日外科系連会誌 37(2):164 170,2012 特集 各科で期待される分子標的療法 進行再発大腸癌治療における Bevacizumab の有用性 市立豊中病院消化器外科畑泰司川西賢秀 内容要旨 Bevacizumab(Avastin ) は2003 年の米国臨床腫瘍学会で有効性が報告され,2007 年より本邦で進行再発大腸癌に使用可能となった血管内皮細胞増殖因子 (VEGF : vascular endothelial growth factor) をターゲットとした分子標的治療薬である. 現在複数の癌腫に対し効果が認められており, 特に大腸癌領域では実臨床においての使用経験も蓄積されている. 本稿においてBevacizumabの薬理作用, 現在までの臨床試験の成績, 国内の特定使用成績調査集計結果をレビューし当院での治療成績を報告する. 索引用語 : 分子標的治療薬,VGEF,Bevacizumab, 大腸癌 はじめに Bevacizumab( 以下 Bmab) は血管内皮細胞増殖因子 (VEGF : vascular endothelial growth factor) を標的とし, マウス由来の抗 VFGF 抗体を遺伝子組み換え技術により作成したヒト化 IgG(Immunoglobulin G) モノクローナル抗体である 1). 分子量は約 149,000ダルトンで約 93% がヒト由来,7% がマウス由来のキメラ型抗体である.Bmabは VEGFと結合し血管内皮に発現している受容体 (VEGFR-1,VEGFR-2) への結合を阻害することで1 腫瘍血管新生を阻害 2 腫瘍内血管も正常化による併用抗がん剤の腫瘍への移行性を改善 3 低酸素によるアシドーシスによって引き起こされる抗がん剤感受性低下を改善すると報告されている 2)3). いくつかの癌腫に対して臨床試験による有効性が示されている中で, 最初に実臨床において使用可能となった大腸癌については多くのエビデンスが蓄積されており, 本稿で概説する. 臨床試験における成績 Bmabにおいては単剤での効果は認められず, 第 36 回日本外科系連合学会学術集会シンポジウム1 連絡先畑泰司 560 8565 大阪府豊中市柴原町 4 14 1 市立豊中病院消化器外科 殺細胞性薬剤の上乗せ効果として1 次および2 次治療で有効性が示されている (Table 1 ). 1 次治療 4) 1 AVF0780g 試験初回治療例を対象に5FU+ロイコボリン ( 以下 LV) 単独とBmab(5mg/kgもしくは10mg/kg) の併用で比較した第 Ⅱ 相試験である. 結果はObjec- tive Response Rate( 以下 ORR) が単独群,5mg 群,10mg 群それぞれ17%,40%,24% であった. progression free survival( 以下 PFS) およびMedian Survival Time( 以下 MST) は5mg 群が10mg 群より良好な成績であった. 5) 2 AVF2107g 試験転移再発大腸癌に対して5FU+LV+BmabとIFL 療法 (bolus5fu+lv+ 塩酸イリノテカン ( 以下 CPT-11)) およびIFL+Bmab 検討した第 Ⅲ 相無作為化比較試験である. ちなみに中間解析において 5FU+LV+Bmab 群は登録中止となり2 群間の比較となった. 登録症例数はIFLへの併用群 402 例, プラセボ群 411 例であった. 主要評価項目はover all survival( 以下 OS) で, 結果は中央値が併用群 20.3 カ月, プラセボ群は15.6カ月 ( ハザード比 ( 以下 HR)=0.66,p 0.001) であった. 副次評価項目であったPFSはそれぞれ10.6カ月と6.2カ月 (HR=0.54, p<0.001) でいずれにおいても上乗せ効果が認め 164
進行再発大腸癌治療におけるBevacizumabの有用性 Table 1 Bevacizumab clinical study with metastatic colorectal cancer 試験名 治療 line Phase Regimen 投与量 (mg/kg) ORR(%) PFS(m) MST(m) 5FU+LV (-) 17 5.2 13.8 AVF0780g 1st II 5FU+LV+Bmab 5 40 9 21.5 5FU+LV+Bmab 10 24 7.2 16.1 AVF2107g 1st III IFL (-) 34.8 6.2 15.6 IFL+Bmab 5 44.8 10.6 20.3 NO16966 1st III FOLFOX4/CapeOx (-) 38 8 19.9 FOLFOX4/CapeOx+Bmab 7.5 38 9.4 21.3 mfolfox6+bmab 5 52 9.9(TTP) 26.1 TREE-2 1st II FLOX+Bmab 5 39 8.3(TTP) 20.4 CapeOx+Bmab 7.5 46 10.3(TTP) 24.6 BICC-C 1st III FOLFIRI+Bmab 5 58 11.2 28 mifl+bmab 7.5 54 8.3 19.2 AVF2192g 2nd II 5FU+LV 5 15.2 5.5 12.9 5FU+LV+Bmab 5 26 9.1 16.6 FOLFOX4 (-) 9.2 4.8 10.8 ECOG3200 2nd II FOLFOX4+Bmab 10 21.8 7.2 12.9 TRC-0301 3rd II 5FU+LV+Bmab 5 1 3.5 9 られた. 6) 3 NO16966 試験 本試験は転移再発大腸癌の初回治療例を対象に 行われた第 Ⅲ 相無作為化比較試験である. 当初は FOLFOX4(5FU+LV+オキサリプラチン ( 以下 L-OHP)) に対するCapeOx( カペシタビン+L-OHP) の非劣性をみる試験として実施されたが, その後のプロトコール改訂によってFOLFOX4 療法およびCapeOx 療法にBmabを併用した際の上乗せ効果も検討する2 2のデザイン (A 群 :CapeOx+ プラセボ群,B 群 :FOLFOX4+プラセボ群,C 群 : CapeOx+Bmab 群,D 群 :FOLFOX4+Bmab 群 ) に変更された. 主要評価項目はPFSで, 併用群 (C 群 +D 群 )9.4カ月, プラセボ群 (A 群 +B 群 ) は8.0 カ月 (HR=0.83,p 0.0023) であった. しかし副次評価項目であったOSはそれぞれ21.3カ月と19.9 カ月 (HR=0.83,p=0.0769) で有意な差は認めなかった. しかしこの試験においては原病増悪での中止割合がBmab 併用群で29%, プラセボ群で47 % と低く,L-OHPの毒性中止に伴いBmabも含めた他の薬剤も同時に中止した症例が多い. それに伴い, 病勢増悪までBmabが継続投与された割合が,AVF2107g 試験では77% であったのに対し, 本試験では45% と少ない. そのため投与期間でみ ると,AVF2107g 試験ではプラセボ群より投与期間が2.8カ月長いのに対し, 本試験はほぼ同様であった. このことはBmabの投与量が十分でなく上乗せ効果が得られなかった可能性が示唆される. 7) 4 TREE-1,2 試験コホート試験である.TREE-1 試験 (mfolfox6 vs FLOX vs CapeOx) とTREE-2 試験 (mfolfox6 +Bmab vs FLOX+Bmab vs CapeOx+Bmab) の比較検討で,ORRにおいてBmab 併用群 9~19% での上乗せ効果がみられ,time to progression( 以下 TTP) で1.2~4.4カ月の延長,OSで2.5~7.4カ月の延長がみられた. 8) 5 BICC-C 試験 CPT-11と5FUの投与方法による比較検討試験 (FOLFIRI vs modifiedifl vs CapeIRI) であるが,PFS 中央値がFOLFIRI 群 7.6カ月,modifiedIFL 群 5.9カ月であったのに対し,FOLFIRI+Bev 群 11.2カ月,modified IFL+Bev 群 8.3カ月であった. このような試験結果よりFOLFOX,CapeOx, FOLFIRIとBmabの併用療法は進行再発大腸癌に対し, 標準的な1 次治療として位置づけられた. また, 効果を引き出すためには病状増悪まで継続する方が良いと考えられる. 165
日本外科系連合学会誌第 37 巻 2 号 2 次治療 9) 1 AVF2192g 試験 1 次治療として塩酸イリノテカンによる治療を 受けた患者に5FU+LV 療法へのBmab 上乗せ効果を検討した第 Ⅱ 相試験である.ORR は併用群, 非併用群で15.2%,26.0%(p=0.0522)PFSは5.5カ月,9.2カ月 (p=0.0002)mstは12.9カ月,16.6カ月(p=0.1597) でPFSにおいて有意差が認められた. 10) 2 ECOG3200 試験前治療としてBmab 未投与の化学療法を受けた患者を対象にFOFOX4 療法へのBmabの上乗せ効果を検討した第 Ⅲ 相無作為化比較試験である. なお,Bmabの投与量は10mg/kgであった. 結果は OSが (12.9カ月 vs 10.8カ月 HR=0.75,p=0.0011) PFSは (7.3カ月 vs 4.7カ月 HR=0.61,p<0.0001) と 2 次治療において有効性が示された. 3 次治療以降と補助療法 TRC-0301 試験 11) (5FU+LV+Bmab 第 Ⅱ 相試験 ) の結果より3 次治療での有効性が示されなかった. 12) また, 補助化学療法についてはNSABP-C08 試験 (FOLFOX vs FOLFOX+Bmab) で3 年 DFSの上乗せ効果を認めず, 本年のASCO GIで示された AVANT 試験 13) (FOLFOX vs FOLFOX+Bmab VS CapeOx+Bmab) においても3 年 DFSでの上乗せ効果は認められなかった. 現在,Bmabの有効性を示す結果は示されていない. 継続投与の意義 1 次治療と2 次治療のそれぞれでの有効性は示されたが, 継続投与についての検討が必要であり, その1つがBRiTE 試験 14) である. 本試験ではBmab を含む1 次治療増悪後, 治療を行わなかった群, 2 次治療においてもBmabを継続した群 (bevacizumab beyond progression( 以下 BBP 群 )) としなかった群 (nonbbp 群 ) の3 群を比較検討している. 各群の割り付けは無作為ではなく担当医の判断による.OS 中央値はBBP 群で31.8カ月,nonBBP 群で19.9カ月と有意に延長し,1 次治療増悪後からみても19.2カ月と9.5カ月と有意な差が認められた. しかし, 本試験は前向きな無作為化試験でないことから結果の解釈は難しく,BBPが有効であると結論づけるのは難しい. しかし数値の上でか なりの差がでていることは事実である. 現在検証が進められているところである. 15) ARIES 試験前向き観察研究である. しかしBBPを行うかどうかはBRiTE 試験と同様に担当医の判断によるためランダム化試験ではない. この試験においてもOSでnonBBP 群 vs BBP 群 (18.7カ月 vs 27.5カ月 )1 次治療 PD 後のMSTであるSurvival Beyond Progression(SBP) においても (7.5カ月 vs 14.1 カ月 HR=0.52 p<0.001) と有用性が示されている. 16) AIO0504 試験前向き第 Ⅲ 相試験である.1 次治療でL-OHPベースの化学療法 +Bmabを施行した症例に対し,2 次治療でCPT-11ベースの化学療法にBmabを加えた群と加えない群にランダム化したものと,1 次治療でCPT-11ベースの化学療法 +Bmabを施行した症例に対し,2 次治療でL-OHPベースの化学療法にBmabを加えた群と加えない群にランダム化したものを検討している. 目標症例数 820 症例で主要評価項目はOSである.2010 年 5 月末に症例登録が終了しており, 今後結果が判明することで BBPに対する結論が示されるものと思われる. BBPにおける投与量 BBPに有効性が示された場合, 次に問題となるのは投与量の設定である. 現在国内では疫学臨床試験研究支援機構 (ECRIN) が行っている第 Ⅲ 相試験 (EAGLE Study) がある.1 次治療でL-OHP ベースの化学療法 +Bmabを施行した症例に対し, 2 次治療でFOLFIRI 療法にBmabの投与量を5 mg/kgと10mg/kgにランダム化した試験である. 現在症例集積中である. 他の分指標的治療薬との併用 17) 1 CAIRO2 試験 CapeOx+BmabにCetuximab(Cmab) の上乗せ効果を検討した試験. 両群 368 例でPFSがCmab 投与ありとで9.6カ月と10.7カ月 (p=0.0018), ORRは44% と44%,MSTは20.3カ月と20.4カ月であった. また, 有害事象は投与あり群で増加し (p=0.0013) 上乗せ効果は示されなかった. 維持療法肺癌治療では維持療法の有用性が示されており, 大腸癌においても最近,L-OHP 併用レジメンに 166
進行再発大腸癌治療における Bevacizumab の有用性 Table 2 Bevacizumab maintenance study with metastatic colorectal cancer 試験名 導入療法 維持療法 DREAM/OPTIMOX3 FOLFOX7/mCapeOx+Bmab(12W) Bmab+Erlotinib CAIRO3 CapeOx+Bmab(18W) Cape 単剤 AIO0207 FOLFOX/CapeOx+Bmab(24W) 5FU 系 +Bmab SAKK41/06 Bmab 併用 (16~24W) FFCD802 FOLFIRI+Bmab(24W) ACT Bmab 併用 (16~24W) Bmab+Erlotinib おいて維持療法についての報告がなされている. 18) MACRO 試験 CapeOx+Bmab 療法を 6 サイクル施行後に PD まで継続する群とBamb 単剤で維持療法を行う群にランダム化して比較検討した試験.PFSは継続群 vs 維持療法群 (10.4カ月 vs 9.7カ月 HR=1.11 95% CIの非劣性限界 1.32) で有用性は示されなかったが,OSはほぼ同様であった. 2011 年のASCOでYalcinらはCapeOx+Bmab 療法 19) 後の維持療法としてのCape+Bmab 療法の有用性についての多施設共同ランダム化第 Ⅲ 相試験の結果を発表しており,PFSの延長( 維持療法 vs 継続療法 12.1カ月 vs 8.8カ月 p=0.002) と認容性も良好であることから妥当な選択肢の1つと報告している. その他いくつかの試験 (DREAM/OPTIMOX3 試験 CAIRO3 試験 AIO0207 試験 SAKK41/06 試験 FFCD802 試験 ACT 試験など (Table 2 )) が行われており今後の結果が待たれるところである. Bmabに特徴的な有害事象高血圧 Bmab 投与によって国内の特定使用成績調査集計結果 (http://www.chugai-pharm.co.jp 参照 ) では,12.97% に血圧上昇がみられ, このうち重篤なものは0.37% と発現頻度は低い. 基本的に降圧剤投与によってコントロール可能なレベルであり, 当院でも血圧上昇によってBmab 投与を中止した症例はほとんどみられない. 血圧上昇のメカニズムとしてはVEGFの血圧降下作用が妨げられることが1つの要因と考えられている 20)21). 血管内皮 でVEGFシグナルの活性化によりNOが産生され平滑筋が弛緩するメカニズムがあり 22), この系は Caチャンネルに非依存的であることや腎障害に対する保護作用の観点から, アンギオテンシンⅡ 受容体拮抗薬 (ARB) やアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE 阻害剤 ) が推奨されている 23) こともあり,Bmabによる血圧上昇に対して当科では, 第 1 選択としてCa 拮抗薬ではなくアンギオテンシンⅡ 受容体拮抗薬 (ARB) としている. 蛋白尿 4.08% の頻度でみられるが, 高血圧と同様にネフローゼを呈するような重篤なものは0.1% も認めない. メカニズムは糸球体の蛸足細胞から分泌されるVEGFの阻害によると言われている 24). VEGFが減少すると糸球体濾過膜の破壊が起きる. ただしこの減少は可逆的でありBmabを休薬することで改善する. しかし, 長期のダメージが加わると不可逆的となるので蛋白尿のモニタリングは必要である. 出血傾向発現頻度は11.3% でそのほとんどが鼻出血である. 重篤なものは1.37% で臨床上問題になることはほとんどない. ただし, 肺, 特に空洞化した病変の症例では重篤化した報告もあり注意を要する. また, 脳に病巣がある症例は第 Ⅰ 相試験で出血例を認め禁忌となっている. メカニズムとして血管新生阻害による内皮損傷やVEGFの減少による凝固系の異常が考えられている 25). 167
日本外科系連合学会誌第 37 巻 2 号 消化管穿孔発症頻度は約 1% であるが, 起これば重症化しやすく注意を要する副作用である. 基本的には原発巣が未切除のもの, 腹膜播種を認めるもの, 放射線療法の既往があるものは穿孔頻度が高くなると言われている. 部位別には大腸が多い. 当院では原発巣穿孔 1 例と虫垂炎穿孔 1 例を経験しているが, いずれも保存加療にて軽快した. 創傷治癒遅延発症頻度は1.19% で重篤なものは0.3% である. 大手術の場合最終投与後 6~8 週開けてからが良いとされている. ただし当院ではポート留置後 2 日目より投与を開始しているが大きな問題は現在のところ認めておらず, 小手術であれば比較的期間を置かずに投与可能と考えられる. 血栓塞栓症頻度は動脈性が約 0.37%, 静脈性が1.33% である. 血栓塞栓症も消化管穿孔同様起こると重症化しやすい. ショック アナフィラキシー 1.04% で重篤なものは0.33% である. 当院におけるBmabの成績維持療法 2007 年 9 月から2010 年 4 月までにBmabを投与した症例はのべ121 症例であった.1 st lineより Bmabを導入した症例は67 例, うち投与が終了しているのは35 例であった. 末梢神経障害がGrade 2 ~3の時点でL-OHPは減量もしくは中止とし, 以後は維持療法 (Bmab+FU5LV2) を行った.1 st line 投与 35 例の患者背景は男性 : 女性 (19:16), 年齢は47~80 歳 ( 中央値 66 歳 ), 転移部位 ( 重複含む ) は肝臓が43% と最も多く, 以下肺 24%, リンパ節 17%, 腹膜 15%, 副腎 2% であった.PSは全例 1 以下であった.2 例を除く33 症例は原発巣切除後であった. 投与量は全例 5mg/kg. 観察期間は9.5カ月 ~45カ月 ( 中央値 37.6カ月 ) で既に死亡している症例は16 例 (45.7%) であった. 効果は奏効率 47%, 腫瘍制御率 100%,PFSの中央値は303 日であった. BBP 2 nd lineも継続して使用したbbp 症例は19 例, うち投与が終了しているのは13 例であった. 背景は 男性 : 女性 (6:7), 年齢は47~80 歳 ( 中央値 62 歳 ), 転移部位 ( 重複含む ) は肝臓が45% と最も多く, その他肺 27%, リンパ節 9%, 腹膜 14%, 副腎 5% であった.PSは全例 2 以下であった.1 例を除く12 症例は原発巣切除後であった. 投与量は全例 5mg/kgもしくは10mg/kgで全例が併用レジメンは1 st lineにmfolfox6で2 nd lineはfolfiri であった. 観察期間は6.0カ月 ~38.7カ月 ( 中央値 19.5カ月 ) で既に死亡している症例は10 例であった. 効果は奏効率 18%, 腫瘍制御率 64%,PFSの中央値は180 日であった.Bmabに特異的な副作用はGrade 3(CTCAE ver4.0) 以上のものは認めなかった.Grade 2 以下の比率もBBPを行った症例で2 nd lineに増加傾向は認めなかった.osに関しては1 st lineより使用した症例のmstは28.1カ月 BBP 症例の2 nd line 導入時からのMSTは15.9カ月であった. 最後に Bmabは進行再発大腸癌に対して用いられた最初の分子標的治療薬であり, 当初化学療法を行うものにとってその扱いに慎重であったが, 多くのエビデンスが蓄積され, 安全かつ効果的に利用されるようになって来た. 現在でも新たな使用方法に対する臨床試験が行われており, さらに有効な使用方法がみいだされる事に期待したい. 文献 1)Presta LG, Chen PH, O Connor SJ, et al : Humanization of an Anti-Vascular Endothelial Growth Factor Monoclonal Antibody for the Therapy of Solid Tumors and Other Disorders. Cancer Res 57 : 4593-4599, 1997 2)Gerber HP, Ferrera N : Pharmacology and Pharmacodynamics of Bevacizumab as Monotherapy or in Combination with Cytotoxic Therapy in Preclinical Studies. Cancer Res 65 : 671-680, 2005 3)Jain RK : Normalization of tumor vasculature : an emerging concept in antiangiogenic therapy. Science 307 : 58-62, 2005 4)Kabbinavar F, Hurwitz HI, Fehrenbacher L, et al : PhaseⅡ, randomized trial comparing bevacizumab plus fluorouracil (FU)/leucovorin (LV) with FU/LV alone in patients with metastatic colorec- 168
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