インフルエンザウイルスの構造

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1 C 型 肝 炎 ウイルスは どのように 感 染 しますか? わが 国 では 150 ~ 200 万 人 の 人 が C 型 肝 炎 ウイルスに 感 染 している キャリア で,このうち 感 染 していることを 知 らずに 過 ごしている 人 が 80 万 人 といわれていま す 感 染 の 主

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

デュアック 配 合 ゲル に 係 る 医 薬 品 リスク 管 理 計 画 書 (RMP)の 概 要 販 売 名 デュアック 配 合 ゲル 有 効 成 分 クリンダマイシンリン 酸 エステ ル 水 和 物 / 過 酸 化 ベンゾイル 製 造 販 売 業 者 株 式 会 社 ポーラファルマ 薬 効 分

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

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2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

大学病院治験受託手順書

S7-2)わが国におけるHIV感染妊娠の動向と近年の特徴

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各論_1章〜7章.indd

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平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

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プレス発表に関する手引き

2-1膠原病.doc

一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

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○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

1 資 料 編 我 が 国 の 人 口 の 推 移 厚 労 働 全 般 平 成 24 年 版 厚 労 働 白 書 5

目次

2020年の住宅市場 ~人口・世帯数減少のインパクト~

(\202g22\214\366\225\\.xls)

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

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主 要 な が ん 治 療 に つ い て 入 院 に か か る 医 療 費 の 支 払 い か ら 計 算 し た も の で す 例 え ば 胃 が ん に つ い て は 平 均 入 院 費 は 総 額 約 万 円 で 自 己 負 担 額 は 約 3 3 万 円 程 度 必 要

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

m07 北見工業大学 様式①

島根大学における学生等の授業料その他の費用に関する規則

スライド 1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)


2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

健 康 医 療 戦 略 に 係 る 農 林 産 省 の 主 な 取 組 みについて 1. 健 康 長 寿 社 会 の 形 成 のための 食 の 研 究 開 発 の 推 進 2. 医 福 食 農 連 携 の 取 組 の 推 進 3 5 2

Microsoft Word - 公表資料(H22).doc

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震


Microsoft Word - 目次.doc

5

PowerPoint プレゼンテーション

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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2. 研 究 内 容 本 研 究 は 高 齢 者 施 設 に 入 所 する 高 齢 者 ( 平 均 年 齢 85 歳 )72 名 および 職 員 ( 平 均 年 齢 37 歳 )20 名 をそれぞれ 無 作 為 に2 群 に 分 け L. casei シロタ 株 を 含 むプロバイオティクス 飲 料

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

独立行政法人国立病院機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1


臨 床 研 究 事 案 に 関 する 主 な 報 道 概 要 ディオバン 事 案 白 血 病 治 療 薬 タシグナ 事 案 (SIGN 試 験 ) ノバルティス 社 の 高 血 圧 症 治 療 薬 ディオバンに 係 る 臨 床 研 究 において データ 操 作 等 があり 研 究 結 果 の 信 頼

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 給 与 月 額 平 均 年 齢 平 均 給 料

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平成10年度第四回薬事委員会議事録NOl

別紙3

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

社 内 資 料 ムルキナ 点 眼 液 0.1%の 生 物 学 的 同 等 性 について Ⅰ. 要 旨 プラノプロフェン 0.1% 含 有 点 眼 液 ムルキナ 点 眼 液 0.1%について 他 社 市 販 品 (ニフラン 点 眼 液 千 寿 製 薬 株 式 会 社 )を 対 照 製 剤 とし 薬 理

平成 28年度 第1回治験審査委員会開催記録

( 運 用 制 限 ) 第 5 条 労 働 基 準 局 は 本 システムの 維 持 補 修 の 必 要 があるとき 天 災 地 変 その 他 の 事 由 によりシステムに 障 害 又 は 遅 延 の 生 じたとき その 他 理 由 の 如 何 を 問 わず その 裁 量 により システム 利 用 者

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

月 額 を100として 計 算 した 指 数 2 類 似 団 体 平 均 とは 人 口 規 模 産 業 構 造 が 類 似 している 団 体 のラスパイレス 指 数 を 単 純 平 均 し たものです 3 参 考 値 は 国 家 公 務 員 の 時 限 的 な(2 年 間 ) 給 与 改 定 臨 時

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(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

75 歳 以 上 の 方 の 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 75 歳 になると 全 ての 方 が 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 に 加 入 して 医 療 を 受 けます 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 は 東 京 都 後 期 高 齢 者 医 療 広 域 連 合 が 主 体 となり 区

空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

EST_  H.8.6.

1 蒸 留 されたもの 2 炉 の 排 煙 口 における 温 度 が80~ 150 の 排 煙 を 冷 却 して 得 ら れた 液 体 を3ヶ 月 以 上 静 置 し 上 層 の 油 分 と 下 層 の 沈 殿 部 分 を 除 く 中 間 部 分 を 採 取 して 得 られたもの 3) 薬 効 に

2 とが 前 提 であるのは 改 訂 前 と 同 様 です 今 後 関 連 学 会 との 討 議 を 重 ね 実 際 に 使 用 され ている 現 場 からのご 意 見 も 承 って 随 時 改 訂 を 行 う 予 定 です 1. 本 指 針 が 対 象 とする 病 理 組 織 型 について 本 指

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

スライド 1

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も た ら そ う と す る 効 標 標 名 標 設 定 考 え 方 単 位 4 年 度 実 績 5 年 度 見 込 6 年 度 計 画 7 年 度 計 画 8 年 度 計 画 法 規 定 に 基 づく 選 挙 事 務 ため 標 というような は 困 難 である 事 業 実 施 妥 当 性 活 動

<4D F736F F D BC96F35F C74685F8F9096BC93FC82E897705F FC82E88DC58F4994C55F E646F63>

Microsoft PowerPoint 「消化器がんの予防と検診」配布資料[1]

路 症 状 の 副 作 用 は 少 ないと 言 われている 一 方 Ray らが 報 告 した 大 規 模 調 査 では 突 然 死 の 発 生 率 はわずかながら 第 一 世 代 1.99 に 比 し 第 二 世 代 の 薬 剤 で 2.26 と 増 加 したことが わかっている(Ray et a

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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

(5) 給 与 改 定 の 状 況 該 当 なし ( 事 委 員 会 を 設 置 していないため) 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 A B AB ( 改 定 率 ) 年 度 ( )

マニュアル 使 用 上 の 注 意 針 刺 し 切 創 皮 膚 粘 膜 曝 露 ( 事 象 ) 後 のHIV 感 染 を 防 止 するためには 事 象 発 生 後 できるだけ 早 く 抗 HIV 薬 の 服 用 を 開 始 する 必 要 がある 事 象 発 生 後 速 やかに 服 用 するために 医

1

Transcription:

HIV HCV 重 複 感 染 ー 最 近 の 動 向 ー 東 京 大 学 医 学 部 附 属 病 院 感 染 症 内 科 四 柳 宏

本 邦 のHIV 感 染 症 の 疫 学 2013 年 3 月 までにHIV 感 染 者 (AIDS 非 発 症 )14932 人 AIDS 6824 人 が 報 告 されている

C 型 肝 炎 の 疫 学 全 世 界 1 億 人 前 後 のウイルスキャリアが 存 在 するとされる 欧 米 でもアジアでも1% 程 度 がHCVキャリアである 本 邦 のC 型 肝 炎 ウイルスキャリアは 約 150 万 人 ( 人 口 の 1.2%)と 推 定 される 本 邦 では 高 齢 者 ほどキャリアの 割 合 が 高 い 現 在 は 輸 血 による 感 染 はほぼなくなった 刺 青 ピアスの 穴 明 け 麻 薬 静 注 などが 原 因 となっている

C 型 肝 炎 ウイルスの 感 染 経 路 (1) 輸 血 後 肝 炎 が 本 邦 では 根 絶 され たため 現 在 の 感 染 経 路 として 静 脈 注 射 刺 青 ピアスなどが 問 題 になっている 性 交 渉 も 疑 わしい 経 路 として 報 告 されている

C 型 肝 炎 ウイルスの 感 染 経 路 (2)

全 国 エイズ 拠 点 病 院 HIV 感 染 者 における HCV 感 染 状 況 (2003 年 に1 回 以 上 受 診 した 全 症 例 の 検 討 ) 患 者 数 HCV 抗 体 陽 性 HCV-RNA 陽 性 血 液 製 剤 811 786 (96.9%) 667(82.2%) MSM 2730 114 (4.2%) 98 drug users 20 9 (45.0%) 8 others 1316 25 (2.0%) 7 total 4877 930 (19.2%) 780 (16.0%) 366 施 設 へ 送 付 174 施 設 より 回 答 ( 回 答 率 47.3%) HIV HCV 重 複 感 染 時 の 診 療 ガイドライン( 小 池 和 彦 班 長 2006 年 )

Blood Product 重 複 感 染 例 におけるHIVの 感 染 経 路 (HCV Genotype 別 ) GT1 GT2 GT3 GT4 Mixed Other Total 102 24 38 2 24 69 259 (87.2%) MSM 7 1 0 0 0 4 12 Hetero sexual 1 1 0 0 0 7 9 IDU 0 0 0 0 0 1 1 others 7 3 2 0 0 4 16 total 117 29 40 2 24 85 297 HIV HCV 重 複 感 染 時 の 診 療 ガイドライン( 小 池 和 彦 班 長 2006 年 ) 血 液 製 剤 による 感 染 ではGenotype 3/4や 混 合 感 染 が 見 られる

重 複 感 染 例 における 臨 床 背 景 (HCV Genotype 毎 ) GT1 GT2 GT3 GT4 Mixed Other Total Number 117 29 40 2 24 85 297 (55.2%) (13.7%) (18.9%) (0.9%) (11.3%) Age 38.3±10.4 39.8±9.5 36.1±8.9 38.5±2.1 38.7±8.7 36.2±11.5 37.9±10.3 Sex (M:F) 114:3 29:0 40:0 2:0 24:0 81:4 290:7 Viral Load (High:Low) 31:11 5:5 12:2 2:0 11:0 6:1 67:19 HIV HCV 重 複 感 染 時 の 診 療 ガイドライン( 小 池 和 彦 班 長 2006 年 ) HCV GenotypeはGT1, GT3, GT2, mixedの 順 に 多 かった 男 性 は 女 性 に 比 べはるかに 多 かった

肝 疾 患 のHIV 感 染 症 におけるインパクト Joshi D, et al. Lancet 2011;.377: 1198-1209 Cardiovascular Diseaseが 注 目 されているが 今 なお 肝 疾 患 は 患 者 さんの 予 後 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 因 子 である

C 型 肝 炎 は 肝 細 胞 の 脂 肪 化 を 伴 う 病 気 である C 型 肝 炎 ウイルスの 蛋 白 質 (コア 蛋 白 )は 肝 細 胞 に 脂 肪 を 溜 める 働 きがある ウイルスは 肝 細 胞 の 中 に 存 在 する 脂 肪 滴 の 縁 の 部 分 で 増 殖 する 脂 肪 が 多 いとウイルスの 増 殖 に 有 利 である 肝 細 胞 に 脂 肪 がたまると 活 性 酸 素 を 産 生 しやすい このこと が 炎 症 を 強 くしたり 肝 臓 の 線 維 化 を 促 進 することにつながる

HIV 感 染 症 の 合 併 はC 型 肝 炎 の 線 維 化 を 早 める HIV 感 染 症 があると HCVに 対 する 適 応 免 疫 HCVの 増 殖 を 抑 えるTh1サイトカインの 産 生 が 低 下 する CD4 細 胞 数 が 減 ると 肝 線 維 化 の 主 役 である 星 細 胞 (stellate cell)が 活 性 化 される 肝 内 のCD4 細 胞 のIL-10 産 生 ( 炎 症 線 維 化 を 抑 える)が 低 下 する ミトコンドリア 障 害 のある 抗 HIV 薬 の 使 用 は 肝 細 胞 の 脂 肪 化 線 維 化 を 促 進 する Joshi D, et al. Lancet 2011;.377: 1198-1209を 改 変

C 型 肝 炎 の 線 維 化 とHIV 感 染 症 HIV 感 染 があった 場 合 CD4が 少 ないこと 飲 酒 することは 線 維 化 を 加 速 させる

HIV HCV 重 複 感 染 症 に 合 併 する 肝 細 胞 癌 日 本 でも 感 染 期 間 の 長 い 血 液 製 剤 使 用 者 を 中 心 に 肝 細 胞 癌 の 患 者 が 増 えてきており 年 間 数 名 が 肝 細 胞 癌 で 亡 くなっている

ペグリバ 時 代 までの 治 療 (1 型 高 ウイルス 量 ) 100 80 SVR 率 (%) 60 40 29 42-48 2000s 20 0 2 1990s 9 17 IFN 24wk IFN 48wk IFN/RBV 24wk IFN/RBV 48wk Peg-IFN/RBV 48wk

PEGIFN-Ribavirinの 治 療 効 果 ( 研 究 班 ) Genotype Response Viral Load (High: Low) SVR ETR NR Total 1 8:2 2 (15.3%) 0 11 13 2 1:2 1 (25.0%) 0 3 4 3 4:1 4 (66.7%) 1 1 6 4 1:0 0 1 0 1 Mixed 4:1 1 (20.0%) 3 1 5 Others 3:0 3 (50.0%) 1 2 6 Total 21:6 11 (31.4%) 6 18 35 HIV HCV 重 複 感 染 時 の 診 療 ガイドライン( 小 池 和 彦 班 長 2006 年 ) PEGIFN-Ribavirinの 治 療 効 果 は 単 独 感 染 に 及 ばない

PEGIFN-Ribavirinの 治 療 効 果 APRICOT RIBAVIC PRESCO PARADIGM Japan National Study 症 例 数 860 412 389 410 35 国 国 際 共 同 フランス スペイン 国 際 共 同 日 本 PEG-IFN formulation 2a 2b 2a 2a 投 与 期 間 ( 週 ) 48 48 24-72 48 CD4 細 胞 数 (/ μl) 530 482 546 489 519 271 HIV-1RNA 陰 性 症 例 数 (%) 60 67 72 11 ART 施 行 率 (%) 84 83 74 88 89 11 F3/F4の 割 合 (%) 16 39 28 11 12 Genotype 1 (%) 61 48 49 100 36 HCV RNA > 800,000 IU/mL (%) 72 79 81 38 SVR (%) Genotype 1 29 36 19-22 15 Genotype 1/4 17 35 14 Genotype 2/3 62 44 72 50

プロテアーゼ 阻 害 薬 Assela T, et al. Liv Intern. 2009 プロテアーゼ とは ウイルスの 遺 伝 子 (mrna)から 翻 訳 された 大 きなタ ンパク 質 を 切 り 分 けるための 酵 素 である シグナルペプチダーゼ: (Core, E1, E2, p7, NS2を 生 じる) セリンプロテ アーゼ(NS3-5を 生 じる)の2 種 類 がある HCVの 治 療 薬 として 発 売 されるのは 後 者 の 作 用 を 持 つ 薬 である ウイルスのタンパク 質 ができないため ウイルスが 増 殖 できない

テラプレビルまでの 治 療 (1 型 高 ウイルス 量 ) 100 80 >70% SVR 率 (%) 60 40 20 0 2 1990s 9 17 IFN 24wk IFN 48wk IFN/RBV 24wk 29 IFN/RBV 48wk 42-48 2000s Peg-IFN/RBV Peg- 48wk IFN/RBV/DAA

治 療 終 了 24 週 後 の HCV RNA 陰 性 化 率 (テラビック 市 販 後 臨 床 調 査 ) 2013 年 4 月 19 日 時 点 で 収 集 した2,469 例 ( 評 価 例 数 :1,741 例 )が 対 象 テラビック 錠 250mg 使 用 成 績 調 査 ( 全 例 調 査 ) 中 間 集 計 Vol.4( 追 補 ) ( 田 辺 三 菱 製 薬 株 式 会 社 )

重 複 感 染 症 の 患 者 さんにテラプレビルを 含 んだ 3 者 併 用 療 法 が 使 いにくかった 理 由 3 者 併 用 療 法 は 進 んだ 肝 病 変 のある 患 者 さんにとっ て 危 険 だった 肝 不 全 の 危 険 性 がある 重 篤 な 感 染 症 を 起 こす 危 険 性 がある 3 者 併 用 療 法 は 副 作 用 が 多 かった HIVの 薬 との 相 互 作 用 が 十 分 にわかっていなかった HIVの 薬 以 外 にも 多 くの 薬 と 相 互 作 用 があった テラプレビルを 中 断 した 場 合 の 薬 剤 耐 性 に 関 する データが 不 十 分 だった

3 者 併 用 療 法 の 方 でより 高 頻 度 に 見 られる 副 作 用 申 請 資 料 より

テラプレビルを 含 む3 者 併 用 療 法 の 治 療 効 果 ( 重 複 感 染 ) 治 療 歴 がなく 肝 硬 変 の 人 が 含 まれない 点 で 日 本 の 現 状 とは 幾 分 異 なっていた

テラプレビルを 含 む3 者 併 用 療 法 の 副 反 応 ( 重 複 感 染 ) ATV/rの 使 用 に 関 しては 慎 重 に 行 う 必 要 がある

フランスの 市 販 後 臨 床 試 験 48-72 週 の 治 療 が 行 われている

肝 硬 変 が23% 含 まれる 臨 床 試 験 である

テラプレビル 終 了 時 には 組 織 進 展 度 前 治 療 に 関 係 なく80% 以 上 でHCV RNA 陰 性

テラプレビル 中 止 は10% グレード4の 副 作 用 は7%であった

重 複 感 染 症 の 患 者 さんに 対 する 臨 床 試 験 (ペグリバ+テラプレビル)からわかること ペグリバ 療 法 (これまでの 標 準 療 法 )であっても 治 療 歴 がなく HAARTで 十 分 な 免 疫 能 が 維 持 されて いれば 単 独 感 染 同 様 の 奏 効 率 が 望 める テラプレビルを 含 んだ3 者 併 用 療 法 の 奏 効 率 も 単 独 感 染 と 重 複 感 染 とで 似 たような 成 績 が 得 られる 副 反 応 には 注 意 が 必 要 である

シメプレビル (ソブリアード) C212 試 験 : Genotype 1 HCVとHIVの 重 複 感 染 者 に 対 するシメプレビル+ペグリバ 療 法 Wk 12 Wk 24 Wk 48 未 治 療 例 前 治 療 再 燃 例 RGT* Simeprevir 150 mg QD + PegIFN/RBV Simeprevir 150 mg QD + PegIFN/RBV PegIFN/RBV PegIFN/RBV 24-mo F/U 24-mo F/U 前 治 療 反 応 不 良 例 無 反 応 例 Simeprevir 150 mg QD + PegIFN/RBV PegIFN/RBV 24-mo F/U * 治 療 開 始 後 4 週 のウイルス 量 が 定 量 感 度 未 満 12 週 のウイルス 量 が 陰 性 の 条 件 を 共 に 満 たす 場 合 のみ 治 療 期 間 を24 週 とした Highlights of Atlanta 2013: Coinfections and Comorbidities CCO Independent Conference Coverage of the 2013 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections*

C212 試 験 : Genotype 1 HCVとHIVの 重 複 感 染 者 に 対 するシメプレビル+ペグリバ 療 法 Preliminary Outcomes in Patients Treated With Simeprevir 100 86 90 84 80 77 80 75 シメプレビル (ソブリアード) SVR4 SVR12 Patients (%) 60 40 20 n/n = 0 30/ 35 10/ 13 21/ 25 全 体 未 治 療 例 再 燃 例 Highlights of Atlanta 2013: Coinfections and Comorbidities CCO Independent Conference Coverage of the 2013 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections* 6/ 8 9/ 10 4/ 5

シメプレビル (ソブリアード) C212 試 験 : Genotype 1 HCVとHIVの 重 複 感 染 者 に 対 するシメプレビル+ペグリバ 療 法 Highlights of Atlanta 2013: Coinfections and Comorbidities CCO Independent Conference Coverage of the 2013 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections*

現 在 行 われている HIV/HCV 重 複 感 染 症 への 臨 床 試 験 シメプレビル( 第 二 世 代 PI) +ペグリバ ファルダプレビル( 第 二 世 代 PI)+ペグリバ ダクラスタビル(NS5A 阻 害 薬 )+ペグリバ ソフォスフォビル+リバビリン(GT2/3) アボットのIFN free trial Presented by Jurgen Rockstroh at the 28th International Congress of Chemotherapy and Infection (by courtesy of Dr. Tomohiko Koibuchi)

インターフェロンなしの 治 療 2011 年 11 月 アメリカ 肝 臓 学 会 熊 田 先 生 茶 山 先 生 の 成 績 インターフェロンを 使 わなくともHCV RNAを 陰 性 化 させることができる

HCV RNA 陰 性 化 推 移 とSVR( 治 癒 ) 率 日 本 ではGenotype 1bの 約 80%がPIとNS5A 阻 害 薬 の2 剤 併 用 で 治 癒 した HCV RNA undetectable (% of patients) % 100 80 60 40 20 Non-Responsers (n=21) Ineligible/ Intolerant (n=22) 91 91 91 91 91 91 86 64 64 52 0 week 4 week 12 ETR SVR12 SVR24 虎 の 門 病 院 鈴 木 文 孝 先 生 らによる

ソフォスブビルはGT2やGT3にも 効 果 が 期 待 できる Sulkowski 2012 (from the Website of Johns Hopkins School of medicine )

効 果 今 後 の 抗 ウイルス 療 法 ペグリバ テラプレビル ペグリバ 抗 ウイルス 薬 2 種 ペグリバ 第 二 世 代 PI ペグリバ 経 口 薬 1 種 類 での 治 癒 が 目 標 IFNフリー 抗 ウイルス 薬 3 種 IFNフリー 抗 ウイルス 薬 2 種 2012 年 ヨーロッパ 肝 臓 学 会 忍 容 性