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16 日本学生支援機構

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別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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3 避 難 状 況 避 難 指 示 避 難 勧 告 都 道 府 県 名 市 区 町 村 名 指 示 日 時 勧 告 日 時 青 森 県 岩 手 県 山 形 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 鰺 ヶ 沢 町 月 16 日 12 時 55 分 10 月 22 日 10 時 00 分

 

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Microsoft Word - 表紙(正)

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1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

第 節 ○○計画

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現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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表紙(第1巻)

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

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(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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対 象 外 区 域 以 下 の 区 域 は 原 則 として 策 定 区 域 に 含 めないこと (1) 農 業 振 興 地 域 の 整 備 に 関 する 法 律 に 規 定 する 農 用 地 区 域 (2) 優 良 農 地 ( 一 団 のまとまりのある 農 地 や 農 業 水 利 施 設 の 整 備

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技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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第 1 編 地 震 災 害 の 被 害 想 定

1. 調 査 概 要 1.1 前 提 条 件 表 1.1.1 に 示 すように 内 閣 府 ( 南 海 トラフ 2013)および 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)と 同 様 に 想 定 される 被 害 が 異 なる 3 種 類 の 特 徴 的 な 季 節 時 間 帯 を 設 定 する また 火 災 による 建 物 被 害 や 人 的 被 害 は 風 速 により 異 なるため 平 均 的 な 風 速 条 件 とし て 風 速 5.1m/s( 冬 ) 及 び 4.0m/s( 夏 ) 強 風 条 件 として 風 速 8.0m/s の 2 ケースについて 被 害 想 定 を 行 う 表 1.1.1 想 定 する 季 節 時 間 帯 季 節 時 間 帯 冬 深 夜 夏 12 時 冬 18 時 想 定 される 被 害 の 特 徴 多 くが 自 宅 で 就 寝 中 に 被 災 するため 家 屋 倒 壊 による 死 者 が 発 生 する 危 険 性 が 高 く また 水 害 からの 避 難 が 遅 れることにもなる オフィス 繁 華 街 等 に 多 数 の 滞 留 者 が 集 中 しており 自 宅 外 で 被 災 する 場 合 が 多 い 木 造 建 物 内 滞 留 人 口 は 1 日 の 中 で 少 ない 時 間 帯 であり 老 朽 木 造 建 物 の 倒 壊 による 死 者 数 は 冬 深 夜 と 比 較 して 少 ない 住 宅 飲 食 店 などで 火 気 使 用 が 最 も 多 い 時 間 帯 で 出 火 件 数 が 最 も 多 くなる オフィスや 繁 華 街 周 辺 のほか ターミナル 駅 にも 滞 留 者 が 多 数 存 在 する 鉄 道 道 路 もほぼ 帰 宅 ラッシュに 近 い 状 況 でもあり 交 通 被 害 による 人 的 被 害 や 交 通 機 能 支 障 による 影 響 が 大 きい 地 震 動 や 建 物 被 害 の 想 定 単 位 は 原 則 として 約 50m 50mメッシュ( 基 準 地 域 メッシ ュ 第 3 次 地 域 区 画 )を 20 20 分 割 した 大 きさ 以 降 50mメッシュ という )とし 調 査 項 目 によっては 区 町 丁 字 等 の 行 政 区 単 位 等 とする なお 津 波 浸 水 については 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 において 荒 川 等 を 遡 上 してくるもの の 堤 防 を 越 えてはいないので 建 物 被 害 等 は 生 じないと 考 えられる -1-1-1

1.2 調 査 項 目 表 1.2.1 に 被 害 想 定 項 目 と 想 定 内 容 を 示 す 表 1.2.1 さいたま 市 被 害 想 定 調 査 における 想 定 項 目 と 想 定 内 容 [1/2] 想 定 項 目 種 別 被 害 項 目 想 定 内 容 想 定 手 法 震 度 最 大 速 度 SI 基 盤 地 震 動 は 埼 玉 県 による 250mメッシュ 値 を 用 い 地 震 動 地 表 面 地 震 動 値 最 大 加 速 度 る(さいたま 市 直 下 地 震 は 距 離 減 衰 式 より 算 出 ) 表 層 の 増 幅 特 性 は 深 さ 30mまでの 平 均 S 波 速 度 と 増 幅 度 の 関 係 より 算 出 地 盤 液 状 化 液 状 化 危 険 度 FL 法 PL 法 急 傾 斜 地 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 急 傾 斜 地 潜 在 危 険 度 ランクと 震 度 階 による 判 定 揺 れ 全 壊 棟 数 半 壊 棟 数 測 震 度 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 棟 数 を 算 出 建 物 液 状 化 全 壊 棟 数 大 規 模 半 壊 棟 液 状 化 危 険 度 (PL 値 )と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 棟 数 を 数 半 壊 棟 数 算 出 急 傾 斜 地 崩 壊 全 壊 棟 数 半 壊 棟 数 震 度 階 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 棟 数 を 算 出 全 出 火 件 数 炎 上 出 火 件 震 度 階 建 物 用 途 と 出 火 率 の 関 係 から 全 出 火 件 数 を 算 数 残 出 火 件 数 出 出 火 地 震 初 期 消 火 を 踏 まえた 炎 上 出 火 件 数 の 算 出 火 災 消 防 力 運 用 による 消 火 を 踏 まえた 残 火 災 件 数 の 算 出 延 焼 焼 失 棟 数 残 火 災 件 数 に 基 づく 焼 失 確 率 と 延 焼 クラスターにより 焼 失 棟 数 を 算 出 揺 れ* 死 者 数 負 傷 者 数 重 傷 建 物 全 壊 半 壊 棟 数 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データ 者 数 から 死 傷 者 数 を 算 出 急 傾 斜 地 * 死 者 数 負 傷 者 数 重 傷 建 物 全 壊 棟 数 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データから 者 数 死 傷 者 数 を 算 出 火 災 死 者 数 負 傷 者 数 重 傷 者 数 出 火 家 屋 内 からの 逃 げ 遅 れ 家 屋 内 の 救 出 困 難 者 延 焼 拡 大 時 の 逃 げまどいにおける 人 的 被 害 率 から 死 傷 者 数 を 算 出 人 屋 外 転 倒 物 屋 外 落 下 物 * 塀 自 動 販 売 機 の 転 倒 数 屋 外 落 下 物 発 生 建 物 棟 数 死 者 数 負 傷 者 数 重 傷 者 数 最 大 加 速 度 と 被 害 率 の 関 係 から 転 倒 塀 数 を 算 出 震 度 階 と 被 害 率 の 関 係 から 転 倒 自 動 販 売 機 数 を 算 出 震 度 階 最 大 加 速 度 と 落 下 率 の 関 係 から 落 下 物 発 生 棟 数 を 算 出 屋 外 転 倒 物 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データから 死 傷 者 数 を 算 出 屋 外 落 下 物 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データから 死 傷 者 数 を 算 出 屋 内 転 倒 物 屋 内 落 下 物 * 死 者 数 負 傷 者 数 重 傷 者 数 屋 内 転 倒 物 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データから 死 傷 者 数 を 算 出 屋 内 落 下 物 における 人 的 被 害 率 と 人 口 データから 死 傷 者 数 を 算 出 自 力 脱 出 困 難 者 * 要 救 助 者 数 揺 れによる 建 物 全 壊 率 による 自 力 脱 出 困 難 者 発 生 率 と 人 口 データから 要 救 助 者 数 を 算 出 : 季 節 時 間 帯 と 風 速 が 影 響 する 項 目 *: 季 節 時 間 帯 が 影 響 する 項 目 -2-1-2

表 1.2.1 さいたま 市 被 害 想 定 調 査 における 想 定 項 目 と 想 定 内 容 [2/2] 想 定 項 目 種 別 被 害 項 目 想 定 内 容 想 定 手 法 上 水 道 管 路 被 害 箇 所 数 断 水 率 断 水 人 口 最 大 速 度 と 管 路 被 害 率 の 関 係 式 補 正 係 数 ( 管 種 管 径 地 形 液 状 化 )から 被 害 箇 所 数 を 算 出 被 害 率 と 断 水 率 の 関 係 式 から 断 水 人 口 を 算 出 下 水 道 管 路 被 害 箇 延 長 被 害 率 機 能 支 障 人 口 震 度 階 液 状 化 危 険 度 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 延 長 を 算 出 被 害 率 から 機 能 支 障 人 口 を 算 出 ライフ 電 柱 被 害 本 数 停 電 軒 数 震 度 階 と 揺 れによる 電 柱 折 損 率 から 被 害 本 数 を 算 出 ライン 電 力 火 災 延 焼 に 伴 う 被 害 本 数 を 算 出 電 柱 被 害 本 数 から 停 電 軒 数 を 算 出 通 信 電 柱 被 害 本 数 不 通 回 線 数 震 度 階 と 揺 れによる 電 柱 折 損 率 から 被 害 本 数 を 算 出 火 災 延 焼 に 伴 う 被 害 本 数 を 算 出 電 柱 被 害 本 数 から 不 通 回 線 数 を 算 出 都 市 ガス 供 給 停 止 需 要 家 件 数 SI 値 に 基 づく 供 給 停 止 判 断 に 基 づき 供 給 停 止 需 要 家 件 数 を 想 定 道 路 緊 急 輸 送 道 路 の 被 害 箇 所 震 度 階 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 箇 所 を 算 出 数 緊 急 輸 送 道 路 の 橋 梁 の 被 基 準 類 と 震 度 階 関 係 から 被 害 箇 所 数 を 算 出 道 路 橋 交 通 害 箇 所 数 道 路 閉 塞 道 路 リンク 閉 塞 率 建 物 被 災 率 より 算 出 される 道 路 幅 員 別 リンク 閉 塞 率 に 基 づきメッシュ 別 道 路 リンク 閉 塞 率 を 算 出 鉄 道 被 害 箇 所 数 震 度 階 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 箇 所 数 を 算 出 避 難 者 避 難 者 数 避 難 所 生 活 者 建 物 被 害 と 断 水 の 影 響 を 受 ける 人 を 算 出 数 災 害 時 要 援 護 避 難 所 に 避 難 する 災 害 時 避 難 者 数 と 災 害 時 要 援 護 者 数 の 人 口 比 率 から 算 出 者 要 援 護 者 数 帰 宅 困 難 者 帰 宅 困 難 者 数 ( 季 節 に 関 係 なく 平 日 の 12 時 ) 滞 留 場 所 と 自 宅 までの 距 離 に 応 じた 避 難 困 難 率 とパー ソントリップ 調 査 結 果 から 最 も 多 くなる 時 間 帯 の 帰 生 活 支 宅 困 難 者 数 を 算 出 障 等 物 資 物 資 需 要 量 避 難 者 数 に 基 づく 需 要 量 医 療 機 能 不 足 病 床 数 重 傷 者 に 基 づく 必 要 量 と 空 床 数 の 差 支 障 災 害 廃 棄 物 災 害 廃 棄 物 量 平 均 床 面 積 と 換 算 原 単 位 から 算 出 危 険 物 施 設 火 災 流 出 破 損 箇 所 数 震 度 階 施 設 種 別 と 被 害 率 の 関 係 から 被 害 箇 所 数 を 算 出 経 済 被 害 直 接 経 済 被 害 額 被 害 数 量 と 換 算 原 単 位 から 算 出 床 上 床 下 浸 水 建 物 棟 浸 水 想 定 区 域 図 と 建 物 データから 算 出 浸 水 建 物 数 建 物 被 害 棟 数 建 物 被 害 額 水 害 避 難 者 数 洪 水 時 不 足 収 浸 水 想 定 区 域 図 と 人 口 データから 算 出 浸 水 人 口 容 人 員 数 土 砂 災 害 急 傾 斜 地 大 規 模 宅 地 造 浸 水 想 定 区 域 図 と 急 傾 斜 地 大 規 模 宅 地 造 成 地 データ 成 地 から 定 性 的 に 評 価 災 害 シナリオ 地 震 災 害 水 害 について 時 系 列 で 災 害 対 応 シナリオを 記 述 複 合 災 害 地 震 発 生 後 に 暴 風 集 中 豪 雨 洪 水 等 が 発 生 した 場 合 について 定 性 的 に 記 述 : 季 節 時 間 帯 と 風 速 が 影 響 する 項 目 *: 季 節 時 間 帯 が 影 響 する 項 目 -3-1-3

1.3 調 査 結 果 の 概 要 表 1.3.1に 被 害 想 定 結 果 の 一 覧 を 示 す この 表 は 強 風 時 において 物 的 人 的 被 害 の 合 が 最 大 となる 冬 の18 時 に 地 震 が 発 生 した 条 件 での 値 を 示 している この 季 節 時 間 帯 は 火 災 による 被 害 が 最 大 になるためである ただし 帰 宅 困 難 者 は 通 勤 通 学 買 い 物 観 光 等 で 市 外 から 流 入 する 人 口 が 多 い 季 節 に 関 係 なく 平 日 の12 時 に 発 生 した 条 件 での 値 である なお 焼 失 棟 数 は 季 節 時 間 帯 風 速 の 条 件 で 大 きく 異 なり さいたま 市 直 下 地 震 で は 冬 深 夜 強 風 時 は16,000 棟 夏 12 時 平 均 風 速 時 は6,100 棟 と 想 定 される 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 では 冬 深 夜 強 風 時 は2,600 棟 夏 12 時 平 均 風 速 時 は1,300 棟 と 想 定 される 東 京 湾 北 部 地 震 では 冬 深 夜 強 風 時 は140 棟 夏 12 時 平 均 風 速 時 は20 棟 と 想 定 される 表 1.3.1 さいたま 市 地 震 被 害 想 定 調 査 結 果 一 覧 ( 冬 18 時 強 風 時 ) 種 別 被 害 項 目 被 害 単 位 さいたま 市 直 下 地 震 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 東 京 湾 北 部 地 震 地 盤 急 傾 斜 地 崩 危 険 性 が 高 い 急 傾 斜 地 壊 [ 箇 所 ] 16 16 16 揺 れ 全 壊 棟 数 [ 棟 ] 17,300 7,780 1,310 半 壊 棟 数 [ 棟 ] 48,400 32,000 10,300 建 物 液 状 化 全 壊 棟 数 [ 棟 ] 203 112 223 半 壊 棟 数 [ 棟 ]* 6,040 3,560 7,660 急 傾 斜 地 崩 全 壊 棟 数 [ 棟 ] 2 1 1 壊 半 壊 棟 数 [ 棟 ] 4 3 2 火 災 出 火 炎 上 出 火 件 数 [ 件 ] 101 41 18 ( 冬 18 時 ) 延 焼 焼 失 棟 数 [ 棟 ] 44,900 17,300 1,760 死 者 [ 人 ] 2,040 692 99 人 負 傷 者 [ 人 ] 8,150 4,620 1,270 重 傷 者 [ 人 ] 1,400 631 134 ライフ ライン 交 通 生 活 支 障 等 上 水 道 断 水 人 口 (1 日 後 ) 265,000 138,000 69,900 下 水 道 機 能 支 障 人 口 (1 日 後 ) 57,300 38,100 25,600 電 力 停 電 軒 数 (1 日 後 ) 107,000 43,500 8,670 通 信 不 通 回 線 数 (1 日 後 ) 95,500 41,100 6,910 都 市 ガス 供 給 停 止 件 数 ( 直 後 ) 257,000 54,200 0 道 路 緊 急 輸 送 道 路 被 害 箇 所 数 46 45 37 橋 梁 被 害 箇 所 数 2 1 0 鉄 道 被 害 箇 所 数 227 193 134 避 難 者 直 後 1 日 後 [ 人 ] 204,000 83,700 17,800 避 難 者 ( 内 避 難 所 生 活 者 ) (123,000) (50,200) (10,700) 避 難 者 1 ヶ 月 後 [ 人 ] 204,000 83,700 17,800 ( 内 避 難 所 生 活 者 ) (61,300) (25,100) (5,350) 帰 宅 困 難 者 人 ( 平 日 12 時 ) 116,000~141,000 災 害 廃 棄 物 発 生 量 [ 万 m 3 ] 679 279 44 経 済 被 害 直 接 経 済 被 害 額 [ 兆 円 ] 3.88 1.94 0.66 * 液 状 化 による 半 壊 棟 数 は 大 規 模 半 壊 を 含 めている -4-1-4

2. 地 震 動 の 想 定 2.1 想 定 地 震 さいたま 市 の 防 災 対 策 を 検 討 する 上 で 想 定 すべき 地 震 を 選 定 する 歴 史 的 な 被 害 地 震 については 埼 玉 県 内 に 大 きな 被 害 を 与 えた 地 震 としては 818 年 の 関 東 諸 国 の 地 震 1855 年 の 安 政 江 戸 地 震 1894 年 の 東 京 湾 北 部 の 地 震 1923 年 の 関 東 地 震 1931 年 の 西 埼 玉 地 震 があげられる 国 や 埼 玉 県 の 想 定 では これらの 過 去 の 活 動 や 活 断 層 の 状 況 等 を 踏 まえて 想 定 地 震 を 選 定 している 前 回 のさいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 の 際 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 検 討 会 の 想 定 (2004) 1 を 受 けて 実 施 された 埼 玉 県 平 成 19 年 度 被 害 想 定 調 査 を 踏 まえている 県 や 国 との 想 定 条 件 の 整 合 性 を 保 ち 円 滑 に 連 携 するために 本 想 定 でも 埼 玉 県 内 閣 府 の 想 定 を 踏 まえた 上 で さいたま 市 への 影 響 が 大 きい 地 震 を 想 定 地 震 とする 一 方 で 前 回 同 様 に さいたま 市 直 下 地 震 がさいたま 市 への 影 響 が 最 も 大 きい 地 震 となるよ うであれば これについては 独 自 に 想 定 することが 防 災 対 策 上 必 要 となる 以 下 に さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)の 概 要 を 記 す 2.1.1 さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 では 下 記 の2 地 震 を 対 象 としている 図 2.1.1に 位 置 を 示 す 1さいたま 市 直 下 地 震 (M=6.9) 2 東 京 湾 北 部 地 震 (M=7.3) 地 震 被 害 想 定 では 地 震 規 模 (マグニチュード)を 表 す 指 標 として 気 象 庁 マグニチュー ド モーメントマグニチュードと 異 なるマグニチュードが 用 いられる 以 下 本 報 告 書 では 気 象 庁 マグニチュードは 単 にM モーメントマグニチュードはM w と 記 す 1は 平 成 17 年 度 さいたま 市 被 害 想 定 調 査 で 想 定 した 地 震 である 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 検 討 会 (2004) 1 は 首 都 直 下 ではM7クラスの 地 震 はどこででも 発 生 する 可 能 性 があることから 中 核 都 市 直 下 の 地 震 を 想 定 している その 中 で さいたま 市 直 下 で 発 生 する 地 震 を 想 定 したものである 地 震 動 については さいたま 市 独 自 に 距 離 減 衰 式 を 用 い て 算 定 している 2は 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 検 討 会 (2004) 1 で 想 定 され 首 都 直 下 地 震 対 策 大 綱 で 中 心 となる 地 震 と 位 置 づけられたことから さいたま 市 でも 想 定 地 震 としたものであ る 地 震 動 については 埼 玉 県 平 成 19 年 度 想 定 による 結 果 を 用 いている 1 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 専 門 調 査 会 地 震 ワーキンググループ 報 告 書 2004 年 1-5

図 2.1.1 さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 での 想 定 地 震 ( 出 典 : 平 成 21 年 度 さいたま 市 被 害 想 定 調 査 報 告 書 ) 2.1.2 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 埼 玉 県 は 平 成 19 年 度 に 想 定 した 地 震 被 害 想 定 の 見 直 しを 平 成 24 年 度 から 検 討 し 平 成 25 年 11 月 に 結 果 を 公 表 している 下 記 に 示 すように 東 日 本 大 震 災 における 教 訓 を 踏 まえ 首 都 直 下 地 震 に 係 る 社 会 状 況 の 変 化 が 背 景 にある 平 成 23 年 3 月 11 日 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 では 従 来 の 想 定 をはるかに 超 える 規 模 の 地 震 と 津 波 が 発 生 し 広 大 なエリアで 甚 大 な 被 害 が 生 じた 文 部 科 学 省 首 都 直 下 地 震 防 災 減 災 特 別 プロジェクトにより フィリピン 海 プレート 上 面 の 地 震 の 震 源 に 係 る 最 新 の 科 学 的 知 見 が 示 された これまで 地 震 発 生 の 確 実 性 が 低 いことから 対 象 としなかった 歴 史 地 震 や 内 陸 県 で あるため 被 害 想 定 してこなかった 津 波 についても 考 慮 する 必 要 が 生 じた このような 背 景 を 踏 まえ 以 下 の 5 地 震 を 想 定 している それぞれの 震 源 域 を 図 2.1.2 に 示 す 1-6

1 東 京 湾 北 部 地 震 (M=7.3) 2 茨 城 県 南 部 地 震 (M=7.3) 3 立 川 断 層 帯 による 地 震 (M=7.4) 4 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 (M=8.1) 5 元 禄 型 関 東 地 震 (M=8.2) 1と2は 埼 玉 県 平 成 19 年 度 想 定 と 同 様 に フィリピン 海 プレート 上 面 の 地 震 で 規 模 も 同 じ であるが 文 部 科 学 省 首 都 直 下 地 震 防 災 減 災 特 別 プロジェクトにより フィリピン 海 プレ ート 上 面 の 深 さが 従 来 考 えられていたより 平 均 的 に 10km 程 度 浅 いことが 指 摘 されたことを 受 け 断 層 面 を 浅 くしている 3の 地 震 も 前 回 想 定 と 同 じであるが 震 源 条 件 の 見 直 しが 行 われている 4の 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 については 埼 玉 県 平 成 19 年 度 想 定 では 深 谷 断 層 と 綾 瀬 川 断 層 に 分 けて 別 々に 活 動 する 想 定 としていたが 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 の 長 期 評 価 では 同 時 に 動 く 可 能 性 もあるとしているので 最 大 級 の 地 震 として 同 時 に 活 動 する 条 件 で 想 定 している 破 壊 開 始 点 について 北 中 央 南 の 3 通 りを 考 慮 している 5の 元 禄 型 関 東 地 震 は 前 回 の 想 定 では 発 生 確 率 が 低 いものとして 除 外 されていた 相 模 トラフ 沿 いの M8 クラスの 地 震 のうち 房 総 半 島 沖 まで 震 源 域 が 拡 がる 元 禄 型 関 東 地 震 を 最 大 級 の 地 震 として 想 定 している 図 2.1.2 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 における 想 定 地 震 の 位 置 ( 出 典 : 埼 玉 県 地 震 被 害 想 定 調 査 について- 地 震 動 の 推 結 果 - ) 1-7

2.1.3 内 閣 府 平 成 25 年 度 首 都 直 下 地 震 想 定 首 都 地 域 の 地 震 防 災 対 策 については 中 央 防 災 会 議 首 都 直 下 地 震 対 策 専 門 調 査 会 にお いて 2004 年 11 月 に 検 討 対 象 とする 地 震 及 びその 震 度 分 布 津 波 高 等 がとりまとめられ 1 そ の 後 中 央 防 災 会 議 において 2005 年 9 月 に 首 都 直 下 地 震 対 策 大 綱 が 策 定 されている 今 回 2011 年 東 日 本 大 震 災 を 契 機 に 前 回 は 想 定 対 象 としなかった 関 東 大 地 震 クラスの 地 震 を 検 討 対 象 とし さらに 最 新 の 科 学 的 知 見 を 踏 まえることとして 2012 年 5 月 に 内 閣 府 に 首 都 直 下 地 震 モデル 検 討 会 が 設 置 され 見 直 している 前 回 想 定 とは 特 に 下 記 の 点 で 大 きく 異 なる 1 東 京 湾 北 部 地 震 及 び 多 摩 地 震 を 対 象 から 除 外 2 首 都 直 下 の M7 クラスの 地 震 規 模 の 見 直 し 3 相 模 トラフ 沿 いの M8 クラスの 地 震 を 想 定 1は 東 京 湾 北 部 地 震 及 び 多 摩 地 震 を 想 定 した 領 域 は 大 正 関 東 地 震 の 断 層 すべりにより 既 に 応 力 が 解 放 された 領 域 にあると 推 定 されることから 対 象 から 除 外 されている 2は 地 表 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 として 想 定 する 地 震 の 規 模 を 大 きくしている 地 殻 内 で 発 生 する 地 震 については ある 程 度 規 模 が 大 きくなると 地 表 で 活 断 層 が 認 められる 可 能 性 が 高 くなるが 規 模 が 小 さくなると 必 ずしも 地 表 で 活 断 層 が 認 められるとは 限 らなくなる 防 災 対 策 上 このような 地 表 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 の 規 模 の 上 限 を 想 定 する 考 え 方 であるが 2004 年 の 想 定 では M=6.9 M w =6.6 として 想 定 していた 近 年 発 生 した 地 震 で 地 震 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 で 規 模 が 大 きなものとして 2008 年 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 (M=7.2 M w =7.0) 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 (M=7.3 M w =6.8)がある 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 については 繰 り 返 し 発 生 による 変 位 の 累 積 を 示 す 証 拠 が 確 認 されたとの 報 告 があり 鳥 取 県 西 部 地 震 については そのような 繰 返 し 発 生 を 示 す 変 位 の 証 拠 は 認 めら れていない すなわち 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 は 事 前 に 活 断 層 として 抽 出 できていなかった ものの 本 来 は 地 表 断 層 として 想 定 可 能 な 地 震 であったのに 対 し 鳥 取 県 西 部 地 震 はまさに 地 表 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 の 最 大 級 の 地 震 と 考 えられるとしている そのようなことから 地 表 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 の 規 模 の 上 限 を M w =6.8 と 大 きくしている さいたま 市 直 下 地 震 についても M w =6.8 として 想 定 されており 図 2.1.3 に 震 度 分 布 を 示 す 一 部 で 震 度 7 も 生 じる 大 きな 揺 れとなっている 1-8

図 2.1.3 さいたま 市 直 下 地 震 における 震 度 分 布 ( 出 典 : 内 閣 府 首 都 直 下 地 震 モデル 検 討 会 報 告 書 (2013)) 2.1.4 想 定 地 震 の 選 定 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 では 下 記 の5 地 震 を 対 象 としている さいたま 市 で 震 度 6 強 となる 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 東 京 湾 北 部 地 震 で 揺 れによる 建 物 全 壊 棟 数 も 他 の 地 震 より 明 らかに 大 きいので この2 地 震 を 想 定 地 震 とする また さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 における さいたま 市 直 下 地 震 では 広 く 震 度 6 強 が 分 布 しているので これを 加 えた3 地 震 を 想 定 地 震 と する 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 については 3ケースで 算 されているので 揺 れによる 建 物 全 壊 棟 数 の 欄 では その 最 小 と 最 大 を 示 している 想 定 地 震 の 選 定 理 由 と 想 定 条 件 等 について 以 下 に 記 す 1-9

表 2.1.1 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 における 想 定 地 震 と 揺 れ 被 害 想 定 地 震 地 震 規 模 (M) さいたま 市 揺 れによる 建 物 内 最 大 震 度 全 壊 棟 数 海 溝 型 地 震 東 京 湾 北 部 地 震 7.3 6 強 268 茨 城 県 南 部 地 震 7.3 6 弱 18 元 禄 型 関 東 地 震 8.2 6 弱 1 活 断 層 型 地 震 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 8.1 6 強 1460~1774 立 川 断 層 帯 地 震 7.4 6 弱 1 (1)さいたま 市 直 下 地 震 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 や 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)の 各 地 震 の 想 定 結 果 を 踏 まえると さい たま 市 での 揺 れが 最 も 大 きくなるのは さいたま 市 直 下 地 震 と 考 えられるので 今 回 も 想 定 地 震 とする さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 や 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)にならい 荒 川 断 層 位 置 で 想 定 する 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 の 長 期 評 価 2 では 荒 川 断 層 は 活 断 層 ではないとしている ただし やや 南 西 に 撓 曲 や 傾 動 の 存 在 が 指 摘 されているとしており 周 辺 で 発 生 する 可 能 性 はあると 考 えられる 地 震 規 模 については さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 では 2.1.3 項 で 記 した 内 閣 府 の 考 え 方 に 基 づきM=6.9としていたが 前 述 のように 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 や 内 閣 府 が 地 震 断 層 が 不 明 瞭 な 地 震 の 最 大 規 模 を 大 きくしたことを 受 け 今 回 はM=7.3とする これは 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 での 気 象 庁 マグニチュードである 距 離 減 衰 式 を 用 いる 際 には 内 閣 府 首 都 直 下 地 震 対 策 専 門 調 査 会 (2004) 1 で 用 いた 次 式 の 関 係 を 用 いて モーメントマグニチュードM w を 算 定 し M w =7.0とする さいたま 市 前 回 想 定 でも この 関 係 を 用 いている M w =0.879 M+0.536 (2.1.1) (2) 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 の 結 果 では さいたま 市 で 最 も 大 きな 揺 れとなるのは 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 である これは 深 谷 断 層 から 綾 瀬 川 断 層 まで 連 動 した 条 件 で 想 定 したこと で 埼 玉 県 平 成 19 年 度 想 定 より 大 きくなっているので 想 定 対 象 とする 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 の 位 置 を 図 2.1.4に 示 す 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 による 長 期 評 価 は 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 主 部 が 連 動 した 地 震 が 発 生 する 可 能 性 を 指 摘 しており 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 による 地 震 動 予 測 地 図 でも 長 さ82km M=8.0として 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 での 地 震 を 設 定 している 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 でも これらを 踏 まえ 連 動 した 場 合 とし てM=8.1で 想 定 している 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 の 北 西 部 は 深 谷 断 層 から 構 成 され 深 谷 断 層 の 南 西 側 には3km 程 度 の 2 で 2 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 地 震 調 査 委 員 会 : 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 の 長 期 評 価 について http://www.jishin.go.jp/main/chousa/05mar_kanto/index.htm 2005 年 3 月 1-10

間 隔 で 江 南 断 層 が 分 布 する また 本 断 層 帯 の 南 東 部 は 鴻 巣 市 から 伊 奈 町 付 近 まで 延 びる 綾 瀬 川 断 層 北 部 に 相 当 する 深 谷 断 層 と 綾 瀬 川 断 層 北 部 とは 一 連 の 断 層 帯 をなすと 判 断 されて いる 断 層 の 活 動 度 については 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 主 部 は 平 均 活 動 間 隔 が13,000-30,000 年 程 度 最 新 活 動 時 期 が 約 6,200 年 前 以 後 約 2,500 年 前 以 前 であった 可 能 性 があることから 今 後 30 年 以 内 の 地 震 発 生 確 率 は ほぼ0%-0.008%となる とされている なお 破 壊 開 始 点 について 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 では 北 中 央 南 の3 通 りを 考 慮 し 被 害 想 定 ではそれぞれについて 算 出 している 県 域 で 比 べると3ケースの 差 異 は 小 さくないが さいたま 市 内 の 分 布 としては ケースによる 差 異 はあるものの 北 西 部 で 大 きい 分 布 となるこ とには 変 わりない 防 災 対 策 を 講 じる 際 にいずれかのケースを 採 用 すると 小 さな 揺 れとなる 箇 所 が 生 じるので さいたま 市 想 定 では 安 全 側 となるように 3ケースの 最 大 震 度 を 各 メッシ ュで 用 いることとする 2 図 2.1.4 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 の 位 置 (3) 東 京 湾 北 部 地 震 首 都 直 下 地 震 対 策 大 綱 の 中 心 となる 地 震 についても 想 定 を 行 っておくことは 重 要 である 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)では 2.1.3 項 に 記 したように 大 正 関 東 地 震 の 断 層 すべりにより 既 に 応 力 が 解 放 された 領 域 にあると 推 定 されることから 東 京 湾 北 部 地 震 を 対 象 から 除 外 し ている 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 では 以 前 の 東 京 湾 北 部 地 震 を 想 定 地 震 としている ただし 算 条 件 については 文 部 科 学 省 首 都 直 下 地 震 防 災 減 災 特 別 プロジェクトにより フィリ ピン 海 プレート 上 面 の 深 さが 従 来 考 えられていたより 平 均 的 に10km 程 度 浅 いことが 指 摘 され たことを 受 け 断 層 面 を 浅 く 変 更 して 想 定 している 内 閣 府 により 新 たに 被 害 想 定 の 対 象 となった 都 心 南 部 直 下 地 震 の 震 度 分 布 と 以 前 の 東 京 湾 北 部 地 震 の 震 度 分 布 では さいたま 市 周 辺 で 大 きな 差 はない( 図 2.1.5) 内 閣 府 の 公 表 が 1-11

2013 年 12 月 末 であったため 都 心 南 部 直 下 地 震 は 採 用 せず 埼 玉 県 との 整 合 性 を 重 視 して 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 に 倣 い 東 京 湾 北 部 地 震 を 対 象 とする 図 2.1.5 東 京 湾 北 部 地 震 と 都 心 南 部 直 下 地 震 の 震 度 分 布 の 比 較 ( 出 典 : 内 閣 府 首 都 直 下 地 震 モデル 検 討 会 報 告 書 (2013)) 以 上 より 被 害 想 定 対 象 とする3 地 震 の 位 置 を 図 2.1.6に 断 層 諸 元 を 表 2.1.2に 示 す 図 2.1.6 今 回 想 定 における 想 定 地 震 の 位 置 1-12

諸 元 表 2.1.2 想 定 地 震 の 断 層 諸 元 さいたま 市 直 下 地 震 関 東 平 野 北 西 縁 1 2 断 層 帯 地 震 1 東 京 湾 北 部 地 震 断 層 基 準 緯 度 [ 度 ] 35.825 36.361 35.320 断 層 基 準 経 度 [ 度 ] 139.669 138.833 140.140 断 層 上 端 深 さd [km] 5.4 5.0 小 メッシュ 毎 長 さL [km] 20.0 82.0 63.64 幅 W [km] 19.1 20.0 31.82 走 向 θ [ ] 315 121 296 傾 斜 δ [ ] 45 60 23 気 象 庁 マグニチュード M 7.3 8.1 7.3 地 震 モーメント M 0 [Nm] 3.38 10 19 1.44 10 20 1.12 10 20 1 埼 玉 県 地 震 被 害 想 定 調 査 について- 地 震 動 の 推 結 果 - ( 平 成 25 年 ) より 2 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 については 3 区 間 の 合 長 さ 等 で 示 している 1-13

2.2 地 震 動 の 想 定 手 法 埼 玉 県 が 被 害 想 定 を 実 施 している 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 と 東 京 湾 北 部 地 震 については 埼 玉 県 による 基 盤 震 度 を 用 い 浅 部 地 盤 の 増 幅 については さいたま 市 独 自 に 50mメッシュ に 細 分 化 した 算 定 を 行 う 図 2.2.1 に 示 すように ボーリングデータと 地 形 分 類 から 50mメ ッシュで 深 さ 30mまでの 平 均 S 波 速 度 (AVS30)のデータを 構 築 し これを 用 いて 浅 部 地 盤 の 増 幅 を 算 定 する(2.3 節 で 後 述 ) 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 との 関 係 は 図 2.2.2 のようになる 埼 玉 県 は 統 的 グリーン 関 数 法 により 工 学 的 基 盤 上 の 地 震 動 波 形 算 を 行 い 次 に 浅 部 地 盤 については 250mメッシ ュでの 地 震 応 答 解 析 を 行 っている 本 調 査 では さいたま 市 内 は 谷 が 複 雑 に 入 り 組 んだ 地 形 であることを 重 視 し 50mメッシュに 細 分 化 する なお 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 地 震 について 埼 玉 県 は 破 壊 開 始 点 を 変 更 した 3 ケースで 地 震 動 を 算 定 し 被 害 想 定 も 3 通 り 実 施 している ケースによって 震 度 が 大 きくなる 箇 所 は 異 なることから 本 調 査 では 安 全 側 となるように 各 メッシュで 3 ケースの 最 大 をとる 最 大 ケース で 算 出 する さいたま 市 直 下 地 震 については 埼 玉 県 は 想 定 していないので さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 と 同 じ 距 離 減 衰 式 ( 式 (2.2.1))を 用 いる 地 震 規 模 のみ 2.1 節 で 述 べたように 見 直 して 算 出 する 図 2.2.1 震 度 分 布 算 出 の 流 れ 1-14

埼 玉 県 想 定 統 的 グリーン 関 数 法 断 層 パラメータ さいたま 市 想 定 工 学 的 基 盤 (VS=600m/s 相 当 ) 加 速 度 波 形 基 盤 震 度 地 表 地 震 応 答 解 析 ( 線 形 ) 加 速 度 波 形 AVS30 250mメッシュ 地 表 震 度 50mメッシュ 地 表 震 度 図 2.2.2 埼 玉 県 平 成 25 年 度 想 定 との 関 係 相 違 点 logpgv=0.58 M w +0.0038 D-1.29+c-log(X+0.0028 10 0.58Mw )-0.002x (2.2.1) PGV: 工 学 的 基 盤 の 最 大 速 度 [cm/s] M w D X :モーメントマグニチュード(Mw=0.879M JMA +0.536) : 震 源 深 さ [km] : 断 層 最 短 距 離 [km] c : 震 源 特 性 を 表 す 係 数 ( 地 殻 内 地 震 :0.0 プレート 境 界 地 震 :-0.02) この 司 翠 川 (1999) 3 による 式 は 1968 年 から 1997 年 までに 日 本 で 発 生 した 地 震 から 得 ら れた 強 震 記 録 を 用 いて 加 速 度 速 度 の 距 離 減 衰 式 を 提 案 している この 中 で 震 源 特 性 を 考 慮 できる 様 に 回 帰 式 に 震 源 深 さ 断 層 タイプの 項 目 を 追 加 し 距 離 は 断 層 最 短 距 離 等 価 震 源 距 離 の 2 通 りを 作 成 している 他 にも 多 くの 距 離 減 衰 式 が 提 案 されているものの 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 でも 距 離 減 衰 式 を 用 いる 場 合 は 上 述 の 断 層 最 短 距 離 の 距 離 減 衰 式 を 用 いている ここで 工 学 的 基 盤 は S 波 速 度 が 600m/s 相 当 の 層 を 指 す ものとしている 3 司 宏 俊 翠 川 三 郎 : 断 層 タイプ 及 び 地 盤 条 件 を 考 慮 した 最 大 加 速 度 最 大 速 度 の 距 離 減 衰 式 日 本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 集 第 523 号 pp.63-70 1999 年 1-15

浅 部 地 盤 による 増 幅 については 内 閣 府 と 同 じく 深 さ 30mまでの 平 均 S 波 速 度 (AVS30) から 算 出 する 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)で 用 いている 横 田 ら(2005) 4 の 関 係 ( 表 2.2.1)により AVS30から 震 度 増 分 を 算 出 する 地 震 被 害 想 定 では 最 大 加 速 度 やSI 値 等 の 他 の 指 標 が 必 要 な 場 合 もあ るので 測 震 度 との 関 係 式 を 用 いて 測 震 度 から 算 出 する 測 震 度 については 非 線 形 性 ( 軟 弱 地 盤 では 揺 れが 強 くなるほど 増 分 は 小 さくなる)を 考 慮 したモデルとしている IJ a b log 10 AVS30 (2.2.2) 童 山 崎 (1996) 5 の 関 係 0.45* I 0.97 jma PGV 10 (2.2.3) 0.51* I 0.23 jma PGA 10 (2.2.4) 童 山 崎 ら(1994) 6 の 関 係 SI 1. 18 PGV (2.2.5) 表 2.2.1 横 田 ら 4 の 関 係 における 係 数 a,b 基 盤 震 度 a b 3.0~3.9 2.943 1.034 4.0~4.4 2.916 1.026 4.5~4.9 2.888 1.015 5.0~5.4 2.715 0.954 5.5~5.9 2.494 0.876 6.0~6.4 2.434 0.855 4 横 田 崇 稲 垣 賢 亮 増 田 徹 : 数 値 実 験 による 地 盤 特 性 と 増 幅 率 の 関 係 日 本 地 震 学 会 講 演 予 稿 集 (2005 年 度 秋 季 大 会 ) p.86 B064 2005 年 5 童 華 南 山 崎 文 雄 : 地 震 動 強 さ 指 標 と 新 しい 気 象 庁 震 度 との 対 応 関 係 生 産 研 究 Vol.48 No.11 pp547-550 1996 年 6 童 華 南 山 崎 文 雄 佐 々 木 裕 明 松 本 省 吾 : 被 害 事 例 に 基 づく 地 震 動 強 さと 家 屋 被 害 率 の 関 係 第 9 回 日 本 地 震 工 学 シンポジウム pp.2299-2304 1994 年 1-16

2.3 浅 部 地 盤 のモデル 化 さいたま 市 平 成 21 年 度 想 定 では 地 形 分 類 に 応 じて 震 度 増 分 を 定 めたが 本 調 査 では ボ ーリングデータの 整 備 が 進 んだことを 踏 まえ ボーリング 地 点 毎 の 値 を 活 用 することとする 2.3.1 50mメッシュデータの 作 成 方 法 2.2 節 で 記 した 浅 部 地 盤 の 増 幅 算 のため 50mメッシュでの 平 均 S 波 速 度 (AVS30)を 算 出 する ボーリングデータを 活 用 した 50mメッシュのデータ 作 成 方 法 として 清 水 ら(2003)の 方 法 7 を 用 いる 首 都 圏 で 50mメッシュの 地 盤 増 幅 度 を 算 出 し 地 震 防 災 システムを 構 築 して いる 東 京 ガスの 方 法 である 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 の 際 にも 即 時 に 稼 働 し 初 動 判 断 に 活 用 されているシステムであり 内 閣 府 や 東 京 都 の 想 定 でも 使 われてきたものである 近 傍 5 地 点 のボーリングで 算 した AVS を 参 照 して, 距 離 を 重 みとした 重 み 付 平 均 ( 下 式 ) により 補 間 する その 際 低 地 と 丘 陵 は 区 分 し 低 地 での 補 間 に 丘 陵 でのデータは 用 いない ここで y は 算 地 点 における AVS30 y i は 参 照 ボーリング i 地 点 における AVS30 r i は 算 地 点 から 参 照 ボーリング i 地 点 までの 距 離 (m)である y i i 2 i r 1 2 i r 1 y i (2.3.1) 50mメッシュの 地 形 分 類 として 国 土 地 理 院 による 土 地 条 件 図 を 用 いる( 図 2.3.1 参 照 ) 荒 川 芝 川 綾 瀬 川 元 荒 川 沿 いに 低 地 が 広 がり 複 雑 に 入 り 組 んでいることがわかる 7 清 水 善 久 石 田 栄 介 磯 山 龍 二 山 崎 文 雄 小 金 丸 健 一 中 山 渉 : 都 市 ガス 供 給 網 のリアルタイ ム 地 震 防 災 システム 構 築 及 び 広 域 地 盤 情 報 の 整 備 と 分 析 活 用 土 木 学 会 論 文 集 No.738/I-64 2003 年 pp.283-296. 1-17

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 桜 区 南 区 緑 区 鉄 道 主 要 道 路 0 1km 2km 5km 10km ===== 山 地 斜 面 等 ===== 山 地 斜 面 等 ===== 変 形 地 ========= 崖 地 すべり( 滑 落 崖 ) 地 すべり( 移 動 体 ) ===== 台 地 段 丘 ===== 完 新 世 段 丘 更 新 世 段 丘 ===== 山 麓 堆 積 地 形 ===== 山 麓 堆 積 地 形 ===== 低 地 の 微 高 地 ===== 扇 状 地 自 然 堤 防 天 井 川 天 井 川 沿 いの 微 高 地 砂 州 砂 堆 砂 丘 ===== 凹 地 浅 い 谷 ===== 凹 地 浅 い 谷 ===== 低 地 の 一 般 面 ===== 谷 底 平 野 氾 濫 平 野 海 岸 平 野 三 角 州 後 背 低 地 旧 河 道 ===== 頻 水 地 形 ========= 湿 地 高 水 敷 低 水 敷 浜 ===== 水 部 ============= 河 川 水 涯 線 及 び 水 面 ===== 人 工 地 形 ========= 切 土 地 農 耕 平 坦 化 地 高 い 盛 土 地 干 拓 地 改 変 工 事 中 の 区 域 盛 土 地 埋 立 地 図 2.3.1 土 地 条 件 図 ( 国 土 地 理 院 発 行 )による 地 形 分 類 2.3.2 ボーリングデータの 整 備 ボーリングデータとして さいたま 市 埼 玉 県 埼 玉 県 環 境 科 学 国 際 センター 等 のデータ を 収 集 し 4,000 点 弱 のデータを 整 備 した 深 さ30mまでの 平 均 S 波 速 度 AVS30を 算 出 するので 調 査 深 度 が30mに 満 たない 場 合 最 下 層 がそのまま 続 くと 仮 定 する N 値 50の 支 持 層 は 厚 く 存 在 すると 考 えられるので これを 確 認 できれば 調 査 深 度 から30mまで 支 持 層 が 続 くと 仮 定 できる しかしながら 調 査 深 度 が20mにも 満 たず 支 持 層 を 確 認 できない 場 合 最 下 層 がそ のまま 深 さ30mまで 続 くと 仮 定 すると 誤 差 が 大 きくなるので AVS30の 算 出 には 用 いないこと とする したがって 実 際 に50mメッシュデータ 作 成 に 使 用 したのは 2,000 点 強 である( 図 2.3.2に で 調 査 深 度 を 示 す) 背 景 には 図 2.3.1の 土 地 条 件 図 に 基 づく 低 地 と 丘 陵 の 分 類 を 示 している 1-18

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 30m~ 25~30m 以 下 20~25m 以 下 15~20m 以 下 10~15m 以 下 5~10m 以 下 0~ 5m 以 下 0 1km 2km 5km 10km 図 2.3.2 整 備 したボーリングデータの 分 布 ( 背 景 は 緑 色 が 低 地 オレンジ 色 が 丘 陵 ) 2.3.3 平 均 S 波 速 度 の 算 出 S 波 速 度 の 算 出 は 道 路 橋 示 方 書 8 で 採 用 している 下 式 により N 値 から 推 定 する 1/ 3 V S 80N ( 砂 ) (2.3.2) 1/ 3 V S 100N ( 粘 土 ) (2.3.3) ただし 腐 植 土 については Vs=50m/sとする 腐 植 土 は さいたま 市 内 の 低 地 部 で 層 厚 は 薄 いながらも 比 較 的 広 く 分 布 しており かつ 粘 土 よりさらに 軟 らかくS 波 速 度 が 小 さいことによ る 深 さ30mまでの 平 均 S 波 速 度 (AVS30)は 次 式 による AVS30 30 hi (2.3.4) V i ここで h i : 各 層 の 層 厚 [m] V i : 各 層 のS 波 速 度 [m/s] i 8 社 団 法 人 日 本 道 路 協 会 : 道 路 橋 示 方 書 同 解 説 Ⅴ 耐 震 設 編 2012 年 3 月 1-19

2.3.4 50mメッシュのAVS30データ 以 上 により ボーリング 地 点 について AVS30 を 算 出 した 表 2.3.1 に 図 2.3.1の 土 地 条 件 図 の 分 類 毎 のデータ 数 と AVS30 の 平 均 値 を 示 す これらを 用 いて 式 (2.3.1)により 作 成 し た AVS30 の 分 布 を 図 2.3.3 に 示 す 低 地 では 100~150m/s と 軟 らかく 丘 陵 では 200m/s 前 後 となっている 表 2.3.1 土 地 条 件 図 による 地 盤 分 類 毎 のボーリングデータ 数 地 形 分 類 データ 数 平 均 AVS30 山 地 斜 面 等 45 227.0 完 新 世 段 丘 30 246.8 ( 台 地 段 丘 ) 更 新 世 段 丘 852 237.2 ( 台 地 段 丘 ) 自 然 堤 防 168 158.8 凹 地 浅 い 谷 22 207.5 谷 底 平 野 氾 濫 平 野 163 168.7 旧 河 道 21 168.1 高 水 敷 低 水 敷 浜 37 164.6 河 川 水 涯 線 及 び 水 面 48 166.2 切 土 地 125 257.0 高 い 盛 土 地 1 215.9 盛 土 地 埋 立 地 679 189.0 2,191 1-20

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 0~100m/s 以 下 100~150m/s 以 下 150~200m/s 以 下 200~250m/s 以 下 250~300m/s 以 下 300~400m/s 以 下 400~500m/s 以 下 500m/s~ 0 1km 2km 5km 10km 図 2.3.3 深 さ30mまでの 平 均 S 波 速 度 (AVS30)の 分 布 1-21

2.4 震 度 分 布 の 想 定 結 果 各 想 定 地 震 における 震 度 分 布 の 想 定 結 果 を 図 2.4.1~ 図 2.4.3 に 示 す いずれも 最 大 震 度 は 6 強 であり さいたま 市 直 下 地 震 では 南 部 西 部 に 広 範 囲 で 大 きく 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 では 北 西 部 で 大 きく 東 京 湾 北 部 地 震 では 南 西 部 で 大 きい 西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 震 度 7 震 度 6 強 震 度 6 弱 震 度 5 強 震 度 5 弱 震 度 4 0 1km 2km 5km 10km 図 2.4.1 震 度 分 布 さいたま 市 直 下 地 震 1-22

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 震 度 7 震 度 6 強 震 度 6 弱 震 度 5 強 震 度 5 弱 震 度 4 0 1km 2km 5km 10km 図 2.4.2 震 度 分 布 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 震 度 7 震 度 6 強 震 度 6 弱 震 度 5 強 震 度 5 弱 震 度 4 0 1km 2km 5km 10km 図 2.4.3 震 度 分 布 東 京 湾 北 部 地 震 1-23

3. 地 盤 災 害 の 想 定 3.1 液 状 化 危 険 度 の 想 定 3.1.1 想 定 手 法 液 状 化 判 定 で 広 く 用 いられている 液 状 化 指 数 (P L 値 )により 予 測 する これは F L 法 及 びこ れを 深 度 方 向 に 積 分 したP L 法 ( 浅 いところでの 重 みが 大 きい)を 用 いて 液 状 化 危 険 度 を 表 すものである 1 算 出 の 流 れを 図 3.1.1に 示 す 0 20 PL ( 1 FL )(10 0.5x) dx (3.1.1) ここで xは 表 層 からの 深 さ(m) F L は 液 状 化 に 対 する 抵 抗 率 (F L 値 )である F L は 下 式 によ って 深 さ 毎 に 算 出 される R FL 1.0: 液 状 化 すると 判 定 F (3.1.2) L L F 1.0: 液 状 化 しないと 判 定 L R: 地 盤 が 有 する 動 的 せん 断 強 度 比 L: 地 震 時 せん 断 応 力 比 地 盤 モデル 対 象 地 点 動 的 せん 断 強 度 比 R 式 (3.1.3) 地 震 時 せん 断 応 力 比 L 式 (3.1.12) F L 1.0 式 (3.1.2) YES 液 状 化 する NO 液 状 化 しない 各 層 深 さ20mまで 全 層 のF L からP L 値 を 算 出 式 (3.1.1) 表 層 地 質 地 震 動 予 測 結 果 ( 測 震 度 最 大 加 速 度 ) 50mメッシュの 液 状 化 危 険 度 図 3.1.1 液 状 化 危 険 度 予 測 の 流 れ 1 日 本 道 路 協 会 : 道 路 橋 示 方 書 同 解 説, V. 耐 震 設 編 1996 年 1-24

P L 値 と 液 状 化 危 険 度 は 表 3.1.1のように 関 係 づけられる 表 3.1.1 液 状 化 判 定 基 準 区 分 15<P L 5<P L 15 0<P L 5 P L = 0 液 状 化 の 程 度 と 対 応 高 い やや 高 い 低 い 極 めて 低 い 以 下 に 手 法 の 詳 細 を 記 す (1) 地 盤 が 有 する 動 的 せん 断 強 度 比 R R は 地 盤 の 繰 返 し 三 軸 強 度 比 R L を 用 いて 以 下 の 補 正 式 により 得 られる R=c w R L (3.1.3) C w は 地 震 動 特 性 による 補 正 係 数 であり, 以 下 のようにプレート 境 界 型 の 大 地 震 とその 他 で 分 けている タイプⅠの 地 震 動 の 場 合 C 1.0 (3.1.4) w タイプⅡの 地 震 動 の 場 合 C w 3.3R L 1.0 0.67 2.0 ( R L (0.1 (0.4 0.1) R R L L 0.4) ) (3.1.5) 三 軸 強 度 比 R L は 以 下 の 式 により 算 出 する 1 0.0882 N a /1.7 ( N a 14) R L (3.1.6) 6 4.5 0.0882 N /1.7 1.6 10 ( N 14) ( N 14) a a a 粒 度 の 影 響 を 考 慮 した 補 正 N 値 (N a )は 以 下 のように 与 える 1-25

砂 質 土 の 場 合 東 京 低 地 部 に 分 布 する 砂 の 液 状 化 強 度 は 細 粒 分 に 強 く 依 存 することから 亀 井 ら 2 では 東 京 低 地 部 や 多 摩 川 流 域 のデータから 下 式 を 提 案 している 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)でも 採 用 していることから この 補 正 式 を 採 用 する N a N 1 N (3.1.7) 170N N 1 (3.1.8) ' 70 v 0 FC 5% N 20.769 log ( FC) 14.210 5% FC 40% (3.1.9) 10 19 FC 40% 916 29.5 ( N 22) FC N 9.21 (3.1.10) 0 ( N 22) N 1 : 有 効 上 載 圧 100kN/m 2 相 当 に 換 算 した N 値 ΔN: 東 京 低 地 における 細 粒 分 の 影 響 に 基 づく N 値 補 正 量 FC: 細 粒 分 含 有 率 [%] 礫 質 土 の 場 合 D50 N a 1 0.36log10 N1 (3.1.11) 2 ここで N: 標 準 貫 入 試 験 から 得 られる N 値 N 1 : 有 効 上 載 圧 100kN/m 2 相 当 に 換 算 した N 値 N a : 粒 度 の 影 響 を 考 慮 した 補 正 N 値 D 50 : 平 均 粒 径 [mm] (2) 地 震 時 せん 断 応 力 比 L L r d k hg (3.1.12) v ' v r d 1.0 0. 015x v h ( x h t1 w t 2 w ) ' v h t1 w ' t2 ( x h w ) 2 亀 井 祐 聡 森 本 巌 安 田 進 清 水 善 久 小 金 丸 健 一 石 田 栄 介 : 東 京 低 地 における 沖 積 砂 質 土 の 粒 度 特 性 と 細 粒 分 が 液 状 化 強 度 に 及 ぼす 影 響 地 盤 工 学 会 論 文 報 告 集 Vol.42 No.4 pp.101-110 2002 年 1-26

ここで, r d : 地 震 時 せん 断 応 力 比 の 深 さ 方 向 の 低 減 係 数 k hg : 設 水 平 震 度 v: 全 上 載 圧 [kn/m 2 ] v : 有 効 上 載 圧 [kn/m 2 ] x: 地 表 面 からの 深 さ[m] t1: 地 下 水 面 より 浅 い 位 置 での 土 の 単 位 体 積 重 量 [kn/m 3 ] t2: 地 下 水 面 より 深 い 位 置 での 土 の 単 位 体 積 重 量 [kn/m 3 ] ' t2 : 地 下 水 面 より 深 い 位 置 での 土 の 有 効 単 位 体 積 重 量 [kn/m 3 ] h w : 地 下 水 位 の 深 さ[m] 設 水 平 震 度 は 童 山 崎 (1996) 3 の 関 係 を 用 いて 測 震 度 I jma から 最 大 加 速 度 α を 算 出 して 用 いる 0.51 I jma 0.23 k hg 10 / 980 (3.1.13) g (3) 地 下 水 位 の 設 定 測 定 誤 差 や 季 節 変 動 を 含 んでいる 可 能 性 はあるが 地 形 地 質 による 影 響 をできるだけ 反 映 するため ボーリングデータの 孔 内 水 位 を 用 いる (4) 50mメッシュでの 推 定 揺 れの 評 価 と 同 じく ボーリング 地 点 で 算 出 した P L 値 を 距 離 の 重 みで 補 間 して 算 出 する 3.1.2 想 定 結 果 得 られた 液 状 化 危 険 度 分 布 を 図 3.1.1~ 図 3.1.3 に 示 す 東 京 湾 北 部 地 震 は 地 震 動 特 性 による 補 正 係 数 C w が 式 (3.1.4)により 1.0 となるので さいたま 市 直 下 地 震 よりも 揺 れは 小 さいにもかかわらず 液 状 化 危 険 度 はやや 上 回 る 傾 向 となっている さいたま 市 内 の 低 地 には 粘 性 土 が 広 く 厚 く 分 布 しているので 総 じて 液 状 化 危 険 度 は 高 く ない PL 値 が 15 を 超 えるところもあるが 河 川 敷 等 を 除 けば 20 以 下 である 過 去 の 阪 神 淡 路 大 震 災 や 東 日 本 大 震 災 等 で 液 状 化 が 顕 著 であった 事 例 では PL 値 が 30 を 超 えるものが 大 半 である さいたま 市 内 では 過 去 の 地 震 でも 1923 年 関 東 地 震 や 1931 年 西 埼 玉 地 震 で 荒 川 周 辺 や 綾 瀬 川 周 辺 で 見 られた 程 度 で 東 日 本 大 震 災 の 際 も 顕 著 な 液 状 化 は 報 告 されていない なお 液 状 化 対 策 が 実 施 されている 場 合 でも 収 集 されるボーリングデータは 対 策 前 のも のであることが 多 い 逆 に 液 状 化 危 険 度 が 低 い 箇 所 も かつてため 池 等 であったところを 砂 で 埋 めたような 箇 所 があれば そこは 液 状 化 危 険 度 が 高 いと 考 えられる 危 険 度 の 拡 がり は 推 測 に 過 ぎないので 個 々の 敷 地 については それぞれ 地 盤 調 査 が 必 要 となる 場 合 がある 3 童 華 南 山 崎 文 雄 : 地 震 動 強 さ 指 標 と 新 しい 気 象 庁 震 度 との 対 応 関 係 生 産 研 究 Vol.48 No.11 pp547-550 1996 年 1-27

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 高 い(15<PL 値 ) やや 高 い(5<PL 値 15) 低 い(0<PL 値 5) 極 めて 低 い(PL 値 =0) 0 1km 2km 5km 10km 図 3.1.1 液 状 化 危 険 度 分 布 さいたま 市 直 下 地 震 西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 高 い(15<PL 値 ) やや 高 い(5<PL 値 15) 低 い(0<PL 値 5) 極 めて 低 い(PL 値 =0) 0 1km 2km 5km 10km 図 3.1.2 液 状 化 危 険 度 分 布 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 1-28

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 高 い(15<PL 値 ) やや 高 い(5<PL 値 15) 低 い(0<PL 値 5) 極 めて 低 い(PL 値 =0) 0 1km 2km 5km 10km 図 3.1.3 液 状 化 危 険 度 分 布 東 京 湾 北 部 地 震 1-29

3.2 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 度 の 想 定 3.2.1 対 象 とする 土 砂 災 害 対 象 とする 土 砂 災 害 は 以 下 に 示 す 土 砂 災 害 危 険 箇 所 のうち 地 震 による 崩 壊 危 険 性 が 特 に 高 い 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 とする なお さいたま 市 においては 地 すべり 危 険 箇 所 と 土 石 流 危 険 渓 流 は 指 定 されていない 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 : 対 象 がけ 崩 れ( 急 傾 斜 地 の 崩 壊 )は 雨 や 地 震 等 の 影 響 で 地 盤 がゆるみ 突 然 斜 面 が 崩 れ 落 ちる 現 象 である 急 な 斜 面 で 発 生 しやすいため 崩 壊 速 度 が 極 めて 速 く 逃 げ 遅 れる 人 が 多 いという 特 徴 がある 地 すべり 危 険 箇 所 : 対 象 外 地 すべりは 地 下 水 等 の 影 響 により 斜 面 を 構 成 する 土 塊 が 斜 面 下 方 に 大 きくすべり だす 現 象 である すべり 落 ちるスピードはゆっくりであるが 広 い 範 囲 にわたって 地 面 が 動 くため 家 や 道 路 や 田 畑 等 が 広 範 囲 に 被 害 を 受 ける 土 石 流 危 険 渓 流 : 対 象 外 土 石 流 は 山 や 川 を 構 成 する 土 砂 が 大 雨 等 により 発 生 する 大 量 の 水 と 一 緒 に 激 しく 押 し 流 される 現 象 である 時 速 20~70kmという 速 度 で 周 辺 の 木 々や 岩 等 を 先 端 部 に 巻 き 込 みながら 進 み 人 家 や 田 畑 道 路 を 一 瞬 のうちに 壊 滅 する さいたま 市 内 は 平 野 部 で 標 高 3~20mで 高 低 差 が 少 ない 地 形 であり 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 要 件 である 高 さ 5m 以 上 傾 斜 角 30 度 以 上 を 有 する 箇 所 は 16 箇 所 と 他 の 都 市 と 比 較 して 非 常 に 少 ない 図 3.2.1 に 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 分 布 図 を 示 す また 表 3.2.1 に 区 毎 の 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 数 を 示 す 1-30

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 0 1km 2km 5km 10km 図 3.2.1 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 分 布 表 3.2.1 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 数 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 数 西 区 1 北 区 0 大 宮 区 1 見 沼 区 10 中 央 区 0 桜 区 0 浦 和 区 0 南 区 1 緑 区 2 岩 槻 区 1 16 1-31

3.2.2 想 定 手 法 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 度 の 想 定 は 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)を 用 いる 図 3.2.2 に 地 震 による 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 度 の 想 定 フローを 示 す 同 図 に 示 すように 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 潜 在 危 険 度 ランク(a,b,c)と 地 震 動 ( 震 度 階 )から 危 険 度 ランク(A,B,C) を 評 価 する すなわち 表 3.2.2 の 判 定 ランク 表 に 基 づき 想 定 する 図 3.2.2 地 震 による 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 危 険 度 の 想 定 フロー 震 度 階 表 3.2.2 地 震 時 危 険 度 の 判 定 ランク 表 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 潜 在 危 険 度 ランク a b c 震 度 6 強 以 上 A A A 震 度 6 弱 A A B 震 度 5 強 A B C 震 度 5 弱 B C C 震 度 4 以 下 C C C 判 定 ランクの 説 明 ランクA: 崩 壊 の 危 険 度 が 高 い ランクB: 崩 壊 の 危 険 度 がやや 高 い ランクC: 崩 壊 の 危 険 度 が 低 い 対 策 工 の 効 果 対 策 工 が 施 され 対 策 工 に 異 常 が 無 い 場 合 には ランクを1ランク 下 げる (ランクA B ランクB C) 1-32

急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 潜 在 危 険 度 ランクは 表 3.2.3 に 基 づき 評 価 する すなわち 急 傾 斜 地 の 高 さ 傾 斜 湧 水 等 の 状 況 を 項 目 毎 に 点 数 付 けし 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 そのもの の 潜 在 危 険 度 を 点 数 化 する さらには 表 3.2.4 に 基 づき 潜 在 危 険 度 ランクを 設 定 する 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 については 埼 玉 県 が 指 定 するものであるが 平 成 23 年 度 に 既 存 地 形 図 により 抽 出 された 45 箇 所 について 現 地 調 査 を 行 い 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 要 件 である 高 さ 5m 以 上 傾 斜 角 30 度 以 上 を 有 する 16 箇 所 を 抽 出 している 平 成 23 年 度 の 時 点 では 急 傾 斜 地 の 傾 斜 度 と 高 さのみの 調 査 で 表 3.2.3 の 点 数 表 による 評 価 は 行 えなかった しかしながら この 調 査 で 45 箇 所 から 16 箇 所 になると 精 査 し か つその 16 箇 所 に 対 し レッドゾーン( 著 しい 危 害 のおそれのある 土 地 ) イエローゾーン( 危 害 のおそれのある 土 地 )の 範 囲 が 指 定 されていることから 16 箇 所 は 急 傾 斜 地 として 危 険 性 の 高 いものであると 考 えられる このため 本 調 査 では 16 箇 所 全 て 表 3.2.4の 潜 在 危 険 度 ランクは a と 想 定 する 表 3.2.3 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 潜 在 危 険 度 の 判 定 調 査 表 大 項 目 データ 項 目 小 項 目 点 数 1 斜 面 高 (H) 斜 面 の 高 さ(H) 50 H 10 [m] [m] 30 H<50 8 10 H<30 7 H<10 3 2 傾 斜 勾 配 (α) 傾 斜 度 (α) 59 α 7 [ ] [ ] 45 α<59 4 α<45 1 3オーバーハング 横 断 形 状 オーバーハングあり 4 オーバーハングなし 0 4 斜 面 の 地 盤 地 表 の 状 況 亀 裂 が 発 達 開 口 しており 転 石 浮 石 が 点 在 する 10 風 化 亀 裂 が 発 達 した 岩 である 6 礫 混 じり 土 砂 質 土 5 粘 質 土 1 風 化 亀 裂 が 発 達 していない 岩 である 0 5 表 土 の 厚 さ 表 土 の 厚 さ 0.5m 以 上 3 0.5m 未 満 0 6 湧 水 湧 水 有 2 無 0 7 落 石 崩 壊 頻 度 崩 壊 履 歴 新 しい 崩 壊 地 がある 5 古 い 崩 壊 地 がある 3 崩 壊 地 は 認 められない 0 表 3.2.4 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 の 潜 在 危 険 度 ランクの 判 定 表 潜 在 危 険 度 ランク a b c 1~7の 点 数 の 合 値 ( 表 3.2.3) 24 点 以 上 14~23 点 13 点 以 下 1-33

3.2.3 想 定 結 果 さいたま 市 直 下 地 震 関 東 平 野 北 西 縁 断 層 帯 地 震 東 京 湾 北 部 地 震 のいずれにおいても 急 傾 斜 地 崩 壊 危 険 箇 所 (16 箇 所 )における 震 度 階 は 震 度 5 強 以 上 であった したがって 地 震 時 危 険 度 ランクは 全 てランク A( 崩 壊 危 険 度 が 高 い)と 想 定 される 3.3 大 規 模 宅 地 造 成 地 1995 年 兵 庫 県 南 部 地 震 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 等 では 大 規 模 に 谷 を 埋 めた 宅 地 造 成 地 で 多 くの 住 宅 が 被 害 を 受 けている 宅 地 造 成 地 の 特 に 盛 土 部 は 一 般 的 に 地 震 により 被 害 を 受 けやすい 地 形 であり 盛 土 底 面 部 をすべり 面 として 旧 地 形 に 沿 って 流 動 変 動 または 斜 面 方 向 へ 移 動 する さいたま 市 においては 河 川 を 挟 んで 大 宮 台 地 岩 槻 台 地 慈 恩 寺 台 地 安 行 台 地 が 位 置 し 台 地 が 河 川 によって 浸 食 され 数 多 くの 谷 筋 が 刻 まれており 宅 地 造 成 地 が 数 多 く 分 布 している そのため 滑 動 崩 落 による 宅 地 被 害 が 発 生 する 可 能 性 を 有 していると 想 定 される 1-34

4. 建 物 被 害 の 想 定 4.1 概 要 建 物 の 被 害 は 住 民 生 活 や 社 会 活 動 に 直 接 関 わる 被 害 であり 地 震 被 害 の 中 で 最 も 影 響 が 大 きい また 建 物 が 被 害 を 受 けることにより 出 火 や 人 的 被 害 ライフライン 被 害 等 の 二 次 災 害 の 発 生 をもたらすとともに 地 震 後 の 生 活 支 障 や 応 急 復 旧 にも 大 きく 影 響 する 本 調 査 では 地 震 動 液 状 化 の 想 定 結 果 と 建 物 データを 基 に 木 造 非 木 造 建 物 の 被 害 を 想 定 する 図 4.1.1 に 建 物 被 害 の 想 定 項 目 を 示 す 図 4.1.1 建 物 被 害 の 想 定 項 目 図 4.1.1 に 示 すように 建 物 被 害 として 揺 れによる 被 害 液 状 化 による 被 害 急 傾 斜 地 崩 壊 による 被 害 火 災 による 被 害 を 想 定 する 建 物 被 害 は 複 数 の 要 因 で 重 複 して 被 害 を 受 ける 可 能 性 がある 例 えば 揺 れによって 全 壊 した 後 急 傾 斜 地 崩 壊 により 倒 壊 等 が 考 えられる 本 調 査 では 被 害 要 因 の 重 複 を 避 ける ため 揺 れ 液 状 化 急 傾 斜 地 崩 壊 火 災 の 順 番 で 被 害 の 要 因 を 割 り 当 てるもの とする これにより 被 害 棟 数 の 重 複 (ダブルカウント)を 除 去 する なお 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)では 液 状 化 揺 れ 急 傾 斜 地 崩 壊 の 順 で 重 複 を 除 去 している しかし 液 状 化 に 伴 う 死 者 等 は 出 ないと 想 定 するため この 順 番 で 被 害 の 要 因 を 割 り 当 てると 揺 れに 伴 う 死 傷 者 を 過 小 評 価 することになる そのため 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)とは 異 なる 順 番 で 被 害 の 要 因 を 割 り 当 てることとする 建 物 被 害 は 罹 災 証 明 に 基 づいた 自 治 体 判 定 基 準 である 全 壊 棟 数 半 壊 棟 数 を 定 量 的 に 想 定 する 表 4.1.1 に 内 閣 府 (2009) 1 による 罹 災 証 明 における 住 家 の 被 害 程 度 と 被 害 認 定 基 準 を 示 す 揺 れによる 被 害 急 傾 斜 地 崩 壊 による 被 害 は 全 壊 棟 数 と 半 壊 棟 数 を 想 定 する 液 状 化 による 被 害 は 全 壊 大 規 模 半 壊 半 壊 棟 数 を 想 定 する また 火 災 による 被 害 は 1 内 閣 府 ( 防 災 担 当 ): 災 害 に 係 る 住 家 の 被 害 認 定 基 準 運 用 指 針, 平 成 21 年 6 月. 1-35

焼 失 ( 全 壊 ) 棟 数 を 想 定 する 被 害 の 程 度 全 壊 大 規 模 半 壊 表 4.1.1 住 家 の 被 害 程 度 と 被 害 認 定 基 準 認 定 基 準 住 家 がその 居 住 のための 基 本 的 機 能 を 喪 失 したもの すなわち 住 家 全 部 が 倒 壊 流 失 埋 没 焼 失 したもの または 住 家 の 損 壊 が 甚 だしく 補 修 により 元 通 りに 再 使 用 することが 困 難 なもので 具 体 的 には 住 家 の 損 壊 消 失 若 しくは 流 失 した 部 分 の 床 面 積 がその 住 家 の 延 床 面 積 の 70% 以 上 に 達 した 程 度 のもの または 住 家 の 主 要 な 構 成 要 素 の 経 済 的 被 害 を 住 家 全 体 に 占 める 損 害 割 合 で 表 し その 住 家 の 損 害 割 合 が 50% 以 上 に 達 した 程 度 のものとする 居 住 する 住 宅 が 半 壊 し 構 造 耐 力 上 主 要 な 部 分 の 補 修 を 含 む 大 規 模 な 補 修 を 行 わ なければ 当 該 住 宅 に 居 住 することが 困 難 なもの 具 体 的 には 損 壊 部 分 がその 住 家 の 延 床 面 積 の 50% 以 上 70% 未 満 のもの または 住 家 の 主 要 な 構 成 要 素 の 経 済 的 被 害 を 住 家 全 体 に 占 める 損 害 割 合 で 表 し その 住 家 の 損 害 割 合 が 40% 以 上 50% 未 満 のも のとする 住 家 がその 居 住 のための 基 本 的 機 能 の 一 部 を 喪 失 したもの すなわち 住 家 の 損 壊 が 甚 だしいが 補 修 すれば 元 通 りに 再 使 用 できる 程 度 のもので 具 体 的 には 損 半 壊 壊 部 分 がその 住 家 の 延 床 面 積 の 20% 以 上 70% 未 満 のもの または 住 家 の 主 要 な 構 成 要 素 の 経 済 的 被 害 を 住 家 全 体 に 占 める 損 害 割 合 で 表 し その 住 家 の 損 害 割 合 が 20% 以 上 50% 未 満 のものとする 全 壊 半 壊 : 災 害 の 被 害 認 定 基 準 について( 平 成 13 年 6 月 28 日 付 府 政 防 第 518 号 内 閣 府 政 策 統 括 官 ( 防 災 担 当 ) 通 知 ) による 大 規 模 半 壊 : 被 災 者 生 活 再 建 支 援 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 の 施 行 について( 平 成 19 年 12 月 14 日 付 府 政 防 第 880 号 内 閣 府 政 策 統 括 官 ( 防 災 担 当 ) 通 知 ) による 1-36

4.2 建 物 の 現 況 図 4.2.1 に 50mメッシュ 単 位 の 建 物 データについて データ 作 成 のフローを 示 す 図 4.2.1 建 物 データの 作 成 フロー データ 作 成 にあたっては 以 下 の 方 針 に 基 づき 処 理 を 行 った 建 物 1 棟 毎 のデータとして 平 成 23 年 度 さいたま 市 都 市 画 基 礎 調 査 の 建 物 現 況 デ ータを 使 用 した 同 データには 建 物 用 途 ( 専 用 住 宅 共 同 住 宅 商 業 施 設 等 ) 耐 火 構 造 ( 耐 火 造 準 耐 火 造 防 火 造 木 造 ) 建 物 階 数 延 床 面 積 建 物 棟 数 フラグ 等 が 格 納 されている 建 物 棟 数 フラグは 棟 数 カウントする 建 物 棟 数 カウントしない 建 物 を 判 断 するための ものであり 下 記 のうち 0:カウントする に 該 当 する 建 物 を 対 象 とした 0:カウントする : 下 記 以 外 の 建 物 8:カウントしない : 無 壁 フラグに 1: 無 壁 建 物 が 付 与 されていて 建 築 面 積 1,000 m2 未 満 の 建 物 ( 駅 舎 や 立 体 駐 車 場 等 の 無 壁 建 物 を 建 物 棟 数 に 含 めるため) 9:カウントしない : 建 築 面 積 が10m2 未 満 の 建 物 建 物 現 況 データには 建 築 年 次 の 情 報 が 無 いため この 情 報 については 家 屋 課 税 マス タに 記 録 されている 情 報 を 用 いた 地 番 図 に 家 屋 課 税 マスタを 機 械 的 に 結 合 した( 複 数 の 家 屋 課 税 情 報 をもつ 地 番 は 延 床 面 積 が 最 大 となる 家 屋 の 属 性 を 結 合 した ) 建 物 現 況 データに 家 屋 課 税 マスタ 情 報 付 き 地 番 図 データを 空 間 結 合 し 家 屋 課 税 マス 1-37

タの 建 築 年 次 を 建 物 1 棟 毎 に 付 与 した なお 一 つの 地 番 に 複 数 建 物 がある 場 合 すべ てに 同 じ 属 性 が 付 与 されている 家 屋 課 税 マスタと 地 番 図 が 結 合 しない 建 物 または 非 課 税 の 建 物 については 町 丁 字 毎 の 耐 火 構 造 別 の 平 均 年 次 を 付 与 している 以 上 の 処 理 を 行 ったものに 対 し 昭 和 46 年 以 降 の 木 造 は 耐 火 構 造 を 防 火 造 とした 表 4.2.1 に 区 毎 の 主 体 構 造 ( 木 造 非 木 造 ) 別 年 代 別 の 建 物 棟 数 を 示 す また 図 4.2.2 に 区 毎 の 主 体 構 造 ( 木 造 非 木 造 ) 別 の 年 代 割 合 を 示 す 図 4.2.3 に 主 体 構 造 ( 木 造 非 木 造 ) 別 の 建 物 棟 数 分 布 を 示 す さいたま 市 全 体 で 建 物 棟 数 は 約 34 万 棟 で 木 造 建 物 が 約 26 万 棟 非 木 造 建 物 が 約 9 万 棟 となっている 木 造 建 物 は 新 耐 震 基 準 の 1981 年 以 降 の 建 物 が 約 15 万 棟 で 比 率 でみる と 約 60%となっている 一 方 非 木 造 建 物 は 新 耐 震 基 準 の 1981 年 以 降 の 建 物 が 約 7 万 棟 で 比 率 でみると 約 84%となっている さいたま 市 全 体 の 新 耐 震 基 準 (1981 年 以 降 )の 比 率 と 比 較 して 木 造 建 物 非 木 造 建 物 の 両 方 とも 緑 区 は 高 く 岩 槻 区 は 低 くなっている 一 方 その 他 の 区 については さいたま 市 全 体 の 比 率 と 概 ね 同 じである 表 4.2.1 主 体 構 造 別 年 代 別 の 建 物 棟 数 木 造 建 物 [ 棟 ] 非 木 造 建 物 [ 棟 ] 1962 年 1963 1972 1981 1990 2002 年 1971 年 1972 1981 年 以 前 ~71 年 ~80 年 ~89 年 ~2001 年 以 降 以 前 ~1980 年 以 降 西 区 31,609 25,723 2,588 3,578 4,202 4,743 6,244 4,368 5,886 257 827 4,802 北 区 32,873 23,332 2,167 2,597 3,976 3,087 6,296 5,209 9,541 513 1,169 7,859 大 宮 区 29,695 20,399 2,918 2,533 2,910 3,037 5,329 3,672 9,296 493 1,006 7,797 見 沼 区 50,209 40,237 3,554 5,301 6,060 6,368 11,279 7,675 9,972 359 1,262 8,351 中 央 区 20,619 15,011 1,422 2,351 2,407 2,285 3,641 2,905 5,608 202 493 4,913 桜 区 24,982 18,192 567 3,100 3,944 2,522 4,525 3,534 6,790 375 668 5,747 浦 和 区 33,132 23,673 3,160 2,661 3,688 3,664 6,131 4,369 9,459 370 1,081 8,008 南 区 35,860 25,661 1,088 4,054 4,626 3,526 7,153 5,214 10,199 323 959 8,917 緑 区 34,446 26,831 1,730 2,959 4,026 4,364 7,843 5,909 7,615 212 613 6,790 岩 槻 区 48,768 36,985 4,940 5,646 6,706 5,881 8,733 5,079 11,783 865 1,529 9,389 342,193 256,044 24,134 34,780 42,545 39,477 67,174 47,934 86,149 3,969 9,607 72,573 木 造 4.4% 非 木 造 24.3% 17.0% 10.1% 13.9% 16.3% 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 81.6% 14.1% 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 18.4% 図 4.2.2(1) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 西 区 1-38

9.3% 木 造 5.4% 非 木 造 22.3% 27.0% 11.1% 17.0% 13.2% 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 82.4% 12.3% 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 図 4.2.2(2) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 北 区 26.1% 18.0% 14.3% 12.4% 14.3% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 83.9% 5.3% 10.8% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 14.9% 図 4.2.2(3) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 大 宮 区 28.0% 19.1% 8.8% 15.8% 13.2% 15.1% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 83.7% 3.6% 12.7% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 図 4.2.2(4) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 見 沼 区 1-39

24.3% 19.4% 9.5% 15.7% 16.0% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 87.6% 3.6% 8.8% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 15.2% 図 4.2.2(5) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 中 央 区 3.1% 木 造 5.5% 非 木 造 24.9% 19.4% 17.0% 21.7% 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 84.6% 9.8% 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 13.9% 図 4.2.2(6) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 桜 区 25.9% 18.5% 13.3% 11.2% 15.6% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 84.7% 3.9% 11.4% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 15.5% 図 4.2.2(7) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 浦 和 区 1-40

27.9% 20.3% 4.2% 15.8% 18.0% 13.7% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 87.4% 3.2% 9.4% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 図 4.2.2(8) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 南 区 2.8% 22.0% 29.2% 6.4% 11.0% 15.0% 16.3% 木 造 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 89.2% 8.0% 非 木 造 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 図 4.2.2(9) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 緑 区 13.7% 13.4% 木 造 7.3% 非 木 造 23.6% 18.1% 15.3% 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 79.7% 13.0% 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 15.9% 図 4.2.2(10) 主 体 構 造 別 の 年 代 割 合 岩 槻 区 1-41

西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 12 棟 ~ 10~12 棟 以 下 8~10 棟 以 下 6~ 8 棟 以 下 4~ 6 棟 以 下 2~ 4 棟 以 下 0~ 2 棟 以 下 0 1km 2km 5km 10km 図 4.2.3(1) 木 造 建 物 棟 数 西 区 北 区 大 宮 区 見 沼 区 岩 槻 区 中 央 区 浦 和 区 緑 区 桜 区 南 区 鉄 道 主 要 道 路 12 棟 ~ 10~12 棟 以 下 8~10 棟 以 下 6~ 8 棟 以 下 4~ 6 棟 以 下 2~ 4 棟 以 下 0~ 2 棟 以 下 0 1km 2km 5km 10km 図 4.2.3(2) 非 木 造 建 物 棟 数 1-42

4.3 想 定 手 法 4.3.1 揺 れによる 建 物 被 害 揺 れによる 建 物 被 害 は 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)の 手 法 を 用 い 地 震 動 ( 揺 れ)の 大 きさ によって 被 害 を 受 ける 建 物 の 被 害 を 想 定 する 図 4.3.1 に 揺 れによる 建 物 被 害 の 想 定 フローを 示 す 同 図 に 示 すように 地 震 による 揺 れの 影 響 を 受 ける 建 物 棟 数 に 震 度 別 の 建 物 被 害 率 を 掛 けることにより 推 する 揺 れによ る 震 度 別 構 造 別 年 代 別 建 物 被 害 率 には 全 壊 率 と 全 半 壊 率 ( 全 壊 + 半 壊 率 )があるため 全 壊 半 壊 棟 数 から 全 壊 棟 数 を 差 し 引 くことにより 半 壊 棟 数 を 算 出 する 図 4.3.1 揺 れによる 建 物 被 害 の 想 定 フロー 図 4.3.2~ 図 4.3.3 に 震 度 別 構 造 別 年 代 別 建 物 被 害 率 を 示 す この 被 害 率 は 1995 年 兵 庫 県 南 部 地 震 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 2001 年 芸 予 地 震 における 分 析 結 果 をベースに 近 年 の 調 査 結 果 である 建 物 の 築 年 により 被 害 に 違 いがみられることを 踏 まえて 設 定 された ものである 1-43

建 物 被 害 率 [%] 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 0 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 6.9 7.0 5 強 6 弱 測 震 度 6 強 7 図 4.3.2(1) 測 震 度 毎 の 建 物 全 壊 率 ( 木 造 ) 100 90 80 70 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 建 物 被 害 率 [%] 60 50 40 30 20 10 0 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 6.9 7.0 測 震 度 5 強 6 弱 6 強 7 図 4.3.2(2) 測 震 度 毎 の 建 物 全 壊 率 ( 非 木 造 ) 1-44

建 物 被 害 率 [%] 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1962 年 以 前 1963~71 年 1972~80 年 1981~89 年 1990~2001 年 2002 年 以 降 0 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 6.9 7.0 測 震 度 5 強 6 弱 6 強 7 図 4.3.3(1) 測 震 度 毎 の 建 物 全 半 壊 率 ( 木 造 ) 100 90 80 70 1971 年 以 前 1972~1980 年 1981 年 以 降 建 物 被 害 率 [%] 60 50 40 30 20 10 0 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 6.7 6.8 6.9 7.0 5 強 6 弱 測 震 度 6 強 7 図 4.3.3(2) 測 震 度 毎 の 建 物 全 半 壊 率 ( 非 木 造 ) 1-45

4.3.2 液 状 化 による 建 物 被 害 液 状 化 による 建 物 被 害 は 横 浜 市 (2012) 2 の 手 法 を 用 い 液 状 化 によって 生 じた 地 盤 変 状 に よって 被 害 を 受 ける 建 物 の 被 害 を 想 定 する 図 4.3.4 に 液 状 化 による 建 物 被 害 の 想 定 フローを 示 す 同 図 に 示 すように 液 状 化 の 影 響 を 受 ける 建 物 棟 数 に 液 状 化 面 積 率 と 液 状 化 による 建 物 被 害 率 を 掛 けることにより 推 す る 液 状 化 による 建 物 被 害 率 には 全 壊 率 大 規 模 半 壊 率 半 壊 率 があり それぞれの 値 を 用 いて 全 壊 棟 数 大 規 模 半 壊 棟 数 半 壊 棟 数 を 算 出 する 図 4.3.4 液 状 化 による 建 物 被 害 の 想 定 フロー 表 4.3.1 に 液 状 化 面 積 率 を 示 す また 表 4.3.2 に 液 状 化 による 建 物 被 害 率 を 示 す 横 浜 市 (2012) 2 の 手 法 は 東 日 本 大 震 災 の 千 葉 県 浦 安 市 や 船 橋 市 での 液 状 化 による 建 物 被 害 の 実 績 をベースとした 東 京 都 (2012) 3 の 手 法 で 0<P L 値 5 における 液 状 化 面 積 率 と 建 物 被 害 率 とを 見 直 したものである 具 体 には 0<P L 値 5 において 千 葉 県 浦 安 市 や 船 橋 市 以 外 の 他 地 域 ならびに 既 往 地 震 の 経 験 から 液 状 化 の 発 生 は 稀 であることから 面 積 率 は 2% 被 害 率 は 0%と 設 定 したものである 4 なお 内 閣 府 (2003) 5 にて 想 定 されているように 杭 支 持 の 建 物 は 液 状 化 被 害 を 受 けないと し 杭 の 有 無 の 情 報 が 不 明 のため 4 階 建 て 以 上 の 建 物 すべてと 昭 和 55 年 以 降 の 3 階 建 て 以 下 の 20%を 杭 あり と 想 定 する 2 横 浜 市 : 横 浜 市 地 震 被 害 想 定 調 査 報 告 書 2012 年 3 東 京 都 防 災 会 議 地 震 部 会 : 首 都 直 下 地 震 等 による 東 京 の 被 害 想 定 報 告 書 2012 年 4 岩 崎 敏 男 龍 岡 文 夫 常 田 賢 一 安 田 進 : 地 震 時 地 盤 液 状 化 の 程 度 の 予 測 について 土 と 基 礎 Vol.28 No.4 pp.23-29 1980 年 5 内 閣 府 中 央 防 災 会 議 東 南 海 南 海 地 震 等 に 関 する 専 門 調 査 会 : 東 南 海 南 海 地 震 に 係 る 被 害 想 定 結 果 2003 年 1-46

表 4.3.1 液 状 化 面 積 率 と 液 状 化 危 険 度 の 関 係 液 状 化 危 険 度 (P L 値 区 分 ) 液 状 化 面 積 率 備 考 15<P L 65% 東 京 都 (2012) 3 による 5<P L 15 18% 東 京 都 (2012) 3 による 0<P L 5 2% 岩 崎 ら(1980) 4 に 基 づく P L =0 0% 東 京 都 (2012) 3 による 表 4.3.2 液 状 化 による 建 物 被 害 率 全 壊 率 大 規 模 半 壊 率 半 壊 率 0.60% 7.96% 14.38% 注 ) 0<P L 5では 建 物 被 害 率 は0% 揺 れによる 建 物 被 害 とのダブルカウント 除 去 については 以 下 の 方 法 で 行 う 全 壊 棟 数 のダブルカウント 除 去 ( 液 状 化 による 全 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 後 >) =( 液 状 化 による 全 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 前 >) {1 -( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 率 )} ( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 率 ) =( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 棟 数 ) ( 当 該 メッシュの 全 建 物 棟 数 ) 大 規 模 半 壊 棟 数 半 壊 棟 数 のダブルカウント 除 去 揺 れによる 半 壊 棟 数 だけでなく 全 壊 棟 数 も 除 去 する 必 要 があるため 全 半 壊 率 により 除 去 を 行 う ( 液 状 化 による 大 規 模 半 壊 棟 数 半 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 後 >) =( 液 状 化 による 大 規 模 半 壊 棟 数 半 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 前 >) {1 -( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 半 壊 率 )} ( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 半 壊 率 ) =( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 半 壊 棟 数 ) ( 当 該 メッシュの 全 建 物 棟 数 ) 1-47

4.3.3 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 は 内 閣 府 ( 首 都 直 下 2013)の 手 法 を 用 い 地 震 の 揺 れによ ってがけ 崩 れ( 急 傾 斜 地 の 崩 壊 )が 発 生 し 崩 壊 した 土 砂 によって 被 害 を 受 ける 建 物 の 被 害 を 想 定 する 図 4.3.5 に 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 の 想 定 フローを 示 す 同 図 に 示 すように 急 傾 斜 地 崩 壊 により 影 響 を 受 ける 建 物 棟 数 に 急 傾 斜 地 の 崩 壊 確 率 と 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 率 を 掛 けることにより 推 する 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 率 には 全 壊 率 と 半 壊 率 が あり それぞれの 値 を 用 いて 全 壊 棟 数 と 半 壊 棟 数 を 算 出 する 図 4.3.5 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 の 想 定 フロー 急 傾 斜 地 崩 壊 により 影 響 を 受 ける 建 物 棟 数 については 急 傾 斜 地 の 崩 壊 による 災 害 の 防 止 に 関 する 法 律 の 考 え 方 に 基 づき 土 砂 災 害 危 険 区 域 (イエローゾーン)に 該 当 するものを 対 象 とする 表 4.3.3 に 急 傾 斜 地 の 崩 壊 確 率 を 示 す この 崩 壊 確 率 は 近 年 発 生 した 直 下 地 震 の 事 例 (2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 2008 年 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 )を 踏 ま え 崩 壊 危 険 度 ランク 別 に 設 定 されたものである なお ランク B と C で 崩 壊 確 率 0%とな っているが あくまで 全 体 の 崩 壊 箇 所 数 を 推 するためのものであり ランク B と C が 必 ず 安 全 ということではない 表 4.3.3 急 傾 斜 地 の 崩 壊 確 率 危 険 度 ランク 崩 壊 確 率 A 10% B 0% C 0% 1-48

また 表 4.3.4 に 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 の 被 害 率 を 示 す この 建 物 被 害 率 は 1978 年 宮 城 県 沖 地 震 1978 年 伊 豆 大 島 近 海 地 震 を 踏 まえ 震 度 階 別 に 設 定 されたものである 表 4.3.4 急 傾 斜 地 崩 壊 による 建 物 被 害 率 被 害 区 分 ~ 震 度 4 震 度 5 弱 震 度 5 強 震 度 6 弱 震 度 6 強 震 度 7 全 壊 率 0% 6% 12% 18% 24% 30% 半 壊 率 0% 14% 28% 42% 56% 70% 揺 れ 液 状 化 による 被 害 とのダブルカウント 除 去 については 以 下 の 方 法 で 行 う 全 壊 棟 数 のダブルカウント 除 去 ( 急 傾 斜 地 崩 壊 による 全 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 後 >) =( 急 傾 斜 地 崩 壊 による 全 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 前 >) {1 -( 当 該 メッシュの 揺 れ 液 状 化 による 全 壊 率 )} ( 当 該 メッシュの 揺 れ 液 状 化 による 全 壊 率 ) ={( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 棟 数 )+( 当 該 メッシュの 液 状 化 による 全 壊 棟 数 )} ( 当 該 メッシュの 全 建 物 棟 数 ) 半 壊 棟 数 のダブルカウント 除 去 揺 れ 液 状 化 による 半 壊 棟 数 ( 液 状 化 については 大 規 模 半 壊 棟 数 含 む)だけでなく 全 壊 棟 数 も 除 去 する 必 要 があるため 全 半 壊 率 により 除 去 を 行 う ( 急 傾 斜 地 崩 壊 による 半 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 後 >) =( 急 傾 斜 地 崩 壊 による 半 壊 棟 数 <ダブルカウント 除 去 前 >) {1 -( 当 該 メッシュの 揺 れ 液 状 化 による 全 半 壊 率 )} ( 当 該 メッシュの 揺 れ 液 状 化 による 全 半 壊 率 ) ={( 当 該 メッシュの 揺 れによる 全 壊 半 壊 棟 数 )+ ( 当 該 メッシュの 液 状 化 による 全 壊 大 規 模 半 壊 半 壊 棟 数 )} ( 当 該 メッシュの 全 建 物 棟 数 ) 1-49

4.3.4 火 災 による 建 物 被 害 火 災 による 建 物 被 害 は 内 閣 府 ( 南 海 トラフ 2013)の 手 法 を 用 い 建 物 の 被 害 と 用 途 構 造 別 の 建 物 データを 基 に 建 物 被 害 に 起 因 する 出 火 件 数 を 想 定 する また 消 防 力 運 用 によ る 消 火 を 考 慮 した 上 で 市 街 地 延 焼 の 想 定 し 焼 失 棟 数 を 想 定 する (1) 前 提 条 件 以 下 の 方 針 で 火 災 被 害 想 定 を 行 う 出 火 条 件 や 気 象 条 件 の 異 なる 代 表 的 3 条 件 冬 深 夜 夏 12 時 冬 18 時 で 想 定 する 風 向 風 速 の 条 件 については さいたま 市 の 実 際 の 気 象 観 測 データに 基 づき 設 定 する 出 火 要 因 として 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 ( 建 物 倒 壊 しない 場 合 建 物 倒 壊 した 場 合 ) 電 気 機 器 配 線 からの 出 火 の3つの 要 因 を 考 慮 する 消 防 力 については ポンプ 車 台 数 や 消 防 水 利 に 基 づき 設 定 する 建 物 位 置 用 途 等 については 1 棟 単 位 で 設 定 し 延 焼 可 能 性 を 検 討 する 建 物 の 用 途 別 震 度 別 の 出 火 率 等 に 基 づき 全 出 火 件 数 から 残 出 火 件 数 までを 順 次 算 出 す る 加 藤 ら(2006) 6 によるクラスター 法 を 用 いて 火 災 による 焼 失 棟 数 を 算 出 する 図 4.3.6 に クラスター 法 による 火 災 被 害 の 想 定 フローを 示 す この 手 法 は 近 年 の 被 害 想 定 で 利 用 例 が 多 く 従 来 用 いられてきた 延 焼 速 度 式 と 比 較 すると 出 火 点 に 左 右 されない こと 市 街 地 の 空 間 特 性 をよく 反 映 できること 等 が 利 点 として 挙 げられる 季 節 時 間 帯 の 設 定 建 物 単 体 データ 震 度 分 布 初 期 消 火 成 功 率 全 出 火 件 数 建 物 用 途 別 震 度 別 出 火 率 気 象 台 データ 風 向 風 速 の 設 定 建 物 属 性 気 象 条 件 建 物 単 体 データ 構 造 消 防 力 による 消 火 可 能 件 数 炎 上 出 火 件 数 残 火 災 件 数 延 焼 限 界 距 離 によるクラスターの 生 成 ( 延 焼 運 命 共 同 体 ) クラスターデータベースの 作 成 加 藤 ら(2006)の 手 法 建 物 ごとの 焼 失 率 算 定 焼 失 棟 数 の 算 定 図 4.3.6 火 災 被 害 の 想 定 フロー 6 加 藤 孝 明 程 洪 亜 力 坤 玉 素 甫 山 口 亮 名 取 晶 子 : 建 物 単 体 データを 用 いた 全 スケール 対 応 出 火 確 率 統 合 型 の 地 震 火 災 リスクの 評 価 手 法 の 構 築 地 域 安 全 学 会 論 文 集 No.8 2006 年 1-50

(2) 想 定 季 節 時 間 および 気 象 条 件 1) 季 節 時 間 帯 冬 深 夜 夏 12 時 冬 18 時 とする 2) 風 速 風 向 風 速 について 平 均 風 速 値 については 気 象 データを 1992 年 ~2012 年 の 期 間 で 収 集 し 夏 季 と 冬 季 の 風 速 (10 分 間 平 均 風 速 の 1 日 における 最 大 値 )について 観 測 標 高 10mに 換 算 した 上 で 平 均 値 を 算 出 し 設 定 する 強 風 値 については 内 閣 府 ( 南 海 トラフ 2013)で 想 定 されている 8.0m/s とする 風 向 について 気 象 データを 1992 年 ~2012 年 の 期 間 で 収 集 し 風 速 データと 同 時 期 の 度 数 分 布 から 最 多 風 向 を 設 定 する 表 4.3.5 に 本 調 査 で 用 いた 想 定 季 節 時 間 および 気 象 条 件 を 示 す 表 4.3.5 想 定 季 節 時 間 および 気 象 条 件 季 節 時 間 帯 冬 深 夜 夏 12 時 冬 18 時 風 向 北 北 西 東 北 北 西 風 速 ( 平 均 風 速 時 ) 5.1m/s 4.0m/s 5.1m/s 風 速 ( 強 風 時 ) 8.0m/s 8.0m/s 8.0m/s (3) 出 火 件 数 の 想 定 出 火 要 因 については 1) 建 物 倒 壊 しない 場 合 の 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 2) 建 物 倒 壊 した 場 合 の 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 3) 電 気 機 器 配 線 からの 出 火 の 3 つを 想 定 する 初 期 消 火 による 出 火 数 減 少 を 考 慮 した 炎 上 出 火 件 数 が 消 防 活 動 の 対 象 となる ( 総 出 火 数 )=( 火 気 器 具 電 熱 器 具 による 出 火 数 )+( 電 気 機 器 配 線 による 出 火 数 ) (4.3.1) 1) 建 物 倒 壊 しない 場 合 の 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 建 物 倒 壊 しない 場 合 は 震 度 および 建 物 用 途 別 の 出 火 率 から 出 火 件 数 を 算 定 する 全 出 火 件 数 = 震 度 別 用 途 別 出 火 率 用 途 別 要 因 数 (4.3.2) 1-51

表 4.3.6 建 物 倒 壊 しない 場 合 の 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 率 冬 深 夜 建 物 用 途 震 度 5 弱 震 度 5 強 震 度 6 弱 震 度 6 強 震 度 7 飲 食 店 0.0003% 0.0009% 0.0047% 0.0188% 0.0660% 物 販 店 0.0001% 0.0004% 0.0013% 0.0059% 0.0510% 病 院 0.0002% 0.0004% 0.0014% 0.0075% 0.1180% 診 療 所 0.0000% 0.0002% 0.0005% 0.0018% 0.0070% 事 務 所 等 その 他 事 務 所 0.0000% 0.0001% 0.004% 0.0020% 0.0110% 住 宅 共 同 住 宅 0.0002% 0.0006% 0.0021% 0.0072% 0.0260% 夏 12 時 建 物 用 途 震 度 5 弱 震 度 5 強 震 度 6 弱 震 度 6 強 震 度 7 飲 食 店 0.0029% 0.0076% 0.0346% 0.1152% 0.3310% 物 販 店 0.0005% 0.0015% 0.0071% 0.0253% 0.1230% 病 院 0.0009% 0.0016% 0.0070% 0.0296% 0.3130% 診 療 所 0.0004% 0.0004% 0.0016% 0.0050% 0.0230% 事 務 所 等 その 他 事 務 所 0.0005% 0.0017% 0.0083% 0.0313% 0.1830% 住 宅 共 同 住 宅 0.0003% 0.0003% 0.0013% 0.0043% 0.0210% 冬 18 時 建 物 用 途 震 度 5 弱 震 度 5 強 震 度 6 弱 震 度 6 強 震 度 7 飲 食 店 0.0047% 0.0157% 0.0541% 0.1657% 0.5090% 物 販 店 0.0007% 0.0022% 0.0085% 0.0302% 0.1580% 病 院 0.0008% 0.0017% 0.0072% 0.0372% 0.5290% 診 療 所 0.0004% 0.0010% 0.0036% 0.0130% 0.0410% 事 務 所 等 その 他 事 務 所 0.0003% 0.0012% 0.0052% 0.0216% 0.1770% 住 宅 共 同 住 宅 0.0010% 0.0034% 0.0109% 0.0351% 0.1150% 2) 建 物 倒 壊 した 場 合 の 火 気 器 具 電 熱 器 具 からの 出 火 全 壊 建 物 の 内 3 割 を 倒 壊 と 考 える 7 阪 神 淡 路 大 震 災 時 の 事 例 から 冬 における 倒 壊 建 物 1 棟 あたり 出 火 率 を 0.0449%とし さらに 時 刻 別 に 補 正 する 暖 房 器 具 類 を 使 わない 夏 の 場 合 には 倒 壊 建 物 1 棟 あたり 出 火 率 を 0.0286%とする 時 間 補 正 係 数 は 1.0( 深 夜 ) 2.2(12 時 ) 3.4(18 時 )とする 建 物 倒 壊 した 場 合 の 全 出 火 件 数 = 建 物 倒 壊 棟 数 季 節 時 間 帯 別 の 倒 壊 建 物 1 棟 あたり 出 火 率 ここで 季 節 時 間 帯 別 の 倒 壊 建 物 1 棟 あたり 出 火 率 : 0.0449%( 冬 深 夜 ) 0.0629%( 夏 12 時 ) 0.153%( 冬 18 時 ) (4.3.3) 3) 電 気 機 器 配 線 による 出 火 数 電 気 機 器 配 線 からの 出 火 は 建 物 全 壊 の 影 響 を 強 く 受 けると 考 え 全 壊 率 との 関 係 で 設 定 する 7 火 災 予 防 審 議 会 東 京 消 防 庁 : ( 東 京 都 第 16 期 火 災 予 防 審 議 会 答 申 ) 地 震 時 における 人 口 密 集 地 域 の 災 害 危 険 要 因 の 解 明 と 消 防 対 策 について 2005 年 1-52

電 気 機 器 からの 出 火 件 数 =0.044% 全 壊 棟 数 (4.3.4) 配 線 からの 出 火 件 数 =0.030% 全 壊 棟 数 (4.3.5) (4) 消 火 率 の 設 定 1) 住 民 による 初 期 消 火 表 4.3.7 に 住 民 による 初 期 消 火 成 功 率 を 示 す 同 表 は 東 京 消 防 庁 (2011)の 出 火 危 険 度 測 定 ( 第 8 回 )における 住 宅 の 初 期 消 火 成 功 率 である 次 式 で 炎 上 出 火 件 数 を 算 出 する 炎 上 出 火 件 数 =(1- 初 期 消 火 成 功 率 ) 全 出 火 件 数 (4.3.6) 表 4.3.7 住 民 による 初 期 消 火 成 功 率 震 度 6 弱 以 下 6 強 7 初 期 消 火 率 67% 30% 15% 2) 消 防 力 運 用 による 消 火 現 況 の 消 防 力 と 阪 神 淡 路 大 震 災 での 消 火 実 績 等 をもとにしたマクロ 式 を 適 用 する 消 防 ポンプ 車 台 数 小 型 動 力 ポンプ 数 および 消 防 水 利 数 をもとに 消 火 可 能 件 数 を 算 定 する な お 式 (4.3.7)の 係 数 0.3 は 平 均 風 速 時 のものであり 強 風 時 は 0.2 とする 表 4.3.8 に 区 毎 の 消 火 可 能 件 数 を 示 す 想 定 される 炎 上 出 火 件 数 と 消 火 可 能 件 数 とを 比 較 し 残 火 災 件 数 を 算 定 する この 残 火 災 件 数 が 消 防 力 で 食 い 止 めることが 出 来 ず 延 焼 拡 大 するものと 想 定 する なお 消 防 運 用 に よりすべての 炎 上 出 火 を 消 し 止 められた 場 合 においても 平 均 的 に 5 棟 / 件 の 焼 失 があるも のとして 1 消 火 件 数 あたり 5 棟 が 焼 失 するものとする 消 火 可 能 件 数 ( 発 災 直 後 )=0.3 ( 消 防 ポンプ 自 動 車 数 /2+ 小 型 動 力 ポンプ 数 /4) {1-(1-61,544/ 市 街 地 面 積 (m 2 水 利 数 )) } (4.3.7) 残 火 災 件 数 = 炎 上 出 火 件 数 - 消 火 可 能 火 災 件 数 (4.3.8) 表 4.3.8 消 火 可 能 件 数 市 街 地 面 積 [ha] 消 防 ポンプ 車 数 消 防 署 [ 台 ] 消 防 団 [ 台 ] 小 型 動 力 ポンプ 数 消 防 ポンプ 車 数 小 型 動 力 ポンプ 数 消 防 水 利 [ 箇 所 ] 消 火 可 能 件 数 [ 件 ] 平 均 風 速 時 強 風 時 西 区 745.9 5 3 3 4 327 1.6 1.1 北 区 963.8 5 2 3 3 797 1.6 1.0 大 宮 区 723.1 7 4 7 7 738 2.9 1.9 見 沼 区 1,114.0 6 3 4 4 613 2.0 1.3 中 央 区 482.9 3 2 6 6 432 1.9 1.3 桜 区 599.8 6 4 5 5 246 2.1 1.4 浦 和 区 679.7 7 4 8 8 342 3.0 2.0 南 区 772.2 4 3 7 7 441 2.3 1.6 緑 区 787.7 5 4 8 8 316 2.6 1.7 岩 槻 区 1,293.2 7 5 11 11 329 3.1 2.1 8,162.3 55 34 62 63 4,581 23.2 15.4 1-53