1 装置工学概論 第 12 回 蒸留装置の設計 (3) 流動装置の設計 (1) 東京工業大学物質理工学院応用化学系 下山裕介 2019.7.15
装置工学概論 2 第 1 回 4 /15 ガイダンス : 化学プロセスと装置設計 第 2 回 4 /22 物質 エネルギー収支 第 3 回 5 /6( 祝 ) 化学プロセスと操作変数 5 /13 休講 第 4 回 5 /20 無次元数と次元解析 第 5 回 5 /27 反応装置の設計 (1) 第 6 回 6 / 3 反応装置の設計 (2) 第 7 回 6 / 10 反応装置の設計 (3) 第 8 回 6 / 17 伝熱装置の設計 (1) 第 9 回 6 / 24 伝熱装置の設計 (2) 第 10 回 7 / 1 蒸留装置の設計 (1)
装置工学概論 3 第 11 回 7 /8 蒸留装置の設計 (2) 第 12 回 7 /15 ( 祝 ) 蒸留装置の設計 (3) 第 13 回 7 /22 流動装置の設計 (1) 第 14 回 7 /29 流動装置の設計 (2) 第 15 回 8 / 5 達成度評価試験および解説
蒸留装置の設計 (3) 4 [5] 原料供給段での物質収支 供給される原料量 F のうち,qF が沸騰 ( 気 V L 液平衡 ) 状態の液量であり,(1-q)Fが蒸気量であるとする. F ( 1 q)f 濃縮部 V V (1 q) F L L qf qf 回収部 原料供給段における, 濃縮部 回収部の蒸 気組成, 液組成は等しくなる. V L
蒸留装置の設計 (3) 5 [5] 原料供給段での物質収支 濃縮部の操作線 y 回収部の操作線 R 1 R x 1 1 R x D y L V W x V x W F V ( 1 q)f qf L 濃縮部 回収部 2 つの操作線を連立して解くと, V L y( V V ) ( L ( L L ) x L ) x ( Dx Fx F D Wx W )
蒸留装置の設計 (3) 6 [5] 原料供給段での物質収支 q q- 線 q xf y x 1 q 1- q 1のとき, 傾きが xf 1- q x xf のとき, y x F q 線は,x-y 線図の対角線と原料組成 x F で交わる 気液平衡関係 (x-y 線図 ) q- 線 q = 1 D y 沸騰液 ( 液相のみ ) で供給される. 回収部の操作線 濃縮部の操作線 q- 線は垂直線となり, 垂直線上で濃縮部 回収部の操作線が交わる. W x W x F x x D
蒸留装置の設計 (3) 7 [6] 蒸留塔の設計 気液平衡線図 (x-y 線図 ) 濃縮部の操作線 回収部の操作線 q- 線 還流比 L R D L 理論段数 理論段数 最小還流比
蒸留装置の設計 (3) 8 理論段数塔内の各段が理論段として, 所定の分離を行うに要する段数 凝縮液 y2 還流比 L R D L x 2 y 3 理論段数 x 3 蒸気
蒸留装置の設計 (3) 9 1 気液平衡データより,x-y 線図を作図する. 2 留出液組成 x D に対する対角線上の点 D と縦軸上の点 x D /(R+ 1) を結 ぶ直線より, 濃縮部操作線を引く. xf 1- q 3 対角線上の供給組成 x F の点 q 1 q D F から, 傾きが -q/(1-q) の直線を 引き, 濃縮部操作線との交点を 点 Q とする.y 軸上に x F /(1-q) の Q F 点をとり, それと点 F を結んでも よい. xd R 1 W xw xf x D
蒸留装置の設計 (3) 10 4 対角線上の缶出液組成 x W の点 W と点 Q を結び, 回収部操作線を引く. xf 1- q q 1 q D Q F xd R 1 W xw xf x D 沸点の液として供給される場合 q 1
蒸留装置の設計 (3) 11 5 図のように, 留出液組成点 D から, 缶出液組成点 W を過ぎるまでステップを作成していき, ステップ数をカウントする. 図より, ステップ数は 6 段である. リボイラーが 1 段とみなされるため, 理論段数は, 6 1 5 段 McCabe Thiele 法 y 2 y 1 x 2 x 1
蒸留装置の設計 (3) 12 還流比 小さくする = 濃縮部操作線の傾きが小さくなる y n 1 R x R 1 n 1 x R 1 D 濃縮線が気液平衡曲線と q 線との交点 (x C, y C ) を通る還流比 = 理論段数 N は無限大となる 最小還流比 R min x y D C y x C C 一般には, 最小還流比 R min の 2 ~3 倍程度が経済的であり, 操作に適用される.
蒸留装置の設計 (3) 13 演習 11-4 Benzene 40 mol%, Toluene 60 mol% の混合液を,100 kmol h -1 の流量で沸点の液として蒸留塔へ供給する. 留出液および缶出液の Benzene のモル分率を,0.90, 0.10 としたい. 還流比は 2.0 とする. 以下の値を求めよ. (1) 留出液量 D, 缶出液量 W (2) 理論段数
蒸留装置の設計 (3) 14 演習 11-4 Benzene + Toluene 系の気液平衡 T [ ] 110.6 105.7 101.8 98.3 95.2 92.4 89.8 87.3 85.0 82.6 80.1 x 1 0.0 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 y 1 0.0 0.208 0.372 0.507 0.619 0.713 0.791 0.857 0.912 0.959 1.00
蒸留装置の設計 (3) 15 演習 11-4 ( 解答 ) (1) 100 D W, 100 0.4 D 0.9 W 0.1 0.4 0.1 1 1 D 100 37.5 kmol h, F 0.9 0.1 100 37.5 62.5 kmol h (2) y R x R 1 2 x 2 1 1 xd R 1 1 0.90 2 1 0.667 x 0.30
蒸留装置の設計 (3) 16 演習 11-4 12%1 ( 解答 )# q% q = 1 D Q q% W y Q F W x
蒸留装置の設計 (3) 17 演習 11-4 12%1 ( 解答 )# Q # # D 10 1 9 y Q F W x
流動装置の設計 (1) 18 [1] 流動装置と流れ系 化学プロセスでは, 均一相, 気相, 液相, 固相の多相系が扱われる. 扱う流体 ( 気体, 液体 ) も高粘度液等, 多種多様な流体が扱われる. 流れ系を扱う流動装置 ( 流路, 輸送動力装置, 撹拌装置 ) も多岐にわたり, 流れ系として複雑になる. 流れ系の性質 を理解し, 流路, 輸送動力装置, 撹拌装置を設計
流動装置の設計 (1) 19 [2] 流れ系における損失 管路における摩擦係数 f は次式で定義される. t y 0 f r 2 v 2 Re < 2100, 層流 t 運動量流束 ( 剪断応力 ) v 速度の断面平均値 Re > 4000, 乱流 r 密度 Re Reynolds 数 Re rvl m rv 2 mv / l m l 粘度 流れ場を代表する長さ
流動装置の設計 (1) 20 [2] 流れ系における損失 Re Reynolds 数 rv 2 mv l 流れの慣性力 ( 運動量 ) 粘性せん断力 Reの値が同一であれば, 流れの力学的状態は同一. Reの値が十分に大きいことは, 慣性力 >> 粘性力となるため, 流れは乱流 (turbulent flow) となる. Reの値が小さい場合は, 層流 (laminar flow) となる.
流動装置の設計 (1) 21 [2] 流れ系における損失 円管流れの場合, 管壁面における運動量流束 ( せん断応力 ) は, t w D 4L Dp Dp p 1 p 2 p 1 p D 2 D 4L Dp f rv 2 2 L Dp 4 f rv 2 2 圧力損失 L D
流動装置の設計 (1) 22 1 管内流れの圧力損失 圧力損失を無次元数で表すには? u m d r 圧力損失 : 流体と固体との接触面における摩擦により, エネルギーが 失われる. この損失により, 圧力が低下する. r 流体の密度 [kg s -1 ] u 管内の平均速度 [m s -1 ] d 管内径 [m] m 流体の粘度 [Pa s ] Dp l 管単位長さ当たりの圧力損失 [Pa m -1 ] ([ kg m -2 s -2 ) 物理量の数 : 5 個 基本単位の数 : 3 個
流動装置の設計 (1) 23 1 管内流れの圧力損失 ddp ru 2 l k æ dur ö ç è m ø d u m d r f k 2 Re d 無次元数を用いて表すと, 管内の流れが層流の場合, Fanning の摩擦係数 f 1 2 ddp ru 2 l f 16 Re Reynolds 数 Re rud m
流動装置の設計 (1) 24 [3] 管路における損失 流体が広い空間から円管に流入する場合, 流入口から境界層が発達する. 距離 L B ( 助走区間 ) 流通した後, 境界層が中心軸に達する. L B : 助走区間 発達した流れ
流動装置の設計 (1) 25 [3] 管路における損失 管軸方向に対する圧力勾配は, Dp L dp dz const 管表面の剪断応力は, t w D 4L Dp r 2 Dp L 粘性に関する Newton の法則より, t w h dv dr
流動装置の設計 (1) 26 演習 12-1 管表面における剪断応力, 粘性に関するNewton 式を用いて, 速度分布を表す式を求めよ. また, 最大となる速度を求めよ.
流動装置の設計 (1) 27 演習 12-1 ( 解答 ) # t w D 4L Dp r Dp 2 L r Dp dv h 2 L dr dv dr Dp 2hL r, v Dp 2hL t w h dv dr ò r dr # v Dp 4hL r2 C
流動装置の設計 (1) 28 演習 12-1 ( 解答 ) v Dp 4hL r2 C r R, v 0 C Dp 4hL R2 Dp Dp v r R v Dp 4hL r2 Dp 4h L 4hL L R2 2 2 DpR2 2 4hL 1 # % r & 2 ), 1 R ( r.. D æ ö ç 4h L è R ø 2 r = 0 v max DpR2 4hL