いであ 株 式 会 社 ジエチレングリコール Diethylene glycol 対 象 物 質 の 構 造 式 HO O OH ジエチレングリコール CAS 番 号 111-46-6 物 理 化 学 的 性 状 分 子 量 融 点 ( ) 1) 沸 点 ( ) 1) 比 重 1) 蒸 気 圧 (Pa) 1) log P ow 1) 水 溶 解 度 1) 106.12-6.5~ -10.5 245 1.12 2 (20 ) -1.98 ( 文 献 値 ) 水 と 自 由 に 混 合 (1) 国 際 化 学 物 質 安 全 性 カ ー ド ( ICSC ) : ジ エ チ レ ン グ リ コ ー ル http://www.nihs.go.jp/icsc/ 毒 性 用 途 吸 入 の 危 険 性 1) :20 で 気 化 したとき 空 気 は 汚 染 されても 有 害 濃 度 には 達 し ないか 達 してもきわめて 遅 い 短 期 暴 露 の 影 響 1) : 眼 皮 膚 気 道 を 刺 激 する 中 枢 神 経 系 肝 臓 腎 臓 に 影 響 を 与 えることがある 意 識 を 喪 失 することがある 用 途 2) :プラスチック 用 印 刷 インキ ソルブルオイル 繊 維 用 接 着 剤 ブレー キ 油 可 塑 剤 セメント 混 和 剤 など 548
1 分 析 法 (1) 分 析 法 の 概 要 等 大 気 試 料 を 大 気 捕 集 用 カートリッジ(Autoprep@シリーズ PS@gas(300mg)) に 捕 集 する(1.2 L/min で 24 時 間 ) 捕 集 後 アセトンでジエチレングリコール (DEG)を 溶 出 し クリーンナップスパイクとして 1,4-ブタン-d 8 -ジオール (1,4-BD-d 8 )を 添 加 して 濃 縮 する 濃 縮 液 に 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 を 加 えて HFB 誘 導 体 化 を 行 い HFB 誘 導 体 をヘキサンで 抽 出 する シリンジスパイクと して 13 C 6 -ヘキサクロロベンゼン( 13 C 6 -HCB)を 添 加 して GC/NCI-MS(SIM)によ り 定 量 する( 注 5) (2) 試 薬 器 具 試 薬 ジエチレングリコール(DEG): 和 光 純 薬 工 業 ( 株 ) 製 1,4-ブタン-d 8 -ジオール(1,4-BD-d 8 ):CDN 社 製 13 C 6 -ヘキサクロロベンゼン( 13 C 6 -HCB):CDN 社 製 アセトン: 残 留 農 薬 試 験 用 アセトニトリル: 残 留 農 薬 試 験 用 ヘキサン: 残 留 農 薬 試 験 用 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 : 和 光 純 薬 工 業 ( 株 ) 製 無 水 硫 酸 ナトリウム: 残 留 農 薬 試 験 用 大 気 捕 集 用 カートリッジ:Autoprep@シリーズ PS@gas(300 mg) 昭 和 電 工 ( 株 ) 製 二 連 結 したものをアセトン 5 ml で 3 回 洗 浄 後 アセトンが 乾 燥 するまで 通 気 を 行 い 後 段 のカートリッジを 大 気 捕 集 用 に 使 用 する 前 段 のカートリッジ はアセトンで 洗 浄 後 再 使 用 が 可 能 である 精 製 水 : 純 水 製 造 装 置 (ミリポア 社 製 Milli-Q Gradient System A10)により 精 製 した 水 をそのまま 使 用 した 試 薬 の 安 定 性 毒 性 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 は 強 い 刺 激 臭 と 腐 食 性 があるため 取 り 扱 いに 注 意 する また 反 応 性 が 強 く 湿 気 により 失 活 していくので 保 存 にも 注 意 する 549
器 具 装 置 電 子 天 秤 真 空 マニホールド( 大 気 捕 集 用 カートリッジのコンディショニング に 使 用 ) ガラス 製 シリンジ 目 盛 り 付 き 試 験 管 窒 素 ガス 濃 縮 装 置 パスツー ルピペット メスピペット ホールピペット リアクティバイアル マイクロ シリンジ 超 音 波 洗 浄 器 ブロックヒーター (3) 分 析 法 試 料 の 採 取 及 び 輸 送 保 存 環 境 省 化 学 物 質 環 境 調 査 における 試 料 採 取 にあたっての 留 意 事 項 に 従 う 大 気 捕 集 用 カートリッジ PS@gas を 予 めアセトン 5 ml で 3 回 洗 浄 し 通 気 によ り 乾 燥 させたものを 両 端 キャップで 密 閉 し 試 料 採 取 に 用 いる( 通 気 乾 燥 の 際 には 吸 入 側 に 汚 染 防 止 のための PS@gas カートリッジを 装 着 する) 試 料 採 取 は 流 速 1.2 L/min で 24 時 間 行 い( 約 1728 L) 採 取 後 はすみやかに 両 端 を 密 栓 して 密 封 袋 にて 遮 光 冷 蔵 して 輸 送 する 試 料 採 取 後 は 速 やかに 処 理 を 行 うこととし 直 ちに 処 理 できない 場 合 は 冷 暗 所 で 保 存 する( 大 気 中 で 検 出 される 物 質 であるため 汚 染 には 充 分 注 意 する) 試 料 の 前 処 理 及 び 試 料 液 の 調 製 大 気 試 料 を 採 取 した PS@gas カートリッジに 高 純 度 窒 素 を 流 して 乾 燥 後 ( 注 1) アセトン 6 ml を 流 して 対 象 物 質 を 溶 出 させる 溶 出 液 にクリーンナップスパイ クとして 1,4-BD-d 8 を 20 ng 添 加 した 後 窒 素 気 流 により 2 ml 未 満 まで 濃 縮 を 行 う 濃 縮 後 の 試 料 液 を 2 ml リアクティバイアルに 移 し 窒 素 気 流 により 更 に 20 µl 程 度 まで 濃 縮 を 行 う 濃 縮 後 のリアクティバイアルにアセトニトリル 100 µlと 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 100 µlを 加 え すぐに 密 栓 して 混 合 する 混 合 後 60 で 60 分 間 誘 導 体 化 を 行 う( 注 2) 誘 導 体 化 終 了 後 リアクティバイアルを 室 温 まで 冷 まし 精 製 水 0.5 ml とヘ キサン 0.5 ml を 加 えて 激 しく 混 合 し( 注 3) DEG-ヘプタフルオロ 酪 酸 誘 導 体 (DEG-HFB 誘 導 体 )を 抽 出 する パスツールピペットでヘキサン 層 を 採 取 し 更 にヘキサン 0.5 ml を 加 えて 抽 出 を 行 う( 注 4) ヘキサン 抽 出 液 を 合 わせ 窒 素 気 流 により 1 ml 未 満 に 濃 縮 し 13 C 6 -HCB を 10 ng 添 加 した 後 1 ml に 定 容 す る 定 容 後 無 水 硫 酸 ナトリウムを 加 えて 脱 水 し 測 定 用 バイアルに 試 料 液 を 採 取 して GC/NCI-MS により 測 定 を 行 う 550
空 試 験 液 の 調 製 大 気 試 料 の 捕 集 を 行 わずに 大 気 捕 集 用 カートリッジを 試 料 の 前 処 理 及 び 試 料 液 の 調 製 の 項 に 従 って 処 理 し 得 られた 試 験 液 を 空 試 験 液 とする 標 準 液 の 調 製 [ 標 準 原 液 ] DEG 100 mg を 秤 量 し アセトニトリルで 100 ml に 定 容 して DEG 原 液 (1000 µg/ml)とする [クリーンナップスパイク 及 びシリンジスパイク] クリーンナップスパイクとして 使 用 する 1,4-BD-d 8 100 mg を 秤 量 し アセト ニトリルで 100 ml に 定 容 してサロゲート 原 液 (1000 µg/ml)とする 原 液 をア セトニトリルで 希 釈 してクリーンナップスパイク 溶 液 (5 µg/ml)とする シリンジスパイクとして 使 用 する 13 C 6 -HCB 10 mg を 秤 量 し ヘキサンで 100 ml に 定 容 してシリンジスパイク 原 液 (100 µg/ml)とする 原 液 をヘキサンで 希 釈 してシリンジスパイク 溶 液 (5 µg/ml)とする [ 検 量 線 用 標 準 液 ] 標 準 原 液 をアセトニトリルで 希 釈 し 0 及 び 0.05~5 ng/µl の 範 囲 に 亘 る 計 5 種 類 以 上 の 濃 度 で 検 量 線 溶 液 調 製 用 の 希 釈 系 列 を 作 製 する この 希 釈 系 列 そ れぞれ 100 µl と 5 µg/ml クリーンナップスパイク 溶 液 20 µl をリアクティバ イアルに 分 取 する これに 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 100µL を 加 え すぐに 密 栓 して 混 合 する 混 合 後 60 で 60 分 間 誘 導 体 化 を 行 う( 注 2) 誘 導 体 化 終 了 後 リアクティバイアルを 室 温 まで 冷 まし 精 製 水 0.5 ml とヘ キサン 0.5 ml を 加 えて 激 しく 混 合 し( 注 3) DEG-HFB 誘 導 体 を 抽 出 する パ スツールピペットでヘキサン 層 を 採 取 し 更 にヘキサン 0.5 ml を 加 えて 抽 出 を 行 う( 注 4) ヘキサン 抽 出 液 を 合 わせ 5 µg/ml シリンジスパイク 溶 液 を 10 µl 添 加 し ヘキサンを 加 えて 5 ml に 定 容 する 各 標 準 溶 液 は DEG を 0 及 び 1~100 ng/ml 1,4-BD-d 8 を 20 ng/ml 13 C 6 -HCB を 10 ng/ml 含 んでいる 551
測 定 GC/MS 条 件 ( 注 5) GC/MS 機 器 ( 例 ):GC ; HP6890(Agilent 社 製 ) MS ; BU-20( 日 本 電 子 社 製 ) カラム: DB-5((5%フェニル)メチルポリシロキサン)30 m 0.25 mm i.d. 膜 厚 0.25 µm(j&w 社 製 ) 昇 温 条 件 :40 (1 min)-->10 /min--> 240 (4 min) 注 入 法 :スプリットレス(パージ 開 始 時 間 1 min) 注 入 口 温 度 :200 キャリヤーガス:ヘリウム( 流 量 1 ml/min) 注 入 量 :1 µl インターフェース 温 度 :240 イオン 源 温 度 :150 イオン 化 電 圧 :70 V イオン 化 法 : 負 イオン 化 学 イオン 化 (NCI) 検 出 モード:SIM 法 モニターm/z:DEG-HFB 誘 導 体 478.0( 定 量 用 ) 498.0( 確 認 用 ) 1,4-BD-d 8 HFB 誘 導 体 (クリーンナップスパイク) 469.1( 定 量 用 ) 490.1( 確 認 用 ) 13 C 6 -HCB(シリンジスパイク) 289.8( 定 量 用 ) 291.8( 確 認 用 ) 検 量 線 標 準 溶 液 1 µl を GC/MS に 導 入 して 測 定 する 希 釈 系 列 の 測 定 で 得 られる 各 クロマトグラムにおいて 標 準 物 質 のピーク 面 積 を 内 標 準 物 質 のピーク 面 積 で 割 って 得 られる 比 を 計 算 し 検 量 線 の 縦 軸 とする 分 析 した 検 量 線 用 標 準 溶 液 に 含 まれる 標 準 物 質 の 濃 度 を 内 標 準 物 質 の 濃 度 で 割 って 得 られる 比 を 計 算 し 検 量 線 の 横 軸 とする 最 小 二 乗 法 により 一 次 の 検 量 線 を 作 成 し 関 係 式 及 び 寄 与 率 (r 2 )を 計 算 する 寄 与 率 が 0.995 以 上 であることを 確 認 する 定 量 試 料 液 1 µl を GC/MS に 注 入 し 対 象 物 質 のピーク 面 積 を 内 標 準 のピーク 面 積 で 割 った 比 から 検 量 線 を 基 にして 対 象 物 質 濃 度 を 内 標 準 物 質 濃 度 で 割 っ た 比 (R)を 算 出 する 552
濃 度 の 算 出 大 気 中 の 物 質 濃 度 C (ng/m 3 )は 次 式 により 算 出 する C = (( R Q - R BL Q ) / V ) (( 273 + t ) / ( 273 + 20.0 )) ( 101 / P ) R : 当 該 試 料 において 検 量 線 から 求 めた( 対 象 物 質 濃 度 / 内 標 準 物 質 濃 度 )の 比 R BL : 空 試 験 溶 液 において 検 量 線 から 求 めた( 対 象 物 質 濃 度 / 内 標 準 物 質 濃 度 )の 比 Q : 試 料 に 添 加 した 内 標 準 の 量 (ng)( 添 加 する 内 標 準 の 濃 度 (ng/µl) 添 加 量 (µl)) 本 法 では Q = 5 ng/µl 10 µl = 50 ng となる V : 大 気 採 取 量 (m 3 ) t : 試 料 採 取 時 の 平 均 気 温 ( ) P : 試 料 採 取 時 の 気 圧 (kpa) 装 置 検 出 下 限 (IDL) 本 分 析 に 用 いた GC/NCI-MS の IDL を 下 表 に 示 す( 注 6) 物 質 名 IDL(ng/mL) 試 料 量 (m 3 ) 試 料 濃 度 換 算 値 (µg/ m 3 ) ジエチレングリコール 0.14 1.728 0.000081 測 定 方 法 の 検 出 下 限 (MDL) 本 分 析 法 の 検 出 下 限 (MDL) 及 び 定 量 下 限 (MQL)を 下 表 に 示 す( 注 7) ただし 操 作 ブランクが 検 出 されたので 操 作 ブランクの 繰 り 返 し 測 定 から 算 出 したも のである 物 質 名 検 出 下 限 (MDL) (µg/ m 3 ) 定 量 下 限 (MQL) (µg/ m 3 ) ジエチレングリコール 0.0011 0.0015 MDL=Blank 平 均 値 + t (n-1, 0.05) σ n-1 2 MQL= Blank 平 均 値 +σ n-1 10 553
注 解 ( 注 1) 乾 燥 が 不 十 分 だと 後 の 誘 導 体 化 を 阻 害 する 恐 れがあるため 乾 燥 は 充 分 に 行 う ( 注 2) 室 温 ではアセトニトリルと 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 が 分 離 するため リ アクティバイアルが 充 分 に 加 熱 されたところで 振 り 混 ぜて 混 合 してや る 反 応 時 間 は 混 合 してからの 時 間 である ( 注 3)Vortex mixer 等 が 便 利 である ( 注 4)ヘキサン 層 を 採 取 した 後 少 量 のヘキサンを 加 えてバイアル 内 部 を 洗 浄 することで 回 収 率 の 精 度 向 上 を 図 ることができる ( 注 5)GC/MS のイオン 化 法 は 負 イオン 化 学 イオン 化 を 採 用 することとしたが 必 要 とする 感 度 及 び 選 択 性 に 支 障 が 無 ければ 電 子 イオン 化 でも 測 定 可 能 である 電 子 イオン 化 の 場 合 の 測 定 例 を 図 1-1~4 に 示 す 図 1-4 の 環 境 試 料 測 定 時 では 確 認 用 m/z である m/z 169 のベースライン の 上 昇 が 見 られ 低 濃 度 付 近 では m/z 241 と m/z 169 の 比 率 が 標 準 溶 液 の 比 率 と 一 致 しないことがあったため 注 意 が 必 要 である GC/MS 機 器 ( 例 ):GC ; HP6890(Agilent 社 製 ) MS ; HP5973MSD(Agilent 社 製 ) カラム: DB-5((5%フェニル)メチルポリシロキサン)30 m 0.25 mm i.d. 膜 厚 0.25 µm(j&w 社 製 ) 昇 温 条 件 :40 (1 min)-->10 /min--> 240 (4 min) 注 入 法 :スプリットレス(パージ 開 始 時 間 1 min) 注 入 口 温 度 :200 キャリヤーガス:ヘリウム( 流 量 1 ml/min) 注 入 量 :1 µl インターフェース 温 度 :240 イオン 源 温 度 :230 イオン 化 電 圧 :70 V イオン 化 法 : 電 子 イオン 化 検 出 モード:SCAN 法 定 量 用 m/z:deg-hfb 誘 導 体 241( 定 量 用 ) 169( 確 認 用 ) 1,4-BD-d 8 HFB 誘 導 体 (クリーンナップスパイク) 62( 定 量 用 ) 169( 確 認 用 ) 69( 確 認 用 ) 13 C 6 -HCB(シリンジスパイク) 289.8( 定 量 用 ) 291.8( 確 認 用 ) 554
アハ ンタ ンス 35000 Scan 676 (8.985 min): CALI18.D 241 30000 25000 20000 15000 169 10000 5000 69 m/z--> 0 100 119 213 50 81 131 150 197 181 225 253 271284295 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 図 1-1 DEG-HFB 誘 導 体 の GC/EI-MS スペクトル アハ ンタ ンス 16000 62 Scan 482 (7.865 min): CALI12.D 14000 12000 10000 8000 6000 169 4000 m/z--> 2000 0 100 119 243 51 150 197 78 131 89 183 208 229 261 281 298 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 図 1-2 1,4-BD-d 8 -HFB 誘 導 体 の GC/EI-MS スペクトル 555
アハ ンタ ンス 30000 イオン 241.00 (240.70 ~ 241.70): CALI05.D 8.52 25000 20000 15000 10000 5000 DEG-HFB 0 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 Time--> アハ ンタ ンス イオン 169.00 (168.70 ~ 169.70): CALI05.D 14000 8.51 12000 10000 7.37 8000 6000 4000 2000 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 Time--> アハ ンタ ンス イオン 62.00 (61.70 ~ 62.70): CALI05.D 25000 7.37 20000 15000 10000 5000 1,4-BD-d8-HFB Time--> 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 図 1-3 GC/EI-MS による 標 準 溶 液 測 定 時 のマスクロマトグラム (1,4-BD-d 8 :50 ng/ml DEG:50 ng/ml) アハ ンタ ンス イオン 241.00 (240.70 ~ 241.70): SAMPLE05.D 50000 6.45 8.51 40000 30000 20000 10000 0 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 Time--> アハ ンタ ンス DEG-HFB イオン 169.00 (168.70 ~ 169.70): SAMPLE05.D 80000 70000 60000 50000 40000 30000 20000 6.44 7.08 7.45 7.74 8.51 9.59 Time--> アハ ンタ ンス 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 16000 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 Time--> 6.00 6.50 7.00 7.50 8.00 8.50 9.00 9.50 図 1-4 イオン 62.00 (61.70 ~ 62.70): SAMPLE05.D 7.37 1,4-BD-d8-HFB GC/EI-MS による 環 境 試 料 測 定 時 のマスクロマトグラム (1,4-BD-d 8 :50 ng/ml) 556
( 注 6) 装 置 検 出 下 限 (IDL)は 環 境 省 化 学 物 質 環 境 実 態 調 査 実 施 の 手 引 き 平 成 17 年 3 月 に 従 い 以 下 の 通 り 算 出 した 物 質 ジエチレングリコール 試 料 量 (m 3 ) 1.728 最 終 液 量 (ml) 1.0 注 入 液 濃 度 (ng/ml) 1.0 装 置 注 入 量 (µl) 1 結 果 1 0.994 結 果 2 0.989 結 果 3 0.904 結 果 4 0.958 結 果 5 0.964 結 果 6 0.914 結 果 7 0.983 平 均 値 0.9579 標 準 偏 差 0.036 IDL(ng/mL) 0.14 IQL(ng/mL) 0.36 IDL 試 料 換 算 値 (ng/m 3 ) 0.081 S/N 27 CV(%) 3.7 IDL= t (n-1, 0.05) σ n-1 2 IQL=σ n-1 10 図 2 IDL( 注 入 量 1 pg)の SIM クロマトグラム(m/z = 478.0) 557
( 注 7) 操 作 ブランクが 検 出 されたため 分 析 法 の 検 出 下 限 (MDL)は 操 作 ブラン ク 試 験 の 繰 り 返 しにより 下 記 のとおり 求 めた 物 質 名 ジエチレングリコール 試 料 量 (m 3 ) 1.728 標 準 添 加 量 (ng) - 試 料 換 算 濃 度 (µg/m 3 ) - 最 終 液 量 (ml) 1.0 注 入 液 濃 度 (ng/ml) - 装 置 注 入 量 (µl) 1 結 果 1(ng/m 3 ) 0.747 結 果 2(ng/m 3 ) 0.846 結 果 3(ng/m 3 ) 0.671 結 果 4(ng/m 3 ) 0.724 結 果 5(ng/m 3 ) 0.759 結 果 6(ng/m 3 ) 0.764 結 果 7(ng/m 3 ) 0.885 平 均 値 (ng/m 3 ) 0.7708 標 準 偏 差 (ng/m 3 ) 0.073 MDL(ng/m 3 ) 1.1 MQL(ng/m 3 ) 1.5 S/N 39 CV(%) 9.4 MDL=Blank 平 均 値 + t (n-1, 0.05) σ n-1 2 MQL= Blank 平 均 値 +σ n-1 10 558
2 解 説 分 析 法 フローチャート 分 析 法 のフローチャートを 図 3 に 示 す 大 気 試 料 捕 集 溶 出 濃 縮 HFB 誘 導 体 定 容 GC/NCI-MS 1.2 L/min. 24 hours アセトン 6 ml アセトニトリル 1 ml 13 C 6-HCB 10 ng PS@gas カートリッジ 1,4-BD-d 8 20 ng 100 µl 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 図 3 分 析 フロー 100 µl 検 量 線 及 びマススペクトル 図 4 に 検 量 線 図 5-1~3 に 対 象 物 質 と 内 標 準 のマススペクトルを 示 す 面 積 比 ( 対 象 物 質 / 内 標 準 物 質 ) 10 8 6 4 2 0 内 標 準 :1,4-BD-d 8 20ng/mL y = 1.9104x - 0.0491 R 2 = 0.9997 0 1 2 3 4 5 濃 度 比 ( 対 象 物 質 / 内 標 準 物 質 ) 面 積 比 ( 対 象 物 質 / 内 標 準 物 質 ) 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 ( 参 考 ) 内 標 準 : 13 C 6 -HCB 10 ng/ml y = 0.298x + 0.0168 R 2 = 0.997 0 2 4 6 8 10 図 4 濃 度 比 ( 対 象 物 質 / 内 標 準 物 質 ) DEG の 検 量 線 ( 対 象 物 質 濃 度 範 囲 0~100 ng/ml) 559
[M-HF] - M - 図 5-1 DEG-HFB 誘 導 体 の GC/NCI-MS スペクトル [M-DF] - M - 図 5-2 1,4-BD-d 8 -HFB 誘 導 体 の GC/NCI-MS スペクトル 560
図 5-3 13 C 6 -HCB の GC/NCI-MS スペクトル 誘 導 体 化 測 定 法 の 選 定 DEG は 極 性 が 非 常 に 高 く 目 標 下 限 値 が 0.33 ng/m 3 と 低 濃 度 であるため GC により 高 感 度 分 析 を 行 うためには 誘 導 体 化 により 揮 発 性 を 高 めるだけでなく 感 度 選 択 性 のより 高 い 測 定 法 が 望 ましいと 考 えられる そのため 水 酸 基 を パーフルオロアシル 化 で 誘 導 体 化 し 揮 発 性 電 子 親 和 性 を 高 めたものを GC/ 負 イオン 化 学 イオン 化 -MS で 検 出 する 方 法 を 採 用 することとした また パーフルオロアシル 化 の 誘 導 体 化 試 薬 として 下 記 の 4 つを 検 討 した 1-(トリフルオロアセチル)イミダゾール N-メチルビス(トリフルオロアセトアミド) 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 無 水 トリフルオロ 酢 酸 これらの 中 で 明 瞭 な 誘 導 体 のピークが 確 認 できたのは 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 のみであったため 本 検 討 では 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 による HFB 誘 導 体 化 を 採 用 することとした 561
誘 導 体 化 条 件 の 検 討 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 による HFB 誘 導 体 化 の 条 件 検 討 を 行 った 室 温 で 15 分 間 反 応 させたときを 100%とし それに 対 する 割 合 を 各 反 応 温 度 時 間 について 求 めて 反 応 率 として 表 した 結 果 を 図 6 に 示 す なお 誘 導 体 化 反 応 の 際 の 溶 媒 はアセトニトリル 100 µl 無 水 ヘプタフルオ ロ 酪 酸 の 添 加 量 は 100 µl とした 120 100 反 応 率 (%) 80 60 40 20 室 温 14BD-d8 室 温 DEG 60 14BD-d8 60 DEG 0 15min. 30min. 60min. 90min. 反 応 時 間 図 6 各 反 応 時 間 における HFB 誘 導 体 化 反 応 率 誘 導 体 化 反 応 は 室 温 で 15 分 以 内 にほぼ 終 了 していることがわかった しかし アセトニトリル 100 µl に 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 100 µl を 添 加 した 場 合 室 温 では 両 試 薬 が 混 合 せずに 2 層 に 分 かれることがあるため 反 応 温 度 は 60 を 採 用 することとした また 反 応 時 間 は 余 裕 を 持 って 60 分 間 を 採 用 することとし た クリーンナップスパイクの 検 討 DEG の 安 定 同 位 体 標 識 化 合 物 は 過 去 に 市 販 されていたが 現 在 は 市 販 されて いない そのため クリーンナップスパイクとして 化 学 的 性 質 が 近 いと 思 われ る 1,4-Butane-d 8 -diol を 採 用 することとした(トリエチレングリコールの 標 識 化 合 物 の 市 販 品 は 見 つけることができなかった) 今 後 DEG の 安 定 同 位 体 標 識 化 合 物 が 入 手 できた 場 合 は そちらを 使 用 する ことが 望 ましい 562
大 気 捕 集 用 カートリッジからの 溶 出 大 気 捕 集 用 カートリッジからの 溶 出 を 確 認 するために PS@gas カートリッジ に DEG を 直 接 添 加 した 後 大 気 を 捕 集 せずにアセトンで 溶 出 を 行 った PS@gas カートリッジからアセトン 6 ml で 全 量 が 溶 出 可 能 であった 表 1 PS@gas カートリッジからの 溶 出 率 ( 添 加 量 200 ng) アセトン 0-2 ml 2-4 ml 4-6 ml 6-8 ml 8-10 ml 合 計 溶 出 率 試 行 -1 81 19 4 0 0 103 [%] 試 行 -2 77 21 4 1 0 103 添 加 回 収 試 験 PS@gas の 捕 集 効 果 を 確 認 するために 添 加 回 収 試 験 を 行 い DEG の 保 持 率 *1 を 確 認 した 保 持 率 については 大 気 中 に DEG が 無 視 できない 量 で 検 出 されたため DEG を 添 加 したカートリッジの 前 段 に 同 じカートリッジを 装 着 し 大 気 中 の DEG を 除 き, 後 段 のカートリッジについて 測 定 を 行 って 求 めた また DEG が 大 気 中 から 検 出 できることから カートリッジを 二 連 結 して 実 際 に 大 気 捕 集 を 行 うことで 捕 集 率 *2 の 確 認 も 行 った なお 温 度 については 恒 温 槽 内 で 試 験 を 実 施 したため 35 でほぼ 一 定 の 条 件 であった 湿 度 については カートリッジ 直 前 に 精 製 水 を 入 れたガス 洗 浄 瓶 を 繋 げて 試 験 を 実 施 することで 90%を 維 持 した 湿 度 35%の 条 件 は 特 に 湿 度 調 整 を 行 わなかったものである *1 保 持 率 :カートリッジに 直 接 DEG を 添 加 して 大 気 捕 集 を 行 った 際 の 回 収 率 今 回 は 添 加 量 20ng で 実 施 した *2 捕 集 率 :カートリッジを 二 連 結 して 対 象 物 質 が 存 在 する 大 気 を 捕 集 し カートリッジの 前 段 と 後 段 を 別 々に 測 定 することで 対 象 物 質 がどれだけ 前 段 に 保 持 されるかを 表 す こ こでは 捕 集 率 (%)= 前 段 存 在 量 /( 前 段 存 在 量 + 後 段 存 在 量 ) 100 で 表 した 表 2 添 加 回 収 試 験 結 果 ( 保 持 率 ) 添 加 量 :20ng 保 持 率 (%) [n=3] 35 ( 恒 温 ) 湿 度 35% 定 量 用 内 標 準 平 均 値 CV(%) 13 C-Hexachlorobenzene 130 14 1,4-Butane-d 8 -diol 117 13 563
表 3 添 加 回 収 試 験 結 果 ( 捕 集 率 ) 添 加 量 :20ng 捕 集 率 (%) [n=3] 捕 集 率 (%) [n=2] 35 ( 恒 温 ) 湿 度 35% 35 ( 恒 温 ) 湿 度 90% 定 量 用 内 標 準 平 均 値 CV(%) 平 均 値 CV(%) 13 C-Hexachlorobenzene 99.4 3.8 - - 1,4-Butane-d 8 -diol 99.4 7.0 99.3 - 操 作 ブランク 試 験 操 作 ブランク 試 験 を 実 施 したところ 目 標 下 限 値 0.33 ng/m 3 を 超 える 濃 度 (0.67 ~0.88 ng/m 3 平 均 0.77 ng/m 3 )で 検 出 された なお 分 析 操 作 を 行 う 部 屋 を 変 え 屋 外 大 気 と 室 内 大 気 の 換 気 を 良 く 行 って 再 度 操 作 ブランク 試 験 を 行 ったが 大 幅 な 減 少 もみられなかった(0.53~0.77 ng/m 3 平 均 0.64 ng/m 3 ) なお 操 作 ブランクの 繰 り 返 し 測 定 より MDL を 算 出 したとこ ろ 1.1 ng/m 3 であった(MDL=Blank 平 均 値 + t (n-1, 0.05) σ n-1 2) ジエチレングリコールは 大 気 中 に 比 較 的 高 濃 度 で 存 在 すると 予 想 されるため この 感 度 で 実 際 の 環 境 調 査 への 適 用 が 可 能 かどうかを 評 価 することとした 環 境 大 気 分 析 への 適 用 についての 評 価 本 分 析 法 により 所 内 敷 地 内 ( 静 岡 県 大 井 川 町 )で 環 境 大 気 試 料 の 測 定 を 行 っ たところ 晴 天 時 ではジエチレングリコールが 16 ng/m 3 (24 時 間 捕 集 ) 降 雨 時 では 5.3 ng/m 3 ( 朝 ~ 夜 の 12 時 間 捕 集 )の 濃 度 で 検 出 された また 降 雨 後 ではあるが 人 間 活 動 が 減 る 夜 間 のみサンプリングを 行 って 測 定 したところ 8.6 ng/m 3 の DEG が 検 出 された 564
標 準 溶 液 環 境 試 料 及 び 添 加 回 収 試 験 のクロマトグラム 図 7 に 標 準 溶 液 図 8 に 操 作 ブランク 図 9 に 環 境 大 気 試 料 のクロマトグラム を 示 す 1,4-BD-d 8 -HFB DEG-HFB 13 C 6 -HCB 図 7 標 準 溶 液 のクロマトグラム (DEG:50 ng/ml 1,4-BD-d 8 :20 ng/ml 13 C 6 -HCB:10 ng/ml) 1,4-BD-d 8 -HFB DEG-HFB 13 C 6 -HCB 図 8 操 作 ブランクのクロマトグラム 565
1,4-BD-d 8 -HFB DEG-HFB 13 C 6 -HCB 図 9 環 境 大 気 試 料 のクロマトグラム 5 倍 希 釈 (DEG 濃 度 16 ng/m 3 ) 評 価 本 分 析 法 により 環 境 大 気 試 料 ( 静 岡 県 大 井 川 町 )の 測 定 を 行 ったところ ジエ チレングリコールが 16 ng/m 3 の 濃 度 で 検 出 された また 低 濃 度 大 気 試 料 を 想 定 して 降 雨 時 に 環 境 大 気 試 料 ( 同 地 点 )の 測 定 を 行 ったところ 5.3 ng/m 3 のジ エチレングリコールが 検 出 された 本 分 析 法 は 操 作 ブランクが(0.67~0.88 ng/m 3 平 均 0.77 ng/m 3 MDL は 1.1 ng/m 3 )で 検 出 されるが 環 境 大 気 中 のジエチレングリコール 濃 度 は 比 較 的 高 い ものと 予 想 され 環 境 調 査 への 適 用 は 可 能 であると 考 えられる 参 考 文 献 (2) 国 際 化 学 物 質 安 全 性 カ ー ド ( ICSC ) : ジ エ チ レ ン グ リ コ ー ル http://www.nihs.go.jp/icsc/ (3) 13599 の 化 学 商 品, 化 学 工 業 日 報 社, 409-410, 1999 (4) NIOSH 1996. Glycols: Method 5523 担 当 者 氏 名 連 絡 先 担 当 いであ 株 式 会 社 環 境 創 造 研 究 所 環 境 化 学 グループ 住 所 421-0212 静 岡 県 志 太 郡 大 井 川 町 利 右 衛 門 1334-5 TEL:054-622-9552 FAX:054-622-9522 担 当 者 伊 藤 安 紀 羽 山 真 介 E-mail:anki@ideacon.co.jp hym20631@ideacon.co.jp 566
Diethylene glycol This method provides procedures for the determination of diethylene glycol in ambient air by gas chromatography/negative ion chemical ionization mass spectrometry (GC/NCI-MS). Air sample is passed through PS@gas cartridge at flow rate of 1.2 L/min for 24 hours. The analyte in the cartridge is eluted with 6 ml acetone. After elution, 1,4-butane-d 8 -diol (clean up spike) is added to the eluent. Then, the sample solution is concentrated under a nitrogen stream until less than 2 ml, followed by sample solution is poured into a reaction vial. Next, the solvent of sample solution is removed by a nitrogen stream, gently. The sample residue is derivatized by addition of 100 microl acetonitrile and 100 microl heptafluorobutyric anhydride at 60 for 60 min. After derivatization, 0.5 ml water is added to the sample solution and the analyte is extracted with 0.5 ml hexane, twice. The hexane extract is concentrated under nitrogen stream until less than 1 ml, followed by 13 C-ring-hexachlorobenzene (syringe spike) is added. After adding syringe spike, the sample solution volume is adjusted to 1 ml and analyzed by GC/NCI-MS. The method detection limit (MDL) of this method is 1.1 ng/m 3. The average of recoveries from 20 ng diethylene glycol added PS@gas cartridge is 117%, and the relative standard deviation is 13%. The concentration of diethylene glycol in the ambient air near Oigawa port in Shizuoka prefecture was 16 ng/m 3 in fine weather and 5.3 ng/m 3 in rainy weather. Air sample Sampling Elution Concentration and 1.2 L/min 24 hours Acetone 6 ml Removal of solvent PS@gas cartridge 1,4-BD-d 8 20 ng Nitrogen stream HFBderivatization Extraction GC/NCI-MS 100 microl acetnitrile 100 microl Heptafluorobutyric anhydride 0.5 ml water 0.5 ml hexane, twice 13 C 6-HCB 10 ng 567
物 質 名 分 析 法 フローチャート 備 考 ジ エ チ レ ン グ < 大 気 > リコール 大 気 試 料 捕 集 溶 出 濃 縮 検 出 下 限 1.2 L/min 24 hours アセトン 6 ml 1.1 ng/m 3 PS@gas カートリッジ 1,4-BD-d 8 20 ng 定 量 下 限 HFB 誘 導 体 定 容 GC/NCI-MS 1.5 ng/m 3 アセトニトリル 100 µl 無 水 ヘプタフルオロ 酪 酸 100 µl 1 ml 13 C 6-HCB 10 ng 568