School Copen 09 WWF Registered Trademark Owner 1986 PANDA symbol WWF -World Wide Fund For Nature(formerly World Wildlife Fund)
途 上 国 での 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 による 排 出 削 減 (REDD : Reduce Emission from Deforestation and Forest Degradation in Developing countries)とは ( 江 原 誠 / 国 際 環 境 NGO FoE Japan 森 林 担 当 ) REDD の 概 要 REDD( 途 上 国 での 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 による 排 出 削 減 )とは 途 上 国 において 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 するための 施 策 を 行 い 仮 に 同 施 策 を 何 も 行 わなかった 場 合 に 排 出 されたであろう 温 室 効 果 ガ スの 排 出 を 抑 制 したとして クレジットや 補 償 を 与 えるしくみである これを 京 都 議 定 書 が 定 めて いない 2013 年 以 降 の 排 出 削 減 対 策 のひとつとする 提 案 が 主 にパプアニューギニアをはじめブラジ ルや アフリカ 諸 国 中 南 米 諸 国 など 世 界 の 森 林 大 国 から 出 されている REDD が 注 目 され 始 めた 背 景 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル(IPCC)は 林 業 の 森 林 伐 採 を 含 む 土 地 利 用 の 変 化 による 二 酸 化 炭 素 の 排 出 量 が 世 界 の 排 出 量 の 約 17%に 相 当 するとしている これは 二 酸 化 炭 素 の 排 出 源 では 化 石 燃 料 由 来 の 排 出 に 次 いで 2 番 目 に 大 きいものである 特 に 途 上 国 における 森 林 減 少 劣 化 の 直 接 的 要 因 は 違 法 過 剰 伐 採 森 林 火 災 紙 の 原 料 になるパルプ 用 植 林 地 やパーム 油 生 産 のためのア ブラヤシ 農 園 などへの 森 林 の 土 地 利 用 転 換 などである 2005 年 末 にカナダ モントリオールで 開 催 された COP11 において パプアニューギニアとコスタリカから 京 都 議 定 書 において 仕 組 みがない 途 上 国 での 森 林 減 少 による 排 出 を 削 減 する 対 策 を 行 う 必 要 がある という 趣 旨 の 提 案 がなされた この 提 案 を 受 け COP に 対 して 科 学 上 及 び 技 術 上 の 助 言 を 行 う 補 助 機 関 会 合 (Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice : SBSTA)が 2 年 間 の 検 討 を 行 い 2 回 の 方 法 論 的 課 題 のワ ークショップを 開 催 した また 2006 年 10 月 に 発 表 されたスターンレビューにおいても 急 激 に 進 んでいる 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 するほうが 植 林 による 二 酸 化 炭 素 吸 収 の 取 組 みより 経 済 的 で 効 率 的 である と 指 摘 されたことから 国 際 社 会 に REDD の 重 要 性 が 認 識 された 地 域 ごとの 土 地 利 用 変 化 による 炭 素 排 出 量 FAO, The State of the World's Forests 2001 1
2007 年 12 月 にインドネシア バリで 開 催 された COP13 では REDD が 大 きな 議 論 の 1 つとして 注 目 され 採 択 されたバリ 行 動 計 画 では 途 上 国 における 森 林 減 少 及 び 森 林 劣 化 を 原 因 とする 排 出 の 削 減 に 関 連 する 問 題 に 対 する 政 策 手 法 の 採 用 とプラスのインセンティブの 提 供 ならびに 途 上 国 にお ける 保 全 の 役 割 森 林 の 持 続 可 能 な 管 理 森 林 炭 素 貯 留 量 の 増 加 について 各 締 約 国 は 国 内 および 国 際 的 行 動 を 強 化 すること( 具 体 的 にはパイロットプロジェクトや 途 上 国 のキャパシティ ビルディ ング 等 )に 取 り 組 むこと が 合 意 された REDD の 一 般 的 な 論 点 森 林 森 林 減 少 劣 化 等 の 定 義 途 上 国 には 熱 帯 雨 林 からやパルプチップやゴム 生 産 のための 人 工 林 まで 森 林 と 定 義 される 土 地 があり その 解 釈 が 様 々あることから REDD 事 業 においては 森 林 減 少 劣 化 を 防 止 したと 判 断 す るために まずどのような 条 件 を 満 たせば 森 林 とするのかを 明 確 に 決 める 必 要 がある 森 林 減 少 (Deforestation)とは 森 林 の 皆 伐 や 森 林 の 農 地 や 牧 草 地 などへの 土 地 利 用 転 換 により 森 林 面 積 が 完 全 に 消 失 することを 意 味 する 一 方 森 林 劣 化 (Forest Degradation)とは 林 業 活 動 に よる 択 伐 や 林 道 の 敷 設 地 中 火 林 地 での 小 規 模 農 業 等 により 統 計 上 の 森 林 面 積 は 減 らず 森 林 の 質 が 劣 化 することである このように 森 林 が 完 全 に 消 失 するため 定 義 しやすい 森 林 減 少 と 違 い 森 林 の 質 が 低 下 する 森 林 劣 化 についてはどのような 状 態 をもって 森 林 劣 化 と 定 義 するのか 今 後 において 各 国 のコンセンサスを 得 る 必 要 がある モニタリング 森 林 減 少 劣 化 をどう 感 知 するかという 技 術 的 な 課 題 がある 現 在 森 林 減 少 劣 化 を 人 工 衛 星 から 観 察 し 排 出 量 を 割 り 出 すリモートセンシング 技 術 の 開 発 が 始 まっているが 衛 星 画 像 から 割 り 出 す 排 出 量 の 正 確 さの 向 上 特 に 森 林 の 劣 化 を 判 断 する 技 術 の 開 発 地 上 レベルでの 確 認 作 業 方 法 の 構 築 資 金 源 が 乏 しい 途 上 国 での 技 術 開 発 の 進 め 方 などについての 課 題 が 残 る ベースライン(リファレンスシナリオ)と 対 象 範 囲 REDD 施 策 を 行 った 場 合 その 政 策 の 効 果 の 度 合 いを 判 断 し 回 避 できた 森 林 減 少 劣 化 がどの 程 度 であるのかを 評 価 しなければならない その 評 価 方 法 についてだが 仮 に REDD 施 策 を 行 わない 場 合 に 起 こり 得 る 森 林 減 少 劣 化 のベースライン(リファレンスシナリオ)を 過 去 の 傾 向 をもとに 作 成 し 施 策 によりそのベースラインを 超 える 森 林 が 維 持 されるならば その 超 えた 分 を 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 に 成 功 したとする また そのベースラインを 超 えた 森 林 ( 及 び 土 壌 )が 蓄 積 していたであ ろう 温 室 効 果 ガス 量 を REDD による 削 減 分 とし それ 相 応 の 補 償 を 削 減 国 は 受 領 する 2
このベースラインの 設 定 には 森 林 減 少 劣 化 の 正 確 な 予 測 が 課 題 となる 森 林 減 少 劣 化 率 は 経 済 成 長 率 や 農 産 物 アブラヤシ 林 産 物 の 値 段 需 要 量 の 変 化 により 農 地 牧 草 地 のための 森 林 開 発 の 度 合 いが 変 わってくることを 考 慮 しなければならない また 過 去 の 森 林 減 少 の 割 合 や 傾 向 を 参 考 にベースラインを 設 定 すると 過 去 に 森 林 減 少 劣 化 の 度 合 いが 高 かった 国 がより 多 くの REDD クレジットを 獲 得 し 逆 に 森 林 減 少 劣 化 の 対 策 を 行 ってきた 国 やこれから 森 林 減 少 が 起 こる 国 が クレジットを 十 分 に 獲 得 できなくなり 公 平 性 を 欠 く 可 能 性 がある そもそも ベースライン 設 定 には こうした 途 上 国 各 国 の 過 去 の 森 林 被 覆 率 や 土 壌 枝 葉 枯 死 木 地 下 バイオマスの 炭 素 スト ック 量 など 事 業 対 象 地 のデータが 求 められるが 信 頼 性 や 正 確 性 の 点 でに 懸 念 が 残 り その 設 定 を 難 しくさせる また 森 林 減 少 劣 化 の 防 止 に 成 功 し 排 出 が 削 減 されたと 認 められた 地 域 が 排 出 増 加 に 転 ずる ことはいつでも 起 こり 得 る 突 然 の 火 災 や 自 然 災 害 にさらされるという 不 確 実 性 の 問 題 を 森 林 は 孕 んでいる また 違 法 伐 採 や 不 適 切 な 管 理 など 人 間 の 活 動 によっても 排 出 増 加 に 転 ずることはいつ でも 起 こり 得 る それゆえ どの 程 度 の 時 間 枠 で REDD の 成 果 を 計 測 するのかという 非 永 続 性 の 問 題 も 議 論 しなければならない さらに 個 別 に 限 定 された 地 域 に REDD 対 象 範 囲 を 絞 りすぎてしまうと そこで 伐 採 活 動 等 の 森 林 減 少 劣 化 が 抑 制 されたとしても その 半 面 他 の 地 域 で 伐 採 等 が 増 え 広 範 囲 でみると 森 林 減 少 劣 化 が 減 らない"リーケージ( 漏 出 )"と 呼 ばれるものが 問 題 となる こうしたリーケージは REDD 対 象 地 から 比 較 的 近 くの 森 林 へ 移 る 地 域 的 なものや 県 や 州 を 越 えて 移 るもの 更 には 国 境 を 越 える 国 際 的 なものまで 考 えられる 現 在 REDD の 対 象 範 囲 は 県 や 州 などの 地 域 レベルよりもリーケージ が 比 較 的 少 なくなると 予 想 されている 国 レベルで 行 うことが 検 討 されている REDD の 資 金 メカニズム REDD 事 業 実 施 には 計 測 モニタリング ベースライン 設 定 制 度 設 計 等 を 途 上 国 が 行 うための キャパシティービルディングや 実 際 に REDD が 行 われる 際 の 対 象 森 林 のステークホルダーへの 機 会 費 用 に 見 合 う 補 償 の 支 払 いや 代 替 地 の 手 当 てなどに 多 大 な 資 金 が 必 要 となる スターンレビューに よれば 土 地 利 用 変 化 による CO2 排 出 の 70%を 占 める 8 ヵ 国 にとって 森 林 保 護 にかかる 機 会 費 用 だけでも 年 間 約 50 億 US ドルと 概 算 されている こうした 財 源 捻 出 の 方 法 については 締 約 国 間 で 最 も 意 見 が 分 かれる 問 題 である 大 きく 市 場 ベース(REDD 独 自 の 炭 素 クレジットの 取 引 CDM に 組 み 入 れる 案 生 態 系 サービスに 対 する 支 払 い 等 )を 用 いる 意 見 と 市 場 ベースでない 基 金 方 式 (ODA や 既 存 新 規 基 金 を 活 用 した 二 国 間 多 国 間 援 助 炭 素 を 含 む 商 品 やサービスへの 課 税 等 )を 用 いる 案 3
また 双 方 を 組 み 合 わせた 方 式 (ハイブリッド 市 場 リンク 方 式 )が 検 討 されている 制 度 設 計 への 各 ステークホルダーの 参 加 と 利 益 分 配 REDD の 制 度 設 計 について 議 論 する 際 には 国 際 交 渉 の 場 で 議 論 をすることは 重 要 だが 森 林 減 少 劣 化 の 要 因 は 各 国 一 様 でないため 国 や 地 域 の 経 済 社 会 的 な 実 情 に 対 応 し 且 つ 実 現 可 能 な 制 度 になるよう 現 場 に 根 ざした 議 論 も 進 めなくてはならない そのためには 中 央 各 省 庁 州 県 市 郡 村 など 各 自 治 体 レベルの 参 加 のみならず 木 材 伐 採 植 林 農 園 開 発 農 地 開 発 鉱 物 資 源 開 発 道 路 開 発 を 推 し 進 める 民 間 企 業 や 公 団 地 元 の 地 域 住 民 先 住 民 族 研 究 者 NGO と 様 々 なステークホルダーの 参 加 が 不 可 欠 である また REDD 事 業 による 利 益 がこうしたステークホルダー にどのようなかたちでどれほど 分 配 されるのかを 深 く 議 論 する 必 要 がある さらに REDD 事 業 を 実 施 することによって とくにこれまでの 非 持 続 可 能 な 森 林 開 発 で 利 益 を 得 てきた 企 業 の 開 発 を 抑 制 することにより 企 業 に 補 償 が 支 払 われることの 公 正 性 の 問 題 や 今 まで 森 林 に 生 計 手 段 を 依 存 して きた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 人 々の 権 利 がどう 保 障 されるのかが 焦 点 となっている 現 在 までの 議 論 のまとめと 各 国 の 考 え 方 の 整 理 REDD 事 業 の 導 入 は 任 意 REDD の 実 施 には 柔 軟 性 バランス 包 括 的 な 政 策 アプローチが 適 当 であり 各 国 の 国 情 や 既 存 の 政 策 イニシャティブを 考 慮 した 上 で いかなる 将 来 枠 組 みにおいても REDD への 参 加 は 任 意 とし 広 い 参 加 を 促 すものであるべきとしている REDD 事 業 の 範 疇 REDD 事 業 においては 当 面 森 林 減 少 に 議 論 を 集 中 すべきであるという 立 場 を EU やブラジルが 取 っていたが COP13 では 森 林 減 少 と 森 林 劣 化 対 策 を 同 列 に 取 り 扱 うことで 合 意 に 至 った しかし 森 林 保 全 の 役 割 や 森 林 の 持 続 可 能 な 管 理 植 林 活 動 を 通 した 森 林 炭 素 貯 留 量 の 増 加 についてもあ わせて 検 討 するべきとの 意 見 がインドや 中 国 中 南 米 等 の 森 林 所 有 国 から 提 出 され 現 在 はそれら 全 てを 含 めて 検 討 されている 状 態 である 森 林 面 積 の 変 化 と 各 締 約 国 のポジション CfRN( 熱 帯 雨 林 諸 国 連 合 ), Climate Change & Development Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation UNFCCC AWG-LCA Workshop Accra, Ghana を 元 に 作 成 4
モニタリング 森 林 減 少 は 人 工 衛 星 からの 衛 星 画 像 やリモートセンシング 技 術 を 用 いて 測 定 することが 可 能 で あるというのが 現 在 の 各 国 の 認 識 である しかし 森 林 劣 化 をモニタリングする 場 合 枝 葉 枯 死 木 を 含 めた 地 上 の 炭 素 ストックの 他 土 壌 地 下 バイオマスの 炭 素 ストックの 変 化 を 計 測 するには 人 工 衛 星 からの 情 報 だけでは 不 十 分 であるため 地 上 におけるデータを 実 地 調 査 により 収 集 する 必 要 性 がある 森 林 減 少 劣 化 による 排 出 を 推 測 する 際 には こうした 手 法 を 基 礎 として 利 用 しよう とする 共 通 の 理 解 はある ベースラインと 対 象 範 囲 ベースラインは 過 去 の 森 林 減 少 劣 化 の 傾 向 から 設 定 すること 対 象 範 囲 は 国 ベースで 設 定 する ということで 基 本 的 なコンセンサスは 得 られている しかし これまで 森 林 減 少 劣 化 が 大 規 模 に 起 こっていない 国 との 公 平 性 国 ベースという 広 域 の 対 象 範 囲 で REDD 事 業 を 行 うキャパシティーの 問 題 など 各 国 の 国 情 を 考 慮 しながら 柔 軟 な 措 置 の 検 討 が 行 われている 制 度 設 計 への 各 ステークホルダーの 参 加 と 利 益 分 配 制 度 設 計 には 個 人 制 度 体 制 レベルでのキャパシティービルディングや 南 北 間 南 南 間 の 技 術 移 転 協 力 ガバナンスの 強 化 と 法 の 施 行 適 切 な 経 済 発 展 実 証 活 動 の 資 金 確 保 という 点 を 盛 り 込 むことが 必 要 であるというコンセンサスが 得 られている しかし 先 住 民 族 や 地 域 住 民 が 制 度 設 計 に 参 加 する 必 要 性 を 各 国 は 基 本 的 には 認 識 してはいるものの あくまでも 参 加 の 認 識 であ り 彼 らの 森 林 利 用 の 権 利 の 保 障 や 森 林 管 理 における 役 割 の 必 要 性 についての 共 通 認 識 は 得 られて いない REDD の 資 金 拠 出 方 法 現 在 市 場 ベース 非 市 場 ベース それら 二 つのハイブリッド 方 式 の 更 なる 検 証 議 論 が 行 われ ている また その 議 論 は REDD に 限 らず 緩 和 活 動 全 体 に 必 要 な 資 金 拠 出 の 一 部 から REDD にも 資 金 を 充 てる 考 えと REDD 独 自 の 資 金 を 拠 出 する 考 えがある REDD に 限 らない 緩 和 活 動 の 資 金 拠 出 提 案 (スクール コペンハーゲン 資 金 メカニズムから) メキシコ 提 案 緩 和 適 応 森 林 減 少 防 止 対 象 年 間 10Billion USD(1 兆 円 )からスタート ノルウェー 提 案 適 応 の 他 緩 和 技 術 移 転 にも 15 25Billion USD(1.5 兆 -2.5 兆 円 ) スイス 提 案 適 応 の 他 緩 和 も 含 む 総 合 的 な 基 金 年 間 18.4Billion USD(1.84 兆 円 ) REDD に 焦 点 を 当 てた 資 金 拠 出 提 案 ツバルのInternational Forest Retention Fund: 国 際 航 空 船 舶 輸 送 燃 料 税 により 年 間 24Billion USD(2.4 兆 円 ) 1 EU 試 算 :2020 年 にはEU 域 内 排 出 量 取 引 制 度 のオークションで 得 られる 収 入 の 5%=1.5~ 2.5Billion EURO(1800 億 ~3000 億 円 )を 途 上 国 の 森 林 対 策 に 充 てる 2 憂 慮 する 科 学 者 同 盟 (UCS)の 試 算 : 年 間 many 10s of Billions USD( 数 兆 円 超 )( 市 場 メカ) 年 間 10s of Billions USD( 数 兆 円 )ハイブリッド) 年 間 100s of millions( 数 百 億 円 )( 基 金 ) 3 世 界 銀 行 FCPF: 途 上 国 のREDDのための 能 力 構 築 や 試 験 的 プロジェクトとしてREDD 事 業 に 資 1 FCCC/SBSTA/2007/MISC.2/Add.1 2http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1543&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=e n 3 http://www.ucsusa.org/assets/documents/global_warming/tfci_redd-basket.pdf 5
金 供 与 を 行 い 削 減 分 に 対 して 途 上 国 政 府 にクレジットが 支 払 われるプログラム 合 計 で 1 億 6500 万 米 ドル( 約 200 億 円 ) 日 本 政 府 はこれに 3 年 間 で 最 大 1000 万 ドル( 約 11 億 円 )を 拠 出 各 国 の REDD に 関 する 具 体 的 な 提 案 熱 帯 雨 林 諸 国 連 合 (Coalition for Rainforest Nations : CfRN) 4 提 案 国 家 単 位 で 炭 素 のグロス 排 出 量 を 計 測 し ベースラインは 過 去 のデータをもとに 最 低 でも 5 年 間 の 期 間 で 策 定 する REDD 事 業 により 達 成 された 排 出 削 減 量 はクレジット 化 し 炭 素 市 場 で 取 引 され 先 進 国 が 自 国 の 削 減 目 標 を 達 成 するために 同 クレジットを 用 いる 2012 年 までの REDD のパイロッ トプロジェクトも 次 期 枠 組 みにて 評 価 を 行 う この 提 案 では REDD に 参 加 する 途 上 国 の 進 捗 レベルを 3 つカテゴリーにわけ それぞれに 合 った 資 金 提 供 アプローチ(カテゴリー1:キャパシティービルディング 用 に 基 金 ベースで 提 供 カテゴリー 2: 地 域 レベルと 国 家 レベルの 実 証 活 動 の 拡 大 のために 基 金 や 排 出 量 取 引 からの 資 金 を 活 用 カテゴ リー3: 国 家 レベルでの 参 加 で 世 界 の 炭 素 市 場 で REDD クレジットを 取 引 )を 主 張 している また 提 案 には REDD に 成 長 キャップ という 概 念 を 導 入 し 途 上 国 の 経 済 発 展 をある 程 度 可 能 に するための 森 林 減 少 劣 化 を 許 容 する 余 地 を 残 している ツバル 提 案 地 域 コミュニティに 森 林 の 維 持 と 保 全 のインセンティブを 与 えるために 3 種 類 の 基 金 を 用 いた 提 案 をしている 一 つ 目 がコミュニティ 森 林 維 持 トラスト 口 座 (Community Forest Retention Trust Account : CFRTAccount)を 設 けて 地 域 コミュニティの REDD 事 業 資 金 を 支 援 するもの 2 つ 目 が 森 林 維 持 認 証 (Forest Retention Certificates)と 呼 ばれる CFRTAccount のもとに 行 った 事 業 により 削 減 された 炭 素 量 が 国 により 認 証 され COP の 下 での 委 員 会 がそれを 検 証 するもの 3 つ 目 が 国 際 森 林 維 持 基 金 (International Forest Retention Fund)で 上 述 の 資 金 を 国 際 航 空 船 舶 輸 送 燃 料 税 から 捻 出 しようという 提 案 である ツバル 提 案 では 世 界 の 商 品 需 要 の 圧 力 が 森 林 から 消 えない 限 りリーケージが 発 生 してしまうとい う 考 えから 森 林 炭 素 の 取 引 を 支 持 していない また 輸 入 される 森 林 関 連 製 品 に 占 める 持 続 可 能 な 森 林 経 営 に 由 来 するものの 割 合 を 高 めるため 非 持 続 可 能 な 森 林 経 営 から 生 産 された 製 品 を 輸 入 する 場 合 その 製 品 に 炭 素 欠 損 税 (Carbon Deficit Levies : CDLs)を 課 税 するという CER とは 逆 のイン センティブを 与 える 提 案 も 含 む ブラジル 提 案 REDD は 気 候 変 動 枠 組 み 条 約 のもとで 取 り 扱 うべきだが 京 都 議 定 書 の 外 で 扱 い REDD メカニズムが 先 進 国 の 削 減 目 標 達 成 のために 用 いられることがないようにするべきであるというスタンスをとっ ている これは 条 約 の 目 的 を 達 成 するには REDD における 排 出 削 減 は 先 進 国 のもともとの 削 減 目 標 に 追 加 的 であるべきという 考 え 方 からである 森 林 減 少 防 止 の 実 証 活 動 に 成 功 した 国 に 追 加 的 で 新 たに 創 設 された 基 金 から 資 金 が 提 供 されるべ きであり 実 証 活 動 に 入 れる 段 階 の 国 と キャパシティービルディングが 必 要 な 国 の 二 種 類 にわけ 4 これまでの 参 加 国 は Bangladesh, Belize, Bolivia, Central African Republic, Cameroon, Congo, Colombia, Costa Rica, DR Congo, Dominican Republic, Ecuador, Equatorial Guinea, El Salvador, Fiji, Gabon, Ghana, Guatemala, Guyana, Honduras, Indonesia, Kenya, Lesotho, Liberia, Madagascar, Malaysia, Nicaragua, Nigeria, Pakistan, Panama, Papua New Guinea, Paraguay, Peru, Samoa, Sierra Leone, Solomon Islands, Suriname, Thailand, Uruguay, Uganda, Vanuatu and Viet Nam など 6
後 者 には 国 際 機 関 や 先 進 国 からの 任 意 の 資 金 援 助 を 想 定 している ベースラインは 歴 史 的 傾 向 に 基 づき 設 定 し 計 測 範 囲 は 国 単 位 で 行 うことを 提 案 している 中 央 アフリカ 森 林 協 議 会 (The Commission of Central African Forests : COMIFAC) 5 提 案 コンゴ 盆 地 諸 国 は その 土 地 の 60%が 森 林 劣 化 の 脅 威 を 受 けているため 森 林 劣 化 の 防 止 活 動 に も 補 償 対 象 に 含 めるべきだと 主 張 し とくに 持 続 可 能 な 森 林 管 理 (SFM)の 推 進 し 同 管 理 地 からの 排 出 は 算 入 されるべきでないとしている そして 森 林 管 理 の 定 義 及 び SFM の 枠 組 みは REDD 実 施 国 が 自 ら 決 定 するべきと 主 張 している 資 金 源 は 任 意 の 拠 出 による 基 金 と 炭 素 クレジットを 合 わせた 方 法 で 捻 出 し そのクレジットは 先 進 国 のキャップ&トレード 方 式 から 発 生 するものを 用 いることにより 環 境 十 全 性 を 保 つとしている 歴 史 的 に 森 林 減 少 の 少 ない 地 域 や 森 林 保 護 地 を 保 全 するための 追 加 的 な 活 動 に 対 して 補 償 される 安 定 化 基 金 とキャパシティービルディングに 用 いられる 始 動 基 金 の 二 つが 提 案 されている また CfRN 提 案 と 同 様 に COMIFAC は 歴 史 傾 向 に 基 づくベースラインに 加 え 発 展 調 整 係 数 (Development Adjustment Factor : DAF)を 適 用 することにより 一 人 当 たりの 低 い 排 出 量 と 経 済 発 展 のニーズに 沿 った 森 林 開 発 が 行 えるような 仕 組 みを 提 案 している インド 提 案 インドは REDD だけでなく 森 林 の 維 持 と 植 林 を 通 した 炭 素 蓄 積 の 増 加 を 目 的 とした 政 策 にも 補 償 対 象 を 広 げるべきと 主 張 している 計 測 は 国 家 単 位 で 行 い 資 金 源 については 当 初 事 業 専 用 の 基 金 を 設 立 する 基 金 方 式 を 好 んでいたが 最 近 になって 炭 素 の 変 化 が 起 きる 事 業 ( 減 少 劣 化 や 植 林 )に ついては 市 場 メカニズムを 利 用 するという 主 張 に 変 わってきている また 炭 素 の 変 化 が 起 きない 森 林 の 維 持 を 目 的 とする 事 業 には 国 際 的 な 基 金 を 設 立 するべきとしている インドは 森 林 減 少 劣 化 対 策 と 植 林 事 業 を 同 等 に 扱 うことを 求 めている 6 対 象 範 囲 は 国 家 単 位 で 行 うとしている 南 米 ネステットアプローチ 提 案 南 米 グループ 7 は 熱 帯 農 業 研 究 教 育 センター(Centro Agronomico Tropical de Investigacion y Ensenanza : CATIE)により 提 案 されたネステットアプローチを 支 持 している できるだけ 多 くの 参 加 がないとREDDの 成 果 も 大 きくならないとの 視 点 から 最 初 は 対 象 事 業 レベルを 国 単 位 に 限 らず 計 測 精 度 の 高 い 地 域 プロジェクトのみの 参 加 も 認 め 段 階 的 に 国 単 位 に 発 展 させていこうとするアプ ローチを 提 案 している この 場 合 リーケージの 問 題 が 発 生 しやすいがその 要 因 をつきとめ プロ ジェクトごとの 排 出 削 減 予 測 からそのリーケージ 分 を 割 り 引 くことで 対 処 可 能 としている こうし て 発 生 するクレジットは 地 域 クレジットと 国 家 クレジットの 2 種 類 とし 民 間 からの 直 接 投 資 を 呼 び 込 み 易 くする 目 的 がある ベースラインは 歴 史 的 傾 向 に 基 づくが 今 まで 森 林 減 少 率 の 低 かった 国 にはその 早 期 行 動 に 対 し リザーブクレジットが 発 行 され それで 得 られた 歳 入 を COMIFAC 提 案 にあるような 安 定 化 基 金 の 原 資 とするとしている 5 これまでの 参 加 国 は Cameroon, the Central African Republic, the Republic of Congo, the Democratic Republic of Congo, Equatorial Guinea, Chad, Gabon など 6 仮 に 現 行 の 京 都 議 定 書 の 下 での 天 然 林 と 人 工 林 を 区 別 しない 森 林 定 義 が REDD にも 適 用 されるとし 森 林 の 炭 素 固 定 価 値 のみに 注 目 して 森 林 減 少 劣 化 対 策 と 植 林 事 業 を 同 等 に 扱 う( 天 然 林 の 減 少 による 排 出 量 を 植 林 事 業 による 吸 収 量 で 相 殺 する)ことになると すると 天 然 林 の 持 つ 生 物 多 様 性 価 値 や 水 源 涵 養 機 能 等 の 損 失 が 評 価 されないという 問 題 に 繋 がることを 懸 念 する NGO が 多 い 7 南 米 諸 国 連 合 (Paraguay, Argentina, Honduras, Panama, Peru) 7
EU のポジション EU はこれまで 森 林 を 炭 素 市 場 に 含 めることについては 慎 重 なスタンスを 保 ってきた 一 方 で REDD の 実 行 においては 既 存 の 森 林 減 少 対 策 を 更 に 強 化 していく 必 要 性 を 主 張 している 更 に EU は 2012 年 までに 締 約 国 は 国 情 に 合 わせて 森 林 減 少 の 要 因 に 対 処 するための 実 証 活 動 を 行 うべきであ るとし 2012 年 以 降 は 森 林 減 少 劣 化 に 焦 点 を 当 て 保 全 SFM 植 林 活 動 については 補 完 的 であ るべきというスタンスをとっている ベースラインや 対 象 範 囲 は 国 単 位 とし 野 心 的 な 目 標 を 設 定 するも 国 情 に 合 わせて 適 宜 改 訂 して いく 必 要 があるとしている ノルウェーのポジション ノルウェーのポジションで 注 目 すべき 点 は ブラジルと 同 様 に REDD は 付 属 書 Ⅰ 国 の 削 減 目 標 に 上 乗 せした 形 で 適 用 されるべきとしている 点 である また 市 場 メカニズムを 用 いて 先 進 国 全 体 で 25-40%よりも 多 く 削 減 するべきと 主 張 している 資 金 源 としては 基 金 を 使 う 場 合 には 追 加 的 な 資 金 拠 出 が 必 要 であり ODA には 頼 るべきでないとし AAU のオークションを 通 じて 生 まれた 資 金 を REDD に 充 てることも 提 案 している ベースライン 対 象 範 囲 については 過 去 の 傾 向 に 基 づき 国 単 位 で 行 うことを 提 案 しているが 国 情 に 合 わせて 柔 軟 に 設 定 することにも 理 解 を 示 している 進 行 中 のプロジェクト 現 在 全 世 界 で 100 件 以 上 の 森 林 炭 素 関 連 の 事 業 が 存 在 しているといわれている 事 業 は 主 に 先 進 国 政 府 と 途 上 国 政 府 の 二 国 間 事 業 政 府 ( 地 方 政 府 を 含 む)と 民 間 企 業 や NGO が 協 力 して 行 う 事 業 世 界 銀 行 や 国 連 など 国 際 機 関 が 進 める 事 業 などプロジェクトの 実 施 形 態 は 様 々である 二 国 間 の 事 業 例 オーストラリア 政 府 はREDDのリーダーシップを 発 揮 するための 政 策 として 国 際 森 林 炭 素 イニシャ ティブ(International Forest Carbon Initiative : :IFCI)の 一 環 として 2008 年 6 月 にインドネシ ア 政 府 と インドネシア-オーストラリア 森 林 炭 素 パートナーシップ(Indonesia-Australia Forest Carbon Partnership) を 立 ち 上 げた 現 在 はこの 下 で インドネシア カリマンタン 島 の 中 央 カリ マンタン 州 での 実 証 活 動 カリマンタン 森 林 気 候 パートナーシップ(the Kalimantan Forests and Climate Partnership : :KFCP)を 開 始 している 同 活 動 では 市 場 メカニズムを 用 いた 資 金 供 出 アプ ローチをとっており オーストラリア 政 府 は 既 にKFCP 設 立 に 3000 万 ドルを 拠 出 することを 約 束 して いる 8 地 方 政 府 と 民 間 企 業 の 例 インドネシア アチェ 州 政 府 は 75 万 haのウルマセン 森 林 地 域 での 森 林 減 少 を 85% 削 減 すること によって 今 後 30 年 間 で 1 億 トンのCO2 排 出 削 減 を 目 指 す 米 証 券 大 手 メリルリンチはこの 事 業 に 4 年 間 にわたり 900 万 米 ドルを 投 資 すると 2008 年 3 月 に 表 明 した 9 この 目 的 達 成 のため 1 森 林 を 保 護 林 へ 変 更 することによる 永 久 的 森 林 地 域 の 拡 大 2 地 域 における 雇 用 の 増 加 等 の 違 法 伐 採 対 策 3 森 林 再 生 アグロフォレストリー マングローブの 再 生 等 の 事 業 の 実 施 等 が 予 定 されている 実 施 課 題 としては 農 業 木 材 伐 採 を 行 う 13 万 人 の 地 域 住 民 との 利 害 関 係 同 地 域 を 分 断 する 幹 線 道 路 敷 設 計 画 や 鉱 山 開 発 事 業 等 を 許 可 する 地 方 政 府 の 政 策 調 整 の 問 題 事 業 から 発 生 するクレジッ 8 http://www.climatechange.gov.au/international/publications/fs-ifci.html 9 http://blogs.wsj.com/environmentalcapital/2008/03/11/merrill-lynch-turning-trees-into-money/?mod=hpp_europe_blogs 8
トの 信 頼 性 の 確 保 等 が 挙 げられる 国 連 REDDプログラム 10 COP13 の 決 定 を 下 に 締 約 国 やドナーの 要 望 を 受 けて 国 連 食 糧 農 業 機 関 (FAO) 国 連 開 発 計 画 (UNDP) 国 連 環 境 計 画 (UNEP)の 3 機 関 が 共 同 で 立 ち 上 げたプログラムである 森 林 減 少 劣 化 からの 温 室 効 果 ガス 排 出 を 大 幅 に 削 減 するための 資 金 フローを 生 み 出 すことが 目 的 であり 当 面 の 目 標 は 入 念 に 設 計 された 支 払 い 制 度 とキャパシティービルディング 支 援 を 通 して 森 林 が 提 供 する 様 々な 生 態 系 サービスを 改 善 しながら 持 続 的 で 信 頼 のおける 到 達 計 測 可 能 な 排 出 削 減 を 確 約 することである としている 世 界 銀 行 森 林 炭 素 パートナーシップ 基 金 (FCPF) 11 COP13 にて 世 界 銀 行 は 市 場 メカニズムを 補 完 するための 基 金 森 林 炭 素 パートナーシップ 基 金 (FCPF) の 設 立 を 公 式 に 発 表 した これは 途 上 国 国 内 の REDD のためのキャパシティービルディング や 試 験 的 プロジェクトとしての REDD 事 業 に 資 金 供 与 を 行 い 削 減 分 に 対 して 途 上 国 政 府 にクレジ ットが 支 払 われるプログラムである 日 本 政 府 はこれに 3 年 間 で 最 大 1000 万 ドル( 約 11 億 円 )を 拠 出 する 日 本 のほか ドイツ 英 国 オランダ 豪 州 フランス 北 欧 諸 国 などから 合 計 で 1 億 6500 万 米 ドル( 約 200 億 円 )の 拠 出 が 発 表 されており 南 米 コンゴ 盆 地 諸 国 東 アジア 太 平 洋 諸 国 な どの 森 林 保 有 諸 国 を 含 む 25 カ 国 が 参 加 中 である 準 備 メカニズム(Readiness Mechanism)として 関 連 する 途 上 国 約 20 カ 国 に 対 し 過 去 の 排 出 量 に 基 づく 将 来 の 排 出 予 測 に 関 するシナリオ 作 りや 国 内 の 森 林 炭 素 ストックおよび 森 林 排 出 源 に 関 す る 信 頼 できる 予 測 作 成 のための 技 術 支 援 プログラムのために 資 金 供 与 する(Readiness Fund) 最 小 額 は 1,000 万 US ドルで 目 標 額 は 1 億 US ドルとされている 続 いて その 中 から 炭 素 ファイナンスメカニズム(Carbon Finance Mechanism)としてメカニズム に 参 加 する 数 カ 国 (5 カ 国 程 度 )が 選 定 される 選 定 された 国 は (a)redd に 関 する ownership と 適 切 なモニタリング 能 力 を 実 証 し (b) 排 出 削 減 に 関 する 信 頼 できるシナリオとオプションを 確 立 し シ ナリオ 以 下 に 削 減 した 排 出 に 対 し 資 金 を 供 与 される(Carbon Fund) このメカニズムにおいて 資 金 は 計 測 立 証 可 能 な 排 出 削 減 を 実 現 した 国 に 対 してのみ 供 与 される 最 小 額 は 約 2,000 万 USドル 目 標 額 は 2 億 US ドル REDD のこれからの 課 題 と 論 点 REDD 事 業 の 参 加 は 任 意 これまでの 議 論 から REDD への 参 加 には 強 制 力 を 持 たせるべきでないというコンセンサスが 締 約 国 間 に 広 がっている これは REDD 事 業 の 有 無 を 経 済 的 損 得 に 合 わせて 選 択 できる 余 地 を 与 え 森 林 減 少 劣 化 を 大 幅 に 防 止 できなくなるリスクにつながる 例 えば REDD 事 業 によるクレジット 利 益 よ りも 森 林 伐 採 を 行 い 林 産 物 や 農 産 物 の 貿 易 による 利 益 が 高 い 場 合 は 森 林 を 伐 採 するほうを 選 択 する また REDD を 選 択 した 国 から REDD を 選 択 していない 国 へ 森 林 資 源 の 需 要 圧 力 が 移 動 し リ ーケージが 発 生 する 可 能 性 が 高 まる ベースライン 策 定 モニタリング 実 施 の 不 確 実 性 途 上 国 経 済 の 発 展 の 推 移 や 気 候 変 動 に 伴 う 降 雨 量 の 変 化 森 林 火 災 等 の 自 然 影 響 により 森 林 と 10 http://www.undp.org/mdtf/un-redd 11 http://www.forestcarbonpartnership.org (2009 年 2 月 現 在 ) 9
大 気 の 間 の 炭 素 循 環 は 大 きく 変 化 する 森 林 減 少 劣 化 量 とその 炭 素 量 の 推 測 計 測 には 技 術 的 な 限 界 がある REDD のクレジットには 一 定 の 仮 定 に 基 づかざるを 得 ないベースライン 設 定 の 不 確 実 性 に 加 えて 計 測 時 の 不 確 実 性 が 掛 け 合 わせられることになる 先 進 国 の 総 量 削 減 目 標 の 達 成 手 段 の 可 能 性 先 進 国 全 体 で 2020 年 までに 1990 年 比 25~40%の 削 減 を 求 められている 先 進 国 にとって REDD クレジットは 自 国 の 削 減 目 標 を 達 成 するための 有 効 なオフセットツールとなる このことは 先 進 国 のエネルギー 由 来 の 温 室 効 果 ガスの 排 出 削 減 努 力 を 緩 めてしまうというリスクにつながる また 不 確 実 性 がぬぐえないベースラインの 設 定 では ベースラインを 必 要 以 上 に 高 く つまり 過 剰 な 森 林 減 少 が 起 こるように 設 定 し 出 来 るだけ 多 くのクレジットを 得 ようとするインセンティブが 生 ま れる 可 能 性 がある これは 化 石 燃 料 に 依 存 しない 社 会 システムへ 向 けた 改 革 をさらに 後 退 させるリ スクを 生 み 出 すと 予 想 される 森 林 定 義 現 在 の 京 都 議 定 書 の 3 条 3 項 では 森 林 の 定 義 は 面 積 0.05~1.0ha 以 上 樹 冠 率 10~30% 以 上 樹 高 2~5m 以 上 の 土 地 である 伐 採 や 災 害 により 一 時 的 にこの 条 件 を 満 たさなくなった 土 地 でも 森 林 に 戻 ることが 期 待 されていれば 森 林 とする と 定 められている もともと 森 林 の 炭 素 機 能 に 焦 点 が 当 てられた 森 林 定 義 には 天 然 林 と 人 工 林 の 区 別 がなく 生 物 多 様 性 の 価 値 が 軽 視 されている また 実 際 の 森 林 減 少 が 森 林 減 少 のカテゴリーに 入 らず 排 出 が 計 上 されていないという 第 一 約 束 期 間 の 問 題 を 抱 えている REDD を 次 期 枠 組 みに 取 り 入 れる 際 には この 既 存 の 定 義 と 運 用 ルー ルを 継 承 せず 新 たな 定 義 を 設 定 する 必 要 がある 仮 に 定 義 運 用 ルールの 改 善 が 施 されないとすると 天 然 林 を 択 伐 皆 伐 した 場 合 の 排 出 が 計 上 されない 天 然 林 天 然 二 次 林 を 皆 伐 し 植 林 に 転 換 しても その 排 出 が 計 上 されない BAU の 施 業 を 継 続 しているにも 関 わらず REDD クレジットが 発 生 する という 大 きなリスクが 生 まれる 可 能 性 がある 先 住 民 族 地 域 住 民 の 各 権 利 の 保 障 と 役 割 の 認 識 の 不 足 REDD 事 業 を 実 施 する 際 には 古 くから 森 林 に 依 存 して 生 活 してきた 先 住 民 族 地 域 住 民 の 権 利 の 保 障 と 森 林 管 理 における 役 割 を 尊 重 する 重 要 性 を 各 国 がどこまで 認 識 し REDD の 制 度 設 計 に 反 映 さ せるかが 重 要 である 彼 らの 森 林 利 用 などの 権 利 を 保 障 することは 森 林 保 全 にも 寄 与 する 事 例 が 報 告 されている しかし そうした 権 利 の 保 障 や 森 林 管 理 手 法 を 既 存 の 森 林 政 策 に 取 り 入 れた 事 例 は 限 られている REDD 事 業 を 行 う 際 に 回 避 しなければならない 点 は 以 下 の 通 りである 土 地 利 用 に 関 する 法 制 度 整 備 施 行 が 不 十 分 な 途 上 国 において 今 まで 開 発 の 名 の 下 に 開 発 事 業 対 象 地 から 締 め 出 されてきた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 人 権 侵 害 問 題 が 今 度 は 森 林 保 護 という 新 しい 理 由 の 下 に REDD 事 業 対 象 地 で 起 こる 森 林 保 護 の 名 の 下 に 先 住 民 族 や 地 域 住 民 を 締 め 出 すことにより それまで 先 住 民 族 や 地 域 住 民 が 対 応 できた 森 林 火 災 発 生 の 探 知 が 遅 れたり 違 法 伐 採 摘 発 が 限 られたりするなど 森 林 変 化 の 早 期 発 見 が 難 しくなる 先 住 民 族 地 域 住 民 の 強 制 移 転 により 移 転 先 の 住 民 との 対 立 紛 争 が 起 こり 新 たな 森 林 減 少 劣 化 が 生 まれる(リーケージの 発 生 ) 古 くから 森 林 に 住 んでいた 先 住 民 族 や 地 域 住 民 の 森 林 資 源 利 用 の 伝 統 的 知 識 ( 薬 草 や 有 用 な 資 源 ( 動 植 物 )の 活 用 知 識 )が 継 承 されず 生 物 多 様 性 の 将 来 的 な 利 用 可 能 性 が 断 たれる 10
REDD 制 度 実 行 の 際 の 技 術 方 法 論 的 課 題 先 にあげた REDD の 技 術 方 法 論 的 課 題 を 解 決 し 透 明 性 を 確 保 した 上 で 実 行 に 移 していく 必 要 があ る この 課 題 解 決 が 不 十 分 なまま REDD 事 業 を 続 けると 気 候 変 動 緩 和 対 策 としての REDD の 有 効 性 が 疑 問 視 され REDD クレジットは 信 頼 性 を 失 い 排 出 量 取 引 にも 悪 影 響 を 及 ぼしかねない また 生 物 多 様 性 の 損 失 や 先 住 民 族 地 域 住 民 の 権 利 が 脅 かされる 可 能 性 が 高 まる REDD の 資 金 メカニズムの 意 見 の 隔 たり 締 約 国 間 での 資 金 の 拠 出 方 法 についての 考 え 方 の 溝 がうまらないと REDD 制 度 作 りの 議 論 にブレ ーキがかかり 森 林 減 少 劣 化 を 食 い 止 める 時 期 が 遅 れる また ガバナンスが 不 全 で 汚 職 賄 賂 が 蔓 延 しやすい 途 上 国 において 世 銀 の FCPF も 含 めた REDD に 集 まる 資 金 が 適 切 に 利 用 されるよう その 透 明 性 を 十 分 に 確 保 しなければならない 需 要 圧 力 と 複 数 の 森 林 減 少 要 因 への 対 処 の 不 足 国 際 社 会 の 森 林 減 少 防 止 の 試 みは 20 年 以 上 も 続 けられているが 現 在 でも 一 向 に 現 実 味 を 帯 びて いない これは 以 下 のような 本 質 的 な 課 題 への 取 り 組 みが 不 十 分 である 理 由 によると 考 えられる 木 材 製 品 商 品 作 物 ( 紙 パルプ 植 林 やアブラヤシ ゴム 大 豆 等 ) 鉱 物 資 源 など 森 林 を 皆 伐 して 他 用 途 に 土 地 利 用 を 転 換 する 事 業 の 存 在 とそれを 後 押 しする 主 に 先 進 国 側 の 莫 大 な 需 要 圧 力 の 存 在 需 要 を 満 たすための 貿 易 開 発 に 伴 う 資 金 の 流 れに 助 長 される 途 上 国 での 政 治 腐 敗 とガバナン スの 質 の 低 さ 法 の 施 行 が 不 十 分 不 適 切 なままでの 土 地 森 林 資 源 利 用 権 の 配 分 と それにより 発 生 する 森 林 の 違 法 伐 採 や 乱 開 発 違 法 伐 採 や 乱 開 発 で 生 産 された 資 源 の 貿 易 や 投 資 を 適 切 に 規 制 する 国 際 的 な 制 度 の 欠 如 先 進 国 が 温 暖 化 対 策 として 推 進 している 輸 送 用 バイオ 燃 料 の 導 入 政 策 による 新 たなバイオ 燃 料 用 作 物 需 要 の 急 増 に 後 押 しされた 林 地 の 他 用 途 への 転 換 このように 現 在 の REDD の 議 論 には 日 本 をはじめとする 木 材 や 資 源 の 輸 入 国 が 途 上 国 に 森 林 資 源 や 鉱 物 資 源 を 過 度 に 依 存 せず 公 正 な 木 材 調 達 を 実 現 する 方 法 を 検 討 するという 需 要 サイドから の 視 点 が 欠 けている さらに 言 えば 可 能 な 限 り 生 産 者 の 顔 が 見 える 地 産 地 消 型 へ 社 会 構 造 を 移 行 さ せない 限 り 森 林 減 少 劣 化 の 解 決 は 困 難 性 を 帯 びつづける 11