第 1 条の11 の規定を踏まえ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 ( 以下 センター病院 という ) における医療事故防止について組織的に

検討課題の整理 1 第 1 回合同会議での意見及びその後委員から提出された意見を 第 1 回合同会議の 検討の進め方 ( 下記参照 ) に沿って分類 第 1 回合同会議資料 合同会議における検討の進め方 の抜粋 合同会議においては 以下の順で検討を進める (1) ゲノム指針と医学系指針との条文の整合

臨床研究許可申請書の提出に際しての留意事項

ICH-GCPとJ-GCPとの比較表

委員会記載 資料番号

本日の内容 1. 医薬品の再審査に係る関連法規 2. 医薬品の再審査申請資料の適合性調査 2.1. GPSP 実地調査における調査の視点 2.2. 適合性書面調査における調査の視点 2.3. ( 参考 ) 医薬品再審査適合性調査相談の現況 3. 適合性調査の効率化に向けて 3.1. 安全性情報管理シ

臨床研究の概要および研究計画

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

臨床試験(治験)実施の手続き

ともに 申請者が承認審査のスケジュールに沿って法令上求められる製造体制を整備することや承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで 更なる迅速な実用化を促すものである この制度では 原則として新規原理 新規作用機序等により 生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して 極めて高い有効

臨床研究法における 研究計画書の記載事項について

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大学病院治験受託手順書

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

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Transcription:

臨床研究 製造販売後調査の 実施審査申請の際に 押さえておくべきポイント 医学部附属病院臨床試験管理センター板垣史郎

現在 研究倫理指針 ( 臨床研究に関する倫理指針 疫学研究に関する倫理指針 ) の統合が進められており 統合後の指針 ( 仮称 : 人を対象とした医学系研究に関する倫理指針 ) では文言 の定義が現行指針とは異なるものとなる可能性があることをご了承ください

医学部附属病院医薬品等臨床研究審査委員会 (Institutional Review Board/IRB) で審査している案件 1 企業から依頼される治験 医師主導治験 2 企業から依頼される市販後調査 企業が厚労省へ届出を行い 実施する 使用成績調査 特定使用成績調査 企業が自主的に ( 厚労省への届け出を行わず ) 実施する企業依頼型市販後調査 3 附属病院所属の職員が立案し 実施する臨床研究 医薬品や医療機器 ( 医薬品等 ) を患者に使用してその効果を評価する 前向き研究 患者のカルテ情報等 既存資料を解析して新規知見を得る 後向き研究 遺伝子解析を伴う研究 ヒト幹細胞や ips 細胞を用いる研究 特定の患者に対し 他に治療法が無いなどのやむを得ない理由により 国内未承認の治療を実施する 個別症例に対する新医療は医学研究科倫理委員会の審査案件となります 疫学研究についても 現時点では医学研究科倫理委員会の審査案件となります

弘大病院 IRB 審査案件の区分 - 厚生労働省の監督下で実施されるか否か - 厚生労働省の監督下で実施 治験 医師主導治験 使用成績調査 特定使用成績調査 実施前に厚労省との相談が必須 結果は厚労省に報告 得られた結果は 製造販売承認取得 適応拡大 添付文書改訂等に直接活用 厚生労働省による監督を受けずに実施 双方とも医薬品等の販売後調査だが 厚労省の監督下で実施されるか否かが大きな違い 企業依頼型市販後調査 研究者主導臨床研究 実施前の厚労省との相談は不要 結果を厚労省に報告する義務はない 得られた結果は 製造販売承認取得 適応拡大には活用されない 厚労省が結果が報告された論文を参考に添付文書の改訂をすることもある

弘大病院 IRB への審査申請 1 企業から依頼される治験 2 医師主導治験 3 使用成績調査 4 特定使用成績調査 治験として審査申請 製造販売後調査として審査申請 5 企業依頼型市販後調査 6 研究者主導臨床研究 臨床研究として審査申請 使用成績調査 特定使用成績調査と企業依頼型市販後調査の違い 結果を厚労省に報告する義務があるかないか

臨床研究の実施審査申請に あたり 押さえておくポイント 医師主導臨床研究の倫理審査企業依頼型市販後調査の契約審査など

最近よく聞く話 論文投稿 / 学会発表申し込みしたら倫理審査承認を受けたことの明示を求められた さらに 承認番号まで求められることも少なくない 臨床研究倫理審査について 審査の概要は公表が義務付けられているため 承認を受けずに実施された研究について遡って倫理審査をすることは不可能 適切な倫理審査を受け 実施された研究でなければ 論文投稿や学会発表のスタートラインに立てない ここ数年 臨床研究に関わるルール 仕組みは大きく変化してきている 知らなかった このくらいいいだろう ではすまされない さらに 日本医学会 科学性を担保とした医師主導の臨床試験実施のためのルール作り 論文発表の指針 金銭関係の透明化 利益相反状態のマネージメントなどを確保する仕組み作りが必要 平成 25 年 7 月 12 日 Kyoto Heart Study に関する見解 日本製薬医学会 臨床研究の管理体制再検討を 平成 25 年 7 月 1 日 臨床研究の信頼性に関する緊急提言 今年 1 年の中でもルール 指針等が大きく変化する可能性がある

日常診療と研究境界を正しく認識していないと 無断無許可の臨床研究に - 宮崎大学 鎮静 鎮痛剤 投与事件 - 宮崎大は 20 日 医学部付属病院の麻酔科に所属する 40 歳代の男性助教が昨年 2 月から 5 月 患者 44 人の手術の際 同意を得ずに鎮痛剤を投与し 効果を調べる臨床研究を行っていたと発表した 鎮痛剤は承認薬で 健康被害は確認されていないという 同大によると 助教は 20 歳代以上の男女 44 人の手術で脊髄への麻酔を行う際 痛みを和らげるのに使う 3 種類の鎮痛剤のうち 無作為に選んだ 1 種類を投与していた 無作為の群間割り付けにあたり 臨床研究 ( 侵襲性のある介入研究 ) となる どこが問題? 患者への臨床研究を行う際は 事前に学内の倫理委員会で承認を受け 患者の同意を得る必要があるが 助教はいずれの手続きも行っていなかったという 昨年 11 月下旬に匿名の投書があり 発覚した 44 人のうち 連絡が取れない5 人を除いて電話と文書で説明し 了解を得たという 助教は 通常の医療行為の範囲で行っており 臨床研究という認識が不足していた と話しているという 平成 24 年 4 月 21 日読売新聞 知らなかった このくらいいいだろう ではすまされない

倫理指針を守っている はず の危険性 指針を正しく理解していないと 無断無許可の臨床研究に - 高知大学 先進医療取り下げ 事件 - 高知大は 先進医療 として実施していた膀胱 ( ぼうこう ) がんの診療を中止した 2010 年 7 月から 3 年半続けてきたが 必要な倫理委員会の承認を得ていないことが発覚 さらに調査委員会が調べた結果 不適切なデータ管理なども判明し 科学性を担保できない 継続の取り下げが妥当 と判断した 04 年に倫理委の承認を得て 安全性などを確認する臨床研究を開始 10 年には先進医療を厚労省に申請して認められ 実施した しかし 臨床研究と先進医療では目的も実施基準も異なるため 先進医療として改めて倫理委の承認が必要だったが 得ていなかった 先進医療の倫理委員会承認は既に承認されていた臨床研究に包含されているという認識だった 高知大は 患者の健康に直接被害を及ぼすことはなく データ改ざんもないとしているが この間に診療を受けた患者 60 人のデータは先進医療の実績として生かせなくなる 手続き上の軽微な過失とみるべきではない として 患者に謝罪した 関係者を処分する予定だ 平成 26 年 2 月 7 日朝日新聞 知らなかった このくらいいいだろう ではすまされない

臨床研究の幅は極めて広い 未承認薬を用いた プロスペクティブ ( 前向き ) プラセボ対照ランダム化二重盲検試験から 承認薬の効果を群間で検証する前向き試験 生体試料を用いた薬物濃度測定日常診療下で治療法の効果を検証する前向き観察試験 患者へのアンケート調査等等 既存の診療情報を用いたレトロスペクティブ ( 後向き ) カルテ調査まで 適切かつ速やかな臨床研究の実施のために ~ 臨床研究の性格を把握する ~ 臨床研究研究者の介入人体侵襲書面同意取得同意取得自体研究費提供に係る契約 該当 or 非該当あり or なしあり or なし要 or 不要要 or 不要要 or 不要

臨床研究 ( 又は疫学研究 ) に該当するもの しないもの 個別の症例報告 ( 該当しない ) 学会報告 論文報告とも倫理審査は不要 ( 診療の一環であり 研究ではない ) 退院した患者を含めた患者群の予後調査 ( 該当しない ) 倫理審査は不要 ( 診療の一環であり 研究ではない ) 既存診療情報の単純な解析結果を院内で発表 ( 該当しない ) 倫理審査は不要 ( 診療の一環であり 研究ではない ) 既存診療情報の単純な解析結果を学会で発表 ( 該当する ) 疫学研究に該当するため 倫理審査必要 治療法や医薬品等の有効性 安全性を日常診療下で前向きに検証 臨床研究 ( 又は疫学研究 ) に該当するため 倫理審査必要 ( 該当する ) ただし 個別の事例において臨床研究 ( 又は疫学研究 ) に該当するか / しないか判断に迷う場合は 該当すると推定して対応すること 臨床研究に関する倫理指針 ( 改訂 ) についての Q & A

介入性のある研究 ない研究 現行の臨床研究に関する倫理指針では 投薬や手術等の医療行為を伴う研究の中でも 1 通常の診療を越えた医療行為であって かつ研究目的で行われるもの 2 通常の診療と同等の医療行為であっても 割りつけて群間比較するものの 2 点を 介入研究 と定義し それ以外の研究を 観察研究 としている 割り付けを伴わない 医学的に確立された診療行為を基盤とする臨床研究は観察研究であることに留意願います

侵襲を伴う研究 伴わない研究 ダヴィンチを用いた手術時 通常検査用の血液の残余分を利用し 薬物濃度を解析 侵襲を伴わない研究 * 割り付けを伴わない通常診療行為 観察研究 B 型肝炎ワクチン接種患者から通常の抗体確認用採血に加えて研究用血液を数回採取 侵襲を伴う研究 * 割り付けを伴わない通常診療行為 観察研究 現行の臨床研究に関する倫理指針では 1 投薬や手術等 被験者に対する一定以上のリスクの医療行為を伴う介入研究 2 研究目的の採血や穿刺を伴う観察研究の 2 点を 侵襲を伴う研究 と定義している 倫理指針では 侵襲 という単語が医療現場で通常想定されているような 生体を傷つける という意味とは異なる意味で運用されていることに注意が必要です

介入性の有無 侵襲の有無を把握しておくことの重要性 臨床研究に関する倫理指針 第 2 の 2(5)( 一部改編 ) 研究責任者は 臨床研究のうち 介入を伴う研究かつ侵襲性を有するものを実施する場合には あらかじめ データベース * に当該研究に係る臨床研究計画を登録しなければならない * 国立大学附属病院長会議 財団法人日本医薬情報センター及び社団法人日本医師会が設置したものに限る 注意 : 研究責任者試験の科学的側面に対して責任を有する方の氏名であり 多施設共同研究の場合には リーダーとなる研究者の氏名です 研究分担組織における研究代表者とは異なります 平成 25 年 9 月に実施された 平成 21 年 4 月以降に実施された介入かつ侵襲性の臨床研究に対する調査の結果 症例登録前にデータベース登録 情報公開が行われていなかった臨床研究 39 件が判明 特許等の関係で公開時期を後にしたい場合 UMIN では公開時期を特許出願後に設定することが可能です しかし ICMJE( 生物医学雑誌への統一投稿規定 ) では 登録 = 公開日としているため 公開しない (= 登録しない ) で実施された臨床研究の論文を雑誌が審査してくれるのかどうかは雑誌に依存する点です

同意取得の必要な研究 同意取得を省略できる研究 全ての臨床研究が同意取得を要するわけではない * 既存診療情報を用いる後向き解析研究を実施するとする 診療情報の対象患者全員からどのようにして書面同意を取得するか エビデンスレベル ( かなり低い臨床研究 ) と書面同意取得に要する労力 ( 甚大 ) が全く見合わない 日常診療下で実施される観察研究には同意取得を省略できるものも多い 同意取得を省略するためには 然るべき手続き 対応が必要 臨床研究 / 疫学研究ともに 観察研究であり 人体から採取された試料を用いない研究は 同意取得を省略できるただし 同意取得を省略する場合 研究に関する情報公開を行い 研究参加拒否の機会を与えることが必要また この方法では同意を取得したことにならず 論文等で 同意を取得した とは書けない 同意取得を省略できる研究について 口頭同意等の手段で同意を取得することは差支えない

資金提供者と研究者の間で契約が必要な臨床研究 これまでは極めて稀 しかし 今後増加していくことが確実 公表論文が撤回された Kyoto Heart Study Jikei Heart Study SMART のいずれも企業と研究者の間で調査研究実施契約は締結されていなかった なぜ 各大学にノバルティス社から提供された奨学寄付金の額は 京都府立医大 :3 億 8170 万円 東京慈恵会医大 :1 億 8770 万円 滋賀医大 :6550 万円 医師の臨床研究に対し委託契約で助成するのは 研究の対価支払 = 処方誘導と他企業から誤解され 医薬品製造販売業公正競争規約に抵触するとして指弾の対象になる恐れが大きい だから 研究の内容の詳細や成果を問わない奨学寄付金として代価を納めるのがよい とする旧来の考え 2012 年 5 月 医薬品製造販売業公正競争規約の運用基準見直し - 臨床研究に対する資金提供は寄付金ではなく 委受託契約により行うこと - 契約を必要とする製造販売後調査 ( 厚労省の監督下で実施される使用成績調査 特定使用成績調査 ) とは実施審査申請や契約の手続きが異なることに留意願います

製造販売後調査の実施審査申請に あたり 押さえておくべきポイント

現在 ほぼ問題なく実施申請 審査 実施承認ができている 問題となったケース : 全例調査の事後申請 - 全例調査とは - 一定症例数にかかるデータが集積されるまで製造販売後にすべての使用患者を対象とした使用成績調査により使用患者の背景情報並びに安全性や有効性に関する情報を可能な限り早期に偏りなく収集し 承認内容の再確認や適正使用に必要な情報収集を早期に行う調査 国内治験症例が少ない / ない場合 重篤な副作用等の発現が懸念される医薬品の場合 承認条件で個々に全例調査の実施を求めることがある 全例調査は原則としてプロスペクティブな調査で行うべきであるが やむを得ない場合は レトロスペクティブな調査とすることが可能である 平成 21 年 9 月 7 日業務連絡厚生労働省医薬食品局審査管理課 / 厚生労働省医薬食品局安全対策課 X 患者に使用後 数ヶ月 ~1 年経ってから全例調査の実施を申請 やむを得ない場合 か? 当該医薬品等の発売と同時に使用したい患者がいる やむを得ない場合 調査実施の手続きについて 臨床試験管理センターにご相談ください

全例調査対象医薬品等の見分け方 国内治験症例が少ない / ない場合 重篤な副作用等の発現が懸念される医薬品の場合 承認条件で個々に全例調査の実施を求めることがある 承認条件 本剤は希少疾病用医薬品であり 国内臨床試験における症例数が極めて少ないことから 製造販売後 一定症例数に係るデータが集積されるまでの間は 全症例を対象に使用成績調査を実施することにより ( 以下略 ) アラベル内用剤 1.5g 添付文書 承認条件の記載位置は 医薬品等添付文書のほぼ最後方 国内治験症例が少ない / ないもの ならびに重篤な副作用等の発現が懸念されるものの場合 使用前に承認条件の有無を確認願います 全例調査が承認条件となっている医薬品等は 調査の実施が承認された後に使用可能