Microsoft Word - 正平協第九回公開講演会2007年1月

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

47 高 校 講 座 モ オ モ 圏 比 較 危 述 覚 普 第 章 : 活

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

弁護士報酬規定(抜粋)

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

スライド 1

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

スライド 1

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

公表表紙

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

18 国立高等専門学校機構

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

1

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

01.活性化計画(上大久保)

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

m07 北見工業大学 様式①

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

Microsoft Word - 目次.doc

< E8BE08F6D2082C682B DD2E786C7378>

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

PowerPoint プレゼンテーション

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

1. 前 払 式 支 払 手 段 サーバ 型 の 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 利 用 者 保 護 等 発 行 者 があらかじめ 利 用 者 から 資 金 を 受 け 取 り 財 サービスを 受 ける 際 の 支 払 手 段 として 前 払 式 支 払 手 段 が 発 行 される 場 合

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

住宅改修の手引き(初版)

無罪判決後の勾留に関する意見書

新ひだか町住宅新築リフォーム等緊急支援補助金交付要綱

第4回税制調査会 総4-1

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF332E8EA98CC8955D89BF82CC95FB C982C282A282C BD90AC F944E93788EC08E7B95AA814191E C5816A2E707074>

編 5ヶ 月 6 総 論 7 抜 ピ ド ピ ド 速 永 久 繰 ロ セ 慣 容 易 結 共 通 決 々 5 照 づ 具 ご 紹 介 与 監 査 比 較 場 限 提 始 箇 提 進 ご 安 心 話 提 与 監 査 雑 把 与 締 役 緒 算 類 作 機 関 従 来 税 始 忘 生 物 繰 切 忘 葉

スライド 1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

第 8 条 本 協 議 会 における 研 修 は 以 下 のとおりとする (1) 座 学 研 修 農 業 講 座 や 先 進 農 家 視 察 など 農 業 経 営 基 礎 講 座 やその 他 担 い 手 のための 研 修 会 等 への 参 加 など 年 24 回 程 度 とする (2) 実 務 研

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

●幼児教育振興法案

●電力自由化推進法案

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

大学と学生第545号ビジネスモデルからみた卒業生就職支援の課題_関西学院大学(澤谷 敏行)-JASSO

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

景品の換金行為と「三店方式」について

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

0605調査用紙(公民)

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

Microsoft PowerPoint - エントリー04_結婚TextVoice

* 解 雇 の 合 理 性 相 当 性 は 整 理 解 雇 の 場 合 には 1 整 理 解 雇 の 必 要 性 2 人 員 選 択 の 相 当 性 3 解 雇 回 避 努 力 義 務 の 履 行 4 手 続 きの 相 当 性 の 四 要 件 ( 要 素 )で 判 断 され る 部 門 閉 鎖 型

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

別 紙

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

厚 生 年 金 基 金 制 度 の 概 要 公 的 年 金 たる 厚 生 年 金 の 一 部 を 国 に 代 わって 支 給 ( 代 行 給 付 )しており 当 該 支 給 を 行 うための 費 用 として 事 業 主 から 保 険 料 を 徴 収 している 加 えて 各 基 金 ごとに 上 乗 せ

Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

佐渡市都市計画区域の見直し

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

(3) 小 単 元 の 指 導 と 評 価 の 計 画 小 単 元 第 11 章 税 のあらまし の 指 導 と 評 価 の 計 画 ( 四 次 確 定 申 告 制 度 抜 粋 ) 関 心 意 欲 態 度 思 考 判 断 技 能 表 現 知 識 理 解 小 単 元 の 評 価 規 準 税 に 関 す

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

<947A957A8E9197BF C E786C73>

Transcription:

正 義 と 平 和 協 議 会 第 九 回 公 開 講 演 会 正 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し へりくだって 神 と 共 に 歩 む 2007 年 1 月 13 日 ( 土 ) 目 白 聖 公 会 司 祭 香 山 洋 人 なに しゅ み ま え で 6 何 をもって わたしは 主 の 御 前 に 出 で たか かみ いと 高 き 神 にぬかずくべきか や つ ささ もの 焼 き 尽 くす 献 げ 物 として とうさい こ う し み ま え で 当 歳 の 子 牛 をもって 御 前 に 出 るべきか しゅ よろこ 7 主 は 喜 ばれるだろうか いくせん お ひつじ いくまん あぶら なが 幾 千 の 雄 羊 幾 万 の 油 の 流 れを とが つぐな ちょうし わが 咎 を 償 うために 長 子 を じ ぶ ん つみ たい み 自 分 の 罪 のために 胎 の 実 をささげるべきか ひと なに ぜん 8 人 よ 何 が 善 であり しゅ なに まえ もと 主 が 何 をお 前 に 求 めておられるかは まえ つ お 前 に 告 げられている せ い ぎ おこな いつく あい 正 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し かみ とも あゆ へりくだって 神 と 共 に 歩 むこと これである (ミカ 書 6 章 6~8 節 新 共 同 訳 ) 0 はじめに 2005 年 6 月 聖 公 会 神 学 院 を 会 場 に 東 京 教 区 正 義 と 平 和 協 議 会 の 一 日 研 修 が 行 われた その 時 の 資 料 の 末 尾 に 正 義 と 平 和 協 議 会 の 姿 勢 について という 拙 文 を 付 した 今 回 それを 読 み 直 したが 再 読 に 耐 えない 内 容 に 意 気 消 沈 したものの 今 日 ここでお 話 すべき 内 容 はほとんどそこ に 書 かれている 気 がする また 世 界 の 聖 公 会 が 何 を 大 切 にする 教 会 なのか そして 日 本 聖 公 会 は 東 京 教 区 は 何 を 大 切 にする 教 会 なのか 正 義 平 和 人 権 などをキーワードとした 諸 文 書 を 調 べる ことで 浮 かび 上 がらせたいというあの 時 の 作 業 についても さらに 時 間 をかけて 完 成 させる 必 要 が あるとはいえ 18 ヶ 月 後 の 今 全 く 新 しい 何 かが 浮 かんでくるわけではなかった そこで 今 回 は ドナル ドールの 霊 性 と 正 義 という 本 を 軸 にミカ 書 6 章 のみ 言 葉 を 黙 想 しな がら 正 義 について 学 びなおしてみようと 思 う 実 はこの 作 業 も 2000 年 に 行 われた 祈 りの 花 束 (ナザレ 修 女 会 )の 黙 想 を 下 敷 きに 発 展 させてみたにすぎない Ⅰ.キリスト 者 にとっての 正 義 平 和 とは 正 義 という 言 葉 には 抵 抗 がある という 人 は 少 なくない 最 も 正 しい 戦 争 よりも 最 も 不 正 な 平 和 を とはローマの 哲 学 者 キケロの 言 葉 だそうだが 大 東 亜 共 栄 圏 の 新 たな 構 築 へと 向 かう 社 会 に 暮 らしながらアメリカのイラク 攻 撃 を 目 の 当 たりにした 我 々には 説 得 力 のある 言 葉 かもしれな い だから 正 義 などという 唯 一 の 基 準 は 支 配 者 の 言 語 であって 押 し 付 けがましく 暴 力 的 だと 1

いう 批 判 が 可 能 だ こういう 相 対 主 義 はわからなくもない いわゆる 人 権 外 交 にしても 実 は 自 国 の 利 益 を 主 張 しているのに 正 義 の 見 方 顔 をして 悪 を 懲 らしめているようで こうした 現 実 を 知 れば 知 るほど 正 義 とか 人 権 という 言 葉 には 嫌 気 が 差 してくる しかしこれは 逃 げだと 思 う もはや 普 遍 的 なものなどないというポストモダン 的 な 立 場 は 政 治 的 理 念 や 宗 教 などの 大 きな 物 語 を 拒 んで ローカルな 価 値 個 々の 物 語 を 大 事 にしようとしたのだが これでは 結 局 アメリカのよ うな 擬 似 帝 国 や 巨 大 資 本 の 力 には 対 抗 できないのではないだろうか それが 逃 げであるだけならい いが それはもう 一 つの 力 への 意 思 である という 批 判 は 傾 聴 の 価 値 がある 法 哲 学 者 井 上 達 夫 は 普 遍 の 再 生 ( 岩 波 書 店 2003 年 )の 中 で 普 遍 性 や 正 義 を 否 定 する 脱 構 築 に 疲 弊 し 結 局 は 天 皇 の 戦 争 責 任 を 不 問 に 付 し アメリカの 覇 権 主 義 の 前 に 敗 北 していく 知 識 人 たちの 姿 を 批 判 し もう 一 つの 覇 権 主 義 に 発 展 しかねないこうした 脱 普 遍 主 義 に 代 わって 内 発 的 普 遍 主 義 を 唱 えている 今 回 正 義 の 問 題 を 正 面 から 扱 った 著 作 としてすでに 古 典 的 評 価 を 得 ている 共 生 の 作 法 ( 創 文 社 1986 年 )の 再 読 も 試 みたが 井 上 の 法 哲 学 的 議 論 はあまりに 難 解 で 十 分 理 解 して いるとはいいがたい しかし 生 半 可 な 了 解 であることを 恐 れずにいえば 現 代 世 界 は 正 義 平 和 人 権 といった 普 遍 的 概 念 を 放 棄 することで 結 局 は 地 域 的 平 和 の 世 界 化 一 極 覇 権 主 義 を 容 認 し てきた 今 こそ 国 家 を 相 対 化 し 覇 権 主 義 を 抑 制 し かつ 多 元 性 を 担 保 する 新 たな 普 遍 主 義 的 価 値 が 必 要 であり それは 可 能 だと 井 上 はいっている と 思 う 国 際 的 資 本 の 発 達 によって 世 界 はひとつの 市 場 ひとつの 地 域 となった いわゆるグローバル 化 の 到 来 だ しかし 旧 約 聖 書 時 代 の 中 近 東 諸 国 家 の 関 係 に あるいは 古 代 ローマ 帝 国 のあり 方 にす でにグローバル 化 とその 中 で 生 きるための 知 恵 が 先 取 りされていた という 理 解 があるらしい 初 期 のキリスト 教 が 地 中 海 世 界 に 広 がっていく 過 程 が まさにローマ 帝 国 によって 完 成 されていた 越 境 の 原 理 に 便 乗 したプロセス グローバル 化 のプロセスであった 境 界 があるところには 他 者 が 存 在 する 他 者 よそ 者 客 人 マレビト これらの 人 々は 自 分 たちの 伝 統 や 文 化 とは 異 なっ た 価 値 観 で 生 きる 人 々だ 人 間 はこれらの 人 々に 対 して 敬 して 遠 ざけるか 差 別 して 排 除 するか あるいは 共 生 して 新 たな 伝 統 と 文 化 を 創 造 するか いずれかの 態 度 を 迫 られてきた 周 囲 にどのよ うな 圧 力 があったにせよ 初 代 教 会 は 脱 イスラエルの 道 を 選 択 することで イエス=キリスト 告 白 という 唯 一 の 価 値 を 頼 りに 他 者 との 関 係 を 積 極 的 に 受 け 止 めて 共 生 を 実 現 する 新 しい 価 値 すなわ ち 神 の 国 の 実 現 という 壮 大 な 実 験 を 開 始 した 共 生 のために 必 要 なもの それは 地 域 的 な 伝 統 や 文 化 に 裏 打 ちされた 狭 い 価 値 観 ではなく 誰 に でも 共 感 できる 原 則 普 遍 的 なルールだ 帝 国 は 軍 事 力 や 経 済 力 を 背 景 にして 地 域 的 な 価 値 を 普 遍 化 しようとする しかし 真 の 共 生 は 特 定 の 伝 統 や 文 化 によってではなく 誰 にでも 共 感 できる 価 値 によるネットワークの 構 築 であり そこで 想 定 される 普 遍 的 概 念 が 正 義 の 概 念 だ 帝 国 は 自 らの 価 値 の 実 現 を 正 義 と 呼 び 帝 国 への 服 従 を 幸 福 と 呼 ぶ しかし 神 の 国 はそうした 帝 国 的 正 義 の 概 念 を 転 覆 する ある 意 味 で 正 義 とはグローバル 化 した 世 界 における 最 低 限 の 共 通 理 解 グローバル ミニマムと いえるかもしれない そして 平 和 とは そのような 正 義 が 実 現 し 人 々の 尊 厳 が 最 大 限 尊 重 されてい る 状 態 グローバル ミニマムが 保 たれている 状 態 を 指 している しかし すべての 人 が 納 得 でき る 状 態 としての 平 和 は ヘブライ 語 シャロームの 語 源 とは 反 するが 完 全 な 状 態 ではありえ ない 帝 国 の 作 り 出 す 平 和 は 弱 者 の 忍 耐 を 要 求 する しかし 神 の 国 の 使 信 がもたらす 平 和 はすべて の 人 ことに 力 ある 人 々に 一 定 の 忍 耐 を 要 求 するはずだ 平 和 のために 忍 耐 すること 他 者 との 共 生 のために 自 分 の 欲 求 を 制 限 することは 自 己 犠 牲 であって 欲 望 のままに 生 きるわがままな 人 間 2

利 己 的 な 人 間 にとって これはとうてい 耐 えられない 状 態 といえるだろう 正 義 の 理 念 に 忠 実 であり 平 和 を 維 持 するための 自 己 犠 牲 を 受 け 入 れるために 人 間 には 一 定 の 成 熟 度 が 求 められている しかし そのように 成 熟 した 人 間 になることは 不 可 能 なほど 困 難 だ 正 義 とは 実 にやっかいな 言 葉 だ 人 間 はそれぞれ 全 く 異 なった 物 語 の 中 を 生 きているし 一 つ 一 つの 物 語 に 誠 実 であろうとすればするほど こちらを 立 てればあちらが 立 たない という 現 実 の 前 で 我 々は 立 ち 往 生 してしまう 特 に 力 のある 者 たちは 自 分 の 得 ている 特 権 を 行 使 するために 忍 耐 し ない 権 利 自 分 の 主 張 を 通 す 権 利 を 行 使 したくなる だから 正 義 のための 自 己 犠 牲 忍 耐 を 引 き 受 け 続 けることは 容 易 ではない これは 実 に 容 易 ではない ということを 我 々は 肝 に 銘 じておく 必 要 がある 神 の 国 の 使 信 に 基 づく 正 義 と 平 和 は 自 分 の 弱 さを 認 めつつ 他 者 との 共 存 のために 忍 耐 することを 含 んでいる これは 自 己 犠 牲 であり 十 字 架 を 甘 受 することであり 復 活 にのみ 希 望 を 託 すような 営 みだ このことに 無 頓 着 な 人 間 が 軽 々と 語 り 行 動 する 正 義 のことを 我 々は 安 価 な 正 義 と 呼 ぶことにしよう それはまやかしの 正 義 であり 実 現 しても 平 和 をもたらさない 正 義 だ 人 間 ならではの 現 実 ともいえる 葛 藤 や 緊 張 を 軽 く 見 た 安 価 な 正 義 は 常 に 存 在 してきた しか しもう 一 つのやっかいな 正 義 は 権 力 が 主 張 する 偽 装 された 正 義 だ 王 皇 帝 帝 王 天 皇 将 軍 などといった 存 在 が 発 揮 しようとした 現 実 の 政 治 的 権 力 の 試 みは みな 正 義 に 基 づいていた が それら 偽 装 された 正 義 によって 真 の 平 和 が 実 現 されることはなかった そこで 生 み 出 され た 平 和 はローカルな 平 和 (pax romana)でありグローバルなものではなかった そして 我 々にとっ ての 問 題 は 神 の 名 による 正 義 も 多 くの 場 合 安 価 なそして 偽 装 された 正 義 であり それらは 決 して 平 和 をもたらさないということだ 正 義 は 異 質 な 他 者 との 出 会 いを 繰 り 返 してきた 人 間 が 普 遍 的 に 共 有 可 能 な 理 想 として 追 求 されてきた しかし 人 間 の 歴 史 において 宗 教 がはたして 来 た 役 割 は 正 義 の 追 求 に 関 しては 残 念 ながら 否 定 的 なものだった 時 に 宗 教 は 正 義 に 反 し 人 権 を 蹂 躙 し 平 和 を 破 壊 してきた 宗 教 は 地 域 的 境 界 が 無 くなりつつある 世 界 にあって 地 域 を 越 えた 新 たな 境 界 を 作 り 出 し 維 持 することができる 最 後 の 大 きな 物 語 のひとつだ これらの 中 でキリスト 教 が 作 り 出 した 境 界 の 役 割 は 大 きく その 責 任 は 重 い このことを 自 覚 しない 限 り キリスト 教 はいつ までも 自 己 満 足 的 な 安 価 な 正 義 を 再 生 産 し 続 けてしまうはずだ それは 説 得 力 がないばかりで なく 実 に 有 害 だ しかしグローバル 化 した 状 況 の 中 で 他 者 と 共 に 生 きる 道 を 選 択 しないこと は 不 可 能 だ 我 々はすでに 他 者 と 共 に 生 きている それを 自 覚 してもしなくても Ⅱ. 霊 性 (spirituality)をめぐって 正 義 と 平 和 はキリスト 教 だけの 主 張 ではない むしろ 宗 教 的 信 念 は 正 義 の 実 現 と 平 和 の 維 持 を 妨 げる 境 界 を 生 み 出 しかねない 危 険 性 を 持 っている もともと 信 仰 は 目 に 見 えない 何 かだが それ が 生 み 出 す 伝 統 や 習 慣 は 目 に 見 えるものとして 人 々の 生 活 に 影 響 を 及 ぼしているし キリスト 教 も 地 域 ごとに 独 自 のスタイルを 生 み 出 している 目 に 見 えない 信 仰 が いつの 間 にか 目 に 見 えない コード(code 暗 号 規 則 ) と 化 して 巨 大 な 境 界 を 生 み 出 し 他 者 を 排 除 する そのコードは 仲 間 内 の 結 束 を 生 み 出 すと 同 時 によそ 者 を 峻 別 する 暗 号 と 化 す メンバー 同 士 ではもはや 説 明 を 必 要 と しない 伝 統 や 慣 習 は 目 に 見 えない 暗 号 のようなものだ しかし 境 界 が 無 く 誰 でも 参 加 可 能 な 世 界 の 原 則 は どうすればいいのか という 方 法 が 常 に 公 開 されているということにある その 方 法 を 理 解 し 受 け 入 れることができれば 誰 でも 参 加 可 能 になる 世 界 本 来 キリスト 教 はそうした 場 暗 3

号 ( 因 習 )のない 世 界 を 目 指 していたはずだった しかし 結 果 としてキリスト 教 によって 形 成 さ れた 教 会 は 目 に 見 えないコードに 支 配 された 閉 ざされた 社 会 無 形 の 伝 統 や 因 習 に 縛 られ た 地 域 社 会 だった これらはすべて 人 間 の 弱 さによって 作 られた 歴 史 であり 現 実 だ だから 我 々はそれをただ 批 判 し て 見 せるのではなく こうした 現 実 を 認 定 し 行 き 詰 まりを 実 感 したうえで そこから 突 破 するこ とに 意 を 注 ごう ここでは そうした 行 き 詰 まりから 解 き 放 たれるための 力 脱 出 するエネルギー の 源 を 自 らの 中 に 持 とうとする 営 みの 総 体 を 霊 性 spirituality という 言 葉 で 表 現 してみたい 1 悪 しき 霊 性 主 義 Spiritualism ここではペルーのカトリック 神 学 者 解 放 の 神 学 の 提 唱 者 として 有 名 なグスタボ グティエレ スを 参 考 にしながら 霊 性 とは 何 かについて 学 んでみたい Well,25-28 キリスト 教 の 霊 性 の 中 世 的 伝 統 は 修 道 生 活 を 模 範 として 形 成 されてきた そのため 真 の 霊 的 生 活 は 特 別 な 環 境 の 中 で しかも 専 門 家 ( 修 道 者 )によってのみ 可 能 であり 信 徒 の 霊 性 もこれを 理 想 として 語 られることとなる このような 修 道 院 的 霊 性 の 特 徴 は fuga mundi( 世 からの 逃 避 ) であり 言 い 換 えれば エリート 主 義 でもある 福 音 書 に 登 場 する 信 仰 厚 き 人 々( 律 法 学 者 フ ァリサイ 派 )も 律 法 遵 守 が 可 能 な 環 境 に 生 きるエリートたちだった しかし 初 期 修 道 院 運 動 の 霊 性 のキーワードは 殉 教 だったという キリスト 教 が 権 力 機 構 化 する 以 前 修 道 生 活 とは 終 末 に 備 える 生 き 方 の 模 範 であり それは 同 時 に 常 に 殉 教 に 備 えるライフスタイルを 意 味 していた 個 人 的 な 霊 性 志 向 は 内 的 生 活 といわれ そこでは 個 人 の 意 向 意 図 が 重 視 され 行 動 に ついては それがもたらす 結 果 や 効 果 ではなく 意 図 によって 評 価 された グティエレスはこう した 傾 向 を 悪 しき 霊 性 主 義 と 呼 ぶ それは 聖 書 の 持 つ 社 会 的 歴 史 的 意 味 合 いを 内 面 化 す るフィルターとなってしまう このフィルターを 通 すことで たとえば 金 持 ちとラザロの 物 語 (ルカによる 福 音 書 16 章 19 節 以 下 )は 富 める 者 と 貧 しい 者 の 物 語 ではなく おごれる 者 と 謙 遜 な 者 の 関 係 に 転 化 されてしまう ここでは 謙 遜 な 金 持 ち も おごれる 貧 者 も 可 能 とな る エリート 主 義 や 個 人 主 義 と 結 びついた 霊 性 は 現 実 からの 逃 避 出 来 事 の 抽 象 化 を 促 進 させる ここからは イエスに 従 う という 命 題 は 内 面 化 され 抽 象 化 される この 霊 性 からは 連 帯 協 働 と いった 共 同 体 としての 解 放 への 取 り 組 みは 生 まれてこない 2 分 裂 した 霊 性 本 来 修 道 院 的 霊 的 生 活 は 祈 りと 活 動 の 合 一 を 生 み 出 してきたはずだ 祈 るように 働 き 働 く ように 祈 る という 理 想 像 は 現 代 に 継 承 される 修 道 院 運 動 が 生 み 出 した 精 華 だ 6 世 紀 ヌルシア のベネディクトゥスは 自 らの 共 同 体 運 動 の 発 足 に 際 し 清 貧 従 順 貞 潔 を 誓 う 戒 律 を 作 り ora et labora( 祈 り 働 け)をモットーにモンテカッシーノに 最 初 の 修 道 会 を 設 立 した しかしキリス ト 者 の 生 活 においては いわゆる 霊 的 生 活 と 社 会 奉 仕 祈 りと 活 動 は 二 つの 極 をなしている ora et labora はエリート 的 霊 性 個 人 的 霊 性 によってしか 実 践 不 可 能 なのだろうか 他 者 は 私 たちが 神 に 到 達 するための 道 であるが 神 との 関 係 は 他 者 と 出 会 い 真 の 交 わりを 持 つための 前 提 条 件 である Well,172 グティエレスはこのようにいうことで キリスト 教 信 仰 における 隣 人 と 神 の 不 可 分 性 を 述 べている 同 時 に 彼 は 隣 人 は 神 とより 近 いものとなるための 一 つの 機 会 道 具 ではない ~ 人 間 を 目 的 とした 人 間 の 愛 こそが キリストと 真 に 出 会 う 唯 一 の 道 で 4

ある TL,208 とも 述 べている キリスト 者 にとって 神 への 到 達 が 目 標 ではないし キリスト 抜 きの 人 間 愛 も 不 可 能 だ とグティエレスは 語 る 我 々はどちらか 一 方 を 選 ぶことはできない 神 を 愛 することが 隣 人 を 愛 することであり 隣 人 を 愛 することが 神 を 愛 すること これがペルーのリマ でスラムの 青 年 たちとともに 生 きてきたカトリック 司 祭 グティエレスが 到 達 したキリスト 教 の 霊 性 の 原 則 だ 確 かにマタイ 福 音 書 25 章 の 諸 国 民 への 裁 き はこのことをいっている しかしここで 誤 解 して はならないのは キリスト 者 は 神 に 奉 仕 するため 便 宜 的 に 最 も 小 さいものの 一 人 に 仕 えるの ではないということだ 隣 人 は 神 に 近 づくための 手 段 道 具 ではない また 神 は 我 々が 行 う 最 も 小 さいもの への 善 行 に 対 するご 褒 美 として それを 神 ご 自 身 への 奉 仕 として 換 算 してやろ うというのではない 最 も 小 さいものの 一 人 とは 神 ご 自 身 であり この 神 の 他 に 我 々が 仕 えるべ き 神 はいない これを 兄 弟 のサクラメント と 呼 んだ 神 学 者 がいるが(イヴ コンガール) カト リック 神 学 において 聖 別 されたパンがキリストの 身 体 それ 自 体 であるように 貧 しい 隣 人 はキリス ト 自 身 だという もちろん 宗 教 と 無 縁 の 人 々にとって 人 間 愛 の 前 提 に 神 は 無 用 だ だから 最 も 小 さいものの 一 人 に 奉 仕 をすることは ただそれだけですばらしいことであり それは 信 仰 の 有 無 に 関 わらず 誰 もがなすべき 普 遍 的 価 値 だといえるだろう にも 関 わらずキリスト 者 は それが 神 ご 自 身 への 奉 仕 であるというメッセージを 無 視 できない たしかに キリスト 抜 きの 人 間 愛 は 不 可 能 だ という 主 張 はキリスト 教 信 仰 から 発 せられた 信 仰 告 白 であり キリスト 者 の 霊 性 の 根 底 に 関 わる 問 題 だ も し 我 々が 神 との 関 係 抜 きで 最 も 小 さいものの 一 人 への 奉 仕 を 実 践 したいと 願 うなら それは 自 ら 信 仰 を 内 面 化 し 抽 象 化 した 悪 しき 霊 性 主 義 になってしまうことになる 正 義 の 実 践 は 誰 もがなすべき 普 遍 的 な 行 為 であり 信 仰 があるから 正 義 の 実 践 ができるのではな い ただ 我 々は 隣 人 との 関 係 を 神 抜 きには 考 えられない 信 仰 にすでに 入 っている だから 我 々は もっとも 小 さなものの 一 人 との 出 会 いを 神 との 関 係 抜 きには 受 け 止 められないのだ 神 を 抜 きに 語 れば 我 々も 人 間 愛 だけを 中 心 とした 真 円 形 の 正 義 愛 平 和 を 語 りうるだろうし 逆 に 神 だけを 中 心 とした 純 粋 な 信 仰 を 語 りうるかもしれない しかし 我 々は 神 と 人 間 という 二 つの 中 心 を 備 えた 楕 円 を 真 理 とし どちらをも 無 視 しないこと それらは 分 かちがたく 一 体 であり しかし 決 し て 混 同 されはしないのだと 力 説 してきたはずだ こうした 緊 張 関 係 を 放 棄 した 正 義 とか 愛 とか そ こから 生 み 出 される 平 和 は 真 実 ではない と 私 たちは 信 じているはずだ 普 遍 的 概 念 としての 正 義 は 同 時 に 公 平 さを 意 味 している しかし 神 の 国 の 使 信 としての 正 義 は 我 々が 期 待 する 公 正 さではなく 貧 しいもののために 実 現 される 公 正 さだ これは 機 会 の 平 等 ではなく 結 果 の 平 等 といってもいいだろう 富 める 人 が 空 腹 のまま 追 い 返 されないかぎり 飢 えた 人 がよいもので 満 たされることはない(ルカによる 福 音 書 1 章 53 節 ) 3 統 一 された 霊 性 霊 性 とは 厳 密 な 根 本 的 意 味 としては 霊 の 支 配 のことである ~(また) 霊 性 に 導 かれた ある 具 体 的 な 福 音 を 生 きる 道 である 主 の 前 で 全 ての 人 と 連 帯 して 主 と 共 に 人 々の 前 で 決 然 と 生 きることである そ れは 強 烈 な 霊 的 体 験 から 生 じるもので ~ある 人 々は 解 放 の 過 程 への 参 加 の 結 果 として この 体 験 を 生 きはじめている TL,211 解 放 の 霊 性 は 隣 人 すなわち 抑 圧 されている 人 々 搾 取 されている 社 会 階 級 軽 蔑 される 人 種 支 配 さ れる 国 に 対 する 回 心 を 中 心 とするであろう 我 々の 神 への 回 心 とは この 隣 人 への 回 心 を 含 むものなの 5

である 福 音 的 回 心 は 実 際 あらゆる 霊 性 の 試 金 石 なのである 回 心 とは 我 々 自 身 の 根 本 的 変 革 を 意 味 する TL,212 グティエレスは 隣 人 への 回 心 という 言 葉 を 使 う TL,197 もし 神 との 関 係 が 隣 人 との 関 係 と 不 可 分 であるならば 我 々は 隣 人 に 向 かって 回 心 することで 真 の 回 心 ( 神 への 帰 還 和 解 )へと 一 歩 を 踏 み 出 すに 違 いない そして 隣 人 への 回 心 とは 連 帯 して 生 きる ということだ かつてマ ニラの 小 さなスラムで カトリックの 修 道 者 がコーディネートする 聖 書 の 会 に 出 たことがある ご みの 山 から 換 金 できるものを 探 し 生 計 を 立 てる 人 々の 輪 の 中 に ペプシ に 勤 務 する 金 持 ちが 加 わ っていた 貧 しい 人 々のために 献 金 したいというこの 信 心 深 い 男 に 対 し 修 道 者 は まず 彼 らの 信 仰 と 知 恵 に 学 びなさいと 促 したという 時 間 と 空 間 を 共 有 することで 真 の 回 心 と 連 帯 が 生 まれてく る それが 富 める 者 の 解 放 ( 救 い)に 不 可 欠 なプロセスだから とその 修 道 者 は 語 っていた 霊 性 とは 自 分 自 身 のもっとも 深 い 部 分 神 との 出 会 いの 場 自 分 自 身 を 形 成 し 動 かすもの 燃 え 尽 きな い 心 尽 きない 井 戸 正 義 のために 闘 う 精 神 自 分 の 心 はらわた 我 々が はらわた で 感 じること それは 優 れて 深 く 人 間 的 な 体 験 であり 神 が 私 たちの 生 に 現 れているこ とを 知 るよい 機 会 を 与 えてくれる 神 の 私 への 現 れは 人 間 的 なものである そして 私 がより 深 い 人 間 性 を 身 につければ 神 の 手 は 容 易 に 私 に 触 れる 人 は<はらわた>から 動 かされるような 体 験 において 最 も 人 間 的 であるということは すで に 述 べてきた このように 定 義 した 上 であえてこういおう < 神 は はらわたにおられる> 以 上 Dorr 41 はらわた という 言 葉 から 連 想 される 福 音 書 の 記 事 を 読 んでみよう そのころまた 群 衆 が 大 勢 いて 何 も 食 べる 物 がなかったので イエスは 弟 子 たちを 呼 び 寄 せて 言 われた 群 衆 がかわいそうだ もう 三 日 もわたしと 一 緒 にいるのに 食 べ 物 がない 空 腹 のまま 家 に 帰 らせると 途 中 で 疲 れきってしまうだろう 中 には 遠 くから 来 ている 者 もいる 弟 子 たちは 答 えた こんな 人 里 離 れた 所 で いったいどこからパンを 手 に 入 れて これだけの 人 に 十 分 食 べさせることができるでしょうか イエス が パンは 幾 つあるか とお 尋 ねになると 弟 子 たちは 七 つあります と 言 った そこで イエスは 地 面 に 座 るように 群 衆 に 命 じ 七 つのパンを 取 り 感 謝 の 祈 りを 唱 えてこれを 裂 き 人 々に 配 るようにと 弟 子 たちに お 渡 しになった 弟 子 たちは 群 衆 に 配 った また 小 さい 魚 が 少 しあったので 賛 美 の 祈 りを 唱 えて それ も 配 るようにと 言 われた 人 々は 食 べて 満 腹 したが 残 ったパンの 屑 を 集 めると 七 篭 になった およそ 四 千 人 の 人 がいた イエスは 彼 らを 解 散 させられた (マルコによる 福 音 書 8 章 1~9 節 新 共 同 訳 ) c.f. かわいそうだ と 訳 される splagchnizomai スプラングニゾマイ は 通 常 憐 れむ と 訳 される 直 訳 的 には 内 臓 が 動 く ヘブライ 人 にとって 内 蔵 は 怒 り 愛 痛 み 同 情 共 感 などの 感 性 が 宿 る 場 所 だった 日 本 語 では 胸 はら に 該 当 する これと 異 なるのが 知 的 な 理 解 の 座 である 頭 だ はらわたが 煮 えくり 返 る という 言 葉 がある これは 抑 えようのない 怒 りを 表 現 する 言 葉 だ 本 田 哲 郎 は 怒 り こそが 隣 人 愛 の 原 点 であり 連 帯 の 動 機 だと 語 る(この 点 はのちに 述 べる) 自 分 自 身 も 痛 むような 共 感 ( 共 苦 compassion)こそが 人 間 を 根 底 から 突 き 動 かす 本 田 は 群 集 が かわいそうだ を この 民 衆 に はらわたをつき 動 かされる と 訳 している マルコ( 及 び 並 行 個 所 のマタイ 15 章 )の 四 千 人 の 給 食 は イエスは 憐 れんで という 福 音 記 者 の 言 葉 としてではなく 福 音 書 中 唯 一 イエス 自 身 の 台 詞 として かわいそうだ(スプラングニ 6

ゾマイ) が 登 場 する 個 所 だ(そしてこの 個 所 は 日 本 聖 公 会 の 聖 書 日 課 では 一 度 も 主 日 祝 日 の 聖 餐 式 においては 登 場 しない) これはイエスの 切 なる 訴 えだ ここでは 君 たちが 養 え というような 弟 子 教 育 の 意 図 (マルコ6 章 他 )は 消 されている 飢 えた 群 集 を 見 たイエスは あまりにひどい! と 思 う そしてそれを 自 分 の 心 の 中 で 内 的 ( 私 的 )に 思 い 巡 らせるのではなく 仲 間 を 呼 び 寄 せて ひ どすぎる! といって 怒 りに 震 える 思 いを 吐 露 する そしてわずかな 資 源 ( 七 つのパンとわずか な 小 魚 )で 目 の 前 の 圧 倒 的 な 現 実 に 立 ち 向 かおうとした ドールによれば 霊 性 とは 個 人 的 信 心 ではなく 存 在 の 全 領 域 に 関 わるものであり この 世 から の 救 い ではなく この 世 の 救 い に 向 かう 姿 勢 のことだ それは 現 実 からの 逃 避 ではなく 現 実 へと 参 与 することを 意 味 している 彼 は カトリック 詩 人 シャルル ペギーの 詩 を 引 用 する ひとりで 救 われるな みんなで 救 われよ 神 のみ 前 には 大 挙 していでよ Ⅲ. 霊 性 の 三 つの 側 面 -ドナル ドールとともに- 人 よ 何 が 善 であり 主 が 何 をお 前 に 求 めておられるかはお 前 に 告 げられている 正 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し へりくだって 神 と 共 に 歩 むこと これである (ミカ 書 6 章 8 節 ) < 諸 訳 の 比 較 > * 正 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し へりくだって 神 と 共 に 歩 むこと これである ( 新 共 同 訳 ) *ただ 公 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し へりくだってあなたの 神 と 共 に 歩 むことではないか ( 口 語 訳 ) * 公 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し 心 してあなたの 神 と 共 に 歩 むことである ( 岩 波 版 鈴 木 佳 秀 訳 ) *Only to act justly, to love loyalty, to walk humbly with your God.(REV) *Only to this, to act justly, to love tenderly, and to walk humbly with your God.(JB) * 正 義 を 実 践 すること 快 く 恵 みに 報 いること( 絶 えず 愛 を 好 んで 行 うこと) 心 して 神 と 共 に 生 きていくこと ( 韓 国 共 同 翻 訳 ) *Achtet auf das Recht, erweist einander Gutes, tut nichits ohne euren Gott.(die Bibel in heutigen Deutsch) 正 義 と 慈 悲 の 実 践 そしてへりくだった 生 き 方 預 言 者 ミカが 示 す 神 のめぐみに 対 する 人 間 の 応 答 の 三 要 素 は のちにマタイによって 正 義 慈 悲 誠 実 ( 新 共 同 訳 )の 三 要 素 に(23 章 23 節 ) ルカによって 正 義 の 実 行 と 神 への 愛 の 二 要 素 に(11 章 42 節 ) 改 定 された c.f.マタイ 23 章 を 口 語 訳 は 公 平 あわれみ 誠 実 韓 国 共 同 翻 訳 は 正 義 慈 悲 信 義 佐 藤 研 訳 ( 岩 波 版 )は さばきと 憐 れみと 信 頼 英 語 訳 のほとんどは justice, mercy, faith (faithfulness) ミカ 書 の 新 共 同 訳 へりくだって に 該 当 するヘブライ 語 tsana は 謙 遜 さ へりくだり だが 七 十 人 訳 はこれを 神 と 共 に 歩 む 備 えをすること とし マタイはその 部 分 を pistis( 信 仰 信 頼 ) とした 新 共 同 訳 が pistis を 誠 実 と 訳 す 根 拠 は 不 明 本 田 訳 は 該 当 個 所 を 解 放 のための 裁 き 痛 みを 共 感 すること 信 頼 を 持 ってあゆみを 起 こすこと として いる 本 田 は pistis をすべて 信 頼 を 持 ってあゆみを 起 こす と 実 践 を 含 めた 意 味 として 訳 して いる ルカ 11 章 を 口 語 訳 は 義 と 神 に 対 する 愛 と 韓 国 共 同 翻 訳 は 正 義 を 行 うことと 神 を 愛 す 7

ること 佐 藤 研 訳 ( 岩 波 版 )は さばきと 神 の 愛 と KJV などは judgment and the love of God RSV などは justice and the love of God 本 田 は 低 みからの 裁 きと 神 を 大 切 にす ること としている 本 田 は krisis ( 裁 き 批 判 語 源 的 には 分 離 識 別 判 断 )を 低 み からの 裁 き と 訳 している 以 下 ドナル ドールの 霊 性 と 正 義 を 手 引 きにしながら 霊 性 の 三 つの 側 面 について 考 えてみ よう 1.へりくだって 神 と 共 に 歩 む( 自 分 自 身 の 宗 教 的 回 心 )intra-personal *walk humbly with your God. (REV) * 心 してあなたの 神 と 共 に 歩 むことである ( 岩 波 版 鈴 木 佳 秀 訳 ) * 心 して 神 と 共 に 生 きていくこと( 韓 国 共 同 翻 訳 ) *tut nichits ohne euren Gott.( 神 なしに 何 事 もするな)(BHD) 我 々はそれぞれ 深 く 個 人 的 な 宗 教 的 回 心 に 招 かれている この 回 心 は あるいは 突 然 の あるいは 段 階 的 なものであるというより いくつかの 劇 的 な 突 き 抜 ける 体 験 (break-through)をともなって ゆっくりした 成 長 をとげる ~ 本 当 に 問 題 なのは 回 心 の 過 程 よりも その 結 果 である Dorr,22 神 の 摂 理 を 感 じ 取 ることは 神 が 私 を 個 人 として 愛 してくださるという 認 識 から 始 まるものには 違 いないが そこで 終 わってしまうものではない そこで 終 わってしまえば 宗 教 的 回 心 も 個 人 の 信 仰 も 全 て 神 と 私 自 身 との 純 粋 に 私 的 な 事 柄 に 還 元 されてしまう Dorr,23 自 分 自 身 の 中 には 神 の 摂 理 を 感 じ 取 る 心 の 土 台 としてのある 種 の 平 和 と 心 の 平 安 が 不 可 欠 で あり これは 祈 りの 積 み 重 ねによって 生 み 出 される へりくだり である キリスト 者 はこのよう な 平 安 への 強 い 憧 れを 持 ちながら 生 きている しかし 平 安 への 強 い 欲 求 は 他 者 ( 外 界 世 界 )との 断 絶 (= 修 道 院 的 霊 性 )への 誘 惑 となりかねない しかし 自 分 自 身 の 宗 教 的 回 心 つま り 神 なしには 生 きていけない という 体 験 は 自 分 の 生 き 方 行 動 計 画 や 方 向 と イエスの 生 涯 との 一 致 と 不 一 致 を 見 極 めるための 重 要 な 原 点 ( 座 標 軸 )となる 鈴 木 佳 秀 によれば へりくだっ て という 訳 はウルガタ 訳 の 影 響 によって 箴 言 2:2 と 共 に へりくだって と 訳 されてきた 伝 統 が あるが 原 意 については 諸 説 あり 最 近 は 思 慮 深 く 熟 慮 して などが 提 唱 されているという 箴 言 2:2 は 新 共 同 訳 では 心 を 向 けて とされている 神 とともに 歩 む とは 心 して 歩 むことで あり あなたの 神 だけに 心 を 向 けて 歩 むことであり み 心 が 何 であるかを 熟 慮 して 歩 むことだ そ れは 我 々にとって イエスを 道 しるべとして 歩 むこと イエスの 道 を 歩 むこと イエスとともに 旅 することだ 2 慈 しみを 愛 す( 自 分 自 身 の 道 徳 的 回 心 )inter-personal *erweist einander Gutes= 互 いに 善 を 示 す( 示 し 合 う) 現 代 ドイツ 語 訳 はあえて 互 いに 善 を 示 す 行 う と 意 訳 している ここでいわれている 慈 しみ という 概 念 は 関 係 性 を 前 提 としたもの つまり そこには 他 者 の 存 在 があり 互 いに(einander) 慈 しむ 愛 し 合 うという 関 係 性 が 重 要 だ 慈 しみを 愛 する とは 自 分 自 身 の 道 徳 的 な 回 心 を 意 味 す る inter-personal な 戒 めだ そして 道 徳 的 な 回 心 は 他 者 との 出 会 いのための 条 件 であり 他 者 と の 出 会 いだけが 道 徳 的 回 心 を 可 能 とする 8

道 徳 的 に 回 心 した 人 は 他 者 に 心 から 関 心 を 抱 くようになり 他 者 の 話 しを 聴 く 人 となる 他 者 を 信 頼 し 自 分 をゆだね 自 分 を 相 手 に 開 くこと しかし 他 者 に 自 分 を 開 くことは 危 険 を 犯 す 行 為 に 他 ならない 従 って 道 徳 的 回 心 は 進 んで 危 険 を 冒 す 覚 悟 を 意 味 している 道 徳 的 回 心 とは 誠 実 であること 共 にいる 能 力 を 持 つこと 道 徳 的 な 回 心 を 経 たものだけが 慈 しみ 深 く 愛 する ことが 可 能 となり 霊 性 の inter-personal な 側 面 を 保 持 し 得 る 連 帯 の 条 件 としての 回 心 についてグティエレスは 次 のように 言 っている 隣 人 への 回 心 とは 隣 人 の 内 なる 神 への 回 心 でもある TL,215 自 分 の 罪 を 認 めることは 断 ち 切 った 友 情 を 取 り 戻 したいという 望 みを 意 味 し 許 しと 和 解 へと 人 間 を 導 く Well,152 ( 貧 しい 人 々への 奉 仕 は) 自 分 自 身 を 与 える 愛 の 業 であって ただ 義 務 を 果 たすということではない それ は 貧 しい 人 々の 世 界 に 関 わり 不 正 や 欠 乏 に 苦 しむ 人 々との 真 の 友 情 の 絆 で 結 ばれていなければ 実 現 の 難 しい 具 体 的 で 真 実 な 愛 の 業 である 連 帯 は 抽 象 的 な 貧 しい 人 々とではなく 血 の 通 った 生 身 の 人 間 との 結 びつきであり 愛 と 友 情 そしてやさしさがなければ 連 帯 の 真 の 行 動 はありえない ~ 真 の 愛 は 対 等 な 人 間 関 係 においてのみ 存 在 する Well,159-160 3 正 義 を 行 う( 政 治 的 回 心 )commitment *act justly= 正 しく 行 う 正 義 =ミシュパート(シャファト)は 裁 く 正 しく 治 める といった 社 会 的 正 義 公 正 を 意 味 する 言 葉 (これに 対 しツェダカー/ツァダクは 自 動 詞 的 な 正 しくあること 正 しさ という 概 念 ) 正 義 (ミシュパート)を 行 う 正 しく 行 うというのは personal な 領 域 を 越 えた 公 的 領 域 における 道 徳 性 を 意 味 している 公 的 な すなわち 政 治 経 済 などあらゆる 次 元 で 公 正 な 関 係 を 構 築 する こと このことは 不 公 正 不 正 義 の 現 実 の 中 での 個 々 人 の 道 徳 的 な 回 心 を 前 提 とする そして 道 徳 的 回 心 によって 人 は 連 帯 可 能 な 存 在 となる これが 政 治 的 回 心 だ 政 治 的 回 心 はミシュ パート( 社 会 正 義 )をもたらすために 闘 う 正 義 を 行 うことは 自 分 自 身 の 生 き 方 であると 同 時 に 共 同 体 の 姿 でなければならない そのことを 呼 びかけるのが 預 言 者 であり 預 言 者 的 霊 性 とは 人 々を 励 まして 今 ある 秩 序 に 立 ち 向 かわせ 社 会 正 義 の 要 求 する 根 源 的 な 変 革 を 求 めさせるもの Dorr,23 だ イエスは 洗 礼 者 ヨハネとともに 預 言 者 の 系 譜 に 立 っていた 教 会 の 働 きは 王 的 祭 司 的 預 言 者 的 三 重 の 職 務 といわれている 個 人 的 な 道 徳 を 公 共 性 の 領 域 に 適 応 させるための 励 ましが 教 会 に 求 められている 正 義 を 行 うとは 正 しく 行 うこと 正 しく 生 きることでもある 我 々はあらゆる 次 元 で 何 かを 行 い ながら 生 きているが それを 正 しく 行 うことができないでいる 正 しく 行 うとは 正 しい 基 準 に 照 らして 行 うことであり 私 的 な 価 値 同 族 的 な 価 値 (ローカルな 正 義 )を 相 対 化 することを 意 味 している 我 々の 基 準 はイエス キリストであり 神 の 国 の 使 信 だ 我 々はそれを 理 念 的 に あるい は 最 大 限 の 想 像 力 を 動 員 して 行 おうとするが それだけでは 自 分 の 居 場 所 を 変 えることなく 視 線 だけを 変 更 するだけだ 正 しく 行 う ためには 視 点 を 改 めること すなわち 回 心 (meta-noia) が 必 要 となる 回 心 とは 内 心 の 作 業 ではない 回 心 は 自 分 の 考 え 方 を 変 えるのではなく 自 分 の 立 ち 居 地 を 変 えること ものの 見 方 を 変 えるのではなく 自 分 の 居 場 所 を 変 えることだ 回 心 とは 視 線 の 変 更 ではなく 視 座 の 変 更 を 意 味 している だから 本 田 は metanoia を 低 みからの 見 直 し と 訳 している 9

c.f.グティエレスによれば 回 心 とは 貧 しく 抑 圧 される 者 の 解 放 の 過 程 に 自 ら 関 わること 明 快 に 現 実 的 に 具 体 的 に 関 わることである 漠 然 と 賛 成 して 関 わるばかりでなく 状 況 分 析 と 行 動 戦 略 を 練 って 関 わることである TL,212 公 的 領 域 における 回 心 は 社 会 の 仕 組 みに 対 する 理 解 と 参 与 を 意 味 する この 回 心 が 真 実 なもの かどうかは 貧 しい 人 抑 圧 されている 人 弱 い 立 場 に 置 かれている 人 の 権 利 を 守 り 尊 重 している か 否 かによって 知 られる Dorr,33 へりくだって 神 と 共 に 歩 む ( 宗 教 的 回 心 個 人 的 領 域 ):これなくしては 偽 りの 神 の 支 配 から 自 由 になれない( 偽 りの 神 = 野 望 貪 欲 不 安 疑 い ) 慈 しみを 愛 する ( 道 徳 的 回 心 対 人 的 領 域 ):これなくしては 隣 人 から 信 頼 されない 人 間 心 を 閉 ざした 人 間 不 誠 実 で 頼 りない 不 忠 実 な 人 間 のままである 正 義 を 行 う ( 政 治 的 回 心 社 会 的 領 域 ):これなくしては 神 への 信 仰 が 個 人 的 対 人 的 な 領 域 のものにとどまってしまい 神 は 歴 史 と 全 世 界 の 主 であるという 福 音 のメッセージを 証 し することが 出 来 ない キリスト 者 の 生 とは 神 の 救 いの 業 に 対 する 応 答 を 生 きること( 何 をもって 私 は 主 のみ 前 に 出 て いと 高 き 神 にぬかずくべきか ミカ 6:6) 偽 りの 神 ( 利 己 心 )から 自 由 な 者 として 隣 人 に 心 を 開 いて 連 帯 し 正 義 の 実 践 を 通 して 神 が 歴 史 と 世 界 の 主 であることを 証 しする という 三 つの 領 域 三 つの 側 面 をバランスよく 保 つことが 霊 性 の 課 題 となる アイルランド 出 身 のカトリック 神 学 者 ドナル ドールの 霊 性 と 正 義 ( 原 著 1984 年 邦 訳 1989 年 )は 大 変 すぐれた 著 作 だ イエズス 会 社 会 司 牧 センターによる 日 本 語 訳 のきっかけは フィリピ ンの 無 血 革 命 に 際 して 重 要 な 役 割 を 果 たしたクラベール 司 教 の 紹 介 だったという 聖 公 会 において も 霊 性 と 正 義 は 社 会 正 義 に 関 する 決 議 が 集 中 した ランベス88 とそれに 先 立 つACC 会 議 の 中 で 参 考 文 献 としてあげられている ドールはアフリカでの 司 牧 活 動 とラテンアメリカでの 調 査 を 背 景 としてこの 本 を 書 いたという ドールはこの 外 にも 宣 教 論 などについて 多 くの 本 を 書 いて いて カトリックに 限 らず 世 界 の 教 会 に 影 響 を 与 えている 彼 は 西 欧 の 神 学 者 である 自 分 が 非 西 欧 で 働 く 経 験 を 通 して 西 欧 神 学 のゆがみを 是 正 しなければならないという 発 見 をしたという その 意 味 ではアジアの 教 会 にとって 示 唆 に 富 む 指 摘 が 多 い たとえばそのひとつが 神 の 摂 理 が 宿 命 論 や 逃 避 論 になってしまうことだ 宿 命 論 は 無 責 任 さを 肯 定 する 人 間 には 何 の 責 任 はなくすべ ては 神 の 御 心 だということで 人 は 現 実 から 逃 避 する 信 仰 深 い 人 は 神 の 摂 理 を 大 事 にする 傾 向 が ある それが 自 分 を 神 に 明 け 渡 す 心 であればいいが 宿 命 論 や 逃 げの 論 理 になってはいけないと 思 う しかしドールは 現 実 から 逃 げずにしっかりと 絶 望 すること そして 神 の 介 入 を 切 に 祈 ること が 必 要 だという これが 貧 しい 人 々とともにする 祈 り である 霊 性 と 正 義 は 神 学 理 論 の 書 で はなく 実 践 的 な 手 引 きの 要 素 も 含 んでいる 開 発 教 育 教 会 の 構 造 改 革 など 実 践 的 な 側 面 につ いてもやはり 示 唆 に 富 む 指 摘 は 多 い c.f.アルバート ノーランは 宿 命 論 こそが 信 仰 の 正 反 対 の 言 葉 であり ほとんどの 人 がほとんどの 時 間 抱 いている 態 度 だという たとえば それについては 何 もできないよ 世 界 を 変 えるなん てできないさ 実 際 的 に 現 実 的 にならなければダメだよ 希 望 なんてない 陽 の 下 に 新 し いことは 何 もない 現 実 は 受 け 入 れるしかない という 言 葉 としてあらわれる そして これらは 神 の 力 をほんとうに 信 じてはいない 人 たちの 言 明 である 彼 らは 神 が 約 束 されたことを 本 当 10

に 希 望 してはいないのだ ノーラン,51 先 に 紹 介 したように ドールの 主 張 のポイントは 宗 教 道 徳 政 治 それぞれの 領 域 における... 回 心 の 重 要 性 と それぞれのバランス の 重 要 性 だ こうした 着 眼 点 はいかにもカトリック 神 学 的 だ し 実 際 彼 は 教 皇 庁 正 義 と 平 和 委 員 会 の 顧 問 も 務 めた 人 物 だ こうしたバランス 感 覚 は 多 くの 人 の 共 感 を 呼 ぶに 違 いないが どこか 歯 がゆいところがないわけでもない グティエレスは 同 じミ カ 書 6 章 を 取 り 上 げながら to act justly=to participate in creating a just society to love tenderly=responsible action to walk humbly with God=a grace-filled life ( 正 義 を 行 うこと= 公 正 な 社 会 創 造 への 参 与 慈 しみ 深 く 愛 すること= 責 任 ある 行 動 神 とともにへりくだって 歩 むこと=めぐみに 満 ちた 生 活 ) という 解 釈 を 示 しているという Brown,124 神 の 救 いの 業 に 対 する 応 答 を 生 きるとは すなわち 宗 教 的 道 徳 的 政 治 的 という 異 なった 三 つの 次 元 における 回 心 であると 受 け 止 めるドールに 対 して 公 正 な 社 会 の 創 造 に 参 与 し そこで 責 任 ある 行 動 をとって 生 きることは なんとめぐみに 満 ちたことだろうか と 一 つの 生 き 方 として 受 け 止 めるグティエレスの 霊 性 に より 魅 力 を 感 じるのは 私 だけだろうか Ⅳ. 本 田 哲 郎 社 会 活 動 の 霊 性 (スピリチュアリティ) ここで 本 田 哲 郎 の 意 見 を 改 めて 紹 介 したい カトリック 神 父 でフランシスコ 会 に 属 する 聖 書 学 者 である 本 田 は フランシスコ 会 聖 書 研 究 所 や 日 本 管 区 長 などを 経 たのち 大 阪 の 釜 ヶ 崎 で 日 雇 い 労 働 者 支 援 の 働 きを 行 いながら 聖 書 学 者 としての 発 言 を 続 けている その 中 心 的 メッセージに 触 れるためには 彼 の 新 約 聖 書 私 訳 小 さくされた 人 々のための 福 音 - 四 福 音 書 および 使 徒 言 行 録 - にあたるのが 一 番 いいが ここでは 朝 日 新 聞 の 書 評 でも 絶 賛 され いまや 一 般 読 者 をも 獲 得 した 釜 ヶ 崎 と 福 音 から 社 会 活 動 の 霊 性 (スピリチュアリティ) の 内 容 を 紹 介 する 釜 ヶ 崎 192 以 下 まず 前 提 として 本 田 は 聖 書 は 神 感 inspiration の 書 であるが それはギリシャ 語 原 典 を 読 む 場 合 にのみ 当 てはまるのであり 解 釈 の 結 果 である 翻 訳 がすべて 神 からのメッセージ とはい えないという 立 場 に 立 っている だからといって 原 典 を 読 めないと 聖 書 は 分 からないというエリー ト 主 義 ではなく 本 田 自 身 が 学 んできたことをベースに 小 さくされた 人 々のための 福 音 として 聖 書 翻 訳 をやり 直 した そこで 彼 は 原 著 者 の 言 わんとするところを 忠 実 に 訳 出 する 作 業 を 試 みたの だが その 最 重 要 なのは 翻 訳 者 が 神 の 視 点 視 座 をどれくらい 共 有 できるかだという 神 の 視 点 に 立 つとは 一 番 下 にいる 人 々を 通 して 救 いと 解 放 がもたらされることを 受 け 入 れることだ そ のことを 受 け 入 れた 上 で 聖 書 を 翻 訳 し その 視 点 から 聖 書 を 読 むならば 我 々の 日 々のなすべきこ とはおのずと 見 えてくるはずだ という 福 音,723-732 11

社 会 活 動 の 霊 性 は 南 アフリカのカトリック 神 学 者 アルバート ノーランの 講 演 を 下 敷 きに 本 田 自 身 の 経 験 を 踏 まえて 書 かれたものだのという この 中 で 本 田 は 貧 しい 人 々との 連 帯 とは.. 自 分 自 身 も 貧 しくなることではないと 主 張 する( 自 分 も 貧 しくなる というのはフランチェスコに 代 表 される 修 道 院 的 霊 性 と 言 えるだろう) そうしたところでこの 社 会 に 貧 しい 人 が 一 人 増 えるだけ だ 必 要 なのは 貧 しくされている 彼 ら 自 身 の 願 いと 判 断 と 行 動 の 選 択 に 信 頼 して その 実 現 のために 連 帯 したり 協 力 すること であり そのために 持 っているものを 捨 てるのではなく 持 っているものを 有 効 に 活 用 することこそが 重 要 だという 本 田 が 提 案 する 連 帯 へのステップは 1 痛 みの 共 感 から 救 援 活 動 へ 2 救 援 活 動 の 行 きづまりから 構 造 悪 の 認 識 へ- 怒 りの 体 験 3 社 会 的 政 治 的 行 動 へ- 構 造 悪 と 闘 う 貧 しい 人 たちの 力 4 単 純 な 貧 者 賛 美 から 真 の 連 帯 へ の 四 つだ 救 援 活 動 のなかに 善 意 にのみ 支 えられた ほどこし 分 かち 合 い 中 心 の 活 動 が 含 まれ ている 救 援 活 動 は 基 本 的 に 焼 け 石 に 水 だ これは 釜 ヶ 崎 での 16 年 間 の 体 験 が 語 らせた 言 葉 だ ろう 我 々の 霊 性 にとって 重 要 なのは 善 意 に 満 ちた 分 かち 合 い ではどうにもならない 現 実 その 現 実 の 前 に 憤 ること 怒 ること 自 分 のわがままからくる 威 圧 的 な 怒 りではなく 痛 みの 共 有 から 湧 き 上 がる 解 放 を 求 める 怒 りの 自 覚 であり この 怒 りが 社 会 正 義 を 実 践 するエネルギーだと 言 う 怒 りはしいたげられた 者 への 共 感 であり 同 時 に 富 める 者 や 権 力 者 に 回 心 (メタノイア)を 促 す 熱 い 思 いであり これが 聖 書 の 語 る キリストの 怒 り だ そして 我 々が 正 義 に 反 する 社 会 の 仕 組 みと それを 平 気 で 受 け 入 れる 自 分 たち 自 身 に 怒 りを 向 けるとき 我 々にはキリストの 思 いを 共 有 するための 道 が 開 かれる c.f.この 点 に 関 してグティエレスは 聖 書 の 中 で 貧 しさは 人 間 の 尊 厳 に 逆 らう 従 って 神 の 意 思 に 反 する 恥 ずべき 状 況 とされている と 述 べ ヘブライ 聖 書 における 困 窮 した 弱 い 身 をか がめた 哀 れなな どの 語 群 には すでに 反 抗 の 意 がほのめかされている これらのことばは 単 なる 描 写 に 留 まらず 一 つの 立 場 を 示 している この 立 場 は 貧 しさに 対 する 力 強 い 拒 絶 に おいて 明 確 にされる 貧 しさの 描 写 にただよう 雰 囲 気 は 一 種 の 義 憤 である と 述 べている TL,291 本 田 の 社 会 正 義 のための 霊 性 論 の 主 眼 は 小 さくされた 人 々 が 解 放 の 主 体 であるという 点 だ (もちろんこのことはグティエレスにとっても あるいは 韓 国 の 民 衆 神 学 にとっても 中 心 的 テーマ だ) 彼 らは 社 会 的 弱 者 だが 弱 い 立 場 に 追 いやられた 人 々であって 実 際 に 弱 い 人 間 ではない そし て 本 田 は 我 々 中 流 以 上 のキリスト 者 は 聖 職 者 を 含 め 教 える 立 場 ではなく 学 ぶ 立 場 だと 強 調 する 社 会 構 造 によって 抑 圧 されている 人 々こそ その 構 造 の 矛 盾 を 突 き 変 革 するための 洞 察 力 に 富 ん でいる そして 真 の 連 帯 のためには 我 々が 陥 りがちな 弱 者 賛 美 を 克 服 する 必 要 がある 彼 らは 神 の 国 のさきがけとして 選 ばれた 民 だが それは 彼 らが 貧 しいからであって 正 しいからではない もちろん 富 める 者 も 貧 しい 者 も 等 しく 過 ちを 犯 すが そのタイプが 違 う だから 大 切 なのは 両 者 で は 発 想 や 選 択 基 準 が 違 うということであり だから 我 々は 貧 しくされた 人 々の 感 性 に 学 ぶ 必 要 があ るのだと 機 会 があれば 釜 ヶ 崎 と 福 音 を 直 接 読 んでいただきたいが ここでは 社 会 活 動 の 霊 性 の 最 後 の 部 分 を 紹 介 する これらは 一 人 ひとりが 行 動 を 起 こし 実 践 する 中 で 体 得 していくことかもしれません ~わたし たちはみんな このプロセスのどこかにいるはずです ある 人 たちは 自 分 のずっと 先 を 歩 んでおり 12

ある 人 たちはこの 霊 性 のあゆみを 始 めたばかりかもしれません ~しかし 後 からくる 人 たちの 戸 惑 いや 疑 問 は 自 分 も 通 ってきた 道 です 理 解 できるはずです そして この 福 音 のあゆみに 伴 う 苦 し みこそ わたしたちが 霊 的 に 成 長 していくしるしであると 正 しく 評 価 することもできるはずです わ たしたちは 互 いに 非 難 したり 反 発 したりすべきではありません 福 音 による 社 会 活 動 すなわち 正 義 と 平 和 と 喜 び のために 道 を 歩 もうとするわたしたちみんなに 必 要 なことは 互 いに 受 容 し 励 ま し 支 えあうことであり このプロセスのどの 段 階 にあろうとも わたしたちが 貧 しくされている 人 たち との 関 わりを 大 事 にしているかぎり 彼 らを 通 してはたらく 同 じ 聖 霊 に 導 かれていることを 認 め 合 うこ とができるのです 信 仰 とは イエス キリストが 身 をもって 告 げた 福 音 に 信 頼 してあゆみを 起 こす ことです やってみて できたところまでが 自 分 の 信 仰 なのだと イエスは 示 唆 しているように 思 いま す 釜 ヶ 崎,228 Ⅴ. 教 会 が 行 う 正 義 の 実 践 平 和 の 実 現 一 昨 年 の 資 料 に 付 された 文 章 でもそうであったように ここでもあらためて 自 分 自 身 の 内 面 をさ らけ 出 すつもりで 戯 画 を 描 いてみたい 我 々の 教 会 には 天 皇 靖 国 憲 法 など 政 治 的 課 題 を 扱 うことに 反 対 する 意 見 がある しかしこのことを 考 える 前 に ほとんどの 場 合 教 会 がこれらの 課 題 について 行 っていることは 問 題 の 指 摘 や 反 対 意 思 の 表 明 反 対 運 動 への 連 帯 の 表 明 であって それほど 深 刻 な 政 治 活 動 ではない にもかかわらず 反 対 者 は これらの 課 題 が 教 会 の 中 に 持 ち 込 まれることに 異 を 唱 えている おそらく ある 人 は 天 皇 に 親 しみを 感 じ 天 皇 制 をよいものと 信 任 し 靖 国 神 社 の 必 要 性 を 認 識 し 場 合 によっては 国 家 護 持 を 支 持 し 自 主 憲 法 制 定 国 軍 の 創 設 さらには 核 武 装 を 願 っている そして そのような 人 々は 自 分 自 身 の 信 念 や 立 場 と 教 会 が 発 する 声 明 などとの 立 場 が 異 なることで 居 心 地 の 悪 さを 感 じている さらには 正 義 だ 平 和 だと いう 言 葉 が 教 会 内 に 登 場 するたびに 自 分 自 身 のそうした 立 場 が 教 会 によって 公 に 非 難 されている と 受 け 止 め それに 対 する 異 議 を 申 し 立 てている 自 分 もクリスチャンの 一 人 であり そういった 信 念 を 持 った 一 信 者 であり そのことを 認 めてもらわない 限 り 信 仰 生 活 を 維 持 できないと あるい は 教 会 (この 場 合 は 日 本 聖 公 会 東 京 教 区 )が 議 論 の 分 かれる 政 治 的 課 題 に 触 れることは 反 対 意 見 を 持 っている 人 々の 神 経 を 逆 なですることであって 自 分 自 身 はそれを 容 認 するとしても それ によって 教 会 の 評 判 が 落 ちてしまっては 新 たな 入 信 者 の 獲 得 ( 伝 道 )の 妨 げになることを 心 配 して いるのかもしれない 政 治 と 宗 教 については 触 れてはいけない というのはパーティートークのマナーだそうだ これ に 野 球 やサッカーの 話 題 もご 法 度 に 違 いない これらは 主 義 主 張 信 念 信 仰 贔 屓 に 関 わる 内 容 なのでどうしても 対 立 が 生 じてしまうから 社 交 的 会 話 には 不 向 きなのだ だから 自 己 紹 介 の 後 は 極 力 論 争 を 生 まない 話 題 たとえば 天 気 とか 最 近 見 た 映 画 とか 家 族 のことなどがふさわしい に 違 いない そこはお 互 いがいい 雰 囲 気 を 作 り 上 げるために 最 大 限 の 努 力 をする 場 社 交 の 場 だか らだ 教 会 内 でも 同 じことが 言 えるかもしれない 政 治 や 信 仰 をテーマに 会 話 を 交 わそうとすると 立 場 が 違 うとか 裁 いているとか せっかくのいい 雰 囲 気 が 壊 れてしまう 危 険 性 がある だからと りあえず 政 治 や 信 仰 については 牧 師 が 説 教 時 間 内 に 限 って 一 方 的 に 語 ることが 無 難 であり 信 徒 は 政 治 や 信 仰 について 語 りたい 時 には 公 にではなく 牧 師 に 向 かってのみ 語 ることが 安 全 策 だと 感 じて いる かもしれない 教 会 は 政 治 に 関 わるべきではない ここには 政 治 に 対 する 嫌 悪 感 と 誤 解 がある 嫌 悪 感 の 13

原 因 は 政 治 家 たちがろくなことをしていないからだし 誤 解 の 原 因 は 政 治 的 という 日 本 語 の 用 法 にある 三 省 堂 の 大 辞 林 では 広 義 には 諸 権 力 諸 集 団 の 間 に 生 じる 利 害 の 対 立 などを 調 整 統 合 することにもいう と 書 いてある しかし 自 分 の 利 益 を 実 現 するためにこそこそと 根 回 しをする そんな 姿 を 政 治 的 という 本 来 の 意 味 は 利 害 の 対 立 を 調 整 することらしいが どう せ 人 間 は 自 分 の 利 益 のために 立 ち 回 るのだから 政 治 的 動 きは 卑 怯 な 行 為 だという 感 じがあるに 違 い ない だから 小 学 校 で 習 ったような 民 主 主 義 的 手 続 き 意 見 の 表 明 とか それに 対 する 反 対 の 表 明 とか そういうことも 政 治 的 と 命 名 された 瞬 間 潔 くないこと 俗 っぽいこと 利 己 的 なこと 力 まかせの 暴 力 という 悪 いイメージで 塗 り 固 められてしまうのかもしれない このような 状 況 が 実 際 にあるとして そんな 中 で 正 義 平 和 人 権 をテーマに 語 ることそれ 自 体 が 闘 いのようになってしまう たとえそれがただ 単 に 総 会 決 議 を 報 告 したり 問 題 の 指 摘 をしたり 反 対 の 意 思 を 表 明 したり 何 かの 運 動 への 連 帯 を 表 明 したり 署 名 を 求 めたり 祈 りを 求 めたりす る 行 動 であっても それがなにか 特 別 で 深 刻 な 政 治 的 活 動 であるかのような 気 がしてしまう しか し 本 来 不 正 な 現 実 の 中 で 真 に 正 義 を 求 めて 闘 うということはこの 程 度 のことではなく より 深 刻 な 自 己 犠 牲 を 覚 悟 しなければならないはずだ だから 教 会 が 行 っていること 管 区 の 正 義 と 平 和 委 員 会 や 東 京 の 正 義 と 平 和 協 議 会 が 行 っていることは 正 義 と 平 和 のための 闘 いなどではなく そうし た 働 きを 紹 介 したり 課 題 に 注 意 を 喚 起 したり 連 帯 を 呼 びかける 程 度 のことに 過 ぎない もちろ ん 大 して 政 治 的 活 動 でもない 私 たちの 多 くはまだ 罪 と 闘 って 血 を 流 すまで 抵 抗 したことはない(ヘ ブライ 人 への 手 紙 12 章 4 節 ) 教 会 が 行 っている 正 義 や 平 和 に 関 する 活 動 のほとんどは 牧 会 の 領 域 に 関 わることがらだ つまり 教 会 が 直 接 社 会 変 革 のために 実 力 を 行 使 したり 法 改 正 のために 国 会 や 地 方 議 会 に 圧 力 をかけたり 投 票 行 動 に 影 響 力 を 発 揮 できるのはごく 限 られた 地 域 での 話 しだ もし 日 本 のような 社 会 において 教 会 が 正 義 や 平 和 に 関 して 実 行 力 を 発 揮 しようと 思 えば 教 会 が 社 会 的 に 一 目 置 かれている 必 要 が ある 道 徳 的 に 秀 でた 集 団 である 彼 らのいうことには 耳 を 傾 ける 必 要 がある と 世 間 が 認 めるよう な 存 在 でなければならない もしそれが 望 めないとすれば 教 会 はメンバー 一 人 一 人 が 正 義 や 平 和 を 実 現 するための 活 動 にまい 進 することを 期 待 するしかない これが 教 会 として 行 えるもっとも 有 効 な 正 義 と 平 和 に 関 わる 実 践 であり これは 牧 会 の 領 域 に 関 わることがらだ 本 田 神 父 が 言 うよう に 共 感 とボランティア 活 動 憤 り そして 具 体 的 な 政 治 活 動 と 連 帯 といったプロセスはメンバー 一 人 一 人 が 体 験 することだ しかし 教 会 は そのように 生 きるメンバーを 励 ましたり その 中 で 生 じる 徒 労 感 を 共 有 してともに 祈 ったり 教 会 としてできうるかぎりの 協 力 をすることはできるはず だ たとえば 募 金 を 集 めるとか 署 名 に 協 力 するとか ボランティアを 募 るとか 集 会 やデモへの 参 加 を 呼 びかけるとか そうすることで 共 感 の 輪 を 広 げることができるかもしれない あるいはそ のメンバーの 取 り 組 みが 間 違 った 方 向 に 進 んでいたり 愛 の 心 を 失 っているようであればそれを 回 復 するための 助 言 を 行 うことも 教 会 にできる 働 きかもしれない メンバーの 一 人 が 心 を 砕 いているものに 目 を 向 け ともに 痛 みを 分 かち 合 い ともに 祈 り 助 言 を 惜 しまないこと これはまさに 牧 者 の 務 めだろうし それが 福 音 にとって 重 要 な 正 義 や 平 和 に 関 する 働 きであるとすれば なおさら 教 会 はこのことに 力 を 注 ぐ 必 要 があるはずだ こうした 関 係 を 作 り 上 げるために 必 要 なことは 信 頼 関 係 だろう 正 義 や 平 和 のために 働 くのは 教 会 本 来 の 務 めであ り 公 正 な 社 会 の 創 造 に 参 与 し そこで 責 任 ある 行 動 をとって 生 きることは なんとめぐみに 満 ち たことだろうか とメンバー 一 人 一 人 に 語 りかけること 教 会 がなすべき 基 本 的 なことがらとして 14

の 牧 会 が 正 義 と 平 和 の 実 現 へと 結 びつくことを 確 かめておく 必 要 がある 正 義 人 権 平 和 を 主 張 する 人 は それが 正 しいことであり 教 会 にとって 大 事 にすべきことが らであることを 十 分 承 知 の 上 で 正 しく 語 ることになる しかし 正 義 や 平 和 を 求 めるその 人 自 身 が 正 しかったり 平 和 の 使 徒 だったりするとは 限 らない だから 教 会 の 中 で 正 義 や 平 和 を 語 る 際 に 少 なからず 生 じる 不 協 和 音 は 語 り 手 と 聞 き 手 双 方 に 存 在 する 誤 解 に 基 づいているかもしれない しかし 重 要 なことは 語 っていることが 正 しいかどうかではない 人 は 誰 でも 自 分 が 正 しくないこと を 承 知 しているし 心 のどこかでは 世 界 の 不 正 義 貧 困 や 犯 罪 に 胸 を 痛 め 罪 の 意 識 を 感 じている 誠 実 なキリスト 者 であればその 程 度 は 強 くなるはずだ そうであればなおさら 正 しい ことが 語 られると 自 分 が 責 められているのかもしれない という 気 分 にならないだろうか そして 語 る 側 は そうした 刺 激 を 与 えることを 承 知 の 上 でアジテーションを 行 うことはないだろうか しかし 良 心 に 訴 える 手 法 の 効 果 はあやふやだ 正 義 を 語 る 人 間 自 身 どこかで 良 心 への 訴 え を 経 験 し 回 心 へのあゆみを 始 めた 者 のひとりに 違 いない しかしその 時 の 訴 えの 真 実 さは 訴 えの 正 しさではなく 訴 える 人 その 事 件 現 場 の 真 実 さではなかっただろうか 我 々が 簡 単 にそれに 取 って 代 わることができるとは 思 えない 真 実 を 語 っているのは 我 々ではなく 貧 しくされた 人 々 小 さくされた 人 々 虐 げられた 人 々 飢 え 渇 いた 人 々だ それは 現 代 における 十 字 架 事 件 の 現 場 で あり 我 々はそれを 目 撃 し 証 言 しているに 過 ぎないのではないだろうか そして 我 々に 可 能 なこと は そうした 人 々や 事 件 と 出 会 い はらわたをつき 動 かされた のだということを 自 分 自 身 のこ とがらとして 誠 実 にへりくだって 語 ることではないかと 思 う 牧 会 という 言 葉 は 信 徒 の 世 話 をする という 意 味 では 終 わらない 人 間 を 人 間 として 大 切 にす ること 人 間 の 中 の 人 間 であったイエス キリストへの 信 仰 にふさわしい 態 度 に 違 いない 神 への 愛 は 隣 人 愛 と 切 り 離 せないものである というだけでは 十 分 ではない 神 への 愛 は 隣 人 愛 を 通 してでなければ 表 されないことを 付 け 加 えなければならない そればかりか 神 は 隣 人 の 内 にあっ て 愛 されるのである LT,206 ヨハネの 手 紙 を 下 敷 きにしたグティエレスのこの 言 葉 を 文 字 通 り 受 け 止 めるならば これまで 多 くの 場 合 教 会 は 神 の 愛 し 方 を 誤 ってきたことを 反 省 しなければな らないかもしれない 霊 性 という 言 葉 の 本 義 は 全 体 的 holistic ということだ 政 治 的 経 済 的 宗 教 的 などすべての 次 元 をまとめた 状 態 について 注 意 を 喚 起 しようということが 霊 性 という 言 葉 を 使 うことの 本 当 の 意 味 だろう 修 道 院 や 祈 りの 集 い 宗 教 的 に 美 的 に 研 ぎ 澄 まされた 場 面 だけが 霊 的 なのではな い 我 々が 自 分 自 身 と 隣 人 とを 能 力 や 用 途 ごとの 部 品 単 位 で 切 り 刻 むことなく 全 体 として 受 け 止 めてみようと 思 うセンスそのものが 霊 的 であり 何 より 自 分 自 身 が 大 地 に 深 く 根 をおろしている 感 覚 を 自 覚 し そこから 被 造 物 の 尊 厳 を 感 知 する 営 みが 霊 的 なことだと 思 う 我 々の 理 想 は 正 義 を 行 い 慈 しみを 愛 し へりくだって 神 と 共 に 歩 む ことだ そして 公 正 な 社 会 の 創 造 に 参 与 し そこで 責 任 ある 行 動 をとって 生 きることは なんとめぐみに 満 ちたことだろうか と 心 底 実 感 し そのことを 分 かち 合 える 仲 間 をひとりでも 多 く 見 出 したい 参 考 文 献 ドナル ドール 時 代 が 求 めるキリスト 者 の 生 き 方 (イエズス 会 社 会 司 牧 センター 訳 女 子 パウロ 会 1989 15

年 )( 原 題 :Spirituality and Justice) Dorr グスタボ グティエレス 解 放 の 神 学 ( 関 望 山 田 経 三 訳 岩 波 書 店 1985 年 ) TL グスタボ グティエレス 解 放 の 地 平 を 目 指 して (カトリック 正 義 と 平 和 協 議 会 訳 新 教 出 版 社 1985 年 )( 英 題 :We drink from our own wells) Well 本 田 哲 郎 小 さくされた 人 々のための 福 音 ( 新 世 社 2001 年 ) 福 音 本 田 哲 郎 釜 ヶ 崎 と 福 音 ( 岩 波 書 店 2006 年 ) 釜 ヶ 崎 R.M.Brown, Spirituality and Liberation, Overcoming the great fallacy, The Westminster press, 1988. Brown アルバート ノーラン キリスト 教 以 前 のイエス ( 篠 崎 榮 訳 新 世 社 1994 年 ) ノーラン 16