目 次 はじめに 1 地 球 温 暖 化 は 本 当 に 進 んでいるのか (1) 地 球 は 温 暖 化 している エルニーニョ 現 象 とラニーニャ 現 象 (2) 地 球 温 暖 化 の 停 滞? Hiatus の 発 生 1 海 洋 熱 吸 収 の 活 発 化 について 2 気 候 モデルに



Similar documents
2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

財政再計算結果_色変更.indd

1.3. 距 離 による 比 較 距 離 による 比 較 を 行 う ( 基 本 的 に 要 求 される 能 力 が 違 うと 思 われるトラック 別 に 集 計 を 行 った ) 表 -3 に 距 離 別 の 比 較 を 示 す 表 -3 距 離 別 比 較

試 験 概 略 試 験 目 的 同 同 一 一 規 規 格 格 の の 電 電 熱 熱 線 線 式 式 ヒーティングユニットを2 台 台 並 並 べ べ 片 片 方 方 のユニットに 遠 遠 赤 赤 外 外 線 線 放 放 射 射 材 材 料 料 である アルミ 合 金 エキスパンションメタルを 組

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

大 阪 福 岡 鹿 児 島 前 頁 からの 続 き 35

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

m07 北見工業大学 様式①

18 国立高等専門学校機構

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

Microsoft Word - 目次.doc

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

表紙

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

現 地 調 査 では 火 口 周 辺 の 地 形 や 噴 気 等 の 状 況 に 変 化 は 見 られませんでした また 赤 外 熱 映 像 装 置 5) による 観 測 では 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

 

「節電に対する生活者の行動・意識

第4回税制調査会 総4-1

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>


公表表紙

再 生 可 能 エネルギー 等 導 入 推 進 基 金 事 業 計 画 書 ( 各 年 度 計 画 書 ) ( 事 業 計 画 の 概 要 ) 計 画 の 名 称 京 都 府 地 球 温 暖 化 対 策 等 推 進 基 金 計 画 の 期 間 交 付 対 象 京 都 府 府 内 市 町 村 民 間

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

消 防 庁 危 険 物 保 安 室 殿 ドラム 缶 に 係 る 可 燃 性 蒸 気 対 流 シミュレーション 分 析 業 務 成 果 報 告 書 2013 年 1 月 アドバンスソフト 株 式 会 社

資料3 家電エコポイント制度の政策効果等について

調査結果の概要

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

Taro-H19退職金(修正版).jtd

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>


4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

佐渡市都市計画区域の見直し

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

スライド 1

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

16 日本学生支援機構

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

退職手当とは

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

Taro-条文.jtd

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

<4D F736F F F696E74202D204C C C835B A43976D90858E598B5A8F EF088E4816A2E707074>

●電力自由化推進法案

現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7


<4D F736F F F696E74202D D382E982B382C68AF1958D8BE090A C98AD682B782E B83678C8B89CA81698CF6955C A2E >

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

平成22年度

Q IFRSの特徴について教えてください

2020年の住宅市場 ~人口・世帯数減少のインパクト~

個人住民税徴収対策会議

第 1 条 適 用 範 囲 本 業 務 方 法 書 は 以 下 の 性 能 評 価 に 適 用 する (1) 建 築 基 準 法 施 行 令 ( 以 下 令 という ) 第 20 条 の7 第 1 項 第 二 号 表 及 び 令 第 20 条 の 8 第 2 項 の 認 定 に 係 る 性 能 評

これまでの 課 題 の 検 討 状 況 の 整 理 地 震 保 険 制 度 に 関 するプロジェクトチーム 報 告 書 ( 平 成 24 年 11 月 30 日 ) ( 附 属 物 の 損 害 査 定 ) 地 震 保 険 においては 迅 速 性 の 観 点 から 主 要 構 造 部 を 対 象 とし


申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

福 岡 厚 生 年 金 事 案 4486 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 申 立 期 間 については その 主 張 する 標 準 報 酬 月 額 に 基 づく 厚 生 年 金 保 険 料 を 事 業 主 により 給 与 から 控 除 されていたことが 認 められることから 申 立 期

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

39_1

●幼児教育振興法案

<817993FA967B8E E A E815B817A B F976C8EAE82502D322E786C73>

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

公文書非公開決定処分に関する諮問について(答申)

Microsoft Word - セット版●報告書要約2月28日「タイにおける省エネルギー技術として有効な屋根用省エネ塗料の技術協力事業」実証事業 (2)

Microsoft PowerPoint - 基金制度

Transcription:

日 本 地 球 惑 星 科 学 連 合 2013 年 秋 の 公 開 講 演 会 地 球 温 暖 化 と 近 年 の 異 常 気 象 講 師 : 東 京 大 学 大 気 海 洋 研 究 所 渡 部 雅 浩 先 生 慶 應 義 塾 女 子 高 校 1 年 堀 江 美 音

目 次 はじめに 1 地 球 温 暖 化 は 本 当 に 進 んでいるのか (1) 地 球 は 温 暖 化 している エルニーニョ 現 象 とラニーニャ 現 象 (2) 地 球 温 暖 化 の 停 滞? Hiatus の 発 生 1 海 洋 熱 吸 収 の 活 発 化 について 2 気 候 モデルにおける Hiatus 3まとめ 1 2 今 年 の 異 常 気 象 は 温 暖 化 が 原 因 なのか 1 新 しい 視 点 イベントアトリビューション(EA) 2 異 常 気 象 の 変 化 の 性 質 3イベントアトリビューション 分 析 の 実 例 イベントアトリビューションについて 4Hiatus と 近 年 の 日 本 の 異 常 気 象 5まとめ2 感 想

はじめに 私 は 2013 年 10 月 に 東 京 大 学 理 学 部 小 柴 ホールで 行 われた 日 本 地 球 惑 星 科 学 連 合 2013 年 秋 の 公 開 講 演 会 に 参 加 してきました 自 分 は 今 まで 気 象 環 境 関 係 の 分 野 にあまり 深 く 興 味 を 持 ったことがなかったのです が 近 年 の 異 常 気 象 や 盛 んに 行 われている 地 球 温 暖 化 についての 報 道 を 通 して 自 然 環 境 や 気 象 の 現 象 も 私 たちの 身 近 にあって 生 きてゆくうえで 不 可 欠 な 要 素 であることを 再 認 識 し もっと 知 りたいと 思 うようになりました そこで 2013 年 11 月 2 日 に 東 京 大 学 本 郷 キャンパス 小 柴 ホールで 開 催 されたこの 講 演 会 に 参 加 することにしました 講 演 会 のテーマは 深 海 の 底 から 宇 宙 の 果 てまで~ 限 界 からこの 世 界 を 知 る~ で それに 基 づいたご 講 演 を 3 人 の 先 生 方 がして 下 さいました その 中 で 私 は 東 京 大 学 大 気 海 洋 研 究 所 准 教 授 の 渡 部 雅 浩 先 生 によるご 講 義 がとても 印 象 に 残 りました 先 生 は イベントアトリビューション(EA)という 新 しい 手 法 を 使 って 異 常 気 象 の 分 析 を なさっています 私 は この EA に 興 味 を 持 ち また 身 近 な 気 象 現 象 についてもより 深 く 学 びたいと 思 い ご 講 演 の 内 容 と それに 関 連 して 自 分 が 調 べたことをまとめたレポートを 作 成 しました

1. 地 球 温 暖 化 は 本 当 に 進 んでいるのか? 異 常 気 象 分 析 検 討 委 員 会 による 報 道 発 表 2013 年 猛 暑 はなぜ 起 こったか 7 月 から 8 月 にかけて 太 平 洋 高 気 圧 とチベット 高 気 圧 が 共 に 平 年 よりも 強 くなったこ と そして 海 面 水 温 がインドネシアやフィリピン 周 辺 で 平 年 よりも 高 かった( 積 雲 活 発 = 台 風 が 発 生 しやすい)ことでアジアモンスーンが 広 い 範 囲 で 平 年 と 比 べて 非 常 に 活 発 にな ったこと が 挙 げられる 2013 年 夏 は 日 本 での 猛 暑 日 が 記 録 上 2 番 目 に 多 かった また 日 本 だけでなく 北 半 球 全 体 で 非 常 に 暑 い 夏 だった (1), 地 球 は 温 暖 化 している 根 拠 1 1998 年 以 外 の 平 均 気 温 Top10 は 全 て 21 世 紀 になってからの 記 録 22000 年 以 降 は 1961-1990 年 それまでの 30 年 に 比 べ 平 均 して 約 0.5 気 温 が 高 い 1998 年 は 非 常 に 強 いエルニーニョ 現 象 が 起 こった 翌 年 だった エルニーニョ 現 象 とラニーニャ 現 象 エルニーニョ 現 象 そして ラニーニャ 現 象 これらは 気 象 現 象 の 中 でも 特 に よく 耳 にし また 私 たちが 住 む 日 本 の 天 候 にも 非 常 に 大 きな 影 響 を 及 ぼしています 私 は このレポートを 書 く 中 で 改 めてその 重 要 性 を 感 じ 詳 しく 知 りたいと 思 いまし た cf. 通 常 の 状 態 太 平 洋 の 熱 帯 域 では 東 風 ( 貿 易 風 )が 季 節 を 問 わず 吹 いているため 海 面 付 近 の 暖 かい 海 水 は 太 平 洋 の 西 側 に 吹 き 寄 せられている 故 に 西 部 (インドネシア 近 海 )では 海 面 下 数 百 メートルまでの 表 層 に 温 かい 海 水 が 蓄 積 している 一 方 東 部 ( 南 米 沖 )では 貿 易 風 と 地 球 の 自 転 の 影 響 で 海 の 深 いところから 冷 たい 海 水 が 海 面 近 くに 湧 き 上 がっている 以 上 の 理 由 により 海 面 水 温 は 太 平 洋 赤 道 域 の 西 部 で 高 く 東 部 で 低 くなっており 海 面 水 温 の 高 い 太 平 洋 西 部 では 海 面 からの 蒸 発 が 盛 んで 大 気 中 に 大 量 の 水 蒸 気 が 供 給 され るため 上 空 で 積 乱 雲 が 盛 んに 発 生 することとなる 1エルニーニョ 現 象 エルニーニョ 現 象 とは 太 平 洋 赤 道 域 の 日 付 変 更 線 付 近 から 南 米 のペルー 沿 岸 にかけて の 広 い 海 域 で 海 面 水 温 が 平 年 に 比 べて 高 くなり その 状 態 が1 年 程 度 続 く 現 象 のことであ

る エルニーニョ 現 象 が 発 生 すると 貿 易 風 が 平 常 時 よりも 弱 くなるため 太 平 洋 西 部 に 蓄 積 されていた 暖 かい 海 水 が 東 へ 広 がり また 太 平 洋 東 部 では 冷 たい 海 水 の 沸 き 上 がりが 弱 まっている 故 に 太 平 洋 赤 道 息 の 中 部 から 東 部 では 海 面 の 水 温 が 平 常 時 よりも 高 く なっており 積 乱 雲 が 発 生 しやすい 以 上 の 理 由 より エルニーニョ 現 象 が 発 生 している 時 は 積 乱 雲 が 盛 んに 発 生 する 海 域 が 平 常 時 よりも 東 に 移 る このため 日 本 付 近 では 夏 季 は 太 平 洋 高 気 圧 の 張 り 出 しが 弱 くなり 以 下 のような 傾 向 が 現 れることが 多 い 低 温 多 雨 寡 照 冬 季 は 西 高 東 低 の 気 圧 配 置 が 弱 まり 暖 冬 となる 2ラニーニャ 現 象 ラニーニャ 現 象 は 太 平 洋 赤 道 域 の 日 付 変 更 線 付 近 から 南 米 のペルー 沿 岸 にかけての 広 い 海 域 で 海 面 水 温 が 平 年 より 低 い 状 態 が 1 年 程 度 続 く 現 象 のことである ラニーニャ 現 象 が 発 生 すると 貿 易 風 が 平 常 時 よりも 強 くなるため 太 平 洋 西 部 に 暖 か い 海 水 がより 厚 く 蓄 積 し また 太 平 洋 東 部 では 冷 たい 水 の 吹 き 上 がりが 強 くなる 故 に 太 平 洋 赤 道 域 の 中 部 から 東 部 では 海 面 の 水 温 が 平 常 時 よりも 低 くなっている 以 上 の 理 由 より ラニーニャ 現 象 が 発 生 している 時 は 太 平 洋 西 部 インドネシア 近 海 の 海 上 で 積 乱 雲 がより 盛 んに 発 生 する このため 日 本 付 近 では 夏 季 は 太 平 洋 高 気 圧 が 北 に 張 り 出 しやすくなり 西 日 本 沖 縄 奄 美 では 南 から 暖 かく 湿 った 気 流 の 影 響 を 受 けやすくなる 故 に 以 下 のような 傾 向 が 現 れることが 多 い 北 日 本 を 中 心 に 気 温 が 高 く 日 照 時 間 が 多 くなる 西 日 本 の 太 平 洋 側 を 中 心 に 雨 が 多 くなる 冬 季 は 西 高 東 低 の 気 圧 配 置 が 強 まり 気 温 が 低 くなる (2), 地 球 温 暖 化 の 停 滞? hiatus の 発 生 A Sensitive Matter

人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガス 増 加 に 対 して 気 候 は 思 ったほど 温 暖 化 していないか もしれない しかし これは 問 題 が 消 えたことを 意 味 するわけではない 2000 年 ごろから 地 球 全 体 の 地 表 気 温 は 10 年 間 で 0.03 の 昇 温 であり ほぼ 一 定 高 止 まりの 状 態 だと 言 える これは 基 本 的 に 温 暖 化 は 一 方 向 に 進 行 するものであるとする 従 来 の 予 測 とは 異 なって おり 以 下 のような 疑 問 点 が 挙 げられている 気 候 モデルは 最 近 10 年 の 全 休 平 均 気 温 変 化 を 上 手 く 再 現 できていない? IPCC( 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル)の 温 暖 化 予 測 とは 違 い 現 実 には 温 暖 化 が 鈍 っ ていることを 意 味 するのか? 地 球 温 暖 化 の 停 滞 の 原 因 ( 仮 説 ) 成 層 圏 で 温 室 効 果 を 持 つ 水 蒸 気 が 減 少 していること 11 年 周 期 の 太 陽 活 動 が 不 活 発 な 時 期 だから 海 洋 の 熱 吸 収 が 活 発 化 していること 太 平 洋 十 年 規 模 変 動 (PDO)に 伴 う 自 然 の 変 動 1 海 洋 熱 吸 収 の 活 発 化 について 観 測 的 事 実 として 大 気 上 端 の 正 味 放 射 収 支 は 依 然 として 負 であり 大 気 - 地 表 面 系 を 加 熱 している このことは 温 室 効 果 が 弱 まっていないことを 示 している そして 海 面 水 位 は 上 昇 を 続 けている 海 面 水 位 は 主 に 海 水 の 熱 膨 張 による 生 じるので 海 面 が 温 暖 化 していなくとも 海 洋 全 体 は 水 温 が 上 がっていることを 意 味 する 実 際 海 面 よりも 遅 れて 暖 まる 水 深 700~2000m の 深 層 の 平 均 水 温 に 比 例 する 蓄 熱 量 が 増 加 している 2 気 候 モデルにおける hiatus 地 球 温 暖 化 の 停 滞 のことを hiatus( 英 語 で 隙 間 ひび 割 れ という 意 味 ) と 呼 ぶ 気 候 モデルにおいては 基 本 的 に 温 暖 化 は 一 方 向 に 進 行 していく ものであり ( 平 均 としては)hiatus を 上 手 く 表 現 できていない しかし 初 期 値 のアンサンブルを 調 べると 太 平 洋 十 年 規 模 変 動 自 然 の 変 動 として hiatus が 表 現 されているものもある なお 気 候 モデル 感 度 実 験 から 気 候 モデルが 熱 帯 太 平 洋 の 寒 冷 化 を 再 現 できていたら hiatus が 現 れることがわかっている

近 未 来 気 候 変 動 予 測 実 験 から 近 い 将 来 (2020 年 頃 まで)の 予 測 は 下 方 に 修 正 されるが hiatus はやがて 終 わり 温 暖 化 が 再 び 加 速 される と 考 えられている Hiatus 終 了 のタイミングはそれぞれのモデルにより 異 なる ちなみに 2011 年 の 数 値 を 初 期 値 として 組 み 込 んでシミュレーションすると 始 めは hiatus 早 い 時 期 にもとの 予 測 に 戻 っていく そして hiatus が 終 わるタイミングで 急 激 に 温 度 上 昇 ( 温 暖 化 )が 加 速 される 3まとめ 1 地 表 気 温 は 過 去 10~15 年 間 高 止 まりの 状 態 にあるが 地 球 温 暖 化 自 体 が 止 まったわけ ではない 地 表 の 温 暖 化 停 滞 期 は 太 平 洋 の 十 年 規 模 気 候 変 動 (PDO)に 同 期 しており やがては 温 暖 化 の 加 速 期 に 戻 ると 予 想 されている

2. 今 年 の 異 常 気 象 は 温 暖 化 が 原 因 なのか? 文 部 科 学 省 気 候 変 動 リスク 情 報 創 生 プログラム テーマ A(ⅰ) 直 面 する 気 候 変 動 に 関 する 要 因 の 特 定 とメカニズムの 解 明 1 新 しい 視 点 イベントアトリビューション(EA) イベントアトリビューションとは 直 近 の 過 去 を 対 象 とした 異 常 天 候 等 の 気 候 変 動 要 因 分 析 のことで 特 定 の 異 常 気 象 について 地 球 温 暖 化 の 影 響 を 定 量 的 に 評 価 し 温 暖 化 が 異 常 気 象 にどう 影 響 するのかのメカニズムを 解 明 する EA と 従 来 の 分 析 方 法 との 違 い 従 来 の 方 法 : タバコを 吸 う 日 本 人 男 性 は ガンの 発 生 確 率 が 何 パーセント 上 がるのか EA: タバコを 吸 うある 特 定 の 人 物 が 将 来 ガンを 発 症 するのかどうか いろいろな 要 因 が 個 別 の 要 素 として 入 っていて 難 しい 評 価 になる 2 異 常 気 象 の 変 化 の 性 質 *イベントアトリビューションの 手 法 のイメージ ある 異 常 気 象 が 発 生 したシチュエーションの そっくりさん を 何 百 人 も 用 意 して 大 きな 集 団 をつくり その 集 団 全 体 で 確 率 としてどのくらい 異 常 気 象 が 起 こっていたか を 調 べ る 異 常 気 象 の 変 化 は 確 率 的 であると 言 える 温 暖 化 海 水 温 の 上 昇 から 気 象 現 象 へと 繋 がるのは たまたまかもしれない 3イベントアトリビューション 分 析 の 実 例 Ex,2010 年 7-8 月 のロシア 猛 暑 を 分 析 すると まずは 観 測 された 地 表 の 気 温 を 気 候 モデルで 再 現 し 様 々な 要 素 を 考 慮 してたくさん のモデルを 作 り 計 算 をする ここで 求 めるのは その 時 にロシアで 猛 暑 が 起 こった 確 率 である そしてこの 集 団 を 確 率 的 にとらえ モデルから 推 計 される 確 率 の 分 布 図 を 作 成 * 異 常 気 象 の 直 接 的 な 原 因 は 海 の 表 面 の 水 温 であると 言 えるので 過 去 に 温 暖 化 によって どのくらい 温 度 が 上 がったのかを 計 算 することで もし 温 暖 化 が 起 こっていなかったら どうなっていたか ということがわかる

そして 温 暖 化 の 影 響 を 受 けている 実 際 の 状 況 と 温 暖 化 の 影 響 を 排 除 したシミュレー ションを 比 較 すると 確 率 的 に 見 て 猛 暑 がどのくらいおきやすくなっていたか という 面 に 違 いがあることがわかる 分 析 結 果 温 暖 化 の 影 響 を 受 けたシチュエーションだと 100 回 計 算 して 3 回 発 生 もし 温 暖 化 していなかったら 0.6 回 発 生 確 率 は 5 倍 になっている ほとんどは 自 然 の 変 動 であるが 確 率 的 には 温 暖 化 していなかったらほとんど 発 生 して いなかった ということがわかる イベントアトリビューションについて 私 が 渡 部 先 生 のご 講 演 の 内 容 の 中 で 最 も 印 象 に 残 っているのは イベントアトリビュー ション についてです 私 自 身 が 今 まで 抱 いてきた 気 象 現 象 の 研 究 のイメージとはかなり 異 なる 新 しい 研 究 方 法 であり とても 興 味 深 いものでした そこで この 項 では EA について その 発 達 過 程 や 実 施 例 問 題 点 将 来 性 などについ て 学 びたいと 思 います 1イベントアトリビューションが 誕 生 した 理 由 近 年 温 室 効 果 ガスの 排 出 を 始 めとする 人 間 の 活 動 が 地 球 全 体 の 気 候 変 動 に 影 響 を 及 ぼしていることがはっきりと 認 識 されるようになってきた そんな 中 で 地 球 温 暖 化 が 与 える 様 々な 地 域 の 気 候 や 顕 著 な 気 象 現 象 への 影 響 も 広 く 調 べられてはいるが,それらは 温 暖 化 の 進 んだ 今 世 紀 後 半 に 平 均 統 計 としてどうなるか といった 議 論 であり ある 年 に 起 きた 特 定 の 異 常 な 気 象 現 象 ( 熱 波 や 干 ばつなど)に 地 球 温 暖 化 がどこまで 関 わっているのか という 疑 問 に 直 接 答 えるものではない その 一 方 で 2010 年 の 猛 暑 や 2012 年 の 九 州 の 大 雨 などの 異 常 気 象 が 起 こり 研 究 者 以 外 の 一 般 社 会 から これは 地 球 温 暖 化 のせいなのか? という 問 いが 一 般 社 会 から 出 てく ることも 多 くなった. 故 に こうした 疑 問 に 対 して 科 学 的 根 拠 を 持 つ 回 答 を 提 供 することが 必 要 になってきて いる 2イベントアトリビューションとは 具 体 的 に 何 なのか?

気 候 システムに 対 する 外 力 は 太 陽 活 動 や 火 山 噴 火 などの 自 然 強 制 ( 太 陽 活 動 や 火 山 噴 火 など) そして 人 間 活 動 に 起 因 する 人 為 強 制 ( 大 気 中 の 温 室 効 果 気 体 やエアロゾルの 変 化 など の)に 分 けることができる 現 在 の 地 球 温 暖 化 研 究 の 中 では Detection and Attribution(D&A) 観 測 データから 気 候 の 変 動 を 同 定 しそれに 対 する 人 為 強 制 の 影 響 を 定 量 的 に 評 価 する 試 み が 一 定 の 割 合 を 占 めている 人 為 強 制 に 対 する 自 然 の 応 答 を 特 定 するための D&A は 以 下 の 用 途 に 使 われてきた 気 候 平 均 状 態 の 変 化 や 長 期 の 変 化 傾 向 について 全 球 平 均 値 や 帯 状 平 均 値 などの 時 空 間 スケールについて 一 方 の Event Attribution(EA)は ある 年 に 起 きた 特 定 の 異 常 天 候 や 極 端 現 象 などの 地 域 的 気 象 イベントに 関 して 人 間 活 動 の 影 響 を 評 価 する 試 みのことである 異 常 天 候 や 極 端 な 気 象 現 象 は 人 為 的 な 影 響 の 有 無 に 関 わらず 気 候 システムの 中 で 自 然 に 生 じ 得 るため ある 特 定 のイベントの 発 生 が 決 定 論 的 に 人 間 活 動 に 起 因 すると 判 断 する ことはできない しかしながら イベントの 発 生 確 率 は 外 力 の 変 化 によって 変 調 を 受 ける ことが 予 想 され 人 為 強 制 によってイベントの 発 生 確 率 がどの 程 度 変 化 したのか を 評 価 することは 可 能 である 2 イベントアトリビューションの 実 施 例 EA の 最 初 の 例 として ヨーロッパにおける 夏 の 平 均 気 温 がある 閾 値 を 超 えるリスクが, 人 間 活 動 によってどのように 変 化 しているのか を 見 積 ったことが 挙 げられる この 試 み では 大 気 海 洋 結 合 モデルを 用 いた 2 種 類 の 実 験 全 ての 外 力 で 強 制 された 20 世 紀 気 候 変 化 の 再 現 実 験 と 自 然 強 制 のみで 駆 動 された 自 然 強 制 実 験 を 比 較 し 2003 年 にヨーロ ッパで 観 測 された 熱 波 を 超 える 異 常 気 象 が 発 生 するリスクが 人 間 活 動 が 原 因 で 少 なくと も 2 倍 になっている という 推 定 を 発 表 した また その 後 同 様 の 実 験 が 観 測 された 海 面 水 温 海 氷 被 覆 ならびにその 時 の 外 力 を 与 えた 大 気 大 循 環 モデル(AGCM)で 行 われた この 時 の 自 然 強 制 実 験 では 人 為 起 源 の 温 室 効 果 気 体 を 除 いた 外 力 そして 温 室 効 果 気 体 の 影 響 を 取 り 除 いた 海 面 水 温 と 海 氷 被 覆 の 境 界 条 件 を AGCM に 与 えている 研 究 の 結 果 2000 以 上 のアンサンブルメンバから 作 成 された 確 率 密 度 関 数 を 比 較 し イ ギリスのウェールズで 2000 年 の 秋 に 発 生 した 洪 水 のリスクが 温 室 効 果 気 体 の 増 加 によっ て 増 大 した と 結 論 付 けられた 3D&A と EA の 違 い D&A では 気 候 モデルを 用 いたアンサンブル 実 験 で 人 間 活 動 に 起 因 する 変 化 と 自 然 変

動 に 起 因 する 変 化 の 切 り 分 けを 行 う 一 方 EA は D&A の 新 たな 展 開 であり その 手 法 は D&A に 倣 ったものではあるが あ る 特 定 の 年 に 発 生 し 気 象 現 象 に 注 目 する という 相 違 点 がある 故 に EA では 対 象 とする 顕 著 な 気 象 現 象 が 気 象 モデルの 中 である 程 度 再 現 されること が 前 提 となり 観 測 された 海 面 水 温 海 氷 被 覆 を 与 えた AGCM が 用 いられることが 多 い そして 顕 著 な 気 象 現 象 の 発 生 リスクを 評 価 するため 大 量 のアンサンブルメンバ 数 で 実 験 が 行 われることも 従 来 の D&A との 相 違 点 の 一 つである なお EA では 自 然 強 制 実 験 の 設 定 が 重 要 となっており その 分 析 結 果 が 事 前 に 推 定 し た 人 為 的 な 影 響 を 取 り 除 いた 海 面 水 温 や 海 氷 被 覆 に 大 きく 依 存 してしまう 場 合 がある 4EA の 問 題 点 改 善 策 EA においては 人 為 影 響 がない 場 合 の 設 定 は 仮 想 的 であるため, 自 然 強 制 実 験 の 結 果 の 妥 当 性 を 検 証 することができない そこで それによる 不 確 実 性 を 低 減 するため 以 下 のような 試 行 が 行 われている 複 数 のモデルを 用 いる 海 面 水 温 海 氷 被 覆 の 温 暖 化 成 分 を 異 なる 手 法 で 推 定 する また このような 研 究 は 統 計 的 な 議 論 に 偏 ってしまうことも 多 く 人 為 的 な 強 制 によっ て どのように 顕 著 な 気 象 現 象 の 発 生 確 率 が 変 化 したのか という 疑 問 に 十 分 には 答 え られていない 場 合 もある より 信 頼 性 の 高 い 気 候 評 価 情 報 を 生 み 出 すためには 次 のようなことが 必 要 だと 言 われ ている 数 値 モデルのさらなる 改 良 を 行 う イベントの 力 学 的 熱 力 学 的 な 要 因 分 析 を 基 礎 とした EA 研 究 を 行 う 過 去 に 生 じた 顕 著 な 気 象 現 象 を 分 析 し その 発 生 理 由 等 についての 科 学 的 根 拠 をもつ 回 答 を 提 供 することだけでなく 将 来 起 こりうる 自 然 災 害 のリスクに 対 してどのような 対 応 をとるべきか という 方 向 性 を 与 えられることなどが 期 待 されている 4Hiatus と 近 年 の 日 本 の 異 常 気 象 温 暖 化 の 停 滞 と 負 の PDO がセットになると 以 下 のような 傾 向 が 現 れる 西 大 西 洋 の 高 い 海 面 水 温 が 強 い 太 平 洋 高 気 圧 を 維 持 しやすい 中 緯 度 太 平 洋 の 高 い 海 面 水 温 が 暑 い 夏 による 水 温 上 昇 を 助 長 する PDO の 位 相 は やがて 逆 転 する( 時 期 を 正 確 に 予 測 するのは 難 しい) そうすると 地 球 全 体 では 気 温 は 上 がる 傾 向 となるが 日 本 付 近 では 今 年 の 猛 暑 のよう

なことは 起 こりにくい 5まとめ 2 異 常 気 象 の 第 一 の 要 因 は 自 然 のゆらぎ( 内 部 変 動 )であり 温 暖 化 による 気 象 変 化 は 異 常 気 象 の 発 生 確 率 を 増 やす 原 因 となる * 現 在 2013 年 の 猛 暑 など 個 別 の 異 常 気 象 を 対 象 とするイベントアトリビューションの 研 究 が 進 行 している

感 想 私 は 今 回 このレポートを 作 成 する 中 で 自 分 の 中 にそれまであった 環 境 問 題 や 異 常 気 象 に 対 する 漠 然 としたイメージが より 論 理 的 で 具 体 的 なものに 変 わっていくことを 実 感 しました 近 年 環 境 問 題 は 国 境 を 越 えた 地 球 全 体 の 課 題 として 広 く 認 識 され 私 たちは 様 々 なメディアを 通 してたくさんの 情 報 に 触 れることができます 私 は 小 学 生 の 頃 から 主 に 新 聞 の 記 事 を 読 むことによって 地 球 温 暖 化 環 境 問 題 異 常 気 象 というものにつ いて 知 ってきました 先 生 のご 講 義 の 動 画 を 何 度 も 見 て 自 分 でも 資 料 を 探 して 読 み 学 ぶ 中 で 新 しいアプ ローチ 方 法 であるイベントアトリビューションは 将 来 に 向 けて 様 々な 可 能 性 を 秘 めてい るのだと 改 めて 思 いました イベントアトリビューションの 研 究 は 一 つの 現 象 を 多 角 的 に 見 ることを 可 能 にし 様 々 な 異 常 気 象 の 解 析 に 対 応 できるような 情 報 の 蓄 積 にも 役 立 つのだ ということを 学 びまし た また この 方 法 は 様 々な 異 常 気 象 を 地 球 温 暖 化 しているからだ という 一 言 で 片 付 けてしまいがちだった 私 の 意 識 を 変 えるきっかけともなったように 思 います 温 暖 化 が 全 ての 異 常 気 象 を 引 き 起 こしている などという 単 純 な 思 考 から 脱 し 本 当 の 意 味 で 科 学 的 に 今 の 地 球 の 現 状 そして 今 や 私 たち 身 近 なものとなっている 異 常 気 象 について 考 え 知 る 貴 重 なステップとすることができたと 思 います

参 考 文 献 気 象 庁 アジアモンスーンと 日 本 の 気 候 https://www.jamstec.go.jp/frsgc/jp/report/2004/jan/yasunari.html 閲 覧 日 :2013 年 12 月 23 日 気 象 庁 日 本 の 天 候 に 影 響 をおよぼすメカニズム http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino3.html 閲 覧 日 :2013 年 12 月 24 日 気 象 庁 エルニーニョ/ラニーニャ 現 象 とは http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html 閲 覧 日 :2013 年 12 月 24 日 イベントアトリビューション http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2013/2013_05_0057.pdf 閲 覧 日 :2013 年 12 月 21 日 気 象 庁 報 道 発 表 資 料 2013 年 夏 の 日 本 の 極 端 な 天 候 について http://www.jma.go.jp/jma/press/1309/02d/extreme20130902.html 閲 覧 日 :2013 年 12 月 23 日 気 候 変 動 リスク 情 報 創 生 プログラム http://www.jamstec.go.jp/sousei/index.html 閲 覧 日 :2013 年 12 月 22 日