第 7 章 維 持 管 理 138
第 7 章 維 持 管 理 7.1 維 持 管 理 給 水 装 置 はお 客 様 ( 需 要 者 )に 直 接 水 を 供 給 する 施 設 であり 給 水 装 置 の 的 確 な 維 持 管 理 は 供 給 水 の 保 全 に 重 大 な 影 響 を 与 えるため 水 を 汚 染 し 又 は 漏 水 のない よう 随 時 又 は 定 期 的 に 行 うこと 給 水 装 置 は 水 道 事 業 者 需 要 者 等 が 注 意 をもって 管 理 すべきものであり 維 持 管 理 について 需 要 者 等 に 対 して 適 切 な 情 報 提 供 を 行 うことが 重 要 である 給 水 装 置 の 漏 水 修 繕 区 分 を 以 下 に 示 す (1) 市 水 道 部 修 繕 範 囲 原 則 として 水 道 メーター 手 前 までの 漏 水 修 理 ( 工 事 破 損 等 を 除 く) ただし 水 道 メーターが 道 路 と 宅 地 の 境 界 線 から2mを 超 えた 宅 地 に 設 置 され ている 場 合 及 び 集 合 住 宅 などの 連 合 給 水 装 置 の 場 合 は 第 一 止 水 栓 まで 止 水 栓 の 機 能 不 良 に 伴 う 交 換 ( 戸 建 住 宅 に 限 る) 漏 水 修 繕 に 伴 う 掘 削 部 の 軽 微 な 復 旧 ( 土 の 埋 戻 し コンクリート アスファルトの 復 旧 ) (2)お 客 様 修 繕 範 囲 メーター 又 は 第 一 止 水 栓 以 降 の 給 水 装 置 の 修 理 メーターボックス 及 び 止 水 栓 筐 の 修 理 交 換 漏 水 修 繕 に 伴 う 掘 削 部 の 復 旧 (タイルなど) また 給 水 装 置 の 漏 水 修 繕 区 分 概 要 を 図 7.1.1に 示 す 139
図 7.1.1 給 水 装 置 の 漏 水 修 繕 区 分 ただし 指 定 工 事 事 業 者 による 修 理 の 後 宅 内 漏 水 によって 加 算 されたメーターの 使 用 水 量 は 減 免 申 請 書 の 提 出 することにより 一 定 の 範 囲 について 水 道 料 金 が 減 免 される 場 合 がある 以 下 に 日 常 点 検 時 の 注 意 点 を 示 す 1. 漏 水 の 点 検 給 水 管 からの 漏 水 給 水 用 具 の 故 障 の 有 無 について 随 時 又 は 定 期 的 に 点 検 を 行 う 表 7.1.1 漏 水 の 点 検 箇 所 点 検 箇 所 漏 水 の 見 つけ 方 漏 水 の 予 防 方 法 水 道 メータ 全 ての 給 水 栓 を 閉 め 使 用 して いないのに 回 転 指 標 (パイロ 定 期 的 に 水 道 メーターを 見 る 習 慣 をつける ット)が 回 転 している 水 栓 水 栓 からの 漏 水 は ポタポタか らはじまる 水 栓 が 締 まりにくいときは 無 理 に 締 めずにすぐ 修 理 する 水 洗 トイレ 使 用 していないのに 水 が 流 れて いる 使 用 前 に 水 が 流 れていないか 調 べる 習 慣 をつける 受 水 槽 使 用 していないのにポンプのモ ーターがたびたび 動 く 高 置 水 槽 のひび 割 れ 越 流 管 等 を ときどき 点 検 する 受 水 槽 の 水 があふれている 警 報 機 を 取 り 付 ける 壁 ( 配 管 部 分 ) 配 管 してある 壁 や 羽 目 板 がぬれ 家 の 外 側 をときどき 見 回 る ている 地 表 ( 配 管 部 分 ) 配 管 してある 付 近 の 地 面 がぬれ ている 給 水 管 の 布 設 されているところ には 物 を 置 かない 下 水 のマンホール いつもきれいな 水 が 流 れてい る マンホールの 蓋 をときどき 開 け て 調 べる 2. 給 水 用 具 の 故 障 と 修 理 給 水 用 具 の 管 理 に 当 たっては 構 造 機 能 及 び 故 障 修 理 方 法 等 について 十 分 理 解 する 必 要 がある 3. 異 常 現 象 と 対 策 異 常 現 象 は 水 質 によるもの( 濁 り 色 臭 味 等 )と 配 管 状 態 によるもの( 水 撃 異 常 音 等 )とに 大 別 される 配 管 状 態 によるものについては 配 管 構 造 及 び 材 料 の 改 善 をすることにより 解 消 さ れることも 多 い 水 質 によるものについては 現 象 をよく 見 極 めて 原 因 を 究 明 し 需 要 者 に 説 明 の 上 適 切 な 措 置 を 講 じる 必 要 がある (1) 水 質 の 異 常 水 道 水 の 濁 り 着 色 臭 味 等 が 発 生 した 場 合 には 水 道 事 業 者 に 連 絡 し 直 ちに 原 因 を 究 明 するとともに 適 切 な 対 策 を 講 じなければならない 1 異 常 な 臭 味 水 道 水 は 消 毒 のため 塩 素 を 添 加 しているので 消 毒 臭 ( 塩 素 臭 がある この 消 毒 臭 は 残 留 塩 素 があることを 意 味 し 水 道 水 の 安 全 性 を 示 す 一 つの 証 拠 である 140
なお 塩 素 以 外 の 臭 味 が 感 じられたときは 水 道 事 業 者 に 連 絡 する 臭 味 の 発 生 原 因 としては 次 のような 事 項 が 考 えられる (ア) 油 臭 薬 品 臭 のある 場 合 給 水 装 置 の 配 管 で ビニル 管 の 接 着 剤 鋼 管 のねじ 切 り 等 に 使 用 される 切 削 油 シール 剤 の 使 用 が 適 切 でなく 臭 味 が 発 生 する 場 合 や 漏 れた 油 類 が 給 水 管 ( 硬 質 塩 化 ビニル 管 ポリエチレン 二 層 管 )を 侵 し 臭 味 が 発 生 する 場 合 がある また この 他 にクロスコネクションにより 臭 味 が 発 生 する 場 合 もある (イ) シンナー 臭 のある 場 合 塗 装 に 使 用 された 塗 料 等 が なんらかの 原 因 で 土 中 に 浸 透 して 給 水 管 ( 硬 質 塩 化 ビニル 管 ポリエチレン 二 層 管 )を 侵 し 臭 味 が 発 生 する 場 合 がある (ウ) かび 臭 墨 汁 臭 のある 場 合 河 川 の 水 温 上 昇 等 の 原 因 で 藍 藻 類 等 の 微 生 物 の 繁 殖 が 活 発 となり 臭 味 が 発 生 する 場 合 がある (エ) 普 段 と 異 なる 味 がする 場 合 水 道 水 は 無 味 無 臭 に 近 いものであるが 給 水 栓 の 水 が 普 段 と 異 なる 味 がす る 場 合 は 工 場 排 水 下 水 薬 品 等 の 混 入 が 考 えられる 塩 辛 い 味 苦 い 味 渋 い 味 酸 味 甘 味 等 が 感 じられる 場 合 は クロスコネクションのおそれがあ るので 直 ちに 飲 用 を 中 止 する 鉄 銅 亜 鉛 等 の 金 属 を 多 く 含 むと 金 気 味 渋 味 を 感 じる 給 水 管 にこれ らの 材 質 を 使 用 しているときは 滞 留 時 間 が 長 くなる 朝 の 使 い 始 めの 水 に 金 気 味 渋 味 を 感 じる 朝 の 使 い 始 めの 水 は なるべく 雑 用 水 等 の 飲 用 以 外 に 使 用 する 2 異 常 な 色 水 道 水 が 着 色 する 原 因 としては 次 の 事 項 がある なお 汚 染 の 疑 いがある 場 合 は 水 道 事 業 者 に 連 絡 する (ア) 白 濁 色 の 場 合 水 道 水 が 白 濁 色 に 見 え 数 分 問 で 清 澄 化 する 場 合 は 空 気 の 混 入 によるもの で 一 般 に 問 題 はない (イ) 赤 褐 色 又 は 黒 褐 色 の 場 合 水 道 水 が 赤 褐 色 又 は 黒 褐 色 になる 場 合 は 鋳 鉄 管 鋼 管 のさびが 流 速 の 変 化 流 水 の 方 向 変 化 等 により 流 出 したもので 一 定 時 間 排 水 すれば 回 復 する 常 時 発 生 する 場 合 は 管 種 変 更 等 の 措 置 が 必 要 である (ウ) 白 色 の 場 合 亜 鉛 メッキ 鋼 管 の 亜 鉛 が 溶 解 していることが 考 えられる 使 用 時 に 一 定 時 間 管 内 の 水 をいったん 排 水 して 使 用 しなければならない (エ) 青 い 色 の 場 合 141
衛 生 陶 器 が 青 い 色 に 染 まるような 場 合 は 銅 管 等 から 出 る 銅 イオンが 脂 肪 酸 と 結 びついて 出 来 る 銅 石 鹸 が 付 着 するものであるが 人 体 に 無 害 である この 現 象 は 通 常 一 定 期 問 の 使 用 で 皮 膜 が 生 成 し 起 こらなくなる 3 異 物 の 流 出 (ア) 水 道 水 に 砂 鉄 粉 等 が 混 入 している 場 合 給 水 装 置 等 の 工 事 の 際 混 入 したものであることが 多 く 給 水 用 具 を 損 傷 する こともあるので 水 道 メーターを 取 り 外 して 管 内 から 除 去 しなければならない (イ) 黒 色 の 微 細 片 が 出 る 場 合 止 水 栓 給 水 栓 に 使 われているパッキンのゴムが 劣 化 し 栓 の 開 閉 操 作 を 行 った 際 に 細 かく 砕 けて 出 てくるのが 原 因 と 考 えられる (2) 出 水 不 良 出 水 不 良 の 原 因 は 種 々あるが その 原 因 を 調 査 し 適 切 な 措 置 をする 1 給 水 管 の 口 径 が 小 さい 場 合 一 つの 給 水 管 から 当 初 の 使 用 予 定 を 上 回 って 数 多 く 分 岐 されると 既 設 給 水 管 の 必 要 水 量 に 比 し 給 水 管 の 口 径 が 不 足 をきたし 出 水 不 良 をおこす このよ うな 場 合 には 適 正 な 口 径 に 改 造 する 必 要 がある 2 管 内 にスケールが 付 着 した 場 合 既 設 給 水 管 に 亜 鉛 めっき 鋼 管 等 を 使 用 していると 内 部 にスケール( 赤 さび)が 発 生 しやすく 年 月 を 経 るとともに 給 水 管 断 面 が 小 さくなるので 出 水 不 良 をお こす このような 場 合 には 管 の 布 設 替 えが 必 要 である 3 給 水 管 が 途 中 でつぶれたり 地 下 漏 水 をしていることによる 出 水 不 良 ある いは 各 種 給 水 用 具 の 故 障 等 による 出 水 不 良 もあるが これらに 対 しては 現 場 調 査 を 綿 密 に 行 って 原 因 を 発 見 し その 原 因 を 除 去 する (3) 水 撃 水 撃 が 発 生 している 場 合 は その 原 因 を 十 分 調 査 し 原 因 となる 給 水 用 具 の 取 り 替 えや 給 水 装 置 の 改 造 により 発 生 を 防 止 する 給 水 装 置 内 に 発 生 原 因 がなく 外 部 からの 原 因 により 水 撃 が 発 生 している 場 合 もあるので 注 意 する (4) 異 常 音 給 水 装 置 が 異 常 音 を 発 する 場 合 は その 原 因 を 調 査 し 発 生 源 を 排 除 する 1 水 栓 のこまパッキンが 摩 耗 しているため こまが 振 動 して 異 常 音 を 発 する 場 合 は こまパッキンを 取 り 替 える 2 水 栓 を 開 閉 する 際 立 上 り 管 等 が 振 動 して 異 常 音 を 発 する 場 合 は 立 上 り 管 等 を 固 定 させて 管 の 振 動 を 防 止 する 3 1 2 項 以 外 の 原 因 で 異 常 音 を 発 する 場 合 は 水 撃 に 起 因 することが 多 い 4. 事 故 原 因 と 対 策 142
給 水 装 置 と 配 水 管 は 機 構 的 に 一 体 をなしているので 給 水 装 置 の 事 故 によって 汚 染 された 水 が 配 水 管 に 逆 流 したりすると 他 の 需 要 者 にまで 衛 生 上 の 危 害 を 及 ぼすおそ れがあり 安 定 した 給 水 ができなくなるので 事 故 の 原 因 を 良 く 究 明 し 適 切 な 対 策 を 講 じる 必 要 がある (1) 汚 染 事 故 1クロスコネクション クロスコネクションの 防 止 対 策 を 講 じなければならない 2 逆 流 既 設 給 水 装 置 において 下 記 のような 不 適 正 な 状 態 が 発 見 された 場 合 サイ ホン 作 用 による 水 の 逆 流 が 生 じるおそれがあるので 適 切 な 対 策 を 講 じなければ ならない (ア) 水 栓 にホース 類 が 付 けられ ホースが 汚 水 内 に 漬 っている 場 合 (イ) 浴 槽 等 への 給 水 で 十 分 な 吐 水 口 空 間 が 確 保 されていない 場 合 (ウ) 便 器 に 直 結 した 洗 浄 弁 にバキュームブレーカーが 取 り 付 けられていな い 場 合 (エ) 消 火 栓 散 水 栓 が 汚 水 の 中 に 水 没 している 場 合 (オ) 有 効 な 逆 流 防 止 の 構 造 を 有 しない 外 部 排 水 式 不 凍 給 水 栓 水 抜 き 栓 を 使 用 しでいる 場 合 7.2 改 造 工 事 1 改 造 工 事 にて 施 工 する 給 水 装 置 は 水 道 法 施 行 令 第 5 条 に 規 定 する 給 水 装 置 の 構 造 及 び 材 質 の 基 準 に 適 合 しているものでなければならない 2 改 造 工 事 の 施 工 に 伴 い 一 時 撤 去 した 量 水 器 は 責 任 をもって 保 管 し 工 事 完 成 後 原 形 に 復 元 すること 7.3 修 繕 工 事 1 修 繕 工 事 の 範 囲 給 水 装 置 及 びその 付 属 用 具 の 部 分 的 な 破 損 あるいは 異 常 の 原 因 を 取 り 除 き その 機 能 を 修 復 するのに 必 要 な 工 事 とする 2 修 繕 工 事 の 施 工 区 分 1) 管 理 者 が 施 工 し その 費 用 を 負 担 する 修 繕 工 事 は 次 のとおりとする 1 道 路 部 分 で 発 生 する 修 繕 工 事 2 ア) 戸 建 住 宅 宅 内 に 設 置 されている 量 水 器 までの 漏 水 修 繕 工 事 道 路 と 宅 地 の 境 界 線 から 量 水 器 の 下 流 側 接 続 部 までの 漏 水 修 繕 工 事 ただし 量 水 器 が 道 路 と 宅 地 の 境 界 線 から 2.0m を 超 えて 設 置 される 場 合 は 第 1 止 水 栓 までとする イ) 集 合 住 宅 ( 貯 水 槽 水 道 及 び 連 結 給 水 ) 143
宅 内 に 設 置 されている 第 1 止 水 栓 までの 漏 水 修 繕 工 事 3 量 水 器 の 接 続 パッキン 修 繕 2) 前 項 の 修 繕 工 事 において 漏 水 異 常 等 の 原 因 が 明 らかな 場 合 は その 原 因 者 がこ れに 係 る 費 用 を 負 担 するものとする 3 一 般 事 項 1) 修 繕 工 事 の 施 工 にあたっては 給 水 装 置 工 事 の 施 工 に 準 じること 2) 破 損 箇 所 からの 漏 水 が 路 面 に 流 出 する 場 合 は 修 繕 工 事 に 着 手 するまでの 間 排 水 を 適 切 に 行 うとともに 冬 季 間 は 塩 化 カルシウム 等 で 凍 結 防 止 の 措 置 を 講 じるものと する 3) 修 繕 工 事 に 際 し 当 該 給 水 装 置 の 通 水 を 一 時 停 止 する 時 は 事 前 にその 旨 を 使 用 者 に 通 知 しなければならない 4) 給 水 管 の 土 被 りは 修 繕 により 所 定 の 深 さ( 既 設 管 が 所 定 深 さを 超 えている 場 合 は 同 程 度 )を 変 更 してはならない 5) 修 繕 工 事 完 了 後 通 水 試 験 により 修 繕 状 況 を 確 認 しなければならない 6) 修 繕 工 事 完 了 後 工 事 箇 所 の 清 掃 を 行 い 交 通 その 他 に 支 障 のないよう 処 置 すると ともに 必 要 に 応 じて 当 該 給 水 装 置 使 用 者 の 確 認 を 受 けるものとする 144