授 業 実 践 開 発 研 究 第 9 巻 (2016) 中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 日 常 生 活 の 中 で 中 国 人 の 目 に 映 った 日 本 の 不 思 議 を 主 題 として 徐 吟 舒 千 葉 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 修 士 課 程 中 国 の 英 語 教 育 において 英 語 教 材 が 扱 う 話 題 が 英 語 文 化 圏 の 話 題 に 画 一 化 されている 問 題 と 英 語 リスニング に 対 する 中 学 生 の 意 欲 が 低 い 問 題 に 対 して 生 徒 が 興 味 を 持 ちそうな 非 英 語 文 化 圏 の 話 題 日 本 の 不 思 議 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 日 本 のキャラクター 弁 当 の 不 思 議 この 3 つのテーマを 題 材 とした 授 業 プランを 作 成 した 作 成 した 授 業 プランを 中 国 の 杭 州 における 中 学 1 年 生 を 対 象 に 実 践 した 実 践 より 英 語 教 材 の 画 一 化 問 題 を 改 善 すること 生 徒 が 英 語 への 関 心 意 欲 を 高 めること 非 英 語 文 化 圏 の 教 材 内 容 は 生 徒 の 国 際 的 視 野 を 広 げるという 効 果 を 明 らかにした 1 キーワード: 英 語 教 育 非 英 語 文 化 圏 リスニング 中 国 の 中 学 生 日 本 の 不 思 議 1. 問 題 の 所 在 1.1. 中 国 における 英 語 教 材 の 画 一 化 問 題 英 語 教 育 の 教 材 作 りにおいて 英 語 文 化 圏 の 話 題 を 中 心 とすることは 当 然 のことと 考 えられる なぜなら 英 語 で 話 す 国 の 文 化 を 学 習 させることは 英 語 をより 正 し く 使 わせるために 有 用 と 考 えられるからである しかし 中 国 の 英 語 文 化 圏 に 関 する 教 材 は 大 同 小 異 であり 画 一 化 の 問 題 が 生 じている この 問 題 については 中 国 の 研 究 者 も 意 識 していると 思 われる 実 際 中 国 で 1963 年 前 後 に 英 語 教 育 において 英 語 文 化 圏 の 地 位 と 役 割 などの 問 題 があったと 指 摘 している 論 文 がある 湯 麗 偉 (2005)は 以 下 のことを 述 べている 1963 年 の 時 期 は 政 治 の 色 が 濃 く 資 本 主 義 の 影 響 を 受 けないために 英 語 に 関 わるよ うな 西 洋 文 化 は 切 り 離 されていた そのため 当 時 の 英 語 教 育 では 中 国 の 生 活 を 英 語 で 表 現 していた その 時 の 英 語 教 材 の 中 には 西 洋 の 写 真 や 人 物 が 見 られなかった また 1982 年 の 英 語 教 材 においても 文 法 や 単 語 が 重 視 されており 西 洋 文 化 の 姿 は 見 られない ( 省 略 )しかし 1993 年 以 降 各 教 材 にお Yinshu XU: The Development of an English Listening Comprehension Curriculum for Junior School Students in Hangzhou, China -Using the Theme of Some Unimaginable Things in Japan from the Perspective of Chinese in Daily Lives - Graduate School of Education, Chiba University いて 言 語 と 文 化 のつながりが 重 視 されるよ うになった 特 に 2003 年 版 2 の 教 材 の 中 に は 英 語 文 化 圏 の 内 容 が 多 く 飲 食 動 物 有 名 人 芸 術 気 候 祭 りなど 様 々なものが 扱 われた 英 語 文 化 圏 の 軽 視 から 重 視 に 至 るまで 十 数 年 がかか っており 今 後 も 改 善 が 必 要 であると 考 えられる 李 頴 (2008)は 中 学 校 の 英 語 教 材 新 たな 目 標 の 中 に 存 在 している 問 題 および 対 策 の 中 で 以 下 のよ うに 述 べている 教 材 (2001 年 版 教 材 3 )には 文 化 の 理 念 は 言 語 活 動 の 中 に 染 みついているという 特 色 がある 言 語 と 文 化 は 緊 密 につながり 分 けることができない 英 語 の 文 化 に 触 れるこ とは 英 語 を 学 ぶ 上 で 非 常 に 役 に 立 つ 本 教 材 は 英 語 文 化 圏 を 重 視 し 西 洋 文 化 を 紹 介 している そして 生 徒 が 英 語 と 英 語 の 属 し ている 文 化 とのつながりを 知 ることができ るようにしている これにより 英 語 を 深 く 理 解 することができるようになる 例 えば 第 2 冊 第 3 冊 の 中 に 文 化 の 単 元 を 設 置 し ている 第 4 冊 第 5 冊 は 読 解 で 英 語 文 化 圏 に 関 する 内 容 を 扱 っている ( 括 弧 内 は 引 用 者 による 補 足 である) 2001 年 版 教 材 は 生 徒 の 文 化 意 識 と 価 値 観 を 養 うために 大 量 の 英 語 文 化 圏 の 文 化 を 紹 65
中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 介 している 意 図 は 良 いが 量 が 多 すぎると 考 えられる また 内 容 は 西 洋 の 衣 食 住 ばか りであるため 内 容 が 限 定 的 ではないだろう か そもそも 農 村 町 の 生 徒 は 以 前 まで の 教 育 の 中 で 英 語 文 化 と 触 れる 機 会 が 少 な かったため 突 然 の 大 量 の 英 語 文 化 の 紹 介 に は 適 応 できないのではないか また 都 会 の 生 徒 は 不 適 応 の 問 題 はないが 文 化 の 紹 介 ば かりでは 意 欲 が 上 がらないのではないか 書 く 能 力 会 話 能 力 を 指 す)と 比 較 すると 明 らかに 低 い 教 師 はリスニングの 現 状 を 認 識 し この 問 題 を 分 析 し 解 決 策 を 見 つける 必 要 がある ( 括 弧 内 は 引 用 者 による 補 足 であ る) 曹 利 亜 (2013)は 英 語 リスニングにおける 教 育 の モデルと 実 践 の 研 究 言 語 功 能 文 化 に 基 づいて の 中 で 以 下 のことを 述 べている 以 上 をまとめると 教 材 の 中 に 存 在 し て い る 英 語 文 化 圏 の 話 題 が 過 剰 であることが 問 題 と 考 えられる さらに 教 材 と 試 験 が 繋 がっているため 教 材 の 文 化 に 関 する 内 容 が 増 えるとそれに 応 じて 試 験 の 問 題 も 文 化 に 関 わる 内 容 が 多 くなる そのため 文 化 の 内 容 を 暗 記 する 詰 め 込 み 教 育 となってしまう 恐 れがある 実 際 に 普 段 の 授 業 の 中 で 主 に 試 験 のためにのみ 編 集 された 文 化 知 識 の 問 題 集 も 徐 々に 使 われるようになってきている 例 えば イギリスの 国 土 はどう 構 成 されているかである また 年 や 地 域 によっては 教 育 部 4 が 高 校 入 学 試 験 の 選 択 問 題 として 英 語 文 化 圏 の 問 題 を 定 めることがある そのため 教 師 は 一 点 でも 多 く 取 ってほしい という 思 いで 関 係 する 知 識 や 問 題 を 教 える 教 材 も 試 験 を 目 的 として 編 集 される 本 来 生 徒 は 英 語 文 化 圏 のことは 嫌 いではない のだが 試 験 のためにだけ 勉 強 をし 教 材 を 読 んでいる と 徐 々に 意 欲 が 失 せていってしまう 1.2. リスニングの 弱 さ 中 国 の 英 語 教 育 は 英 語 教 材 の 画 一 化 問 題 以 外 に 英 語 の 文 法 と 読 解 を 重 視 し 日 常 生 活 に 重 要 な 聞 く 能 力 と 話 す 能 力 が 軽 視 され 特 にリスニングについて 訓 練 の 欠 如 や 生 徒 の 意 欲 が 低 いこと 面 白 いリスニング 教 材 が 少 ないことなどの 問 題 が 存 在 しているという 事 実 が 明 ら かになっている 顧 争 娟 (2009)は 新 たな 課 程 基 準 は 文 法 重 視 から 応 用 力 を 重 視 するようにしている リスニング 能 力 は 交 流 の 手 段 として 他 の 書 く 能 力 読 む 能 力 会 話 の 能 力 と 比 較 すると 最 も 重 要 だ 新 たな 課 程 基 準 の 導 入 に 伴 い 中 学 生 のリスニング 能 力 は 少 し 向 上 したが 語 彙 文 法 などと 比 較 するとまだ 弱 い と 述 べている 艾 麗 娜 (2013)は 中 学 生 の 英 語 リスニングの 現 状 についての 分 析 と 思 考 の 中 で 以 下 のように 述 べている 実 際 に 中 国 の 教 育 現 場 を 調 べたところ 生 徒 の 英 語 リスニング 能 力 は 高 くなく リスニ ングの 内 容 についてよく 知 らないというこ とがわかった わが 国 の 英 語 教 育 はリスニン グを 重 視 していない ほかの 能 力 ( 読 む 能 力 伝 統 的 な 教 育 モデルの 影 響 で 長 い 間 英 語 教 育 は 教 材 や 試 験 問 題 集 を 使 うという 方 法 で 行 われている 教 育 現 場 でこのような 教 育 方 法 は 効 果 が 低 く ( 生 徒 が) 興 味 を 失 って 結 局 5 つ( 聞 く こ と 話 すこと 読 むこと 書 くこと 翻 訳 )の 能 力 の 中 で 最 も 弱 くなっ た ( 括 弧 内 は 引 用 者 による 補 足 である) 以 上 の 文 献 によると 中 学 生 ( 生 徒 )のリスニング 能 力 はほかの 能 力 と 比 べ 一 番 弱 いことがわかる ま た 中 国 の 英 語 リスニング 問 題 には 様 々な 原 因 がある その 1 つは 英 語 に 興 味 を 持 っている 学 生 が 少 ないという 点 である 詰 め 込 み 教 育 の 方 法 がとられていることが 多 い ため 面 白 い 教 材 の 開 発 が 足 りないことやそれに 伴 い 生 徒 が 意 欲 を 失 うことなどの 原 因 が 明 らかになっている 許 敬 常 俊 跃 景 婧 (2010)は 現 在 中 国 の 英 語 リス ニングに 存 在 している 問 題 を 分 析 した 許 敬 常 俊 跃 景 婧 は リスニング 授 業 の 現 場 の 雰 囲 気 がよくなく 教 育 方 法 は 画 一 的 で 教 師 は 音 声 教 材 を 流 し 学 生 に 聞 かせる その 後 教 師 が 質 問 し 学 生 は 答 えるだけ というような 教 育 モデルは 学 生 の 意 欲 と 教 育 効 果 を 下 げ 無 益 である と 述 べている つまり 英 語 リスニング 能 力 が 弱 いという 問 題 への 対 策 の 1 つとして 生 徒 の 意 欲 を 高 める 教 材 と 授 業 の 開 発 は 急 務 である 2. 中 国 の 英 語 教 育 で 日 本 の 話 題 を 扱 う 必 要 性 2.1. 英 語 教 材 の 画 一 化 問 題 を 改 善 するために 日 本 の 話 題 を 扱 う 必 要 性 今 日 の 高 度 情 報 化 社 会 において 中 国 と 日 本 の 関 わり は 非 常 に 強 いといえる 特 に 日 本 のアニメ 文 化 やマス コミ 産 業 の 発 展 により 中 国 の 若 者 が 日 本 に 注 目 するこ とになった 中 国 の 中 学 生 から 大 学 生 に 至 るまでの 年 齢 層 に 属 する 若 者 は 一 般 の 中 国 人 より 日 本 の 話 題 に 好 奇 心 を 持 っている その 中 の 多 くの 人 は 日 本 のアニメや 漫 画 が 好 きで 日 本 のことを 知 りたいため 日 本 語 を 熱 心 に 勉 強 しているということがある 42
授 業 実 践 開 発 研 究 第 9 巻 (2016) アニメは 中 国 語 で 動 漫 と 呼 ばれる これは 動 い ている 漫 画 という 意 味 である 遠 藤 5 (2008)は 中 国 に 日 本 動 漫 が 上 陸 したのは 1981 年 手 塚 治 虫 の 名 作 鉄 腕 アトム がテレビ 放 映 されたのが 最 初 である また 文 化 大 革 命 の 時 代 を 経 て 外 部 の 新 しい 文 化 に 接 したことのなかった 中 国 の 人 々はブラウン 管 の 向 こうの 鉄 腕 アトム に 熱 中 し た それ 以 降 日 本 のアニメが 漫 画 が 次 々と 中 国 大 陸 に 渡 り 人 気 を 博 し 日 本 動 漫 は 大 衆 文 化 の 地 位 を 獲 得 した と 述 べている 2009 年 10 月 28 日 捜 狐 教 育 ( 捜 狐 の 教 育 ) 6 の 北 京 商 报 ( 北 京 商 新 聞 ) に よ る と 中 国 の 日 本 語 学 習 者 は 68 万 人 に 至 り 北 京 上 海 広 州 の 三 つの 地 域 だけにおいても 13 歳 から 30 歳 までのアニメ 消 費 費 用 は 13 億 元 ( 当 時 の 日 本 円 に 換 算 して 約 174.2 億 円 に 当 たる)を 超 える 日 本 語 を 勉 強 する 人 が 増 加 している 主 な 理 由 として 日 本 の 漫 画 アニメ 作 品 などから 日 本 語 に 興 味 を 持 つ 人 が 多 いということがいえる 日 本 のアニ メやドラマなどの 台 詞 会 話 を 理 解 したり 原 文 のまま 日 本 語 の 書 籍 を 読 んだりするためには 一 定 の 日 本 語 の 知 識 が 必 要 である 簡 易 翻 訳 された 情 報 では 日 本 の 文 化 をより 深 く 知 りたいと 考 えている 人 々のニーズを 満 足 させることができなくなっている そのため より 多 くの 人 が 日 本 語 学 校 へ 行 き 日 本 語 を 勉 強 す る 新 聞 記 事 の 調 査 報 告 によると 週 末 の 夜 を 利 用 し 日 本 語 を 勉 強 する 中 学 生 は 約 20% 25%であり 夏 休 みは 一 番 多 く 長 期 休 暇 は 平 均 毎 月 800 人 以 上 に 上 る これは 平 日 の 3 倍 であり その 70%は 中 学 生 や 高 校 生 大 学 生 で ある そして その 中 の 一 部 の 人 は 非 常 に 高 い 水 準 の 日 本 語 能 力 を 有 している 7 つまり 日 本 と 中 国 はアニメを 通 して 関 わりが 強 く アニメは 日 本 と 中 国 の 架 け 橋 となってきたといえる 筆 者 は 2013 年 5 月 中 国 の 杭 州 にある 海 寧 市 硖 石 中 学 校 で 不 思 議 の 国 のアリス 8 についての 英 語 リスニ ング 授 業 を 実 施 した 筆 者 が 日 本 の 大 学 で 学 んでいる 留 学 生 だということを 生 徒 に 伝 えたところ 生 徒 たちはさ らに 日 本 に 対 する 好 奇 心 を 持 つようになった そして 2013 年 5 月 の 教 育 実 践 を 契 機 として 2014 年 9 月 に 中 国 の 中 学 生 がどのくらい 日 本 のアニメに 興 味 がある のか 日 本 の 話 題 ( 特 にアニメを 通 して 知 っていること) の 認 知 状 況 また 日 本 のアニメを 通 して 不 思 議 だと 思 ったことなどについてアンケート 調 査 を 行 った 調 査 は 中 国 の 杭 州 にある 海 寧 市 硖 石 中 学 校 で 中 学 1 年 生 140 人 と 2 年 生 83 人 を 対 象 として 行 った また 回 収 したアンケートの 中 に 使 われたのは 1 年 生 125 枚 2 年 生 77 枚 合 計 202 枚 である 選 択 問 題 で 週 に 日 本 のアニメを 見 る 時 間 はどのぐらいですか? の 問 いに 対 して 2 時 間 以 上 ( 約 毎 日 20 分 ) と 回 答 した 生 徒 は 29 人 80 分 ( 約 週 4 日 間 20 分 のアニメを 見 る) と 回 答 した 生 徒 は 20 人 40 分 ~60 分 ( 約 週 2 ~3 日 間 20 分 のアニメを 見 る) と 回 答 した 生 徒 は 90 人 である この 結 果 により 毎 日 20 分 や 約 週 4 日 間 20 分 のアニメもしくは 約 週 2~3 日 間 20 分 のアニメを 見 ることなどはアニメに 意 欲 が 高 いことの 表 れである な ぜなら 中 国 の 中 学 生 と 高 校 生 は 学 校 での 勉 強 が 非 常 に 忙 しくて 休 憩 時 間 や 自 由 に 使 える 時 間 は 少 ないため 興 味 がなければ 見 るはずがないと 考 えられる また 自 由 表 記 の 設 問 では 日 本 のアニメやインターネットのニ ュース その 他 の 手 段 を 通 して 日 本 人 の 一 般 的 な 生 活 を 少 し 知 り 何 か 不 思 議 なことや 特 に 知 りたいことはあ りますか? の 問 いについての 集 計 結 果 である この 問 題 は 自 由 記 述 なので 答 えは 様 々である 一 番 多 く 記 述 された 答 えは 外 来 語 の 不 思 議 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 日 本 のキャラクター 弁 当 の 不 思 議 である 人 数 はそれぞは 56 人 54 人 32 人 である 問 題 は 自 由 記 述 なので 空 白 のままの 生 徒 が 多 く 何 らかの 答 えを 書 いている 人 数 は 134 人 である つまり 調 査 の 結 果 から 日 本 のアニメや 日 本 事 情 について 興 味 を 持 ってい る 生 徒 が 多 く 英 語 の 授 業 で 取 り 上 げると 子 どもの 学 習 意 欲 を 高 めることが 期 待 できるということが 明 らかに なった また 子 どもたちがアニメを 見 て 日 本 の 生 活 に 関 していくつか 疑 問 を 持 っていることもわかった 特 に 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 専 業 主 婦 の 不 思 議 キャラクター 弁 当 の 不 思 議 である この 3 点 の 疑 問 を 題 材 として 扱 う 妥 当 性 を 考 察 するため 2015 年 3 月 に 追 加 調 査 を 行 ったところ ほとんどの 生 徒 が 日 本 の アニメや 日 本 事 情 に 興 味 を 持 っており 且 つ 英 語 の 授 業 でこの 内 容 を 扱 うことに 積 極 的 な 態 度 を 示 しているこ とがわかった この 3 つの 日 本 の 不 思 議 を 題 材 とした 教 材 を 開 発 し 授 業 を 行 うこととした 3. 研 究 の 目 的 と 方 法 3.1. 研 究 の 目 的 本 研 究 の 目 的 は 中 国 の 中 学 生 の 英 語 リスニングに 対 する 意 欲 が 低 いという 問 題 と 英 語 教 材 が 英 語 文 化 圏 に 画 一 化 されている 問 題 に 対 して 生 徒 が 興 味 を 持 ちそう な 非 英 語 文 化 圏 の 話 題 日 本 の 不 思 議 を 題 材 と し た 授 業 プランを 作 成 し 中 学 校 での 実 践 の 成 果 を 考 察 し その 授 業 プランの 可 能 性 と 有 効 性 を 明 らかにすること である 3.2. 研 究 の 方 法 中 国 の 中 学 生 に アニメを 通 して 日 本 について 不 思 議 に 思 うことや 興 味 を 持 っていること についてアンケ ート 調 査 を 行 う その 結 果 を 元 に 3 つのテーマを 英 語 43
中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 リスニング 教 材 として 扱 う 妥 当 性 を 検 討 し 中 国 人 の 目 に 映 った 日 本 の 不 思 議 を 主 題 とする 英 語 リスニングの 授 業 プランを 作 成 する 作 成 した 授 業 プランを 中 国 の 杭 州 における 中 学 1 年 生 を 対 象 に 実 践 する 授 業 中 の 生 徒 全 体 の 様 子 と 個 別 抽 出 生 徒 の 記 録 生 徒 による 事 後 アンケートの 記 述 英 語 の 担 任 の 教 諭 による 事 前 事 後 アンケートの 記 述 とヒアリングを 通 して 授 業 の 考 察 を 行 う 4. 教 材 の 開 発 4.1. ストーリーの 導 入 今 回 の 授 業 は 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 専 業 主 婦 の 不 思 議 キャラクター 弁 当 の 不 思 議 の 3 つのテ ーマを 扱 い 英 語 リスニング 活 動 を 行 い 英 語 の 感 嘆 の 表 現 を 習 得 させる また 子 どもの 意 欲 を 引 き 上 げるた め ストーリーの 導 入 と 登 場 人 物 の 設 定 を 行 った 登 場 人 物 は 中 国 人 の Lili と 日 本 人 の Pikaemon である Lili は 日 本 のアニメを 見 ることが 大 好 きな 中 学 生 で ある ある 日 曜 日 の 朝 日 本 のアニメのキャラクター Pikaemon と 出 会 う Pikaemon は 日 本 の 人 気 アニ メの 主 人 公 である タイムマシンが 故 障 するという 大 き な 事 故 の 影 響 で 時 間 と 空 間 が 歪 み Lili のいる 中 国 に 来 てしまった そして 事 故 による 火 事 で 以 前 と 姿 が 変 わ って 真 っ 黒 になり 本 来 の 赤 鼻 と 万 能 袋 だけ 特 徴 として 残 った Lili はこの 特 徴 によって 真 っ 黒 になった Pikaemon がわかった また 万 能 袋 とは Pikaemon のお 腹 についている 袋 で 様 々な 先 進 的 な 道 具 が 入 って いるというものである Lili と 交 流 するため 万 能 袋 から 翻 訳 機 器 を 取 り 出 し 日 本 語 を 英 語 に 翻 訳 した Lili は 日 本 のアニメのファンで Pikaemon のことをよく 知 っていて 日 本 に 非 常 に 興 味 を 持 っている この 機 会 を 利 用 し Pikaemon に 不 思 議 だと 思 っていた 日 本 のこと について 尋 ねた 以 上 のストーリーを 英 会 話 に 編 集 し リスニング 活 動 の 一 部 として 授 業 で 扱 う 9 Lili と Pikaemon のキャラ クターイメージは 以 下 の 図 1 図 2 に 示 す 図 2 Pikaemon 4.2. 授 業 の 構 成 授 業 は 5 つのタスクから 構 成 されている 授 業 の 構 成 は 表 1 に 示 す 表 1 授 業 の 構 成 第 1 時 間 目 (50 分 ) タスク1Lili と Pikaemon の 出 会 いのストーリー タスク2 日 本 のキャラクター 弁 当 の 不 思 議 第 2 時 間 目 (60 分 ) タスク3 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 タスク4 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 タスク5 感 嘆 の 表 現 の 活 用 1 つのタスクは pre-listening main task post-listening の 3 つの 部 分 から 構 成 されている pre-listening は 子 ど も の 意 欲 を 高 め る た め の 準 備 活 動 として 設 置 する main task は 外 国 語 活 動 の 重 点 となる 部 分 で 子 どもに 習 得 させることが 一 番 多 い 部 分 である post-listening は 知 識 を 復 習 したり 活 用 した りするために 設 置 する 5. 授 業 の 実 施 と 考 察 授 業 の 概 要 は 以 下 の 通 りである 実 施 学 校 : 海 寧 市 硖 石 中 学 校 学 年 : 中 学 1 年 生 1 クラス( 男 性 17 名 女 性 14 名 ) 教 科 : 英 語 時 間 :40 分 2+30 分 ( 自 習 時 間 ) 実 施 日 時 :2015 年 5 月 26 日 授 業 者 : 徐 吟 舒 協 力 者 : 授 業 の 協 力 者 は 2 名 であり 主 に 個 別 抽 出 の 生 徒 の 様 子 を 記 録 し 写 真 と 映 像 の 撮 影 をする 英 語 の 担 任 の 教 諭 は 授 業 の 様 子 を 見 ながら ビデオの 撮 影 をす る 図 1 Lili 5.1. 1 時 間 目 時 間 ( 分 ) 学 習 活 動 1 教 師 の 自 己 紹 介 授 業 主 題 の 明 示 2 授 業 の 主 題 Some Unimaginable Things in 44
授業実践開発研究 第 9 巻 2016 Japan に関する意味を説明し 特に タスク④ 日本の専業主婦の不思議 unimaginable の単語の構成を説明し 英語学習 4 における 語彙の構成 を紹介する かせ ストーリーの文脈を捉えさせる また 次 タスク① Lili と Pikaemon 出会いのストーリー 8 の会話に出てくる難しい単語を提示する 単語に [pre-listening] 日本 について自分が知って 基づき 会話の内容を想像させる 最後に 単語 いることを生徒に自由に発言させる を読ませる 10 [main task]リスニングの会話を聞かせる前に 10 Lili と Pikaemon 出会いのストーリーの説明をす 10 を聞かせる 聞きながら 感嘆の表現に注目して イズを出す ワークシートにメモを取らせる タスク⑤ 感嘆の表現の活用 20 [pre-listening] 会話に出てくる難しい単語を提 8 [post-listening] もう一度タスク②と③の会話 [post-listening] ストーリーの内容についてク タスク② 日本のキャラクター弁当の不思議 3 [main task]リスニングの会話を聞かせる その 後 クイズに答えさせる る 2 [pre-listening]タスク③と④の繋ぎの会話を聞 第 1 時間目にグループで交換した意見を参考に し 第 2 時間目に聞き取った感嘆表現を利用して 示する 単語に基づき 会話の内容を生徒に想像 させる 最後に 単語を読ませる 作った短い会話を発表させる [main task]リスニングの会話を聞かせる その 日本の不思議を勉強した後 アメリカやイギリ 後 クイズに答えさせる スの文化と比較し 考えさせる [main task] もう一度リスニングの会話を聞か 10 せる 聞きながら 感嘆の表現に注目してワーク シートにメモを取らせる [post-listening] 2 3 人のグループになり 聞 6 き取った感嘆表現を共有 検討させる また 日 本の弁当について友達と交流し アメリカの fast food と比較して考えさせる 図 4 グループ活動 会話文の作成 5.3. 事前 事後アンケートの考察 5.3.1. 教師の事前 事後アンケートの結果 事前アンケート 授業実施 1 ヶ月前に 今回授業をするクラスの英語 の担任の教諭に事前アンケート調査を実施した 主に 図 3 ストーリーを進める画面 生徒の英語リスニングの練習状況を調べ 授業実践に役 5.2. 2 時間目 立てようと考えた アンケート調査の結果は以下に記す 時間 (分) 現在 海寧市硖石中学校の英語授業では教材として 学習活動 主に教科書扱い 英語を教えている また 試験問題集 も使っている それ以外の視聴覚教材はあまり使用して タスク③ 日本の外来語の不思議 2 2 [pre-listening]タスク②と③の繋ぎの会話を聞 いない 教材の内容は主に英語の単語 文法 文化など かせ 文脈を捉えさせる で 文化については英語圏の国について教えていて 非 [pre-listening]次の会話に出てくる難しい単語 英語圏の国の知識には触れたことがない また 生徒のリスニングの練習状況については 担 を提示する 単語に基づき 会話の内容を生徒に 10 想像させる 最後に 単語を読ませる 任の教諭は うちの学校は英語のリスニングを重視して [main task]リスニングの会話を聞かせる その いる と言っていた 普段のリスニングの練習量は英語 の授業の内 1/3 を占めている 毎単元にリスニングの部 後 クイズに答えさせる 2 分を設定し 教科書だけでなく ほかの試験問題集も使 [post-listening] 外来語について英語でもう一 って練習させている また 授業は可能な範囲で 英語 度補足し説明する 45
中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 で 行 っているとのことだった しかし 生 徒 はリスニ ングに 意 欲 的 か という 質 問 に 対 しては まあまあ と 答 え あまり 意 識 が 高 くなく 嫌 いになっている 子 もい るとのことだった 担 任 の 教 諭 は 筆 者 の 授 業 について 不 安 な 点 が 2 つあ ると 話 した 1 つは 教 材 の 内 容 は 生 徒 が 触 れたことが ないものなので 難 しくなると 困 るということ もう 1 つは 生 徒 の 反 応 がよくないのではないかということで ある [ 事 後 アンケート] まず 選 択 式 アンケートの 解 答 結 果 から 生 徒 の 反 応 がよくないのではないかという 不 安 が 解 消 されたと いえる 英 語 の 担 任 の 教 諭 は 今 回 の 英 語 の 授 業 は 非 常 に 面 白 くて 生 徒 は 以 前 の 授 業 より 活 発 だったと 答 えた また 選 択 式 アンケートと 自 由 記 述 アンケートによ ると 担 任 の 教 諭 は 今 回 の 授 業 を 以 下 のように 評 価 した 生 徒 の 授 業 での 様 子 を 見 ると 日 本 のことをよく 知 っている 子 や 興 味 を 持 っている 子 が 多 いことがわかっ た 日 本 のように 母 語 が 英 語 ではない 国 のことでも 教 材 内 容 に 取 り 上 げたら 生 徒 の 意 欲 向 上 につながる ま た 今 回 の 授 業 は 日 本 事 情 の 内 容 ばかり 扱 うのではな く 英 語 の 文 法 や 聞 く 活 動 もバランス 良 く 取 り 入 れてい た そして 一 番 心 配 していた 教 材 の 難 易 度 は 適 切 であ った タスクの 設 定 とストーリーはわかりやすくて 生 徒 のリスニングのレベルに 近 いものであった 最 後 に このような 授 業 は 支 持 するが 受 験 生 のニー ズを 満 たす 必 要 がある 将 来 的 な 見 込 みはあるが 実 現 する 可 能 性 は 五 分 五 分 であると 話 していた 5.3.2. 生 徒 の 事 後 アンケートの 結 果 生 徒 向 けの 事 後 アンケートは 1 時 間 目 授 業 後 2 時 間 目 授 業 後 と 授 業 全 体 を 通 してのアンケートの 計 3 回 を 行 った 以 下 は 3 回 の 調 査 の 結 果 について 生 徒 の 関 心 意 欲 リ ス ニ ン グ 教 材 の 工 夫 外 国 語 の 理 解 力 授 業 の 将 来 的 な 展 望 不 足 点 5 つの 方 面 から 分 析 する 生 徒 の 関 心 意 欲 については 今 回 の 英 語 のリス ニング 授 業 を 受 け 大 半 の 生 徒 が 楽 しく 取 り 組 み リス ニングの 意 欲 向 上 につながり 効 果 があることがわかっ た 1 時 間 目 授 業 後 2 時 間 目 授 業 後 のアンケートで 1 時 間 目 の 授 業 は 楽 しかったですか? という 問 い に 対 して とても 楽 しかった と 答 えた 人 は 24 人 楽 しかった と 答 えた 人 は 5 人 であった また 2 時 間 目 については とても 楽 しかった が 22 人 楽 しかっ た が 8 人 であった 最 後 に 授 業 全 体 を 通 してのア ンケートの 中 で 今 回 の 授 業 についてどう 感 じました か? という 問 いに 対 して 非 常 に 面 白 かった が 23 人 面 白 かった が 7 人 であった これらの 結 果 から 今 回 の 授 業 で 授 業 の 面 白 さを 感 じ 楽 しいと 思 った 人 数 は 大 半 を 占 めたということがわかった また 授 業 全 体 を 通 してのアンケートで 授 業 を 通 して 英 語 のリ スニングの 意 欲 向 上 につながりましたか? という 問 い については 非 常 に 役 に 立 つ と 答 えた 人 は 17 人 あ る 程 度 役 に 立 つ は 12 人 で 少 なくともクラスの 94% の 生 徒 は 効 果 があると 思 ったことがわかった 生 徒 の 意 欲 を 高 める リスニング 教 材 の 工 夫 につい ては 聞 かせる 内 容 だけでなく 導 入 イラスト 動 画 モデルの 設 定 などの 工 夫 が 必 要 である また 中 学 生 な ので イラストやストーリーを 通 して 意 欲 を 引 き 出 し 楽 しく 学 べる 工 夫 も 大 事 である 3 回 のアンケート 調 査 の 中 で 授 業 の 個 々の 部 分 について 何 に 興 味 を 持 ったか を 聞 いた 1 時 間 目 授 業 後 2 時 間 目 授 業 後 全 授 業 実 施 後 の 調 査 結 果 は 以 下 の 表 2 に 示 す 表 2 生 徒 が 興 味 を 持 った 部 分 についての 調 査 結 果 興 味 がある 項 目 と 答 えた 人 数 ( 全 31 人 ) unimaginable という 単 語 の 20 構 成 日 本 について 自 由 に 発 言 する 23 部 分 Lili と Pikaemon 出 会 いのス 29 1 時 間 目 トーリー Lili と Pikaemon の 日 本 の キャラクター 弁 当 の 不 思 議 25 についての 会 話 内 容 翻 訳 機 器 が Pikaemon 万 能 ポ 17 ケットから 出 る 動 画 Lili と Pikaemon の 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 についての 26 会 話 内 容 2 時 間 目 Lili と Pikaemon の 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 について 24 の 会 話 内 容 グループ 活 動 12 Lili と Pikaemon のイラスト 25 デザイン 28 Lili と Pikaemon の 声 24 1 時 間 目 23 と 2 時 間 quiz の 設 定 19 目 共 通 17 task モデルの 設 定 24 26 46
授 業 実 践 開 発 研 究 第 9 巻 (2016) pre-listening で 予 め 単 語 を 学 13 ぶモデル 16 授 業 の 中 で 一 番 印 象 に 残 っている 部 分 は 何 ですか? 3 つのテーマの 内 容 25 Lili と Pikaemon 主 人 公 の 設 27 全 授 業 実 定 及 び 出 会 いストーリー 施 後 task のモデル 27 quiz 形 式 の 問 題 15 グループ 活 動 9 教 師 の 技 術 21 その 他 ( 雰 囲 気 がいい) 1 この 結 果 によると 日 本 のキャラクター 弁 当 の 不 思 議 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 の 3 つのテーマに 興 味 を 持 った 人 数 はそれぞれ 25 26 24 人 で クラス 全 体 の 約 81%であった 聞 く 内 容 の 工 夫 は 非 常 に 重 要 だと 考 える また これ 以 外 に 多 数 が 興 味 を 持 った 部 分 は Lili と Pikaemon 出 会 いのス トーリー ( 導 入 ) Lili と Pikaemon のイラストデザイ ン(デザイン) Lili と Pikaemon の 声 task モデルの 設 定 (モデル)である 英 語 のリスニング 授 業 では 内 容 に 加 え 授 業 の 導 入 デザイン 音 モデルの 設 定 も 不 可 欠 なことであるといえる 外 国 語 の 理 解 力 について 1 時 間 目 2 時 間 目 に おいて わからないところが 残 っていますか? という 問 いに 対 して 1 時 間 目 の 後 は はい と 答 えた 人 は 5 人 いいえ は 25 人 無 回 答 1 人 だった 2 時 間 目 の 後 は はい が 3 人 いいえ が 25 人 無 回 答 3 人 だった それについての 理 由 も 聞 いた はい と 答 え た 人 の 理 由 として Pikaemon の 声 が 聞 き 取 りづらいの で 会 話 の 内 容 の 全 て を 聞 き 取 る こ と は で き な か っ た こ とや リスニング 能 力 が 低 いので 会 話 を 1 回 聞 いた だけでは 理 解 できなかったことなどがある また 授 業 内 容 の 理 解 の 考 察 について 授 業 全 体 を 通 してのアンケートで 授 業 を 通 して 感 嘆 の 表 現 また は which を 用 いたセンテンスについてどの 程 度 わかり ましたか? という 問 いに 対 して 全 部 わかった と 答 えた 人 は 20 人 大 体 わかった と 答 えた 人 は 7 人 だった また 日 本 の 不 思 議 についての 3 つのテーマ の 会 話 をどの 程 度 聞 き 取 れましたか? という 問 いにつ いて 100% を 選 ん だ 人 は 4 人 80% は 12 人 60% 11 人 40% 2 人 20% 以 下 は 1 人 であった 授 業 中 のクイズの 回 答 では 正 解 者 が 多 かったことから 内 容 の 概 要 はわかっているが 細 かい 部 分 が 把 握 しにくかった と 考 えている 授 業 を 実 施 する 前 に 生 徒 は 教 材 が 英 語 文 化 圏 の 話 題 ではなく 詳 しく 知 らないのでこわい や 日 本 のこ とについての 単 語 がよくわからない 文 化 が 混 乱 する かどうか など 様 々な 不 安 や 疑 問 を 持 っていた これに ついては 授 業 が 終 わった 後 31 人 中 29 人 が 不 安 や 疑 問 が 解 消 された と 答 えた また 授 業 を 通 して 何 を 学 びましたか? という 問 いに 対 して 日 本 のこ とについて 前 より 理 解 できた が 28 人 感 嘆 の 表 現 と which を 用 いたセンテンス が 27 人 新 たな 教 材 のモデル が 22 人 であった 授 業 の 将 来 的 な 展 望 については 日 本 のような 非 英 語 圏 の 国 のことを 英 語 の 授 業 で 取 り 上 げることにつ いて 賛 成 知 識 を 広 げることに 役 に 立 つ と 思 った 人 は 28 人 である 今 後 また 機 会 があればこのよう な 授 業 を 受 けたい と 答 えた 人 は 29 人 だった 授 業 の 不 足 点 についても 生 徒 から 意 見 をもらった 主 に 考 える 時 間 聞 く 回 数 単 語 などについてである 詳 しくは 今 後 の 課 題 の 節 ( 第 7 節 )で 記 述 する 最 後 に 日 本 の 話 題 については 授 業 で 扱 った 3 つ のテーマだけにとどまらず 授 業 後 に 多 くの 生 徒 から 様 々な 質 問 があった アンケートの 中 で 日 本 のこと もしくは 英 語 のリスニングについて 何 かもっと 知 りた いことはありますか? の 部 分 に 様 々な 質 問 が 書 かれて いた 例 えば なぜ 日 本 語 は 漢 字 とひらがなとカタカ ナがあるのですか? や 日 本 のアニメはどうしてそん なに 先 進 的 なのですか? 日 本 の 起 源 はいつですか? などがあった 5.3.3. 個 別 に 抽 出 した 生 徒 の 考 察 個 別 に 観 察 した 3 人 の 生 徒 について 考 察 する 授 業 の 際 協 力 者 2 人 に 個 別 に 抽 出 した 生 徒 の 様 子 を 記 録 してもらった 協 力 者 は 生 徒 を 1 人 ずつ 選 び 観 察 と 記 録 を 行 う また 授 業 者 はカメラを 2 台 設 置 し ク ラス 全 体 を 撮 影 して どちらのカメラにも 映 っていた 生 徒 1 名 を 観 察 した 生 徒 A 生 徒 B 生 徒 C の 3 人 に ついて 記 す 生 徒 A( 女 性 )についての 考 察 一 番 前 の 席 に 座 っていた 授 業 開 始 から Lili と Pikaemon の 登 場 までずっと 緊 張 した 面 持 ちで 真 面 目 に 聞 いていた 日 本 のことについて 思 いつくことを 自 由 に 発 言 させた 部 分 では ずっと 周 りの 生 徒 を 見 て その 発 言 を 聞 いているだけであった しかし 時 折 隣 にいる 子 と 交 流 していた ここまで ずっと 緊 張 した 表 情 で リラックスしていなかった そして Lili と Pikaemon が 登 場 し ストーリーを 聞 き 始 めてから 笑 顔 が 増 えて きた 特 に Pikaemon の 台 詞 の 時 に 面 白 そうにしてい た 次 第 に 隣 の 生 徒 と 交 流 する 回 数 が 増 え 徐 々にリラ ックスしてきた 様 子 であった また 3 つのテーマに 関 47
中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 するタスクを 行 った 時 真 面 目 に 聞 き 真 剣 に 考 え 所 々 笑 っていた 発 言 は 恥 ずかしいのか 授 業 が 終 わるまで 手 を 挙 げなかったが 授 業 者 が 皆 に 質 問 をした 時 は 周 りの 生 徒 と 一 緒 に 答 えを 考 えていた 最 後 に グループ 活 動 で 周 りの 生 徒 といろんなことを 話 し 合 い 友 達 に 励 まされて 発 表 者 になり 皆 の 前 で 発 表 した 声 が 少 し 小 さく 顔 が 赤 くなりながらも 最 後 まで 頑 張 って 発 表 した 生 徒 B( 女 性 )についての 考 察 生 徒 B は 真 ん 中 の 席 に 座 っていた 授 業 前 は わく わくした 表 情 で 楽 しそうにしていた 授 業 全 体 を 通 し て 発 言 は 3 回 あり 自 由 に 発 言 させた 部 分 では 積 極 的 に 話 していた 1 回 目 の 発 言 では 日 本 のことについ て 自 由 に 発 言 する 部 分 で 日 本 人 はよく 靖 国 神 社 へ 参 拝 するということを 答 えた 2 回 目 は Pikaemon はコナン に 似 ていると 言 い 周 りの 生 徒 の 笑 いをとった 3 回 目 は 手 を 挙 げて 最 後 のグループ 活 動 の 成 果 を 発 表 した 授 業 中 授 業 者 と 目 が 合 うことが 多 く 周 りの 生 徒 との 交 流 も 多 かった 特 に Lili と Pikaemon の 出 会 いのス トーリーや 日 本 のキャラ 弁 について 話 している 時 楽 し そうな 顔 をしていた リスニング 活 動 を 行 っている 時 は 真 面 目 に 聞 き 緊 張 はしていない 様 子 だった また 1 時 間 目 と 2 時 間 目 の 間 の 休 憩 時 間 に 積 極 的 に 日 本 のこ とについて 授 業 者 と 話 し アニメや 日 本 の 生 活 などにつ いて 尋 ねていた 生 徒 C( 男 性 )についての 考 察 ( 授 業 者 が 観 察 した) 生 徒 C は 一 番 右 側 窓 側 真 ん 中 の 席 に 座 っていた 授 業 の 最 初 から 最 後 まで 面 白 い 場 面 以 外 はずっと 真 剣 な 表 情 だった しかし 発 言 は 積 極 的 に 行 った 特 に 日 本 のことについて 自 由 に 発 言 させた 時 日 本 の 地 域 に 中 国 というところがあると 発 言 した 物 知 りで 授 業 者 を 驚 かせた 授 業 中 グループディスカッション 以 外 にほ かの 生 徒 と 交 流 する 場 面 は 少 なく 1 人 で 考 えているこ とが 多 かった 外 来 語 の 部 分 に 興 味 を 示 していた 6. 研 究 の 成 果 今 回 の 授 業 を 通 して 以 下 の 成 果 を 得 た 第 一 に 非 英 語 文 化 圏 に 関 する 内 容 を 英 語 の 授 業 で 取 り 上 げることで 中 国 の 英 語 教 材 における 画 一 化 の 問 題 を 改 善 することができた 今 回 の 授 業 で 非 英 語 文 化 圏 で ある 日 本 の 話 題 を 取 り 上 げた 実 践 により 教 師 や 生 徒 たちにとって このような 題 材 の 英 語 の 授 業 が 実 践 可 能 であるということを 示 すことができただけでなく 非 英 語 文 化 圏 の 話 題 は 生 徒 と 教 師 に 好 評 だった 授 業 後 実 施 した 全 体 の 事 後 アンケート 調 査 の 日 本 の 母 語 は 英 語 で はありませんが このような 国 のことを 英 語 の 授 業 で 取 り 上 げることについてどう 思 いますか? という 質 問 に 対 して 31 人 中 28 人 の 生 徒 が 賛 成, 知 識 を 広 げるこ とに 役 に 立 つ と 回 答 したことや 担 任 が このような 教 材 は 生 徒 の 視 野 を 広 げ 自 分 の 国 と 外 国 の 習 慣 や 環 境 が 大 きく 異 なっていることに 気 づかせることができる とヒアリングにて 答 えていることからも 推 測 できる 第 二 に 生 徒 が 興 味 を 持 っている 日 本 の 話 題 を 英 語 リ スニングの 授 業 で 取 り 上 げることで 生 徒 の 英 語 リスニ ングに 対 する 関 心 意 欲 の 向 上 に 貢 献 できた 前 節 に 記 した 事 後 アンケート 調 査 から 生 徒 の 関 心 意 欲 につい て 分 析 する 1 時 間 目 の 後 2 時 間 目 の 後 と 全 授 業 実 施 後 のアンケート 調 査 によると とても 楽 しかった と 楽 しかった と 答 えた 生 徒 は 90% 以 上 と 大 半 を 占 め た 具 体 的 に 聞 くと 日 本 のキャラ 弁 の 不 思 議 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 の 3 つのテーマに 興 味 を 持 っただけでなく 登 場 人 物 Lili と Pikaemon のデザインとストーリーの 設 定 も 今 回 の 授 業 の 利 点 となり 生 徒 の 英 語 リスニングへの 意 欲 が 高 まる 理 由 となったことがうかがわれる 先 生 への 事 後 ヒ アリングからは 面 白 い 授 業 であれば 生 徒 はリスニン グを 好 きになるかもしれないということであった そも そもリスニングに 特 別 苦 手 意 識 のない 生 徒 でも 試 験 の ために 面 白 みのない 試 験 問 題 集 の 形 式 的 な 問 題 ばかり をやらなければならないストレスにより 徐 々に 嫌 い や 不 得 意 という 気 持 ちが 出 てくる 今 回 の 授 業 のよ うに 興 味 を 抱 きやすい 内 容 で 流 れやデザインの 工 夫 が ある 教 材 であれば 楽 しく 学 ぶことができる 今 回 の 授 業 を 通 してリスニングに 好 感 を 持 った 生 徒 は 今 後 このよ うな 授 業 があれば また 受 講 する 可 能 性 が 高 いのではな いだろうか 全 ての 授 業 実 施 後 のアンケート 調 査 による と 生 徒 31 人 中 29 人 がこれからこのような 授 業 をま た 受 けたいと 明 記 した 第 三 に 今 回 の 授 業 を 通 して 世 界 の 公 用 語 としての 英 語 の 技 能 を 教 えるだけでなく 生 徒 の 国 際 的 視 野 を 広 げるという 効 果 があった 今 回 の 授 業 は 日 本 の 話 題 を 扱 い リスニングの 授 業 を 行 って 感 嘆 の 表 現 などの 英 語 の 技 術 を 習 得 した さ らに 授 業 の 中 で 日 本 の 話 題 から 授 業 の 内 容 を 発 展 させ て 非 英 語 圏 の 国 と 英 語 を 話 す 国 とを 比 較 するタスクを 設 置 したり 中 国 の 話 をヒントとして 取 り 上 げたりして 日 本 は 不 思 議 だ 世 界 は 広 いよね アメリカ イ ギリスと 違 う 私 たちと 違 う というような 考 えに 至 らせることができた 担 任 は 授 業 後 のヒアリングの 中 で この 授 業 は 生 徒 に 中 国 と 異 なる 国 のことを 知 らせ 生 徒 の 国 際 的 視 野 を 広 げたということを 述 べている 7. 今 後 の 課 題 48
授 業 実 践 開 発 研 究 第 9 巻 (2016) 今 回 の 授 業 実 践 を 通 して 以 上 の 研 究 成 果 があったが 改 善 点 がまだ 多 く 残 っている まとめると 今 後 の 課 題 は 以 下 の 5 点 である 1 点 目 は 教 材 としての 日 本 の 話 題 についてのさ らなる 検 討 である 今 回 日 本 の 話 題 に 関 する 日 本 の キャラクター 弁 当 の 不 思 議 日 本 の 外 来 語 の 不 思 議 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 の 3 テーマを 扱 ったが テーマについての 内 容 をより 深 め これらの 話 題 につい ての 反 論 も 場 合 に 応 じて 扱 うべきである 今 回 の 授 業 で は 日 本 の 専 業 主 婦 の 不 思 議 の と こ ろ で 専 業 主 婦 を 批 判 する 観 点 や 問 題 点 を 生 徒 に 考 えさせることはあった が キャラ 弁 について 批 判 している 新 聞 記 事 実 例 や 最 近 キャラ 弁 を 禁 止 している 幼 稚 園 が 増 えていることは 扱 わず キャラ 弁 の 面 白 さを 強 調 するばかりであった 今 後 はキャラ 弁 についての 批 判 も 取 り 上 げることで よ り 客 観 的 に 日 本 の 話 題 を 扱 うべきである 2 点 目 は 本 教 材 において 生 徒 の 発 音 聞 き 取 りの 指 導 をどう 考 えるかという 問 題 である 生 徒 は Pikaemon の 声 に 慣 れていなかった 今 回 の 授 業 では 非 英 語 文 化 圏 に 関 する 話 題 を 扱 ったため ストーリーの 導 入 部 分 で 中 国 人 の Lili と 日 本 人 の Pikaemon を 設 定 し Lili のアフレコは 筆 者 Pikaemon のアフレコは 同 級 生 の 日 本 人 大 学 院 生 が 担 当 した それぞれの 登 場 人 物 のキ ャラクター 設 定 に 基 づいてこのように 行 ったが 授 業 実 践 後 の 事 後 アンケート 調 査 によると Pikaemon の 台 詞 は 特 に 発 音 において 普 段 の 英 語 と 違 い わかりにくい という 意 見 があった 生 徒 はまだ 英 語 は 初 心 者 なので 標 準 的 な 英 語 発 音 を 聞 かせるべきであるが キャラクタ ー 設 定 と 離 れてしまうと 違 和 感 が 生 じる この 点 は 非 常 に 難 しく 今 後 こ の よ う な 非 英 語 文 化 圏 の 話 題 を 英 語 の 教 材 として 取 り 上 げる 際 に 避 けることができない 問 題 である この 問 題 については 今 後 はキャラクターと 国 籍 が 同 じであり 英 語 を 専 攻 する 人 にアフレコを 依 頼 す れば 改 善 できるかもしれないと 考 えている 3 点 目 は 新 出 単 語 習 得 への 動 機 付 けの 問 題 である 生 徒 は pre-listening の 新 出 単 語 を 学 ぶ 意 欲 があま り 高 くなかった 今 回 の 授 業 で 日 本 の 話 題 について 扱 う にあたり 生 徒 が 日 本 の 話 題 に 関 する 単 語 に 慣 れていな い 学 んだことがないということを 考 慮 し 毎 回 のタス クに pre-listening という 部 分 を 設 定 し 会 話 の 前 に 予 め 知 らせていた この 方 法 は 今 回 の 授 業 だけでなく 普 段 の 英 語 授 業 でも 行 う 例 えば テキストの 中 で warming up を 設 定 し 後 の main task に 出 て くる 新 出 単 語 を 学 ばせる しかし 事 後 アンケート 調 査 を 通 して 生 徒 は pre-listening への 関 心 と 意 欲 があ まり 高 くないことがわかった 第 1 時 間 目 の 後 の 調 査 では 13 人 第 2 時 間 目 の 後 の 調 査 では 16 人 が 良 い 印 象 に 残 った と 解 答 している それぞれ 全 体 の 42% と 52%となっている このような 状 況 を 踏 まえ 会 話 の 内 容 をもう 少 し 簡 単 にして pre-listening で 単 語 を 教 えなくても 大 体 の 意 味 を 聞 き 取 れるように 設 定 す べきだと 考 えている しかし pre-listening はタス ク 指 導 方 法 の 中 で 重 要 な 準 備 活 動 として 位 置 付 けてい るので 単 語 を 教 えるのではなく ほかの 発 言 活 動 やゲ ームを 導 入 したほうがよいとも 考 えられる 4 点 目 は 生 徒 が 作 成 したミニ 会 話 が 箇 条 書 きのよう で 意 味 が 浅 かった 問 題 である 授 業 の 最 後 のタスク5で 生 徒 が 学 んだ 感 嘆 の 表 現 を 使 い ミニ 会 話 の 編 集 活 動 を 取 り 入 れた 時 間 の 制 限 や 1 年 生 が 英 語 に 慣 れて いないことなどを 考 慮 し 今 回 の 授 業 では 感 嘆 の 表 現 を 活 用 するという 目 標 を 設 定 し 大 方 達 成 したが 会 話 文 は 箇 条 書 きのようで 意 味 が 浅 かった 例 えば ただの 感 嘆 を 入 れただけというものが 多 かった 今 後 の 授 業 活 動 で 英 語 の 文 法 知 識 の 活 用 をどのように 取 り 上 げるか さらに 検 討 改 善 していきたいと 考 えている 5 点 目 は 将 来 非 英 語 文 化 圏 に 関 する 教 材 が 中 国 の 英 語 教 育 で 実 施 できるかという 問 題 である 非 英 語 文 化 圏 に 関 する 教 材 は 現 在 中 国 でまだ 少 ないので このよ うな 授 業 開 発 は 盛 んではない また 詰 め 込 み 教 育 がし ばらく 続 いている 現 状 の 下 で このような 授 業 の 展 望 と 今 後 の 実 施 可 能 性 を 考 えなければならない 今 回 の 授 業 を 通 して 教 材 の 画 一 化 の 問 題 を 改 善 することができ 生 徒 の 英 語 リスニング 意 欲 の 向 上 や 世 界 へ 目 を 向 け 視 野 を 広 げることなどに 効 果 があるということがわかっ た しかし 中 国 の 現 在 の 在 学 児 童 生 徒 の 人 数 は 若 干 の 減 少 傾 向 はあるものの 全 体 的 にはまだ 人 数 が 多 い この 現 状 の 下 で 選 抜 の 方 法 は 学 力 試 験 しかなく 教 育 現 場 の 授 業 で 使 っている 教 材 は 詰 め 込 み 教 育 にこだわ っている さらに 英 語 についての 政 策 が 急 激 に 変 わっ てきているにもかかわらず 今 後 中 国 において 英 語 をど のように 位 置 付 けるのかはまだ 不 明 である 今 後 の 流 れ として 例 えば 全 国 で 高 校 大 学 の 入 学 試 験 の 英 語 科 目 において 学 力 試 験 の 比 重 が 減 少 することがあるかも しれない そうすると 英 語 の 教 材 は 試 験 のためではな く 子 どもの 関 心 意 欲 や 実 践 能 力 を 重 視 して 編 集 され るかもしれない 8. おわり 本 研 究 では 上 述 した 授 業 実 践 を 通 して 英 語 リスニ ング 授 業 の 面 白 さと 英 語 教 材 の 画 一 化 問 題 の 改 善 に 着 目 し 日 本 の 話 題 を 扱 う 英 語 リスニング 教 材 の 活 用 の 有 効 性 を 示 してきた 一 方 で 教 材 の 開 発 から 授 業 の 実 施 可 能 性 に 至 るまで 今 回 の 実 践 で 残 されている 課 題 がある 今 後 も 今 回 の 課 題 を 踏 まえて 中 国 の 英 語 教 育 の 政 策 や 教 育 形 勢 に 基 49
中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 づき 授 業 の 改 善 を 進 めて 行 きたいと 考 えている 1 本 論 文 は 筆 者 の 平 成 27 年 度 千 葉 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 修 士 論 文 中 国 の 杭 州 における 中 学 生 向 け 英 語 リスニングの 授 業 開 発 日 常 生 活 の 中 で 中 国 人 の 目 に 映 った 日 本 の 不 思 議 を 主 題 として の 内 容 を 抜 粋 し 再 構 成 したものである 2 中 国 の 人 民 教 育 出 版 社 から 出 版 された 2001 年 の 英 語 教 科 書 を 指 す 2001 年 以 降 毎 年 更 新 しているが 教 育 目 標 は 変 わ っていない この 2001 年 版 の 中 学 校 の 英 語 教 材 Go For It は 中 国 の 教 育 部 とアメリカの Cengage Learning ( セ ン ゲ ー ジラーニング)が 連 携 し 共 同 編 集 した 教 材 である 合 計 で 5 冊 各 冊 子 には 学 生 版 (Students Book) 教 師 版 (Teachers Edition) 練 習 冊 子 (Work Book) 評 価 冊 子 (Test and Games Package) 壁 に 掛 ける 図 (Wall Charts)と 録 音 テープ(Audio Cassette)が 付 いている 全 5 冊 のテキストはそれぞれ 中 学 校 一 年 生 用 が 2 冊 中 学 校 二 年 生 用 が 2 冊 中 学 校 三 年 生 用 が 1 冊 に 分 かれている 3 中 国 の 人 民 教 育 出 版 社 から 出 版 された 2001 年 の 英 語 教 科 書 を 指 す 1980 年 前 後 中 国 の 改 革 開 放 に 伴 い 英 語 が 徐 々 に 重 要 視 されるようになってきた 英 語 教 材 は 様 々な 会 社 から 出 版 されたが 中 国 は 国 土 が 大 きく 各 地 域 で 学 力 が 異 なると いう 事 情 がある さらに 1980 年 代 以 降 義 務 教 育 の 普 及 や 各 地 域 の 実 際 ニーズに 差 異 があるので 教 材 の 審 査 制 度 を 実 施 し 各 地 域 で 異 なる 出 版 社 の 教 材 を 使 用 し 地 域 に 相 応 しい 教 材 を 使 用 することを 提 唱 した 人 民 教 育 出 版 社 の 教 材 は 全 国 の 学 生 の 平 均 的 な 学 力 に 沿 っており 英 語 だけでなく 小 中 学 校 高 校 に 設 置 されている 科 目 の 教 材 を 扱 っている つまり 人 民 教 育 出 版 社 の 教 材 は 長 期 にわたり 中 国 全 土 で 内 容 が 統 一 されており 過 去 十 年 程 中 国 の 英 語 教 材 の 主 流 であり 代 表 であ る 4 日 本 の 文 部 科 学 省 に 相 当 する 5 遠 藤 誉 (えんどう ほまれ)1941 年 中 国 長 春 市 生 まれ 53 年 日 本 帰 国 筑 波 大 学 名 誉 教 授 帝 京 大 学 グル プ 顧 問 ( 国 際 交 流 担 当 ) 理 学 博 士 北 京 大 学 アジアアフリカ 研 究 所 特 約 研 究 員 その 他 中 国 国 務 院 西 部 開 発 弁 公 室 人 材 開 発 法 規 組 人 材 開 発 顧 問 内 閣 府 総 合 科 学 技 術 会 議 専 門 委 員 中 国 社 会 科 学 院 社 会 学 研 究 所 研 究 員 ( 教 授 ) 上 海 交 通 大 学 客 員 教 授 等 歴 任 6 捜 狐 教 育 : 中 国 語 で 搜 狐 は 中 国 常 用 のポータルサイト (portal web)である インターネットを 利 用 し 各 方 面 ( 政 治 経 済 教 育 軍 事 など)の 情 報 を 提 供 するウェブサイトで ある 捜 狐 教 育 とは 中 国 の 教 育 に 関 係 する 情 報 やサービス を 提 供 することである 7 詳 しくは 次 のページを 参 考 のこと http://learning.sohu.com/20091028/n267794338.shtml(2016 年 2 月 18 日 確 認 )( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 8 この 授 業 自 体 は 日 本 の 文 化 を 直 接 扱 ったものではないが 示 唆 的 な 事 例 なので 取 り 上 げる 9 Lili と Pikaemon は 両 方 自 作 したものである Lili は 筆 者 がデザインした Pikaemon は 千 葉 大 学 教 育 学 部 の 学 生 にデザ インを 依 頼 した Lili の 声 は 筆 者 Pikaemon の 声 は 千 葉 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 の 院 生 である 佐 藤 和 音 さんが 担 当 した 第 5 期 p.94( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 曹 利 亜 (2013) 英 语 听 力 课 程 教 学 模 式 与 实 践 基 于 语 言 功 能 文 化 三 位 体 教 学 模 式 ( 英 語 リスニングにおけ る 教 育 のモデルと 実 践 の 研 究 言 語 功 能 文 化 に 基 づ いて ) 河 北 放 送 大 学 学 報 第 6 期 18 巻 p.68( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 許 敬 常 俊 跃 景 婧 (2010) 我 国 英 语 听 力 课 程 的 演 变 与 发 展 趋 势 ( わ が 国 の 英 語 リ ス ニ ン グ 課 程 の 変 化 と 発 展 の 傾 向 ) 海 外 英 語 p.536( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 遠 藤 誉 (2008) 中 国 動 漫 新 人 類 日 経 BP 社 謝 辞 まずは 指 導 教 官 の 藤 川 先 生 に 心 から 感 謝 を 申 し 上 げます 研 究 のご 指 導 をして 下 さり 様 々な 体 験 をさせていただき 大 変 お 世 話 になりました そして 本 研 究 に 際 しまして 貴 重 なご 教 示 をいただきました 物 井 尚 子 准 教 授 に 深 謝 を 申 し 上 げます なお 本 研 究 は 授 業 実 践 の 場 として 中 国 の 杭 州 における 海 寧 市 石 中 学 校 の 先 生 方 ご 多 忙 の 中 研 究 の 実 践 を 引 き 受 けて 下 さりありがとうございました ここで 改 めて 皆 様 に 感 謝 の 気 持 ちを 申 し 上 げます 引 用 文 献 湯 麗 偉 (2005) 初 中 英 语 教 材 比 较 研 究 ( 中 学 校 の 英 語 教 材 についての 比 較 研 究 ) 内 モンゴル 師 範 大 学 修 士 論 文 ( 課 程 と 教 育 学 論 ) pp.31-35( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 に よる) 李 穎 (2008) 初 中 英 语 教 材 新 目 标 使 用 中 存 在 的 问 题 及 对 策 研 究 ( 中 学 校 の 英 語 教 材 新 たな 目 標 の 中 に 存 在 している 問 題 および 対 策 ) 東 北 師 範 大 学 修 士 論 文 ( 教 科 教 育 ) pp.11-12( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 顧 争 娟 (2009) 初 中 英 语 听 力 教 学 低 效 的 成 因 与 对 策 ( 中 学 校 英 語 リスニング 教 育 の 低 い 効 果 の 原 因 および 対 策 ) 新 な 課 程 学 習 p.110( 原 文 は 中 国 語 翻 訳 は 筆 者 による) 艾 麗 娜 (2013) 中 学 生 英 语 听 力 现 状 分 析 与 思 考 ( 中 学 生 の 英 語 リスニング 現 状 についての 分 析 と 思 考 ) 学 術 研 究 50