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スライド 1

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

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現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

スライド 1

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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5

 

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は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

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(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

1

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(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%

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4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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空 き 家 を 売 却 した 場 合 の,000 万 円 控 除 特 例 の 創 設 被 相 続 人 が 住 んでいた 家 屋 及 びその 敷 地 を 相 続 があった 日 から 年 を 経 過 する 年 の 月 日 までに 耐 震 工 事 をしてから あるいは 家 を 除 却 し てから 売 却

Transcription:

3 マンション 居 住 の 課 題 3.1 マンションの 課 題 3.1.1 管 理 の 課 題 国 土 交 通 省 の 平 成 20 年 度 マンション 総 合 調 査 によれば マンション 居 住 で 最 も 問 題 (トラブル)とな ることは 居 住 者 間 のマナー 63.4%である 次 いで 建 物 の 不 具 合 36.8% 費 用 負 担 (その 大 部 分 は 管 理 費 等 の 滞 納 ) 32.0% 近 隣 関 係 18.4% 管 理 組 合 の 運 営 12.2%となっている これら 問 題 の 解 決 にあたっては 管 理 組 合 内 で 話 し 合 った 75.7%が 最 も 多 く 次 いで マンション 管 理 業 者 に 相 談 した 50.9% 当 事 者 間 で 話 し 合 った 28.8%の 順 で 多 い マンション 管 理 組 合 は マンションの 区 分 所 有 者 から 構 成 され マンション 管 理 上 の 最 高 意 思 決 定 機 関 である 管 理 組 合 の 運 営 が 問 題 とされることもあるが 問 題 処 理 機 能 も 含 め マンション 管 理 上 重 要 な 機 能 を 担 っている しかしながら 近 年 とりわけ 築 年 数 の 長 期 経 過 したマンションの 管 理 組 合 においては 多 くの 課 題 がみられる 国 交 省 の 統 計 では マンション 管 理 組 合 運 営 への 将 来 不 安 は 区 分 所 有 者 の 高 齢 化 51.1% 管 理 組 合 活 動 に 無 関 心 な 区 分 所 有 者 の 増 加 35.9% 居 住 ルールを 守 らない 居 住 者 の 増 加 28.3%があげられる 表 2 管 理 組 合 運 営 における 将 来 への 不 安 区 分 所 有 者 の 高 齢 化 51.1% 管 理 組 合 活 動 に 無 関 心 な 区 分 所 有 者 の 増 加 35.9% 居 住 ルールを 守 らない 居 住 者 の 増 加 28.3% 大 規 模 修 繕 工 事 の 実 施 27.5% 修 繕 積 立 金 の 不 足 24.4% 賃 貸 住 戸 の 増 加 24.0% 大 規 模 地 震 による 建 物 損 壊 20.8% 管 理 費 等 の 未 払 いの 増 加 20.2% ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 (2010.7) 分 譲 マンションの 政 策 に 関 するご 意 見 募 集 について より 本 小 委 員 会 作 成 また 東 京 都 内 のマンション 管 理 の 課 題 には 管 理 組 合 不 在 のマンションがあること( 管 理 組 合 が ない 1.0%)+ 不 明 4.2% ) 管 理 規 約 の 認 知 度 が 高 くはないこと( 認 知 していない 割 合 31.9%) 管 理 規 約 不 在 マンションが 存 在 すること(0.7%) 今 後 の 懸 念 として 居 住 者 の 高 齢 化 が 進 む 中 で 管 理 組 合 役 員 のなり 手 不 足 管 理 組 合 活 動 への 無 関 心 層 の 増 加 賃 貸 化 による 賃 貸 オーナーと 居 住 者 と の 意 識 の 違 い などがある これら 要 因 が 管 理 組 合 の 運 営 をより 困 難 にし ひいてはマンション 管 理 の 空 洞 化 が 懸 念 されるところである こうした 管 理 の 課 題 に 対 し 管 理 組 合 独 自 の 取 り 組 みが 行 われている 複 数 の 管 理 組 合 が 連 携 し 知 識 情 報 や 経 験 を 共 有 し マンション 内 の 管 理 担 い 手 やコミュニティを 醸 成 することで 自 立 的 な 管 16

理 運 営 を 行 う 事 例 がみられる( 社 会 資 本 整 備 審 議 会, 2009) また 国 は マンションの 管 理 の 適 正 化 の 推 進 に 関 する 法 律 ( 平 成 12 年 法 律 第 149 号 )に 基 づき 一 定 の 施 策 を 講 じてきた 東 京 都 では 管 理 に 係 るガイドラインの 作 成 ( 平 成 17 年 施 行 平 成 21 年 改 訂 )や 相 談 支 援 ( 分 譲 マンション 管 理 アド バイザー 制 度 平 成 12 年 施 行 専 門 相 談 制 度 平 成 14 年 度 施 行 ) 等 の 政 策 支 援 を 行 ってきた しかしながら マンションの 急 増 と 老 朽 ストックの 増 加 に 加 え 居 住 者 の 高 齢 化 とマンションへの 永 住 意 識 が 高 まる 現 在 課 題 を 抱 えるマンションへの 数 量 的 な 対 応 が 今 後 の 課 題 である 3.1.2 修 繕 改 良 の 課 題 マンションに 限 らず 建 物 の 多 くは 躯 体 の 安 全 性 や 環 境 の 快 適 性 の 確 保 不 動 産 の 資 産 価 値 の 維 持 向 上 のため 計 画 的 な 管 理 や 修 繕 が 必 要 である 戸 建 または 共 同 の 住 宅 形 態 に 関 係 なく 国 民 が 住 まいの 住 み 替 えや 改 善 を 行 う 目 的 は 住 環 境 の 快 適 性 の 確 保 と ライフスタイルの 変 化 に 伴 う 居 住 空 間 の 改 善 にある( 国 土 交 通 省, 2010.6) 一 般 の 建 物 や 住 まいと 同 様 に マンションの 維 持 管 理 においても 計 画 的 な 修 繕 改 修 や 改 良 が 必 要 であり またマンション 建 替 えの 理 由 も 建 物 の 物 的 劣 化 や 市 場 的 陳 腐 化 への 対 応 を 事 由 とするこ とが 多 い マンションの 修 繕 周 期 の 目 安 は 屋 根 防 水 や 外 壁 塗 装 などの 簡 便 な 修 繕 を 行 う 場 合 は 12 年 設 備 修 繕 における 部 位 取 替 を 行 う 場 合 は 30 年 ~40 年 程 度 が 標 準 とされる これら 物 的 劣 化 への 修 繕 工 事 に 加 え その 時 代 の 社 会 環 境 や 技 術 水 準 に 応 じて 居 住 機 能 のグレ ードアップを 行 う 改 良 工 事 も 必 要 である 特 に 老 朽 化 マンションでは 耐 震 性 能 向 上 やバリアフリー 化 情 報 通 信 設 備 の 整 備 など マンションの 大 規 模 修 繕 や 改 良 が 必 要 である 更 に このような 修 繕 改 良 を 実 施 し マンションの 計 画 的 維 持 管 理 を 実 現 するには 長 期 修 繕 計 画 や 修 繕 積 立 金 が 準 備 され ていることが 重 要 である しかしながら マンション 所 有 者 の 間 では マンションの 修 繕 改 良 の 必 要 性 への 認 識 の 差 や 工 事 費 用 支 払 能 力 の 有 無 ライフスタイルやライフサイクルに 違 いがあることから マンション 全 体 での 修 繕 改 良 に 向 けた 気 運 醸 成 が 難 しく 工 事 へと 至 るための 合 意 形 成 が 容 易 ではない マンション 修 繕 や 改 良 を 阻 害 する 具 体 的 な 課 題 は 管 理 組 合 の 役 員 に 修 繕 や 改 良 工 事 に 関 する 知 識 や 経 験 が 乏 しいこと 長 期 修 繕 計 画 策 定 率 が 低 いこと 定 期 的 な 計 画 修 繕 を 実 施 しているマンシ ョンは 少 ないこと 修 繕 資 金 の 蓄 積 が 実 際 修 繕 にかかる 費 用 と 比 較 して 不 足 する 傾 向 にあること 修 繕 積 立 金 の 滞 納 が 多 く 計 画 的 修 繕 改 良 の 実 施 を 妨 げていることが 指 摘 されるところである( 財 団 法 人 日 本 住 宅 総 合 センター, 2004) 老 朽 化 マンションの 修 繕 改 修 や 改 良 が 進 まない 一 方 で 建 物 劣 化 に 対 して 当 面 の 居 住 には 差 し 支 えない 程 度 の 修 繕 を 行 い マンションの 老 朽 化 による 問 題 を 一 時 的 にしのいでいるマンションが 出 現 していることは 先 項 2.3.2 で 述 べたところである 本 来 このような 問 題 を 先 送 りするような 応 急 措 置 ではなく ある 一 定 の 水 準 に 達 した 修 繕 や 改 良 を 行 うべきであるが いくつかの 課 題 が 相 俟 って 阻 害 要 因 となり マンションの 修 繕 や 改 良 を 妨 げてい る 実 情 にある 17

3.1.3 建 替 えの 課 題 マンションの 建 替 えは 管 理 組 合 での 検 討 すら 進 んでいない 国 土 交 通 省 の 平 成 20 年 度 マンション 総 合 調 査 によれば 全 国 のマンション 管 理 組 合 では 建 替 えを 具 体 的 に 検 討 している 0.5% 検 討 しているが 問 題 が 多 く 進 んでいない 1.4%と 建 替 えを 検 討 している 管 理 組 合 は 少 なく 全 く 検 討 して いない 65.7% 建 替 えより 当 面 は 改 修 工 事 で 対 応 していく 13.8%であり 建 替 えよりも 修 繕 改 修 を 予 定 している 管 理 組 合 が 多 いことが 伺 える( 図 5) 東 京 都 においても 4 割 以 上 の 管 理 組 合 が 建 替 えをまったく 検 討 しておらず 建 替 えへの 関 心 の 低 さや 建 替 え 費 用 の 負 担 が 建 替 え 検 討 の 阻 害 要 因 であることが 明 らかにされている 実 際 全 国 のマンションの 建 替 え 事 例 は 平 成 21 年 10 月 時 点 で 138 件 実 施 中 も 35 件 と 少 ない( 図 5) また 東 京 都 においても 都 認 可 の(マンション 建 替 え 円 滑 化 法 による) 建 替 え 件 数 は 平 成 21 年 10 月 までで 21 件 であった( 東 京 都 都 市 整 備 局, 2010) マンション 建 替 えの 具 体 的 な 課 題 には 現 在 のマンションが 既 存 不 適 格 ( 斜 線 制 限 容 積 率 規 制 2 項 道 路 規 定 用 途 規 制 等 )である 場 合 の 問 題 や 検 討 費 用 の 確 保 の 難 しさ 修 繕 改 修 や 改 良 また は 建 替 えの 判 断 の 難 しさ 高 齢 居 住 者 や 低 所 得 者 などの 個 別 事 情 への 配 慮 が 必 要 であること など がある 図 5 全 国 のマンション 建 替 えの 現 状 ( 出 典 ) 国 土 交 通 省 (2010) マンション 建 替 え 事 業 の 実 施 状 況 18

3.2 都 市 の 課 題 3.2.1 日 常 の 課 題 老 朽 化 マンションの 課 題 を 放 置 しておくことは 防 犯 性 や 資 産 価 値 の 低 下 を 招 き マンション 全 体 や 地 域 社 会 に 悪 影 響 を 与 える 可 能 性 がある マンションの 老 朽 化 が 進 み 適 切 な 管 理 が 行 われていない 場 合 建 物 や 生 活 上 のトラブルが 多 発 するケースが 多 い 老 朽 化 による 課 題 を 放 置 しておけば 建 物 躯 体 のさらなる 劣 化 マンションの 資 産 価 値 の 逓 減 居 住 者 の 愛 着 の 低 下 居 住 者 の 流 出 マンション 賃 貸 化 や 転 貸 化 管 理 への 無 関 心 拡 大 管 理 組 合 運 営 の 困 難 さ 拡 大 入 居 者 減 少 と 環 境 の 悪 化 要 因 が 連 鎖 する 可 能 性 が 高 い 一 旦 マンションに 空 き 部 屋 が 出 現 し 増 加 すると マンションコミュニティが 崩 壊 適 正 管 理 がきわめ て 難 しくなり 物 的 にも 質 的 にもマンションが 荒 廃 していく これまでの 研 究 調 査 では 共 同 住 宅 の 管 理 不 足 や 荒 廃 が 廃 棄 物 の 不 法 投 棄 等 の 環 境 犯 罪 と 強 い 関 連 があること 適 正 管 理 の 行 われない 民 営 借 家 率 は 住 宅 侵 入 窃 盗 等 の 犯 罪 被 害 率 を 高 めるこ と( 雨 宮, 2009) 1950 年 代 から60 年 代 のイギリスでは 高 密 度 で 管 理 要 員 や 管 理 装 備 が 欠 けた 大 規 模 な 共 同 住 宅 ( 社 会 賃 貸 住 宅 等 )では 深 刻 な 犯 罪 被 害 が 社 会 問 題 になったこと 一 方 全 体 規 模 が 小 さく 住 民 が 自 主 管 理 する 共 同 住 宅 では 安 全 安 心 性 の 高 い 居 住 生 活 が 営 まれたこと(カフーン, 2009) 世 界 的 な 統 計 データからは 犯 罪 発 生 場 所 は 偏 っており 都 市 の 一 部 の 脆 弱 な 場 所 に 集 中 す ること 英 国 など 幾 つかの 先 進 国 では 自 然 災 害 と 同 様 に 都 市 計 画 や 居 住 政 策 と 犯 罪 犯 罪 不 安 と を 結 びつけた 解 決 プログラムが 採 用 されていること 国 連 ハビタットの Safer Cities Program の 主 要 戦 略 として 都 市 計 画 政 策 による 物 的 環 境 変 化 が 犯 罪 抑 止 のアウトカムを 生 んでいること(シュナイ ダー, 2009) などが 明 らかにされている( 社 団 法 人 日 本 都 市 計 画 学 会, 2009) 老 朽 化 マンションの 課 題 放 置 がもたらす 日 常 の 課 題 に 対 し マンションの 立 地 する 地 域 において 防 犯 まちづくり 活 動 が 期 待 されるところである しかし 地 域 まちづくりでは 自 治 会 や 町 内 会 が 主 体 と なることが 多 いが 日 頃 からマンション 居 住 者 との 接 点 が 乏 しく マンション 居 住 者 との 関 係 構 築 に 頭 を 悩 ます 自 治 会 や 町 内 会 が 多 い したがって 老 朽 化 マンション 課 題 から 派 生 する 地 域 課 題 の 根 本 的 解 決 を 地 域 まちづくりのみに 期 待 することは 難 しい マンション 管 理 組 合 を 主 体 として 課 題 に 取 り 組 まない 場 合 マンションの 課 題 は そのまま 地 域 の 不 安 要 因 や 課 題 となりかねない 3.2.2 災 害 時 の 課 題 老 朽 化 マンションへの 懸 念 は 日 常 の 市 場 価 値 の 低 下 や 防 犯 性 低 下 に 留 まらない 老 朽 化 マンションの 多 くは 耐 震 性 も 懸 念 されるから 災 害 時 における 建 物 倒 壊 の 可 能 性 が 高 い 建 物 が 倒 壊 した 場 合 都 市 構 造 にダメージを 与 え 災 害 時 の 緊 急 対 応 活 動 へ 影 響 を 与 えると 考 えら れる とりわけ 緊 急 輸 送 網 である 環 状 道 路 が 建 物 倒 壊 による 瓦 礫 で 塞 がると 緊 急 時 や 災 害 時 に 緊 急 輸 送 網 が 機 能 しない 本 小 委 員 会 の 調 べでは 環 状 七 号 線 および 環 状 八 号 線 沿 道 にも 耐 震 性 の 懸 念 される 老 朽 化 マンションが 数 多 く 認 められるところである( 図 6) これら 老 朽 化 マンションの 課 題 を 放 置 することは 大 規 模 災 害 時 に 二 次 災 害 を 引 き 起 こすリスクを 抱 えているといえよう 19

図 6 環 状 七 号 線 八 号 線 沿 いの 老 朽 化 マンション( 築 30 年 以 上 )の 分 布 ( 本 小 委 員 会 作 成 ) 図 7 マンション 建 物 旧 耐 震 / 新 耐 震 の 比 率 ( 左 ) 居 住 世 帯 当 たり/ 新 耐 震 普 及 率 ( 右 ) ( 出 典 ) 東 京 カンテイ(2005) マンションストック 500 万 戸 時 代 20

尚 東 京 都 では 2011 年 度 ( 平 成 23 年 度 )から 特 定 緊 急 輸 送 道 路 沿 いの 旧 耐 震 基 準 時 の 中 高 層 建 築 物 や 分 譲 マンションの 耐 震 診 断 を 条 例 で 義 務 付 けることが 先 日 決 まった( 平 成 22 年 12 月 14 日 ) これに 合 わせ 延 床 面 積 1 万 平 方 メートル 以 下 のビルと 分 譲 マンションに 限 り( 沿 道 対 象 建 築 物 の 96%) 基 礎 自 治 体 及 び 建 物 所 有 者 が 負 担 してきた 診 断 費 用 の 全 額 を 東 京 都 が 負 担 する 助 成 制 度 を 来 年 度 から 2013 年 度 までの 時 限 措 置 として 実 施 する 助 成 制 度 の 来 年 度 予 算 額 は 8 億 円 を 計 上 する 見 通 しである 3 か 年 の 時 限 措 置 とはいえ 所 有 者 負 担 金 額 がゼロ( 国 が 3 分 の 1 負 担 都 が 3 分 の 2 負 担 )となることから 耐 震 診 断 および 耐 震 補 強 の 促 進 が 大 いに 期 待 されるところである マンション 居 住 は 都 市 型 ライフスタイルとして 国 民 に 選 択 されてきた したがって 初 期 のマンショ ンの 多 くも 都 心 に 集 中 している つまり 老 朽 化 に 伴 う 耐 震 性 が 懸 念 されるマンションの 多 くは 都 心 部 に 集 中 しているということである 東 京 カンテイでは 首 都 圏 のマンション 建 物 の 新 旧 耐 震 比 率 ( 市 区 内 マンションのうち 旧 耐 震 と 新 耐 震 のいずれが 多 いか)と 総 世 帯 数 に 占 める 新 耐 震 建 物 比 率 ( 市 区 内 マンション 居 住 世 帯 総 数 のう ち 旧 耐 震 居 住 世 帯 と 新 耐 震 居 住 世 帯 のいずれが 多 いか)をまとめている( 図 7) 前 者 を 示 す 図 7 左 からは 新 耐 震 マンションの 比 率 が 低 い つまり 旧 耐 震 マンションが 多 い 都 市 ( 赤 色 )は 東 京 都 の 都 心 部 と 千 葉 県 の 西 部 に 集 中 している また 旧 耐 震 よりも 新 耐 震 マンションの 比 率 が 高 い つまり 旧 耐 震 より 新 耐 震 のマンションが 多 い 自 治 体 が 東 京 都 区 部 には 1 つも 存 在 しな い 次 に 総 世 帯 数 に 占 める 新 耐 震 基 準 のマンションストック 比 率 の 高 い 自 治 体 低 い 自 治 体 を 見 た ものが 図 7 右 である 東 京 都 心 部 は 全 世 帯 数 に 占 めるマンション 世 帯 の 比 率 が 高 く 中 央 区 では 全 世 帯 のうち 実 に 89.7% 港 区 では 81.5% 千 代 田 区 では 79.2%がマンション 世 帯 となっている 図 7 右 ( 青 色 )では 都 心 3 区 のいずれの 区 においても マンション 居 住 世 帯 全 体 としては 新 耐 震 マンショ ン 居 住 の 方 が 多 いことが 伺 える これらは 近 年 の 都 心 回 帰 に 伴 うマンション 建 設 ブームで 建 設 された 超 高 層 都 心 マンションが 該 当 する この 東 京 カンテイの 分 析 に 基 づくと 東 京 都 心 3 区 では 建 物 件 数 としては 旧 耐 震 のマンションスト ックが 多 いものの マンション 居 住 世 帯 数 では 新 耐 震 マンションへの 居 住 世 帯 が 多 い という 実 態 が 伺 える つまり マンション 居 住 者 の 多 くは 近 年 新 築 されたタワーマンションを 選 択 する 一 方 老 朽 化 マンションは 入 居 者 が 少 なく 空 室 化 しているといえよう マンションが 数 多 く 林 立 する 都 心 部 におい ては 物 件 の 新 旧 によって 市 場 ニーズが 大 きく 異 なり 競 争 も 激 しいことから 老 朽 化 マンションの 課 題 はより 強 調 されて 顕 在 化 する 可 能 性 が 高 い その 結 果 都 心 部 の 老 朽 化 マンションでは 資 産 価 値 が 低 下 し 適 正 な 管 理 や 更 新 がなされない 場 合 老 朽 化 による 課 題 が 加 速 的 に 現 出 する 危 険 性 があ る このような 老 朽 化 マンションが 頻 出 すると 都 市 の 中 に 脆 弱 性 の 高 い 空 間 を 生 み 出 すことになりか ねない 詳 細 な 実 態 把 握 とともに 課 題 解 決 策 の 検 討 が 必 要 である 21

3.3 市 場 の 課 題 マンションの 大 規 模 修 繕 や 建 替 えでは 始 めに 区 分 所 有 者 が 大 規 模 修 繕 または 建 替 えなどの 手 法 を 選 択 する いずれの 手 法 でも 資 金 や ノウハウ の 獲 得 区 分 所 有 者 間 での 合 意 形 成 が 必 要 で ある しかしながら 一 般 に これらのプロセスを 管 理 組 合 のみで 行 うことは 極 めて 困 難 であり これま での 成 功 事 例 は 事 業 者 の 事 業 参 加 や 専 門 家 による 支 援 があった 事 業 者 や 専 門 家 が 事 業 参 加 で きる 背 景 には マンションの 立 地 の 良 さや 建 替 えによって 保 留 床 が 確 保 できるなど 市 場 性 の 高 さ があった 現 在 は このような 好 条 件 のマンションは 減 少 しつつあり 市 場 性 の 低 いマンションの 修 繕 建 替 えをどのように 進 めるかが 課 題 である 3.3.1 市 場 に 乗 らないマンションの 制 約 市 場 に 乗 らないマンションとは 端 的 にいえば 郊 外 地 建 築 規 制 の 厳 しい 地 域 権 利 関 係 の 複 雑 な 地 域 や 大 規 模 な 団 地 型 マンション( 都 市 計 画 法 に 基 づく 一 団 地 の 住 宅 新 設 建 築 基 準 法 に 基 づく 一 団 地 認 定 の 法 規 制 が 掛 かっている) 等 である これらの 地 域 を 立 地 地 域 の 利 便 性 ( 都 心 駅 への 近 接 性 )と 供 給 戸 数 から 類 型 化 し 民 間 事 業 者 (デベロッパー 等 )が 協 力 可 能 なマンション 建 替 えのケースとして 整 理 したものが 表 3( 吉 野, 2010) である 表 3 民 間 事 業 者 (デベロッパー 等 )が 協 力 可 能 なマンション 建 替 えのケース 保 留 床 戸 数 立 地 地 域 大 量 ~50 戸 程 度 20 戸 程 度 わずか ゼロ 都 心 ~ 郊 外 駅 近 ~ 郊 外 駅 遠 ~ 凡 例 : 事 業 化 が 容 易 な 場 合 :リスクを 管 理 した 上 で 事 業 化 が 可 能 な 場 合 : 民 間 ベースでは 事 業 化 が 困 難 な 場 合 : 民 間 ベースでの 事 業 化 は 不 可 能 な 場 合 ( 出 典 ) 吉 野 智 幸 (2010) 本 小 委 員 会 第 2 回 マンション 問 題 調 査 研 究 小 委 員 会 プレゼンテーション 民 間 事 業 者 からの 事 業 協 力 は 1 都 心 駅 から 離 れれば 離 れるほど 2 供 給 戸 数 が 小 規 模 になれ ばなるほど 得 られにくい 事 業 者 側 の 採 算 が 取 りづらくなるからである ただし 仮 に 1 2のどち らかで 悪 条 件 であっても 全 体 として 採 算 性 が 確 保 できれば 事 業 者 側 の 事 業 協 力 が 望 める 場 合 があ る 一 方 郊 外 駅 近 の 地 域 例 えば 供 給 戸 数 500~2,000 戸 の 大 規 模 団 地 ( 例 : 多 摩 ニュータウン)の 場 合 には 売 れ 残 りなど 事 業 者 側 のリスクも 大 きい こうした 地 域 のマンション 建 替 えも 一 般 には 難 し い 場 合 が 多 い そして 両 条 件 が 悪 い 地 域 すなわち 郊 外 駅 遠 で マンション 需 要 も 小 さい 地 域 は 民 間 事 業 者 の 市 場 参 入 を 最 も 望 めないケースである また 既 存 不 適 格 建 物 では 建 替 えによって 住 戸 面 積 の 縮 小 が 余 儀 なくされる こうしたケースも 民 間 事 業 者 等 の 参 入 が 困 難 な 事 例 である 22

建 替 え 成 功 事 例 に 共 通 するのは 都 心 や 駅 前 など 立 地 条 件 の 良 く 保 留 床 の 確 保 できる 物 件 が 多 く 事 業 者 の 協 力 が 得 やすい 事 例 である しかしながら 今 後 は 事 業 協 力 者 の 得 られにくい 郊 外 地 や 建 築 規 制 の 厳 しい 地 域 あるいは 敷 地 が 共 有 になっている 大 規 模 団 地 などの 権 利 関 係 の 複 雑 な 地 域 において どのように 建 替 えを 行 って いくのかが 重 要 な 課 題 である 市 場 による 建 替 えが 進 まない 物 件 について 行 政 には 民 間 事 業 者 の 参 入 を 容 易 にするための 環 境 整 備 や 場 合 によっては 行 政 の 直 接 介 入 が 可 能 な 政 策 展 開 が 望 まれるところである 区 分 所 有 者 は 事 業 者 の 事 業 参 画 のインセンティブをどのように 働 かせるのか 行 政 専 門 家 の 協 力 を 得 ながら マンション 建 替 えのスキームを 早 い 段 階 から 話 し 合 うことが 重 要 である 3.3.2 都 市 計 画 地 域 まちづくりとの 整 合 マンションの 建 設 は その 一 定 の 敷 地 面 積 や 容 積 の 大 きさから 地 域 社 会 に 与 えるインパクトが 大 きい とりわけ 低 層 住 宅 地 に 高 層 マンションを 建 設 する 場 合 は 地 域 住 民 とマンション 建 設 側 とが 紛 争 になるケースがある このようなマンション 紛 争 を 避 けるため 近 年 基 礎 自 治 体 の 都 市 計 画 まち づくりの 施 策 では マンション 建 設 に 対 する 規 制 が 強 化 される 傾 向 にある 従 来 の 都 市 計 画 制 度 の 用 途 地 域 都 市 計 画 法 に 基 づく 開 発 許 可 や 建 築 基 準 法 の 建 築 確 認 など 土 地 利 用 関 係 法 令 による 規 制 更 に 2000 年 以 降 は 本 格 的 な 地 方 分 権 時 代 を 迎 え 強 制 力 のある 直 接 条 例 としてのまちづくり 条 例 の 策 定 が 各 地 で 制 定 されつつある 秦 野 市 まちづくり 条 例 (2000 年 )は 土 地 利 用 規 制 に 本 格 的 に 及 んだもので これまでの 指 導 要 綱 や 委 任 条 例 と 比 べて 強 制 力 がある このような 直 接 条 例 であるまちづくり 条 例 と 地 区 計 画 や 高 度 地 区 の 指 定 によって 中 高 層 のマンション 開 発 に 一 定 の 規 制 をかける 狙 いがある 地 域 住 民 のみならず マンション 居 住 者 にとっても 良 好 な 地 域 環 境 の 維 持 形 成 は 重 要 である 人 口 減 少 時 代 で 経 済 成 長 が 停 滞 する 市 場 の 中 安 全 で 良 質 な 真 に 資 産 価 値 の 高 いマンションの 建 設 には 都 市 計 画 や 地 域 まちづくりとの 整 合 性 が 重 要 である 23

3.4 課 題 解 消 の 方 向 性 3.4.1 老 朽 化 マンションの 課 題 放 置 がもたらす 新 たな 課 題 これまでの 議 論 をまとめると 老 朽 化 マンションの 課 題 の 放 置 は マンションの 適 正 管 理 を 阻 み ひ いては マンションの 空 間 やコミュニティの 質 の 低 下 資 産 価 値 の 低 下 をもたらし マンションの 荒 廃 に つながる マンションが 荒 廃 することで マンションが 立 地 する 地 域 には 日 常 的 には 犯 罪 が 災 害 時 には 二 次 災 害 が 誘 発 される 可 能 性 が 高 まる このような 日 常 的 にも 災 害 時 にも 危 険 性 が 懸 念 される 場 所 ができることで 都 市 の 中 に 脆 弱 性 の 高 い 空 間 が 出 現 する こうなると 都 市 全 体 の 課 題 として 対 処 する 必 要 が 生 じ 問 題 解 決 にかかるコストも 問 題 発 生 当 初 より 一 層 負 担 が 大 きくなる 可 能 性 が 高 い またその 段 階 に 至 るまで 課 題 を 放 置 しておくことは 居 住 者 はもとより 地 域 社 会 や 都 市 全 体 が 何 らかの 被 害 ( 犯 罪 被 害 や 自 然 災 害 被 害 心 理 的 不 安 経 済 的 損 失 など)を 既 に 被 っている 可 能 性 が 高 い 3.4.2 マンションの 管 理 等 に 行 政 が 政 策 関 与 することの 意 義 マンション 管 理 は マンション 管 理 の 適 正 化 指 針 に 基 づき 区 分 所 有 者 等 で 構 成 される 管 理 組 合 が 長 期 的 な 見 通 しを 持 って 適 正 に 運 営 すべきである マンション 管 理 の 責 任 は 一 義 的 には 管 理 組 合 や 区 分 所 有 者 等 にある しかしながら 近 年 のマン ション 居 住 をめぐる 課 題 の 諸 事 情 を 鑑 みるに 行 政 が 政 策 的 に 関 与 することは 意 義 がある 1 周 辺 環 境 への 影 響 等 の 外 部 性 の 問 題 マンションは 一 定 規 模 を 有 した 居 住 空 間 であり 同 時 に 国 民 の 約 1 割 が 選 択 した 居 住 形 態 である したがって その 維 持 管 理 や 再 生 が 適 正 に 行 われない 場 合 マンションのみならず 周 辺 の 居 住 環 境 やコミュニティの 維 持 にも 悪 影 響 を 及 ぼす 恐 れがある こうした 外 部 性 を 解 決 するには その 予 防 措 置 を 国 や 基 礎 自 治 体 が 政 策 誘 導 するなど 一 定 の 関 与 が 必 要 である 2 管 理 組 合 や 区 分 所 有 者 のマンション 管 理 の 適 正 化 の 促 進 支 援 マンションの 管 理 適 正 化 の 促 進 支 援 については 区 分 所 有 形 態 の 複 雑 さ 故 の 合 意 形 成 の 難 しさに 対 し これまでも 区 分 所 有 法 適 正 化 法 等 の 法 令 マンション 管 理 に 関 する 標 準 管 理 規 約 合 意 形 成 に 関 する 手 続 き 制 度 等 が 定 められ 国 や 基 礎 自 治 体 が これら 制 度 を 運 用 してマンションの 維 持 管 理 再 生 を 促 進 している こうした 諸 制 度 には 建 築 法 令 会 計 等 の 専 門 性 を 問 うものも 多 く マンションの 適 正 管 理 や 再 生 に 取 り 組 むべき 管 理 組 合 や 区 分 所 有 者 には それら 専 門 知 識 に 関 する 理 解 が 不 可 欠 である 既 に 国 や 基 礎 自 治 体 は 適 正 化 法 の 規 定 に 基 づき 管 理 組 合 や 区 分 所 有 者 等 に 情 報 提 供 や 普 及 啓 発 を 行 っている 今 後 もこうした 行 政 の 関 与 には 一 定 の 意 義 がある( 注 1) 24

3 章 注 釈 引 用 参 考 文 献 ( 注 1) 国 土 交 通 省 社 会 資 本 整 備 審 議 会 (2009 年 3 月 )では 分 譲 マンションストック500 万 戸 時 代 に 対 応 したマンション 政 策 のあり 方 について( 答 申 ) の 中 で マンション 管 理 等 に 行 政 が 政 策 的 に 関 与 す ることの 意 義 として 1) 周 辺 環 境 への 影 響 等 の 外 部 性 の 問 題 2) 区 分 所 有 者 間 の 合 意 形 成 等 に 係 わる 取 引 費 用 の 軽 減 の 問 題 3)マンションの 管 理 などには 専 門 的 な 知 識 が 必 要 であるという 問 題 の 3 点 を 挙 げている 国 土 交 通 省 (2009) 平 成 20 年 度 マンション 総 合 調 査 結 果 について 平 成 21 年 4 月 10 日 国 土 交 通 省 (2010.5) 全 国 の 分 譲 マンションストック 戸 数 について 平 成 22 年 5 月 21 日 国 土 交 通 省 (2010.6.) 平 成 20 年 度 住 生 活 総 合 調 査 の 調 査 結 果 ( 確 報 ) 平 成 22 年 6 月 30 日 国 土 交 通 省 (2010.7) 分 譲 マンションの 政 策 に 関 するご 意 見 募 集 別 紙 1: 分 譲 マンションの 政 策 に 関 するご 意 見 募 集 対 象 平 成 22 年 7 月 29 日 国 土 交 通 省 (2010) マンション 建 替 え 事 業 の 実 施 状 況 社 会 資 本 整 備 審 議 会 (2009) 分 譲 マンションストック 500 万 戸 時 代 に 対 応 したマンション 政 策 のあり 方 について( 答 申 ) 平 成 21 年 3 月 東 京 都 都 市 整 備 局 (2009) 東 京 のマンション 2009 平 成 21 年 10 月 東 京 都 (2010) 防 災 都 市 づくり 推 進 計 画 東 京 都 都 市 整 備 局 (2010) 平 成 22 年 10 月 本 小 委 員 会 資 料 財 団 法 人 日 本 住 宅 総 合 センター(2004) 分 譲 マンションの 維 持 管 理 のあり 方 に 関 する 調 査 - 抜 粋 版 - 雨 宮 護 (2009) 日 本 における 都 市 防 犯 研 究 の 現 状 と 課 題 都 市 計 画 282 号 日 本 都 市 計 画 学 会 p11-17. イアン カーフ(2009) 防 犯 とコミュニティ デザイン: 英 国 と 日 本 を 比 較 する 都 市 計 画 282 号 日 本 都 市 計 画 学 会 p20-22 リチャード H. シュナイダー(2009) 防 犯 は 警 察 だけの 責 任 ではない~ 都 市 計 画 への 場 所 に 基 づく 防 犯 の 編 集 都 市 計 画 282 号 日 本 都 市 計 画 学 会 p66-67. 社 団 法 人 日 本 都 市 計 画 学 会 (2009) 都 市 計 画 282 号, [ 特 集 ] 防 犯 とまちづくり p8-67. 吉 野 智 幸 (2010) マンション 建 替 えの 課 題 と 最 近 の 動 き 本 小 委 員 会 資 料 成 田 隆 一 (2010) 東 京 の 防 災 計 画 と 老 朽 マンション 建 替 え 手 法 ( 試 案 ) 本 小 委 員 会 資 料 東 京 新 聞 (2010.12.15) 幹 線 道 沿 線 の 耐 震 診 断 義 務 化 所 有 者 負 担 実 質 無 料 に 都 が 助 成 拡 大 都 政 新 報 (2010.12.17) 耐 震 診 断 自 己 負 担 ゼロに 3 か 年 の 時 限 措 置 緊 急 輸 送 道 路 沿 道 で 東 京 カンテイ(2005)マンション 価 格 情 報 サービス マンションストック 500 万 戸 時 代 ~ 老 朽 化 マンシ ョンと 新 耐 震 基 準 マンションの 急 増 がもたらすもの~ 社 団 法 人 都 市 住 宅 学 会 (2009)シンポジウム マンションの 自 力 建 替 え~その 可 能 性 と 課 題 ~ 都 市 住 宅 学 65 号 p42-54. 25