スクール「コペンハーゲン2009」 第6回:途上国での森林減少・劣化の防止による排出削減(REDD)



Similar documents
<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt


平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

PowerPoint プレゼンテーション

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

スライド 1

●電力自由化推進法案

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

Microsoft Word - 目次.doc

18 国立高等専門学校機構

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

39_1

16 日本学生支援機構

公表表紙

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>


目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始


<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

1

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

主要生活道路について

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

m07 北見工業大学 様式①

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

スライド 1

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

財政再計算結果_色変更.indd

別紙3

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

Taro-条文.jtd


企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について③・資本連結実務指針(その2)

第4回税制調査会 総4-1

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

スライド 1

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

波佐見町の給与・定員管理等について

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

●幼児教育振興法案

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word - H25年度の概要

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

Q IFRSの特徴について教えてください

しかし 主 に 欧 州 の 一 部 の 回 答 者 は 受 託 責 任 について 資 源 配 分 の 意 思 決 定 の 有 用 性 とは 独 立 の 財 務 報 告 の 目 的 とすべきであると 回 答 した 本 ED に 対 する ASBJ のコメント レターにおける 意 見 経 営 者 の 受

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

Taro13-01_表紙目次.jtd

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

弁護士報酬規定(抜粋)


2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

Transcription:

School Copen 09 WWF Registered Trademark Owner 1986 PANDA symbol WWF -World Wide Fund For Nature(formerly World Wildlife Fund)

途 上 国 での 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 による 排 出 削 減 (REDD : Reduce Emission from Deforestation and Forest Degradation in Developing countries)とは ( 江 原 誠 / 国 際 環 境 NGO FoE Japan 森 林 担 当 ) REDD の 概 要 REDD( 途 上 国 での 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 による 排 出 削 減 )とは 途 上 国 において 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 するための 施 策 を 行 い 仮 に 同 施 策 を 何 も 行 わなかった 場 合 に 排 出 されたであろう 温 室 効 果 ガ スの 排 出 を 抑 制 したとして クレジットや 補 償 を 与 えるしくみである これを 京 都 議 定 書 が 定 めて いない 2013 年 以 降 の 排 出 削 減 対 策 のひとつとする 提 案 が 主 にパプアニューギニアをはじめブラジ ルや アフリカ 諸 国 中 南 米 諸 国 など 世 界 の 森 林 大 国 から 出 されている REDD が 注 目 され 始 めた 背 景 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル(IPCC)は 林 業 の 森 林 伐 採 を 含 む 土 地 利 用 の 変 化 による 二 酸 化 炭 素 の 排 出 量 が 世 界 の 排 出 量 の 約 17%に 相 当 するとしている これは 二 酸 化 炭 素 の 排 出 源 では 化 石 燃 料 由 来 の 排 出 に 次 いで 2 番 目 に 大 きいものである 特 に 途 上 国 における 森 林 減 少 劣 化 の 直 接 的 要 因 は 違 法 過 剰 伐 採 森 林 火 災 紙 の 原 料 になるパルプ 用 植 林 地 やパーム 油 生 産 のためのア ブラヤシ 農 園 などへの 森 林 の 土 地 利 用 転 換 などである 2005 年 末 にカナダ モントリオールで 開 催 された COP11 において パプアニューギニアとコスタリカから 京 都 議 定 書 において 仕 組 みがない 途 上 国 での 森 林 減 少 による 排 出 を 削 減 する 対 策 を 行 う 必 要 がある という 趣 旨 の 提 案 がなされた この 提 案 を 受 け COP に 対 して 科 学 上 及 び 技 術 上 の 助 言 を 行 う 補 助 機 関 会 合 (Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice : SBSTA)が 2 年 間 の 検 討 を 行 い 2 回 の 方 法 論 的 課 題 のワ ークショップを 開 催 した また 2006 年 10 月 に 発 表 されたスターンレビューにおいても 急 激 に 進 んでいる 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 するほうが 植 林 による 二 酸 化 炭 素 吸 収 の 取 組 みより 経 済 的 で 効 率 的 である と 指 摘 されたことから 国 際 社 会 に REDD の 重 要 性 が 認 識 された 地 域 ごとの 土 地 利 用 変 化 による 炭 素 排 出 量 FAO, The State of the World's Forests 2001 1

2007 年 12 月 にインドネシア バリで 開 催 された COP13 では REDD が 大 きな 議 論 の 1 つとして 注 目 され 採 択 されたバリ 行 動 計 画 では 途 上 国 における 森 林 減 少 及 び 森 林 劣 化 を 原 因 とする 排 出 の 削 減 に 関 連 する 問 題 に 対 する 政 策 手 法 の 採 用 とプラスのインセンティブの 提 供 ならびに 途 上 国 にお ける 保 全 の 役 割 森 林 の 持 続 可 能 な 管 理 森 林 炭 素 貯 留 量 の 増 加 について 各 締 約 国 は 国 内 および 国 際 的 行 動 を 強 化 すること( 具 体 的 にはパイロットプロジェクトや 途 上 国 のキャパシティ ビルディ ング 等 )に 取 り 組 むこと が 合 意 された REDD の 一 般 的 な 論 点 森 林 森 林 減 少 劣 化 等 の 定 義 途 上 国 には 熱 帯 雨 林 からやパルプチップやゴム 生 産 のための 人 工 林 まで 森 林 と 定 義 される 土 地 があり その 解 釈 が 様 々あることから REDD 事 業 においては 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 したと 判 断 す るために まずどのような 条 件 を 満 たせば 森 林 とするのかを 明 確 に 決 める 必 要 がある 森 林 減 少 (Deforestation)とは 森 林 の 皆 伐 や 森 林 の 農 地 や 牧 草 地 などへの 土 地 利 用 転 換 により 森 林 面 積 が 完 全 に 消 失 することを 意 味 する 一 方 森 林 劣 化 (Forest Degradation)とは 林 業 活 動 に よる 択 伐 や 林 道 の 敷 設 地 中 火 林 地 での 小 規 模 農 業 等 により 統 計 上 の 森 林 面 積 は 減 らず 森 林 の 質 が 劣 化 することである このように 森 林 が 完 全 に 消 失 するため 定 義 しやすい 森 林 減 少 と 違 い 森 林 の 質 が 低 下 する 森 林 劣 化 についてはどのような 状 態 をもって 森 林 劣 化 と 定 義 するのか 今 後 において 各 国 のコンセンサスを 得 る 必 要 がある モニタリング 森 林 減 少 劣 化 をどう 感 知 するかという 技 術 的 な 課 題 がある 現 在 森 林 減 少 劣 化 を 人 工 衛 星 から 観 察 し 排 出 量 を 割 り 出 すリモートセンシング 技 術 の 開 発 が 始 まっているが 衛 星 画 像 から 割 り 出 す 排 出 量 の 正 確 さの 向 上 特 に 森 林 の 劣 化 を 判 断 する 技 術 の 開 発 地 上 レベルでの 確 認 作 業 方 法 の 構 築 資 金 源 が 乏 しい 途 上 国 での 技 術 開 発 の 進 め 方 などについての 課 題 が 残 る ベースライン(リファレンスシナリオ)と 対 象 範 囲 REDD 施 策 を 行 った 場 合 その 政 策 の 効 果 の 度 合 いを 判 断 し 回 避 できた 森 林 減 少 劣 化 がどの 程 度 であるのかを 評 価 しなければならない その 評 価 方 法 についてだが 仮 に REDD 施 策 を 行 わない 場 合 に 起 こり 得 る 森 林 減 少 劣 化 のベースライン(リファレンスシナリオ)を 過 去 の 傾 向 をもとに 作 成 し 施 策 によりそのベースラインを 超 える 森 林 が 維 持 されるならば その 超 えた 分 を 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 に 成 功 したとする また そのベースラインを 超 えた 森 林 ( 及 び 土 壌 )が 蓄 積 していたであ ろう 温 室 効 果 ガス 量 を REDD による 削 減 分 とし それ 相 応 の 補 償 を 削 減 国 は 受 領 する 2

このベースラインの 設 定 には 森 林 減 少 劣 化 の 正 確 な 予 測 が 課 題 となる 森 林 減 少 劣 化 率 は 経 済 成 長 率 や 農 産 物 アブラヤシ 林 産 物 の 値 段 需 要 量 の 変 化 により 農 地 牧 草 地 のための 森 林 開 発 の 度 合 いが 変 わってくることを 考 慮 しなければならない また 過 去 の 森 林 減 少 の 割 合 や 傾 向 を 参 考 にベースラインを 設 定 すると 過 去 に 森 林 減 少 劣 化 の 度 合 いが 高 かった 国 がより 多 くの REDD クレジットを 獲 得 し 逆 に 森 林 減 少 劣 化 の 対 策 を 行 ってきた 国 やこれから 森 林 減 少 が 起 こる 国 が クレジットを 十 分 に 獲 得 できなくなり 公 平 性 を 欠 く 可 能 性 がある そもそも ベースライン 設 定 には こうした 途 上 国 各 国 の 過 去 の 森 林 被 覆 率 や 土 壌 枝 葉 枯 死 木 地 下 バイオマスの 炭 素 スト ック 量 など 事 業 対 象 地 のデータが 求 められるが 信 頼 性 や 正 確 性 の 点 でに 懸 念 が 残 り その 設 定 を 難 しくさせる また 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 に 成 功 し 排 出 が 削 減 されたと 認 められた 地 域 が 排 出 増 加 に 転 ずる ことはいつでも 起 こり 得 る 突 然 の 火 災 や 自 然 災 害 にさらされるという 不 確 実 性 の 問 題 を 森 林 は 孕 んでいる また 違 法 伐 採 や 不 適 切 な 管 理 など 人 間 の 活 動 によっても 排 出 増 加 に 転 ずることはいつ でも 起 こり 得 る それゆえ どの 程 度 の 時 間 枠 で REDD の 成 果 を 計 測 するのかという 非 永 続 性 の 問 題 も 議 論 しなければならない さらに 個 別 に 限 定 された 地 域 に REDD 対 象 範 囲 を 絞 りすぎてしまうと そこで 伐 採 活 動 等 の 森 林 減 少 劣 化 が 抑 制 されたとしても その 半 面 他 の 地 域 で 伐 採 等 が 増 え 広 範 囲 でみると 森 林 減 少 劣 化 が 減 らない"リーケージ( 漏 出 )"と 呼 ばれるものが 問 題 となる こうしたリーケージは REDD 対 象 地 から 比 較 的 近 くの 森 林 へ 移 る 地 域 的 なものや 県 や 州 を 越 えて 移 るもの 更 には 国 境 を 越 える 国 際 的 なものまで 考 えられる 現 在 REDD の 対 象 範 囲 は 県 や 州 などの 地 域 レベルよりもリーケージ が 比 較 的 少 なくなると 予 想 されている 国 レベルで 行 うことが 検 討 されている REDD の 資 金 メカニズム REDD 事 業 実 施 には 計 測 モニタリング ベースライン 設 定 制 度 設 計 等 を 途 上 国 が 行 うための キャパシティービルディングや 実 際 に REDD が 行 われる 際 の 対 象 森 林 のステークホルダーへの 機 会 費 用 に 見 合 う 補 償 の 支 払 いや 代 替 地 の 手 当 てなどに 多 大 な 資 金 が 必 要 となる スターンレビューに よれば 土 地 利 用 変 化 による CO2 排 出 の 70%を 占 める 8 ヵ 国 にとって 森 林 保 護 にかかる 機 会 費 用 だけでも 年 間 約 50 億 US ドルと 概 算 されている こうした 財 源 捻 出 の 方 法 については 締 約 国 間 で 最 も 意 見 が 分 かれる 問 題 である 大 きく 市 場 ベース(REDD 独 自 の 炭 素 クレジットの 取 引 CDM に 組 み 入 れる 案 生 態 系 サービスに 対 する 支 払 い 等 )を 用 いる 意 見 と 市 場 ベースでない 基 金 方 式 (ODA や 既 存 新 規 基 金 を 活 用 した 二 国 間 多 国 間 援 助 炭 素 を 含 む 商 品 やサービスへの 課 税 等 )を 用 いる 案 3

また 双 方 を 組 み 合 わせた 方 式 (ハイブリッド 市 場 リンク 方 式 )が 検 討 されている 制 度 設 計 への 各 ステークホルダーの 参 加 と 利 益 分 配 REDD の 制 度 設 計 について 議 論 する 際 には 国 際 交 渉 の 場 で 議 論 をすることは 重 要 だが 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 は 各 国 一 様 でないため 国 や 地 域 の 経 済 社 会 的 な 実 情 に 対 応 し 且 つ 実 現 可 能 な 制 度 になるよう 現 場 に 根 ざした 議 論 も 進 めなくてはならない そのためには 中 央 各 省 庁 州 県 市 郡 村 など 各 自 治 体 レベルの 参 加 のみならず 木 材 伐 採 植 林 農 園 開 発 農 地 開 発 鉱 物 資 源 開 発 道 路 開 発 を 推 し 進 める 民 間 企 業 や 公 団 地 元 の 地 域 住 民 先 住 民 族 研 究 者 NGO と 様 々 なステークホルダーの 参 加 が 不 可 欠 である また REDD 事 業 による 利 益 がこうしたステークホルダー にどのようなかたちでどれほど 分 配 されるのかを 深 く 議 論 する 必 要 がある さらに REDD 事 業 を 実 施 することによって とくにこれまでの 非 持 続 可 能 な 森 林 開 発 で 利 益 を 得 てきた 企 業 の 開 発 を 抑 制 することにより 企 業 に 補 償 が 支 払 われることの 公 正 性 の 問 題 や 今 まで 森 林 に 生 計 手 段 を 依 存 して きた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 人 々の 権 利 がどう 保 障 されるのかが 焦 点 となっている 現 在 までの 議 論 のまとめと 各 国 の 考 え 方 の 整 理 REDD 事 業 の 導 入 は 任 意 REDD の 実 施 には 柔 軟 性 バランス 包 括 的 な 政 策 アプローチが 適 当 であり 各 国 の 国 情 や 既 存 の 政 策 イニシャティブを 考 慮 した 上 で いかなる 将 来 枠 組 みにおいても REDD への 参 加 は 任 意 とし 広 い 参 加 を 促 すものであるべきとしている REDD 事 業 の 範 疇 REDD 事 業 においては 当 面 森 林 減 少 に 議 論 を 集 中 すべきであるという 立 場 を EU やブラジルが 取 っていたが COP13 では 森 林 減 少 と 森 林 劣 化 対 策 を 同 列 に 取 り 扱 うことで 合 意 に 至 った しかし 森 林 保 全 の 役 割 や 森 林 の 持 続 可 能 な 管 理 植 林 活 動 を 通 した 森 林 炭 素 貯 留 量 の 増 加 についてもあ わせて 検 討 するべきとの 意 見 がインドや 中 国 中 南 米 等 の 森 林 所 有 国 から 提 出 され 現 在 はそれら 全 てを 含 めて 検 討 されている 状 態 である 森 林 面 積 の 変 化 と 各 締 約 国 のポジション CfRN( 熱 帯 雨 林 諸 国 連 合 ), Climate Change & Development Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation UNFCCC AWG-LCA Workshop Accra, Ghana を 元 に 作 成 4

モニタリング 森 林 減 少 は 人 工 衛 星 からの 衛 星 画 像 やリモートセンシング 技 術 を 用 いて 測 定 することが 可 能 で あるというのが 現 在 の 各 国 の 認 識 である しかし 森 林 劣 化 をモニタリングする 場 合 枝 葉 枯 死 木 を 含 めた 地 上 の 炭 素 ストックの 他 土 壌 地 下 バイオマスの 炭 素 ストックの 変 化 を 計 測 するには 人 工 衛 星 からの 情 報 だけでは 不 十 分 であるため 地 上 におけるデータを 実 地 調 査 により 収 集 する 必 要 性 がある 森 林 減 少 劣 化 による 排 出 を 推 測 する 際 には こうした 手 法 を 基 礎 として 利 用 しよう とする 共 通 の 理 解 はある ベースラインと 対 象 範 囲 ベースラインは 過 去 の 森 林 減 少 劣 化 の 傾 向 から 設 定 すること 対 象 範 囲 は 国 ベースで 設 定 する ということで 基 本 的 なコンセンサスは 得 られている しかし これまで 森 林 減 少 劣 化 が 大 規 模 に 起 こっていない 国 との 公 平 性 国 ベースという 広 域 の 対 象 範 囲 で REDD 事 業 を 行 うキャパシティーの 問 題 など 各 国 の 国 情 を 考 慮 しながら 柔 軟 な 措 置 の 検 討 が 行 われている 制 度 設 計 への 各 ステークホルダーの 参 加 と 利 益 分 配 制 度 設 計 には 個 人 制 度 体 制 レベルでのキャパシティービルディングや 南 北 間 南 南 間 の 技 術 移 転 協 力 ガバナンスの 強 化 と 法 の 施 行 適 切 な 経 済 発 展 実 証 活 動 の 資 金 確 保 という 点 を 盛 り 込 むことが 必 要 であるというコンセンサスが 得 られている しかし 先 住 民 族 や 地 域 住 民 が 制 度 設 計 に 参 加 する 必 要 性 を 各 国 は 基 本 的 には 認 識 してはいるものの あくまでも 参 加 の 認 識 であ り 彼 らの 森 林 利 用 の 権 利 の 保 障 や 森 林 管 理 における 役 割 の 必 要 性 についての 共 通 認 識 は 得 られて いない REDD の 資 金 拠 出 方 法 現 在 市 場 ベース 非 市 場 ベース それら 二 つのハイブリッド 方 式 の 更 なる 検 証 議 論 が 行 われ ている また その 議 論 は REDD に 限 らず 緩 和 活 動 全 体 に 必 要 な 資 金 拠 出 の 一 部 から REDD にも 資 金 を 充 てる 考 えと REDD 独 自 の 資 金 を 拠 出 する 考 えがある REDD に 限 らない 緩 和 活 動 の 資 金 拠 出 提 案 (スクール コペンハーゲン 資 金 メカニズムから) メキシコ 提 案 緩 和 適 応 森 林 減 少 防 止 対 象 年 間 10Billion USD(1 兆 円 )からスタート ノルウェー 提 案 適 応 の 他 緩 和 技 術 移 転 にも 15 25Billion USD(1.5 兆 -2.5 兆 円 ) スイス 提 案 適 応 の 他 緩 和 も 含 む 総 合 的 な 基 金 年 間 18.4Billion USD(1.84 兆 円 ) REDD に 焦 点 を 当 てた 資 金 拠 出 提 案 ツバルのInternational Forest Retention Fund: 国 際 航 空 船 舶 輸 送 燃 料 税 により 年 間 24Billion USD(2.4 兆 円 ) 1 EU 試 算 :2020 年 にはEU 域 内 排 出 量 取 引 制 度 のオークションで 得 られる 収 入 の 5%=1.5~ 2.5Billion EURO(1800 億 ~3000 億 円 )を 途 上 国 の 森 林 対 策 に 充 てる 2 憂 慮 する 科 学 者 同 盟 (UCS)の 試 算 : 年 間 many 10s of Billions USD( 数 兆 円 超 )( 市 場 メカ) 年 間 10s of Billions USD( 数 兆 円 )ハイブリッド) 年 間 100s of millions( 数 百 億 円 )( 基 金 ) 3 世 界 銀 行 FCPF: 途 上 国 のREDDのための 能 力 構 築 や 試 験 的 プロジェクトとしてREDD 事 業 に 資 1 FCCC/SBSTA/2007/MISC.2/Add.1 2http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1543&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=e n 3 http://www.ucsusa.org/assets/documents/global_warming/tfci_redd-basket.pdf 5

金 供 与 を 行 い 削 減 分 に 対 して 途 上 国 政 府 にクレジットが 支 払 われるプログラム 合 計 で 1 億 6500 万 米 ドル( 約 200 億 円 ) 日 本 政 府 はこれに 3 年 間 で 最 大 1000 万 ドル( 約 11 億 円 )を 拠 出 各 国 の REDD に 関 する 具 体 的 な 提 案 熱 帯 雨 林 諸 国 連 合 (Coalition for Rainforest Nations : CfRN) 4 提 案 国 家 単 位 で 炭 素 のグロス 排 出 量 を 計 測 し ベースラインは 過 去 のデータをもとに 最 低 でも 5 年 間 の 期 間 で 策 定 する REDD 事 業 により 達 成 された 排 出 削 減 量 はクレジット 化 し 炭 素 市 場 で 取 引 され 先 進 国 が 自 国 の 削 減 目 標 を 達 成 するために 同 クレジットを 用 いる 2012 年 までの REDD のパイロッ トプロジェクトも 次 期 枠 組 みにて 評 価 を 行 う この 提 案 では REDD に 参 加 する 途 上 国 の 進 捗 レベルを 3 つカテゴリーにわけ それぞれに 合 った 資 金 提 供 アプローチ(カテゴリー1:キャパシティービルディング 用 に 基 金 ベースで 提 供 カテゴリー 2: 地 域 レベルと 国 家 レベルの 実 証 活 動 の 拡 大 のために 基 金 や 排 出 量 取 引 からの 資 金 を 活 用 カテゴ リー3: 国 家 レベルでの 参 加 で 世 界 の 炭 素 市 場 で REDD クレジットを 取 引 )を 主 張 している また 提 案 には REDD に 成 長 キャップ という 概 念 を 導 入 し 途 上 国 の 経 済 発 展 をある 程 度 可 能 に するための 森 林 減 少 劣 化 を 許 容 する 余 地 を 残 している ツバル 提 案 地 域 コミュニティに 森 林 の 維 持 と 保 全 のインセンティブを 与 えるために 3 種 類 の 基 金 を 用 いた 提 案 をしている 一 つ 目 がコミュニティ 森 林 維 持 トラスト 口 座 (Community Forest Retention Trust Account : CFRTAccount)を 設 けて 地 域 コミュニティの REDD 事 業 資 金 を 支 援 するもの 2 つ 目 が 森 林 維 持 認 証 (Forest Retention Certificates)と 呼 ばれる CFRTAccount のもとに 行 った 事 業 により 削 減 された 炭 素 量 が 国 により 認 証 され COP の 下 での 委 員 会 がそれを 検 証 するもの 3 つ 目 が 国 際 森 林 維 持 基 金 (International Forest Retention Fund)で 上 述 の 資 金 を 国 際 航 空 船 舶 輸 送 燃 料 税 から 捻 出 しようという 提 案 である ツバル 提 案 では 世 界 の 商 品 需 要 の 圧 力 が 森 林 から 消 えない 限 りリーケージが 発 生 してしまうとい う 考 えから 森 林 炭 素 の 取 引 を 支 持 していない また 輸 入 される 森 林 関 連 製 品 に 占 める 持 続 可 能 な 森 林 経 営 に 由 来 するものの 割 合 を 高 めるため 非 持 続 可 能 な 森 林 経 営 から 生 産 された 製 品 を 輸 入 する 場 合 その 製 品 に 炭 素 欠 損 税 (Carbon Deficit Levies : CDLs)を 課 税 するという CER とは 逆 のイン センティブを 与 える 提 案 も 含 む ブラジル 提 案 REDD は 気 候 変 動 枠 組 み 条 約 のもとで 取 り 扱 うべきだが 京 都 議 定 書 の 外 で 扱 い REDD メカニズムが 先 進 国 の 削 減 目 標 達 成 のために 用 いられることがないようにするべきであるというスタンスをとっ ている これは 条 約 の 目 的 を 達 成 するには REDD における 排 出 削 減 は 先 進 国 のもともとの 削 減 目 標 に 追 加 的 であるべきという 考 え 方 からである 森 林 減 少 防 止 の 実 証 活 動 に 成 功 した 国 に 追 加 的 で 新 たに 創 設 された 基 金 から 資 金 が 提 供 されるべ きであり 実 証 活 動 に 入 れる 段 階 の 国 と キャパシティービルディングが 必 要 な 国 の 二 種 類 にわけ 4 これまでの 参 加 国 は Bangladesh, Belize, Bolivia, Central African Republic, Cameroon, Congo, Colombia, Costa Rica, DR Congo, Dominican Republic, Ecuador, Equatorial Guinea, El Salvador, Fiji, Gabon, Ghana, Guatemala, Guyana, Honduras, Indonesia, Kenya, Lesotho, Liberia, Madagascar, Malaysia, Nicaragua, Nigeria, Pakistan, Panama, Papua New Guinea, Paraguay, Peru, Samoa, Sierra Leone, Solomon Islands, Suriname, Thailand, Uruguay, Uganda, Vanuatu and Viet Nam など 6

後 者 には 国 際 機 関 や 先 進 国 からの 任 意 の 資 金 援 助 を 想 定 している ベースラインは 歴 史 的 傾 向 に 基 づき 設 定 し 計 測 範 囲 は 国 単 位 で 行 うことを 提 案 している 中 央 アフリカ 森 林 協 議 会 (The Commission of Central African Forests : COMIFAC) 5 提 案 コンゴ 盆 地 諸 国 は その 土 地 の 60%が 森 林 劣 化 の 脅 威 を 受 けているため 森 林 劣 化 の 防 止 活 動 に も 補 償 対 象 に 含 めるべきだと 主 張 し とくに 持 続 可 能 な 森 林 管 理 (SFM)の 推 進 し 同 管 理 地 からの 排 出 は 算 入 されるべきでないとしている そして 森 林 管 理 の 定 義 及 び SFM の 枠 組 みは REDD 実 施 国 が 自 ら 決 定 するべきと 主 張 している 資 金 源 は 任 意 の 拠 出 による 基 金 と 炭 素 クレジットを 合 わせた 方 法 で 捻 出 し そのクレジットは 先 進 国 のキャップ&トレード 方 式 から 発 生 するものを 用 いることにより 環 境 十 全 性 を 保 つとしている 歴 史 的 に 森 林 減 少 の 少 ない 地 域 や 森 林 保 護 地 を 保 全 するための 追 加 的 な 活 動 に 対 して 補 償 される 安 定 化 基 金 とキャパシティービルディングに 用 いられる 始 動 基 金 の 二 つが 提 案 されている また CfRN 提 案 と 同 様 に COMIFAC は 歴 史 傾 向 に 基 づくベースラインに 加 え 発 展 調 整 係 数 (Development Adjustment Factor : DAF)を 適 用 することにより 一 人 当 たりの 低 い 排 出 量 と 経 済 発 展 のニーズに 沿 った 森 林 開 発 が 行 えるような 仕 組 みを 提 案 している インド 提 案 インドは REDD だけでなく 森 林 の 維 持 と 植 林 を 通 した 炭 素 蓄 積 の 増 加 を 目 的 とした 政 策 にも 補 償 対 象 を 広 げるべきと 主 張 している 計 測 は 国 家 単 位 で 行 い 資 金 源 については 当 初 事 業 専 用 の 基 金 を 設 立 する 基 金 方 式 を 好 んでいたが 最 近 になって 炭 素 の 変 化 が 起 きる 事 業 ( 減 少 劣 化 や 植 林 )に ついては 市 場 メカニズムを 利 用 するという 主 張 に 変 わってきている また 炭 素 の 変 化 が 起 きない 森 林 の 維 持 を 目 的 とする 事 業 には 国 際 的 な 基 金 を 設 立 するべきとしている インドは 森 林 減 少 劣 化 対 策 と 植 林 事 業 を 同 等 に 扱 うことを 求 めている 6 対 象 範 囲 は 国 家 単 位 で 行 うとしている 南 米 ネステットアプローチ 提 案 南 米 グループ 7 は 熱 帯 農 業 研 究 教 育 センター(Centro Agronomico Tropical de Investigacion y Ensenanza : CATIE)により 提 案 されたネステットアプローチを 支 持 している できるだけ 多 くの 参 加 がないとREDDの 成 果 も 大 きくならないとの 視 点 から 最 初 は 対 象 事 業 レベルを 国 単 位 に 限 らず 計 測 精 度 の 高 い 地 域 プロジェクトのみの 参 加 も 認 め 段 階 的 に 国 単 位 に 発 展 させていこうとするアプ ローチを 提 案 している この 場 合 リーケージの 問 題 が 発 生 しやすいがその 要 因 をつきとめ プロ ジェクトごとの 排 出 削 減 予 測 からそのリーケージ 分 を 割 り 引 くことで 対 処 可 能 としている こうし て 発 生 するクレジットは 地 域 クレジットと 国 家 クレジットの 2 種 類 とし 民 間 からの 直 接 投 資 を 呼 び 込 み 易 くする 目 的 がある ベースラインは 歴 史 的 傾 向 に 基 づくが 今 まで 森 林 減 少 率 の 低 かった 国 にはその 早 期 行 動 に 対 し リザーブクレジットが 発 行 され それで 得 られた 歳 入 を COMIFAC 提 案 にあるような 安 定 化 基 金 の 原 資 とするとしている 5 これまでの 参 加 国 は Cameroon, the Central African Republic, the Republic of Congo, the Democratic Republic of Congo, Equatorial Guinea, Chad, Gabon など 6 仮 に 現 行 の 京 都 議 定 書 の 下 での 天 然 林 と 人 工 林 を 区 別 しない 森 林 定 義 が REDD にも 適 用 されるとし 森 林 の 炭 素 固 定 価 値 のみに 注 目 して 森 林 減 少 劣 化 対 策 と 植 林 事 業 を 同 等 に 扱 う( 天 然 林 の 減 少 による 排 出 量 を 植 林 事 業 による 吸 収 量 で 相 殺 する)ことになると すると 天 然 林 の 持 つ 生 物 多 様 性 価 値 や 水 源 涵 養 機 能 等 の 損 失 が 評 価 されないという 問 題 に 繋 がることを 懸 念 する NGO が 多 い 7 南 米 諸 国 連 合 (Paraguay, Argentina, Honduras, Panama, Peru) 7

EU のポジション EU はこれまで 森 林 を 炭 素 市 場 に 含 めることについては 慎 重 なスタンスを 保 ってきた 一 方 で REDD の 実 行 においては 既 存 の 森 林 減 少 対 策 を 更 に 強 化 していく 必 要 性 を 主 張 している 更 に EU は 2012 年 までに 締 約 国 は 国 情 に 合 わせて 森 林 減 少 の 要 因 に 対 処 するための 実 証 活 動 を 行 うべきであ るとし 2012 年 以 降 は 森 林 減 少 劣 化 に 焦 点 を 当 て 保 全 SFM 植 林 活 動 については 補 完 的 であ るべきというスタンスをとっている ベースラインや 対 象 範 囲 は 国 単 位 とし 野 心 的 な 目 標 を 設 定 するも 国 情 に 合 わせて 適 宜 改 訂 して いく 必 要 があるとしている ノルウェーのポジション ノルウェーのポジションで 注 目 すべき 点 は ブラジルと 同 様 に REDD は 付 属 書 Ⅰ 国 の 削 減 目 標 に 上 乗 せした 形 で 適 用 されるべきとしている 点 である また 市 場 メカニズムを 用 いて 先 進 国 全 体 で 25-40%よりも 多 く 削 減 するべきと 主 張 している 資 金 源 としては 基 金 を 使 う 場 合 には 追 加 的 な 資 金 拠 出 が 必 要 であり ODA には 頼 るべきでないとし AAU のオークションを 通 じて 生 まれた 資 金 を REDD に 充 てることも 提 案 している ベースライン 対 象 範 囲 については 過 去 の 傾 向 に 基 づき 国 単 位 で 行 うことを 提 案 しているが 国 情 に 合 わせて 柔 軟 に 設 定 することにも 理 解 を 示 している 進 行 中 のプロジェクト 現 在 全 世 界 で 100 件 以 上 の 森 林 炭 素 関 連 の 事 業 が 存 在 しているといわれている 事 業 は 主 に 先 進 国 政 府 と 途 上 国 政 府 の 二 国 間 事 業 政 府 ( 地 方 政 府 を 含 む)と 民 間 企 業 や NGO が 協 力 して 行 う 事 業 世 界 銀 行 や 国 連 など 国 際 機 関 が 進 める 事 業 などプロジェクトの 実 施 形 態 は 様 々である 二 国 間 の 事 業 例 オーストラリア 政 府 はREDDのリーダーシップを 発 揮 するための 政 策 として 国 際 森 林 炭 素 イニシャ ティブ(International Forest Carbon Initiative : :IFCI)の 一 環 として 2008 年 6 月 にインドネシ ア 政 府 と インドネシア-オーストラリア 森 林 炭 素 パートナーシップ(Indonesia-Australia Forest Carbon Partnership) を 立 ち 上 げた 現 在 はこの 下 で インドネシア カリマンタン 島 の 中 央 カリ マンタン 州 での 実 証 活 動 カリマンタン 森 林 気 候 パートナーシップ(the Kalimantan Forests and Climate Partnership : :KFCP)を 開 始 している 同 活 動 では 市 場 メカニズムを 用 いた 資 金 供 出 アプ ローチをとっており オーストラリア 政 府 は 既 にKFCP 設 立 に 3000 万 ドルを 拠 出 することを 約 束 して いる 8 地 方 政 府 と 民 間 企 業 の 例 インドネシア アチェ 州 政 府 は 75 万 haのウルマセン 森 林 地 域 での 森 林 減 少 を 85% 削 減 すること によって 今 後 30 年 間 で 1 億 トンのCO2 排 出 削 減 を 目 指 す 米 証 券 大 手 メリルリンチはこの 事 業 に 4 年 間 にわたり 900 万 米 ドルを 投 資 すると 2008 年 3 月 に 表 明 した 9 この 目 的 達 成 のため 1 森 林 を 保 護 林 へ 変 更 することによる 永 久 的 森 林 地 域 の 拡 大 2 地 域 における 雇 用 の 増 加 等 の 違 法 伐 採 対 策 3 森 林 再 生 アグロフォレストリー マングローブの 再 生 等 の 事 業 の 実 施 等 が 予 定 されている 実 施 課 題 としては 農 業 木 材 伐 採 を 行 う 13 万 人 の 地 域 住 民 との 利 害 関 係 同 地 域 を 分 断 する 幹 線 道 路 敷 設 計 画 や 鉱 山 開 発 事 業 等 を 許 可 する 地 方 政 府 の 政 策 調 整 の 問 題 事 業 から 発 生 するクレジッ 8 http://www.climatechange.gov.au/international/publications/fs-ifci.html 9 http://blogs.wsj.com/environmentalcapital/2008/03/11/merrill-lynch-turning-trees-into-money/?mod=hpp_europe_blogs 8

トの 信 頼 性 の 確 保 等 が 挙 げられる 国 連 REDDプログラム 10 COP13 の 決 定 を 下 に 締 約 国 やドナーの 要 望 を 受 けて 国 連 食 糧 農 業 機 関 (FAO) 国 連 開 発 計 画 (UNDP) 国 連 環 境 計 画 (UNEP)の 3 機 関 が 共 同 で 立 ち 上 げたプログラムである 森 林 減 少 劣 化 からの 温 室 効 果 ガス 排 出 を 大 幅 に 削 減 するための 資 金 フローを 生 み 出 すことが 目 的 であり 当 面 の 目 標 は 入 念 に 設 計 された 支 払 い 制 度 とキャパシティービルディング 支 援 を 通 して 森 林 が 提 供 する 様 々な 生 態 系 サービスを 改 善 しながら 持 続 的 で 信 頼 のおける 到 達 計 測 可 能 な 排 出 削 減 を 確 約 することである としている 世 界 銀 行 森 林 炭 素 パートナーシップ 基 金 (FCPF) 11 COP13 にて 世 界 銀 行 は 市 場 メカニズムを 補 完 するための 基 金 森 林 炭 素 パートナーシップ 基 金 (FCPF) の 設 立 を 公 式 に 発 表 した これは 途 上 国 国 内 の REDD のためのキャパシティービルディング や 試 験 的 プロジェクトとしての REDD 事 業 に 資 金 供 与 を 行 い 削 減 分 に 対 して 途 上 国 政 府 にクレジ ットが 支 払 われるプログラムである 日 本 政 府 はこれに 3 年 間 で 最 大 1000 万 ドル( 約 11 億 円 )を 拠 出 する 日 本 のほか ドイツ 英 国 オランダ 豪 州 フランス 北 欧 諸 国 などから 合 計 で 1 億 6500 万 米 ドル( 約 200 億 円 )の 拠 出 が 発 表 されており 南 米 コンゴ 盆 地 諸 国 東 アジア 太 平 洋 諸 国 な どの 森 林 保 有 諸 国 を 含 む 25 カ 国 が 参 加 中 である 準 備 メカニズム(Readiness Mechanism)として 関 連 する 途 上 国 約 20 カ 国 に 対 し 過 去 の 排 出 量 に 基 づく 将 来 の 排 出 予 測 に 関 するシナリオ 作 りや 国 内 の 森 林 炭 素 ストックおよび 森 林 排 出 源 に 関 す る 信 頼 できる 予 測 作 成 のための 技 術 支 援 プログラムのために 資 金 供 与 する(Readiness Fund) 最 小 額 は 1,000 万 US ドルで 目 標 額 は 1 億 US ドルとされている 続 いて その 中 から 炭 素 ファイナンスメカニズム(Carbon Finance Mechanism)としてメカニズム に 参 加 する 数 カ 国 (5 カ 国 程 度 )が 選 定 される 選 定 された 国 は (a)redd に 関 する ownership と 適 切 なモニタリング 能 力 を 実 証 し (b) 排 出 削 減 に 関 する 信 頼 できるシナリオとオプションを 確 立 し シ ナリオ 以 下 に 削 減 した 排 出 に 対 し 資 金 を 供 与 される(Carbon Fund) このメカニズムにおいて 資 金 は 計 測 立 証 可 能 な 排 出 削 減 を 実 現 した 国 に 対 してのみ 供 与 される 最 小 額 は 約 2,000 万 USドル 目 標 額 は 2 億 US ドル REDD のこれからの 課 題 と 論 点 REDD 事 業 の 参 加 は 任 意 これまでの 議 論 から REDD への 参 加 には 強 制 力 を 持 たせるべきでないというコンセンサスが 締 約 国 間 に 広 がっている これは REDD 事 業 の 有 無 を 経 済 的 損 得 に 合 わせて 選 択 できる 余 地 を 与 え 森 林 減 少 劣 化 を 大 幅 に 防 止 できなくなるリスクにつながる 例 えば REDD 事 業 によるクレジット 利 益 よ りも 森 林 伐 採 を 行 い 林 産 物 や 農 産 物 の 貿 易 による 利 益 が 高 い 場 合 は 森 林 を 伐 採 するほうを 選 択 する また REDD を 選 択 した 国 から REDD を 選 択 していない 国 へ 森 林 資 源 の 需 要 圧 力 が 移 動 し リ ーケージが 発 生 する 可 能 性 が 高 まる ベースライン 策 定 モニタリング 実 施 の 不 確 実 性 途 上 国 経 済 の 発 展 の 推 移 や 気 候 変 動 に 伴 う 降 雨 量 の 変 化 森 林 火 災 等 の 自 然 影 響 により 森 林 と 10 http://www.undp.org/mdtf/un-redd 11 http://www.forestcarbonpartnership.org (2009 年 2 月 現 在 ) 9

大 気 の 間 の 炭 素 循 環 は 大 きく 変 化 する 森 林 減 少 劣 化 量 とその 炭 素 量 の 推 測 計 測 には 技 術 的 な 限 界 がある REDD のクレジットには 一 定 の 仮 定 に 基 づかざるを 得 ないベースライン 設 定 の 不 確 実 性 に 加 えて 計 測 時 の 不 確 実 性 が 掛 け 合 わせられることになる 先 進 国 の 総 量 削 減 目 標 の 達 成 手 段 の 可 能 性 先 進 国 全 体 で 2020 年 までに 1990 年 比 25~40%の 削 減 を 求 められている 先 進 国 にとって REDD クレジットは 自 国 の 削 減 目 標 を 達 成 するための 有 効 なオフセットツールとなる このことは 先 進 国 のエネルギー 由 来 の 温 室 効 果 ガスの 排 出 削 減 努 力 を 緩 めてしまうというリスクにつながる また 不 確 実 性 がぬぐえないベースラインの 設 定 では ベースラインを 必 要 以 上 に 高 く つまり 過 剰 な 森 林 減 少 が 起 こるように 設 定 し 出 来 るだけ 多 くのクレジットを 得 ようとするインセンティブが 生 ま れる 可 能 性 がある これは 化 石 燃 料 に 依 存 しない 社 会 システムへ 向 けた 改 革 をさらに 後 退 させるリ スクを 生 み 出 すと 予 想 される 森 林 定 義 現 在 の 京 都 議 定 書 の 3 条 3 項 では 森 林 の 定 義 は 面 積 0.05~1.0ha 以 上 樹 冠 率 10~30% 以 上 樹 高 2~5m 以 上 の 土 地 である 伐 採 や 災 害 により 一 時 的 にこの 条 件 を 満 たさなくなった 土 地 でも 森 林 に 戻 ることが 期 待 されていれば 森 林 とする と 定 められている もともと 森 林 の 炭 素 機 能 に 焦 点 が 当 てられた 森 林 定 義 には 天 然 林 と 人 工 林 の 区 別 がなく 生 物 多 様 性 の 価 値 が 軽 視 されている また 実 際 の 森 林 減 少 が 森 林 減 少 のカテゴリーに 入 らず 排 出 が 計 上 されていないという 第 一 約 束 期 間 の 問 題 を 抱 えている REDD を 次 期 枠 組 みに 取 り 入 れる 際 には この 既 存 の 定 義 と 運 用 ルー ルを 継 承 せず 新 たな 定 義 を 設 定 する 必 要 がある 仮 に 定 義 運 用 ルールの 改 善 が 施 されないとすると 天 然 林 を 択 伐 皆 伐 した 場 合 の 排 出 が 計 上 されない 天 然 林 天 然 二 次 林 を 皆 伐 し 植 林 に 転 換 しても その 排 出 が 計 上 されない BAU の 施 業 を 継 続 しているにも 関 わらず REDD クレジットが 発 生 する という 大 きなリスクが 生 まれる 可 能 性 がある 先 住 民 族 地 域 住 民 の 各 権 利 の 保 障 と 役 割 の 認 識 の 不 足 REDD 事 業 を 実 施 する 際 には 古 くから 森 林 に 依 存 して 生 活 してきた 先 住 民 族 地 域 住 民 の 権 利 の 保 障 と 森 林 管 理 における 役 割 を 尊 重 する 重 要 性 を 各 国 がどこまで 認 識 し REDD の 制 度 設 計 に 反 映 さ せるかが 重 要 である 彼 らの 森 林 利 用 などの 権 利 を 保 障 することは 森 林 保 全 にも 寄 与 する 事 例 が 報 告 されている しかし そうした 権 利 の 保 障 や 森 林 管 理 手 法 を 既 存 の 森 林 政 策 に 取 り 入 れた 事 例 は 限 られている REDD 事 業 を 行 う 際 に 回 避 しなければならない 点 は 以 下 の 通 りである 土 地 利 用 に 関 する 法 制 度 整 備 施 行 が 不 十 分 な 途 上 国 において 今 まで 開 発 の 名 の 下 に 開 発 事 業 対 象 地 から 締 め 出 されてきた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 人 権 侵 害 問 題 が 今 度 は 森 林 保 護 という 新 しい 理 由 の 下 に REDD 事 業 対 象 地 で 起 こる 森 林 保 護 の 名 の 下 に 先 住 民 族 や 地 域 住 民 を 締 め 出 すことにより それまで 先 住 民 族 や 地 域 住 民 が 対 応 できた 森 林 火 災 発 生 の 探 知 が 遅 れたり 違 法 伐 採 摘 発 が 限 られたりするなど 森 林 変 化 の 早 期 発 見 が 難 しくなる 先 住 民 族 地 域 住 民 の 強 制 移 転 により 移 転 先 の 住 民 との 対 立 紛 争 が 起 こり 新 たな 森 林 減 少 劣 化 が 生 まれる(リーケージの 発 生 ) 古 くから 森 林 に 住 んでいた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 森 林 資 源 利 用 の 伝 統 的 知 識 ( 薬 草 や 有 用 な 資 源 ( 動 植 物 )の 活 用 知 識 )が 継 承 されず 生 物 多 様 性 の 将 来 的 な 利 用 可 能 性 が 断 たれる 10

REDD 制 度 実 行 の 際 の 技 術 方 法 論 的 課 題 先 にあげた REDD の 技 術 方 法 論 的 課 題 を 解 決 し 透 明 性 を 確 保 した 上 で 実 行 に 移 していく 必 要 があ る この 課 題 解 決 が 不 十 分 なまま REDD 事 業 を 続 けると 気 候 変 動 緩 和 対 策 としての REDD の 有 効 性 が 疑 問 視 され REDD クレジットは 信 頼 性 を 失 い 排 出 量 取 引 にも 悪 影 響 を 及 ぼしかねない また 生 物 多 様 性 の 損 失 や 先 住 民 族 地 域 住 民 の 権 利 が 脅 かされる 可 能 性 が 高 まる REDD の 資 金 メカニズムの 意 見 の 隔 たり 締 約 国 間 での 資 金 の 拠 出 方 法 についての 考 え 方 の 溝 がうまらないと REDD 制 度 作 りの 議 論 にブレ ーキがかかり 森 林 減 少 劣 化 を 食 い 止 める 時 期 が 遅 れる また ガバナンスが 不 全 で 汚 職 賄 賂 が 蔓 延 しやすい 途 上 国 において 世 銀 の FCPF も 含 めた REDD に 集 まる 資 金 が 適 切 に 利 用 されるよう その 透 明 性 を 十 分 に 確 保 しなければならない 需 要 圧 力 と 複 数 の 森 林 減 少 要 因 への 対 処 の 不 足 国 際 社 会 の 森 林 減 少 防 止 の 試 みは 20 年 以 上 も 続 けられているが 現 在 でも 一 向 に 現 実 味 を 帯 びて いない これは 以 下 のような 本 質 的 な 課 題 への 取 り 組 みが 不 十 分 である 理 由 によると 考 えられる 木 材 製 品 商 品 作 物 ( 紙 パルプ 植 林 やアブラヤシ ゴム 大 豆 等 ) 鉱 物 資 源 など 森 林 を 皆 伐 して 他 用 途 に 土 地 利 用 を 転 換 する 事 業 の 存 在 とそれを 後 押 しする 主 に 先 進 国 側 の 莫 大 な 需 要 圧 力 の 存 在 需 要 を 満 たすための 貿 易 開 発 に 伴 う 資 金 の 流 れに 助 長 される 途 上 国 での 政 治 腐 敗 とガバナン スの 質 の 低 さ 法 の 施 行 が 不 十 分 不 適 切 なままでの 土 地 森 林 資 源 利 用 権 の 配 分 と それにより 発 生 する 森 林 の 違 法 伐 採 や 乱 開 発 違 法 伐 採 や 乱 開 発 で 生 産 された 資 源 の 貿 易 や 投 資 を 適 切 に 規 制 する 国 際 的 な 制 度 の 欠 如 先 進 国 が 温 暖 化 対 策 として 推 進 している 輸 送 用 バイオ 燃 料 の 導 入 政 策 による 新 たなバイオ 燃 料 用 作 物 需 要 の 急 増 に 後 押 しされた 林 地 の 他 用 途 への 転 換 このように 現 在 の REDD の 議 論 には 日 本 をはじめとする 木 材 や 資 源 の 輸 入 国 が 途 上 国 に 森 林 資 源 や 鉱 物 資 源 を 過 度 に 依 存 せず 公 正 な 木 材 調 達 を 実 現 する 方 法 を 検 討 するという 需 要 サイドから の 視 点 が 欠 けている さらに 言 えば 可 能 な 限 り 生 産 者 の 顔 が 見 える 地 産 地 消 型 へ 社 会 構 造 を 移 行 さ せない 限 り 森 林 減 少 劣 化 の 解 決 は 困 難 性 を 帯 びつづける 11