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血 液 疾 患 に 合 併 する 感 染 症 は, 他 の 基 礎 疾 患 におけると 同 様 に 各 種 の 感 染 症 を 併 発 する 特 に 強 力 な 化 学 療 法 によって 白 血 球 減 少 を 来 した 時 期 の 発 熱 は 必 発 であり,その 原 因 が 感 染 症 か, 基 礎 疾 患 か,あるいは 他 の 原 因 によるものかの 鑑 別 が 難 しい 白 血 球 数 の 回 復 と 共 に 解 熱 傾 向 を 示 すのが 常 である しかしこの 時 期 に 次 の 化 学 療 法 時 に 合 併 する 感 染 症 の 芽 が 形 成 されていることがあり, 十 分 な 注 意 が 必 要 である 通 常, 最 初 にみられる 感 染 は 細 菌 性 感 染 症 である 細 菌 性 感 染 症 は 各 種 の 抗 菌 剤 によって ある 程 度 制 御 可 能 であり, 軽 快 した 後 にみられるものに, 所 謂 日 和 見 感 染 症 がある これ は 抗 菌 剤 不 応 の 発 熱 としてみられる 日 和 見 感 染 症 には 各 種 の 肺 炎 を 含 む 気 道 感 染 症 の 他, 菌 血 症 がある なかでも 真 菌 血 症 は 消 化 管 の 潰 瘍 性 病 変 から 侵 入 する 他, 広 域 抗 生 剤 投 与 により 腸 管 の normal flora( 正 常 菌 叢 )に 変 化 を 来 し, 増 殖 した 微 生 物 が 腸 管 を 通 過 して 起 こす translocation による 菌 血 症 あるいは IVH カテ-テル 留 置 によるカテ-テル 関 連 菌 血 症 などがある 日 和 見 感 染 症 の 原 因 には,Aspergillus spp.,candida spp.や Cryptococcus neoformans などの 真 菌,cytomegalovirus(CMV)などが 主 なものである 現 在 真 菌 とされている Pneumocystis carinii によるニュ-モシスチス 症 は ST 合 剤 (sulfamethoxazole と trimethoprim の 合 剤 )の 予 防 投 与 によってかなりの 割 合 で 発 症 を 抑 制 できる 1. 真 菌 症 我 々の 病 院 における 剖 検 例 にみられた 真 菌 症 を 集 計 してみると,12 年 間 (1985~1996 年 ) の 剖 検 総 数 2,304 例 のうち 真 菌 症 を 認 めた 症 例 は 90 例 (3.9%)で 頻 度 の 高 いものではな かった しかし 血 液 疾 患 のみに 限 ってみると( 表 1)25.2%(139 例 中 35 例 )を 占 め,し かも 急 性 の 経 過 をとる 疾 患 に 多 くみられた アスペルギルス 症 およびカンジダ 症 が 多 く, クリプトコックス 症 は 比 較 的 少 ない その 他 の 真 菌 症 には, 接 合 菌 症,ノカルジア 症 や 菌 種 不 明 が 含 まれている Candida spp.は normal flora の 一 部 を 構 成 しているため, 喀 痰 便 などから 検 出 されたと してもその 病 原 的 意 義 は 少 ない.しかし 外 因 性 真 菌 である Aspergillus spp. や C.neoformans が 検 出 されたときには 治 療 を 開 始 すべきであろう 基 本 的 には 病 巣 から 直 接 採 取 した 検 体 から 真 菌 が 検 出 された 場 合, 直 ちに 治 療 を 開 始 する.しかし, 組 織 侵 入 型 の アスペルギルス 症 やカンジダ 症 は 予 後 不 良 になりやすい 血 液 培 養 で 検 出 される 真 菌 は, 小 栗 1)によると 12 年 間 (1989~2000 年 )では 培 養 陽 性 例 全 体 の 6.5~39%( 平 均 15.7%)であり,Candida spp.が 96%を 占 める Aspergillus spp. や C.neoformans が 検 出 されることは 極 めて 稀 である 深 在 性 真 菌 症 では 菌 を 検 出 することは 比 較 的 稀 であり, 補 助 診 断 法 を 活 用 してエビデンス を 得 ることが 必 要 である. 血 清 ( 漿 ) 学 的 補 助 診 断 法 にはに 示 すものがある 一 般 的 には 真 菌 症 の 診 断 には(1 3)-β-D-glucan 測 定 法 が 用 いられる しかし 接 合 菌 や C.neoformans は 細 胞 壁 にこれを 保 有 しないか 極 めて 微 量 しか 保 有 しないため,これらの 真 菌 による 感 染 症 では 診 断 に 役 立 たない またカンジダ 症,アスペルギルス 症 やニュ-モシ スチス 症 との 鑑 別 はできない そのため 臨 床 症 状 を 考 慮 して,polymerase chain reaction (PCR) 法 など 他 の 補 助 診 断 法 を 活 用 する.PCR 法 のうち geniq はコピ- 数 の 変 動 で 臨 床 経 -1 -

過 を 判 別 できるが, 治 療 開 始 後 比 較 的 早 期 に 陰 性 化 するなど 検 査 法 の 特 性 を 知 る 必 要 があ る 真 菌 がヒトと 同 じ 真 核 生 物 に 属 するため, 真 菌 のみに 作 用 し,ヒトに 影 響 のない 薬 剤 の 開 発 が 困 難 なこともあり, 深 在 性 真 菌 症 の 治 療 には 現 在 アンホテリシン B(AMPH),フルシト シン(5-FC)およびアゾ-ル 系 薬 剤 であるフルコナゾ-ル(FLCZ),イトラコナゾ-ル(ITCZ), ミコナゾ-ル(MCZ)の 5 剤 があるに 過 ぎない 開 発 中 あるいは 市 販 間 近 の 薬 剤 に micafungin (FK-463),voriconazole,liposomal AMPH(AmBisome),ITCZ の 静 注 剤 などがあるが,こ こでは 省 略 する 2.アスペルギルス 症 血 液 疾 患 では 組 織 侵 入 型 のアスペルギルス 肺 炎 として 認 められる その 原 因 には A. fumigatus,a. flavus,a. niger や A. terreus などがある これらの 真 菌 は 血 管 に 親 和 性 があり 梗 塞 を 起 こす 経 気 道 感 染 であり, 原 則 として 肺 に 病 変 を 認 める 病 理 学 的 には 肉 芽 腫 を 形 成 する 他, 血 管 に 親 和 性 を 有 し 菌 糸 が 血 管 内 で 発 育 するのに 伴 っ た 出 血 性 梗 塞 像 を 呈 する 発 熱, 咳 嗽, 呼 吸 困 難 などを 訴 える 他, 突 発 性 の 胸 痛, 血 痰, 頻 脈 がみられ, 梗 塞 部 に 一 致 した 胸 壁 の 知 覚 過 敏 を 伴 うことがある 化 学 療 法 による 白 血 球 減 少 期 間 が 長 引 けば,アスペルギルス 感 染 の 確 率 が 高 い 特 に 著 明 な 顆 粒 球 減 少 状 態 に, 抗 生 剤 を 変 更 しても 発 熱 が 改 善 せず, 胸 部 X 線 像 に 異 常 陰 影 を 認 め る 場 合, 本 症 を 疑 う 胸 部 X 線 撮 影 時 期 によるが, 結 節 状 浸 潤 影 ( 肺 炎 様 ) 楔 状 陰 影 空 洞 様 陰 影 などを 呈 す る 他,air-meniscus sign を 呈 する その 他, 稀 に 胸 水 貯 留 像 がみられる 微 細 な 病 変 は CT-scan ではじめて 認 められることがあるため 積 極 的 に 実 施 する 喀 痰 培 養 は 繰 り 返 し 行 う. 空 洞 を 形 成 している 場 合 には 真 菌 を 検 出 する 確 率 が 高 い しか し 結 節 状 陰 影 程 度 では 検 出 率 は 低 い そのため 肺 胞 洗 浄 や 肺 生 検 などを 行 って 診 断 に 努 力 する しかし 気 管 支 鏡 などの 検 査 を 行 えない 症 例 では 血 清 ( 漿 ) 学 的 補 助 診 断 法 に 頼 らざるを 得 ない この 場 合, 抗 体 検 索 法 は 意 味 がなく, 抗 原 検 索 を 行 う スクリ-ニングには(1 3) -β-d-glucan 測 定 を 行 う カンジダ 症 に 比 べて 検 出 率 は 低 く 70% 程 度 2)であるが, 臨 床 経 過 と 平 行 して 測 定 値 が 変 動 するため 治 療 効 果 の 判 定 に 役 立 つ しかしカンジダ 症 やニュ -モシスチス 症 との 鑑 別 はできない そのため PCR 法 (geniq アスペルギルス)の 他, Pastorex ィ Aspergillus,Platelia ィ Aspergillus 等 を 行 う 治 療 には AMPH あるいは ITCZ が 主 に 用 いられるが, 稀 に MCZ を 用 いることもある 3.カンジダ 症 Candida albicans, C. tropicalis, C. parapsilosis, C. krusei, C. glabrata, C. guilliermondii などが 主 な 原 因 真 菌 である 肺 カンジダ 症 は 嚥 下 性 肺 炎 としてみられるこ とが 多 く, 混 合 感 染 の 形 をとる また AIDS 患 者 では 口 腔 咽 頭 食 道 などの 粘 膜 病 変 が 多 くみられるが, 血 液 疾 患 では 多 いものではない -2 -

カンジダ 血 症 では 肝 腎 脾 など 全 ての 臓 器 に 散 布 性 病 変 を 作 る しかし 診 断 が 難 しく 治 療 に 難 渋 する 肺 病 変 がみられないか 両 側 性 に 僅 かな 陰 影 を 認 める 程 度 で 抗 生 剤 不 応 の 不 明 熱 が 続 くときには, 血 液 培 養 を 繰 り 返 し 行 う 菌 陰 性 の 場 合 には, 血 清 ( 漿 ) 学 的 補 助 診 断 法 を 駆 使 して 診 断 に 努 力 する まず(1-3)-β-D-glucan 測 定 を 行 う. 先 にも 述 べたように 他 の 真 菌 症 との 鑑 別 はできない そこで PCR 法 (geniq カンジ ダ)や Pastorex ィ Candida 等 を 併 せ 行 う カンジダ 血 症 ではカンジダ 眼 内 炎 の 有 無 を 検 索 する 網 膜 病 変 を 繰 り 返 し 検 索 することに よって 診 断 率 は 上 昇 する その 他, 心 エコ-や CT-scan を 行 って 心 肝 脾 腎 などの 病 変 を 検 索 することも 重 要 である( 図 3) 真 菌 性 眼 内 炎 は Candida spp.によるものが 最 も 多 い 多 くは,はじめに 物 が 歪 んでみえ る といった 症 状 を 訴 える 初 期 には 軽 度 の 結 膜 充 血 前 房 内 および 硝 子 体 への 炎 症 細 胞 の 遊 出 を 認 め, 次 いで 眼 底 後 極 部 に 黄 色 ~ 黄 白 色 の 浸 出 性 肉 芽 性 病 変 を 形 成 する この 時 期 には 結 膜 充 血 や 飛 蚊 症 がみられる 悪 化 すると 硝 子 体 内 に 綿 球 様 体 が 出 現 し, 硝 子 体 の 混 濁 がさらに 進 み, 眼 底 は 見 づらくなり, 網 膜 剥 離 を 合 併 することもある 早 期 に 治 療 を 開 始 しない 限 り, 視 力 の 回 復 は 望 めない 治 療 には FLCZ や AMPH が 多 く 用 いられるが,C. krusei,c. glabrata などの FLCZ 耐 性 菌 には FLCZ に 代 えて ITCZ を 用 いる MCZ が 有 効 なこともある.5-FC 単 独 で 用 いられること は 稀 で, 多 くは 他 の 抗 真 菌 剤 と 併 用 する 4.クリプトコックス 症 外 因 性 真 菌 である C. neoformans による 感 染 症 稀 に 皮 膚 病 変 から 侵 入 するが, 多 くは 経 気 道 感 染 であり, 肺 病 変 を 形 成 する 他, 髄 膜 に 親 和 性 を 有 するため, 髄 膜 炎 を 起 こす 髄 膜 炎 は AIDS 患 者 では 多 いが, 血 液 疾 患 では 稀 である 胸 部 X 線 像 は 胸 膜 に 近 い 末 梢 に,はじめ 結 節 状 あるいは 浸 潤 様 陰 影 を, 後 に 空 洞 様 陰 影 を 呈 する 初 期 には 喀 痰 中 に 菌 を 検 出 することは 比 較 的 少 ないが, 空 洞 を 認 める 時 期 には 菌 は 喀 出 されやすく 検 出 率 は 高 い 積 極 的 には 気 管 支 鏡 を 行 い 肺 胞 洗 浄 生 検 を 行 って 検 索 することも 必 要 である 髄 膜 炎 では 発 熱, 頭 痛 等 の 脳 圧 亢 進 症 状 を 認 めるが, 診 断 は 髄 液 の 墨 汁 染 色 や 培 養 を 行 っ て C. neoformans を 検 出 することによる 血 清 学 的 抗 原 検 索 法 に Pastorex ィ Cryptococcus と Serodirect Eiken Cryptococcus があ る 測 定 値 は 臨 床 経 過 と 平 行 して 変 動 する 後 者 は 前 者 に 比 べて 感 度 が 高 く, 高 い 値 を 示 す 利 点 があるが, 治 療 終 了 までの 期 間 が 長 引 く 傾 向 がある. 治 療 には FLCZ,AMPH,ITCZ や MCZ が 用 いられる 5.サイトメガロウイルス 感 染 症 CMV はヘルペスウイルス 属 に 分 類 される 多 くは 不 顕 性 感 染 の 形 をとるが, 稀 に 初 感 染 で 発 病 する 血 液 疾 患 では 潜 在 していた CMV が, 化 学 療 法 による 免 疫 不 全 状 態 下 に 賦 活 化 さ れて 発 症 する 場 合 が 多 い そのため 入 院 時 に CMV に 対 する 抗 体 検 索 を 行 うことが 大 切 であ -3 -

る 臨 床 的 には 主 に 間 質 性 肺 炎 あるいは 網 膜 炎 としてみられる 肺 炎 の 初 期 には 本 症 によるも のか, 基 礎 疾 患 によるものか,あるいは 他 の 感 染 症 によるものか 鑑 別 が 難 しい 適 切 に 対 応 しないと, 全 肺 野 に 拡 がるスリガラス 状 陰 影 を 呈 するようになり, 予 後 不 良 である CMV は 血 行 性 に 伝 播 して 網 膜 炎 を 起 こす 視 神 経 や 黄 斑 部 が 侵 されると 視 力 低 下 を 訴 える 初 期 には 眼 底 に 綿 花 状 白 斑 類 似 の 軟 らかい 網 膜 白 斑 や 顆 粒 状 小 白 斑 が 眼 底 後 極 の 網 膜 血 管 の 周 囲 に 散 在 する 徐 々に 癒 合 して 網 膜 血 管 に 沿 って 拡 大 し, 小 出 血 を 伴 って 黄 白 色 の 網 膜 壊 死 巣 を 形 成 する 病 巣 周 囲 の 網 膜 血 管 は 拡 張 蛇 行 し, 白 鞘 を 伴 い 強 い 血 管 炎 像 を 呈 する 血 清 ( 漿 ) 学 的 補 助 診 断 には, 抗 体 検 索 は 臨 床 的 意 義 は 少 なく, 抗 原 検 索 が 必 要 である 抗 原 検 索 には PCR 法, 間 接 酵 素 抗 体 法 (C10,C11)や 直 接 酵 素 抗 体 法 (C7-HRP)があり, C7-HRP が 比 較 的 鋭 敏 である 治 療 にはガンシクロビル(GCV)が 用 いられる. 肺 病 変 では GCV を 全 身 投 与 する. 網 膜 炎 で は 眼 注 を 併 用 する 診 断 のポイント 1. 症 候 造 血 器 腫 瘍 の 診 断 には 臨 床 像 腫 瘍 細 胞 の 形 態 表 面 マーカー 遺 伝 子 ( 染 色 体 を 含 む)の4つの 情 報 が 必 要 だが どの 情 報 がもっとも 重 要 かは 疾 患 により 異 なる どのような 症 候 で 来 院 するかは 疾 患 により 大 きく 異 なるが 造 血 器 腫 瘍 の 病 態 を 考 えると 理 解 しやすい すなわち 急 性 白 血 病 では 正 常 な 造 血 能 が 障 害 されるとか 腫 瘍 細 胞 が 腫 瘤 を 形 成 することにより 症 状 を 起 こす 正 常 造 血 能 が 抑 制 されると 貧 血 に 伴 う 症 状 や 白 血 球 減 少 による 感 染 症 血 小 板 減 少 による 出 血 傾 向 が 起 こる 出 血 傾 向 は DIC により 加 速 さ れる 腫 瘤 形 成 に 伴 う 症 状 としては 中 枢 神 経 系 の 症 状 や 肝 脾 腫 皮 膚 腫 瘤 歯 肉 腫 脹 な どさまざまである 白 血 病 の 種 類 により 浸 潤 しやすい 臓 器 が 異 なる 慢 性 白 血 病 は 健 康 診 断 で 白 血 球 数 の 異 常 高 値 からたまたま 発 見 されることが 多 く 症 状 として 出 現 することは 少 ない しかし 易 疲 労 感 や 微 熱 脾 腫 に 伴 う 腹 部 膨 満 感 リンパ 節 腫 脹 などがきっかけで 発 見 されることもある 悪 性 リンパ 腫 では 腫 瘤 形 成 に 伴 う 症 状 や 腫 瘍 細 胞 から 産 生 されるサイトカインが 起 こす 症 状 がある 前 者 による 症 状 としてはリンパ 節 腫 脹 や 肝 脾 腫 総 胆 管 の 閉 塞 による 黄 疸 な ど 後 者 による 症 状 としては 発 熱 血 球 貪 食 症 候 群 に 伴 う 各 種 症 候 高 カルシウム 血 症 な どがある Hodgkin リンパ 腫 はリンパ 節 から 発 生 するが 非 Hodgkin リンパ 腫 の 40%はリン パ 節 以 外 の 臓 器 から 発 生 する 発 生 する 臓 器 はさまざまで 発 生 する 臓 器 によりどのよう な 悪 性 リンパ 腫 かがある 程 度 推 定 できる 例 えば 皮 膚 に 発 生 するリンパ 腫 は T 細 胞 リン パ 腫 が 多 い -4 -

多 発 性 骨 髄 腫 では 腫 瘍 細 胞 の 増 殖 の 場 である 骨 髄 での 正 常 造 血 能 の 抑 制 に 伴 う 症 状 と 腫 瘍 細 胞 が 産 生 する 免 疫 グロブリンやサイトカインが 起 こす 症 状 がある 後 者 による 症 状 と しては 骨 融 解 に 伴 う 病 的 骨 折 や 腰 痛 腎 機 能 障 害 アミロイドーシス 高 カルシウム 血 症 過 粘 稠 度 症 候 群 などがある 2. 検 査 所 見 血 算 生 化 学 検 査 画 像 所 見 から 診 断 されることも 多 い 例 えば 白 血 病 では 末 梢 血 中 へ 異 常 細 胞 が 出 現 するとか 白 血 球 数 が 異 常 に 増 えているとかだが ヘアリー 細 胞 白 血 病 では 末 梢 血 の 塗 抹 標 本 を 作 製 するとき 自 然 乾 燥 標 本 のほうが 細 胞 表 面 の 毛 状 突 起 を 見 出 しやすい 慢 性 リンパ 性 白 血 病 では カバーグラスで 塗 抹 標 本 を 作 製 すると 圧 砕 された 細 胞 が 多 数 出 現 するが 斜 めに 傾 けたスライドグラスに 血 液 をたらしてカバーグラスを 使 うことなくそのままドライヤーで 乾 燥 させると 正 確 なカウントが 可 能 になる 悪 性 リン パ 腫 では CT などの 画 像 診 断 多 発 性 骨 髄 腫 では 免 疫 グロブリンの 異 常 とくに M 蛋 白 の 出 現 がある 注 意 すべき 点 としては 白 血 病 だからといって 必 ずしも 白 血 球 数 が 多 いわけではない 急 性 白 血 病 の 約 25%では 白 血 球 数 は 減 少 する 急 性 前 骨 髄 球 性 白 血 病 では 汎 血 球 減 少 症 を 呈 することが 多 い 血 清 中 に M 蛋 白 が 出 現 しない 骨 髄 腫 もある Bence Jones 型 骨 髄 腫 であ る この 骨 髄 腫 は IgG 型 骨 髄 腫 に 次 いで 頻 度 が 高 く 血 清 の 免 疫 グロブリンは 減 少 して M 蛋 白 を 認 めず 尿 中 に Bence Jones 蛋 白 を 認 める 高 齢 者 で 腰 痛 貧 血 低 ガンマグロブ リン 血 症 を 認 めたら 積 極 的 に 本 症 を 疑 い 尿 の 免 疫 電 気 泳 動 検 査 を 行 う 多 発 性 骨 髄 腫 は 血 清 に M 蛋 白 を 認 めると 信 じている 医 師 が 多 く 単 なる 腰 痛 との 診 断 でなかなか 確 定 診 断 がつかず 血 液 内 科 医 を 受 診 したときには 病 期 が 進 んでいて 手 の 施 しようがないことも あり 注 意 を 要 する 3. 診 断 確 定 のための 検 査 急 性 白 血 病 の 診 断 は 骨 髄 検 査 で 行 う May-Giemsa 染 色 ペルオキシダーゼ 染 色 や エステラーゼ 染 色 などの 特 殊 染 色 表 面 マーカー 検 査 染 色 体 検 査 FISH 法 や PCR 法 によ る 代 表 的 な 融 合 遺 伝 子 の 検 査 を 行 う 染 色 体 検 査 の 結 果 が 出 るには 数 週 間 を 要 するが FISH 法 や PCR 法 を 用 いると t(8;21)や t(15;17)などの 検 査 結 果 は 数 日 で 判 明 する 慢 性 骨 髄 性 白 血 病 の 診 断 にはフィラデルフィア(Ph) 染 色 体 の 有 無 が 重 要 である 骨 髄 の 染 色 体 検 査 のみならず 末 梢 血 の FISH 法 でも 検 出 できる 本 態 性 血 小 板 血 症 などの 慢 性 骨 髄 増 殖 性 疾 患 で 慢 性 骨 髄 性 白 血 病 を 否 定 したいときは 末 梢 血 FISH 法 が 有 用 である 慢 性 リンパ 性 白 血 病 とその 類 縁 疾 患 は 臨 床 像 細 胞 形 態 表 面 マーカー 遺 伝 子 検 査 などから 総 合 的 に 診 断 する 悪 性 リンパ 腫 の 診 断 にはリンパ 節 などの 組 織 の 生 検 が 必 須 である 生 検 組 織 では 表 1の 検 査 を 行 う ただし これらの 検 査 をすべてルーチンに 行 う 必 要 はない とくに 凍 結 組 織 標 本 を 用 いた 免 疫 染 色 や 電 顕 細 菌 培 養 を 行 うことは 少 ない 凍 結 組 織 標 本 を 用 いた 免 疫 染 色 は 細 胞 浮 遊 液 を 用 いたモノクローナル 抗 体 検 査 や 病 理 組 織 標 本 の 免 疫 組 織 化 学 で 代 用 できる 感 染 症 とくに 結 核 を 疑 ったら 結 核 菌 のPCR 検 査 を 行 う まず 病 理 組 織 標 本 捺 印 標 本 を 作 製 し 細 胞 浮 遊 液 の 表 面 マーカー 染 色 体 検 査 を 行 い -5 -

残 りの 組 織 は 凍 結 保 存 しておく 必 要 ならあとで 凍 結 組 織 を 用 いて 遺 伝 子 解 析 を 行 う ホルマリン 固 定 標 本 での FISH 法 による 染 色 体 検 査 も 可 能 である 摘 出 した 標 本 をすべてホ ルマリンに 漬 けることはしないで 欲 しい 染 色 体 遺 伝 子 検 査 が 不 可 能 になり 多 くの 表 面 マーカー 検 査 も 不 可 能 になるからである 多 発 性 骨 髄 腫 の 診 断 は M 蛋 白 骨 髄 の 形 質 細 胞 の 数 や 性 状 などから 確 定 する MGUS (monoclonal gammopathy of undetermined significance) との 鑑 別 が 重 要 である 骨 髄 腫 細 胞 は 骨 髄 でびまん 性 に 増 加 しているわけではないので 穿 刺 部 位 に 腫 瘍 細 胞 が 見 出 され ないことがある 髄 外 に 腫 瘍 を 形 成 して M 蛋 白 を 産 生 していることもある M 蛋 白 が 血 液 中 で 検 出 されないのは Bence Jones 型 のときだが 稀 に 非 分 泌 型 のこともある 造 血 器 腫 瘍 を 疑 ったら 骨 髄 の 検 査 や 組 織 の 生 検 を 行 うが 検 査 に 使 ったあとの 残 りの 検 体 は 凍 結 保 存 しておくのがいい 出 来 れば 細 胞 を 生 かしたままで むずかしいならそのまま 凍 らせておく これらの 検 体 は その 後 の 検 査 や 研 究 に 利 用 できる ただし あらかじめ 患 者 から 許 可 を 得 ておく 必 要 がある -6 -