資 料 2-10 重 篤 副 作 用 疾 患 別 対 応 マニュアル 非 ステロイド 性 抗 炎 症 薬 による 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 平 成 19 年 月 厚 生 労 働 省
本 マニュアルの 作 成 に 当 たっては 学 術 論 文 各 種 ガイドライン 厚 生 労 働 科 学 研 究 事 業 報 告 書 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 保 健 福 祉 事 業 報 告 書 等 を 参 考 に 厚 生 労 働 省 の 委 託 により 関 係 学 会 においてマ ニュアル 作 成 委 員 会 を 組 織 し 社 団 法 人 日 本 病 院 薬 剤 師 会 とともに 議 論 を 重 ねて 作 成 されたマニュアル 案 をもとに 重 篤 副 作 用 総 合 対 策 検 討 会 で 検 討 され 取 りまとめられたものである 社 団 法 人 日 本 アレルギー 学 会 マニュアル 作 成 委 員 会 池 澤 善 郎 横 浜 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 環 境 免 疫 病 態 皮 膚 科 教 授 猪 又 直 子 横 浜 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 環 境 免 疫 病 態 皮 膚 科 准 教 授 岡 本 美 孝 千 葉 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 耳 鼻 咽 喉 科 頭 頸 部 腫 瘍 学 教 授 谷 口 正 実 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 相 模 原 病 院 臨 床 研 究 セ ンターアレルギー 科 医 長 ( 敬 称 略 ) 社 団 法 人 日 本 病 院 薬 剤 師 会 飯 久 保 尚 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 薬 剤 部 部 長 補 佐 井 尻 好 雄 大 阪 薬 科 大 学 臨 床 薬 剤 学 教 室 准 教 授 大 嶋 繁 城 西 大 学 薬 学 部 医 薬 品 情 報 学 教 室 准 教 授 小 川 雅 史 大 阪 大 谷 大 学 薬 学 部 臨 床 薬 学 教 育 研 修 センター 大 浜 修 医 療 法 人 医 誠 会 都 志 見 病 院 薬 剤 部 長 笠 原 英 城 社 会 福 祉 法 人 恩 賜 財 団 済 生 会 千 葉 県 済 生 会 習 志 野 病 院 副 薬 剤 部 長 小 池 香 代 名 古 屋 市 立 大 学 病 院 薬 剤 部 主 幹 後 藤 伸 之 名 城 大 学 薬 学 部 医 薬 品 情 報 学 研 究 室 教 授 鈴 木 義 彦 国 立 国 際 医 療 センター 薬 剤 部 副 薬 剤 部 長 高 柳 和 伸 財 団 法 人 倉 敷 中 央 病 院 薬 剤 部 長 濱 敏 弘 癌 研 究 会 有 明 病 院 薬 剤 部 長 林 昌 洋 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 虎 の 門 病 院 薬 剤 部 長 ( 敬 称 略 ) 1
重 篤 副 作 用 総 合 対 策 検 討 会 飯 島 正 文 昭 和 大 学 病 院 長 医 学 部 皮 膚 科 教 授 池 田 康 夫 慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 長 市 川 高 義 日 本 製 薬 工 業 協 会 医 薬 品 評 価 委 員 会 PMS 部 会 運 営 幹 事 犬 伏 由 利 子 消 費 科 学 連 合 会 副 会 長 岩 田 誠 東 京 女 子 医 科 大 学 病 院 神 経 内 科 主 任 教 授 医 学 部 長 上 田 志 朗 千 葉 大 学 大 学 院 薬 学 研 究 院 医 薬 品 情 報 学 教 授 笠 原 忠 共 立 薬 科 大 学 薬 学 部 生 化 学 講 座 教 授 栗 山 喬 之 千 葉 大 学 医 学 研 究 院 加 齢 呼 吸 器 病 態 制 御 学 教 授 木 下 勝 之 社 団 法 人 日 本 医 師 会 常 任 理 事 戸 田 剛 太 郎 財 団 法 人 船 員 保 険 会 せんぽ 東 京 高 輪 病 院 院 長 山 地 正 克 財 団 法 人 日 本 医 薬 情 報 センター 理 事 林 昌 洋 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 虎 の 門 病 院 薬 剤 部 長 松 本 和 則 国 際 医 療 福 祉 大 学 教 授 森 田 寛 お 茶 の 水 女 子 大 学 保 健 管 理 センター 所 長 座 長 ( 敬 称 略 ) 2
本 マニュアルについて 従 来 の 安 全 対 策 は 個 々の 医 薬 品 に 着 目 し 医 薬 品 毎 に 発 生 した 副 作 用 を 収 集 評 価 し 臨 床 現 場 に 添 付 文 書 の 改 訂 等 により 注 意 喚 起 する 警 報 発 信 型 事 後 対 応 型 が 中 心 である しかしながら 1 副 作 用 は 原 疾 患 とは 異 なる 臓 器 で 発 現 することがあり 得 ること 2 重 篤 な 副 作 用 は 一 般 に 発 生 頻 度 が 低 く 臨 床 現 場 において 医 療 関 係 者 が 遭 遇 する 機 会 が 少 ないものもあること などから 場 合 によっては 副 作 用 の 発 見 が 遅 れ 重 篤 化 することがある 厚 生 労 働 省 では 従 来 の 安 全 対 策 に 加 え 医 薬 品 の 使 用 により 発 生 する 副 作 用 疾 患 に 着 目 した 対 策 整 備 を 行 うとともに 副 作 用 発 生 機 序 解 明 研 究 等 を 推 進 する ことにより 予 測 予 防 型 の 安 全 対 策 への 転 換 を 図 ることを 目 的 として 平 成 17 年 度 から 重 篤 副 作 用 総 合 対 策 事 業 をスタートしたところである 本 マニュアルは 本 事 業 の 第 一 段 階 早 期 発 見 早 期 対 応 の 整 備 (4 年 計 画 ) として 重 篤 度 等 から 判 断 して 必 要 性 の 高 いと 考 えられる 副 作 用 について 患 者 及 び 臨 床 現 場 の 医 師 薬 剤 師 等 が 活 用 する 治 療 法 判 別 法 等 を 包 括 的 にまとめた ものである 記 載 事 項 の 説 明 本 マニュアルの 基 本 的 な 項 目 の 記 載 内 容 は 以 下 のとおり ただし 対 象 とする 副 作 用 疾 患 に 応 じて マニュアルの 記 載 項 目 は 異 なることに 留 意 すること 患 者 の 皆 様 へ 患 者 さんや 患 者 の 家 族 の 方 に 知 っておいて 頂 きたい 副 作 用 の 概 要 初 期 症 状 早 期 発 見 早 期 対 応 のポイントをできるだけわかりやすい 言 葉 で 記 載 した 医 療 関 係 者 の 皆 様 へ 早 期 発 見 と 早 期 対 応 のポイント 医 師 薬 剤 師 等 の 医 療 関 係 者 による 副 作 用 の 早 期 発 見 早 期 対 応 に 資 するため ポイントになる 初 期 症 状 や 好 発 時 期 医 療 関 係 者 の 対 応 等 について 記 載 した 副 作 用 の 概 要 副 作 用 の 全 体 像 について 症 状 検 査 所 見 病 理 組 織 所 見 発 生 機 序 等 の 項 目 毎 に 整 理 し 記 載 した 3
副 作 用 の 判 別 基 準 ( 判 別 方 法 ) 臨 床 現 場 で 遭 遇 した 症 状 が 副 作 用 かどうかを 判 別 ( 鑑 別 )するための 基 準 ( 方 法 )を 記 載 した 判 別 が 必 要 な 疾 患 と 判 別 方 法 当 該 副 作 用 と 類 似 の 症 状 等 を 示 す 他 の 疾 患 や 副 作 用 の 概 要 や 判 別 ( 鑑 別 ) 方 法 について 記 載 した 治 療 法 副 作 用 が 発 現 した 場 合 の 対 応 として 主 な 治 療 方 法 を 記 載 した ただし 本 マニュアルの 記 載 内 容 に 限 らず 服 薬 を 中 止 すべきか 継 続 すべき かも 含 め 治 療 法 の 選 択 については 個 別 事 例 において 判 断 されるものである 典 型 的 症 例 本 マニュアルで 紹 介 する 副 作 用 は 発 生 頻 度 が 低 く 臨 床 現 場 において 経 験 のある 医 師 薬 剤 師 は 少 ないと 考 えられることから 典 型 的 な 症 例 につい て 可 能 な 限 り 時 間 経 過 がわかるように 記 載 した 引 用 文 献 参 考 資 料 当 該 副 作 用 に 関 連 する 情 報 をさらに 収 集 する 場 合 の 参 考 として 本 マニュ アル 作 成 に 用 いた 引 用 文 献 や 当 該 副 作 用 に 関 する 参 考 文 献 を 列 記 した 医 薬 品 の 販 売 名 添 付 文 書 の 内 容 等 を 知 りたい 時 は このホームページにリン クしている 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホー ムページの 添 付 文 書 情 報 から 検 索 することができます http://www.info.pmda.go.jp/ 4
非 ステロイド 性 抗 炎 症 薬 による 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 英 語 名 :NSAID(Non-steroidial Anti-inflammatory Drug)-induced Urticaria/Angioedema A. 患 者 の 皆 様 へ ここでご 紹 介 している 副 作 用 は まれなもので 必 ず 起 こるというものではありま せん ただ 副 作 用 は 気 づかずに 放 置 していると 重 くなり 健 康 に 影 響 を 及 ぼすことが あるので 早 めに 気 づいて 対 処 することが 大 切 です そこで より 安 全 な 治 療 を 行 う 上 でも 本 マニュアルを 参 考 に 患 者 さんご 自 身 またはご 家 族 に 副 作 用 の 黄 色 信 号 として 副 作 用 の 初 期 症 状 があることを 知 っていただき 気 づいたら 医 師 ある いは 薬 剤 師 に 連 絡 してください けっかんせい ふしゅ じんま 疹 / 血 管 性 浮 腫 は 皮 ふが 地 図 状 に 盛 り 上 がり かゆみ をともなう もしくは 急 に 口 びるやまぶた 顔 面 がふくらむなど の 症 状 がみられる 病 態 です 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 服 用 していて 特 に 次 のような 症 状 がみられた 場 合 には 緊 急 に 医 師 薬 剤 師 に 連 絡 して すみやかに 受 診 してください の 急 に くちびる まぶた 舌 口 の 中 顔 首 が 大 きく 腫 れる ど のつまり 息 苦 しい 話 しづらい 息 苦 しい 場 合 は 救 急 車 などを 利 用 して 直 ちに 受 診 してくださ い 5
1. 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 によるじんま 疹 / 血 管 浮 腫 とは? 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 使 用 後 数 分 から 半 日 して 地 図 状 に 盛 り 上 がったかゆみをともなうじんま 疹 もしくは 口 びるやま けっかん ふしゅ ぶた 顔 面 がはれてしまう( 血 管 浮 腫 という) 副 作 用 があっ た 場 合 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 によるじんま 疹 / 血 管 浮 腫 の 可 能 性 が あります じんま 疹 / 血 管 浮 腫 の 原 因 はさまざまですが 医 薬 品 が 原 因 となる 場 合 があり なかでも 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 によるものが 多 いことが 知 られています 慢 性 じんま 疹 の 患 者 さんの 20~ 35%は 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 で 悪 化 するとされていますが 普 段 まったく 症 状 がなくて 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 使 用 した 時 だけ じんま 疹 / 血 管 浮 腫 が 出 る 場 合 もあります 一 般 には 効 き 目 の 強 い 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 ほど このような 副 作 用 がおきやすいことが 知 られています じんま 疹 だけで なく のどが 狭 くなったり 息 苦 しさ せき 腹 痛 アナフ ィラキシー 症 状 ( 血 圧 低 下 など)なども 現 れることがありま す 2. 早 期 発 見 と 早 期 診 断 のポイント 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 使 用 してから 数 分 から 半 日 以 内 に じん ま 疹 もしくはまぶた 口 びる 顔 口 内 のはれ( 血 管 浮 腫 ) がおきた 場 合 は この 副 作 用 の 可 能 性 が 十 分 あります 急 に くちびる まぶた 舌 口 の 中 顔 首 が 大 きくは れる のどのつまり 息 苦 しい 話 しづらい など 症 状 がみられる 場 合 であって 医 薬 品 を 服 用 している 場 合 には 緊 急 に 医 師 薬 剤 師 に 連 絡 して すみやかに 受 診 してください 重 い 副 作 用 の 方 ほど 原 因 医 薬 品 の 使 用 から 副 作 用 がでるま での 時 間 は 短 いことがわかっています じんま 疹 は 通 常 24~48 時 間 以 内 で 消 えることが 多 いので 6
すが 血 管 浮 腫 は 翌 日 にさらに 悪 化 し 数 日 持 続 する 場 合 が よくあります 皮 膚 の 副 作 用 以 外 に 咳 息 苦 しさ 腹 痛 吐 き 気 のどの 狭 くなる 感 じがおきる 場 合 があり このような 場 合 は 重 い 副 作 用 (ショックなどのアナフィラキシー)につながりやすく 緊 急 に 医 療 施 設 を 受 診 してください その 際 は 使 用 した 医 薬 品 と 服 用 時 間 を 医 療 関 係 者 に 必 ず 伝 えてください 以 前 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 でじんま 疹 / 血 管 浮 腫 の 経 験 がある 方 は 十 分 注 意 する 必 要 があります また 以 前 に 湿 布 薬 ( 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 通 常 含 んでいます)で かぶれたことのある 患 者 さんは 同 じ 種 類 の 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 の 飲 み 薬 や 坐 剤 でも 副 作 用 が 出 る 可 能 性 があります その 他 の 医 薬 品 による 血 管 性 浮 腫 については 血 管 性 浮 腫 のマニュアルを 参 考 にしてください 医 薬 品 の 販 売 名 添 付 文 書 の 内 容 等 を 知 りたい 時 は このホームページにリンク している 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホームペ ージの 添 付 文 書 情 報 から 検 索 することができます http://www.info.pmda.go.jp/ 7
B. 医 療 関 係 者 の 皆 様 へ 薬 剤 性 のアナフィラキー 反 応 とは 医 薬 品 ( 治 療 用 アレルゲンなども 含 む)などに 対 する 急 性 の 過 敏 反 応 により 医 薬 品 投 与 後 通 常 5~30 分 以 内 で じん 麻 疹 などの 皮 膚 症 状 消 化 器 症 状 呼 吸 困 難 などの 呼 吸 器 症 状 が 同 時 あるいは 急 激 に 複 数 臓 器 に 現 れることをいう さらに 血 圧 低 下 が 急 激 に 起 こり 意 識 障 害 等 を 呈 することをアナフィラキシー ショックと 呼 び この 状 態 は 生 命 の 維 持 上 危 険 な 状 態 である アレルギー 領 域 のマニュアルは アナフィラキシー NSAIDs による 蕁 麻 疹 喉 頭 浮 腫 血 管 性 浮 腫 を 取 り 上 げ 個 々の 病 態 に 関 するマニ ュアルで 構 成 されているが 同 時 に 各 々が 相 補 的 に 機 能 するように 構 成 さ れていることを 理 解 して 活 用 することが 望 ましい 1. 早 期 発 見 と 早 期 対 応 のポイント (1) 副 作 用 の 出 現 時 間 : 解 熱 消 炎 鎮 痛 薬 を 使 用 してから 数 分 から 半 日 以 内 に 全 身 の 蕁 麻 疹 もしくは 血 管 浮 腫 が 生 じる 重 篤 な 症 例 ほど 原 因 医 薬 品 の 使 用 から 症 状 発 現 までの 時 間 は 短 い 蕁 麻 疹 は 通 常 24 ~48 時 間 以 内 で 消 失 することが 多 いが 血 管 浮 腫 は 翌 日 にさらに 悪 化 し 数 日 持 続 する (2) 患 者 側 のリスク 因 子 や 素 因 : 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 の 20~35%は NSAIDs の 使 用 により 増 悪 する 慢 性 蕁 麻 疹 患 者 では 皮 膚 症 状 が 不 安 定 な 患 者 ほど 誘 発 されやすい 一 方 基 礎 疾 患 の 無 い 患 者 でも 強 い 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 を 生 じる 場 合 もある 過 労 なども 誘 因 になりやすいことが 知 られいる したがって 使 用 時 の 患 者 の 体 調 により 副 作 用 の 発 現 程 度 が 異 なり 同 じ 原 因 医 薬 品 や 量 で 必 ず 誘 発 されるわけではない その 機 序 は アレルギー 機 序 に 基 づくのではなく NSAIDs がプロスタ グランディン 合 成 酵 素 であるシクロオキシゲナーゼを 阻 害 すること により 生 じる いわゆるイントレランス(intolerance 不 耐 症 )と 8
される この NSAIDs 不 耐 症 は 小 児 には 少 なく 成 人 に 多 い 後 天 的 過 敏 体 質 である 類 似 病 態 である IgE を 介 する NSAIDs アレルギーと 異 なり 原 因 NSAIDs を 初 めて 使 用 した 場 合 でも 起 こりうる 遺 伝 的 な 体 質 は 証 明 されていない NSAIDs アレルギーでも 全 身 皮 疹 やアナフ ィラキシーが 生 じることがあるが 症 状 からは 両 者 の 鑑 別 はむずかし く 救 急 対 応 にも 大 きな 差 はない (3) 投 薬 上 のリスク 因 子 : 1 薬 剤 による 誘 発 力 :NSAIDs 不 耐 症 は シクロオキシゲナーゼ 阻 害 に より 生 じる 薬 理 学 的 変 調 現 象 であるため 原 因 NSAIDs のもつシク ロオキシゲナーゼ 阻 害 力 で 誘 発 症 状 の 強 弱 が 決 まる すなわち 解 熱 鎮 痛 効 果 の 強 い 薬 剤 ほど 誘 発 されやすく またその 誘 発 症 状 も 強 い 2 原 因 薬 の 剤 型 : 原 因 となる NSAIDs は 使 用 頻 度 に 応 じて 内 服 薬 > 坐 剤 > 注 射 剤 の 順 で 原 因 になることが 多 い 坐 剤 や 注 射 剤 は 急 速 な 症 状 をきたしやすい 時 に NSAIDs を 含 んだ 貼 付 薬 まれに 塗 布 剤 や 点 眼 剤 でも 生 じるが 使 用 された 皮 膚 局 所 に 皮 疹 が 出 やすいわ けではない 3 誘 発 症 状 の 発 現 と 持 続 : 坐 剤 や 注 射 剤 は 薬 剤 の 吸 収 が 早 いことか ら 誘 発 症 状 は 30 分 以 内 に 生 じることが 多 いが 内 服 薬 では 1-2 時 間 以 内 に 生 じやすい 一 方 貼 付 剤 では 数 時 間 から 半 日 後 に 症 状 が 出 現 することが 多 い ただし 軽 度 の 皮 疹 の 場 合 は 症 状 発 現 に 気 づくのが 遅 れる 場 合 もある 効 果 が 持 続 する 薬 剤 (たとえ ば 1 日 1 回 投 与 の NSAIDs)では 誘 発 症 状 も 1 日 以 上 続 く (4) 患 者 もしくは 家 族 などが 早 期 に 認 識 しうる 症 状 : 1 早 期 に 認 識 しうる 症 状 : 主 に 顔 面 や 頚 部 四 肢 に 軽 度 の 蕁 麻 疹 か ら 始 まることが 多 いが 口 唇 や 眼 瞼 顔 面 の 軽 度 浮 腫 から 始 まる ケースもある 2 重 篤 な 症 状 に 進 行 する 可 能 性 のある( 前 駆 ) 症 状 : 頚 部 狭 窄 感 9
咳 息 苦 しさ 腹 痛 嘔 吐 は アナフィラキシー 症 状 に 先 行 して 認 めやすいため 早 急 な 対 応 を 要 する 同 様 に 広 範 な 蕁 麻 疹 や 急 速 な 血 管 浮 腫 の 出 現 も 全 身 症 状 を 生 じやすい (5)NSAIDs 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 の 予 防 と 早 期 診 断 に 必 要 な 問 診 方 法 1 既 往 歴 の 問 診 : NSAIDs 不 耐 症 のハイリスクグループである 慢 性 蕁 麻 疹 と 喘 息 がないか さらに 運 動 誘 発 アナフィラキシーなどのような NSAIDs が 誘 因 となる 疾 患 の 既 往 がないか 過 去 の NSAIDs 使 用 歴 とその 際 の 副 作 用 の 経 験 について 問 診 す る NSAIDs は 総 合 感 冒 薬 ではなく 効 果 の 強 い NSAIDs を 具 体 名 を 挙 げてたずねる(たとえばバファリンなど) ただし NSAIDs 不 耐 症 は 初 回 使 用 例 に 認 めるだけでなく 過 去 に NSAIDs を 安 全 に 使 用 できた 例 でもおきうる( 後 天 的 過 敏 体 質 のため) 2 早 期 診 断 に 必 要 な 問 診 : NSAIDs 不 耐 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 の 診 断 : 患 者 が NSAIDs 使 用 と 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 出 現 の 関 連 を 自 覚 している 場 合 は NSAIDs 使 用 時 間 と 皮 疹 出 現 のタイミングが 副 作 用 として 矛 盾 しないかを 判 断 する 時 に NSAIDs 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 は 時 間 が 遅 れて 症 状 に 気 づくこと があり 前 日 も 含 めた NSAIDs 使 用 を 確 認 する また 患 者 は 貼 付 剤 や 塗 布 剤 も 原 因 となりうることを 自 覚 していないことが 多 く その 使 用 の 有 無 は 必 ず 確 認 する (6) 原 因 医 薬 品 の 確 認 :NSAIDs 不 耐 症 と 確 定 できない 場 合 や NSAIDs アレルギーとの 鑑 別 が 困 難 なケースは 専 門 医 を 紹 介 する 原 因 と 推 定 された 医 薬 品 は 記 録 を 残 し NSAIDs 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 と 診 断 さ れた 場 合 は 今 後 の 誤 使 用 を 避 けるための 指 導 を 行 う 参 考 NSAIDs 過 敏 症 に 対 する 指 導 法 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 相 模 原 病 院 ホームページ( 予 定 ) 等 を 参 照 10
3. 副 作 用 の 概 要 (1) 概 要 原 因 となる NSAIDs 使 用 後 数 分 から 数 時 間 を 経 て 頚 部 顔 面 四 肢 などに 蕁 麻 疹 が 出 現 する 血 管 浮 腫 は 口 唇 と 眼 瞼 に 生 じやすく 蕁 麻 疹 よりも 通 常 遅 れて 出 現 し 数 日 持 続 する 広 範 囲 な 皮 疹 ならびに 気 道 症 状 や 消 化 器 症 状 は 重 篤 な 症 状 の 始 まりであることが 多 く 早 急 な 処 置 が 必 要 である 原 因 となる NSAIDs は 内 服 薬 や 坐 剤 が 多 いが 全 ての 剤 型 ( 注 射 剤 貼 付 剤 塗 布 剤 )で 起 こりうる NSAIDs 不 耐 症 は NSAIDs のもつ COX1 阻 害 作 用 ( 解 熱 鎮 痛 効 果 )に 応 じて 生 じる 非 アレルギー 学 的 過 敏 症 状 であるため その 構 造 を 問 わず COX1 阻 害 作 用 を 有 する 全 て の NSAIDs が 原 因 となりうる いまだその 機 序 や 診 断 法 は 無 いため 適 切 な 問 診 と( 専 門 施 設 で 行 う) 負 荷 試 験 で 診 断 するしかない (2) 自 覚 症 状 原 因 となる NSAIDs 使 用 後 数 分 から 数 時 間 を 経 て 頚 部 顔 面 四 肢 などに 蕁 麻 疹 が 出 現 する 血 管 浮 腫 は 蕁 麻 疹 を 伴 う 場 合 と 単 独 の 場 合 があるが 蕁 麻 疹 よりも 通 常 遅 れて 出 現 し 数 日 持 続 する 薬 剤 使 用 から 症 状 発 現 までの 時 間 が 短 いケースほど 症 状 は 強 いことが 多 い 広 範 囲 な 皮 疹 ならびに 皮 膚 以 外 の 症 状 ( 頚 部 の 狭 窄 感 咳 息 苦 しさ 腹 痛 嘔 気 など)は 重 篤 な 症 状 やアナフィラキシーの 始 まりであるこ とが 多 いので 緊 急 な 処 置 が 必 要 である (3) 他 覚 症 状 典 型 的 な 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 であり NSAIDs 不 耐 症 に 特 有 の 皮 疹 や 部 位 はない 典 型 的 な 蕁 麻 疹 が 頚 部 や 顔 面 四 肢 などに 認 めやすい 血 管 浮 腫 は 口 唇 と 眼 瞼 に 認 めやすい 蕁 麻 疹 と 血 管 浮 腫 は それぞれ 単 独 の 場 合 も 併 発 する 場 合 もある 喘 鳴 喉 頭 浮 腫 症 状 血 圧 低 下 傾 向 は アナフィラキシーの 前 駆 症 状 としてとらえる 時 に NSAIDs 過 敏 喘 息 / 鼻 炎 症 状 を 併 発 する 場 合 がある 11
(4) 臨 床 検 査 所 見 急 性 期 : 血 圧 と 酸 素 飽 和 度 の 確 認 は 必 須 であるが 診 断 に 有 用 な 検 査 法 はない 肥 満 細 胞 の 活 性 化 によりシスティニルロイコトリエン (Cys-LTs)とヒスタミンの 過 剰 産 生 が 生 じるため 研 究 室 レベルで は それらの 活 性 化 マーカーや 尿 中 代 謝 産 物 の 増 加 を 確 認 することが できる 原 因 診 断 法 : 通 常 のアレルギー 学 的 検 査 は 皮 膚 テストを 含 め 全 て 陰 性 である IgE 抗 体 やヒスタミン 遊 離 テストも 陰 性 で 問 診 と 負 荷 試 験 による 診 断 しかない (5) 発 症 機 序 NSAIDs 不 耐 症 は 厳 密 な 意 味 ではアレルギー 反 応 ではなく イント レランスとされ NSAIDs のもつシクロオキシゲナーゼ(COX) 阻 害 作 用 により 内 因 性 のプロスタグランディン(PG)E2 が 減 少 し 過 敏 症 状 が 生 じる 薬 理 学 的 な 変 調 体 質 である 近 年 この COX には 定 常 的 に 発 現 している COX1 と 炎 症 時 に 誘 導 される COX2 が 存 在 することが 判 明 して いるが NSAIDs 不 耐 症 患 者 は この COX1 阻 害 に 強 く 反 応 する したが って COX1 阻 害 作 用 の 強 い NSAIDs 具 体 的 にはアスピリン インドメ タシンなどに 対 し 過 敏 反 応 が 強 く 現 れ アセトアミノフェンや 近 年 開 発 された 選 択 的 COX2 阻 害 剤 (セレコキシブ)では 副 作 用 が 生 じにくい この 過 敏 体 質 は 成 人 後 に 後 天 的 に 獲 得 され 家 族 内 発 症 はほとんどな く 不 耐 症 獲 得 の 機 序 は 不 明 である 試 験 管 内 の 特 異 的 反 応 は 見 つかっ ておらず 動 物 モデルもない (6) 薬 剤 ごとの 特 徴 : 1 NSAIDs の COX1 阻 害 作 用 の 強 さに 応 じて 誘 発 症 状 の 強 度 が 影 響 され る この COX 阻 害 作 用 は おおむね 解 熱 消 炎 鎮 痛 効 果 と 相 関 するため 強 い NSAIDs(アスピリンやインドメタシンなど)はより 危 険 である アセトアミノフェンは COX1 阻 害 作 用 をほとんど 有 さないため 原 因 となりにくいが 高 用 量 (1 回 500mg)で 誘 発 する 場 合 がある 2 剤 型 により 過 敏 症 状 発 現 のタイミングが 異 なる すなわち 坐 剤 12
や 注 射 剤 では 数 分 から 数 10 分 以 内 に 過 敏 症 状 が 現 れ 内 服 薬 では 数 10 分 から 数 時 間 後 に 貼 付 剤 では 数 時 間 後 からゆっくり 現 れる ただし 内 服 薬 でも 腸 溶 剤 の 場 合 は その 発 現 は 数 時 間 以 降 になり やすい 過 敏 症 状 の 持 続 時 間 は その 医 薬 品 がもつ 解 熱 消 炎 鎮 痛 効 果 の 持 続 時 間 とおおむね 相 関 する 4. 副 作 用 の 判 別 基 準 ( 判 別 方 法 ) 急 速 に 生 じた 典 型 的 な 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 を 認 めた 場 合 原 因 となりうる NSAIDs の 使 用 の 有 無 を 確 認 する その 際 数 時 間 以 内 に 使 用 した NSAIDs の 可 能 性 が 高 いが 前 日 に 使 用 した NSAIDs も 否 定 できない 5. 鑑 別 が 必 要 な 疾 患 と 鑑 別 方 法 急 性 の 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 (+) NSAIDs 使 用 あり (+) 使 用 した NSAIDs と 誘 発 症 状 との 時 間 的 関 連 あり (+) FDEIA( 運 動 や 原 因 食 物 の 摂 取 若 年 者 アトピー 体 質 )や NSAID ア レルギー( 原 因 NSAID の 頻 回 使 用 歴 アトピー 体 質 など)との 鑑 別 既 往 歴 で 判 断 できなければ 後 日 専 門 施 設 における 負 荷 試 験 で 確 定 6. 治 療 方 法 ( 通 常 の 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 と 同 様 の 対 応 法 であるが 急 速 な 浮 腫 が 生 じる ため 早 期 にアドレナリンを 用 いる) (1) 軽 症 例 : 通 常 の 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 と 同 様 の 対 応 ただし 翌 日 に 悪 化 する 可 能 性 あり 13
(2) 中 等 症 : 抗 ヒスタミン 薬 と 全 身 ステロイド 抗 ロイコトリエンを 考 慮 (ただし 適 応 なし) (3) 重 症 例 気 道 もしくは 消 化 器 症 状 合 併 例 :2 次 救 急 施 設 へ 搬 送 す るのを 原 則 とする 血 圧 低 下 に 対 し 下 肢 を 挙 上 するセミファーラ ー 体 位 をとらせる 搬 送 する 前 に できるだけ 酸 素 とアドレナリン 筋 肉 注 射 (0.1-0.3ml)は 開 始 しておく さらに 抗 ヒスタミン 薬 と 全 身 ステロイドの 点 滴 投 与 を 開 始 する 急 速 な 進 行 例 ではアドレ ナリンの 筋 肉 注 射 だけでなく 点 滴 静 注 も 考 慮 する 7. 典 型 例 の 経 過 症 例 30 歳 代 女 性 既 往 : 生 来 健 康 アレルギー 疾 患 や 薬 剤 アレルギーの 既 往 なし 2 年 前 頭 痛 の 際 に 市 販 のアスピリンを 初 めて 内 服 し 3 時 間 後 に 口 唇 の 腫 れに 気 づくも 2~3 日 で 自 然 消 失 その 2 ヵ 月 後 に 同 じアスピリン を 内 服 し 口 唇 と 眼 瞼 の 浮 腫 頚 部 の 蕁 麻 疹 および 軽 度 の 咳 が 出 現 したが 自 然 消 失 以 後 アスピリンなどの 内 服 は 避 けていた 今 回 感 冒 様 症 状 で 近 医 を 受 診 した 際 ロキソプロフェンと 抗 菌 薬 の 処 方 を 受 けた 内 服 30 分 後 から 蕁 麻 疹 と 口 唇 浮 腫 に 気 づき さらに 1 時 間 後 に 全 身 蕁 麻 疹 血 管 浮 腫 呼 吸 困 難 嘔 気 をきたしたため 救 急 車 で 搬 送 される 来 院 時 の 理 学 所 見 : 意 識 清 明 体 格 中 等 度 SpO 295% 血 圧 76/38 脈 拍 112/ 分, 整 心 音 : 純 口 唇 眼 瞼 に 特 に 強 い 血 管 浮 腫 と 全 身 の 広 範 囲 な 蕁 麻 疹 を 認 める 喉 頭 の 発 赤 と 腫 脹 あり 胸 部 では 軽 度 の 喘 鳴 を 聴 取 経 過 :NSAIDs 不 耐 症 による 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 アナフィラキシーと 判 断 し 経 鼻 酸 素 2L 開 始 し 下 肢 挙 上 の 後 アドレナリン 0.2 ml(0.2 mg) 筋 肉 内 注 射 施 行 その 後 末 梢 ルートの 確 保 に 時 間 を 要 したため マレイン 酸 クロルフェニラミン 5 mg を 先 に 筋 肉 内 注 射 した これにより 血 圧 は 96/50 まで 上 昇 し 呼 吸 困 難 と 喘 鳴 皮 疹 は 改 善 した 次 に ベタメタゾン 10 mg 14
+アミノフィリン 250 mg+マレイン 酸 クロルフェニラミン 5 mg+h2 阻 害 薬 を 乳 酸 加 リンゲル 液 500 ml に 溶 解 し 2 時 間 で 点 滴 静 注 その 後 再 び 息 苦 しさと 血 管 浮 腫 が 増 悪 したため 2 回 目 のアドレナリン 0.2 mg を 投 与 し 奏 効 した 再 燃 や 遷 延 化 のリスクがあるため その 後 は 病 棟 で 穂 液 を 続 けながら 経 過 観 察 としたが 血 管 浮 腫 蕁 麻 疹 はゆっくり 消 退 し 全 身 状 態 も 安 定 したため NSAIDs 不 耐 症 の 説 明 を 十 分 に 行 い 患 者 カード を 携 帯 させ 翌 日 退 院 となった 解 説 :30 歳 代 にアスピリン 内 服 で 発 症 した 典 型 的 NSAIDs 不 耐 症 ( 皮 疹 型 ) である このようなケースは アスピリンのみに 対 するアレルギーと 誤 解 されやすいが 頻 度 からいっても NSAIDs 不 耐 症 のほうが 多 く 使 用 歴 がなくてアスピリンで 蕁 麻 疹 / 血 管 浮 腫 を 生 じていることは 強 く NSAIDs 不 耐 症 を 疑 う したがって NSAIDs 全 般 が 禁 忌 となる 誘 発 症 状 は アナフィラキシーまでいたっており アドレナリンが 第 1 選 択 薬 であり 奏 効 する 静 注 ステロイドは NSAIDs 過 敏 喘 息 例 で コハク 酸 エステル 型 ステロイドの 急 速 投 与 で 悪 化 することが 確 認 されており NSAIDs 過 敏 皮 疹 でも 悪 化 の 可 能 性 を 考 え リン 酸 エステル 型 ステロ イドを 点 滴 で 用 いることが 望 ましい 遷 延 化 症 例 も 多 いため 1 日 は 経 過 観 察 入 院 が 必 要 であり 今 後 の NSAIDs 誤 使 用 を 防 ぐための 指 導 と 患 者 カードも 大 切 である 15
8.その 他 早 期 発 見 早 期 対 応 に 関 連 する 事 項 表 NSAIDs 不 耐 症 患 者 ( 皮 疹 喘 息 型 )における 各 種 NSAIDs 類 似 薬 の 危 険 度 危 険 度 危 険 やや 危 険 ほぼ 安 全 (COX1 阻 害 作 用 がほと んど 無 い) 安 全 (COX1 阻 害 作 用 が 全 く 無 い) COXⅠ 阻 害 作 用 の 強 い NSAIDs 全 般 ( 内 服 薬 坐 剤 注 射 剤 が 主 体 ただし 貼 付 剤 も 要 注 意 ) アセトアミノフェン 1 回 500 mg 以 上 NSAIDs 塗 布 薬 点 眼 薬 も 時 に 危 険 アセトアミノフェン 1 回 300 mg 以 下 塩 基 性 消 炎 剤 (チアラミド 塩 酸 塩 など) COX2 阻 害 の 選 択 性 の 高 い NSAIDs(エトドラク セレコキシブ ナブメト ン メロキシカム) 総 合 感 冒 薬 (アセトアミノフェンを 含 有 するもの) 葛 根 湯 地 竜 ペンタゾシン モルヒネ :アセトアミノフェンについて 小 児 用 量 では 特 に 問 題 ないと 考 えられる 16
図 アラキドンカスケードと NSAIDs によるシクロオキシゲナーゼ 阻 害 8. 引 用 文 献 参 考 資 料 1) 猪 又 直 子, 池 澤 善 郎 : 蕁 麻 疹 とその 治 療 薬 剤 と 蕁 麻 疹 血 管 性 浮 腫 特 にアス ピリン(NSAIDs) 誘 発 蕁 麻 疹 血 管 性 浮 腫 についてMinophagen Medical Review 51(3):143-53 (2006) 2) 丹 羽 真 理 子, 永 仮 邦 彦, 高 須 昭 彦, 水 口 一 衛, 佐 々 廣 巳 : Enalaprilによる 血 管 神 経 性 浮 腫 によって 上 気 道 閉 塞 を 生 じた 1 例 内 科 73(5): 954-957 (1994) 3) 篠 田 京 香 :Angiotensin converting enzyme 阻 害 剤 (ACE-I)による 血 管 性 浮 腫 皮 膚 科 の 臨 床 46(4): 615-618 (2004) 4) Rudolf J, Grond M, Schmulling S, et al.: Orolingual angioneurotic edema following therapy of acute ischemic stroke with alteplase. Neurology 22; 55(4): 599-600 (2000) 5) Agostoni A, Cicardi M.: Drug-induced angioedema without urticaria. Drug Saf. 24(8):599-606.(2001) 6) 山 田 伸 夫 : 血 管 性 浮 腫. 最 新 皮 膚 科 学 大 系 3. 湿 疹, 痒 疹, 瘙 痒 症, 紅 皮 症, 蕁 麻 疹 ( 玉 置 邦 彦 飯 塚 一 清 水 宏 ほか 編 ) 中 山 書 店, 東 京, P247-256(2002) 7) 猪 又 直 子, 池 澤 善 郎 : 血 管 性 浮 腫. 最 新 皮 膚 科 学 大 系 特 別 巻 2. 湿 疹, 痒 疹, 瘙 痒 症, 17
紅 皮 症, 蕁 麻 疹 ( 玉 置 邦 彦, 飯 塚 一, 清 水 宏 ほか 編 ) 中 山 書 店, 東 京, P160-161 (2004) 8) Greaves M, Lawlor F.: Angioedema: manifestations and management. J Am Acad Dermatol. 25(1 Pt 2):155-61 (1991) 9) Stevenson DD, Lewis RA.Proposed mechanisms of aspirin sensitivity reactions. J Allergy Clin Immunol. 80(6): 788-90. (1987) 10) Messerli FH, Nussberger J.: Vasopeptidase inhibition and angio-oedema. Lancet. 19(356):608-9(2000) 11) Howes LG, Tran D.: Can angiotensin receptor antagonists be used safely in patients with previous ACE inhibitor-induced angioedema? Drug Saf. 25(2):73-6. (2002) 12) Diehl KL, Wernze H.: Angioneurotic edema caused by angiotensin-converting enzyme inhibitors. Dtsch Med Wochenschr. 117(19):727-32.(1992) 13) 吉 澤 潤 治, 中 井 高 洋, 竹 下 由 紀 代, 鈴 木 浩 司, 中 野 順 一, 野 口 茂 : 原 満 良 医 学 と 薬 学. 45(5): 815-826 (2001) 14) Karim MY, Masood A.: Fresh-frozen plasma as a treatment for life-threatening ACE-inhibitor angioedema. J Allergy Clin Immunol. 109(2):370-1. (2002) 15) Rosen FS, Alper CA, Pensky J, et al.: Genetically determined heterogeneity of the C1 esterase inhibitor in patients with hereditary angioneurotic edema. J Clin Invest. 50(10): 2143-9. (1971) 16) Bork K, Barnstedt SE, Koch P, et al.: Hereditary angioedema with normal C1-inhibitor activity in women. Lancet. 356(9225):213-7. (2000) 17) Agostoni A, Cicardi M.: Hereditary and aquired C1-inihibitor deficiency: Biological and characteristics in 235 patients. Medicine (Baltimore) 71: 206-15.(1992) 18) Asherson RA, D'Cruz D, Stephens CJ, et al.: Urticarial vasculitis in a connective tissue disease clinic: patterns, presentations, and treatment. Semin Arthritis Rheum. 20(5):285-96.(1991) 19) Wells JV, Buckley RH, Schanfield MS, et al.:anaphylactic reactions to plasma infusions in patients with hypogammaglobulinemia and anti-iga antibodies. Clin Immunol Immunopathol. 8(2):265-71.(1977) 20) Vyas GN, Fudenberg HH.: Isoimmune anti-iga causing anaphylactoid transfusion reactions. N Engl J Med. 280(19):1073-4. (1969) 21) Settipane RA, Schrank PJ, Simon RA, et al. : Prevalence of cross-sensitivity with acetaminophen in aspirin-sensitive asthmatic subjects. J Allergy Clin Immunol. 96(4):480-5. (1995) 18
参 考 1 薬 事 法 第 77 条 の4の2に 基 づく 副 作 用 報 告 件 数 ( 医 薬 品 別 ) 注 意 事 項 1) 薬 事 法 第 77 条 の4の2の 規 定 に 基 づき 報 告 があったもののうち 報 告 の 多 い 推 定 原 因 医 薬 品 ( 原 則 として 上 位 10 位 )を 列 記 したもの 注 ) 件 数 とは 報 告 された 副 作 用 の 延 べ 数 を 集 計 したもの 例 えば 1 症 例 で 肝 障 害 及 び 肺 障 害 が 報 告 さ れた 場 合 には 肝 障 害 1 件 肺 障 害 1 件 として 集 計 また 複 数 の 報 告 があった 場 合 などでは 重 複 してカ ウントしている 場 合 があることから 件 数 がそのまま 症 例 数 にあたらないことに 留 意 2) 薬 事 法 に 基 づく 副 作 用 報 告 は 医 薬 品 の 副 作 用 によるものと 疑 われる 症 例 を 報 告 するものであるが 医 薬 品 との 因 果 関 係 が 認 められないものや 情 報 不 足 等 により 評 価 できないものも 幅 広 く 報 告 されている 3) 報 告 件 数 の 順 位 については 各 医 薬 品 の 販 売 量 が 異 なること また 使 用 法 使 用 頻 度 併 用 医 薬 品 原 疾 患 合 併 症 等 が 症 例 により 異 なるため 単 純 に 比 較 できない ことに 留 意 すること 4) 副 作 用 名 は 用 語 の 統 一 のため ICH 国 際 医 薬 用 語 集 日 本 語 版 (MedDRA/J)ver. 10.0 に 収 載 されている 用 語 (Preferred Term: 基 本 語 )で 表 示 している 年 度 副 作 用 名 医 薬 品 名 件 数 平 成 16 年 度 ( 平 成 17 年 7 月 集 計 ) 蕁 麻 疹 ジクロフェナクナトリウム 4 アスピリン 3 ロキソプロフェンナトリウム 1 イブプロフェン 1 アセトアミノフェン 1 合 計 10 血 管 神 経 性 浮 腫 アスピリン 2 ザルトプロフェン 1 合 計 3 年 度 副 作 用 名 医 薬 品 名 件 数 ジクロフェナクナトリウム 4 アスピリン 3 ケトプロフェン 2 メフェナム 酸 1 ロキソプロフェンナトリウム 1 アスピリン ダイアルミネート 1 イブプロフェン 1 合 計 13 血 管 神 経 性 浮 腫 ロキソプロフェンナトリウム 1 合 計 1 蕁 麻 疹 及 び 血 管 神 経 性 浮 腫 として 報 告 があった 医 薬 品 のうち 主 な NSAIDs( 非 ステ ロイド 性 抗 炎 症 薬 )に 該 当 する 医 薬 品 を 記 載 している 19
一 部 一 般 用 医 薬 品 も 含 んで 集 計 している 医 薬 品 の 販 売 名 添 付 文 書 の 内 容 等 を 知 りたい 時 は このホームページにリンクしている 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホームページの 添 付 文 書 情 報 から 検 索 することができます http://www.info.pmda.go.jp/ 20
参 考 2 ICH 国 際 医 薬 用 語 集 日 本 語 版 (MedDRA/J)ver.10.1 における 主 な 関 連 用 語 一 覧 日 米 EU 医 薬 品 規 制 調 和 国 際 会 議 (ICH)において 検 討 され 取 りまとめられた ICH 国 際 医 薬 用 語 集 (MedDRA) は 医 薬 品 規 制 等 に 使 用 される 医 学 用 語 ( 副 作 用 効 能 使 用 目 的 医 学 的 状 態 等 )についての 標 準 化 を 図 ることを 目 的 としたものであり 平 成 16 年 3 月 25 日 付 薬 食 安 発 第 0325001 号 薬 食 審 査 発 第 0325032 号 厚 生 労 働 省 医 薬 食 品 局 安 全 対 策 課 長 審 査 管 理 課 長 通 知 ICH 国 際 医 薬 用 語 集 日 本 語 版 (MedDRA/J) の 使 用 について により 薬 事 法 に 基 づく 副 作 用 等 報 告 において その 使 用 を 推 奨 しているところである 下 記 には 蕁 麻 疹 の 表 記 をもつ MedDRA 用 語 の 示 すが 該 当 数 が 多 いため 基 本 語 (PT)のみを 示 す なお MedDRA では 原 則 として 薬 剤 名 を 組 み 合 わせた 用 語 は 収 載 対 象 でないため NSAIDs を 直 接 表 現 する 用 語 はない また 高 位 語 (HLT)と しての 蕁 麻 疹 があるので これを 用 いて 検 索 することができる なお 近 頃 開 発 され 提 供 が 開 始 されている MedDRA 標 準 検 索 式 (SMQ)ではこの 対 象 を 含 むものとしては 血 管 浮 腫 (SMQ) がある これを 用 いると MedDRA でコ ーディングされたデータから 包 括 的 に 該 当 する 症 例 を 検 索 することができる 名 称 PT: 基 本 語 (Preferred Term) カテーテル 留 置 部 位 蕁 麻 疹 コリン 性 蕁 麻 疹 圧 迫 性 蕁 麻 疹 温 熱 蕁 麻 疹 丘 疹 状 蕁 麻 疹 出 血 性 蕁 麻 疹 小 水 疱 性 蕁 麻 疹 色 素 性 蕁 麻 疹 振 動 性 蕁 麻 疹 水 性 蕁 麻 疹 接 触 蕁 麻 疹 注 射 部 位 蕁 麻 疹 注 入 部 位 蕁 麻 疹 適 用 部 位 蕁 麻 疹 特 発 性 蕁 麻 疹 日 光 蕁 麻 疹 物 理 的 蕁 麻 疹 埋 込 み 部 位 蕁 麻 疹 英 語 名 Catheter site urticaria Urticaria cholinergic Urticaria pressure Urticaria thermal Urticaria papular Haemorrhagic urticaria Urticaria vesiculosa Urticaria pigmentosa Urticaria vibratory Urticaria aquagenic Urticaria contact Injection site urticaria Infusion site urticaria Application site urticaria Idiopathic urticaria Solar urticaria Urticaria physical Implant site urticaria 21
慢 性 蕁 麻 疹 蕁 麻 疹 Urticaria chronic Urticaria 22