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目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ


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別紙3

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2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Transcription:

新 たな 海 洋 基 本 計 画 に 向 けた 提 言 2012 年 7 月 17 日 一 般 社 団 法 人 日 本 経 済 団 体 連 合 会 1.はじめに わが 国 は 国 土 の 四 方 を 海 に 囲 まれた 海 洋 国 家 であり 国 土 面 積 は 世 界 第 61 位 の 約 38 万 km2であるのに 対 して 領 海 および 排 他 的 経 済 水 域 (EEZ:Exclusive Economic Zone)の 面 積 は 世 界 第 6 位 の 447 万 km2である 今 般 国 連 大 陸 棚 限 界 委 員 会 により 大 陸 棚 の 延 長 が 勧 告 され 海 洋 権 益 はさらに 拡 大 し エネルギー や 鉱 物 資 源 などへの 期 待 がますます 高 まっている また わが 国 は 輸 出 入 貨 物 の 99%を 海 上 輸 送 に 依 存 しており 海 洋 は 国 民 生 活 を 支 えている 加 えて 海 洋 産 業 は 海 運 造 船 水 産 エネルギー 資 源 開 発 観 光 レジャーなど 多 岐 にわたっている 一 方 わが 国 は 長 引 くデフレや 少 子 高 齢 化 のもとで 厳 しい 経 済 状 況 が 続 き さらには 6 重 苦 ( 円 高 高 い 法 人 税 TPP など 経 済 連 携 の 遅 れ 柔 軟 性 を 欠 いた 労 働 法 制 行 き 過 ぎた 環 境 政 策 電 力 などエネルギー 問 題 )と 言 われる 環 境 の 下 で 産 業 の 国 際 競 争 力 が 低 下 し ている こうした 状 況 の 打 開 を 図 りつつ 広 範 にわたる 海 洋 産 業 を 振 興 するこ とは 経 済 の 再 生 と 持 続 的 な 成 長 に 貢 献 する 昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 における 津 波 により 東 北 地 方 を 中 心 に 甚 大 な 被 害 が 生 じた 海 洋 からの 恩 恵 とともに 海 洋 がもたらす 災 害 に 対 して 適 切 な 対 策 を 講 じる 必 要 性 を 改 めて 認 識 させられた 海 洋 政 策 については 2007 年 5 月 に 成 立 した 海 洋 基 本 法 によって 総 合 海 洋 政 策 本 部 が 発 足 し 2008 年 3 月 に 策 定 された 海 洋 基 本 計 画 に 基 づいて 施 策 が 実 施 されてきた 国 会 議 員 および 産 業 界 と 学 界 の 有 識 者 による 海 洋 基 本 法 戦 略 研 究 会 も 積 極 的 に 活 動 している こうした 中 政 府 は 総 合 海 洋 政 策 本 部 において 今 後 5 年 間 の 海 洋 政 策 に 関 する 新 たな 海 洋 基 本 計 画 の 策 定 作 業 を 進 めている これまで 経 団 連 は 海 洋 立 国 への 成 長 基 盤 の 構 築 に 向 けた 提 言 (2010 年 4 月 20 日 )や 海 賊 対 策 の 強 化 に 向 けた 提 言 (2011 年 10 月 18 日 )を 公 表 し 総 合 的 な 海 洋 政 策 の 実 施 やソマリ ア 沖 アデン 湾 の 海 賊 対 策 の 強 化 を 訴 えてきた 新 たな 海 洋 基 本 計 画 の 策 定 に 対 して 基 本 方 針 や 海 洋 産 業 の 発 展 のための 重 要 政 策 について 産 業 界 の 意 見 反 映 を 図 るため 提 言 を 取 りまとめた 2. 海 洋 をめぐる 環 境 変 化 (1) 資 源 獲 得 競 争 の 激 化 中 国 やインドをはじめアジアなどの 新 興 国 が 急 速 に 成 長 しており 世 界 的 な 人 口 増 加 に 伴 い エネルギーや 鉱 物 などの 需 要 は 増 大 し 資 源 価 格 は 高 騰 する 傾 向 にある 世 界 各 国 の 資 源 獲 得 競 争 は 激 化 しており 陸 上 資 源 の 不 足 が 懸 念 1

されている こうした 中 で 資 源 の 大 半 を 輸 入 に 依 存 しているわが 国 にとって 十 分 な 資 源 量 の 確 保 が 困 難 になる 恐 れがある 加 えて 中 国 によるレアアースの 輸 出 制 限 など 資 源 を 海 外 に 依 存 するリスクが 顕 在 化 している わが 国 の 大 陸 棚 にお ける 資 源 は 賦 存 量 など 調 査 すべき 事 項 も 多 いが 資 源 自 給 率 を 向 上 させる 可 能 性 を 有 している また 昨 年 の 東 日 本 大 震 災 を 契 機 に 電 力 不 足 の 問 題 が 深 刻 化 している 政 府 において 今 後 のエネルギー 政 策 の 検 討 が 行 われるなかで 広 大 な 海 洋 を 利 用 した 海 洋 再 生 可 能 エネルギーが 注 目 されている (2) 自 然 災 害 や 環 境 問 題 の 深 刻 化 地 震 津 波 高 潮 台 風 竜 巻 などの 自 然 災 害 により 世 界 各 国 で 大 きな 被 害 が 生 じている 特 にわが 国 では かねてから 防 災 対 策 が 講 じられていたが 東 日 本 大 震 災 における 巨 大 な 津 波 によって 多 数 の 死 者 が 出 るなど 甚 大 な 被 害 が 生 じた また 東 日 本 大 震 災 に 伴 うがれきの 漂 流 などが 国 際 問 題 化 している 地 球 温 暖 化 については 異 常 気 象 が 頻 発 し 海 面 上 昇 により 水 面 下 に 沈 没 す る 恐 れがある 国 も 出 るなどの 問 題 が 生 じている 地 震 津 波 などの 自 然 災 害 に 対 する 防 災 減 災 や 地 球 温 暖 化 対 策 に 資 する 海 洋 技 術 の 開 発 に 一 層 取 組 む 必 要 がある (3) 安 全 保 障 環 境 の 変 化 わが 国 の 近 海 では 北 朝 鮮 の 不 審 船 や 工 作 船 が 出 没 している また 外 国 の 海 洋 調 査 船 等 の 活 動 の 活 発 化 や 2010 年 9 月 の 尖 閣 諸 島 沖 における 中 国 の 漁 船 によ る 海 上 保 安 庁 の 巡 視 船 との 衝 突 事 件 の 発 生 など 海 洋 安 全 保 障 は 不 安 定 な 状 況 が 続 いており 領 海 警 備 の 強 化 が 必 要 である また 海 外 ではヨーロッパとアジアを 結 ぶ 要 衝 であるソマリアの 海 賊 が 活 動 範 囲 をインド 洋 にまで 拡 大 し わが 国 の 海 上 輸 送 に 重 大 な 脅 威 を 及 ぼすととも に 日 本 関 連 船 舶 にも 被 害 が 生 じている 2009 年 7 月 に 施 行 された 海 賊 対 処 法 に 基 づいて 海 賊 対 策 が 実 施 されているが さらなる 強 化 が 求 められる 3. 新 たな 海 洋 基 本 計 画 の 基 本 方 針 新 たな 海 洋 基 本 計 画 の 策 定 にあたっては 現 行 基 本 計 画 における 施 策 の 実 施 状 況 を 精 査 して 明 らかにしたうえで 海 洋 をめぐる 環 境 の 変 化 を 踏 まえて 施 策 の 優 先 順 位 をつけるべきである 新 たな 海 洋 基 本 計 画 では 以 下 の 基 本 方 針 の もとで 各 施 策 について 可 能 な 限 り 具 体 的 な 数 値 目 標 や 達 成 時 期 を 明 示 すべき である (1) 海 洋 権 益 と 海 洋 安 全 保 障 の 確 保 まず 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 などの 海 洋 権 益 を 確 保 し 海 洋 エネルギ 2

ーや 資 源 などの 開 発 を 進 めていくべきである あわせて 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 離 島 の 管 理 を 強 化 する 必 要 がある 海 洋 における 活 動 や 海 上 輸 送 の 安 全 を 確 保 するには 日 本 近 海 における 安 全 保 障 の 強 化 や ソマリア 沖 アデン 湾 などにおける 海 賊 への 対 応 が 必 要 である このため わが 国 の 近 海 から 海 外 に 至 るシーレーンの 確 保 を 図 る 海 洋 安 全 保 障 政 策 を 策 定 する 必 要 がある (2) 海 洋 開 発 の 基 盤 強 化 海 洋 は 人 類 未 踏 の 領 域 が 多 く わが 国 が 開 拓 すべきフロンティアである こ のため 海 洋 開 発 には 最 先 端 の 技 術 を 結 集 する 必 要 があり まず 第 4 期 科 学 技 術 基 本 計 画 を 踏 まえ さまざまな 課 題 の 解 決 につながる 海 洋 探 査 等 に 関 する 自 主 技 術 の 開 発 を 推 進 し イノベーションを 創 出 すべきである このため マリ ンサイエンス 拠 点 の 整 備 が 必 要 である その 際 東 北 を 拠 点 の 1 つとして 研 究 開 発 を 推 進 することで 東 北 の 産 業 振 興 や 雇 用 の 創 出 にもつながり 震 災 から の 復 旧 復 興 にも 貢 献 できる 特 に 新 たな 海 洋 基 本 計 画 においては 調 査 探 査 や 開 発 に 加 えて 実 証 実 験 を 進 め 商 業 化 への 道 筋 をつけることが 重 要 である このため 国 地 方 公 共 団 体 産 業 界 学 界 の 連 携 を 強 化 し 実 証 海 域 を 設 定 確 保 する 必 要 がある (3) 海 洋 産 業 の 振 興 と 国 際 競 争 力 の 強 化 海 洋 安 全 保 障 の 確 保 や 海 洋 開 発 の 基 盤 強 化 海 洋 利 用 の 推 進 などを 通 じて 海 運 造 船 水 産 建 設 エネルギー 資 源 開 発 など 広 範 にわたる 海 洋 産 業 の 振 興 および 国 際 競 争 力 の 強 化 につなげるべきである 海 運 等 の 海 事 産 業 は 厳 し い 国 際 競 争 下 にあり 徹 底 した 国 際 競 争 条 件 の 均 衡 化 が 必 要 である (4) 自 然 災 害 の 防 災 減 災 地 震 津 波 台 風 など 海 洋 に 由 来 する 自 然 災 害 や 地 球 温 暖 化 などに 対 して 国 民 が 安 全 で 安 心 して 住 める 国 造 りが 重 要 である このため 海 洋 に 関 連 する 有 効 な 防 災 減 災 対 策 を 実 施 すべきである (5) 国 際 貢 献 地 球 深 部 探 査 船 ちきゅう による 海 外 における 資 源 調 査 や 東 アジアにお ける 地 震 観 測 ネットワークの 整 備 など わが 国 の 持 つ 海 洋 システムを 活 用 して 国 際 貢 献 を 推 進 すべきである 太 平 洋 諸 島 に 対 する 地 球 温 暖 化 の 影 響 を 軽 減 す ることも 重 要 である また 東 南 アジアやソマリア 沖 アデン 湾 の 沿 岸 国 における 海 賊 対 策 の 強 化 を 通 じて 国 際 安 全 保 障 に 貢 献 すべきである 国 連 に 対 する 資 金 や 人 材 面 での 貢 献 も 継 続 すべきである 3

4. 新 たな 海 洋 基 本 計 画 の 重 要 政 策 (1) 排 他 的 経 済 水 域 (EEZ)および 大 陸 棚 離 島 の 管 理 1 大 陸 棚 の 延 長 国 連 海 洋 法 条 約 の 規 定 に 基 づき 沿 岸 国 の 主 権 が 及 ぶ 領 海 は 12 海 里 ( 約 22km) 排 他 的 経 済 水 域 は 200 海 里 ( 約 370km)とされている 大 陸 棚 は 200 海 里 までの 海 域 の 海 底 および 海 底 下 であり 一 定 の 地 質 的 条 件 を 満 たせば 延 長 が 認 めら れる 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 においては 沿 岸 国 は 海 洋 資 源 を 開 発 する 権 利 を 有 している 経 団 連 としては 2004 年 から 2008 年 にかけて 海 洋 開 発 に 関 する 主 要 企 業 で 構 成 される 日 本 大 陸 棚 調 査 株 式 会 社 の 設 立 を 主 導 するなど 政 府 や 学 界 と 一 体 となった 大 陸 棚 調 査 に 関 わった その 調 査 結 果 を 踏 まえ 2008 年 11 月 に 政 府 は 国 連 大 陸 棚 限 界 委 員 会 に 対 して 7 つの 海 域 について 74 万 km2の 大 陸 棚 延 長 を 申 請 した 本 年 4 月 同 委 員 会 の 勧 告 により 7 海 域 のうち 4 海 域 について 約 31 万 km² の 大 陸 棚 の 延 長 が 認 められた 一 方 2 海 域 の 申 請 が 却 下 され 1 海 域 は 審 査 が 先 送 りとされた 表 : 日 本 の 申 請 に 対 する 勧 告 の 概 要 日 本 が 大 陸 棚 の 延 長 を 申 請 した 7 海 域 四 国 海 盆 海 域 小 笠 原 海 台 海 域 南 硫 黄 島 海 域 沖 大 東 海 嶺 南 方 海 域 南 鳥 島 海 域 茂 木 海 山 海 域 九 州 -パラオ 海 嶺 南 部 海 域 大 陸 棚 限 界 委 員 会 の 勧 告 大 部 分 の 延 長 が 認 められた 大 部 分 の 延 長 が 認 められた 一 部 の 延 長 が 認 められた 一 部 の 延 長 が 認 められた 申 請 が 却 下 された 申 請 が 却 下 された 審 査 が 先 送 りされた 新 たな 大 陸 棚 には メタンハイドレート 海 底 熱 水 鉱 床 石 油 天 然 ガス コバルトリッチクラストなど 海 洋 エネルギーや 鉱 物 資 源 が 存 在 することが 期 待 されており 調 査 探 査 を 推 進 すべきである 一 方 延 長 が 認 められなかった 大 陸 棚 については 再 審 査 の 申 請 に 向 けて 追 加 調 査 を 検 討 すべきである また 勧 告 が 先 送 りされた 九 州 -パラオ 海 嶺 南 部 海 域 については 延 長 を 認 める 勧 告 が 早 期 に 行 われるよう 国 連 大 陸 棚 限 界 委 員 会 に 働 きかけを 行 うべきである 2 排 他 的 経 済 水 域 と 大 陸 棚 の 管 理 国 連 海 洋 法 条 約 を 受 けて わが 国 では 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 に 関 す る 法 律 が 制 定 されたが わが 国 の 法 令 を 適 用 すると 規 定 したにとどまってい る 4

しかし 現 行 の 法 令 の 多 くは 陸 地 での 適 用 を 前 提 としていることから 海 で ある 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 の 具 体 的 な 管 理 のあり 方 が 明 確 でない そこで 国 と 地 方 公 共 団 体 による 管 理 主 体 としての 役 割 分 担 を 明 確 にし 地 方 公 共 団 体 が 領 海 内 など 沿 岸 域 を 管 理 し それ 以 遠 の 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 を 国 が 管 理 すべきである このため 沿 岸 域 から 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 に 至 るまでの 海 洋 管 理 について 法 制 面 の 整 備 をすべきである 次 に 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 の 総 合 的 管 理 に 関 する 計 画 を 策 定 し 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 の 開 発 利 用 保 全 に 関 する 具 体 的 施 策 を 盛 り 込 むべき である 現 行 の 法 制 度 では わが 国 の 海 域 を 一 律 に 扱 っているが 自 然 環 境 や 海 洋 資 源 など 海 域 の 特 性 に 応 じた 管 理 および 開 発 を 可 能 にすべきである これについ ては 経 団 連 の 提 言 21 世 紀 の 海 洋 のグランドデザイン (2000 年 6 月 20 日 ) において 示 した 7 か 所 のプラットフォームを 設 けて 管 理 保 全 する 構 想 が 参 考 になる 3 離 島 の 保 全 管 理 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 の 管 理 を 適 切 に 行 うためには 離 島 を 保 全 管 理 していく 必 要 がある わが 国 には 約 6,000 の 離 島 があるが その 低 潮 線 ( 干 潮 時 の 海 面 と 陸 地 が 接 する 線 )を 基 線 とする 排 他 的 経 済 水 域 が 広 大 である 2010 年 5 月 に 成 立 した 低 潮 線 保 全 法 と 2012 年 に 改 正 された 離 島 振 興 法 に 基 づき 離 島 の 保 全 管 理 を 進 めるべきである 離 島 は 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 の 調 査 の 拠 点 にも 活 用 できるため 離 島 航 路 に 就 航 する 船 舶 および 港 湾 や 研 究 施 設 の 整 備 などにより 管 理 を 強 化 していく べきである 特 に 沖 ノ 鳥 島 や 南 鳥 島 を 基 点 とする 排 他 的 経 済 水 域 の 面 積 は 日 本 の 国 土 面 積 以 上 になるため 保 全 の 必 要 性 がある また 居 住 が 困 難 な 離 島 に ついては 海 上 保 安 庁 による 監 視 の 強 化 等 も 図 り 実 効 支 配 を 強 化 し わが 国 の 領 土 であることを 国 際 的 にアピールすることも 重 要 である (2) 海 洋 エネルギー 資 源 の 開 発 1 海 洋 データベースの 構 築 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 の 調 査 開 発 にあたっては 各 省 庁 の 連 携 が 不 可 欠 である 海 底 地 形 海 流 水 温 エネルギーや 資 源 の 分 布 など 各 省 庁 が 保 有 している 海 洋 関 連 データを 収 集 し 一 元 化 した 海 洋 データベースを 構 築 すべき である その 際 さまざまな 海 洋 情 報 を 電 子 地 図 に 重 ね 合 わせることや 3D 化 することなどにより ユーザーのニーズに 応 じたデータの 利 用 を 進 めるべきで ある 一 方 安 全 保 障 に 関 する 情 報 などセンシティブなデータについては 管 理 を 適 切 に 行 う 必 要 がある 5

2 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 わが 国 の 排 他 的 経 済 水 域 および 大 陸 棚 には 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 が 多 く 存 在 しており 環 境 への 影 響 を 踏 まえて 開 発 していく 必 要 がある また 海 外 における 国 際 共 同 探 査 や 開 発 も 資 源 確 保 のため 重 要 である 政 府 の 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 開 発 計 画 (2009 年 3 月 )では メタン ハイドレート 海 底 熱 水 鉱 床 石 油 天 然 ガス コバルトリッチクラストなど の 商 業 化 の 目 標 時 期 や 必 要 な 技 術 開 発 が 示 されている 今 後 は 実 証 実 験 を 加 速 して 鉱 区 を 設 定 することなどにより 商 業 化 の 目 標 達 成 時 期 を 前 倒 したロ ードマップを 策 定 すべきである メタンハイドレートについては 2 月 から 愛 知 県 沖 において 海 洋 産 出 試 験 の 事 前 掘 削 が 行 われ 来 年 に 産 出 試 験 が 行 われる 予 定 である 将 来 の 商 業 化 に 向 け た 技 術 開 発 とともに 日 本 近 海 における 資 源 量 の 調 査 探 査 を 進 めるべきであ る 海 底 熱 水 鉱 床 については 海 外 において 商 業 開 発 が 進 展 しており わが 国 で もスピード 感 を 持 った 対 応 が 求 められる 沖 縄 トラフの 掘 削 による 黒 鉱 の 採 取 などのプロジェクトを 加 速 化 すべきである 石 油 天 然 ガスについては 新 潟 県 沖 において 賦 存 状 況 の 調 査 のための 試 掘 を 進 めていくことが 重 要 である コバルトリッチクラストについては 南 鳥 島 の 周 辺 海 域 における 賦 存 量 の 調 査 を 実 施 すべきである 海 洋 基 本 計 画 においては 上 記 の 海 洋 エネルギー 鉱 物 資 源 に 加 え レアア ースの 賦 存 量 の 探 査 および 開 発 の 推 進 についても 盛 り 込 むべきである まず 南 鳥 島 の 周 辺 海 域 でレアアースの 探 査 開 発 を 進 めていくことが ハイテク 産 業 の 活 動 だけでなく 資 源 外 交 上 も 大 きな 利 点 となる 海 洋 資 源 の 開 発 に 関 する 法 整 備 も 重 要 である 本 年 1 月 に 施 行 された 改 正 鉱 業 法 において 外 国 企 業 の 乱 開 発 を 防 止 するため 許 可 要 件 や 先 願 主 義 の 見 直 しや 資 源 探 査 規 制 の 導 入 が 行 われたことを 評 価 する 今 後 は 外 国 による 科 学 的 調 査 や 資 源 探 査 に 関 しても ガイドラインの 策 定 等 による 適 切 な 対 応 が 求 め られる 海 洋 探 査 の 推 進 に 向 け 地 球 深 部 探 査 船 ちきゅう 三 次 元 物 理 探 査 船 資 源 海 洋 資 源 調 査 船 白 嶺 AUV(Autonomous Underwater Vehicle: 次 世 代 巡 航 探 査 機 ) ROV(Remotely Operated Vehicle: 小 型 無 人 探 査 機 )の 機 能 を 向 上 させるとともに 各 探 査 船 等 を 連 携 させた 総 合 的 な 海 洋 資 源 探 査 システ ムを 確 立 すべきである また 観 測 探 査 機 器 や 海 洋 構 造 物 の 建 造 などについて 自 主 技 術 の 開 発 を 進 めるべきである さらに 海 外 の 海 洋 開 発 プロジェクトに 日 本 企 業 が 参 画 す ることで 技 術 やノウハウを 蓄 積 するとともに 日 本 人 の 技 術 者 や 専 門 家 を 育 成 することも 重 要 である 6

3 海 洋 再 生 可 能 エネルギー 現 行 の 海 洋 基 本 計 画 では 洋 上 風 力 発 電 をはじめ 海 洋 再 生 可 能 エネルギーは その 他 の 資 源 の 研 究 開 発 等 に 位 置 付 けられるにとどまっている 東 日 本 大 震 災 により 国 民 生 活 や 経 済 活 動 を 円 滑 に 行 うためには 経 済 性 を 持 った 価 格 による 電 力 の 安 定 的 な 供 給 が 極 めて 重 要 であることが 改 めて 認 識 さ れた 再 生 可 能 エネルギーは 国 産 エネルギーであり CO₂を 排 出 しないことから 地 球 温 暖 化 対 策 としても 有 効 である 一 方 低 い 経 済 性 や 不 安 定 な 出 力 などの 課 題 がある そこで 新 たな 海 洋 基 本 計 画 では 海 洋 再 生 可 能 エネルギー 技 術 の 開 発 実 用 化 を 重 要 政 策 として 位 置 付 けるべきである 具 体 的 には 洋 上 風 力 発 電 波 力 発 電 潮 汐 発 電 海 洋 温 度 差 発 電 海 流 潮 流 発 電 など 海 洋 発 電 に 関 する 技 術 開 発 海 域 実 証 実 験 および 将 来 に 向 けた 商 業 化 事 業 化 を 推 進 すべきである 特 に 洋 上 風 力 発 電 については わが 国 の 広 い 海 洋 空 間 と 洋 上 の 安 定 した 風 環 境 を 活 用 することができる すでに 欧 米 や 中 国 において 導 入 が 進 んでおり わ が 国 においても 中 長 期 的 な 導 入 目 標 を 明 示 して 普 及 を 図 るべきである わが 国 では 台 風 地 震 雷 などが 頻 繁 に 発 生 することから 厳 しい 自 然 環 境 に 適 合 するとともに 効 率 的 な 送 電 網 を 含 む 維 持 管 理 コストが 低 い 洋 上 風 力 発 電 システムに 関 する 技 術 の 確 立 が 求 められる そこで 経 済 産 業 省 環 境 省 国 土 交 通 省 が 連 携 を 図 ることによって 着 床 式 洋 上 風 力 発 電 および 浮 体 式 洋 上 風 力 発 電 プロジェクトの 海 上 における 実 証 実 験 とともに 風 力 発 電 の 大 型 化 に 対 応 するための 専 用 作 業 船 などの 技 術 開 発 を 推 進 すべきである また 制 度 面 では 系 統 連 系 能 力 の 強 化 実 証 海 域 の 確 保 に 向 けた 規 制 緩 和 気 象 や 海 象 条 件 等 のデータベース 整 備 などが 求 められる PPP(Public Private Partnership)を 活 用 し 国 が 設 備 投 資 して 民 間 で 運 営 する 公 設 民 営 方 式 の 導 入 について 検 討 すべきである 洋 上 風 力 発 電 の 設 置 により 港 湾 管 理 や 漁 業 活 動 に 影 響 が 生 じる 可 能 性 があ る そこで 環 境 や 漁 業 への 影 響 を 評 価 し 港 湾 区 域 の 積 極 的 な 活 用 や 一 般 海 域 におけるプロジェクトの 円 滑 な 推 進 を 可 能 にするため 発 電 事 業 者 や 漁 業 関 係 者 等 が 実 証 海 域 の 利 用 を 調 整 するにあたり 海 域 を 管 理 する 国 と 地 方 公 共 団 体 が 積 極 的 に 関 与 し 利 用 者 にメリットをもたらす 漁 業 協 調 型 システムを 整 備 すべきである (3) 自 然 災 害 対 策 大 きな 被 害 が 生 じた 東 日 本 大 震 災 を 踏 まえ 地 震 や 津 波 など 海 洋 に 由 来 する 自 然 災 害 対 策 を 充 実 させるべきである 特 に 地 震 については 近 い 将 来 発 生 する 可 能 性 が 高 い 東 海 東 南 海 南 海 地 震 等 の 対 策 が 急 務 である まず 震 災 で 得 た 新 しい 知 見 に 基 づき 次 の 大 地 震 に 備 えて スピード 感 を 持 って 効 果 的 な 防 災 減 災 対 策 を 実 施 すべきである 7

現 在 は 地 震 や 津 波 を 予 測 できる 段 階 には 至 っていない ちきゅう を 活 用 した 海 底 の 大 深 度 掘 削 により 海 溝 型 地 震 および 津 波 の 発 生 メカニズムの 解 明 を 行 うべきである また 紀 伊 半 島 沖 で 整 備 されている 地 震 津 波 観 測 監 視 システム(DONET)や 北 海 道 から 房 総 沖 の 海 域 について 整 備 が 予 定 されている 日 本 海 溝 海 底 地 震 津 波 観 測 網 のような 観 測 システムの 全 国 的 な 展 開 や スーパーコンピューター 京 の 活 用 による 地 震 や 津 波 のシミュレーションの 高 精 度 化 を 図 るべきである 海 洋 と 宇 宙 の 連 携 による 防 災 減 災 も 有 効 である 将 来 的 に 海 上 のブイや 海 中 のセンサー 等 とともに 準 天 頂 衛 星 システムの 高 精 度 の 測 位 機 能 を 活 用 し て 的 確 な 避 難 指 示 と 災 害 情 報 をリアルタイムで 配 信 するシステムを 構 築 すべ きである (4) 環 境 問 題 への 貢 献 1CCS 海 底 下 の 地 層 を 活 用 した CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage:CO₂ 分 離 回 収 貯 留 )について 海 底 下 地 質 構 造 調 査 を 行 ったうえで 研 究 開 発 と 実 証 試 験 を 着 実 に 推 進 すべきである 海 底 下 で CO₂をメタンに 変 える 細 菌 の 培 養 技 術 や CO₂を 吸 収 固 定 化 するバイオ 技 術 も 開 発 すべきである 2エコシップ 国 際 海 事 機 関 (IMO)による 環 境 規 制 が 毎 年 強 化 されていくなか 世 界 有 数 の 海 運 造 船 国 として わが 国 の 省 エネ 技 術 を 最 大 限 活 かすことが 重 要 である 具 体 的 には 天 然 ガス 燃 料 船 ( 外 航 船 )や 革 新 的 省 エネ 船 (これまで 開 発 し てきた 省 エネ 要 素 技 術 を 統 合 した 船 舶 )など CO₂の 排 出 量 が 少 ないエコシップの 研 究 開 発 や 普 及 によって 地 球 温 暖 化 対 策 や 海 洋 環 境 の 保 全 に 貢 献 すべきであ る 3 航 路 海 流 予 測 などの 海 洋 データや 海 洋 ブロードバンドの 通 信 ネットワークを 活 用 し 排 出 される CO₂を 減 少 させ 燃 費 の 節 減 ができる 船 舶 の 航 行 ルートを 開 拓 す る 必 要 がある また アジアとヨーロッパを 結 ぶ 現 行 の 航 路 を 大 幅 に 短 縮 する 可 能 性 がある 北 極 海 航 路 の 開 拓 について 諸 外 国 が 取 組 んでいるが わが 国 も 経 済 性 安 全 性 環 境 への 影 響 等 に 関 して 可 及 的 速 やかに 検 討 を 進 める 必 要 がある 4 東 日 本 大 震 災 による 漂 流 物 海 底 がれき 対 策 東 日 本 大 震 災 の 津 波 により 太 平 洋 に 流 出 した 大 量 のがれきが 洋 上 漂 流 物 となってアメリカやカナダの 西 海 岸 などに 到 達 しており 国 際 問 題 化 している 洋 上 漂 流 物 の 処 理 については 両 国 の 関 係 機 関 と 連 携 を 強 化 すべきである 8

大 量 のがれきやゴミは 沿 岸 の 住 民 生 活 に 危 険 を 及 ぼすだけでなく 海 洋 の 生 態 系 にも 影 響 を 与 えることが 懸 念 される そこで がれきの 総 量 や 漂 着 時 期 に 関 するシミュレーションを 行 い 回 収 船 などを 利 用 して 継 続 的 に 処 理 に 取 組 むべきである (5) 安 全 保 障 の 確 保 1 領 海 警 備 の 強 化 不 審 船 や 工 作 船 などに 対 する 海 上 保 安 庁 の 対 策 を 強 化 するため 大 型 の 巡 視 船 艇 や 航 空 機 の 整 備 を 進 め 装 備 の 高 性 能 化 を 図 るべきである 海 上 保 安 庁 法 や 領 海 等 における 外 国 船 舶 の 航 行 に 関 する 法 律 などの 改 正 により 海 上 保 安 庁 の 海 上 警 察 権 を 強 化 し 領 海 警 備 を 強 化 すべきである また 宇 宙 と 海 洋 の 連 携 を 図 り 衛 星 と 船 舶 などによる 排 他 的 経 済 水 域 や 大 陸 棚 の 監 視 を 行 うべきである 2 海 賊 対 策 2000 年 をピークとして マラッカ シンガポール 海 峡 をはじめ 東 南 アジア 周 辺 海 域 における 海 賊 事 件 数 は 減 少 したが 完 全 収 束 には 至 っていない シンガポールやマレーシアなど 沿 岸 国 の 海 上 保 安 機 関 職 員 などの 人 材 育 成 や アジア 海 賊 対 策 地 域 協 力 協 定 への 協 力 わが 国 との 共 同 訓 練 など 海 賊 対 策 を 引 き 続 き 行 う 必 要 がある また 昨 年 12 月 に 政 府 が 策 定 した 防 衛 装 備 品 等 の 海 外 移 転 に 関 する 基 準 により 平 和 貢 献 や 国 際 協 力 に 伴 う 防 衛 装 備 品 等 の 海 外 移 転 の 案 件 については 包 括 的 な 例 外 化 措 置 が 講 じられることとなった これに 基 づき 沿 岸 国 のイン ドネシアやフィリピンに 対 して 巡 視 船 艇 を ODA によって 供 与 すべきである また 現 行 の 海 洋 基 本 計 画 では マラッカ シンガポール 海 峡 における 海 賊 対 策 に 関 する 取 組 みについては 記 述 がある 新 たな 海 洋 基 本 計 画 には 2008 年 から 急 増 したソマリア 沖 アデン 湾 における 海 賊 対 策 についても 盛 り 込 むべき である 具 体 的 には 乗 組 員 と 船 舶 の 安 全 を 確 保 するため ソマリア 沖 アデン 湾 に おける 海 賊 対 策 として 1 自 衛 隊 の 派 遣 規 模 の 拡 大 ( 現 在 の 護 衛 艦 2 隻 と P-3C 哨 戒 機 2 機 の 増 大 補 給 艦 の 派 遣 ) 2 日 本 船 籍 の 船 舶 への 公 的 武 装 ガード( 自 衛 隊 員 や 海 上 保 安 官 )の 乗 船 民 間 武 装 警 備 員 に 関 する 法 制 整 備 3ソマリア の 治 安 向 上 に 向 けた 国 連 への 拠 出 の 拡 大 イエメンへの 巡 視 船 艇 の ODA による 供 与 4 海 賊 に 対 する 裁 判 や 服 役 に 関 するルールの 整 備 の 国 連 への 働 きかけを 行 うべきである (6) 海 事 産 業 の 強 化 わが 国 の 海 運 造 船 船 舶 用 機 器 などの 海 事 産 業 は 連 携 強 化 を 図 ることで 海 事 クラスターを 形 成 し 優 れた 製 造 技 術 や 高 い 輸 送 能 力 を 活 用 して きめ 細 9

かい 輸 送 サービスなどを 提 供 している しかし 6 重 苦 のなかで 国 際 競 争 を 展 開 する 海 事 産 業 も 厳 しい 状 況 におかれている 海 事 産 業 の 強 化 に 向 けて 国 際 競 争 条 件 の 均 衡 化 の 確 保 のため 海 運 関 連 の 税 制 の 継 続 的 整 備 や 船 舶 関 連 の 技 術 開 発 の 推 進 を 図 るべきである (7) 人 材 育 成 と 海 洋 教 育 海 洋 に 対 する 国 民 の 理 解 を 深 めるため 小 学 校 中 学 校 高 校 における 教 育 において 海 洋 の 重 要 性 をアピールし 海 洋 教 育 に 関 する 環 境 を 整 備 すべきであ る 大 学 等 における 専 門 的 な 教 育 においては 海 洋 系 大 学 の 連 携 を 図 りながら インターンシップ 等 も 活 用 して 優 れた 研 究 者 とともに 技 術 者 を 育 成 すべきであ る 加 えて 海 洋 資 源 の 調 査 や 開 発 に 必 要 な 特 殊 船 舶 の 操 縦 者 や 探 査 や 掘 削 などを 行 う 技 術 者 や 専 門 家 を 育 成 する 必 要 がある また 海 洋 関 連 の 国 際 機 関 における 日 本 人 の 役 割 も 重 要 である 国 連 の 機 関 である 国 際 海 事 機 関 (IMO)の 事 務 局 長 国 連 大 陸 棚 限 界 委 員 会 の 委 員 国 際 海 洋 法 裁 判 所 の 所 長 として 日 本 人 が 活 躍 しているが こうした 国 際 機 関 への 人 的 貢 献 を 継 続 すべきである 5. 推 進 体 制 の 確 立 (1) 総 合 海 洋 政 策 本 部 の 機 能 の 強 化 総 合 海 洋 政 策 本 部 は 司 令 塔 としてリーダーシップを 発 揮 して 関 係 省 庁 の 総 合 調 整 を 行 う 必 要 がある まず 総 合 海 洋 政 策 本 部 は 有 識 者 で 構 成 される 参 与 会 議 の 意 見 を 踏 まえ 重 要 な 海 洋 政 策 の 策 定 や 海 洋 予 算 に 関 する 調 整 を 行 い 関 係 省 庁 の 海 洋 情 報 を 一 元 化 したデータベースの 構 築 や 海 洋 エネルギーや 鉱 物 資 源 の 開 発 海 洋 産 業 の 振 興 に 向 けた 研 究 開 発 海 洋 環 境 の 保 全 など 省 庁 横 断 的 な 取 組 みを 推 進 す べきである また 総 合 海 洋 政 策 本 部 は 国 地 方 公 共 団 体 産 業 界 学 界 の 連 携 を 強 化 するための 中 心 的 な 役 割 を 担 うことが 求 められる (2) 海 洋 研 究 開 発 機 構 の 機 能 の 強 化 わが 国 の 海 洋 調 査 を 行 う 海 洋 研 究 開 発 機 構 (JAMSTEC)の 機 能 を 強 化 すべきで ある JAMSTEC は 文 部 科 学 省 が 所 管 しているが 独 立 行 政 法 人 改 革 の 一 環 として 他 の 研 究 開 発 型 独 立 行 政 法 人 と 統 合 される その 際 海 洋 研 究 開 発 というミッ ションに 加 えて 研 究 成 果 の 利 用 の 促 進 や 産 業 界 への 円 滑 な 技 術 移 転 を 通 じた 産 業 化 への 貢 献 ができるようにすべきである 以 上 10