推 進 5-1-4 はやぶさ2プロジェクトの 事 前 評 価 質 問 に 対 する 回 答 (その2) 平 成 23(2011) 年 11 月 22 日 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構
本 資 料 の 位 置 付 け 本 資 料 は 平 成 23 年 6 月 27 日 ( 月 )に 開 催 された 第 2 回 推 進 部 会 における はやぶさ 2プロジェクトの 説 明 に 対 する 構 成 員 からの 追 加 質 問 に 対 し 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA)の 回 答 をまとめたものである 1
評 価 項 目 1(プロジェクトの 目 的 目 標 開 発 方 針 )に 関 連 する 質 問 1-1 宇 宙 探 査 ロードマップの 中 のはやぶさの 位 置 付 け 3ページ 評 価 項 目 2(システム 選 定 及 び 基 本 設 計 要 求 )に 関 連 する 質 問 2-1 可 視 カメラ(AMICA)について 5ページ 2-2 サンプリング 地 点 のマルチスケールモニタについて 6ページ 2-3 サンプラについて 7ページ 2-4 採 取 したサンプルの 密 封 性 について 9ページ 2-5 採 取 したサンプルの 確 認 方 法 について 10ページ 2-6 衝 突 装 置 について 11ページ 2-7 近 赤 外 分 光 計 での 有 機 物 の 検 出 の 可 能 性 について 12ページ 2-8 近 赤 外 分 光 計 のトレードオフについて 13ページ 2-9 中 間 赤 外 カメラ(TIR)について 14ページ 2-10 蛍 光 X 線 分 光 計 (XRS) 非 搭 載 について 15ページ 評 価 項 目 3( 開 発 計 画 )に 関 連 する 質 問 3-1 開 発 スケジュールの 成 立 性 について 16ページ 3-2 OSIRIS-Rex の 探 査 天 体 について 18ページ 2
評 価 項 目 1(プロジェクトの 目 的 目 標 開 発 方 針 )に 関 連 する 質 問 質 問 番 号 1-1 宇 宙 探 査 ロードマップの 中 のはやぶさの 位 置 付 け 第 2 回 推 進 部 会 において はやぶさ2のミッションの 第 一 義 は Exploration であること がほぼ 了 解 されました ところが これまでの 宇 宙 探 査 の 定 義 では 人 類 活 動 領 域 の 拡 大 という 曖 昧 な 定 義 となっており 今 後 宇 宙 開 発 委 員 会 において 議 論 が 必 要 と 思 い ます そこで とりあえず 推 進 2-1-1の 15 ページの ISECG が 描 く 探 査 シナリオの 中 では はやぶさがどう 位 置 付 けられるか 示 してください 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-1 14,15,16 ページ 回 答 者 JAXA 第 2 回 推 進 部 会 においてご 説 明 させていただきました 通 り 我 が 国 の 宇 宙 探 査 の 長 期 的 な 方 向 性 については 国 際 的 な 議 論 も 踏 まえて 幅 広 く 議 論 し 検 討 していく 必 要 がありま す その 状 況 の 中 で JAXAとしては 人 類 の 活 動 領 域 の 拡 大 世 界 を 先 導 する 未 踏 峰 挑 戦 の2つのプログラムを 計 画 的 に 進 め キー 技 術 及 び 最 先 端 能 力 を 獲 得 することにより 人 類 の 活 動 範 囲 拡 大 と 活 動 様 式 の 拡 充 を 図 ってゆくことを 掲 げ 進 めてまいりました 宇 宙 探 査 の 方 向 性 につきましては 第 2 回 推 進 部 会 での 部 会 長 のご 発 言 にありました 通 り 国 として 指 針 はこれから 整 理 するものであると 理 解 しております 今 回 のご 指 摘 については 我 が 国 の 宇 宙 探 査 の 方 向 性 に 関 するものと 考 えますので 今 後 国 として 議 論 される 場 面 において JAXAとしても 国 際 的 な 議 論 も 踏 まえて 幅 広 く 議 論 に 参 加 していきたいと 考 えております また ISECGは 国 際 協 働 ベースの 有 人 宇 宙 探 査 計 画 を 技 術 的 に 検 討 調 整 するため 2007 年 に 設 立 された 国 際 宇 宙 探 査 協 働 グループ(ISECG)です ISECGにおいては 最 終 的 に 有 人 火 星 探 査 を 見 据 えつつ 有 人 探 査 活 動 の 当 面 のロードマップ シナリオなどの 検 討 を 進 めています 現 在 ISECGで 想 定 しているミッションシナリオの 概 要 は 次 の2つです 1 有 人 月 探 査 を 第 1ステップとして 有 人 小 惑 星 探 査 に 続 けるシナリオ 2 長 期 宇 宙 居 住 システム 開 発 と 有 人 小 惑 星 探 査 に 注 力 したシナリオ はやぶさミッションは 有 人 小 惑 星 探 査 を 含 む 今 後 の 探 査 活 動 において 探 査 技 術 のプリ カーサ ミッションとして 貢 献 できるものとなります 3
******** 補 足 : 推 進 2-1-1 15ページ ******** 4
評 価 項 目 2(システム 選 定 及 び 基 本 設 計 要 求 )に 関 連 する 質 問 質 問 番 号 2-1 可 視 カメラ(AMICA)について 可 視 カメラ(AMICA)について 理 学 観 測 用 の 迷 光 対 策 などが 十 分 か 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA はやぶさAMICAの 主 な 迷 光 源 は 視 野 近 くにあったサンプラホーンでしたが ホーン 表 面 の 反 射 率 を 可 能 な 限 り 低 くすることで イトカワ 観 測 時 の 迷 光 はCCDの 暗 時 揺 らぎよりもはる かに 低 いレベルに 抑 えられていました はやぶさ2ではAMICAの 搭 載 位 置 を 変 更 し サンプラホーンからは はやぶさと 比 べて 数 10cm 程 度 遠 い 配 置 となるため 迷 光 レベルはより 低 くなると 予 測 されます 今 後 は 迷 光 解 析 を 実 施 し 万 一 問 題 となる 場 合 にはバッフルの 長 さを 変 更 するなどの 対 策 を 検 討 することにしています 5
質 問 番 号 2-2 サンプリング 地 点 のマルチスケールモニタについて サンプリング 地 点 のマルチスケールモニタについて 場 所 や 産 状 などサンプル 分 析 に 必 須 な 情 報 を 取 得 できるか 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA はやぶさのサンプルが 隕 石 サンプルと 大 きく 違 うのは そのサンプルを 採 取 した 天 体 が 既 知 であることだけでなく その 採 取 場 所 は 天 体 のどのような 場 所 であるかを 把 握 できて いることである はやぶさ2でもサンプリング 地 点 の 選 定 の 前 に カメラや 分 光 計 の 情 報 を 取 得 し 天 体 表 面 の 状 態 や 物 質 の 分 布 を 把 握 した 上 でサンプリングを 行 う その 情 報 の 空 間 分 解 能 は 高 度 1km からの 詳 細 観 察 を 実 施 することで 可 視 カメラで 10cm 中 間 赤 外 カメラや 近 赤 外 線 分 光 計 では1m のオーダーである これは 大 きな 隕 石 サイズと 同 程 度 あるいは 一 桁 大 きい 程 度 であるが タッチダウンの 空 間 精 度 を 考 慮 すると サンプリング 地 点 の 選 定 には 充 分 な 空 間 分 解 能 である サンプリング 地 点 周 辺 に 関 しては リハーサル 降 下 やサンプリング のタッチダウン 前 後 にも 広 視 野 可 視 カメラによる 観 測 を 行 うことで cm スケールの 地 形 情 報 を 得 ることは 確 実 に 可 能 であり また 採 取 試 料 サイズに 匹 敵 する 1mm スケールの 地 形 情 報 を 得 られる 可 能 性 もある またローバ ランダの 表 面 観 測 でも サンプリング 地 点 では ないが 更 に 細 かいスケールでの 表 面 構 造 や 物 質 情 報 が 得 られる 可 能 性 があり これらの 情 報 を 合 わせることで 探 査 小 惑 星 の 様 々な 空 間 スケールでの 産 状 記 載 をすることができ ると 考 えている 6
質 問 番 号 2-3 サンプラについて サンプラについて はやぶさで 未 実 施 項 目 ( 弾 丸 発 射 等 )のリスク 対 応 はどうか コン タミ 対 策 は 十 分 か (はやぶさサンプル) 非 破 壊 回 収 はどうか 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA はやぶさでの 未 実 施 項 目 は 弾 丸 発 射 コマンドの 発 行 と 弾 丸 発 射 のための 火 工 品 発 火 です コマンドの 未 発 行 については コマンド 発 行 が 確 実 にできるように 弾 丸 の 射 出 コマンドを 発 行 するまでのソフトウェア 検 証 を 十 分 に 行 い 運 用 の 柔 軟 性 を 考 慮 して 変 更 が 必 要 なパラメータを 抽 出 し 想 定 し 得 る 事 象 全 てに 対 してソフトウエア 検 証 を 事 前 に 地 上 で 実 施 することでリスクを 低 減 します この 検 証 は 想 定 される 不 具 合 として FTA FMECA によって 網 羅 することで はやぶさで 起 きたようなコンティンジェンシーも 併 せて 考 慮 します 不 確 定 なリスクとして 小 惑 星 の 質 量 特 性 や 光 学 特 性 によって 上 記 のパラメ ータに 影 響 が 出 ることが 想 定 されますが はやぶさ 2 は 小 惑 星 到 着 後 のミッション 期 間 が 長 いため パラメータ 設 定 のための 検 証 時 間 は 十 分 にあり 大 きなリスクにはならないと 考 えます 火 工 品 発 火 に 関 して 弾 丸 発 射 に 用 いているカートリッジおよび 方 式 は 衛 星 で 広 く 使 われているワイヤーカッタと 同 類 のものであり 上 記 のコマンドが 確 実 に 実 行 できれば 大 きなリスクにはならないと 考 えます なお はやぶさでは 同 じカートリッジを 用 いた カプセル 分 離 機 構 において 7 年 後 に 問 題 なく 動 作 していることを 確 認 できています 今 回 も 弾 丸 発 射 用 のカートリッジは はやぶさ 2 で 用 いるワイヤーカッタと 同 様 に 工 程 と 品 質 を 管 理 したカートリッジを 調 達 する 予 定 です コンタミ 対 策 については コンタミ 管 理 要 求 書 を CDR までに 設 定 し フライト 品 製 造 過 程 から 徹 底 して 管 理 モニタしていきます 実 機 に 対 しては はやぶさからモニタ 用 ウィ ットネスプレート( )をコンテナ 内 に 1 枚 追 加 しています 他 の 搭 載 機 器 と 異 なった 特 殊 なコンタミ 管 理 要 求 としては まず サンプラホーン 先 端 に 専 用 カバー(ロケット 搭 載 直 前 に 取 り 外 す)を 取 り 付 けます さらに サンプラ 収 納 部 搬 送 機 ホーン 部 を 常 に 窒 素 フローし 圧 力 の 高 い 状 態 にしておき コンタミの 侵 入 を 防 ぎ ます また サンプルが 触 れる 部 分 については 布 ホーン 部 以 外 はアルミ 合 金 とし 回 収 試 料 に 含 まれることが 予 想 される 鉄 ニッケル 合 金 や 有 機 物 に 対 する 汚 染 源 となりうる SUS チ タン ニッケル その 他 接 着 剤 の 使 用 は 不 可 とし FM 組 み 立 て 前 には 部 品 レベルでエタノ ールで 超 音 波 洗 浄 し コンタミが 付 着 していないことを 確 認 してから 搭 載 する 計 画 です なお 万 が 一 弾 丸 が 発 射 できない 場 合 でもバックアップの 非 破 壊 的 な 回 収 の 方 法 として ホーン 先 端 に 折 り 返 した 形 状 の 部 品 を 取 り 付 け そこにサンプルを 引 っ 掛 けて 採 取 するこ とも 考 えています また 弾 丸 射 出 方 式 においても 300m/s で 弾 丸 が 衝 突 したことによる 影 響 は 極 一 部 に 限 られることは 解 析 と 実 験 によって 確 かめており このため 弾 丸 によっ て 噴 出 したサンプルの 大 部 分 は 破 壊 や 熱 変 性 していない 物 と 考 えています 7
( ) ウィットネスプレート: 環 境 を 計 測 するために 洗 浄 されたガラスプレート 地 球 帰 還 後 にガラス 表 面 に 付 着 した 層 を 分 析 することで サンプルがどのような 環 境 に 晒 されていたかモニタすることができ る はやぶさでもサンプルを 収 納 するキャッチャ 内 に 設 置 されていました 8
質 問 番 号 2-4 採 取 したサンプルの 密 封 性 について 現 地 で 採 取 したサンプルの 密 封 が 完 璧 でない 限 り 有 機 物 探 査 には 問 題 が 起 こりうると 考 えられる サンプルの 密 封 性 についてどのように 対 応 しているのか 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 1-1-3 39 ページ 回 答 者 JAXA はやぶさのコンテナについては メカニカルにラッチがかかっており O(オー)リング に 対 しても 所 定 の 押 しつけ 力 がかかっていました この 密 封 は はやぶさが 取 得 したサン プルの 分 析 にとって 問 題 の 無 いものでした ところが はやぶさ2では はやぶさでは 想 定 されていなかったコンテナ 内 の 希 ガスを 採 取 します これは 探 査 する 小 惑 星 が C 型 であるため 希 ガスなどガス 成 分 や 低 融 点 物 質 についても 分 析 対 象 としたためです はや ぶさの O リングではフッ 素 ゴムを 使 用 していましたが フッ 素 ゴムは 可 塑 剤 を 使 用 してい るため そのアウトガスにより 希 ガスや 有 機 物 を 分 析 するミッションでは 不 向 きです よって アウトガスのでないメタルシールを 採 用 することにし 現 在 詳 細 設 計 中 です メタルシールを 使 用 するためにはその 特 性 上 押 しつけ 力 を 強 くする 必 要 がありますが 実 験 により 押 しつけ 力 を2 倍 にすることで 対 応 できることを 確 認 しております 押 しつけ 力 が2 倍 程 度 であれば 装 置 を 大 幅 に 変 更 する 必 要 はなく コストやスケジュールに 大 き な 影 響 はありません なお シール 性 能 の 実 験 は 次 のように 行 います まず メタルシールで 密 閉 された 模 擬 コンテナを 実 スケールで 製 作 し その 周 りをヘリウムで 充 填 します 次 に ターボ 分 子 ポ ンプでコンテナ 内 を 真 空 に 引 き その 真 空 ラインを 通 過 していく 気 体 をヘリウムディテク タによって 計 測 し シール 性 能 を 評 価 します コンテナのシール 機 構 部 は 設 計 上 シール 機 構 を 駆 動 した 際 に 並 進 方 向 の 誤 差 姿 勢 の 誤 差 が 生 じます 設 計 上 発 生 しうる 誤 差 の 最 悪 値 を 用 いてシール 実 験 をし 搭 載 するメタ ルシールが 所 定 の 性 能 を 出 せることを 確 認 し 確 実 にシールできることを 実 証 します さ らに シールした 状 態 で 地 球 再 突 入 時 や パラシュート 分 離 時 に 負 荷 される 衝 撃 振 動 を 加 えシール 性 能 が 維 持 されることをCDR 前 までに 確 認 する 計 画 です ラッチ 部 に 関 しては はやぶさと 同 設 計 のためメタルシールに 変 更 したことによる 影 響 はありません 9
質 問 番 号 2-5 採 取 したサンプルの 確 認 方 法 について 現 地 でサンプルが 実 際 に 採 取 できたかどうかを 確 認 できるようにすることも 重 要 と 考 え られる それに 対 してどのように 対 応 しているのか 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 1-1-3 39 ページ 回 答 者 JAXA サンプリング 直 前 / 直 後 に 航 法 誘 導 用 カメラ(ONC-W1)で 小 惑 星 表 面 を 撮 影 し 弾 丸 が 発 射 された 跡 を 確 認 する 計 画 です 弾 丸 が 小 惑 星 表 面 に 当 たったことを 確 認 できれば 実 施 している 地 上 試 験 およびシミュレーションによって ほぼ 確 実 にキャッチャ 内 に 試 料 が 入 ったと 判 断 できます 10
質 問 番 号 2-6 衝 突 装 置 について 衝 突 装 置 について 科 学 目 標 は 適 切 か ( 衝 突 過 程 の 観 測 必 須 ) 更 なる 安 全 評 価 が 必 要 ではないか ( 放 出 される 帯 電 したダストの 挙 動 など) 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA 衝 突 装 置 を 用 いた 科 学 目 標 は 衝 突 体 の 衝 突 により 起 こる 現 象 から 小 惑 星 の 内 部 構 造 地 下 物 質 に 関 する 新 たな 知 見 を 得 る と 衝 突 破 壊 再 集 積 過 程 に 関 する 新 たな 知 見 を 得 る ことを 通 して 小 惑 星 形 成 過 程 について 調 べることです これらを 達 成 するために 以 下 を 行 います 1. 衝 突 装 置 で 形 成 されたクレータの 底 を 観 察 し 内 部 の 岩 盤 層 などが 露 呈 するかど うかを 見 る ことで 表 面 を 覆 っている 岩 塊 やレゴリスの 厚 さ を 調 べる 2. 衝 突 装 置 で 形 成 されたクレータのサイズや 形 状 を 調 べる ことで 表 面 物 質 の 強 度 を 調 べる 3. 衝 突 装 置 で 形 成 されたクレータの 内 外 (あるいはイジェクタブランケットの 内 外 ) で 含 水 鉱 物 の 有 無 など 鉱 物 組 成 の 違 いを 見 る ことで 表 層 地 下 に 何 があるか を 調 べる 4. 衝 突 装 置 で 形 成 されたクレータの 内 外 (あるいはイジェクタブランケットの 内 外 ) で 熱 慣 性 や 宇 宙 風 化 度 の 違 いを 見 る ことで 表 面 状 態 の 違 い を 見 つける 5. 可 能 ならば 衝 突 により 形 成 された 新 鮮 な 表 面 からのサンプリングを 行 う こと で 宇 宙 風 化 などの 影 響 を 受 けていない 物 質 に 関 する 知 見 を 得 る また 衝 突 装 置 で 形 成 されたイジェクタの 飛 散 状 況 を 調 べる には 衝 突 過 程 の 観 測 は 必 須 とは 考 えておらず 再 集 積 したイジェクタ 物 質 のサイズや 再 集 積 位 置 を 調 べる こ とや 衝 突 装 置 で 形 成 されたクレータ 周 辺 のイジェクタリムの 形 状 を 調 べる ことで 実 施 することを 考 えています 衝 突 地 点 を 近 傍 から 高 速 度 撮 影 することなどで 衝 突 過 程 に 関 する 知 見 を 得 ることは 衝 突 科 学 の 分 野 にとっては 非 常 に 大 きな 意 義 があると 考 えられますが 惑 星 の 内 部 構 造 地 下 物 質 小 惑 星 形 成 過 程 に 関 する 知 見 を 得 るという はやぶさ2の 中 心 目 標 からは 優 先 度 が 低 いと 判 断 されております また 高 速 度 撮 影 などを 可 能 にするためには 相 当 のリソ ースが 必 要 なこと なによりも 母 船 の 安 全 性 を 最 優 先 に 考 えなければならないことから 衝 突 の 直 接 観 測 は 除 外 しました ただし 分 離 カメラでの 簡 易 撮 影 はオプションで 検 討 し ております ダストの 安 全 評 価 については 十 分 に 時 間 を 置 いてから 近 づくことで 衝 突 を 受 けて 影 響 がある 大 きさのダストについては 避 けることができると 考 えています 科 学 観 測 装 置 につ いては フルサクセスに 必 要 なマッピング 観 測 等 は 衝 突 装 置 の 衝 突 前 に 完 了 させることで ダストが 付 着 して 性 能 が 劣 化 したとしても 影 響 はないと 考 えています 11
質 問 番 号 2-7 近 赤 外 分 光 計 での 有 機 物 の 検 出 の 可 能 性 について 近 赤 外 分 光 計 で 有 機 物 の 検 出 の 可 能 性 について 考 え 方 を 整 理 して 示 すこと 資 料 の 該 当 箇 所 回 答 者 JAXA 有 機 物 のCH 結 合 に 由 来 する 吸 収 を 検 出 するためには 波 長 範 囲 の 赤 外 側 への 拡 大 (3.6 μm 程 度 まで) 波 長 分 解 能 の 向 上 (10nm 程 度 ) 観 測 精 度 の 向 上 (3.4μmでS/N100 以 上 ) が 求 められます それらを 実 現 するためには 光 学 系 及 び 検 出 器 をさらに 極 低 温 近 くまで 冷 却 する 必 要 があり 熱 設 計 重 量 電 力 の 点 で 厳 しく 現 時 点 での 国 内 の 技 術 また 限 ら れた 期 間 で 開 発 することは 難 しい 状 況 です 一 方 で 有 機 物 の 分 布 は 水 含 水 鉱 物 と 相 関 することが 隕 石 学 的 研 究 から 知 られているので 敢 えて 有 機 物 を 目 標 に 含 めるよりも 水 含 水 鉱 物 の 分 布 を 確 実 に 調 べることに 注 力 すべきと 判 断 して 現 在 の 仕 様 に 決 めております また 検 出 器 についても 現 在 はやぶさ2で 採 用 したInAsではカットオフ 波 長 の 関 係 で 低 温 では3.4μm 以 上 に 感 度 がなく HgCdTeの 検 出 器 を 採 用 することになりますが 下 記 のトレ ードオフの 結 果 InAsを 選 択 しております HgCdTe InAs 検 出 器 のトレードオフ 表 メリット デメリット 感 度 波 長 域 が 広 く 高 い 検 出 能 力 を 持 つ 極 低 温 の 冷 却 が 必 要 海 外 ミッションで 搭 載 実 績 あり 国 内 メーカがなく 海 外 からの 調 達 が 必 要 低 温 冷 却 で 高 い 検 出 能 力 を 持 つ 宇 宙 実 績 がなく 耐 放 射 線 性 能 の 確 国 内 メーカがあり 開 発 製 造 の 時 間 を 認 が 必 要 短 縮 できる 近 赤 外 分 光 計 のトレードオフについては 質 問 番 号 2-8 に 対 する 回 答 でも 示 してい るので 参 照 されたい 12
質 問 番 号 2-8 近 赤 外 分 光 計 のトレードオフについて 近 赤 外 分 光 計 を 水 含 水 鉱 物 の 検 出 に 特 化 した 仕 様 にしたトレードオフを 示 すこと 資 料 の 該 当 箇 所 回 答 者 JAXA 以 下 のようなトレードオフを 行 い 総 合 的 に 水 含 水 鉱 物 に 特 化 した 仕 様 に 決 定 してお ります 近 赤 外 分 光 計 のトレードオフ 表 有 機 物 の 検 出 も 目 指 す 水 含 水 鉱 物 の 検 出 に 特 化 する 回 収 サンプルを 用 い た 有 機 物 の 分 析 の 可 能 性 分 光 計 の 観 測 波 長 域 要 求 分 光 計 波 長 分 解 能 要 求 分 光 計 のS/N 要 求 検 出 器 の 入 手 性 検 出 器 の 宇 宙 仕 様 検 出 器 の 要 求 温 度 光 学 系 の 要 求 温 度 分 光 計 の 開 発 サンプリング 地 点 の 選 定 や 産 状 記 載 に 有 機 物 の 有 無 の 情 報 が 得 られる 確 実 に 有 機 物 の 分 析 を 行 うことが 可 能 である ( ) 有 機 物 のCHの 吸 収 は3.4μm 付 近 に 存 在 し 3.6μmまで 長 波 長 側 の 観 測 が 必 要 ( ) 3.4μmの 吸 収 バンドは 狭 く 高 い 波 長 分 解 能 が 必 要 ( 例 えば10nm 以 下 )( ) 3.4μmの 吸 収 バンドは 浅 く 高 いS/Nが 必 要 ( 例 えば100 以 上 )( ) 3.4μmに 感 度 をもつ 実 績 のある 検 出 器 は HgCdTeを 用 いた 検 出 器 であるが 国 内 で の 製 造 がなく 海 外 からの 輸 入 品 となり 納 期 などに 時 間 がかかる ( ) HgCdTeは 宇 宙 実 績 のあるものが 存 在 する ( ) 検 出 器 の 暗 出 力 を 下 げるために 低 温 で 駆 動 が 必 要 ( 例 えば-100 以 下 )( ) 3.6μmまで 観 測 するために 光 学 系 からの 熱 輻 射 を 十 分 低 減 させる 必 要 がある( 例 えば-80 以 下 )( ) 検 出 器 や 光 学 系 の 温 度 要 求 が 満 たす 熱 設 計 が 困 難 たため 分 光 計 がスケジュール 内 に 開 発 ができない( ) 有 機 物 の 直 接 の 検 出 はできないが 水 含 水 鉱 物 の 存 在 と 有 機 物 の 存 在 は 密 接 に 関 係 があるという 知 見 をもとに 水 含 水 鉱 物 の 検 出 された 地 点 のサンプリングを 行 うこ とで 有 機 物 の 分 析 を 行 うことが 可 能 であ る ( ) 水 やOHの 吸 収 は2.7~3.0 付 近 に 存 在 し 3.2 μmまでの 観 測 波 長 域 があればよい ( ) 3μmの 吸 収 バンドは 広 く 低 い 波 長 分 解 能 でも 十 分 ( 例 えば50nm 程 度 )( ) 3μmの 吸 収 バンドは 深 く 低 いS/Nでも 十 分 ( 例 えば10 程 度 )( ) 3.2μmまでの 感 度 を 有 する 検 出 器 は 国 内 で 試 作 実 績 のあるInAsを 用 いた 検 出 器 があ り 分 光 計 の 開 発 スケジュールにも 合 致 し ている ( ) InAsは 宇 宙 実 績 のあるものがないため 耐 放 射 線 試 験 等 が 必 要 である( ) 検 出 器 の 暗 出 力 を 下 げるために 低 温 で 駆 動 が 必 要 であるが HgCdTe 程 ではない ( 例 えば-80 程 度 )( ) 3.2μmまで 観 測 するために 光 学 系 からの 熱 輻 射 を 低 減 させる 必 要 があるが 3.6μmま で 観 測 することに 比 べれば 楽 ( 例 えば -60 )( ) これまでの 解 析 の 結 果 検 出 器 や 光 学 系 の 温 度 要 求 を 満 たす 熱 設 計 ができており 分 光 計 の 開 発 が 可 能 ( ) 13
質 問 番 号 2-9 中 間 赤 外 カメラ(TIR)について 中 間 赤 外 カメラ(TIR)について あかつき 用 を 改 変 したものであるが 科 学 目 標 は 何 か 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA 中 間 赤 外 カメラの 科 学 目 標 は 表 面 熱 放 射 の 撮 像 観 測 によって 小 惑 星 表 面 温 度 計 測 お よび 小 惑 星 表 面 熱 慣 性 計 測 を 行 い 小 惑 星 表 面 の 物 理 的 な 状 態 の 空 間 的 な 違 いを 理 解 する ことです さらに 小 惑 星 の 可 視 撮 像 による 地 形 や 表 面 粒 径 との 比 較 分 光 観 測 による 表 層 の 構 成 鉱 物 種 小 惑 星 の 重 力 ( 平 均 密 度 )の 情 報 を 総 合 して 低 重 力 下 で 形 成 された 小 惑 星 構 成 物 質 の 物 理 状 態 や 内 部 構 造 を 推 定 します これは 初 めて 詳 細 に 観 測 する 小 型 の C 型 小 惑 星 を 理 解 することにとどまらず 太 陽 系 初 期 における 微 惑 星 形 成 や 進 化 過 程 の 解 明 につながると 考 えています また 小 惑 星 の 軌 道 や 自 転 速 度 は 絶 えず 変 化 ( 進 化 )しておりますが その 軌 道 自 転 の 進 化 の 主 原 因 が 表 面 熱 放 射 の 異 方 性 によって 生 じる 軌 道 運 動 量 の 変 化 (ヤーコフスキー 効 果 )や 自 転 角 運 動 量 の 変 化 (YORP 効 果 )と 考 えられております 表 面 熱 放 射 の 撮 像 観 測 に 加 えて 可 視 撮 像 による 自 転 速 度 変 化 接 近 運 用 による 小 惑 星 軌 道 の 詳 細 化 や 長 期 間 にわ たる 地 上 からの 小 惑 星 位 置 自 転 観 測 によってこれらの 効 果 を 理 解 します 14
質 問 番 号 2-10 蛍 光 X 線 分 光 計 (XRS) 非 搭 載 について 蛍 光 X 線 分 光 計 (XRS) 非 搭 載 について 表 面 元 素 分 析 をどうするのか 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-3 11 ページ 回 答 者 JAXA 小 惑 星 の 表 面 元 素 分 析 は 小 惑 星 を 理 解 するための 最 も 基 本 的 な 情 報 であり はやぶさ2 では 帰 還 サンプルの 分 析 によって 高 精 度 な 元 素 分 析 を 行 う 予 定 です さらに 複 数 地 点 から サンプル 回 収 することにより 小 惑 星 表 層 の 元 素 組 成 の 地 域 多 様 性 についての 実 測 が 可 能 です なお サンプル 回 収 地 点 の 選 定 には 可 視 分 光 撮 像 中 間 赤 外 撮 像 による 地 形 地 質 や 表 層 物 性 情 報 に 加 えて 近 赤 外 分 光 による 水 含 水 鉱 物 等 の 特 徴 を 用 いて 物 質 科 学 的 に 重 要 かつ 天 体 を 代 表 する 地 域 を 探 査 します したがって サンプリングする 箇 所 は 限 ら れてしまいますが ある 程 度 はグローバルな 元 素 分 布 が 推 定 できると 考 えております もちろん 蛍 光 X 線 分 光 計 (XRS)を 搭 載 すれば 表 面 のグローバルな 元 素 分 布 のデータが 得 られますが はやぶさ2では 蛍 光 X 線 分 光 計 (XRS)を 搭 載 しないこととしました その 理 由 は 小 惑 星 近 傍 に 滞 在 する2018~2019 年 が 太 陽 活 動 の 極 小 期 と 重 なるためXRSの 観 測 の 励 起 源 となる 太 陽 X 線 強 度 が 弱 く XRSを 搭 載 しても 効 果 的 な 観 測 ができないと 判 断 したため です その 他 の 観 測 手 法 にはガンマ 線 分 光 やイオン 質 量 分 析 などがありますが これらの 装 置 については 搭 載 のための 技 術 的 観 点 での 検 討 や 他 の 観 測 装 置 とのトレードオフを 行 った 結 果 搭 載 しないこととしました したがって 小 惑 星 近 傍 観 測 では 表 面 元 素 分 布 の データは 得 られませんが 上 述 のようにサンプル 分 析 と 他 の 観 測 装 置 による 観 測 を 組 み 合 わせることで 小 惑 星 表 面 の 元 素 について 解 析 を 行 うことができます 15
評 価 項 目 3( 開 発 計 画 )に 関 連 する 質 問 質 問 番 号 3-1 開 発 スケジュールの 成 立 性 について 開 発 スケジュールの 成 立 性 に 関 連 し 近 赤 外 分 光 計 開 発 スケジュール( 特 にEM 製 造 試 験 )が 適 切 であることを 示 すこと 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 2-1-6 24 ページ 回 答 者 JAXA 2014 年 7 月 打 上 げに 向 けて サブコンポーネントとしては 1 次 噛 み 合 わせと FM 総 合 試 験 がマイルストーンになります 近 赤 外 線 分 光 計 は 新 規 開 発 機 器 であり EM と FM を 製 造 することとしています EM では 主 に 熱 設 計 および 構 造 設 計 の 妥 当 性 と 電 気 的 な 性 能 の 確 認 を 行 い その 結 果 を FM 設 計 にフィードバックさせます 現 在 の 開 発 スケジュールでは FM 品 を 一 次 噛 み 合 わせ 試 験 に 間 に 合 わすのは 困 難 なため 電 気 的 な 性 能 は FM と 同 等 で 部 品 選 定 レベルのみ 異 なる EM 品 で 確 認 を 行 うこととしています FM 総 合 試 験 に FM 品 を 間 に 合 わせるためには 2012 年 3 月 には FM の 設 計 を 開 始 し 同 7 月 には 製 造 を 開 始 する 必 要 が あると 考 えています 一 方 EM 品 の 設 計 は 完 了 しており 既 に 光 学 系 および 検 出 器 の 製 造 を 完 了 し 現 在 熱 設 計 と 構 造 設 計 の 妥 当 性 の 確 認 のための 熱 平 衡 試 験 および 機 械 環 境 試 験 を 実 施 中 であり これらによりシステムとの I/F を 確 認 します その 後 FM 設 計 開 始 まで 約 3 カ 月 を EM の 調 整 検 査 および 不 具 合 改 修 の 期 間 としています 現 在 FM の 設 計 期 間 を 4 カ 月 とっており このうち 1 カ 月 を EM の 調 整 検 査 や 試 験 で 問 題 が 生 じた 場 合 の 対 応 期 間 に あてることも 可 能 と 考 えており 厳 しいスケジュールではありますが 開 発 スケジュール は 妥 当 であると 考 えています 16
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質 問 番 号 3-2 OSIRIS-Rex の 探 査 天 体 について OSIRIS-Rex の 探 査 天 体 1999 RQ36 は 98~100 ページの 図 のどこに 該 当 し 何 故 はやぶ さ2では 探 査 対 象 とならないのか 示 すこと 資 料 の 該 当 箇 所 推 進 1-1-3 98~100 ページ 回 答 者 JAXA はやぶさ2のターゲットを 検 討 しているときには この1999 RQ36のスペクトルタイプの 情 報 がなかったため この 小 惑 星 は98~100ページの 図 のデータに 含 まれていませんでした 現 在 では C 型 であるという 論 文 と B 型 であるという 論 文 が 出 ています 次 ページにこの 小 惑 星 をプロットした 図 を 示 します この 小 惑 星 に 行 くには 加 速 量 (ΔV)が 1999 JU3 に 比 べると 少 し 大 きいことになりますが イオンエンジンによる 軌 道 設 計 をチューニング すれば 軌 道 としては はやぶさ2の 探 査 対 象 となる 可 能 性 はあります しかし 1999 RQ36 の 自 転 周 期 は4.2 時 間 と 推 定 されており かなり 速 い 速 度 で 自 転 をしています 1999 RQ36 は 自 転 周 期 6 時 間 以 上 を 目 安 としている はやぶさ2のターゲットとしては 不 適 当 で す 18
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