傷病者の搬送及び受入れ に関する実施基準 平成 22 年 3 月策定平成 26 年 3 月改正平成 27 年 7 月改正平成 29 年 9 月改正

Similar documents
<4D F736F F D F9D95618ED282CC94C EF393FC82EA8EC08E7B8AEE8F C9F93A289EF95F18D908F B A97768E862E646F6378>

<4D F736F F F696E74202D E81798E9197BF33817A8FAC8E998B7E8B7D88E397C391CC90A782CC8CBB8FF32E >




Microsoft Word - 19 ‚¾Šz”©fi®”Ô.doc

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶

⑴ ⑵ ⑶


⑴ ⑵ ⑶ ⑷ 1


Microsoft Word - 02_21 衛星通信車調達仕様書

目次 1 目的 1 2 医療機関及び行政機関等との協力関係の確保 1 3 事業主体 1 (1) ドクターヘリ 1 (2) 防災消防ヘリ 1 4 定義 1 (1) ドクターヘリ基地病院 1 (2) 地域救急医療体制支援病院 1 (3) ヘリ救急搬送体制支援病院 2 (4) 出動区分 2 5 ドクターヘ

⑵ ⑶ ⑷ ⑸ ⑴ ⑵

07佐渡




-2 -

吹田市告示第  号

Microsoft Word - 1表紙

Microsoft Word - 都道府県向け報告書

⑴ ⑵ ⑶ ⑵

屋外広告物のしおり




untitled

一般会計負担の考え方

目次 1 東京都の救急搬送及び受入れ医療体制の概要 P1 2 救急隊による観察基準 P2 3 搬送先医療機関の分類及びリスト P4 4 搬送先医療機関選定基準 P4 5 救急隊から搬送先医療機関の医師への伝達基準 P4 6 受入医療機関確保基準 P4 7 消防機関が行う転院搬送の要請に関する基準 P

2 ( 178 9)

<4D F736F F D E9197BF32817A8AEE967B8D5C917A8A FC92E8817A2E646F63>

281


札幌市道路位置指定審査基準

山梨県地域医療再生計画 ( 峡南医療圏 : 救急 在宅医療に重点化 ) 現状 社保鰍沢病院 (158 床 ) 常勤医 9 名 実施後 社保鰍沢病院 峡南病院 (40 床 ) 3 名 市川三郷町立病院 (100 床 ) 7 名 峡南病院 救急の重点化 県下で最も過疎 高齢化が進行 飯富病院 (87 床

Microsoft PowerPoint - å½fi报説柔ㅂㅯㅼㅚ㇤ㅳㅋ.pptx


2

第3編 災害応急対策


⑴ ⑵ ⑶



1


2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

H I T A C H I 課題を解決する方策 高梁 新見及び真庭における課題を解決する方策 (1) 課題 : 圏域面積が県の 32% を占める広い圏域であるが 救命救急センターや周産期母子医療センターがなく 中小規模 の病院が救急医療を担っている また 救急搬送では 圏域外搬送の割

< F2D95CA8E86824F82502E6A7464>

Taro-【新旧】医療観察診療報酬告

薬剤師のための災害対策マニュアル

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

大規模災害対策マニュアル

<4D F736F F D208A6D92E894C E31322E31318E968BC68F8A90C E646F63>

最終.indd

Taro-03.【改正後全文】救急医療

水光No49 最終.indd

消防機関と医療機関の連携のあり方に関する答申 平成 21 年 2 月 9 日 消防審議会

PowerPoint プレゼンテーション

概要

平成 29 年中の救急出動件数等 ( 速報値 ) の公表 平成 30 年 3 月 14 日 消防庁 平成 29 年中の救急出動件数等の速報値を取りまとめましたので公表します U 救急出動件数 搬送人員とも過去最多 平成 29 年中の救急自動車による救急出動件数は 634 万 2,096 件 ( 対前

3 歯科医療 ( 救護 ) 対策 管内の歯科医療機関の所在地等のリスト整理 緊急連絡網整備 管内の災害拠点病院 救護病院等の緊急時連絡先の確認 歯科関連医薬品の整備 ( 含そう剤等 ) 自治会 住民への情報伝達方法の確認 病院及び歯科診療所での災害準備の周知広報 - 2 -

Microsoft Word - 退院後生活環境相談員

地域医療構想の概要 1 地域医療構想の位置づけ 平成 25 年 3 月に 医療法に基づき 本県の疾病対策及び医療提供体制の基本方針である第 6 期岐阜県保健医療計画を策定した 平成 27 年 4 月に施行された改正医療法に基づき 保健医療計画の一部として 将来 (2025 年 ) あるべき医療提供体

1 情報通信基盤の整備

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

(2) 傷病分類別ア入院患者入院患者を傷病分類別にみると 多い順に Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 千人となっている 病院では Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 147.

ウツタイン様式を活用した救命効果の検証

認知症医療従事者等向け研修事業要領

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

表紙@C

Microsoft PowerPoint 指標の定義[version1.4_1].ppt [互換モード]

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

広島県救急医療情報ネットワークシステム


医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

平成 30 年度救急業務のあり方に関する検討会報告書の概要 消防庁救急企画室 はじめに 消防庁救急企画室では 高齢化を背景として救急需要が増大する中 救急車の適正利用の推進や救急業務の円滑な実施と質の向上等 救急業務を安定的かつ持続的に提供し救命率の向上を図ることを目的に 平成 30 年度救急業務の

脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能

PowerPoint プレゼンテーション

P01-16

untitled


2

2

Microsoft Word 資料1「救急搬送実施基準」の見直しの方向性について

緊急臨時的医師派遣事業について 派遣元医療機関 ( 登録医師 ) 派遣先医療機関募集 会員 各位 会長長瀬清 本道では医師不足 偏在の影響により地域医療が崩壊寸前であり 住民は大きな不安を感じ 現実に他地域での受療 あるいは転院等を余儀なくされている地域も出現し 非常に憂慮しております 当会では 北

【1

< C815B984196BF8E968BC68E9E8DD08A AD90B691CE8DF4837D836A B88C42E786C73>


<4D F736F F D E342E31934B E397C392F18B9F91CC90A782CC8A6D95DB82C98AD682B782E98AEE967B95FB906A2E646F6378>

医療機能分化連携推進事業 1 対象事業者 病床を有する医療機関 2 支援対象 既存病床を回復期病床に転換する際に必要となる施設 設備整備費 設備整備 H27~ 継続対象リハビリを行うための治療機器や訓練機器等の導入経費 物理療法を実施するための 超音波治療器や温浴療法用装置の導入事業例 運動療法を実

第2編 旅客営業 第4章 乗車券類の効力

Microsoft PowerPoint - y519-中国四国地方会A5

救急医療 ガイドブック 長岡市 小千谷市 見附市 出雲崎町

平成18年度九州歯科大学附属病院 歯科医師臨床研修プログラム

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

Transcription:

傷病者の搬送及び受入れ に関する実施基準 平成 22 年 3 月策定平成 26 年 3 月改正平成 27 年 7 月改正平成 29 年 9 月改正

目次 1 東京都の救急搬送及び受入れ医療体制の概要 P1 2 救急隊による観察基準 P2 3 搬送先医療機関の分類及びリスト P4 4 搬送先医療機関選定基準 P4 5 救急隊から搬送先医療機関の医師への伝達基準 P4 6 受入医療機関確保基準 P4 7 消防機関が行う転院搬送の要請に関する基準 P6 別記 1 観察カード別記 2 搬送先医療機関分類 リスト及び選定基準別記 3 消防機関が行う転院搬送の要請に関する要領

1 東京都の救急搬送及び受入れ医療体制の概要 東京都における救急搬送は 一部の島しょ地域を除き 消防機関 ( 救急隊 ) が担っており 受入れ医療体制は 保健医療計画に基づく救急医療体制の整備を通じて確保されています 救急搬送に当たり 救急隊は 傷病者の状態を観察し 重症度 緊急度等を評価するとともに 適切な医療の提供が行われるよう分類 ( 体系化 ) された医療機関リストの中から 搬送先医療機関を選定します 一方 傷病者を受け入れる救急医療体制は 必要な医療の程度により 大きく次の3 種に区分されています 初期救急医療入院治療を必要としない救急患者に対する医療初期救急医療体制は各区市町村で整備しており 休日夜間急患センター 小児初期救急センターの設置のほか 在宅医当番制を採用することもあります ただし 耳鼻咽喉科及び眼科については 東京都が広域的に確保しています 二次救急医療救急患者に対し 初期診療を行い 必要に応じて入院治療を行う医療救急搬送される患者の医療は主に二次救急医療で これを担う医療機関は 救急 ( 告示 ) 医療機関 ( 救急病院 救急診療所 ) として知事が認定 告示しています また 365 日 24 時間救急入院が可能な病床を確保する 休日 全夜間診療事業 を実施し 救急 ( 告示 ) 医療機関のうち一定の条件を満たす医療機関を 東京都指定二次救急医療機関 として指定しています 三次救急医療生命危機が切迫している重篤な救急患者に対する高度な総合的医療三次救急医療を担当する施設として 救命救急センターが整備されています さらに 広範囲熱傷 指肢切断 急性中毒等の特殊疾病患者を受け入れる高度救命救急センターが整備されています ( 注 ) 初期及び二次救急患者を担当する救急診療科と救命救急センターが総合的に診療を提供する ER 型の救急診療体制をとる医療機関もあります 1

東京都の救急搬送及び受入れ医療体制の概要 救急搬送体制 救急隊による救急活動 救急搬送の受入れ医療体制 緊急性 専門性 特殊性に応じた医療の提供 観察 主訴 症状 バイタルサイン等の確認 重症度 緊急度の判断 医療機関の選定と連絡 必要とされる医療の専門性 特殊性等の判断 分類されたリストから 適応医療機関を選定 搬送先医療機関に 傷病者情報等を伝達 救 急 ( 告 示 ) 医 療 機 関 等 救命救急センター ( 三次救急医療機関 ) 休日 全夜間診療事業 ( 東京都指定二次救急医療機関 ) [ 特殊診療等 ] 心臓循環器救急医療機関 周産期母子医療センター 脳卒中急性期医療機関 熱傷救急医療機関 結核緊急医療機関 精神科救急医療機関 2 救急隊による観察基準 救急隊による観察は 傷病者の周囲の状況 救急事故の形態 傷病者の全身状態等を把握し 救急処置や救急搬送の判断に役立てるために行うもので 傷病者を医師に引き継ぐまでの間 継続して行います 救急隊が行う観察基準は 医学的観点から東京都メディカルコントロール協議会 ( 東京都の附属機関 ) の監修を受けており 以下の 観察カード ( 別記 1) を活用します ⑴ 観察カード種別ア疾病観察カードイ外傷観察カードウ乳幼児観察カードエ中毒観察カードオ熱傷観察カード ⑵ 観察カードの活用目的ア傷病者の状態の把握イ傷病者の重症度 緊急度の判断 2

ウ搬送先医療機関の選定 ⑶ 観察カードの活用要領ア搬送中も観察カードを活用し 症状等の変化を経時的に捉えます イ傷病者を医師に引き継ぐ際 観察カードに基づき傷病者の状態の変化等を申し送ります ⑷ その他ア全身状態の悪化を示す場合又は気道の確保が困難な場合は 重症以上と判断します イ緊急度は 重症度を時間的に規定して捉え 総合的に判断します ウ脳卒中疑いの有無の判断においては 観察カードを活用するとともに 以下の項目の評価を行います 顔面のゆがみ ( 歯を見せる 又は笑ってもらう ) 異常 - 片側が他側のように動かない ( 顔のゆがみがある ) バレー徴候 ( 閉眼させ 手掌を上方に向け10 秒間上肢を挙上させる ) 異常 - 一側が上がらない 又は上がり方に差がある 言語障害 ( 傷病者に話をさせる ) 異常 - 不明瞭な言葉 間違った言葉又は全く話すことができない 突然発症の激しい頭痛 突然発症の意識障害 [ 顔面のゆがみ ] [ バレー徴候 ] 資料 脳卒中病院前救護の骨子 ( 脳卒中病院前救護ガイドライン検討委員会 ) 3

3 搬送先医療機関の分類及びリスト ( 別記 2) 救急隊が救急搬送する医療機関は 原則として 救急 ( 告示 ) 医療機関です その他 特殊な疾患等に対応した救急医療体制も整備されており 多様な傷病者を受け入れる体制が確保されています 4 搬送先医療機関選定基準 ( 別記 2) 救急隊は 傷病者の搬送に当たっては 観察結果を踏まえ 症状に適応した医療を速やかに受けることができる最も近い医療機関を選定します ただし 現場の状況に応じ 傷病者又は家族等から依頼された医療機関を選定する場合もあります また 必要に応じ 救急隊指導医等の助言を受けます 5 救急隊から搬送先医療機関の医師への伝達基準 救急隊は 搬送予定の医療機関の医師に対し 以下の傷病者情報等を円滑かつ確実に伝達します ⑴ 傷病者の年齢 性別 ⑵ 現場到着時の状況及び受傷機転 ⑶ 傷病者の主訴 ⑷ バイタルサイン等の観察結果 ( 経過 ) ⑸ 救急処置の内容 ⑹ 既往症 服薬内容等 参考になると思われる事項 ⑺ 医療機関到着までの所要時間 ⑻ その他必要と思われる事項 6 受入医療機関確保基準 救急隊からの受入要請があった医療機関は 重症以上と伝達された場合には可能な 4

限り迅速に また 中等症以下の場合であっても 3 分以内を目標に受入可否を回答するよう努めるものとします また 東京都では 二次医療機関の選定が困難な事案を対象とし 救急患者を迅速に医師の管理下に置くための取組を実施しています この取組では 地域の救急医療機関が相互に協力 連携して救急患者を受け入れることを目指し 地域で救急患者の受入れ調整等を担う 地域救急医療センター を指定するとともに これをバックアップするため 都内全域での調整を行う 救急患者受入コーディネーター を配置しています 受入医療機関確保基準 ( 救急医療の東京ルール Ⅰ) 5 か所の医療機関に受入要請を行ったにもかかわらず受入医療機関が決まらない場合 ( 又は連絡開始から概ね 20 分以上が経過した場合 ) 救急隊は 地域救急医療センター に調整を依頼します 受入要請 すべて受入れ不可 1 地域救急医療センターによる調整 調整依頼 (A 地域 ) 受入要請 A 地域救急医療センター 地域救急医療センターは 地域内の救急医療機関に受入要請を行うほか 自院での受入れにも努める 2 救急患者受入コーディネーターによる調整 地域救急医療センターが地域内で調整を行っても 受入医療機関が決まらない場合は 救急患者受入コーディネーター が 他地域の地域救急医療センターに調整を依頼するなど 東京都全体で救急患者の受入れを図ります 調整依頼 調整依頼 (B 地域 ) 受入要請 A 地域救急医療センター コーテ ィネーター B 地域救急医療センター 一時受入れ 転送 受入医療機関が迅速に決まらない場合は 一時受入医療機関が応急的な医療を提供し 専門的治療は 必要に応じて転送先医療機関で実施します 受入要請 転送 応急的な医療 専門的治療 5

7 消防機関が行う転院搬送の要請に関する基準 医療機関から他の医療機関へ傷病者を搬送する場合 転院搬送を要請する医療機関は 消防機関が行う転院搬送の要請に関する要領 ( 別記 3) に基づき救急車の要請を行います 6