資 料 1 自 然 災 害 ( 地 震 ) 時 における 電 気 火 災 防 止 への 対 応 について 平 成 26 年 5 月 14 日 商 務 流 通 保 安 グループ 電 力 安 全 課
1. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 発 生 等 の 状 況 (1) (1) 電 気 火 災 の 発 生 状 況 と 想 定 等 阪 神 淡 路 大 震 災 において85 件 の 電 気 火 災 が 報 告 されているが その 内 電 気 用 品 ( 移 動 可 能 な 電 熱 器 ( 電 気 ストー ブ 等 ) 電 気 機 器 (TV 冷 蔵 庫 等 ))からの 出 火 が66%( 計 56 件 )を 占 めていた また 東 日 本 大 震 災 における 電 気 火 災 は68 件 その 内 31 件 が 電 熱 器 具 からの 発 熱 が 原 因 と 報 告 されている これまで 電 気 火 災 防 止 の 取 り 組 みとして 事 業 者 による 復 電 時 の 安 全 確 認 漏 電 遮 断 器 の 普 及 需 要 家 への 防 災 意 識 の 向 上 等 に 取 り 組 んでいる 首 都 直 下 地 震 発 生 時 において 厳 しい 想 定 では 死 者 数 2 万 3 千 名 のうち 1 万 6 千 名 が 火 災 による 犠 牲 者 で そのうち 約 7000 名 が 電 気 火 災 による 犠 牲 である こ のため 電 気 火 災 防 止 の 徹 底 は 非 常 に 重 要 な 課 題 であり 今 年 3 月 に 取 りまとめら れた 大 規 模 地 震 防 災 減 災 対 策 大 綱 首 都 直 下 地 震 緊 急 対 策 推 進 基 本 計 画 及 び 南 海 トラフ 地 震 防 災 対 策 推 進 基 本 計 画 に 位 置 づけられているところである また 電 気 火 災 を 防 止 するためには 一 般 家 庭 や 電 力 会 社 などの 民 間 企 業 の 取 組 国 及 び 自 治 体 といった 公 的 機 関 の 対 策 など 全 関 係 者 の 対 応 が 必 要 であると ともに 地 震 発 生 時 等 における 電 気 火 災 の 原 因 に 見 合 った 対 策 が 必 要 である 1
地 震 に 伴 う 電 気 火 災 発 生 等 の 状 況 ( 参 考 ) 阪 神 淡 路 大 震 災 における 電 気 火 災 の 原 因 分 類 発 火 源 件 数 電 気 による 発 熱 体 移 動 可 能 な 電 熱 器 40 固 定 の 電 熱 器 2 電 気 機 器 16 電 気 装 置 1 電 灯 電 話 等 の 配 線 19 配 線 器 具 6 その 他 1 小 計 85 その 他 54 不 明 146 合 計 285 東 日 本 大 震 災 における 電 気 火 災 の 原 因 分 類 発 火 源 要 因 の 分 類 電 熱 器 具 からの 発 熱 電 源 コード 等 の 損 傷 電 気 配 線 の 損 傷 電 気 機 械 器 具 の 損 傷 地 震 動 との 因 果 関 係 不 明 地 震 時 における 出 火 防 止 対 策 のあり 方 に 関 する 調 査 検 討 報 告 書 ( 消 防 庁 ) ( 平 成 7 年 1 月 17 日 から10 日 間 ) 落 下 落 下 物 で 電 熱 器 等 のスイッチが 入 る 18 電 熱 器 等 の 転 倒 電 熱 器 等 へ 他 物 が 接 触 13 落 下 物 等 の 圧 力 による 断 線 短 絡 3 水 槽 破 損 等 による 水 の 付 着 3 配 線 と 照 明 器 具 との 接 続 箇 所 が 損 傷 2 落 下 物 等 の 圧 力 による 断 線 短 絡 6 揺 れによる 配 線 と 他 物 との 混 触 1 器 具 内 部 の 短 絡 等 8 揺 れによる 他 物 のと 混 触 2 器 具 と 引 き 出 し 電 線 との 接 続 箇 所 損 傷 5 電 熱 器 具 からの 発 熱 ( 原 因 不 明 ) 1 電 源 コード 等 が 損 傷 ( 原 因 不 明 ) 3 電 気 配 線 の 損 傷 ( 原 因 不 明 ) 1 津 波 津 波 による 浸 水 2 合 計 68 火 災 総 計 329 件 数 消 防 庁 消 防 研 究 センター( 平 成 23 年 3 月 11 日 ~ 平 成 24 年 3 月 23 日 ) 2
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (1) (1) 漏 電 遮 断 器 の 設 置 状 況 漏 電 遮 断 器 は 平 常 時 の 感 電 及 び 火 災 対 策 として これまで 普 及 啓 発 活 動 を 行 っ た 結 果 普 及 率 は 現 在 全 国 で89.0% 関 東 では92.9%( 阪 神 淡 路 大 震 災 当 時 は 全 国 で64.5%)である また 漏 電 遮 断 器 は 内 線 規 程 に 位 置 づけられており 新 築 の 場 合 にはほぼ100% 設 置 されている 漏 電 遮 断 器 の 普 及 率 全 国 64.5 89.0 平 成 25 年 分 電 盤 漏 電 遮 断 器 平 成 7 年 ( 参 考 ) 漏 電 遮 断 器 の 機 能 等 機 能 : 電 路 に 漏 電 がないかを 常 時 監 視 し 漏 電 が 生 じた 場 合 には 瞬 時 に 電 路 を 遮 断 する 関 東 69.8 92.9 目 的 : 漏 電 を 検 知 し 電 気 を 遮 断 することにより 感 電 死 傷 機 器 の 破 損 発 熱 による 火 災 を 防 ぐ 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 3
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (2) (2) 感 震 ブレーカーの 設 置 状 況 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 検 討 WGにおいて 電 気 火 災 防 止 策 として 木 造 住 宅 密 集 地 域 等 への 感 震 ブレーカーの 普 及 促 進 が 提 言 され また 前 記 計 画 等 においても 言 及 されているところである しかしながら 内 閣 府 世 論 調 査 ( 防 災 に 関 する 世 論 調 査 : 平 成 25 年 12 月 )によれば 感 震 ブレーカーを 設 置 していると 回 答 した 者 は6.6%であるとされており メーカーからの 聞 き 取 りでも 現 状 の 普 及 率 は 極 めて 低 いとされている また 感 震 ブレーカーの 導 入 のための 補 助 金 制 度 を 創 設 (25 年 7 月 )した 横 浜 市 に おいても これまでの 導 入 実 績 は4 件 (26 年 3 月 現 在 )である ( 参 考 ) 感 震 ブレーカーの 種 類 分 電 盤 型 分 電 盤 に 内 蔵 する 感 震 センサーで 一 定 の 震 度 を 検 知 し 電 源 を 遮 断 するもの コンセント 型 (コンセント 内 蔵 型 取 付 け 型 ) コンセントに 組 み 込 まれたセンサーで 地 震 を 検 知 し 機 器 への 電 力 供 給 を 遮 断 するもの その 他 ( 簡 易 型 ) ブレーカーノブに 紐 で 繋 いだおもりが 一 定 の 震 度 で 落 下 し 電 源 を 遮 断 するもの コンセント 内 蔵 型 分 電 盤 型 取 付 け 型 簡 易 型 ( 通 販 HPより) 4
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (3) (3) 現 在 のスマートメーターの 導 入 計 画 スマートメーターは 通 信 機 能 及 び 遠 隔 開 閉 機 能 を 有 する 電 力 量 計 電 力 各 社 は 以 下 のような 計 画 で スマートメーターを 全 世 帯 に 導 入 していくことを 表 明 している 計 画 に 沿 って 導 入 するため 既 に 機 器 の 仕 様 は 決 定 済 み なお 災 害 発 生 時 に スマートメーターがもつ 遠 隔 開 閉 機 能 を 活 用 すべきとの 意 見 も あるが 震 災 発 生 時 に 自 動 的 に 各 戸 の 電 力 供 給 を 遮 断 するような 機 能 は 備 え 付 けら れていない スマートメーター 導 入 計 画 北 海 道 東 北 東 京 中 部 北 陸 関 西 中 国 四 国 九 州 沖 縄 本 格 導 入 開 始 H27 年 度 H26 年 度 下 期 H26 年 度 上 期 H27 年 7 月 H27 年 度 開 始 済 H28 年 度 H26 年 度 下 期 H28 年 度 H28 年 度 導 入 完 了 H35 年 度 末 H35 年 度 末 H32 年 度 末 H34 年 度 末 H35 年 度 末 H34 年 度 末 H35 年 度 末 H35 年 度 末 H35 年 度 末 H36 年 度 末 スマートメーター 制 度 検 討 会 資 料 より 作 成 5
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (4) (4) 感 震 ブレーカー 等 のメリット 及 びデメリット 等 停 止 方 法 遮 断 対 象 メリット デメリット 復 電 費 用 感 震 ブ レ ー カ ー 分 電 盤 型 コンセント 型 簡 易 型 スマートメーター 家 屋 一 括 遮 断 機 器 別 遮 断 家 屋 一 括 遮 断 家 屋 一 括 遮 断 屋 内 配 線 機 器 コード 機 器 の 火 災 を 防 止 できる 遮 断 前 警 報 機 能 がある 感 震 遮 断 器 が 動 作 する 前 に 停 電 した 場 合 は 復 電 時 に 自 動 で 遮 断 する 機 器 コード 機 器 の 火 災 を 防 止 できる 対 象 とする 機 器 を 選 択 的 に 遮 断 でき る 設 置 について 分 電 盤 型 のような 制 約 はない 屋 内 配 線 機 器 コード 機 器 の 火 災 を 防 止 できる 設 置 が 簡 易 他 の 機 器 に 比 べ 安 価 に 設 置 が 可 能 屋 内 配 線 機 器 コード 機 器 の 火 災 を 防 止 できる 各 需 要 家 に 計 画 的 に 設 置 される 通 信 機 能 を 使 用 して 各 戸 を 選 択 的 に 遮 断 することが 可 能 漏 電 遮 断 器 が 設 置 されていることが 条 件 一 括 遮 断 されるため 医 療 機 器 や 防 犯 用 の 電 源 は 別 途 必 要 地 震 検 知 後 3 分 の 遮 断 猶 予 が 設 定 さ れており 初 期 の 出 火 防 止 効 果 は 限 定 的 な 可 能 性 あり 分 電 盤 の 取 替 えが 必 要 な 場 合 他 の 機 器 に 比 べ 費 用 負 担 が 大 きい 設 置 については 需 要 家 の 意 思 による 需 要 家 におい 屋 内 配 線 火 災 に 対 する 効 果 はない 遮 断 したい 機 器 のコンセント 毎 に 設 置 が 必 要 設 置 については 需 要 家 の 意 思 による 一 括 遮 断 されるため 医 療 機 器 や 防 犯 避 難 用 照 明 の 電 源 は 別 途 必 要 取 り 付 け 方 等 により 地 震 以 外 の 振 動 による 動 作 の 可 能 性 あり おもりの 取 り 付 け 箇 所 の 有 無 や おもり の 重 さ 等 により 機 能 が 得 られない 場 合 がある 設 置 については 需 要 家 の 意 思 による 一 括 遮 断 されるため 医 療 機 器 や 防 犯 避 難 用 照 明 の 電 源 は 別 途 必 要 感 震 機 能 を 具 備 していないため 新 規 開 発 が 必 要 通 信 機 能 を 使 用 する 場 合 通 信 設 備 の 被 災 により 効 果 低 下 需 要 家 において 復 電 が 不 可 能 て 屋 内 の 安 全 を 確 認 し 復 電 することで 電 気 火 災 を 防 止 しつつ 復 電 が 可 能 感 震 リレーのみの 設 置 22~35 千 円 程 度 分 電 盤 の 取 替 え 54~80 千 円 程 度 ( 工 事 費 含 む) 5~20 千 円 程 度 1~3 千 円 程 度 現 状 では 各 戸 毎 に 電 気 事 業 者 による 復 電 機 能 を 付 加 する 場 合 は が 必 要 となる 追 加 費 用 がかかる なお 安 全 確 認 を 誰 が 行 う かは 論 点 6
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (5) (5) 需 要 家 への 周 知 ( 注 意 喚 起 )の 状 況 需 要 家 に 対 し 震 災 発 生 時 に 望 まれる 需 要 家 の 行 動 に 関 する 注 意 喚 起 防 災 意 識 の 高 揚 を 図 っていくことが 必 要 であることから これまでも 下 記 のような 周 知 がなされてきた < 内 容 ( 例 )> 東 京 消 防 庁 東 京 電 力 ( 株 )のホームページでの 広 報 電 気 保 安 協 会 による 広 報 活 動 ( 地 域 イベント 参 加 パンフレット 配 布 等 ) ( 地 震 発 生 時 の 注 意 点 ) ( 日 常 における 注 意 点 ) 使 用 中 の 電 気 機 器 のスイッチを 切 り 電 原 プラグを 抜 く 電 気 機 器 の 潜 在 的 危 険 性 の 認 知 可 能 な 範 囲 で 使 用 していない 機 器 異 常 が 生 じた 機 器 は 電 源 プラグを 抜 く 必 要 があるものを 除 き 使 用 しない 機 器 は 電 源 プラグを 抜 く 避 難 する 場 合 はできる 限 りブレーカーを 切 り 電 原 プラグを 抜 く 地 震 時 に 落 下 転 倒 しないよう 設 置 場 所 方 法 に 注 意 する 電 気 機 器 の 消 火 は 必 ず 消 火 器 で 行 う 電 熱 器 具 の 付 近 上 部 に 可 燃 物 落 下 物 を 置 かない 断 線 したり 垂 れ 下 がった 電 線 には 絶 対 に 触 れない 日 頃 から 分 電 盤 の 位 置 を 確 認 しておく 電 気 の 再 使 用 時 に 電 気 機 器 の 状 態 等 について 安 全 確 認 を 徹 底 する ( 分 電 盤 の 付 近 にものを 置 かない) 7
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (6) (6) 事 業 者 における 復 電 時 の 対 応 状 況 迅 速 な 電 気 の 復 旧 と 安 全 確 保 の 両 立 を 図 るため 送 電 再 開 に 際 しての 安 全 確 認 の あり 方 を 含 めた 対 応 方 針 を 検 討 し 現 場 に 周 知 しておくことが 肝 要 ( 電 気 設 備 防 災 対 策 検 討 会 ( 平 成 7 年 11 月 )) 阪 神 淡 路 大 震 災 の 経 験 を 踏 まえ 電 力 各 社 は 復 電 時 の 安 全 確 認 に 一 層 取 り 組 ん でおり 東 日 本 大 震 災 時 においても 以 下 のように 取 り 組 んだところ 東 日 本 大 震 災 時 の 電 力 会 社 の 対 応 東 京 電 力 ( 株 ) 被 害 を 受 けている 地 域 への 送 電 再 開 は 個 別 家 屋 の 安 全 確 認 を 行 い 需 要 家 が 不 在 の 場 合 は 基 本 的 に 送 電 を 保 留 した 被 害 設 備 仮 復 旧 後 の 送 電 再 開 時 における 留 意 点 を 徹 底 した 東 北 電 力 ( 株 ) 上 記 と 同 様 各 戸 の 安 全 確 認 実 施 の 後 に 復 電 需 要 家 が 不 在 の 場 合 には 需 要 家 立 会 いのもと 送 電 する 旨 の チラシ( 停 電 中 のお 知 らせ)を 配 布 し 連 絡 を 待 った 停 電 中 のお 知 らせ 現 在 停 電 しております 安 全 のため,お 客 さま 立 会 いのもと 送 電 いたしますので, 下 記 まで,ご 連 絡 いただきますようお 願 いいたします なお, 以 下 の 点 について,ご 了 承 いただきますようお 願 いいたします 1. 作 業 員 手 配 の 都 合 により,ご 希 望 の 時 間 帯 にお 伺 い できない 場 合 がございます 2. 立 会 いの 結 果,お 客 さま 設 備 の 故 障 等 により, 送 電 できない 場 合 がございます 電 柱 番 号 計 器 番 号 [ 連 絡 先 ] コールセンター 0120-175-366 東 北 電 力 ( 株 ) 営 業 所 TEL1 TEL2 電 話 がつながりにくくなっておりますが,ご 容 赦 願 います ( 備 考 ) 消 防 庁 消 防 研 究 センターによる 各 自 治 体 の 消 防 機 関 に 対 するアンケート 調 査 によれば 東 日 本 大 震 災 において68 件 ( 平 成 23 年 3 月 11 日 ~ 平 成 24 年 3 月 23 日 の 期 間 )の 電 気 に 起 因 する 火 災 が 発 生 している 8
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (7) (7) 自 家 用 機 器 等 へのこれまでの 対 応 高 圧 の 受 変 電 設 備 等 について 耐 震 対 策 として 民 間 規 程 ( 高 圧 受 電 設 備 規 程 )に おいて 耐 震 設 計 や 耐 震 対 策 例 についての 留 意 点 が 規 定 されている 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 による 自 家 用 電 気 工 作 物 の 被 害 状 況 及 び 対 策 方 針 ( 平 成 24 年 3 月 ) ( 関 東 地 域 自 家 用 電 気 工 作 物 地 震 対 策 検 討 会 )では 一 部 のキュービク ルや 変 圧 器 等 に 傾 斜 移 動 などの 被 害 のあったものがあり これらは 耐 震 設 計 や 施 工 品 質 が 不 十 分 であったと 考 えられる このため 規 程 等 に 記 載 されている 耐 震 対 策 を 確 実 に 実 施 することが 必 要 とされた 加 えて 被 害 状 況 を 踏 まえて 従 来 の 耐 震 対 策 を 追 記 補 完 する 方 針 をまとめ 電 気 主 任 技 術 者 セミナーをはじめ 日 本 電 気 協 会 等 関 係 機 関 においても 情 報 提 供 している 9
2. 地 震 に 伴 う 電 気 火 災 防 止 対 策 の 現 状 (8) (8) 民 生 用 機 器 へのこれまでの 対 応 電 気 ストーブ ハロゲンヒーター 等 の 電 気 用 品 について 1962 年 電 気 用 品 の 技 術 上 の 基 準 を 定 める 省 令 において 通 常 の 使 用 状 態 に おいて 転 倒 した 場 合 に 危 険 が 生 じるおそれがあるものにあっては 容 易 に 転 倒 し ないこと を 義 務 付 け 2006 年 電 気 用 品 安 全 法 の 二 項 基 準 ( 国 際 規 格 に 準 拠 した 基 準 )に 地 震 対 策 として 転 倒 した 際 に 作 動 するスイッチなど 安 全 装 置 をもつもの 及 び 電 源 スイッ チが 不 用 意 にONになってはならない という 規 定 を 追 加 国 内 に 流 通 している 電 気 ストーブ 等 は 海 外 メーカー 製 を 含 む 輸 入 品 が 多 いが 2006 年 以 降 に 製 造 輸 入 されたものについては 地 震 対 策 としての 技 術 基 準 を 満 たしたものが 流 通 2012 年 観 賞 魚 用 ヒーターについて 温 度 過 昇 防 止 装 置 の 設 置 等 を 定 めた 業 界 の 統 一 規 格 を 策 定 10
(1) 漏 電 遮 断 器 の 普 及 策 について 漏 電 遮 断 器 の 普 及 を 今 後 も 促 進 することが 必 要 であり そのためには この 機 器 の 普 及 が 地 域 の 災 害 防 止 ( 減 災 )に 寄 与 することを 周 知 することが 必 要 また 新 築 について 着 実 に 設 置 を 進 めることで 普 及 率 を 向 上 させる 方 向 1) 広 報 資 料 の 作 成 (パンフレット 等 ) 1 電 気 火 災 防 止 対 策 を 促 進 するため 漏 電 遮 断 器 の 設 置 等 を 含 む 効 果 的 な 取 組 を 推 奨 するパンフレットを 作 成 する 2 パンフレットには 日 常 から 必 要 な 準 備 や 機 器 の 点 検 地 震 発 生 時 に 望 まれる 具 体 的 行 動 を 記 載 する なお パンフレットについては 電 気 火 災 防 止 対 策 を 充 実 させ るための 調 査 事 業 の 一 環 として 作 成 する 2) 周 知 方 法 3. 今 後 の 方 向 性 (1) 1 定 期 調 査 時 のほか 変 更 工 事 等 の 機 会 を 捉 えて 電 力 会 社 電 気 保 安 協 会 全 日 本 電 気 工 事 業 工 業 組 合 連 合 会 等 関 係 機 関 協 力 の 下 パンフレットを 配 布 設 置 の 働 きかけを 行 う 2 自 治 体 による 地 域 毎 のリスク 評 価 火 災 防 止 対 策 実 施 率 の 周 知 も 必 要 と 考 えられるが 関 係 機 関 との 協 議 が 必 要 ( 電 気 火 災 防 止 チラシ 例 ) 11
3. 今 後 の 方 向 性 (2) (2) 感 震 ブレーカー 等 の 普 及 策 について 震 災 による 火 災 延 焼 防 止 対 策 として 感 震 ブレーカー 等 の 普 及 の 対 象 とするエリ ア 等 については 以 下 の 様 に 考 えられるが 具 体 的 には 技 術 的 内 容 等 を 含 む 情 報 をとりまとめ 国 ( 内 閣 府 消 防 庁 経 済 産 業 省 ) 自 治 体 その 他 関 係 機 関 との 協 議 により 合 意 形 成 することが 必 要 1) 対 象 のエリア( 案 ) 1 首 都 直 下 地 震 対 策 首 都 直 下 緊 急 対 策 区 域 において 地 震 時 等 に 著 しく 危 険 な 木 造 家 屋 密 集 地 域 ( 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 内 の 各 地 域 等 ) 2 南 海 トラフ 地 震 対 策 南 海 トラフ 地 震 防 災 対 策 推 進 地 域 において 地 震 時 等 に 著 しく 危 険 な 木 造 密 集 地 域 ( 神 奈 川 県 愛 知 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 和 歌 山 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 大 分 県 内 の 各 地 域 等 ) 12
3. 今 後 の 方 向 性 (3) 2) 適 用 機 器 ( 案 ) 電 気 火 災 の 防 止 について 漏 電 に 対 する 防 護 としては 漏 電 遮 断 器 ( 普 及 率 89%) 過 電 流 ( 短 絡 )に 対 する 防 護 としては 配 線 用 遮 断 器 ( 普 及 率 100%)が 活 用 されている さらに 感 震 ブレーカー 等 の 設 置 について メリット デメリット 等 から 適 用 に 当 たっての 主 な 論 点 を 整 理 すると 以 下 のとおりである 各 機 器 の 保 護 範 囲 平 時 ( 地 震 時 ) 地 震 時 屋 内 配 線 機 器 漏 電 ショート 漏 電 ショート ( 地 絡 ) ( 短 絡 ) ( 地 絡 ) ( 短 絡 ) 転 倒 落 下 物 等 漏 電 遮 断 器 配 線 用 遮 断 器 コンセント 型 分 電 盤 型 簡 易 型 : 避 難 照 明 等 のため 3 分 の 遮 断 猶 予 時 間 を 設 けている 13
3. 今 後 の 方 向 性 (4) 1 電 気 火 災 防 止 のための 供 給 遮 断 の 範 囲 分 電 盤 型 簡 易 型 は 屋 内 配 線 機 器 コード 機 器 の 通 電 を 遮 断 することから 出 火 防 止 の 対 象 範 囲 としてはコンセント 型 より 広 い ただし 屋 内 を 一 括 で 遮 断 するため 必 要 に 応 じて 別 途 電 源 を 用 意 することが 求 められる コンセント 型 は 屋 内 配 線 の 保 護 はできないが 医 療 機 器 避 難 用 照 明 等 地 震 時 にお いても 電 気 供 給 が 必 要 な 機 器 に 供 給 を 継 続 しつつ 電 熱 器 具 等 についての 供 給 を 遮 断 する 等 機 器 を 選 択 的 に 遮 断 することができる 需 要 家 においては 電 気 供 給 を 遮 断 する 対 象 機 器 を 確 実 に 識 別 し コンセント 型 に 接 続 することが 必 要 である よって 遮 断 による 防 火 保 護 の 対 象 範 囲 及 び 遮 断 時 の 影 響 を 考 慮 する 必 要 がある 2 設 置 に 係 る 制 約 等 ( 設 置 の 条 件 工 事 の 要 否 難 易 性 ) 機 器 の 設 置 にあたり 電 気 工 事 を 必 要 とするのは 分 電 盤 型 及 びコンセント 内 蔵 型 である 他 方 コンセント 型 ( 取 り 付 け 型 ) 及 び 簡 易 型 は 需 要 家 による 設 置 が 可 能 である 分 電 盤 型 については 漏 電 遮 断 器 が 必 要 であることや 感 震 リレーを 追 設 する 場 合 ス ペースの 確 保 が 必 要 である 簡 易 型 についても 設 置 スペースの 確 保 が 必 要 であり ま た 遮 断 性 能 については 設 置 の 方 法 の 適 切 性 やブレーカーとの 適 合 性 に 依 存 する 場 合 があることから 確 実 に 動 作 することを 確 認 する 必 要 がある 14
3. 今 後 の 方 向 性 (5) 3 設 置 費 用 ( 費 用 負 担 ) 設 置 に 要 する 費 用 は 安 価 な 順 に 簡 易 型 コンセント 型 分 電 盤 型 となっている ただし コンセント 型 は 遮 断 対 象 機 器 を 接 続 するコンセント 毎 に 設 置 する 必 要 がある ため 設 置 数 に 応 じて 費 用 が 嵩 む 各 機 器 とも 設 置 に 要 する 費 用 を 誰 がどれだけ どの 様 に 負 担 するかは 検 討 課 題 4 復 電 の 容 易 性 分 電 盤 型 コンセント 型 及 び 簡 易 型 のいずれにおいても 需 要 家 自 ら 屋 内 の 安 全 を 確 認 し 復 電 することで 電 気 火 災 を 防 止 しつつ 容 易 に 復 電 が 可 能 ただし 安 全 確 保 の ためには 需 要 家 による 復 電 前 の 点 検 が 確 実 に 実 行 されることが 必 要 である 5 普 及 の 確 実 性 分 電 盤 型 コンセント 型 簡 易 型 のいずれにおいても 需 要 家 の 意 思 による 設 置 ( 普 及 ) となる 15
3. 今 後 の 方 向 性 (6) 6 維 持 管 理 分 電 盤 コンセント 型 については 定 期 的 な 動 作 確 認 及 び 耐 用 年 数 に 応 じた 管 理 が 必 要 簡 易 型 については 設 置 の 状 態 が 維 持 されていることが 必 要 7 作 動 信 頼 性 感 震 ブレーカーの 感 震 遮 断 性 能 等 については 早 急 に 調 査 確 認 する 8 スマートメーター 活 用 の 可 能 性 スマートメーターの 現 行 の 通 信 機 能 を 震 災 時 供 給 遮 断 に 用 いるとした 場 合 の 信 頼 性 や 通 信 機 能 を 用 いずにスマートメーターに 感 震 機 能 と 遮 断 のための 制 御 機 能 を 搭 載 できるか メーター 設 置 場 所 において 復 電 や 遮 断 操 作 が 可 能 なものとできるか 等 の 調 査 を 早 急 に 行 う これらの 事 項 を 勘 案 しつつ 適 切 かつ 効 果 的 な 機 器 を 選 定 し 設 置 を 普 及 することが 肝 要 である 16
3. 今 後 の 方 向 性 (7) 3) 普 及 方 法 ( 案 ) 1 感 震 ブレーカー 等 の 導 入 支 援 にかかる 制 度 の 創 設 費 用 負 担 等 普 及 のための 感 震 ブレーカー 等 の 費 用 を 誰 がどのように 負 担 するのか 速 やかに 普 及 させるためには 補 助 金 等 の 支 援 制 度 が 必 要 と 考 えられるが 補 助 率 補 助 対 象 等 を 含 め 関 係 機 関 との 協 議 が 必 要 2 普 及 のための 広 報 については 後 述 の 需 要 家 への 周 知 と 併 せて 実 施 17
3. 今 後 の 方 向 性 (8) (3) 電 気 火 災 防 止 対 策 を 充 実 させるための 調 査 電 気 火 災 防 止 対 策 を 充 実 させるための 調 査 事 業 として 以 下 の 検 証 分 析 等 を 行 う 1 電 気 火 災 の 防 止 対 策 が 実 施 されていない 環 境 の 分 析 未 対 策 の 原 因 調 査 及 び 効 果 的 な 普 及 対 策 の 提 案 2 電 気 火 災 発 生 のメカニズムの 調 査 研 究 3 普 及 周 知 パンフレットの 作 成 4 感 震 ブレーカーの 感 震 遮 断 性 能 についての 調 査 5 スマートメーター 活 用 の 可 能 性 調 査 スマートメーターの 現 行 の 通 信 機 能 を 震 災 時 供 給 遮 断 に 用 いるとした 場 合 の 信 頼 性 や 通 信 機 能 を 用 いずにスマートメーターに 感 震 機 能 と 遮 断 のた めの 制 御 機 能 を 搭 載 できるか メーター 設 置 場 所 において 復 電 や 遮 断 操 作 が 可 能 なものとできるか 等 の 調 査 を 早 急 に 行 う ( 再 掲 ) 18
(4) 需 要 家 への 周 知 1) 今 後 周 知 すべき 事 項 3. 今 後 の 方 向 性 (9) 今 後 は これまでの 周 知 事 項 の 内 容 に 加 え 以 下 の 事 項 についても 国 地 方 自 治 体 電 気 事 業 者 その 他 関 係 機 関 協 力 のもと 積 極 的 な 周 知 を 行 っていく 1 漏 電 遮 断 器 設 置 の 必 要 性 2 感 震 ブレーカー 等 設 置 の 必 要 性 ( 設 置 の 目 的 効 果 設 置 時 の 注 意 等 を 含 む) 3 避 難 用 照 明 等 必 要 な 電 源 の 確 保 の 必 要 性 4 漏 電 遮 断 器 感 震 ブレーカー 非 常 用 照 明 等 の 点 検 の 必 要 性 5 感 震 ブレーカー 動 作 時 の 対 応 ( 避 難 時 の 注 意 復 帰 する 場 合 の 注 意 等 ) 6 感 震 ブレーカー 不 動 作 時 の 対 応 ( 手 動 操 作 の 必 要 性 等 ) 7 地 震 発 生 時 の 復 電 時 における 電 気 機 器 配 線 の 点 検 に 係 る 事 項 2) 周 知 の 方 法 1 国 地 方 自 治 体 電 気 事 業 者 その 他 関 係 機 関 協 力 のもと 広 報 を 実 施 パンフレットの 配 布 新 聞 TV HP 等 による 広 報 2 コミュニティ( 自 治 体 等 )における 取 り 組 みの 促 進 自 治 体 による 地 域 毎 のリスク 評 価 火 災 防 止 対 策 実 施 率 の 周 知 も 必 要 と 考 えられる が 前 記 と 同 様 関 係 機 関 との 協 議 が 必 要 ( 再 掲 ) 19
3. 今 後 の 方 向 性 (10) (5) 事 業 者 における 復 電 時 の 対 応 について 新 たな 知 見 教 訓 を 都 度 取 り 込 みつつ 基 本 的 にこれまでの 対 応 を 継 続 して 実 施 することが 肝 要 と 考 えられる (6) 自 家 用 機 器 等 への 対 応 高 圧 受 電 設 備 等 の 耐 震 対 策 としては 民 間 規 程 ( 高 圧 受 電 設 備 規 程 )に 定 められ ているが 東 日 本 大 震 災 において 得 られた 教 訓 知 見 及 び 有 識 者 の 意 見 等 を 踏 ま えて 規 程 の 見 直 し 充 実 の 必 要 性 を 確 認 検 討 する (7) 民 生 用 機 器 への 対 応 電 気 ストーブ ハロゲンヒーター 等 の 電 気 用 品 について 1 消 費 者 に 対 して 安 全 対 策 が 不 十 分 な 古 い 電 気 器 具 等 の 危 険 性 に 関 する 情 報 提 供 を 行 い 安 全 な 器 具 等 への 買 替 の 促 進 を 図 る 2 製 品 安 全 意 識 の 向 上 を 図 るために 消 費 者 教 育 を 実 施 する 20