子宮がん細胞診の実施成績 長谷川 壽彦 東京都予防医学協会検査研究センター長 はじめに わって採用されるまでに至らなかったTBSは 厚生労働省内に設置された がん検診に関する検討 平成 年に それまでの実績の評価や指摘され 会 は 検診開始年齢や検診間隔についての指針を示 た問題点を検討し改訂がなさ



Similar documents

<4D F736F F D CB48D655F87562D31926E88E695DB8C928A E947882AA82F F4390B38CE32E646F6378>

Microsoft PowerPoint - ASC-Hの分析について.ppt

スライド 1

9

最初に事後指導項目規定をお示し致します これらは 陰性スメアに対して行っております まず 取り扱い項目は要医療 要治療の 2 項目あります 要医療扱いの細胞所見は 一つ目に 炎症を伴う強度細胞異型の見られるもの 二つ目として 萎縮像に炎症を伴った強度細胞異型の認められるもの 三つ目として 核異型の伴

ベセスダシステム2001の報告様式 ーASC-US、ASC-Hの細胞像と臨床的意義ー

<4D F736F F D20288E518D6C8E9197BF AA82F18C9F90668F64935F8EF390668AA98FA791CE8FDB8ED282CC90DD92E882C982C282A282C AD8F6F94C5817A2E646F6378>

<4D F736F F D20819B947882AA82F190568B8C91CE8FC6955C2E646F63>

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

子宮頸がん死亡数 国立がん研究センターがん対策情報センターHPより

日産婦誌61巻4号研修コーナー

婦人科がん検診Q&A

妊婦甲状腺機能検査の実施成績 東京都予防医学協会母子保健検査部 はじめに て乾燥させたろ紙血液を検体とする 検体は本会の 妊婦の甲状腺機能異常による甲状腺ホルモンの 過不足は 妊娠の転帰に影響を与えるばかりでなく 代謝異常検査センターに郵送される 2 検査項目と検査目的および判定基準 生まれてくる子

事業評価のためのチェックリスト ( 単位 : %) (2) 平成 27 年度の原発がんに対する早期がん割合を把握しましたか 肺がんでは臨床病期 Ⅰ 期がん割合 乳がんでは臨床病期 Ⅰ 期までのがん割合を指す (2-1)

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱


<4D F736F F F696E74202D2097E189EF90B893788AC7979D95F18D902E707074>

子宮頸部細胞診陰性症例における高度子宮頸部病変のリスクの層別化に関するHPV16/18型判定の有用性に関する研究 [全文の要約]

僕が見た21世紀の 産婦人科医療

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

/ NILM (negative for intraepithelial lesion or malignancy) IUD!"#$% CIN SIL(TBS*) &'()* +,'()* -'()*./01!"#$!"%&'#&(%&)*+'$,)(&-'./0001 2

科学的根拠に基づいた子宮頸がん予防 井上正樹 * 1. はじめに 子宮頸がん検診 は 我が国では 1982 年に老人健康法が定められ 全国で始められました 子宮頸がん死亡率の低下のみならず がん検診を我が国に定着させた主導的役割は大きいと思われます その後 厚労省も 有効な検診 と評価しています 1

本文00(巻頭言・目次).indd

がん登録実務について

<4D F736F F D204E AB38ED2976C90E096BE A8C9F8DB88A B7982D1928D88D38E968D >

<4D F736F F F696E74202D208B4C8ED28DA7926B5F8DC58F49205B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F D208DD F E8482BD82BF82CD82B182F182C88DD F082DD82C482A282DC82B72E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

質の高い病理診断のために 病理技術 診断基準の標準化を 目指した精度評価を実現します

細胞診クラス分類 日本母性保護産婦人科医会 1978年 子宮頸部細胞診報告様式改定 クラス クラス Ⅰ クラス Ⅱ クラス Ⅲ Ⅲa 正常 異常細胞を認めるが良性 悪性を疑うが断定できない 悪性を少し疑う 軽度 中等度異形成を推定 このクラスから5 程度に癌が検出される Ⅲb 悪性をかなり疑う 高度

原 著 最近の動向から見た子宮頸がん検診の判定と事後指導に対する提案 人間ドック 26: , ,4) 岩﨑武輝 1,5) 奥村次郎 1,6) 山本嘉昭 松井 1,2) 薫 1,2) 水口善夫 1,3,7) 宇野正敏 要約 キーワード 目的 : 今までの子宮頸部細胞診のいわゆる

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

表紙.indd

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

日本における子宮頸がん検診の時代的背景 1982 年老人保健法にて 20 年かけて子宮頸がんを半減させる 30 歳以上の女性を対象受診間隔は 1 年に 1 回費用は行政が全額負担 1998 年地方交付税による財源措置に変更費用の一部個人負担が必要となる 2004 年子宮頸がん検診の見直し受診対象年齢

その最初の日と最後の日を記入して下さい なお 他の施設で上記人工授精を施行し妊娠した方で 自施設で超音波断層法を用いて 妊娠週日を算出した場合は (1) の方法に準じて懐胎時期を推定して下さい (3)(1) にも (2) にも当てはまらない場合 1 会員各自が適切と考えられる方法を用いて各自の裁量の

の実施成績 東京都予防医学協会母子保健検査部 2014年度に本会に検体を送ってきた産婦人科の数は はじめに 甲状腺ホルモンの過不足は 妊娠の転帰に影響を 46であった 以下に ろ紙血を用いるスクリーニン 与えるばかりでなく 生まれてくる子どもに直接的 グの方法 および2014年度の実施成績を述べる

れない 採取後 95% エタノールによって固定し パパニコロウ染色を実施した 標本は最初に細胞検査士によってスクリーニングされ 病理医によって確定診断された 細胞診標本の再評価は 著者と他 5 名の細胞検査士が行い病理医と評価した 判定はベセスダシステム 2001 に準拠し 上皮内腺癌の感度 scr

2016 年 12 月 7 日放送 HTLV-1 母子感染予防に関する最近の話題 富山大学産科婦人科教授齋藤滋はじめにヒト T リンパ向性ウイルスⅠ 型 (Human T-lymphotropic virus type 1) いわゆる HTLV-1 は T リンパ球に感染するレトロウイルスで 感染者

4 その他 方等は その都度検討していく 岡田委員より 本委員会は年に2回開催してい 各がん検診の受診率は年々増加傾向にあるが るが 来年度からは協議内容により 委員会の 目標の50 以上達成に向け 健対協としても取 開催回数は流動的に検討したいと考えているの り組むこととし 来年度は かかりつけ医

<4D F736F F F696E74202D2092C38C4690E690B682D68CA48F4389EF CB48D658E528DE895AA D B93C782DD8EE682E890EA97705D>

社会保険診療報酬の所得計算の特例措置の概要 概要 医業又は歯科医業を営む個人及び医療法人が 年間の社会保険診療報酬が 5,000 万円以下であるときは 当該社会保険診療に係る実際経費にかかわらず 当該社会保険診療報酬を 4 段階の階層に区分し 各階層の金額に所定の割合を乗じた金額の合計額を社会保険診

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

<4D F736F F D20819A8E9197BF B8BE682CC8CBB8FF382C6906C8CFB90848C >

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

特定健康診査等実施計画


2

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

和歌山県地域がん登録事業報告書

平成 27(2015) 年エイズ発生動向 概要 厚生労働省エイズ動向委員会エイズ動向委員会は 3 ヶ月ごとに委員会を開催し 都道府県等からの報告に基づき日本国内の患者発生動向を把握し公表している 本稿では 平成 27(2015) 年 1 年間の発生動向の概要を報告する 2015 年に報告された HI

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

子宮頸部細胞診新報告様式について 子宮頸癌 子宮頸部細胞診における ベセスダシステム 2001 導入の意義 ー病理医の立場からー 早期発見が可能となった 本邦女性の死亡数は減少している しかし 20代 30代女性の罹患数や死亡数が増加 この年代においては 臓器別では最多 川崎医科大学 病理学2 現代

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

1 HOTLINE 情報処理機関 1)HOTLINE 情報処理機関は 本学会の医療安全委員会 (MSC) とする 2)MSCは 必要に応じて 但しあらかじめ理事会の承認を得た機関あるいは個人に対して 該情報の処理を委託できる 3)MSCは 処理情報を学会ホームページや学術集会を通じて本学会の会員に

学生による授業評価のCS分析

2009年8月17日

親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年)

Ⅰ 目標達成

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

子宮頸がんと子宮体がん 卵管 子宮体癌 子宮頸癌 子宮体癌 自覚症状初期は無症状不正性器出血 好発年齢 30~40 代 (20~30 代で急増 ) 閉経後の 50 代以降 卵巣 子宮頸癌 リスクファクター 高リスク型 HPV 感染 肥満 高血圧 糖尿病 未経産婦 エストロゲン製剤の長期使用など 腟

健康企業宣言実施結果レポート Step1(Q&A) 質問 実施方法 添付資料 日頃の食生活に乱れがないか声掛けをしていますか? 始業前などに体操やストレッチを取り入れていますか? 朝礼等での声掛けの他 TJK ホームページに掲載されている 野菜は 1 日 350g 食べましょう のパンフ

共済だより.indd

1 対象 1( 重複回答あり 大腸がん検診全国集計成績 件数 1. 地域検診 職域検診 無回答 3 合計 518

内部統制ガイドラインについて 資料

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

乳 房次検診センターの実施成績 坂 佳 奈 子 東京都予防医学協会がん検診 診断部長 野 木 裕 子 東京慈恵医科大学付属病院乳腺内分泌外科 竹 井 淳 子 聖路加国際病院乳腺外科 はじめに 診 外来 と変更した 昭和 年に東京産婦人科医会 旧東京母性 受診者の内訳は検診人. 人 保護医協会 以下

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

高知赤十字病院医学雑誌第 2 2 巻第 1 号 年 5 原著 尿細胞診 Class Ⅲ(AUC) の臨床細胞学的検討 ~ 新報告様式パリシステムの適用 ~ 1 黒田直人 1 水野圭子 1 吾妻美子 1 賴田顕辞 2 奈路田拓史 1 和田有加里 2 宇都宮聖也 2 田村雅人

子宮がん検診における判定不能検体の発生抑制 鳥取県生活習慣病検診等管理指導協議会子宮がん部会 鳥取県健康対策協議会子宮がん対策専門委員会 日 時 平成28年2月14日 日 午後1時40分 午後3時 場 所 鳥取県健康会館 鳥取市戎町 出席者 27人 原田部会長 皆川専門委員長 明島 大石 大野原 岡

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

特定健康診査等実施計画 第二期 ( 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) 第一版 三菱鉛筆健康保険組合 平成 25 年 5 月


Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

検診マンモグラフィ CAD の費用効果分析 ( 二重読影と一人読影 +CAD の比較 ) 放射線医学総合研究所名誉研究員飯沼武 ( 医学物理士 ) ご質問やコメントは にメール下さい 要旨 日本のマンモグラフィ併用乳癌検診の普及には二重

図 3. 新規 HIV 感染者報告数の国籍別 性別年次推移 図 4. 新規 AIDS 患者報告数の国籍別 性別年次推移 (2) 感染経路 1 HIV 感染者 2016 年の HIV 感染者報告例の感染経路で 異性間の性的接触による感染が 170 件 (16.8%) 同性間の性的接触による感染が 73

心房細動1章[ ].indd

EBウイルス関連胃癌の分子生物学的・病理学的検討

(7)健診データの受領方法

なお, 世間では HPV ワクチンのことを 子宮頸がんワクチン と呼んでいるが, ワクチンの性格上, 本稿では HPV ワクチン ( 正確には HPV 感染症予防ワクチン ) と表現する HPV 感染と子宮頸がんとの関係子宮頸がんの原因のひとつとして,HPV 感染による細胞の癌化が証明されている H

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

平成 26 年度事業計画書 自平成 26 年 4 月 1 日 至平成 27 年 3 月 31 日 公益財団法人性の健康医学財団

Microsoft Word - HP用 同意書・説明書 130121

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本

方法について教えてください A 妊娠中の接種に関する有効性および安全性が確立されていないため 3 回接種を完了する前に妊娠していることがわかった場合には一旦接種を中断し 出産後に残りの接種を行うようにしてください 接種が中断しても 最初から接種し直す必要はありません 具体的には 1 回目接種後に妊娠

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ


1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

【1

魅せます! わが社の製品 会場 : 東京国際フォーラム地下 2 階 E2002( セミナー会場 ) 9 月 1 日 ( 土 )

調査 統計 歯科治療における細胞診の有用性 - 東京歯科大学千葉病院臨床検査部における細胞診の統計 - 1),2) 村上聡 * 松坂賢一 1),3) 監物真 3) 塚本葉月 1) 田村美智 1) 秦暢宏 川原由里香 1) 草野義久 1) 劉潁鳳 1) 杜岩 1) 辛承一 1) 井上孝 1) 東京歯科

Transcription:

東京産婦人科医会との協力による 子宮がん細胞診 検診を指導した先生 青木大輔 慶應義塾大学医学教授 青木基彰 検診の方法とシステム この検診は 東京産婦人科医会 以下 医会 旧東京母性保護 医協会 以下 東母 の会員の施設を利用して検体を採取し 東京産婦人科医会副会長 それを東京都予防医学協会細胞診センターに郵送して細胞診断を 伊藤良彌 行う施設検診方式 東母方式 で実施されている 東京都予防医学協会婦人検診長 岩倉弘毅 東京婦人科医会長 大橋克洋 東京産婦人科医会副会長 落合和彦 この東母方式には 下図のような流れがある一つは 受診 希望者が医会会員の施設を訪れ 自費で検診を受けるものであり 自由検診 といわれている 自由検診 に対して 行政検診 は 区 市 町 村が検診の 東京産婦人科医会副会長 費用を公費で負担するもので 受診者は各自治体が発行した受診 木村好秀 券を持って地区内の医会会員の施設に出向いて検診を受ける方式 東京産婦人科医会学術長 田中忠夫 東京慈恵会医科大学教授 塚﨑克己 慶應義塾大学医学准教授 長谷川壽彦 東京都予防医学協会検査研究センター長 である 自由検診 行政検診 ともに原則1次スクリーニングでclass Ⅲ以上と判定された受診者は 医会会員の施設または東京都予防 医学協会内の精密検診センターなどで精密検査を受ける方式で実 施される 町田利正 東京産婦人科医会会長 東京都予防医学協会年報 9年版 第号 7

子宮がん細胞診の実施成績 長谷川 壽彦 東京都予防医学協会検査研究センター長 はじめに わって採用されるまでに至らなかったTBSは 厚生労働省内に設置された がん検診に関する検討 平成 年に それまでの実績の評価や指摘され 会 は 検診開始年齢や検診間隔についての指針を示 た問題点を検討し改訂がなされた前述したように すばかりでなく 有効性が証明されているがん検診 TBSはわが国において 今後の子宮がん検診を実施 について 単に検診を実施するだけでなく 検診の する上で避けて通れない細胞診報告様式であり 日 経緯と結果の評価を行うことを求めている言い換 母分類に取って代わることになる えれば 検診の質を評価することである 日本産婦人科医会は 年月の理事会において 細胞診の質の確保について 具体的には 細胞診 これまで細胞診報告として使用されてきたいわゆる 結果の分類には 日本母性保護産婦人科医会の分類 日母クラス分類 を廃止し 新たに ベセスダ およびBethesda systemによる分類のどちらを用い に準拠した細胞診報告 を婦人科細胞診の報告様式と たかを明記する日本母性保護産婦人科医会の分類 して採択した新様式は 日本産婦人科医会ばかり を用いた場合は 検体の状態において 判定可能 も でなく 婦人科細胞診に関係する日本臨床細胞学会 しくは 判定不可能 Bethesda systemによる分類 日本婦人科腫瘍学会 日本産科婦人科学会 日本病 の 適正 不適正 に相当 を明記する を仕様書に明 理学会から選任された委員による委員会で検討され 記するとしているここ数年 子宮がん検診は変革 決定を見たものである新報告様式を決めるにあたっ 期にあるといわれてきたが 今後 年で細胞診ば ては 厚生労働省の担当者にもオブザーバ参加をお かりでなく 行政で扱う検診事業統の評価も含め 願いし 決定した新方式が速やかに周知徹底される 新しい方向性が見えてくることを期待している よう国にも働きかけた 新方式と日母分類の差異 ベセスダシステム The Bethesda System 以下 TBS について TBSと日母分類で際立って異なる点は 前者では 必須項目として標本の良し悪し 適正 不適正 の判 ベセスダシステムは 細胞診報告が病変を正確に 定があり さらに細胞診診断は病変を記述するのに 伝えていないとの批判を受け 細胞診の質を確保す 対して 後者では標本の良し悪し 言い換えれば細 ることを目的に9 昭和 年アメリカベセスダで 胞診標本として診断に供し得るかについては よほ の会議で取り決められた 子宮頚細胞診の報告様 どのことがなければ標本の適正 不適正は問わず細 式 である数年を経ないで全世界的に細胞診の報告 胞判断をくだしてきたまた クラス分類は異常の 様式として定着したわが国でも 取り入れについ 程度も含め 基本的には異常の有る無しのみを報告 て議論はなされたが いわゆる日母分類に取って変 してきた同じクラスとして報告されても 病変に 7 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

77

時には 細胞が厚く塗沫され過ぎていても 細胞判 断が困難になり 不適正標本の扱いになる 本会における 7 年度統とその分析 年度別の受診者数の推移 TBSの基準を厳密に当てはめて 過去に診断した 子宮がん検診受診者数 子宮頚がんおよび子宮体が 細胞診標本の再評価を行うと を越す標本が不 んの総 は 年度と比較して7年度は自由 適正であったその内訳では 細胞数不足が9弱 検診で,件の減少であったが 行政検診は, を占め 炎症や血液細胞の存在がそれに続いた 件の増加であった自由検診 行政検診の合では 運用に当たっての問題点 従来は診断を行って通知していた細胞診報告が,件の増加で 年度より7.増加した増 加したのは 行政検診に負うものであるが 全体と 細胞診標本が不適正として報告 すなわち再検査の しての年度の増加率.と比較すると 急激 指示が増加することは確実であるTBSが示す不適 に増加したことになる年度の分析では 軽 正の標本の基準を厳密に適応しないとしても 細胞 度の増加が一時的なものでなく 減少傾向に歯止が 診の質保証の観点から 相当数の不適正標本が生じ かかることを期待すると述べたが 行政検診におけ るものと思われる混乱を回避する意味から 適正 る7年度の延びが 検体数回復の第一歩になる 不適正報告の運用に当たって これまで踏襲してき ことを願っている最も検体数が多かった年度 た細胞診断で報告するとともに その標本が不適正,9検体 と比較すると 7年度は.でし である場合は その理由を付記し報告し 注意を喚 かないので より一層の取り扱い検体数の回復を期 起していく方法が考えられるこのような措置を一 待したい 定期間行い その効果 すなわち不適正標本減少の 細胞診の診断については 自由検診 行政検診と 効果を判定した後に 新方式の細胞診報告様式に全 もに年度と7年度で際立った差を認めていな 面的に移行すれば 混乱を防止することは可能と考 い 図 表 えている 標本の均一化を図る方法として 細胞診液状検体 体がん検診に特化して受診者数をみると 年 度と7年度の比較では 自由検診受診者数件 であれば 細胞数 塗沫や固定不良 乾燥など極力 行政検診受診者,9件の増加で 合,77件増加し 抑えることが可能で適正標本の防止に役立つが わ た増加率は.であった年度以来の減少 が国での普及率が低いこと ちなみにアメリカは9 傾向に歯止めがかかったと見るのか 一時的現象と を超えている や費用の面で問題があり 直ちに採用 見るのかは明年以降の傾向を見てみないと判断でき するわけにいかず今後の課題として残った ないと思われるがん検診の中間答申での体がん検 今後の対応 今後目に見えて変わる点は 細胞診標本の適正 不適正報告であるが 前述したように試行期間を設 診の扱い 体がん検診は保険診療で行う としたこ とが次第に浸透してきていると思われるので 今後 の推移を見守っていかなければならない けることで 混乱のない移行になるものと期待して 細胞診の疑陽性 陽性率を見ると 年度と対 いる細胞診報告を受け取る立場としては 細胞診 比して疑陽性の率の低下を認めている陽性率に大 断を行った細胞診専門医が診断に伴う取り扱い指示 きな差は認めていない疑陽性率の低下は 細胞診 を行うので 従来と変わることはない強いて言え 判断で安易に疑陽性としないことに心掛けた結果で ば TBSの用語がこれまで馴染んだ用語と異なるの ある 表 で 新用語の意味合いを理解することが必要になる 年齢別子宮頚がん検診受診者数の推移 検診受診者の年齢構成は 9 999年度までの ピーク 9歳に対して 歳にピークを認 7 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

表 年度別 検診別 子宮頚がん検診成績 9 7 年度 年度 自由検診 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 9, 9,9 999,9, 9,,,,7 7,9,79,,,,7,,7 7 7,, 9, 7,.. 行政検診 Ⅰ,9.,777.,.,,,.,.,9.,7.,.97,.7,.,.,9.9 9.9....9..9.,.9.7 7. 7.9..7..9.,9., 7,,,,99,9,,,,9 Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ,,77,,,7.,. 79.,9,,,97 9,79, 7,,9,79,, 7,99,9 7,,,,,,.7,.7,.7,9.7,7.,77.,9.,7.7,,,,7,77 9. 9.. 9. 9. 9. 7. 7.. 9..,. 7...... 7.. 99., 9, 7,,7 7, 7,,79 7,,, 表 年度別 検診別 子宮体がん検診成績 97 7 年度 検診別 自 由 検 診 判 定 陰 性 97 999 7,7,. 9. 7,,,.9.,7,,99,,,,7,,9 79.9.7 9..9 9..9 77..9..9.77.7.7 9.7. 9.,7,9,,,979,,,, 7,,7,7,,,79,797. 7.9.97.9. 9.99 7.. 7..7.....7.9, 7,,,7,7,7,7,97 7 疑陽性 % 行 政 検 診 陽 性 % 陰 性 疑陽性 % 陽 性 %,, 7,7 7,9, 9,7 9.9.. 9... めているこの傾向は 年度以来大きな変化を.9減少し 行政検診でも.7が7.に減少し 認めていない た歳から検診を行うことを広報した結果 一時 若年者 9歳までの検診者の全体に占める割合は 年度自由検診で/を超えていた. のが 東京都予防医学協会年報 9年版 第号 的に若年者の検診率が上昇したが 持続的な広報は 行われていないことで多少の減少をみたと思われる 79

表 年度別 検診別 子宮がん検診数 頚がん 体がん と子宮がん発見数および発見率 9 7年度 自 由 検 診 行 政 検 診 年度 検診数 人 が ん 発見数 人 発見率 追跡率 9 7,,,9,79,,9,77 7,9,99 7, 9 9.9...7.... 77.. 7. 7.9...9.,7,,. 7. 検診数 人,7, 97,,9,9 9,,7,,,7, が ん 発見数 人 発見率 追跡率,77 7.......7..9..7 7.9 7.. 7..7,.9 7. 自由検診と行政検診の合およびがん発見数 発見率,,9 件, 人.9% 注①がん発見数は 年 月 日現在の上皮内がんを含むがんの確定数 ② 97 年から 子宮体がんの検診数を含む いて 年度と7年度とを比較すると 自由検.と.7で多少の減少傾向であったが 誤差範 診で.9が.7と増加しているのにたいして 行 囲と見たいクラスⅣとⅤについてみると 自由検 政検診では.が.7と減少している自由検診 診で.と. 行政検診で.と.と差 数が少ないのでその原因の特定は困難であるが 行 を認めていない近年増加傾向にあるのは クラス 政検診での低下は 出血を認める場合は保険診療で Ⅲの増加であり その原因はHPV感染症例の増加で との指導が定着してきている結果と思われる 表 ある子宮頚がん取り扱い規約でHPV感染を軽度異 細胞診成績 年齢別 年度別子宮頚がん検診細胞診成績 子宮頚がん検診の細胞診で いわゆる異常があり 形成相当と評価しているので HPV感染症例のクラ ス分類をクラスⅢaとしているのが大きな要因である 表 精密検査の対象としていたクラスⅢ ⅣとⅤの全体 TBSが普及すると 現行でのクラス分類による統 に占める割合は クラスⅢで年度と7年度を をベセスダ用語に変えなければならないが ASC- 比較すると 自由検診で.と. 行政検診で USとASC-Hの扱いとクラスⅢa扱いであったTBS 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

表 子宮頚がん検診の追跡結果 97 年度 確定病変 頚 体 自由検診 良 良 行政検診 合 7年度 自由検診 行政検診 合 7, 9..7 9,..9, 97.9.7 7.... 7.7.9 内 膜 増 殖 症 内膜異型増殖症 7.... 9...7.7...9. 成 度 度 度,97,7,. 7..7.,,9,7. 9. 9..7 7,,9,.. 9.. 7..7.. 7 9.9 9..7 9.. 9.7.. 上 皮 内 癌 微 小 浸 潤 癌 上 皮 内 腺 癌 微小浸潤腺癌 そ の 他,.7....,7 7...7..,79,7 9 7...7.....7..7..... 7.7.9... 扁 平 上 皮 癌 頚 腺 癌 腺扁平上皮癌 体 腺 癌 頚 そ の 他 そ の 他 の 癌, 9....7..9 9 7......, 7.7..7......7..........7.....9 追 跡 可 能 例 追 跡 不 可 能 例 7,,9 7. 7.9,7,7..7,, 77.. 9 9.9. 977. 7.,9,79 9.. 追 跡 対 象 例,7 性 性 腺 異 形 軽 中 等 高 早期癌, 9,97,9,, 注 各症例のは追跡可能例に対する割合を示す その他のがんは子宮以外のがんや 位不確定のがん等の症例 表 子宮体がん検診の追跡結果 97 年度 自由検診 行政検診 合 性 性,..7,7 7 9. 9., 7.9 7.7 7..7 7.7.7 7 77..9 内 膜 増 殖 症 内 膜 異 型 増 殖 症 99.. 7..,7 9.. 9 7....7.7.9 体 癌 7.9 7 9..7.7.7. 腺 軽 中 高 成 度 度 度 7.9.7.7.9 9.7.7.. 9 9..........9..7.... 早期癌 上 皮 内 癌 微 小 浸 潤 癌 上 皮 内 腺 癌 微小浸潤腺癌.9....7.9.7. 7..7.9..........9... 確定病変 7年度 扁 平 上 皮 癌 頚 腺 癌 その他の組織型 9... 77..7.7 7.9.......9.... 癌..97..7.. 追 跡 可 能 例 追 跡 不 可 能 例,, 7..,9 7.9 9. 7,9,9 77.7.7 7 9.7...7 7.. 追,7 体 頚 頚 病 変 そ 良 良 の 跡 腺 異 形 等 他 対 の 象 例,, 自由検診 行政検診 合 9 注 各症例のは追跡可能例に対する割合を示す その他のがんは子宮以外のがんや 位不確定のがん等の症例 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

表 年齢別子宮頚がん検診成績 自由検診 class 97 年度 検査数 9 歳 9 9 9 歳 7 年度 年令 不明 検査数 9 歳 9 9 9 歳 年令 不明 Ⅰ,7 9.7 7,,999, 7,7 9,7, 7,.7,,77, 7 9 Ⅱ 9,9.,9,,,9,,7, 7.,,77,,9, Ⅲ,.,77,9,,,9,. 7 99 Ⅳ,9. 99 9. Ⅴ,7.7 79.,,,.9.9 9,7.,., 7,9. 9,., 7.,.,.7.,,.. 行政検診 class 97 年度 検査数 9 歳 9 9 9 歳 7 年度 年令 不明 検査数 9 歳 9 9 9 歳 年令 不明 Ⅰ,7,.,999,9, 9, 9,7,,.9,9,,7,,9 Ⅱ,9,. 7, 7,79 9,,9,7,, 7.9 7,,, 9,, Ⅲ,97.7, 7,7 7,,7,97,7.7 79 9 7 Ⅳ,. 7. Ⅴ 7. 7 9.,,,,7,,9 79,9 7,7..7.9 7.77.7,7. 7,,7 7.,.7 9,97.9,79.,. 9. 自由検診と行政検診の合,,7件 自由検診と行政検診の合 97, 件 のH-SILの中等度の扱いは なんらかの取り決 ばならない毎年強調している事項であるが 国民 めが必要であろう の利益にかなうよう 検診関係者一同がなお一層の おわりに 努力をしなければならないと思っている 注 より詳しい資料をお求めの場合 本会における子宮がん検診の結果について 子宮 ここに示した統資料は本会開設以来年度毎に集 がん検診を取り巻く最近の話題 特にTBSの導入に したものを簡略化しています詳しい資料につい ついて解説した転換期にある子宮がん検診を国民 ては ご連絡をいただければ開示します 健康の保持 増強に益するように方向付けしなけれ 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

子宮がん精密検診センターの実施成績 塚 﨑 克 己 慶應義塾大学医学准教授 はじめに 診センターも本会内に開設し 医会会員から委託さ 平成 年月に成立した がん対策基本法 れた要精検者の精密検査を実施してきた現在では は がん対策を総合的かつ画的に推進するための これら会員からの要精検者のほかにも 本会婦人科 ものであり その一つとして がん予防および早期 検診センター 通称グリーンルーム や行政検診にお 発見の推進が挙げられているそしてその推進のた ける要精検者の精密検査を行うとともに 検診精度 めに がん検診の質の向上等が求められており 具 の向上に努めてきた 体的には早期発見のための検診受診率の向上 受診率 本稿では 7年度およびそれまでの成績を若干 の達成 や検診精度の向上が挙げられているこ の考察を交えて報告する れを子宮がんに当てはめると 検診精度の向上のた 精検実施数 めには 細胞診を行った受診者の中からの要精検者 発見精度の向上 受診者への速やかな通知 精検機 7年度の年間受診者数は9人であり 前年度 関への紹介 確定診断精度の向上 適正な治療の実 より7人減少した97年のセンター開設以来7 施等が必要と考えられる 年度までの年間の精検者数の合は,7人とな 東京産婦人科医会では 会員が自分の施設で行う る月別の受診者数の傾向をみると 夏にやや増加 子宮がん検診方法を9年 昭和年 より開始した する傾向を認めるものの 平均化の傾向にあり 月 その事業の実務を東京都予防医学協会 以下 本会 別の受診者に大きな差異は認めていない 表 が全面的に引き受け 細胞診異常例に対する精密検 表1 年度別 月別 精検実施数 97 7 年度 年度 月 月 月 7月 月 9月 月 月 月 月 月 月 97 7. 9.9,7.,., 9.,7 7., 9.,9 9.,.,.9,.7, 7.,. 7 7 79 9. 7 7 79 9 7 7. 9 7 9 9 9.9 9 9 97. 9 97 7 9 9.9 7 99 9. 99 9. 9 9 9 9 79 77. 9 7 9 7. 9 9 79 7 7. 7 7. 9 9 9 7 9.,,,,9, 99 9.,.,97.,.,.7, 9.,7 7., 9., 9.,.,9 7., 7.,7 7.7,7. 注 97 年度および7年度の下段の数字は表,, も同じ 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

精検受診者の年齢分布 検診者数が減少したことや 年頃より 細胞に 精検受診者の年齢を歳ごとに区別すると 7 異型を認めても良性病変が疑われた場合には疑陽性 年度では 9歳が7人.7 と最も多く 次 とはせず 陰性follow upとして精検症例の絞り込み いで 歳の人. であり 9歳以下で を行ってきた影響が考えられる 表 全体の.を占めているこの頻度は 近年増加傾 病理組織診断 向にあり 開始年である97年度から年度まで の平均である.と比べ著しく増加している 表 7年度の精検受診者の子宮頚病理診断は 軽 度例. 高度例. 精検受診者の 次検診における細胞診判定 上皮内癌例. 微小例. 浸潤 頚がんに関しては 7年度の受診者のclass分 癌例. であったこれを97年度から年 類をみると classⅢaが7例. で圧倒的に 度までの各病変における平均比率と比較すると 軽 多 く 以 下classⅢbの9例. classⅣ の 度が増加. しているのに反し 例. classⅠ Ⅱの例.7 classⅤの例 上皮内癌以上の病変ではすべて低下しており 細胞. の順であったこれを97年度から年度 診判定における結果 表 とほぼ同様の傾向を示し までの平均頻度と比較すると classⅢaは増加傾向 た特に リンパ節郭清等を伴い 術後の合併症頻 classⅠ Ⅱ classⅢb classⅣやclassⅤは減少傾向 度の高いの頻度を激減.7. させる にあることが示唆され 近年の上皮内癌やの ことができたことは がんの早期発見に有用であり 減少と 軽 中等度の増加を反映している 医療費の面のみならず患者のQuality of lifeの面から の意義が大きい 一方 体がん検診に関して 7年度は内膜細胞 診疑陽性が例 9. で 陽性例は例 7. で 一方 子宮体病変では 7年度における子宮 あり 精検者総数は9人であるこれは 97年 内膜増殖症と体がんはそれぞれ例.9 例 度から年度までの平均である.人,9/. であり 97年度から年度までの平均 より増加しているものの 年度よりほぼ横ば 比率と比べ いずれも減少.9.9. いであった例年に比べ 著しく減少しているこの. を示したしかしながら この数字は内膜増殖 7年度における体がんの精検者数の減少に関して 症や体がんの実態を表した数字ではなく 頚の異 は 年に出された指針によって 体がんの行政 形成数の増加による見かけ上の減少であるちなみに 表 年度別 受診者の年令分布 97 7 年度 年齢 年度 9 歳 9 9 9 9 7 歳 97 77.,77.7,.,79.,7.,., 7. 7..7.,. 7 7 9 7 97 7 99 9 7 77 7 7 9 7 9 7 7 79 7 9 7 7 7,,,,9, 99 7.7. 7.7....... 9.,79 7.9,.,.,799.9,79.9,., 7.,.. 9.,7. 人 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

表 精検受診者の一次検診における細胞診判定 97 7 年度 判定 頚がん検診 体がん検診 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 疑陽性 なし. 9, 7.,9., 7. 7., 9.,7 9. 9 7.,9..7,7. 7 7 77 7 9 97 7 7 9 9 9 9 9,9, 97 7 9 7 7,,,9,,7, 7.7 7. 9.... 9. 7. 9. 7 9 人 77.7,99 7.,9.,..,., 9..,. 9,7 全体における..7.9.. 9...... 年度 97 陽性 注 各年度に重複例が含まれる表も同じ 体不能再検例は含まない 表 病理組織診断 97 7 年度 組織診断 軽 度 高 度,.9,., 9.9 99. 9.,.7.9 9.. 7.. 9.,. 99 7 97 7 9 7 9 7 9 7 7 7 9 7 7 7 7,,,,,,97 7.......9..... 9.,.,7 7., 9.,.,9.,9.7.. 9.,9..7.,. 97 人 上皮内 癌 微小 良性 年度 7年度の体がんは例年に比べ少ないものの 内膜 増殖症 体がん その他 未実施 判定 不能 追跡中 頚がん患者の年齢の推移 年度から7年度の平均数は.7症例であり 97 頚がん 上皮内癌以上で 頚腺癌も含む の症例 年度から年度までの平均数.症例に比べ倍強 数は近年減少傾向にあるが その年度別の年齢構成 に増加しているまた 内膜増殖症の平均症例数は の推移をみると年度では例外的に7歳以上の患 97年度 年度は.症例であり症例数はわず 者の増加が認められたが 97年度 年度の平 かな減少.症例 に留まっているしかも 対頚 均年齢構成に比べ 年度 7年度では歳以 がん平均比 上皮内癌は除く は 年度 7年 上の頚がんの減少 9歳以下の増加が認められ 頚 度が7.9 体がん.7例/頚がん.7例 97年 がんの若年化傾向が示唆される 図 度 年度は. 体がん.例/9.例 と約. 倍に増加しており 症例数 対頚がん比とも近年体 がんが増加していることを示している 表 図 次検診時の細胞診と病理組織診断 表における細胞診classⅠ Ⅱ症例は グリーン ルームで次検診を行った症例の内 細胞診陰性 コ 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

ルポ診有所見にて精検を行った症例である 精検センター受診時の細胞診と病理組織診断 7年度では classⅢaと推定病変の軽度 表におけるclassⅠ Ⅱ症例は 次検診でclass と合致した割合は. /9 であり 例 Ⅲa以上であったが 精検センターでの細胞診でⅠ の高度 7例の上皮内癌 例のを検出 Ⅱであった症例で 次検診と精検との間隔が短い している一方 良性所見 偽陽性 が.に認め 場合に起り得るが コルポスコピー下での組織診で られているClassⅢa例の取り扱いに関しては 従 軽度が.7 /7 高度が. 来 偽陽性率が高いことから 年度より良性異 /7 上皮内癌が. /7 検出されており 型やHPV感染に起因すると考えられる症例について 次検診におけるコルポ診の有用性が示唆される頚 は要精検とせず ヵ月後のfollow upとして 細胞 における成績は 次検診時とほぼ同様の傾向を 診classⅢa症例における要精検率を絞り込んできた 示しているが 全体として 合致率 偽陽性率とも 年度では残念ながらその効果は認められず 偽 次検診より良好であり ちなみにclassⅢa例にお 陽性率は7.であったが 7年度は前述した如 ける合致率は. 7/ 偽陽性率は. く.で ここ数年と比べても最も低 い値であり 絞り込みの効果が徐々に出 てきたと考えられる 子宮内膜細胞診の疑陽性における合致 率は. /9 と低く 例の体がん が検出されているが 偽陽性率は. に達しているまた 体細胞診陽性例 での合致率は.であった次検診時 の細胞診における偽陽性率は依然として 高いものの 前年度の.に比べれば 低下しているこれが疑陽性例の絞り込 みの効果であるか否かは年度以降の 成績を待ちたいと考えている 東京都予防医学協会年報 9年版 第号 7

表 1次検診時の細胞診と病理組織診断 7 年度 病理組織診断 細 胞 診 頚 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 体 疑 陽 性 陽 性 人 良性 軽 度 高 度 上皮内 癌 微小 体がん 内 膜 増殖症 その他 未実施 判定 不能 9 7 9 7 9 79 9 7 9 7 表 精検センター受診時の細胞診と病理組織診断 7 年度 病理組織診断 細 胞 診 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 頚 体 陰 性 疑 陽 性 陽 性 判定不能 人 良性 軽 度 高 度 上皮内 癌 微小 体がん 内 膜 増殖症 その他 未実施 判定 不能 7 9 9 7 7 7 9 9 / と改善が認められているこのことから 務であると考えられる 頚細胞診の精度向上のためには 適正な標本作製 当施設の子宮がん検診では 従来より頚がん検診 が重要であることが示唆される一方 体の成績 におけるclassⅢa例の偽陽性率の高さや 体がん では疑陽性例における偽陽性率は7. / と 検診での疑陽性例の偽陽性率の高さが問題となって 依然として高かったことから 頚細胞診とは異な いる頚がん検診では 採取器具の改善により多数 り細胞の採取手技や標本作製法の改善のみでは克服 の細胞が採取され 偽陰性の減少に貢献している反 できない問題があることが示唆されるなお 細胞 面 綿棒採取ではあまり認められなかった深層の扁 診陽性 組織診良性の例は 卵巣がんの症例であり 平上皮細胞や 細胞集塊が出現したり さまざまな 細胞診陽性例の偽陽性率は極めて低いことがわかる 感染症を有する女性からの検体が多くなったことか ら 由来の細胞との鑑別に苦慮する異型を伴っ おわりに た化生細胞や頚管腺細胞 反応性細胞等の出現が多 冒頭にも述べたように がん対策基本法 の施行 により 検診受診率の向上が図られているが それ く 偽陽性率を引き上げる原因となっている 当施設では文中に述べたように 年度より に伴う医療経済上の負担が危惧されるところである classⅢa例における分析を行い HPV感染や良性異 そのためにもがん検診では 不必要な検査の減少や 型と考えられる症例については要精検とせず ヵ月 早期がんの発見率の向上など 発見精度の向上が急 後のfollow upとして精検症例の絞り込みを行ってき 東京都予防医学協会年報 9年版 第号

9