による 治 療 を 受 けられる 患 者 さん ご 家 族 の 方 へ 監 修 : 今 村 正 之 先 生 関 西 電 力 病 院 神 経 内 分 泌 腫 瘍 センター 長 京 都 大 学 名 誉 教 授
はじめに この 冊 子 は ザノサーによる 治 療 を 受 けられる 患 者 さんやご 家 族 の 方 に 神 経 内 分 泌 腫 瘍 や ザノサーによる 治 療 方 法 と 副 作 用 について 理 解 していただくための 冊 子 です ご 自 身 の 病 気 や 薬 の 副 作 用 などを 正 しく 理 解 することは とても 大 切 なことです この 冊 子 が よりよい 治 療 を 行 うための 一 助 と なれば 幸 いです 監 修 : 今 村 正 之 先 生 関 西 電 力 病 院 神 経 内 分 泌 腫 瘍 センター 長 京 都 大 学 名 誉 教 授 2
目 次 神 経 内 分 泌 腫 瘍 (NET)とは 4 NETの 分 類 6 機 能 性 NETの 種 類 8 NETの 治 療 10 NETの 局 所 療 法 12 NETの 薬 物 療 法 14 ザノサーとは 16 ザノサーによる 治 療 を 始 める 前 に 18 ザノサーによる 治 療 の 方 法 20 特 に 気 をつけたい 副 作 用 22 その 他 の 副 作 用 25 患 者 さんへのお 願 い 27 3
神 経 内 分 泌 腫 瘍 (NET * )とは *NET: Neuroendocrine Tumor NETは 神 経 内 分 泌 細 胞 から 発 生 する 腫 瘍 です 神 経 内 分 泌 細 胞 は 全 身 の 臓 器 に 分 布 しているのでNETは 全 身 の 臓 器 から 発 生 し かつ 消 化 器 での 発 生 が 最 も 多 く 約 63% を 占 めます 1) 下 垂 体 肺 十 二 指 腸 空 腸 ( 小 腸 の 一 部 ) 胃 膵 臓 回 腸 ( 小 腸 の 一 部 ) 虫 垂 結 腸 ( 大 腸 の 一 部 ) 直 腸 ( 大 腸 の 一 部 ) 2) 日 本 における 人 口 10 万 人 あたりの 有 病 率 前 腸 ( 食 道 胃 十 二 指 腸 ):1.67 人 中 腸 ( 空 腸 回 腸 虫 垂 ):0.23 人 後 腸 ( 結 腸 直 腸 ):4.52 人 4 3) 米 国 における 人 口 10 万 人 あたりの 発 症 率 肺 :1.35 人 胃 :0.30 人 膵 臓 :0.32 人 十 二 指 腸 :0.19 人 空 腸 / 回 腸 :0.67 人 虫 垂 :0.15 人 結 腸 :0.20 人 直 腸 :0.86 人
NETは 長 年 の 間 カルチノイド( 癌 もどき) と 呼 ばれ ていました 他 の 悪 性 腫 瘍 に 比 べ 比 較 的 進 行 が 遅 く 予 後 が 悪 いことは 少 ないと 考 えられてきましたが 近 年 NETは 悪 性 腫 瘍 として 治 療 するべきであるという 認 識 が 高 まり 2000 年 のWHOの 消 化 器 系 NETの 病 理 分 類 から カルチノイドという 呼 び 方 はされなくなりました 1)Modlin IM, et al :The current status of gastropancreatic neuroendocrine tumors. In :A century of advances in neuroendocrine tumor biology and treatment(modlin IM, Öberg K ed.), Felsenstein CCCP, Hannover, Germany, 2007, pp4-21. 2)Ito T, et al. J Gastroenterol. 2014 Feb 6. [Epub ahead of print] 3)Yao JC, et al. J Clin Oncol. 2008 ; 26 : 3063-3072. 5
NETの 分 類 NETは NET 細 胞 の 増 殖 と 関 連 するKi-67 指 数 による 分 類 や TNM 分 類 ホルモン 症 状 の 有 無 や 遺 伝 性 疾 患 に 伴 うか 否 か によって 分 類 されます Ki-67 指 数 による 分 類 NETは 細 胞 増 殖 の 程 度 の 指 標 となるKi-67 指 数 の 比 率 や 核 分 裂 している 細 胞 の 数 によって NET G1 NET G2 NEC(Neuroendocrine carcinoma) の3つに 分 かれます WHO 2010 消 化 器 系 NET 病 理 分 類 Ki-67 指 数 核 分 裂 像 数 NET G1 NET G2 NEC 2% 3~20% >20% <2% 2~20% >20% Ki-67 指 数 Ki-67が 陽 性 に 染 色 される 細 胞 の 比 率 です この 比 率 が 高 いほど NET 細 胞 が 増 殖 するスピードは 速 いことになります 核 分 裂 像 数 核 分 裂 をしている 細 胞 数 の 比 率 を 顕 微 鏡 で 調 べた 値 です 細 胞 が 増 殖 する 時 には 核 分 裂 が 起 こりますから 核 分 裂 している 細 胞 の 数 が 多 い ほど 増 殖 するスピードは 速 いことになります 6
TNMによる 分 類 NETは 腫 瘍 の 進 行 の 程 度 (TNM)によっても 分 類 されます 病 期 は 1 腫 瘍 の 大 きさ(T) 2リンパ 節 への 転 移 の 有 無 や 程 度 (N) 3 他 の 臓 器 への 転 移 の 有 無 (M)という 3つの 要 素 から 判 断 されます これらを 組 み 合 わせた TNM 分 類 という 分 類 で ステージⅠ~ステージⅣの4 段 階 に 分 類 されます ホルモン 症 状 の 有 無 による 分 類 ホルモン 症 状 があるものを 機 能 性 NET 症 状 がな いものを 非 機 能 性 NET といいます 機 能 性 NET NET 細 胞 はホルモンを 分 泌 します NETから 分 泌 され るホルモンによって 身 体 に 異 常 な 症 状 があらわれる タイプが 機 能 性 NETです 特 徴 的 な 症 状 が 出 現 するた め 早 期 に 発 見 されやすいのが 特 徴 です 非 機 能 性 NET ホルモンによる 異 常 な 症 状 がないため 自 覚 症 状 があ りません ある 程 度 腫 瘍 が 大 きくなってから 健 診 や 画 像 診 断 で 偶 然 見 つかることがほとんどです 発 見 時 に 肝 臓 などに 転 移 していることもあります 7
機 能 性 NETの 種 類 インスリノーマ 膵 臓 に 発 生 します インスリンが 過 剰 に 分 泌 され 低 血 糖 を 引 き 起 こします 低 血 糖 の 症 状 には 中 枢 神 経 症 状 ( 記 憶 力 低 下 意 識 障 害 )と 自 律 神 経 症 状 ( 冷 や 汗 空 腹 感 震 えなど)があります 95%が 良 性 で 機 能 性 NETの 中 で 最 も 多 い 疾 患 です ガストリノーマ 主 として 膵 臓 十 二 指 腸 に 発 生 しますが 胃 や 卵 巣 など の 他 の 臓 器 にも 発 生 します 腫 瘍 から 過 剰 に 分 泌 される ガストリンによって 胃 酸 の 分 泌 が 強 まり 再 発 性 の 消 化 性 潰 瘍 逆 流 性 食 道 炎 ( 胸 やけ 腹 痛 など)を 起 こします 90% 以 上 が 悪 性 腫 瘍 で 発 症 時 には3 分 の1が 肝 臓 へ 転 移 しています VIPオーマ 主 として 膵 臓 と 十 二 指 腸 に 発 生 します VIP(Vasoactive Intestinal Peptide: 血 管 作 用 性 腸 ペプチド)が 過 剰 に 分 泌 され 激 しい 水 様 性 下 痢 による 脱 水 症 状 疲 労 感 筋 力 低 下 息 切 れなどを 引 き 起 こします 8
グルカゴノーマ 膵 臓 に 発 生 します 痛 みやかゆみを 伴 う 紅 斑 ( 赤 い 斑 点 )や 体 重 減 少 貧 血 糖 尿 病 などを 来 します セロトニン 産 生 腫 瘍 肺 気 管 支 小 腸 などに 発 生 します セロトニンやアミン などが 分 泌 され 皮 膚 潮 紅 ( 皮 膚 が 赤 みを 帯 びる) 下 痢 腹 痛 心 疾 患 喘 息 などを 引 き 起 こします また 肝 臓 へ 転 移 した 場 合 には 心 臓 や 肺 に 重 篤 な 障 害 を 引 き 起 こし ます(カルチノイド 症 候 群 ) ソマトスタチノーマ ちょうこう 主 として 膵 臓 十 二 指 腸 などに 発 生 します 腫 瘍 から 過 剰 に 分 泌 されるソマトスタチンによって 糖 尿 病 や 胆 石 症 腹 痛 体 重 減 少 下 痢 または 脂 肪 便 などが 引 き 起 こ されます 機 能 性 NETの 治 療 NETの 切 除 手 術 によって 腫 瘍 を 摘 出 すれば 根 治 しま す 手 術 で 根 治 できない 場 合 には 薬 で 症 状 を 抑 えたり 増 殖 を 抑 制 することができます 9
NETの 治 療 NETを 治 療 する 目 的 は 症 状 を 緩 和 させることと 生 命 予 後 を 改 善 することです NETの 治 療 の 方 法 には 外 科 的 治 療 ( 手 術 )と 内 科 的 治 療 ( 薬 物 療 法 )があります NETの 治 療 では 可 能 な 限 り 手 術 を 行 い 腫 瘍 を 全 て 取 り 除 くことを 目 指 します 手 術 で 根 治 できるかどうか は 他 の 臓 器 への 転 移 の 有 無 などで 決 まります 手 術 で 根 治 できない 場 合 または 手 術 後 に 再 発 したな どの 場 合 には 薬 物 療 法 や 局 所 療 法 を 組 み 合 わせて 治 療 を 行 います 10
NETの 治 療 の 流 れ 腫 瘍 の 大 きさ 他 の 臓 器 への 転 移 の 有 無 などに より 手 術 で 根 治 できるかどうかを 判 断 手 術 で 根 治 できない 手 術 で 根 治 できる 薬 物 療 法 局 所 療 法 手 術 再 発 した 腫 瘍 が 一 部 残 った 腫 瘍 を 全 て 取 り 除 いた 薬 物 療 法 局 所 療 法 経 過 観 察 大 きな 流 れは 上 の 図 のとおりです 11
NETの 局 所 療 法 NET 肝 転 移 に 対 する 局 所 療 法 NETでは 腫 瘍 が 肝 臓 に 転 移 することが 多 く 肝 臓 に 転 移 した 腫 瘍 は 全 てを 切 除 できないことがあります その 際 に 薬 剤 を 使 って 肝 臓 の 癌 細 胞 を 死 滅 させたり 針 を 用 いて 腫 瘍 を 焼 くなどの 局 所 療 法 を 行 います 局 所 療 法 は 通 常 の 手 術 と 異 なり カテーテルや 針 を 使 って 腫 瘍 がある 臓 器 を 直 接 治 療 する 治 療 法 です 肝 動 脈 塞 栓 療 法 (TAE)/ 肝 動 脈 塞 栓 化 学 療 法 (TACE) TAEは 肝 動 脈 にカテーテル( 細 い 管 )を 挿 入 し 血 液 の 流 れを 止 める 薬 剤 ( 塞 栓 剤 )を 注 ぎ 込 むこと で 癌 細 胞 への 酸 素 や 栄 養 の 供 給 を 遮 断 する 治 療 法 です これにより 癌 細 胞 は 酸 素 や 栄 養 が 不 足 し て 死 滅 します TACEは 肝 動 脈 の 流 れを 止 める 前 に 抗 癌 剤 を 注 入 して 癌 細 胞 を 死 滅 させる 治 療 法 です ラジオ 波 焼 灼 術 (RFA) 腹 部 超 音 波 (エコー) 検 査 で 腫 瘍 の 場 所 を 確 認 し 患 者 さんの 皮 膚 の 上 から 腫 瘍 に 針 ( 電 極 )を 刺 し 込 み ラ ジオ 波 を 流 して 発 生 する 熱 で 腫 瘍 を 焼 く 治 療 法 です 12
NET 骨 転 移 に 対 する 治 療 放 射 線 療 法 NETが 骨 に 転 移 した 場 合 には 放 射 線 療 法 が 行 われ ることがあります 体 外 から 放 射 線 照 射 する 外 照 射 と 放 射 線 医 薬 品 ス トロンチウムを 投 与 する 内 照 射 があります 主 に 外 照 射 は 転 移 箇 所 が 少 ない 場 合 (1~2ヶ 所 ) 内 照 射 は 転 移 箇 所 が 多 い 場 合 に 行 われます 腫 瘍 が 骨 に 転 移 した 場 合 には 放 射 線 療 法 により 疼 痛 が 和 らぐ 可 能 性 があります 詳 細 は 担 当 の 医 師 にお 問 い 合 わせください 13
NETの 薬 物 療 法 薬 物 療 法 には 腫 瘍 が 大 きくなるのを 抑 えることと 症 状 の 改 善 を 目 指 す2つの 目 的 があります 腫 瘍 が 大 きくなるのを 抑 えたり 腫 瘍 を 小 さくする 目 的 の 薬 には 化 学 療 法 剤 (アルキル 化 剤 など) 分 子 標 的 薬 ソマトスタチンアナログ 製 剤 があります 症 状 の 改 善 を 目 指 す 薬 には ソマトスタチンアナログ 製 剤 対 症 療 法 薬 があります 腫 瘍 を 小 さくする 薬 化 学 療 法 剤 (アルキル 化 剤 など:ザノサーなど) 血 液 を 介 して 全 身 に 行 きわたり 体 内 の 癌 細 胞 を 殺 すことで 腫 瘍 が 大 きくなるのを 抑 えたり 腫 瘍 を 小 さくする 効 果 があります 分 子 標 的 薬 (アフィニトール スーテント) ゲノム 分 子 レベルで 腫 瘍 細 胞 の 特 徴 を 認 識 し 癌 細 胞 のみを 狙 う 薬 です 腫 瘍 が 大 きくなるのを 抑 え たり 腫 瘍 を 小 さくする 効 果 があります ソマトスタチンアナログ 製 剤 (サンドスタチンLAR) 腫 瘍 から 分 泌 される 過 剰 なホルモンの 働 きを 抑 え ホルモンによる 異 常 な 症 状 を 改 善 するとともに 抗 腫 瘍 作 用 も 認 められています 14
ホルモン 症 状 の 改 善 を 目 指 す 薬 ソマトスタチンアナログ 製 剤 (サンドスタチンLAR) 腫 瘍 から 分 泌 される 過 剰 なホルモンの 働 きを 抑 え ホルモンによる 異 常 な 症 状 を 改 善 するとともに 抗 腫 瘍 作 用 も 認 められています 対 症 療 法 薬 機 能 性 NETのそれぞれの 症 状 を 改 善 するために 様 様 な 薬 が 使 用 されます たとえば インスリノーマ の 低 血 糖 の 症 状 に 対 する 高 インスリン 血 性 低 血 糖 症 治 療 薬 (ジアゾキシドなど)や ガストリノーマの 消 化 性 潰 瘍 に 対 するプロトンポンプ 阻 害 薬 (パリエット ネキシウムなど)があります 薬 物 療 法 と 併 せて 局 所 療 法 や 放 射 線 療 法 などを 行 うこともあります 詳 細 は 医 師 にお 問 い 合 わせくださ い 15
ザノサーとは ザノサーは 膵 消 化 管 NETの 治 療 に 点 滴 で 使 用 され る 抗 癌 剤 です 全 ての 腫 瘍 を 手 術 で 取 り 除 くことができ ない 患 者 さんや 手 術 ができない 患 者 さんに 使 用 されま す 海 外 では1982 年 から 使 用 されてきました 癌 細 胞 は 細 胞 分 裂 を 繰 り 返 して 増 殖 します ザノサーは 癌 細 胞 の 分 裂 を 阻 止 して 癌 細 胞 が 増 殖 するのを 抑 え 腫 瘍 を 小 さくします ザノサー 癌 細 胞 ザノサーの 働 き 16
ザノサーの 作 用 ザノサーは アルキル 化 剤 という 種 類 の 抗 癌 剤 です アルキル 化 剤 はDNA(デオキシリボ 核 酸 遺 伝 情 報 を 担 う)に 作 用 します DNAは2 本 の 鎖 がらせん 状 になっ た 構 造 をしており 癌 細 胞 が 増 殖 する 時 には DNAの2 本 の 鎖 が1 本 ずつに 分 かれます アルキル 化 剤 は2 本 の 鎖 が 分 かれることを 阻 止 することで 癌 細 胞 の 増 殖 を 抑 え 癌 細 胞 を 死 滅 させます DNA ザノサー 癌 細 胞 ザノサーの 作 用 17
ザノサーによる 治 療 を 始 める 前 に ザノサーによる 治 療 を 受 けられない 方 以 下 の 条 件 に 当 てはまる 方 は 体 に 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があるため ザノサーによる 治 療 を 受 けることがで きません 妊 婦 または 妊 娠 している 可 能 性 がある 婦 人 以 前 ザノサーによる 治 療 を 受 けた 際 に 過 敏 症 ( 発 疹 かゆみなど)などを 起 こしたことがある 方 慎 重 に 投 与 すべき 方 次 のような 方 は ザノサーによる 治 療 を 受 けることで 副 作 用 があらわれたり 症 状 が 悪 化 する 可 能 性 がありま す あてはまる 項 目 がある 場 合 には 医 師 にご 相 談 くだ さい 腎 臓 に 障 害 がある 糖 尿 病 がある 高 齢 その 他 投 与 に 際 して 注 意 が 必 要 な 方 次 のような 方 は ザノサーによる 治 療 を 受 ける 際 に 注 意 が 必 要 です あてはまる 項 目 がある 場 合 には 医 師 にご 相 談 ください 18 パートナーが 妊 娠 する 可 能 性 のある 男 性 : 適 切 な 方 法 で 避 妊 を 行 うこと 授 乳 中 の 婦 人 : 授 乳 を 避 けること 小 児 : 小 児 に 対 する 使 用 経 験 がなく 安 全 性 は 確 立 していません など
併 用 を 注 意 すべき 薬 ザノサーと 一 緒 に 使 用 すると 副 作 用 が 強 く 出 てしま う 薬 があります 他 に 薬 を 使 用 されている 場 合 には 必 ず 医 師 や 薬 剤 師 にご 相 談 ください 他 の 抗 悪 性 腫 瘍 剤 抗 生 物 質 (アミノグリコシド 系 抗 生 物 質 など) ステロイド 剤 ( 軟 膏 やクリームなどの 外 用 剤 を 除 く) フェニトイン( 抗 てんかん 薬 ) その 他 の 注 意 事 項 ザノサーによる 治 療 の 副 作 用 として 意 識 障 害 や 思 考 の 錯 乱 があらわれたという 報 告 があります 投 与 期 間 中 は 自 動 車 の 運 転 など 危 険 を 伴 う 機 械 の 操 作 は 控 えるよ うにしてください 19
ザノサーによる 治 療 の 方 法 ザノサーの 治 療 は 点 滴 静 脈 内 注 射 ( 点 滴 )で 行 います 1 回 の 点 滴 は30 分 ~2 時 間 かけて5 日 間 連 続 して 行 う 場 合 と 毎 週 1 回 行 う 場 合 の2 種 類 があり 医 師 と 相 談 のうえ そ れぞれの 患 者 さんに 適 した 方 法 を 選 ぶことができます 5 日 間 連 続 して 行 う 場 合 1 日 1 回 500mg/m 2 ( 体 表 面 積 )を 30 分 ~2 時 間 か けて5 日 間 連 日 で 点 滴 します その 後 37 日 間 休 薬 し ます この42 日 間 (6 週 間 )を1サイクルとして 繰 り 返 し 治 療 を 行 います 治 療 スケジュール 37 日 間 休 薬 1 日 目 6 日 目 43 日 目 毎 週 1 回 行 う 場 合 毎 週 1 回 1,000mg/m 2 ( 体 表 面 積 )を30 分 ~2 時 間 かけて 点 滴 します 治 療 スケジュール 1 日 目 8 日 目 15 日 目 22 日 目 29 日 目 36 日 目 43 日 目 20 1 回 の 最 大 量 は1,500mg/m 2 ( 体 表 面 積 )
点 滴 を 受 ける 時 の 注 意 点 抗 癌 剤 が 漏 れてしまうと 皮 膚 に 異 常 が 起 こる 可 能 性 があります 点 滴 中 は 針 が 入 っている 部 分 をなる べく 安 静 に 保 つように 心 がけてください 点 滴 を 受 けている 部 位 に 腫 れ 痛 み 焼 けるような 熱 さといった 症 状 を 感 じた 場 合 は 点 滴 の 針 が 抜 けて いたり 抗 癌 剤 が 漏 れている 可 能 性 がありますので す ぐに 医 師 や 看 護 師 を 呼 んでください 吐 き 気 や 嘔 吐 などの 副 作 用 に 備 えて 通 常 事 前 に 予 防 薬 を 投 与 していますが 気 分 が 優 れない 場 合 に はすぐに 医 師 や 看 護 師 または 薬 剤 師 にお 伝 えくだ さい 21
特 に 気 をつけたい 副 作 用 本 剤 の 特 に 気 をつけたい 副 作 用 として 腎 障 害 骨 髄 抑 制 耐 糖 能 異 常 肝 障 害 があります 適 切 な 対 処 を 早 期 に 行 うために 何 かおかしいな と 感 じたら 医 師 や 看 護 師 または 薬 剤 師 に 連 絡 してくだ さい 腎 障 害 腎 障 害 が 生 じると 身 体 のむくみ 筋 力 の 低 下 頻 尿 無 尿 (1 日 の 尿 量 が400mL 以 下 )などがあらわれます ザノサーの 治 療 期 間 中 は 医 師 は 定 期 的 に 腎 機 能 検 査 を 行 い 異 常 がないかを 確 認 します 異 常 が 認 められた 場 合 には 医 師 が 薬 の 量 を 減 ずるなどの 処 置 を 行 います ので ご 相 談 ください 22
骨 髄 抑 制 骨 髄 は 血 液 の 成 分 をつくる 重 要 な 器 官 です 薬 の 副 作 用 で 骨 髄 の 働 きが 低 下 すると 白 血 球 リンパ 球 好 中 球 の 数 が 減 少 し 感 染 症 にかかりやすくなったり 貧 血 や 出 血 などがあらわれます 感 染 症 を 予 防 するために 日 頃 から 手 洗 いやうがいを 心 がけ 体 を 清 潔 に 保 つようにしましょう 発 熱 寒 気 せき のどの 痛 みなどの 症 状 に 気 づいたら 必 ず 医 師 や 看 護 師 または 薬 剤 師 にご 相 談 ください 足 のむくみ 23
耐 糖 能 異 常 血 糖 値 を 正 常 に 保 つ 働 き( 耐 糖 能 )が 弱 まり 血 糖 値 が 上 昇 し 続 けると やがて 糖 尿 病 になる 可 能 性 があります 治 療 中 は 医 師 が 定 期 的 に 血 液 検 査 をして 異 常 がない かを 確 認 し 異 常 がある 場 合 には 治 療 を 中 止 するなどの 適 切 な 処 置 がなされます 肝 障 害 肝 臓 の 機 能 が 障 害 されて 肝 機 能 の 指 標 となるγ-GTP AST(GOT) ALT(GPT)が 上 昇 することがあります 医 師 は 治 療 開 始 前 や 治 療 中 に 肝 機 能 の 検 査 をして 異 常 がないかを 確 認 し 異 常 がある 場 合 には 治 療 を 中 止 するなどの 適 切 な 処 置 がなされます 24
その 他 の 副 作 用 血 管 障 害 ( 血 管 痛 ) 点 滴 の 針 を 刺 している 皮 膚 に 赤 み 痛 み 違 和 感 腫 れなどの 反 応 や 血 管 がつっぱるように 感 じるといった 症 状 があらわれることがあります 点 滴 中 や 点 滴 後 に 上 記 の 症 状 を 感 じた 場 合 には すぐに 医 師 や 看 護 師 また は 薬 剤 師 にお 知 らせくだ さい 血 管 障 害 便 秘 便 秘 になることがあります 治 療 中 は 水 分 を 十 分 に 摂 り 食 物 繊 維 の 多 い 食 べ 物 や 乳 酸 菌 食 品 を 食 べるように 心 がけましょう 便 秘 が 長 引 く 場 合 には 医 師 や 看 護 師 ま たは 薬 剤 師 にご 相 談 ください 25
吐 き 気 嘔 吐 吐 き 気 や 嘔 吐 が 続 くと 脱 水 症 状 や 栄 養 状 態 の 低 下 体 重 の 減 少 が 起 こり ます 重 症 になる 前 に 医 師 に 相 談 して ください 予 防 のためには 食 事 は 無 理 に 一 度 に 食 べようとせず 少 量 ずつ 分 けて 食 べまし ょう また 脱 水 症 状 を 防 ぐためには こまめに 水 分 を 摂 ることが 大 切 です 吐 き 気 嘔 吐 倦 怠 感 体 がだるい 疲 れやすい やる 気 が 出 ないといった 症 状 ( 倦 怠 感 )があらわれることがあります 医 師 や 看 護 師 ま たは 薬 剤 師 にご 相 談 ください 26
患 者 さんへのお 願 い ザノサーには 次 のような 特 に 気 をつける 副 作 用 が 報 告 されていますので 以 下 のような 症 状 があらわれた 場 合 や それ 以 外 にも 気 になる 症 状 があらわれた 場 合 には 次 の 受 診 までがまんせず 緊 急 連 絡 先 にご 連 絡 ください 特 に 気 をつける 副 作 用 腎 障 害 骨 髄 抑 制 耐 糖 能 異 常 肝 障 害 主 な 自 覚 症 状 頭 痛 顔 のむくみ 眼 がはれぼったい 尿 量 が 減 る 体 がだるい 発 熱 鼻 血 歯 ぐきの 出 血 息 切 れ あおあざができる 出 血 が 止 まりにくい 出 血 しやすい 軽 度 の 場 合 は 自 覚 症 状 はないが 血 液 検 査 で 血 糖 値 が 高 くなる 体 がだるい 白 目 が 黄 色 くなる 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 不 振 かゆみ 皮 膚 が 黄 色 くなる 尿 が 黄 色 い 緊 急 連 絡 先 病 院 名 電 話 番 号 ( ) 科 名 主 治 医 先 生 27
2015 年 2 月 作 成 ZAS-009-GT