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報道発表資料 2007 年 8 月 1 日 独立行政法人理化学研究所 マイクロ RNA によるタンパク質合成阻害の仕組みを解明 - mrna の翻訳が抑制される過程を試験管内で再現することに成功 - ポイント マイクロ RNA が翻訳の開始段階を阻害 標的 mrna の尻尾 ポリ A テール を短縮

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を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

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抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

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図 : と の花粉管の先端 の花粉管は伸長途中で破裂してしまう 研究の背景 被子植物は花粉を介した有性生殖を行います めしべの柱頭に受粉した花粉は 柱頭から水や養分を吸収し 花粉管という細長い管状の構造を発芽 伸長させます 花粉管は花柱を通過し 伝達組織内を伸長し 胚珠からの誘導を受けて胚珠へ到達し

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背景 これまで遺伝子治療には DNA が用いられてきましたが DNA は生体内 DNA への取り込みによる発がんの危険性や 導入に用いるウイルスベクターによる感染の危険性があり 実用化には至っていません そこで DNA に代わって登場してきたのが mrna( 注 1) です mrna は 遺伝子 D

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革新的がん治療薬の実用化を目指した非臨床研究 ( 厚生労働科学研究 ) に採択 大学院医歯学総合研究科遺伝子治療 再生医学分野の小戝健一郎教授の 難治癌を標的治療できる完全オリジナルのウイルス遺伝子医薬の実用化のための前臨床研究 が 平成 24 年度の厚生労働科学研究費補助金 ( 難病 がん等の疾患

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1 高活性リポフェクションエンハンサー 関西大学化学生命工学部生命 生物工学科 教授長岡康夫

ヒトや動物の細胞内に外から遺伝子を入れて それを働かせる技術は生命科学や先進医療発展の切り札である 動物細胞への遺伝子導入技術により成り立つ研究 生命科学研究 ノックアウトマウス RNAi ips 細胞 遺伝子研究疾病モデル医薬品スクリーニング 医療への応用遺伝子治療遺伝病 (4000 種類以上 ) がん AIDS 心臓病 糖尿病 RNAi 再生医療 ES 細胞 ips 細胞

ヒトや動物の細胞内に外から遺伝子を入れて それを働かせる技術は先進医療発展の切り札である がんの遺伝子治療 がん細胞 正常ながん抑制遺伝子 正常細胞 遺伝子治療により正常に働くようになった p53 p53 p53 変異して正常に働かないがん抑制因子 p53 Bax アポトーシスがん細胞を自殺させる p21 細胞周期停止がん細胞の増殖を抑える Gadd45 DNA 修復

ips 細胞の形成と再生医療への応用の流れ ips 細胞の形成 ( 山中ら ) Oct 4 初期化遺伝子 Klf 4 Sox 2 CMyc 体細胞 ips 細胞 ( 万能細胞 ) ips 細胞 ( 万能細胞 ) ips 細胞から再生した臓器

リポフェクション法 正電荷脂質で出来た正電荷ナノ粒子と DNA や RNA の複合体 (Lipoplex) はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる 正電荷脂質

リポプレックスカベオリンやクラスリンが関与するエンドサイトーシス H Cl H 2 O エンドソーム内に H が流入することで 浸透圧が上昇し 破裂する エンドソームを形成する 細胞膜

細胞内への遺伝子の運び屋 ( ベクター ) ウイルスベクターと非ウイルスベクターの特性の比較 ベクター 遺伝子導入発現効率 安全性 抗原性 ウイルスベクター 高 低 有る 非ウイルスベクター 正電荷ナノ粒子ベクター 低 高 これを高くしたい! ほとんど無い ウイルスベクターは効率が良いため従来より汎用されてきたが 安全性などに問題がある また 抗原性が有り 免疫ができるので 生体への直接投与の場合 繰り返し使えない 一方 非ウイルスベクターは一般に安全性が高く抗原性もほとんど無い しかしながら 遺伝子の導入 発現効率が悪い

遺伝子が細胞内に導入されて働くまでの経路 正電荷コレステロール (OHChol) DNA DNA 輸送 Tween 80 正電荷ナノ粒子 () NP 細胞膜 NPDNA 複合体 DNA() エンドソームの形成 NP() エンドサイトーシス 核内 DNA の転写 NH 2 NH 2 N DNA が転写され働く

DNA は輸送タンパク質により微小管の上を運ばれて核に到達する 開始点 核核核 開始点 開始点 DNA 微小管 DNA の微小管上での移動 DNA 輸送タンパク質 微小管 Ondřej V et al. Acta. Biochim. Pol. 54, 2007, 657 663

ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害剤が DNA の輸送と転写を促進する Deacetylated microtubules NH 2 NH 2 kinesin dynein NH 2 HDAC6 HDAC 阻害剤 Ac Ac Ac Ac DNA 細胞質 Reed, NA et al. Curr. Biol. (2006) Vaughan, EE et al. Mol. Therapy (2009) NH 2 NH 2 NH 2 N Deacetylated histone Complexation with DNA Low transfection efficency HDAC 1 Ac Ac N HAT Acetylated histone High transfection efficency 核内

ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) HDACはヒストンアセチル転移酵素 (HAT) とともにタンパク質のリシン側鎖のアセチル化の度合いを調節して そのタンパク質の機能を制御する NH 3 HAT NH Ac Lys Lys ヒストン histone histone ヒストン以外の HDAC タンパク質 DNAの転写 DNAの転写 HDAC 阻害剤を作用させるとタンパク質のアセチル化が亢進する タンパク質 Lys NH HAT 3 タンパク質 Lys NH Ac HDAC HDAC 阻害剤

HDAC 阻害の機構 HDACの基質 enaclys HDAC 阻害剤 Vorinostat (SAHA) HDAC 阻害剤は HDAC の酵素活性ポケットに結合しアセチル化リシン側鎖の脱アセチル化を拮抗阻害する Zn 2 Zn 2 Chemical & Engineering News 亜鉛結合部位

亜鉛結合部位のバリエーションと HDAC アイソザイム選択性 Class I (Nucleus) Class IIa (Nucleus/Cytoplasm) Class IIb (Cytoplasm) HDAC 1 2 3 8 4 5 7 9 6 10 11 Thiol (Depsipeptide Tubacin Class IV (Nucleus/Cytoplasm) Benzamide (MS275) Carboxylic acid (Valproic acid, Butylate) Hydroxamate (Trichostatin A, Vorinostat) Class III Sirt 1 2 3 4 5 6 7 Nicotinamide Zn 2 independent NADdependent

HDAC 阻害剤 正電荷ナノ粒子 = 高性能ベクター 我々が開発した HDAC 阻害剤 正電荷コレステロール (OHChol) HDAC 阻害剤プロドラッグ Tween 80 HDAC 阻害剤 生分解性リンカー 脂肪鎖 正電荷ナノ粒子に混ぜられるように HDAC 阻害剤に生分解性リンカーを介して脂肪鎖を化学結合させた 細胞内に入ると 分解して HDAC 阻害剤が遊離する

今回合成した HDAC 阻害剤プロドラッグ

HDAC 阻害剤が含まれるナノ粒子の形成 OHChol (85) Tween 80 (5) K182DD (10) ( 界面活性剤 ) (HDAC 阻害剤プロドラッグ ) エタノールに溶解する 濃縮 水を加える 1 mg/ml ナノ粒子 水懸濁液 約 100 nm ナノ粒子

DNA ナノ粒子複合体 (nanoplex) ルシフェラーゼ遺伝子をコードした プラスミド DNA

今回開発した新規ベクターは従来法より 2 から 4 倍程度 遺伝子発現効率の上昇させた ヒト前立腺がん細胞 今回の値 ヒト乳がん細胞 今回の値 従来法の値 従来法の値 ルシフェラーゼ遺伝子 細胞 ルシフェリン ホタルの発光の原理を応用した方法

鋭意改良を加え新エンハンサー K004 と K005 を開発した K004 は Lipofectamine2000 による遺伝子発現量を約 9 倍に向上した K005 では Lipofectamine2000 による遺伝子発現量を 23 倍以上に向上することに成功した

改良版エンハンサー K004 の結果 様々なトランスフェクション試薬に対する K004 の効果 HCT116 細胞を使った時の結果ルシフェラーゼアッセイによる評価 0.5 mm K004 K004 を入れなかった場合を 100% としたときの値

改良版エンハンサー K004 の結果 既存のエンハンサー (PLUS Reagent) との比較と併用 PLUS Reagent 0.5 mm K004 PLUS Reagent を加えた場合 Lipofectamine2000 のみの時 SkBr3 細胞を使った時の結果ルシフェラーゼアッセイによる評価

Relative luciferase activity (%) Relative luciferase activity (%) K004 をさらに改良したエンハンサー K005 の結果 Lipofectamine2000 新エンハンサー K005 の効果 HCT116 細胞での結果 CHOK1 細胞での結果 2500 2000 1500 1000 500 23 倍 28 倍 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 0 0.5 1 2 4 0 0 0.5 1 2 4 新エンハンサー (μm) 新エンハンサー (µm) Lipofectamine2000 のみの時 新エンハンサーを入れた時 Lipofectamine2000 のみの時 新エンハンサーを入れた時 ルシフェラーゼアッセイの結果

お問い合わせ先 関西大学先端科学技術推進機構 コーディネーター上畑滋 TEL 066368 1245 FAX 066368 1247 email syakairenkei@ml.kandai.jp