とくに 抗 Xa 薬 やダビガトランは 臨 床 応 用 が 始 まってからまだ 日 が 浅 く 服 薬 患 者 へのアルテプラ ーゼ 静 注 療 法 の 有 効 性 と 安 全 性 は 確 立 していないので 治 療 の 適 否 を 慎 重 に 判 断 せねばならない 上 述 したように PT-INR や aptt が 一 定 の 範 囲 を 超 えないことを 確 認 する 必 要 がある しかしながら こ れらの 新 規 抗 凝 固 薬 の 最 大 血 中 濃 度 到 達 時 間 は 1~4 時 間 で[68] 服 薬 直 後 は PT-INR や aptt が 正 常 範 囲 を 示 すことが 多 いので 治 療 適 応 を 判 断 する 際 には 服 薬 の 有 無 や 最 終 服 薬 時 刻 を 確 認 する 必 要 があ る また 半 減 期 が 12 時 間 前 後 であることを 考 えれば 定 期 的 に 内 服 している 患 者 での 最 終 服 薬 後 半 日 程 度 までは アルテプラーゼ 静 注 療 法 の 有 効 性 が 危 険 性 を 上 回 るかをとくに 慎 重 に 判 断 すべきである 新 規 抗 凝 固 薬 における 適 応 基 準 については 今 後 の 研 究 の 進 展 とともに 早 期 に 改 変 される 可 能 性 が 高 い (6) 発 症 後 3~4.5 時 間 に 投 与 開 始 する 場 合 の 注 意 点 : この 時 間 帯 に 投 与 開 始 した 場 合 3 時 間 以 内 の 投 与 開 始 例 よりも 良 好 な 転 帰 が 得 られ 難 く 症 候 性 頭 蓋 内 出 血 の 危 険 性 が 高 まる [28,31] したがって 発 症 3 時 間 超 4.5 時 間 以 内 の 虚 血 性 脳 血 管 障 害 患 者 に 対 する rt-pa(アルテプラーゼ) 静 注 療 法 の 適 正 な 施 行 に 関 する 緊 急 声 明 に 記 されたように 慎 重 投 与 のうちとくに 81 歳 以 上 脳 梗 塞 既 往 に 糖 尿 病 を 合 併 NIHSS 値 26 以 上 経 口 抗 凝 固 薬 投 与 中 に 該 当 する 場 合 は, 適 応 の 可 否 をより 慎 重 に 検 討 する 必 要 がある[35] これは この 時 間 帯 の 治 療 開 始 の 有 効 性 を 証 明 した 欧 州 ECASS Ⅲ [9]での 適 応 基 準 や 欧 州 (ドイツ)のアルテプラーゼ 添 付 文 書 の 記 載 に 準 じたものである このうち 脳 梗 塞 既 往 と 糖 尿 病 の 合 併 については 2010 年 のカロリン スカ 脳 卒 中 会 議 で 欧 州 基 準 の 緩 和 が 提 言 され[49] SAMURAI rt-paregistry の 事 後 解 析 でも 発 症 後 3 時 間 以 内 の 患 者 における 治 療 成 績 への 悪 影 響 は 示 されなかった[51] しかしながら 国 内 では 発 症 後 3 時 間 以 降 の 患 者 への 治 療 経 験 がなく 治 療 実 績 が 集 積 されるまでは 慎 重 に 適 応 を 判 断 すべきである 4. 治 療 を 行 う 施 設 ( 推 奨 ) 11. CT または MRI 検 査 が 24 時 間 実 施 可 能 で 集 中 治 療 のために 十 分 な 人 員 ( 日 本 脳 卒 中 学 会 専 門 医 などを 中 心 とする 診 療 チーム) 及 び 設 備 (ストロークケアユニットまたはそれに 準 ずる 設 備 )を 有 し 脳 神 経 的 処 置 がに 行 える 体 制 が 備 されている 施 設 で ア ルテプラーゼ 静 注 療 法 を 行 う エビデンスレベル Ia, 推 奨 グレード A アルテプラーゼ 静 注 療 法 は 発 症 から 4.5 時 間 以 内 に 治 療 を 開 始 しなければならない したがって 受 け 入 れ 施 設 も 24 時 間 体 制 で 患 者 の 緊 急 受 診 に 備 えなければならない そのため 脳 卒 中 専 門 医 療 従 事 者 が 配 置 され ストロークケアユニット(stroke care unit: SCU)などの 専 用 の 病 棟 を 有 し かつ 脳 卒 中 の 診 断 に 必 要 な 検 査 や 画 像 診 断 機 器 が 24 時 間 稼 働 していることが 望 ましい 日 本 脳 卒 中 学 会 では アルテプラーゼ 静 注 療 法 の 実 施 施 設 要 件 として 表 4 に 記 した 4 項 目 をすべて 満 たすことを 提 唱 してい る 表 4. 日 本 脳 卒 中 学 会 医 療 向 上 社 会 保 険 委 員 会 が 提 案 するアルテプラーゼ 静 注 療 法 の 施 設 基 準 1. CT または MRI 検 査 が 24 時 間 実 施 可 能 であること 2. 集 中 治 療 のため 十 分 な 人 員 ( 日 本 脳 卒 中 学 会 専 門 医 などの 急 性 期 脳 卒 中 に 対 する 十 分 な 知 識 と 経 験 を 持 つ 医 師 を 中 心 とする 診 療 チーム) 及 び 設 備 [ストロークケアユニット(SCU)ま たはそれに 準 ずる 設 備 ]を 有 すること 3. 脳 神 経 的 処 置 がに 行 える 体 制 が 備 されていること ( 病 院 間 で 適 切 な 契 約 または 約 束 が 出 来 ている 条 件 のもとであれば 必 ずしも 院 内 で 処 置 が 行 えなくとも 良 い) 4. 実 施 担 当 医 が 日 本 脳 卒 中 学 会 の 承 認 する 本 薬 使 用 のための 講 習 会 を 受 講 し その 証 明 を 取 得 すること (ただし 発 症 24 時 間 以 内 の 急 性 期 脳 梗 塞 をたとえば 年 間 50 例 程 度 の 多 数 例 を 診 療 している 施 設 の 実 施 担 当 医 については 本 薬 使 用 前 の 講 習 会 の 受 講 を 必 須 とはしないが できるだけ 早 期 に 受 講 することが 望 ましい) - 11 -