母 子 の 健 康 の 推 進 ( 仮 訳 ) 問 題 の 大 きさとその 重 要 性 地 域 格 差 家 庭 地 域 社 会 そして 経 済 の 健 全 性 は 女 性 の 健 康 と 密 接 不 可 分 な 関 係 にある しかし 今 なお 世 界 のどこかでは 妊 娠 や 出 産 のために 女 性 が 100 秒 間 に 1 人 の 割 合 で 命 を 落 としてい る 母 親 と 子 供 の 健 康 は 密 接 に 関 連 している 母 親 の 死 亡 率 を 下 げることは 子 供 の 健 康 を 改 善 する 上 で 非 常 に 重 要 であり かつ 最 優 先 で 取 り 組 まれるべき 事 項 である 国 連 のミレニアム 開 発 目 標 the United Nations Millennium Development Goals (MDGs) を 達 成 させるために 私 達 に 残 されている 時 間 は 既 に 6 年 を 切 ってしまっている 開 発 目 標 4 及 び 5 は この 声 明 にとって 非 常 に 重 要 な 意 味 を 持 つものである 2015 年 までに 達 成 すべきミレニアム 開 発 目 標 目 標 4:5 歳 未 満 の 幼 児 死 亡 率 を(1990 年 の 水 準 の)3 分 の 1 に 削 減 する 目 標 5: 妊 産 婦 の 死 亡 率 を(1990 年 の 水 準 の)4 分 の 1 に 削 減 する 子 供 の 健 康 においては 地 球 規 模 で 幾 分 かの 進 展 が 見 られた 1990 年 以 降 5 歳 未 満 の 幼 児 の 死 亡 数 は 減 少 しつつある それでも 毎 年 推 定 880 万 人 の 幼 児 が 死 亡 しており それは 毎 時 1,000 人 以 上 という 幼 児 死 亡 率 となる 2015 年 までに 妊 産 婦 の 死 亡 率 を 75 パーセント 引 き 下 げるという 目 標 についても 殆 ど 進 展 がみ られず 依 然 として 遠 い 目 標 のままである 妊 娠 と 出 産 のために 命 を 落 とす 女 性 の 内 99 パー セント 以 上 が 発 展 途 上 国 で 亡 くなっている 1/6
健 康 と 格 差 に 関 する 具 体 的 な 問 題 妊 産 婦 の 死 亡 率 と 罹 患 率 一 生 涯 の 内 女 性 が 妊 娠 及 び 出 産 により 死 亡 するリスクは 世 界 の 最 貧 国 では 7 分 の 1 である のに 対 し 北 欧 では 3 万 分 の 1 となっている 母 親 の 死 亡 は 陣 痛 分 娩 及 び 分 娩 直 後 の 時 期 に 集 中 しており 出 血 が 死 亡 の 医 学 的 主 因 であるが その 80 パーセント 以 上 が 予 防 可 能 な ものである 妊 娠 及 び 出 産 による 1 人 の 死 亡 の 陰 で 16.5 人 の 母 親 が 死 亡 には 至 らないもの の 重 篤 な 疾 患 もしくは 障 害 を 抱 えることになっている 生 まれてきた 子 供 は 食 事 や 世 話 に ついては 大 方 母 親 に 頼 ることになるため 母 親 に 慢 性 疾 患 がある 場 合 子 供 達 の 健 康 と 生 活 の 質 に 大 きな 影 響 が 及 ぶことになってしまう 周 産 期 及 び 出 生 時 の 乳 児 の 死 亡 毎 年 320 万 人 が 死 産 となり 400 万 人 が 生 後 一 ヶ 月 以 内 に 死 亡 している こうした 出 生 時 死 亡 例 の 99 パーセントが 発 展 途 上 国 におけるものである 5 歳 未 満 の 子 供 の 死 亡 例 の 38 パーセ ントが 出 生 時 死 亡 であり これがミレニアム 開 発 目 標 4 に 対 する 大 きな 障 害 となっている 生 後 一 ヶ 月 以 内 での 死 亡 例 についての 直 接 的 主 因 は 早 産 仮 死 及 び 感 染 症 である 出 生 前 ケ アや 分 娩 時 における 熟 練 したケア そして 地 域 社 会 による 産 後 ケアなど 有 効 性 の 確 認 された 低 価 格 な 医 療 行 為 が 介 在 することにより 出 生 時 死 亡 率 を 半 分 以 下 にまで 引 き 下 げることがで きると 思 われる こうした 死 亡 例 の 4 分 の 3 は 一 人 あたり 1 米 ドルという 追 加 費 用 により 予 防 す ることができる 家 族 計 画 家 族 計 画 を 立 てることにより 意 図 しない 妊 娠 や 妊 娠 中 絶 を 抑 えることができ 母 親 の 健 康 を 改 善 することになるとともに 資 源 利 用 の 可 能 性 を 広 げる 効 果 が 得 られる 出 産 の 間 隔 を 充 分 空 けていないと 妊 娠 期 間 中 の 栄 養 が 不 充 分 な 状 況 となり 栄 養 面 での 重 大 な 障 害 が 生 じ 子 供 の 死 亡 率 が 上 昇 してしまう これまで 避 妊 をすることがなかった 2 億 100 万 人 の 女 性 に 効 2/6
果 的 な 避 妊 法 を 提 供 することにより 毎 年 2,300 万 人 の 計 画 外 出 産 2,200 万 人 の 人 工 妊 娠 中 絶 及 び 妊 娠 に 由 来 する 1 万 4,000 人 の 死 亡 を 予 防 することができるようになる 女 性 のた めの 質 の 高 い 教 育 によって 家 族 計 画 と 保 育 は 改 善 されるだろう 毎 年 4,200 万 人 が 人 工 妊 娠 中 絶 されており その 内 の 約 50 パーセントが 未 熟 練 者 による あるいは 不 充 分 な 衛 生 条 件 下 で 行 われる 違 法 行 為 によるものであると 考 えられる 重 篤 な 合 併 症 も 生 じ 約 7 万 人 の 母 親 が 死 亡 し 300 万 例 を 超 える 症 例 に 生 殖 器 官 への 感 染 症 が 発 症 し ほぼ 170 万 例 に 続 発 性 不 妊 症 がみられる 母 親 の 死 亡 例 の 13 パーセントが 安 全 でない 妊 娠 中 絶 によるものである 子 供 の 疾 患 毎 年 死 亡 する 5 歳 未 満 の 幼 児 880 万 人 の 内 生 後 1 ヶ 月 ~5 歳 の 子 供 の 主 因 は 肺 炎 下 痢 マラリア 麻 疹 及 び HIV である こうした 死 亡 例 は 低 価 格 で 科 学 的 根 拠 に 基 づいた 公 衆 衛 生 の 介 在 すなわち 良 好 な 栄 養 補 給 や 予 防 注 射 によって 予 防 が 可 能 である さらに 子 供 が 病 気 になった 際 の 簡 単 な 治 療 例 えば 抗 マラリア 剤 抗 生 物 質 及 び 経 口 補 液 療 法 によって より 多 くの 死 亡 を 予 防 することができる 母 子 の 低 栄 養 小 児 死 亡 の 約 半 数 と 地 球 規 模 での 疾 病 負 荷 の 内 の 10 パーセント 以 上 が 母 子 の 栄 養 不 良 を 原 因 としている こうした 状 況 から 健 康 に 関 連 する 目 標 を 達 成 する 上 では こうした 危 険 因 子 への 対 応 が 非 常 に 重 要 である 母 親 の 栄 養 不 良 は 非 常 に 多 くの 出 生 時 死 亡 の 原 因 となって いる さらに 子 宮 内 の 栄 養 不 良 は 糖 尿 病 高 血 圧 及 び 脂 質 代 謝 異 常 といった 成 人 病 の 遠 因 となる 3/6
HIV とエイズ(AIDS) 世 界 全 体 でみると エイズ 関 連 の 死 亡 は 依 然 として 主 要 な 死 亡 原 因 の 一 つである HIV に 感 染 していながら 治 療 を 受 けていない 妊 婦 は その 子 供 に 30 パーセントの 確 率 で 感 染 させてし まう 治 療 なしでは HIV 感 染 した 子 供 の 50 パーセント 以 上 が 2 歳 を 迎 える 前 に 亡 くなることと なる 性 差 問 題 と 女 性 の 権 利 ミレニアム 開 発 目 標 の 4 と 5 を 達 成 できないということは 男 女 間 の 平 等 と 女 性 の 権 利 の 推 進 に 芳 しい 進 展 が 見 られないことと 密 接 に 関 連 している 母 親 の 死 亡 率 が 高 い 地 域 では 女 性 が 公 民 権 を 奪 われ 軽 視 されている 状 況 が 顕 著 である 男 女 間 の 不 平 等 は 教 育 へのアクセス がないこと( 識 字 率 の 低 さに 反 映 されている)により 更 に 増 幅 されているため 意 見 や 政 策 を 取 りまとめる 立 場 に 女 性 がいない 状 況 が 生 じている 知 識 の 翻 訳 の 欠 如 知 識 を 伝 え それを 実 行 する 2 つの 研 究 分 野 に 資 源 を 投 入 することで 有 意 義 な 進 展 が 見 ら れる 科 学 的 根 拠 に 基 づいた 政 策 立 案 が 母 子 の 健 康 に 関 連 する 政 策 及 びプログラム 開 発 に 与 える 影 響 は これまで 限 られたものであった その 理 由 は 幾 つもあり 発 展 途 上 国 におい ては 高 度 な 適 格 性 を 有 する 自 国 の 研 究 者 がいないこと 質 の 良 い 研 究 プログラムがないこと そして 母 子 の 健 康 の 問 題 についての 研 究 資 金 が 著 しく 不 足 していることが 挙 げられる 又 様 々な 公 衆 衛 生 の 手 法 やプログラムをどのように 行 えば 成 功 するのか そしてその 後 にそれら を 他 の 地 域 にも 広 げるにはどうしたらよいのか についての 研 究 が 殆 どなされていない 状 況 で ある 4/6
G8 サミットへの 提 言 母 子 の 健 康 に 関 連 するリスクは 発 展 途 上 国 に 限 定 されるものではない どのような 地 域 であ っても 脆 弱 な 人 々が 存 在 する 限 りは そうした 人 々に 対 し 一 般 に 簡 便 かつ 利 用 しやすく 特 別 な 技 術 を 要 せず 費 用 対 効 果 が 高 い 方 法 で 対 応 を 講 じるべきである 母 子 の 健 康 状 況 を 改 善 するために 一 層 の 努 力 を 払 うことが ミレニアム 開 発 目 標 4 及 び 5 を 達 成 するには 必 須 となる 母 子 の 健 康 のための 資 金 を 増 やす 必 要 がある 各 国 政 府 や その 他 の 組 織 は 投 入 資 源 を 増 やすことが 必 要 である 援 助 をする 側 は 投 入 資 源 の 格 差 を 埋 める 一 助 となるよう 低 所 得 国 への 金 銭 的 支 援 額 を 増 やす 必 要 がある 分 娩 時 のケア といった 基 本 的 な 保 健 サービスについては 利 用 料 金 を 課 すべきではない 子 供 の 予 防 接 種 は 全 員 に 対 して 行 われるべきである 保 健 関 連 の 施 設 やスタッフの 強 化 が 必 要 である 出 生 前 助 産 さらに 非 常 に 重 要 な 出 産 及 び 新 生 児 に 対 するケアへのアクセスをより 良 くすることは より 安 全 な 母 子 健 康 プログラ ムのための 基 盤 であり 続 けなければならない 合 併 症 を 発 症 する 場 合 には 全 ての 母 親 が 熟 練 した 緊 急 出 産 時 ケアを 受 けられるようにしなければならない こうしたケアを 施 す 際 の 最 も 効 果 的 な 方 法 に 関 する 研 究 も 必 要 になる 地 域 社 会 における 施 設 への 援 助 につ いては 母 子 の 健 康 と 栄 養 に 重 点 を 置 いたものにすべきである 保 健 関 連 従 事 者 に 関 する 戦 略 においては 妊 婦 と 子 供 のためのケアを 行 うにあたって 熟 練 した 出 産 ケア 従 事 者 や 地 域 社 会 における 保 健 関 連 の 作 業 従 事 者 からなる 中 核 グループを 置 く 計 画 を 盛 り 込 む 必 要 がある 発 展 途 上 国 は 国 内 で 訓 練 を 受 けた 医 療 従 事 者 をつなぎ 留 め 以 前 国 内 で 働 いていた 従 事 者 を 帰 国 させるためのインセンティブを 高 める 計 画 を 策 定 する 必 要 がある 先 進 国 には 訓 練 を 受 けた 医 療 従 事 者 を 発 展 途 上 国 から 受 け 入 れることを 差 し 控 え 健 康 教 育 面 を 協 力 して 行 う 関 係 を 確 立 することが 推 奨 される 5/6
母 親 の 健 康 を 改 善 するための 戦 略 は 安 全 でない 妊 娠 中 絶 を 抑 制 するため 避 妊 サービ スや 避 妊 法 へのアクセスを 促 進 するものであるべきである 母 親 と 子 供 の 死 亡 者 数 の 内 最 大 40 パーセントは こうしたサービスへのアクセスを 提 供 することにより 回 避 することができ る 近 代 的 な 避 妊 法 や 性 教 育 の 導 入 及 び 適 切 な 間 隔 を 空 けて 子 供 をもうけるようにする ことを 奨 励 すべきである 家 族 計 画 を 一 層 身 近 なものにすることで 人 口 増 加 に 歯 止 めを かけ かつ 限 りある 資 源 の 分 配 についても 好 ましい 影 響 を 及 ぼすことになる 家 族 計 画 に 関 連 する 利 用 しやすいサービスを HIV/エイズ 予 防 サービスに 組 み 込 ませるべきである 政 府 国 際 組 織 及 び 非 政 府 組 織 は 安 全 でない 妊 娠 中 絶 の 問 題 に 正 面 切 って 対 応 し 合 併 症 を 発 症 した 女 性 が 適 切 なケアを 簡 単 に 受 けられることを 保 証 すべきである 母 子 の 健 康 を 増 進 するための 率 先 的 な 活 動 を より 効 率 的 にまとめてゆくべきである 母 子 の 健 康 のための 政 治 的 優 先 順 位 付 けは 国 際 社 会 においてバラバラに 行 われてきた G8 各 国 政 府 は 国 際 機 関 と 連 携 し 母 子 の 健 康 のための 地 域 協 力 体 制 がより 活 性 化 さ れるようにするべきである その 主 目 的 は ミレニアム 開 発 目 標 4 と 5 を 達 成 することにあ る 女 性 と 子 供 を 全 ての 形 態 の 酷 使 虐 待 搾 取 及 び 暴 力 から 守 るための 政 策 を 促 進 させ る 必 要 がある 女 性 器 の 切 除 という 悪 しき 慣 習 は 根 絶 するべきである 出 生 前 性 別 診 断 と いう 技 術 の 誤 った 利 用 による 女 児 胎 児 の 妊 娠 中 絶 は 止 めさせるべきである 母 子 の 健 康 に 関 連 する 研 究 については 特 に 知 識 を 伝 達 させることを 強 化 する 必 要 があ る 知 識 を 伝 達 したり お 互 いのコミュニケーションを 高 める 方 策 を 含 む 介 入 方 法 やプログ ラムをどのようにしたらうまく 実 施 できるか そしてその 後 に 他 の 地 域 にそれらをうまく 伝 える ことができるかについての 研 究 が 不 足 している 健 康 科 学 とイノベーションを 行 う 学 際 的 な 拠 点 を 含 む 能 力 開 発 を 全 ての 地 域 で 奨 励 するべきである 獲 得 した 知 識 を 他 にも 行 き 渡 らせることが 健 康 情 報 や 教 育 プログラムに 必 要 であり そのためには 組 織 基 盤 を 強 化 することが 必 要 である 6/6