総合科学の基礎 C 哲学思想の基礎 2019/07/12 バークリの観念論
マークシートの記入要領 10 ケタの学生番号を記入 名前今日の日付哲学 10 ケタの学生番号を鉛筆でマーク ここに注意! 小テストなどに使います
全体的な構成 ( 予定 ) はじめに 1) 哲学とは何か存在論 2) 存在の何が問題か 3) イデア論 4) カテゴリー論 5) 質料形相論神学 6) キリスト教と哲学 7) アリストテレスの神学 8) トマス アクィナスの神学 9) 神と人との逆転認識論 10) デカルトの心身二元論 11) マルブランシュの解決 12) バークリの解決 13) 感情の大逆転おわりに 14) 知識の体系 15) 全体のまとめ
前回の要点 : マルブランシュによる心身二元論の解決 心身二元論 心 と 身体 物体 は別の実体 (substance) だとすると なぜ心身は相互作用するのか? マルブランシュの解決 論理的に説明できないが 事実として成り立っている規則的な関係が自然法則である 自然法則は 神が定めた 自然界の法律 である
前回の小テストの解答
問 1 70% 次の文の中で正しいのはどれか 1 デカルトは 神の名を 私はある だとした 2 アリストテレスは 絶対確実なものは何もない と言った 3 デカルト以降 経験主義哲学では 物の種類は人間が分類するのだとした 4 デカルトが登場した時代 神が世界を創造した という前提はキリスト教を信仰している地域でしか通用しないことが知られてきた
問 2 48% 次の文の中で正しいのはどれか 1 旧約聖書には 神の名として 私は存在するものだ と記されている 2 デカルトは 神は人間が作り出したフィクションだと主張した 3 アリストテレスは ウーシアー は個物であって 形ではないと主張した 4 デカルトは アリストテレスの言う substance ( ウーシアー ) には 心 という意味と 物 という二つの意味があると主張した
問 3 89% 次の文の中で正しいのはどれか 1 アメリカでは 60% の人が 神は存在する と考えている 2 日本では 神が存在する 存在しない わからない と答えた人がほぼ同率である 3 ベトナムでは 95% の人が 神は存在する と回答した 4 奈良康明氏の見解では 多くの日本人は無神論者である
問 4 67% 次の文の中で正しいのはどれか 1 デカルトは 動物も人間ほどではないが考える力があると考えた 2 ガッサンディは 動物は心を持たない機械だと考えた 3 マルブランシュは 動物は心を持たない機械だと考えた 4 デカルトは 尻尾を振って駆け寄ってきた雌犬をキックした
問 5 91% 心身二元論の何が問題となったか 1 心と身体 物体がどうして相互作用できるのか 2 神はどうしてわざわざ心と身体を別に創造したのか 3 自由意志が身体からどうして生じるのか 4 心はどこにあるのか
学生のコメント
Manaba のタイムアップ 提出確認ボタンを押したら ページを表示できません と言われて 文章が全部消えてしまってやる気をなくした 以前にも同様のコメントがありました その時も言ったことですが Word などに下書きしてから それを貼ればよいのではないですか この宿題に限らず なんでも下書きして読み直し 書き直すことが大切です 考える = 調べ 知り 書き 書き直すことの繰り返し
やはり 神 に納得できない マルブランシュは基本的に神がこの世界を動かしていると考えている 何かが起きるたびに神のせいにしている マルブランシュの思想は あまりにも論理的とは離れている マルブランシュの神は 論理的に関係ないはずなのに 現実として存在している規則的な関係 をつなぐものとして想定されています つまり 限りなく 自然法則 に近いものです 何か起きるたびに 自然法則 が働いている というのも奇妙に感じますか?
神でなく物質が動く能力を持っている 石川光一は デカルト哲学の変貌ーマールブランシュからメリエへー の中で メリエにおいて 物質は単に運動の受容能力を備えているだけでなく 結局は自ら運動する能力をも備えることになるのである と述べている 物体が自ら運動する能力と運動を受容する能力を持つのであれば そこに 神 が介在する必要性はない ちゃんと論文を参照しているのは大変結構 神とは 論理的に関係ないものを 現実として結んでいるもの のことなので 物体が自ら運動する能力と運動を受容する能力を備えている と言うならば
身体が勝手に動く場合 心が思うと 身体が動くのはなぜか? という問題について 心では思っていて身体が動かないとき 心で思っていなくても動くときもある 心が思わなくても身体が勝手に動くのは 物体間の因果関係によるものです その因果関係も 自然法則に支配されています つまり 神が支配しています マルブランシュは 心身関係だけでなく この世界に 必然的な因果関係 が存在することの理由を考えた
マルブランシュの世界観
神は忙しすぎる マルブランシュの世界観 の図を見たとき不思議だったのは いくら何でも神に頼りすぎているのではないかということだ ライプニッツが まったく同じ批判をしています ライプニッツの解決は 予定調和説 というものでした 今日の宿題として 予定調和説 について調べてみよう 調べて理解したうえで 自分の言葉で書くように
動物機械論の系譜 デカルトは 動物とは心を持たない機械であると考えた その後の 19 世紀の生物学でも動物は機械であると考えられている 実は デカルトの動物機械論と 19 世紀以降の生物学は 直接つながっていない あいだに 生気論 :vitalism という思想がはさまる 生命現象には それ独特の自然法則がある という思想 動物が単なる機械なら 生物学 は要らない 生物をあえて対象とするということは 生物は通常の物体とは異なるものだ とみているということ 詳しくは 山口裕之 ひとは生命をどのように理解してきたか 講談社 2014 年を参照
今日の話 バークリによる解決
マルブランシュによる心身問題の解決 すべての因果関係において神が働いている ちょっと非常識なんじゃ バークリは 常識的 な解決を思いついた 私の心は実在するが 物体は実在しない Esse est percipi. = To be is to be perceived. こっちの方が非常識なんじゃ 要するに われわれが物の存在などを知るのは感覚をつうじてでしかない ということ
視覚新論 どうして視覚によって距離や大きさが知覚できるのか? ロックの 人間知性論 が提起した謎 バークリの解答 距離や形は 本来は触覚が与える観念 視覚に現れた対象を 触ったり押したりすることで 視覚の感覚と触覚の感覚が連合する 視覚の感覚は 心が作ったもので 物体そのものではない = 半分の 非物質論
人知原理論 触覚の感覚も 感覚なのだから心の中にしかない みんなにバカにされる しかし 以後の哲学では 心に現れた感覚 ( 現象 ) をもとにして 物体や自然法則などの観念がいかにして形成されるのかを考察するようになる
今日の小テスト
問 1 次の文の中で正しいのはどれか 1 アリストテレスは ウーシアー は個物であって 形ではないと主張した 2 デカルトは 神は人間が作り出したフィクションだと主張した 3 デカルトは アリストテレスの言う substance ( ウーシアー ) には 心 という意味と 物 という二つの意味があると主張した 4 旧約聖書には 神の名として 私は存在するものだ と記されている
問 2 次の文の中で正しいのはどれか 1 デカルトは 尻尾を振って駆け寄ってきた雌犬をキックした 2 デカルトは 動物も人間ほどではないが考える力があると考えた 3 ガッサンディは 動物は心を持たない機械だと考えた 4 マルブランシュは 動物は心を持たない機械だと考えた
問 3 物体は F=ma という法則に従って運動することを マルブランシュが説明すると 1 神が法則に従う仕方で物体を動かしている 2 神が法則を作り 物体がそれに従う 3 物体そのものが自ら運動する能力を備えている 4 現象を観察した人間が作り出した法則である
問 4 ライプニッツは マルブランシュをどのように批判したか 1 あなたの神は忙しすぎる 2 あなたの神はありがたくない 3 あなたは無神論だ 4 あなたの神は自然法則だ
問 5 生命現象には独特の自然法則がある という思想を何というか 1 Atomism 2 Animism 3 Psychologism 4 Vitalism
問 6 バークリは 視覚新論 でどのようなことを主張したか 1 視覚は直接的に距離や大きさを知覚させる 2 視覚における感覚は 物そのものの性質を捉えている 3 視覚における感覚は 人間の心の中にしかない 4 視覚は他の感覚と関係がない
問 7 バークリは 人知原理論 でどのようなことを主張したか 1 触覚と視覚が連合することで距離が知覚できる 2 触覚の感覚も 人間の心の中にしかない 3 感覚は物体の存在をもとに推定されたものである 4 触覚だけは距離や大きさを知覚させてくれる
今日の宿題 ライプニッツの 予定調和説 がどのような説か よく調べて理解したうえで 自分の言葉で説明する 調べた情報源を明記する 書くにあたって 自分で意味を説明できない言葉は使わない 情報源の文章や表現をそのまま使わない 情報源に書いてあることを理解したうえで 情報源を見ないで書いてみる 書き終わった後で 情報源と読み比べてみて まちがっていないか確認する