脂 肪 肝 をご 存 知 ですか それは 飽 食 の 時 代 が 生 みだした 肝 臓 の 生 活 習 慣 病 です 11-12-ZET-10-J-F83-SS
今 なぜ 脂 肪 肝 が 話 題 になるの か 食 生 活 の 欧 米 化 に 伴 い 脂 肪 を 多 く 含 んだ 食 事 を 摂 るようになってきた 現 代 で 近 年 ふ えてきた 病 気 です 痛 い や かゆい などの 自 覚 症 状 はありません また 健 康 診 断 でも 早 期 発 見 が 難 しいうえに 脂 肪 肝 の 中 には 知 らない 間 に 肝 硬 変 や 肝 臓 がんになってしまう 恐 いものがあります
そもそも 肝 臓 とは? 1. 栄 養 の 処 理 加 工 2. 解 毒 排 泄 3.エネルギーの 貯 蔵 肝 臓 は 人 間 が 生 きていくために 必 要 な 物 質 を 代 謝 する 中 心 的 な 役 割 を 持 っ ています 三 大 栄 養 素 の 糖 質 (とうしつ) タンパク 質 脂 質 (あぶら)を 体 の 中 に 取 り 込 ん だり 蓄 えたり それを 使 ったりします その 他 に 体 内 でいらなくなった 悪 い 部 分 を 取 り 除 き 体 の 外 へ 出 すお 手 伝 いをします つまり 体 にとってとても 大 切 な 働 きをしてくれる 臓 器 なのです
脂 肪 肝 とは フォアグ ラ です フォアグラ( 仏 : foie gras)は 必 要 以 上 にエサをたくさん 与 える( 強 制 給 餌 / ガヴァージュ 仏 : gavage / 英 : force-feeding)ことにより 肝 臓 を 形 成 する 肝 細 胞 に 余 剰 の 脂 肪 が 蓄 積 する 過 程 で どんどん 肝 臓 の 一 部 が 脂 肪 に 置 き 換 えられていく 状 態 脂 肪 肝 を 人 工 的 に 作 り 出 したものである 通 常 ガチョウまたは 鴨 が 使 用 され 世 界 三 大 珍 味 の1つに 数 え られる 食 品 である (ウィキペディアより)
脂 肪 肝 ができるまで 栄 養 の 摂 りすぎ 肥 満 糖 尿 病 アルコール 過 多 糖 や 脂 肪 が 肝 臓 にたくさん 運 ばれる 栄 養 の 摂 りすぎ 運 動 不 足 栄 養 素 (エネルギー) 摂 取 の 増 加 栄 養 素 (エネルギー) 消 費 の 低 下 肝 臓 で 糖 や 脂 肪 から 中 性 脂 肪 を 作 る エネルギー 摂 取 と 消 費 のアンバランスが 生 じる 血 中 に 放 出 される 量 よりも 肝 臓 で 合 成 される 量 が 上 回 り 肝 臓 に 中 性 脂 肪 がたまってしまう 脂 肪 肝
定 義 肝 細 胞 にトリグリセライド(TG)が 沈 着 して 肝 機 能 障 害 を 来 す 疾 患 の 総 称 肝 組 織 所 見 では 肝 細 胞 の30% 以 上 に 脂 肪 滴 が 認 められ 画 像 診 断 でも 脂 肪 沈 着 症 が 強 く 疑 われる 所 見 が 認 められる 脂 肪 滴 を 伴 う 肝 細 胞 が30% 以 上 日 本 肝 臓 学 会 編 NASH NAFLDの 診 療 ガイド
脂 肪 肝 の 分 類 脂 肪 肝 アルコール 性 脂 肪 肝 非 アルコール 性 脂 肪 肝 (NAFLD) アルコール 性 脂 肪 肝 炎 (ASH) 非 アルコール 性 脂 肪 肝 炎 (NASH) 主 に アルコール 性 と 非 アルコール 性 に 分 けられ ます 肝 硬 変 肝 細 胞 がん 肝 不 全
メタボリックシンドロームのリスクとなる 疾 患 が 脂 肪 肝 の 病 因 であることが 報 告 されています 脂 肪 肝 の 原 因 以 前 はアルコールによる 肝 障 害 が 多 かったのですが 肥 満 ( 食 べ 過 ぎ) 薬 物 性 ( 副 腎 皮 質 ホルモン 剤 など) 糖 尿 病 などの 内 分 泌 疾 患 高 カロリー 輸 液 アルコール その 他
病 気 別 の 原 因 の 内 訳 その 他 (16%) アルコール 性 (18%) 肥 満 (48%) 糖 尿 病 (18%) 菊 池 英 亮 ら1993
肥 満 は 突 出 したリスク 肥 満 な 方 と 肥 満 でない 方 では 脂 肪 肝 になる 確 率 が 異 なります たとえば 男 性 では 肥 満 でない 方 に 比 べて 約 5.5 倍 脂 肪 肝 になる 危 険 性 が 増 え てしまいます 女 性 では なんと 約 9 倍 も 危 険 性 が 増 えることがわかっています 男 性 約 5.5 倍 女 性 約 9 倍 Kojima S, et al:j Gastroenterol, 2003;38:954-961.
日 本 人 における メタボリックシンドロームの 診 断 基 準 2005 年 4 月 日 本 独 自 のメタボリックシンドローム 診 断 基 準 を 発 表 腹 腔 内 脂 肪 面 積 ウエスト 周 囲 径 男 性 85cm 女 性 90cm ( 内 臓 脂 肪 面 積 男 女 とも 100cm 2 に 相 当 ) 上 記 に 加 え 以 下 のうち2 項 目 以 上 高 トリグリセライド 血 症 かつ/または 低 HDLコレステロール 血 症 かつ/または 150mg/dL <40mg/dL 収 縮 期 血 圧 130mmHg 拡 張 期 血 圧 85mmHg 空 腹 時 高 血 糖 110mg/dL CTスキャンなどで 内 臓 脂 肪 量 測 定 を 行 うことが 望 ましい ウエスト 周 囲 径 は 立 位 軽 呼 気 時 臍 レベルで 測 定 する 脂 肪 蓄 積 が 著 明 で 臍 が 下 方 に 偏 位 している 場 合 は 肋 骨 下 縁 と 前 上 腸 骨 棘 の 中 点 の 高 さで 測 定 する メタボリックシンドロームと 診 断 された 場 合 糖 負 荷 試 験 が 薦 めら れるが 診 断 には 必 須 ではない 高 TG 血 症 低 HDL-C 血 症 高 血 圧 糖 尿 病 に 対 する 薬 剤 治 療 を 受 けて いる 場 合 は それぞれの 項 目 に 含 める
内 臓 脂 肪 と 皮 下 脂 肪 の 違 い 内 臓 脂 肪 型 の 肥 満 一 般 的 に 体 の 外 観 が 果 物 の リン ゴ のように 中 央 が 一 番 太 く 丸 みを おびている 肥 満 体 型 を リンゴ 型 肥 満 と 呼 びます おなかあたりに 脂 肪 がつくのが 特 徴 で す CT 検 査 をすると 内 臓 部 分 に 脂 肪 がた まっており 逆 に 皮 下 の 部 分 には 脂 肪 はあまりたまっていません 皮 下 脂 肪 型 の 肥 満 体 の 外 観 が 果 物 の 洋 ナシ のよ うに 下 半 身 に 向 かって 太 くなってい る 型 の 肥 満 を 洋 ナシ 型 肥 満 と 呼 びます お 尻 や 太 ももあたりに 脂 肪 がつくの が 特 徴 です CT 検 査 をすると 皮 下 部 分 に 脂 肪 が たまっており 逆 に 内 臓 には 脂 肪 は あまりたまっていません おへその 近 くを 指 でつかむとすぐに 脂 肪 がつ かめる 方 は 皮 下 脂 肪 型 の 肥 満 と 考 えられます
(%) 30 日 本 人 の 脂 質 摂 取 量 は 年 々 増 加 し 摂 取 上 限 の25%を 超 しています 脂 肪 エ ネ ル ギ ー 比 率 25 20 15 10 18.9 22.3 23.6 24.5 25.3 26.4 26.3 25.3 脂 肪 から 摂 る エネルギーが 摂 取 総 量 の 20%を 超 える と 冠 動 脈 疾 患 が 増 加 すると いわれている 5 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 ( 年 ) 厚 生 労 働 省 国 民 栄 養 調 査 (~2000 年 ) 国 民 健 康 栄 養 調 査 (2005 年 )
日 本 人 の 脂 肪 肝 罹 患 率 も 増 加 していま (%) 40 30 す 健 診 受 診 者 における 脂 肪 肝 発 見 率 の 推 移 東 海 大 学 病 院 健 診 センター 各 年 度 の 初 回 受 診 者 における 頻 度 男 性 n=26597 女 性 n=17529 20 10 0 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 ( 年 ) 方 法 : 健 診 受 診 者 約 24 万 人 より 各 年 度 の 初 回 受 診 者 のみ 計 44126 人 を 選 出 し 超 音 波 検 査 による 脂 肪 肝 の 発 現 率 を 検 討 した 松 崎 松 平 : 日 本 消 化 器 病 学 会 雑 誌, 2007; 104: 492-500.
脂 肪 肝 の 罹 患 患 者 数 特 に 肥 満 の 方 での 合 併 率 が 多 くなっています 肥 満 者 脂 肪 肝 10% 12% 9% 69% 非 肥 満 + 脂 肪 肝 なし 非 肥 満 + 脂 肪 肝 あり 肥 満 + 脂 肪 肝 あり 肥 満 + 脂 肪 肝 なし 西 原 ら(NASH 診 療 Up to Date 2004)
男 女 別 の 脂 肪 肝 合 併 頻 度 男 性 のほうが 女 性 よりも 高 くなっています 男 性 女 性 21.6% 8.1% 脂 肪 肝 (+) 脂 肪 肝 (-) 西 原 利 治 著 NASH 診 療 ( 中 外 医 学 社 ) 参 考
非 飲 酒 者 での 脂 肪 肝 の 年 齢 別 頻 度 お 酒 を 飲 まない 方 では 男 性 では30 歳 代 から 多 く 女 性 では 高 齢 になるにつれて 増 加 しています (%) 30 男 性 女 性 20 10 0 ( 年 齢 ) 西 原 利 治 著 NASH 診 療 ( 中 外 医 学 社 ) 参 考
脂 肪 肝 はいろんな 病 気 を 誘 発 進 展 させ ます 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 脳 卒 中 心 筋 梗 塞 脂 肪 肝 胆 石 症 性 ホルモン 異 常 高 血 圧 糖 尿 病 高 脂 血 症 痛 風 動 脈 硬 化 ( 体 重 過 多 による) 変 形 性 膝 関 節 症 全 身 で 同 時 にいろんな 病 気 が 進 んでしまう 危 険 性 があるからです
脂 肪 肝 ができるしくみ 脂 肪 細 胞 2 脂 肪 酸 プール グルコース アミノ 酸 3 1 TG 脂 肪 肝 肝 臓 に 脂 肪 ( 中 性 脂 肪 )が 溜 まる 原 因 は 1. 食 事 から 原 料 が 過 剰 に 供 給 される(1,3) 2. 体 で 脂 肪 が 十 分 に 利 用 されず 余 ってしまう (2) 食 事 脂 肪 カイロミクロンレムナント カイロミクロン 中 性 脂 肪 には 食 事 中 の 脂 肪 由 来 のもの(1)と 食 物 の 糖 質 アミノ 酸 から 肝 臓 で 合 成 される もの(3)の2つがあり 食 事 の 脂 肪 のみを 制 限 することで 脂 肪 肝 を 防 ぐ 効 果 があります 腸 管
脂 肪 肝 の 主 な 検 査 ( 血 液 画 像 ) 血 液 検 査 血 液 検 査 は 簡 便 でかつ 多 くの 情 報 が 得 られる 有 効 な 検 査 方 法 です 脂 肪 肝 ではGOT(AST) GPT(ALT)などで 肝 機 能 の 異 常 が 約 8 割 近 く 認 められます また 脂 肪 肝 の 重 さの 目 安 がつくことが 多 く 治 療 効 果 の 確 認 にも 有 効 です γ (ガ ンマ)GTPなど 胆 道 系 酵 素 と 呼 ばれるものも 軽 度 上 昇 することがあります 脂 肪 肝 は 発 症 が 生 活 習 慣 病 と 密 接 に 関 連 しているため 血 糖 値 やコレステロール の 測 定 尿 酸 値 の 測 定 は 重 要 な 意 味 を 持 っています しかし 脂 肪 肝 が 良 性 なのか 悪 い 性 質 をもった 脂 肪 肝 なのかは 一 般 的 な 採 血 で は 不 可 能 です 画 像 検 査 腹 部 エコー 検 査 は 健 康 診 断 でも 一 般 的 に 施 行 され 経 済 性 に 優 れる 検 査 です 腹 部 超 音 波 検 査 (エコー 検 査 ) CT 検 査
脂 肪 肝 の 超 音 波 エコー 像 脂 肪 肝 の 患 者 さんでは 肝 臓 内 の 脂 肪 により 超 音 波 が 反 射 され 白 く 映 し 出 されます Robinson, P,J,A. Imaging 2004;16:364-374.
肝 脾 コントラスト(L/S 比 ) 脂 肪 肝 では 肝 超 音 波 エコー 像 が 白 く 描 出 される 肝 臓 のエコーレベルと 脾 臓 のエコーレベルに 大 きな 差 が 認 められる 肝 臓 エコーレベル/ 脾 臓 エコーレベル = L/S 比 肝 臓 エコーレベルと 右 腎 臓 エコーレベルのコントラストを 比 較 する 肝 腎 コントラスト も 脂 肪 肝 の 診 断 に 用 いられる 脂 肪 肝 の 超 音 波 エコー 像 ( 肝 脾 コントラスト) 脂 肪 肝 の 超 音 波 エコー 像 ( 肝 腎 コントラスト) 肝 臓 腎 臓 肝 臓 脾 臓 戸 田 剛 太 郎 編 図 説 消 化 器 病 シリーズ12 非 肝 炎 ウィルス 性 肝 疾 患 ー 肝 と 自 己 免 疫, 薬 物, アルコール 参 考
脂 肪 肝 の 腹 部 CT 画 像 肝 臓 に 脂 肪 が 蓄 積 されるほど 黒 く 描 出 されます 日 本 肝 臓 学 会 NASH NAFLDの 診 療 ガイド
脂 肪 肝 の 原 因 肥 満 ( 食 べ 過 ぎ) 薬 物 性 ( 副 腎 皮 質 ホルモン 剤 など) 糖 尿 病 などの 内 分 泌 疾 患 高 カロリー 輸 液 アルコール その 他
治 療 は まず 生 活 習 慣 の 改 善 から 食 事 療 法 運 動 療 法 薬 物 療 法 ( 補 助 的 ) 脂 肪 肝 の 治 療 において 食 事 療 法 運 動 療 法 はとても 重 要 です どちらか 一 方 のみでは 効 果 は 不 十 分 です
食 事 療 法 標 準 体 重 あたり 総 カロリー25 35kcal/kg 日 タンパク 質 1.0 1.5g/kg 日 脂 肪 は 総 カロリー 数 の20% 以 下 に 制 限 アルコールは 禁 止 することが 望 ましい
食 事 療 法 適 切 なエネルギー 量 は 年 齢 性 別 仕 事 の 内 容 で 大 きく 変 わってきます 基 礎 代 謝 エネルギー 日 常 生 活 運 動 で 消 費 される エネルギー 適 切 な エネルギー 量
運 動 療 法 運 動 をすると 血 管 の 中 では 筋 肉 へ : 脂 肪 酸 運 動 をすると 脂 肪 分 解 を 高 めるホルモン が 分 泌 され 血 液 の 流 れを 促 進 します 脂 肪 酸 が 速 やかに 血 管 の 中 に 取 り 込 ま れ 筋 肉 へ 運 びます 赤 筋 線 維 の 中 では 赤 筋 線 維 を 使 う 運 動 が 効 果 的!! 筋 肉 に 運 ばれた 脂 肪 酸 は 赤 筋 の 中 で 水 と 二 酸 化 炭 素 に 分 解 されます 脂 肪 酸 が 水 と 二 酸 化 炭 素 に 分 解 されます!
基 礎 代 謝 エネルギー 生 きていく 上 で 必 要 な 最 低 エネルギーです 年 齢 性 別 で 基 礎 代 謝 エネルギー 量 は 異 なります 筋 肉 が 減 少 すると 基 礎 代 謝 エネルギー 量 は 減 少 します (kcal) 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 男 性 (60kg) 女 性 (50kg) 0 ( 年 齢 )
日 常 生 活 運 動 で 消 費 されるエネル ギー(10 分 あたり) (kcal) 250 男 性 (60kg) 女 性 (50kg) 200 150 100 50 0 かなり 運 動 しないとエネルギーは 消 費 されません 腹 八 分 目 の 食 事 が 重 要 です
脂 肪 肝 のまとめ 1 食 生 活 の 乱 れや 運 動 量 の 減 少 で 患 者 さん が 増 加 しています 2 悪 い 性 格 をもった 脂 肪 肝 の 患 者 さんも 増 え ています 3 生 活 習 慣 の 改 善 ( 適 度 な 食 事 量 とカロリー 運 動 )が 治 療 への 一 番 の 近 道 であり もっと も 効 果 的 な 治 療 方 法 です
悪 い 性 格 の 脂 肪 肝 とは わたしはお 酒 を 飲 まないから 大 丈 夫 ~ とお 思 いの 方! じつは お 酒 を 飲 まなくても 進 んでしまう 脂 肪 肝 があるのです
脂 肪 肝 がひどくなると 正 常 な 肝 臓 脂 肪 肝 非 アルコール 性 肝 障 害 (NAFLD/NASH) 肝 硬 変 肝 臓 がん もともと 脂 肪 肝 は 肝 硬 変 や 肝 がんへ 進 行 しない 良 性 疾 患 と 考 えられてきました ところ が 最 近 の 研 究 では 脂 肪 肝 でも 肝 炎 が 起 こり( 脂 肪 肝 炎 ) それが 肝 硬 変 から 肝 臓 がん へと 病 気 がひどくなる 可 能 性 があることが 分 かってきました お 酒 を 飲 まない 人 に 起 こる 脂 肪 肝 を 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 炎 (NASH) と 呼 び 近 年 の 生 活 習 慣 病 の 増 加 に 伴 い 注 目 されている 肝 臓 病 です
その 名 のとおり お 酒 に 関 係 ない 脂 肪 肝 脂 肪 肝 非 アルコール 性 脂 肪 肝 (NAFLD:ナッフルディー) 非 アルコール 性 脂 肪 肝 炎 (NASH:ナッシュ) 非 アルコール 性 脂 肪 肝 (NAFLD : Non-Alcoholic Fatty Liver Disease) 明 らかな 飲 酒 歴 がなく(20g 以 下 / 日 ) 肝 障 害 の 明 らかな 原 因 がない にも 関 わらず アルコール 性 肝 障 害 に 類 似 した 肝 組 織 像 を 示 す 肝 障 害 をまとめて 呼 びます 非 アルコール 性 脂 肪 肝 炎 (NASH:Non-Alcoholic Steato Hepatitis) 非 アルコール 性 脂 肪 肝 で アルコー ル 性 脂 肪 肝 炎 に 類 似 した 肝 組 織 像 を 認 められ 一 部 に 肝 硬 変 から 肝 細 胞 がんへの 進 展 がみられます
症 例 数 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 中 高 年 の 女 性 に 多 いNASH(ナッ ~20 男 性 (n=49) 女 性 (n=61) NASHの 年 齢 分 布 シュ) 男 女 別 にみたNASH 症 例 数 30 25 20 15 10 0 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ ( 年 齢 ) 5 NASHのfibrosis(stage)と 性 差 男 性 女 性 F1 F2 F3 F4 従 来 の 報 告 ( 中 高 年 の 女 性 に 多 い)に 加 え 若 年 者 の 患 者 数 が 増 加 しています 食 生 活 の 乱 れが 原 因 の 一 つになっていると 思 われます ( 東 京 女 子 医 大 )
NASH(ナッシュ)の 原 因 1 肥 満 2 糖 尿 病 3 脂 質 代 謝 異 常 4 急 激 な 体 重 減 少 や 急 性 飢 餓 状 態 5 薬 剤 (タモキシフェン ステロイド アミオダロンなど) 6 完 全 静 脈 栄 養 前 提 として ウイルス 性 肝 炎 (B 型 C 型 ) 自 己 免 疫 性 肝 炎 薬 剤 性 肝 障 害 などを 除 外 することが 必 要 です
NASH(ナッシュ)と 肥 満 あなたのBMIはいくつですか?? 肥 満 の 判 定 指 標 に(BMI:body mass index ボディー マス インデックス) があります 日 本 人 はBMIが 22 のときに 一 番 病 気 にかかる 率 が 低 いこ とから BMI22 を 理 想 体 重 とし 25 以 上 を 太 りすぎ( 肥 満 )としています BMIの 求 め 方 : 体 重 (kg) 身 長 (m) 身 長 (m) ( 例 ) 体 重 75kg 身 長 168cmの 人 の 場 合 75 1,68 1,68=26.6 あれっ 肥 満 か も!?
NASH(ナッシュ)を 引 き 起 こすま で 内 臓 脂 肪 がたまる 鉄 分 がたまる 内 臓 脂 肪 から 炎 症 を 起 こす 物 質 が 出 さ れ 炎 症 がおこり 肝 臓 が 線 維 化 する ( 硬 くなり 働 く 力 が 弱 くなる) 正 常 な 肝 臓 脂 肪 肝 非 アルコール 性 肝 障 害 (NAFLD/NASH) 肝 硬 変 肝 臓 がん もともと 肥 満 メタボリックシンドローム 糖 尿 病 高 血 圧 脂 質 異 常 症 などがある 肝 臓 に 中 性 脂 肪 がたまる 自 覚 症 状 がないため NASHと 診 断 されたときには すでに 肝 硬 変 に 進 んでいることもある きょうの 健 康 2009.9 月 号 参 照
NASH(ナッシュ)の 疫 学 日 本 人 の 成 人 肥 満 人 口 (BMI 25) 男 性 :1,300 万 人 女 性 :1,000 万 人 日 本 人 の 成 人 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 疾 患 者 さん 約 1,000 万 人 そのうち NASH(ナッシュ): 約 100 万 人 10~20 歳 代 で 肥 満 や 糖 尿 病 が 急 増 しており 今 後 もNASHは 増 加 すると 予 想 される 臨 床 栄 養 2010.5 月 号 参 照
NASH(ナッシュ)の 診 断 ( 血 液 検 査 ) 1 血 小 板 が 少 ない 1 良 性 の 脂 肪 肝 ではなく NASH(ナッシュ)を 疑 うような 血 液 検 査 の 内 容 2 体 内 貯 蔵 鉄 量 の 指 標 である 血 清 フェリチンが 高 い 3 肝 線 維 化 マーカー(ヒアルロン 酸 Ⅳ 型 コラーゲン7S)が 高 い 4 インスリン 抵 抗 性 指 数 ( 空 腹 時 血 糖 空 腹 時 インスリン 405)が 2.5 以 上 5 ALT(GPT)がAST(GOT)よりも 高 い 上 記 のような 検 査 結 果 でNASHの 可 能 性 が 高 いといえますが 確 定 診 断 には 至 りません
NASH(ナッシュ)の 診 断 2 1 非 飲 酒 者 である エタノール 換 算 で1 日 20g 以 下 ビールだと 大 瓶 1 本 (500ml) 日 本 酒 なら1 合 まで 2 肝 組 織 所 見 が 脂 肪 肝 炎 1) 大 滴 性 の 脂 肪 沈 着 2) 炎 症 細 胞 浸 潤 3) 肝 細 胞 の 風 船 様 腫 大 3 他 の 原 因 による 肝 疾 患 の 除 外 ウイルス 性 肝 炎 自 己 免 疫 性 肝 炎 ではない
NASH(ナッシュ)の 診 断 に 肝 臓 の 生 検 は 必 須 です 診 断 のために 肝 臓 の 組 織 をとって 病 理 検 査 を 行 います これによって 単 純 性 脂 肪 肝 ( 良 性 疾 患 )との 鑑 別 だけでなく 脂 肪 や 炎 症 さらに 線 維 化 の 進 行 具 合 ( 肝 硬 変 にどれくらい 近 づいているか)が 分 かります 具 体 的 には 肝 生 検 とは 1 皮 膚 の 上 から 注 射 針 を 刺 します 2 肝 臓 から 極 微 量 ( 約 100mg)の 肝 細 胞 を 取 り 出 します 3さまざまな 検 査 が 必 要 のため 入 院 して 行 います
NASH(ナッシュ)の 肝 生 検 所 見 線 維 に 囲 まれる 脂 肪 で 風 船 様 に 腫 大 した 肝 細 胞 が 認 められます HE 染 色 : Hematoxilin-Eosin 染 色 日 本 肝 臓 学 会 NASH NAFLDの 診 療 ガイド
NASH(ナッシュ)の 治 療 食 事 療 法 運 動 療 法 で 生 活 習 慣 を 改 善 炎 症 や 線 維 化 を 抑 えるための 薬 物 療 法
炎 症 や 線 維 化 を 薬 で 抑 えましょう 日 常 生 活 の 是 正 食 事 療 法 運 動 療 法 インスリン 抵 抗 性 改 善 薬 チアゾリジン 誘 導 体 ビグアナイド 薬 ナテグリニド 肝 臓 用 薬 ウルソデオキシコール 酸 タウリン 強 力 ネオミノファーゲン シー ポリエンホスファチジル コリン 細 胞 障 害 メタボリック シンドローム 脂 肪 肝 酸 化 ストレス 非 アルコール 性 脂 肪 肝 炎 (NASH) 脂 質 異 常 症 治 療 薬 フィブラート 系 薬 剤 HMG-CoA 還 元 酵 素 阻 害 薬 プロブコール 抗 酸 化 療 法 ビタミン ベタイン N- acetylcysteine 瀉 血 療 法 日 本 肝 臓 学 会 NASH NAFLDの 診 療 ガイド 参 照
本 日 のまとめ 最 近 食 生 活 の 欧 米 化 と 運 動 不 足 により お 酒 を 飲 まないのに 脂 肪 肝 になる 方 が 増 えてきました 悪 い 性 格 の 脂 肪 肝 はひどくなると NASH(ナッシュ)と 呼 ばれる 炎 症 性 の 肝 炎 になることがわかっています NASH(ナッシュ)は 約 10%の 脂 肪 肝 の 方 にあると 予 想 されます が 肝 生 検 を 躊 躇 される 方 が 多 く 確 定 診 断 をつけにくいのが 現 状 です 健 康 診 断 で 軽 い 肝 機 能 障 害 や 脂 肪 肝 と 言 われたら 詳 しい 血 液 検 査 CT 検 査 の 測 定 で 肝 臓 の 脂 肪 量 をはかりましょう まずはバランスのとれた 食 事 と 適 度 な 運 動 が 必 要 なので 生 活 習 慣 の 改 善 から 始 めましょう
日 本 人 におけるNASH 由 来 の 肝 細 胞 がん 発 がん 率 は 10% 以 上 です (%) 50 5 年 後 の 肝 細 胞 がん 発 がん 率 40 p=0.185 発 が ん 率 30 20 10 11.3% 30.5% 0 NASH 由 来 の 肝 硬 変 患 者 (n=68) 検 定 方 法 :Kaplan-Meier 法 log-rank 検 定 NASH:Non-Alcoholic Steato Hepatitis 非 アルコール 性 脂 肪 肝 炎 HCV:Hepatitis C Virus 対 象 :NASH 由 来 の 肝 硬 変 患 者 68 例 およびC 型 肝 炎 ウィルス 由 来 の 肝 硬 変 患 者 69 例 方 法 : 対 象 を5 年 間 前 向 きに 追 跡 し 肝 細 胞 がん 発 がん 率 を 肝 生 検 により 評 価 した HCV 由 来 の 肝 硬 変 患 者 (n=69) Yatsuji S, et al: J Gastroenterol Hepatol, 2009; 24: 248-254.
健 診 例 の32%が 脂 肪 肝 を 合 併 しています メタボリックシンドローム 合 併 率 が 高 く 肥 満 傾 向 にあり ます 健 診 受 診 者 における 脂 肪 肝 合 併 率 (%) 30 メタボリックシンドローム 合 併 率 p<0.001 (kg/m 2 ) 30 BMI 25 26 p<0.001 32% 20 25 25.1 15 10 20 22.3 5 3 0 脂 肪 肝 (+) 脂 肪 肝 (-) 脂 肪 肝 (+) 脂 肪 肝 (-) BMI:Body mass index 検 定 方 法 :Mann-Whitney U 検 定 Wilcoxon 符 号 付 き 順 位 和 検 定,χ 2 検 定 またはFisher 正 確 確 率 検 定 ( 両 側 ) 15 対 象 : 日 本 人 健 診 受 診 者 1,578 例 ( 男 性 1208 例 35~69 歳 ) 方 法 : 超 音 波 検 査 により 脂 肪 肝 保 有 率 を 検 討 し 脂 肪 肝 保 有 例 (501 例 32%)と 非 保 有 例 (1,077 例 )に 分 類 脂 肪 肝 有 無 別 における 臨 床 的 特 性 を 比 較 検 討 した Omagari K, et al: J Clin Biochem Nutr, 2009; 45: 56-67.
脂 肪 肝 の 頻 度 ( 男 女 別 ) (%) 30 25 脂 肪 肝 は 性 別 年 齢 でも 合 併 率 が 異 なります 閉 経 後 の 女 性 で 急 速 に 多 くなってきます 6366 9475 5119 1765 1387 *** 男 性 (23,819) 女 性 (15,332) 脂 肪 肝 の 頻 度 20 15 10 651 5904 *** 3737 *** 319 *** 443 *** 数 値 はn 数 5 442 *** 3543 *** X 2 検 定 P<0.0001 (40 代 との 比 較 ) 0 20 代 未 満 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 以 上 年 齢 ( 歳 ) Kojima S, et al: J Gastroentrol, 2003; 38: 954-961.
病 理 学 的 組 織 診 断