日本内科学会雑誌第104巻第10号

Similar documents
33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について


10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

希少・難治性疾患登録データベース

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

Microsoft Word - 6神経内科_H 修正_

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

症例_佐藤先生.indd

Part 1 症状が強すぎて所見が取れないめまいをどうするか? 頭部 CT は中枢性めまいの検査に役立つか? 1 めまい診療が難しい理由は? MRI 感度は 50% 未満, さらには診断学が使えないから 3

日本内科学会雑誌第98巻第12号

重篤副作用疾患別マニュアル

untitled

Ⅰ 多発性硬化症とは (Multiple Sclerosis: MS) 多発性硬化症は 中枢神経 ( 脳 脊髄 視神経 ) の脱髄疾患 の一つで 多様 な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患です 原因の詳細は分かっていませんが 異物から身を守る免疫細胞が自分の神経組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の可能


基本料金明細 金額 基本利用料 ( 利用者負担金 ) 訪問看護基本療養費 (Ⅰ) 週 3 日まで (1 日 1 回につき ) 週 4 日目以降緩和 褥瘡ケアの専門看護師 ( 同一日に共同の訪問看護 ) 1 割負担 2 割負担 3 割負担 5, ,110 1,665 6,

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

末梢神経障害

Ø Ø Ø

神経

免疫学的検査 >> 5A. 免疫グロブリン >> 5A150. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 フ プレイン 髄液 2 ml G 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( オレンジ ) 血液 4 ml 検体ラベル

2009年8月17日

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63>

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

がん登録実務について

臨床調査個人票 新規 更新 IgG4 関連疾患 (IgG4 関連疾患包括 ) 行政記載欄 受給者番号判定結果 認定 不認定 基本情報 姓 ( かな ) 名 ( かな ) 姓 ( 漢字 ) 名 ( 漢字 ) 郵便番号 住所 生年月日西暦年月日 * 以降 数字は右詰めで 記入 性別 1. 男

saisyuu2-1

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

医師のためのTUE申請ガイドブック2013_本文.indd

日本内科学会雑誌第101巻第11号

盗血症候群について ~鎖骨下動脈狭窄症,閉塞症~


リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ


95_財団ニュース.indd

2018 年 10 月 4 日放送 第 47 回日本皮膚アレルギー 接触皮膚炎学会 / 第 41 回皮膚脈管 膠原病研究会シンポジウム2-6 蕁麻疹の病態と新規治療法 ~ 抗 IgE 抗体療法 ~ 島根大学皮膚科 講師 千貫祐子 はじめに蕁麻疹は膨疹 つまり紅斑を伴う一過性 限局性の浮腫が病的に出没

2 4 診断推論講座 各論 腹痛 1 腹痛の主な原因 表 1 症例 70 2 numeric rating scale NRS mmHg X 2 重篤な血管性疾患 表

頭頚部がん1部[ ].indd

Microsoft PowerPoint - 【参考資料4】安全性に関する論文Ver.6

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

スライド 1

現況解析2 [081027].indd

認識できない外来性の抗原 ( 食物 薬剤 吸入性抗原 ) の体内への持続的侵入によるもの 2 生体内に何らかの異常があるにもかかわらず蕁麻疹との因果関係を認識し得ないもの ( 病巣感染 消化管障害 抗 IgE レセプター抗体の出現など ) 3 全身性疾患の部分症として蕁麻疹が出現している場合 (SL

臨床調査個人票 新規 更新 026 HTLV-1 関連脊髄症 行政記載欄 受給者番号判定結果 認定 不認定 基本情報 姓 ( かな ) 名 ( かな ) 姓 ( 漢字 ) 名 ( 漢字 ) 郵便番号 住所 生年月日西暦年月日 * 以降 数字は右詰めで記入 性別 1. 男 2. 女 出生市区町村 出生

IgG4 関連疾患 IgG4 関連疾患診断基準 IgG4 関連疾患 厚生労働省 IgG4 関連疾患に関する調査研究 班 ポケットブック版にてご覧いただけます. お問い合わせフォーム IgG4 関連疾患の診断は基本的には,

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

2

PowerPoint プレゼンテーション

知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

学位論文名 :Relationship between cortex and pulvinar abnormalities on diffusion-weighted imaging in status epilepticus ( てんかん重積における MRI 拡散強調画像の高信号 - 大脳皮質と視

研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法 の有効性 安全性等について 肝炎治療戦略会議報告書平成 23 年 11 月 28 日

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

日本のプリオン病の現状 サーベイランス調査から 図2 図3 MM2視床型の特徴 拡散強調MRIで高信号は出現せず SPECTで視床の血流低下を認める 現在認められている遺伝性プリオン病の原因遺伝 子変異 図4 ヨーロッパと日本の遺伝性プリオン病の原因遺伝 子変異よりみたタイプの違い 典型よりも進行は

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

情報提供の例

医療連携ガイドライン改

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

総合診療

P01-16

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

目次 1. 地域医療連携パスとは 肝疾患医療連携パスの運用方法について... 3 (1) 特長 (2) 目的 (3) 対象症例 (4) 紹介基準 (5) 肝疾患医療連携パスの種類 (6) 運用 3. 肝疾患医療連携パス... 7 (1) 肝疾患診断医療連携パス ( 医療者用 : 様式

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

ROCKY NOTE 食物アレルギー ( ) 症例目を追加記載 食物アレルギー関連の 2 例をもとに考察 1 例目 30 代男性 アレルギーについて調べてほしいというこ

針刺し切創発生時の対応

外科学

「             」  説明および同意書

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背


DRAFT#9 2011

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

臨床No208-cs4作成_.indd

TTP 治療ガイド ( 第二版 ) 作成厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班 ( 主任研究者村田満 ) 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura:ttp) は 緊急に治療を必要とする致死的疾患である

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>


幻覚が特徴的であるが 統合失調症と異なる点として 年齢 幻覚がある程度理解可能 幻覚に対して淡々としている等の点が挙げられる 幻視について 自ら話さないこともある ときにパーキンソン様の症状を認めるが tremor がはっきりせず 手首 肘などの固縮が目立つこともある 抑うつ症状を 3~4 割くらい

臨床神経学雑誌第48巻第1号

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

untitled

医療関係者 Version 2.0 多発性内分泌腫瘍症 2 型と RET 遺伝子 Ⅰ. 臨床病変 エムイーエヌ 多発性内分泌腫瘍症 2 型 (multiple endocrine neoplasia type 2 : MEN2) は甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 副甲状腺機能亢進症を発生する常染色体優性遺

第 2 再審査請求の理由 第 3 原処分庁の意見 第 4 争 点 本件の争点は 請求人に残存する障害が障害等級第 14 級を超える障害等級に該当する障害であると認められるか否かにある 第 5 審査資料 第 6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 2 当審査会の判断 (1) 請求代理人は 本

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

14栄養・食事アセスメント(2)

Microsoft PowerPoint - ★総合判定基準JABTS 25ver2ppt.ppt

<955C8E862E657073>

72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

Transcription:

大脳深部白質病変を伴った CLIPPERS 症候群が疑われた 1 例 川辺美穂 前川理沙 土屋一洋 2) 日出山拓人 椎尾康 要旨 症例は19 歳, 男性. 聴力障害, 左下肢失調および両下肢痙縮による歩行障害で発症した. 頭部造影 MRIでは脳幹を中心に増強効果を伴う点状の異常信号域が散在性にみられた. ステロイドパルス療法の効果は乏しく,CLIP- PERS(chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids) 症候群を疑い, 経口ステロイド内服を開始したところ, 下肢痙縮 画像所見ともに改善を認めた. 特徴的な画像所見から本疾患を疑い, 他疾患を除外したうえで早期に治療を行うことが重要と考えられた. 日内会誌 104:2193~2200,2015 ポイント Key words Chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(clippers) 症候群は 2010 年に提唱された新しい疾患概念であり, 頭部造影 MRI で脳幹 小脳に salt and pepper 様の造影増強効果を伴う散在性点状病変を認めることが特徴である. 経口ステロイド内服により病勢コントロールが得られるため, 早期に診断し, 治療を行うことが重要である. 悪性リンパ腫などの鑑別が問題となることも多く, 症例によっては脳生検による組織診断を検討すべきである. CLIPPERS 症候群,MRI,salt and pepper はじめに の知見について概説する. Chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(clippers) 症候群は 2010 年にPittockらが提唱した新しい疾患概念であり, ステロイド治療反応性の中枢性炎症性疾患である. 頭部造影 MRIで脳幹 小脳に salt and pepper 様の病変を認めることが診断の重要な手がかりとなる. ここでは, 神経放射線学的にCLIPPERS 症候群と考えられた症例を提示し, 本疾患の特徴や最新 症例患者 :19 歳, 男性. 主訴 : 歩きづらい. 手足がしびれる. 現病歴 :11 月上旬に突然左耳が聞こえなくなった. 近医耳鼻科で突発性難聴と診断され, デキサメタゾンを9 日間内服したが, 聴力の改善は不十分であった.12 月上旬に歩行障害が出現し, 階段昇降ができなくなった. 両側大腿に異常感覚が出現した.12 月中旬より左 第 609 回関東地方会 (2014/10/1 推薦 受稿 2015/03/29, 採用 2015/05/01 東京逓信病院神経内科, 2) 同放射線科 Case Report;A case suspected of CLIPPERS syndrome with cerebral white matter lesions. Miho Kawabe, Risa Maekawa, Kazuhiro Tsuchiya 2), Takuto Hideyama and Yasushi Shiio : Department of Neurology, Tokyo Teishin Hospital, Japan and 2) Department of Radiology, Tokyo Teishin Hospital, Japan. 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号 2193

聴力障害に対してデキサメタゾン内服を再開した. 歩行障害も悪化し, 坂道を登ることができなくなり, 平地歩行も長時間できなくなった. 左上肢にも異常感覚が出現し, 当院を受診した. 頸髄 MRIで脳幹 脊髄に異常信号域を認め, 神経内科緊急入院となった. 既往歴 : 特記事項なし. 家族歴 生活歴 : 特記事項なし. 身体所見 : 身長 166 cm, 体重 53.7 kg, 体温 37.0, 脈拍 77/ 分, 整. 血圧 122/77 mmhg.spo2 97% ( 室内気 ). 心肺, 腹部に聴診上異常所見なし. 口腔内や皮膚に異常所見なく, 針反応は陰性であった. 神経学的には右眼の左下 1/4 盲, 左感音性難聴, 右下肢優位の錐体路障害 ( 両下肢痙縮 四肢腱反射亢進 病的反射陽性 ), 両下肢深部覚低下, 両下肢および左上肢の異常感覚, 左下肢協調運動障害を認めた. 一口メモ 脳神経障害や小脳失調はCLIPPERS 症候群で高頻度にみられる所見である. 内服薬 : デキサメタゾン1.5 mg/ 日, アデノシン三リン酸二ナトリウム300 mg/ 日, イソソルビド 42 g/ 日, メコバラミン 1,500 μg/ 日, レバミピド300 mg/ 日. 血液検査所見 : 赤血球 492 万 /μl,hb 15.6 g/dl, 白血球 6,800/μl, 血小板 24.0 万 /μl,crp 0.03 mg/dl,ace 7.5 U/l,IgE 158 mg/dl. 抗核抗体 MPO-ANCA PR3-ANCA 抗 SS-A 抗体 抗 SS-B 抗体 抗 AQP4 抗体は陰性. HLAタイピングはA24 * 26,B62 * 39であった. 髄液検査所見 : 細胞数 9 個 /mm 3 ( 多核 1 個 /mm 3, 単核 8 個 /mm 3 ), 糖 53 mg/dl( 同時血糖 89 mg/ dl), 蛋白 47 mg/dl,igg 3.5 mg/dl(igg index 0.46). オリゴクローナルバンドは陰性であった. 入院時頭部造影 MRI( 図 1および図 2A): 大脳深部白質, 皮質下白質および小脳半球に卵円型のT2 延長域 (FLAIR 像で高信号 ) を複数認めた. 脳幹部にも点状散在性のT2 延長域を認めた. これらの病変の一部では造影 T1 強調像で増強効果を認めた. 一口メモ 橋を中心として脳幹から小脳にかけて salt and pepper 様 の造影増強効果を伴う病変を認めることが特徴である. 入院時脊髄造影 MRI( 図 3): 頸髄ではC2~3 椎体レベルの脊髄はやや腫大しており,T2 強調像で内部に高信号域を認めた. 胸髄においても Th4~5 椎体レベルおよびTh7 椎体レベルで内部に高信号域を認めた ( 矢印 ). 電気生理学的検査 : オージオメトリー ( 四分法 ) では左 33.8 db, 右 10.0 dbと左感音性難聴を認めた. 感覚誘発電位検査では両下肢の中枢感覚伝導時間 (P38-N20) は左 16.2 msec, 右 18.0 msecと正常上限程度であった. 経頭蓋磁気刺激法では中枢運動神経伝導時間 (central motor conduction time:cmct) は上肢で左 10.7 msec, 右 7.2 msec と左側で延長しており, 下肢では皮質刺激で導出不能であり錐体路障害が示唆された. 視覚誘発電位ではP100 潜時は左 120 msec, 右 130 msecと延長を認めた. 聴性脳幹反応はI~V 波まで潜時の延長なく正常であった. 臨床経過大脳および脊髄に多発する造影増強効果を伴う病変を認めることから, 入院時は多発性硬化症, 視神経脊髄炎, 急性散在性脳脊髄炎などの脱髄疾患を疑ったが, 脳幹部に多数の小病変が存在し, 大脳病変が少数である点は, これらの疾患としては非典型的であった. 聴力障害および視野障害といった臨床症状からはSusac 症候群の可能性も考えたが, 眼底検査では網膜動脈閉塞を示唆する所見はなく, 頭部 MRIでは脳梁病変はごく少数であり髄軟膜の造影増強効果を認めず否定的であった. 脳幹部の病変が目立つため神経 Behçet 病の可能性を考えたが, 一般身体所見ではBehçet 病を示唆する所見はなく, HLA B51は陰性であった. これらの疾患が否定的であり, 脳幹 小脳の病変がsalt and pepper 2194 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号

A B C D 図 1 入院時頭部造影 MRI A:FLAIR 画像,B:Gd 造影 T1 強調像,C: 脳幹部 FLAIR 画像,D: 脳幹部 Gd 造影 T1 強調像 様であることから,CLIPPERS 症候群の可能性が考えられた. 入院第 1 日目よりステロイドパルス療法 (mpsl 1,000 mg/ 日,3 日間 ) を 3 コース施行した. 四肢の異常感覚は消失し, 視野障害も一部改善したが, 下肢の痙縮および失調は改善が乏しかった. 頭部 脊髄 MRI 画像上も脳幹 小脳の増強効果がわずかに改善したのみでほぼ不変であったため, ステロイドパルス療法をさらに 2コース施行した. 痙性歩行はやや改善し, 階段昇降も可能となったが, 痙縮は残存しており, バクロフェン10 mg/ 日の内服を開始し, 入院第 46 日目に自宅退院した. ステロイド内服による後療法の必要性につい ては外来で症状の推移を観察して検討する方針としていたが, 退院から約 2 週間後より下肢痙縮が左優位に緩徐に悪化し, 退院から39 日後に当科再入院となった. 入院時神経学的には下肢痙縮の悪化に加え, 新たに軽度の右顔面神経麻痺も認められた. 頭部造影 MRIでは脳幹 小脳優位に病変の増加 増大傾向を認めた ( 図 2B). 前回入院時のステロイドパルス施行後から短期間での再発であり,CLIPPERS 症候群の可能性が高いと考えられた. 悪性リンパ腫や神経膠腫などの悪性腫瘍の可能性も否定できなかったが, 活動性の高い病変は脳幹 小脳に限局しており, 適切な生検部位がなく脳生検は施行しなかった. 入院第 1 日目よりステロイドパルスを 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号 2195

A 第 1 回入院時 B 第 2 回入院時 C 第 2 回退院前 図 2 橋中部 小脳の造影 MRI 所見の推移上段 :FLAIR 画像, 下段 :Gd 造影 T1 強調像 図 3 入院時脊髄造影 MRI( 脂肪抑制 T2 強調像 ) 3コース施行のうえ,PSL 50 mg/ 日の内服を開始した. 顔面神経麻痺は消失し, 両下肢痙縮も明らかに改善した. 入院第 63 日目の頭部造影 MRIでは脳幹 小脳の病変は消退傾向であった ( 図 2C).PSL 35 mg/ 日まで減量のうえ, 入院第 77 日目に退院した. 一口メモ 経口ステロイド内服への治療反応性は良好である. 2196 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号

表 考察 CLIPPERS 症候群と鑑別が必要な疾患 自己免疫疾患 脱髄疾患 腫瘍性疾患 血管好性の慢性感染症 神経 Behçet 病神経サルコイドーシス中枢神経限局性血管炎 Bickerstaff 型脳幹脳炎シェーグレン症候群多発性硬化症視神経脊髄炎急性散在性脳脊髄炎悪性リンパ腫神経膠腫リンパ腫様肉芽腫症 Langerhans 細胞組織球症結核神経梅毒 Whipple 病クリプトコッカス感染症 CLIPPERS 症候群は 2010 年にPittockらが提唱した新しい疾患概念であり, 橋を中心とした中枢神経の炎症性疾患である. 症状としては亜急性 進行性の失調および複視 顔面の感覚障害 聴力障害 構音障害などの脳神経障害を高頻度に認める. 脳幹が広範に障害されるため, 本症例のように四肢痙縮や深部感覚障害を認めることもある. 頭部造影 MRIでは, 橋から小脳にかけて salt and pepper 様 と表現される左右対称性に多発する点状病変を認めることが特 徴的である.Pittock らの8 例の報告では, いずれの症例も病変の主座は橋であり, 一部の症例では脊髄や基底核 脳梁まで病変が及んでいたものの本症例のように大脳深部白質に多発する非連続性の病変を認める症例はなかった. しかし, 最近では, 本症例のように大脳深部白質に 2~4) 病変を認める症例が少数ではあるが報告され, 多彩な画像所見を呈し得ることが明らかとなった. したがって, 鑑別すべき疾患は表のように多岐にわたる. 脳幹部の病変が目立つ点から神経 Behçet 病は特に重要な鑑別疾患である. 本症例のように大脳深部白質に病変を認める症例においては, 多発性硬化症および急性散在性 脳脊髄炎との鑑別も問題となりうる. また, 本症例では臨床所見からSusac 症候群の鑑別が必要であった.Susac 症候群では脳梁を中心に snowball lesions と表現される数 mmの T2 延長域が多発することが特徴的であり, 脳幹部に病変が及ぶ症例は14% 程度に過ぎないとされており 5), 本症例の病変の性状 分布からは否定的と考えた. CLIPPERS 症候群の病態機序は不明であるが, ステロイドへの反応性が良好であることから自己免疫的な機序の関与が想定されている. 一部の症例では血清 IgE 高値を示すことがあり, アレルギー反応によって血管周囲へのT 細胞浸潤が生じる可能性が示唆されている 6). 本症例では多発性硬化症との鑑別が問題となったが, 経過 10 年以上の再発寛解型多発性硬化症にCLIP- PERS 症候群が合併した症例も2 例報告されている 7,8). したがってCLIPPERS 症候群には様々な病態機序が関与していると考えられ, 独立した 1つの疾患概念というよりも, 多発性硬化症を含む複数の病態にオーバーラップし得る症候群であるとする見解もある 9). 治療としては経口ステロイド内服への反応性は良好であり, これはCLIPPERS 症候群と診断する根拠としても重要である. 一方でステロイドパルス療法への反応性は限定的であり, 治療後早期に再発を認めることが多い点も特徴的である. 本症例のように, 広範な病変を認める症例ではステロイド漸減中に症状の再燃を認める症 2) 例も多く, 免疫グロブリン療法,azathioprine 2) などの免疫抑制薬,rituximab 10) の併用が必要となることが多い. 本症例ではステロイドパルス終了後 2カ月以内に症状の再燃があり, 経口ステロイド内服で良好な病勢コントロールが得られ,CLIPPERS 症候群に合致する経過であった. 特徴的な画像所見から本症を疑い, 早期にステロイド内服を開始することが望ましいと考えられる. 確定診断には脳生検による病理組織診が重要 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号 2197

とされている. 血管周囲白質にCD3 陽性のT 細胞を主体とする著明なリンパ球浸潤を認めることが特徴であり, 脱髄病変や血管炎 肉芽腫 腫瘍性病変を認めないことから他疾患を除外する. 病変の主座が脳幹であり脳生検施行が困難であることが多いため, 臨床的に他疾患を除外したうえで特徴的な画像所見と臨床像から診断可能とする見解もある. しかし, 病変が左右非対称な症例や, 本症例のように病変が大脳までひろがっているような症例では,CLIPPERS 症候群として加療したがステロイドへの反応性が不良であり, 後に生検により悪性リンパ腫と判明することがあるため, 慎重に経過観察することが重要であると考えられる. 最終診断 CLIPPERS 症候群聴力障害 左下肢失調 錐体路徴候などの脳 幹部病変に起因する症状を認め, 頭部造影 MRI で橋を中心に小脳 脊髄 大脳深部白質にかけて点状散在性に造影される病変を認め,CLIP- PERS 症候群を疑った. 経口ステロイドへの治療反応性が良好であったことも上記の診断を支持する根拠と考えた. おわりに 大脳深部白質病変を伴ったCLIPPERS 症候群の1 例を経験した. 近年では本症例のように非典型的な画像所見を呈する症例の報告が散見されるが, 橋を中心としたsalt and pepper 様の点状散在性病変を認めることが特徴的である. 臨床的には神経 Behçet 病 悪性リンパ腫などの他疾患の鑑別を慎重に行いつつ, 早期にステロイド加療を行うことが重要と考えられる. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 文献 1 ) Pittock SJ, et al : Chronic lynphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(clippers). Brain 133 : 2626 2634, 2010. 2 ) Gabilondo I, et al : Response to immunotherapy in CLIPPERS syndrome. J Neurol 258 : 2090 2092, 2011. 3 ) Simon NG, et al : Expanding the clinical, radiological and neuropathological phenotype of chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(clippers). J Neurol Neurosurg Psychiatry 83 : 15 22, 2012. 4 ) Smith A, et al : Neurotropic T-cell lymphocytosis : a cutaneous expression of CLIPPERS. J Cutan Pathol 41 : 657 662, 2014. 5 ) Dörr J, et al : Characteristics of Susac syndrome : a review of all reported cases. Nat Rev Neurol 9 : 307 316, 2013. 6 ) Kastrup O, et al : Three cases of CLIPPERS : a serial clinical, laboratory and MRI follow-up study. J Neurol 258 : 2140 2146, 2011. 7 ) Ortega MR, et al : CLIPPERS complicating multiple sclerosis causing concerns of CNS lymphoma. Neurology 79 : 715 716, 2012. 8 ) Ferreira RM, et al : CLIPPERS-like MRI findings in a patient with multiple sclerosis. J Neurol Sci 327 : 61 62, 2013. 9 ) Kira J : The expanding phenotype of CLIPPERS : is it a disease or a syndrome? J Neurol Neurosurg Psychiatry 83 : 2 3, 2012. 10)Taieb G, et al : A new cases of chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids with initial normal magnetic resonance imaging. Brain 134 : e182, 2011. 2198 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号

症例掲載施設紹介 東京逓信病院神経内科 る中枢伝導検査もルーチンで行っています. 貴重な剖検例も多く神経病理の専門家に委嘱して詳細な検討を加えています. 元気いっぱい, 笑顔いっぱい東京逓信病院について日本郵政 ( 株 ) を経営母体とする477 床の総合病院です. 春には桜が咲き乱れる皇居外濠に面した風光明媚な地にあって, 靖国神社や文教施設に囲まれ,JR, 東京メトロの飯田橋駅に近く交通の便がよいため, 地域医療はもとより首都圏の広い範囲から患者さんが集まります. 神経内科について常勤医 4 名 ( 日本神経学会専門医が3 名 ), 後期研修医 2 名 ( 公募あり ) が在籍しており, 日本内科学会, 日本神経学会, 日本脳卒中学会, 日本臨床神経生理学会の教育施設に認定されています. 年間の入院患者数は400 例ほどで, 脳梗塞, てんかん, 髄膜脳炎などの救急疾患はもちろん,Parkinson 病や脊髄小脳変性症,ALS( 筋萎縮性側索硬化症 ) などの変性疾患や多発性硬化症, 神経筋疾患など幅広く診療しています. 内科的合併症も原則的に当科で診療しており, 内科全般の診療水準の向上にも努めています. また, 電気生理検査, 病理診断に基づく末梢, 筋疾患の診療を得意とし, 経頭蓋磁気刺激によ 研修内容当院では神経内科病棟の他に, 呼吸器, 消化器, 循環器 腎臓, 血液 内分泌代謝の5 病棟をローテーションすることで各領域の疾患を経験することができ, 内科認定医, 総合内科専門医の取得を目指します. 救急疾患から変性疾患, 神経筋疾患まで症例のvariationが大きく, 新 内科専門医制度で求められる神経内科の9 疾患群はもとより, 膠原病など他領域の疾患も経験できます. また, 神経内科をメインにした研修も柔軟に行っています. 初期研修医, 専修医は10 人前後の入院患者を担当し, 急患室での初期対応から入院後の治療方針までスタッフのきめ細かな指導が受けられます. 専修医は外来も週に1~2コマ担当し, プライマリ ケア, common diseaseへの理解を深めます. また, オープンな雰囲気の中で回診, チャートラウンド, 抄読会, リハビリカンファレンスが行われるほか, 放射線カンファレンスでは神経放射線の専門家である土屋先生 ( 共著者 ) と問題症例の検討を行います. 院内では隔週で症例検討会,CPC が交互に開催されており, 内科全般の知識を深められます. さらに当科では内科学会地方会, 神経学会地方会などで年間 15 例ほどの症例発表を行うとともに, 論文を含め積極的な情報発信に取り組んでいます. 我々の目指すもの神経内科は難しいと敬遠する先生もいますが, 我々が一番大切にしていることは, スタッ 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号 2199

フ, 研修医が元気いっぱい, 笑顔いっぱいで楽しく仕事ができる雰囲気です. そんな環境でこそ, 各人の能力, 持ち味が遺憾なく発揮され, 高い臨床水準と卒後教育を実現できると考えるからです. ホームページ http://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/ shinnai/ 文責 : 椎尾康 外堀通り方面から当院 2200 日本内科学会雑誌 104 巻 10 号