香港港の現状と香港系GTOの戦略的動向



Similar documents
<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について


その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

●電力自由化推進法案

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情


<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

18 国立高等専門学校機構

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

スライド 1

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や



Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Ⅰ 平成14年度の状況

01.活性化計画(上大久保)

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

05.indd

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

公表表紙

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

スライド 1

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

文化政策情報システムの運用等

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

<4D F736F F D208FE DC926E8BE6926E8BE68C7689E681408C7689E68F912E646F63>

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

39_1

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

Microsoft PowerPoint 資料4-1(真間川【印刷用】).ppt

スライド 1

Sea-NACCS 利用者研修 【通関編】

スライド 1

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

< F2D819A8B638E968E9197BF82528E968BC68C7689E68F C>

Microsoft Word - H27概要版

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

市街化区域と市街化調整区域との区分

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

新 市 建 設 計 画 の 変 更 に 係 る 新 旧 対 照 表 ページ 変 更 後 変 更 前 表 紙 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 平 成 27 年 3 月 変 更 安 中 市 6 2. 計 画 策 定 の 方 針 (3) 計

16 日本学生支援機構

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

03《G》資料1-2当初予算【H28】280207

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

<4D F736F F D F8DC4955D89BF92B28F915F8D4C93638DBB90E895942E646F63>

< E88E68F5A91EE8C7689E68F912E786C73>

守 口 市 立 東 小 学 校 大 久 保 小 学 校 の 統 合 実 施 計 画 目 次 第 1 守 口 市 における 学 校 統 合 の 背 景 1 第 2 東 小 学 校 と 大 久 保 小 学 校 の 統 合 について 1 第 3 統 合 校 の 学 校 づくりについて 2 第 4 東 小

1 調査名称:太田市総合交通体系調査

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

(15) 兵 庫 県 道 高 速 湾 岸 線 (16) 神 戸 市 道 高 速 道 路 2 号 線 (17) 兵 庫 県 道 高 速 北 神 戸 線 (18) 神 戸 市 道 高 速 道 路 北 神 戸 線 (19) 神 戸 市 道 高 速 道 路 湾 岸 線 のうち 上 り 線 については 神 戸

●幼児教育振興法案

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

PowerPoint プレゼンテーション

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

< F2D A C5817A C495B6817A>

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

1. 中 小 企 業 等 経 営 強 化 法 の 目 的 (1) 生 産 性 向 上 の 必 要 性 (3) 業 種 別 の 経 営 課 題 への 対 応 少 子 高 齢 化 人 手 不 足 等 の 状 況 において 効 果 的 に 付 加 価 値 を 生 み 出 せるよう 製 造 業 はもとより

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

m07 北見工業大学 様式①

PowerPoint プレゼンテーション

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

小山市保育所整備計画

Microsoft PowerPoint - 総合型DB資料_県版基金説明用.pptx

個人住民税徴収対策会議

(2) 都 市 計 画 区 域 市 街 化 区 域 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 1 都 市 計 画 区 域 の 変 遷 2 市 街 化 区 域 及 び 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 旧 石 巻 市 ( 単 位 :ha) ( 単 位 :ha) 変 更 都 市 計 画 区 域 行

Ⅰ 平成14年度の状況

Taro-条文.jtd

所 属 名 グ 名 契 約 の 相 手 方 契 約 件 名 開 始 終 了 契 約 金 額 ( 円 ) 適 用 条 項 随 意 契 約 理 由 治 グルー 治 グルー 一 級 河 川 大 川 ( 旧 淀 川 ) 浚 渫 工 事 (JR 環 状 線 下 流 )に 伴 う 浚 渫

Microsoft Word - 目次.doc

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

Transcription:

第 5 章 香 港 港 の 現 状 と 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 姜 天 勇 要 約 : 香 港 港 のハブ 港 湾 の 地 位 を 左 右 する 要 因 は 多 様 であるが 本 稿 では 香 港 系 グロ ーバルターミナルオペレーター( 以 下 香 港 系 GTO と 略 )と 呼 ばれる 港 湾 企 業 資 本 が 持 つ 特 有 の 役 割 に 注 目 する 香 港 系 GTO は 香 港 だけでなく 珠 江 デルタを 含 む 中 国 本 土 世 界 各 地 港 湾 にも 進 出 し 巨 大 な 勢 力 を 持 つ 港 湾 企 業 資 本 である その 戦 略 的 動 向 は 香 港 港 の 発 展 にも 大 きな 影 響 を 与 えると 考 えられる そのため 本 稿 の 前 半 は 従 来 の 港 湾 間 競 争 という 空 間 的 視 点 から 香 港 港 の 現 状 を 把 握 し 先 行 研 究 を 踏 まえて 香 港 港 の 問 題 点 を 指 摘 する つぎに 香 港 系 GTO すなわち HPH 社 COSCO Pacific 社 CMHI 社 MTL 社 の 近 年 の 戦 略 的 動 向 を 考 察 し こうし た 動 きの 特 徴 および 香 港 港 の 発 展 に 与 える 影 響 を 検 討 し 港 湾 企 業 資 本 の 動 きの 視 点 から 香 港 港 のハブ 港 湾 地 位 維 持 の 可 能 性 について 分 析 する 最 後 に 香 港 港 の 将 来 について 展 望 する キーワード: 香 港 港 香 港 系 GTO HPH 社 COSCO Pacific 社 CMHI 社 MTL 社 はじめに 香 港 港 は アジアにおける 代 表 的 な 港 湾 として 成 長 してきたが 近 年 シンガポール 港 上 海 港 とのコンテナ 取 扱 量 順 位 の 競 争 や 近 接 する 深 圳 港 広 州 港 との 集 荷 競 争 がますま す 激 化 している また 2008 年 に 起 こったリーマン ショックや 2010 年 からの 欧 州 金 融 不 安 は 香 港 の 港 湾 産 業 の 発 展 にとって 大 きなマイナス 要 因 となっている 港 湾 産 業 は 香 港 の 基 幹 産 業 のひとつであるため 今 後 アジアにおけるハブ 港 湾 の 地 位 を 維 持 できるか どうかは 香 港 の 経 済 発 展 にとって 重 大 な 問 題 でもある 香 港 港 のハブ 港 湾 の 地 位 を 左 右 する 要 因 は 多 様 であるが 本 章 では 香 港 系 グローバルタ ーミナルオペレーター1( 以 下 香 港 系 GTO と 略 )と 呼 ばれる 港 湾 企 業 資 本 の 特 有 の 役 割 71

に 注 目 する なぜなら 香 港 系 GTO は 香 港 だけでなく 珠 江 デルタを 含 む 中 国 本 土 や 世 界 各 地 の 港 湾 にも 進 出 し 巨 大 な 勢 力 を 持 っているからである 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 は 香 港 の 港 湾 発 展 にも 大 きな 影 響 を 与 えると 考 えられる そのため 本 章 はまず 香 港 港 の 現 状 を 把 握 し 複 数 の 先 行 研 究 を 踏 まえて 香 港 港 が 持 つ 課 題 を 指 摘 する 次 に 香 港 系 GTO すなわち HPH 社 (HPH Port Holdings: 和 記 黄 埔 港 口 ) COSCO Pacific 社 ( 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 ) CMHI 社 (Chaina Merchants Holdings (International) Company Limited: 招 商 局 国 際 有 限 公 司 ) MTL 社 (Modern Terminals Limited: 現 代 貨 箱 碼 頭 )の 近 年 の 戦 略 的 動 向 の 特 徴 および 香 港 港 のハブ 港 湾 地 位 維 持 における 役 割 について 検 討 する 最 後 に 香 港 港 の 将 来 について 展 望 する 第 1 節 香 港 港 の 現 状 1. 香 港 港 の 主 な 港 湾 施 設 香 港 港 は 複 数 の 港 湾 施 設 によって 構 成 され その 中 核 部 分 は 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミ ナル(Kwai Chung-Tsing Yi Container Terminals) 内 河 ターミナル(River Trade Terminal) 沖 荷 役 作 業 区 (Mid-stream Sites)である 香 港 港 におけるコンテナ 貨 物 はほぼこの3つの 港 湾 施 設 で 処 理 されている それぞれの 港 湾 施 設 の 構 成 と 役 割 は 以 下 のとおりである (1) 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナル 香 港 港 の 専 業 コンテナターミナルは 葵 涌 - 青 衣 地 区 に 集 中 している 葵 涌 地 区 で 最 初 の コンテナターミナル(CT1)が 1972 年 に 竣 工 し その 後 CT8まで 合 計 16 バースのコ ンテナバースがこの 地 区 で 整 備 された 2000 年 以 降 は 香 港 の 港 湾 能 力 不 足 の 問 題 に 対 応 するため 葵 涌 地 区 に 隣 接 する 青 衣 島 において CT9の 整 備 が 行 われ 2004 年 までに6バ ース(コンテナ 取 扱 能 力 260 万 TEU)が 整 備 された 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルは 現 在 24 バースとなり 2004 年 の 時 点 で 同 地 区 ターミナルのコンテナ 取 扱 能 力 は 1700 万 TEU に 達 した 葵 涌 - 青 衣 地 区 の9つターミナルは5 社 のコンテナターミナルオペレーター すなわち MTL 社 HIT 社 (HongKong International Terminals) COSCO-HIT 社 DPW 社 (Dubai Ports World) ACT 社 (Asia Container Terminals)によって 所 有 運 営 されている そのうち HPH 社 の 子 会 社 である HIT 社 の 規 模 がもっとも 大 きく 独 自 運 営 の 12 バースと COSCO Pacific 社 との 合 弁 の2バースを 有 している ついで MTL 社 は7バースを 運 営 している DPW 社 と ACT 社 は 相 対 的 に 規 模 が 小 さく それぞれ1バースと2バースを 運 営 している 72

表 1 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルの 施 設 一 覧 ターミナル CT3 CT8(East) CT1 2 5 9(South) CT4 6 7 9 CT8(West) オペレーター DPW COSCO-HIT MTL HIT ACT 総 面 積 (ha) 16.7 30 92.61 111 28.54 バース 数 1 2 7 12 2 岸 壁 総 延 長 (m) 305 1088 2432 4092 740 岸 壁 水 深 (m) 14.5 15.5 15.5 15.5 15.5 ガントリークレーン( 台 ) 4 9 30 47 8 ( 出 所 )オーシャンコマース[2010:890] 基 づいて 筆 者 作 成 ( 表 1を 参 照 ) 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルは おもに 基 幹 航 路 のコンテナ 船 向 けの 荷 役 作 業 を 取 り 扱 っている 持 続 的 な 浚 渫 作 業 を 通 じて コンテナバース 水 深 は 15.5mに 達 し 1 万 TEU の 大 型 コンテナ 船 は 問 題 なく 寄 港 できるようになった また コンテナターミナルオペレ ーターの 徹 底 的 な 効 率 化 を 通 じて 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナル 全 体 の 取 扱 能 力 は 現 在 1900 万 TEU まで 上 昇 している さらに 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルにはフィーダ ーバースを 増 設 し 船 社 に 多 様 なサービスを 提 供 している 2010 年 葵 涌 - 青 衣 コンテナ ターミナルは 約 1710 万 TEU のコンテナを 取 扱 い 香 港 港 全 体 取 扱 量 の 72%を 占 めている (2) 内 河 ターミナルと 沖 荷 役 作 業 区 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルは 香 港 港 の 中 枢 的 存 在 であるが 内 河 ターミナルと 沖 荷 役 も 重 要 な 地 位 を 占 めている 内 河 ターミナルは 屯 門 望 後 石 に 位 置 し おもに 香 港 と 珠 江 デルタ 諸 港 との 間 を 航 行 してバルク 貨 物 やコンテナ 貨 物 を 取 扱 っている 中 小 型 内 航 船 を 対 象 にサービスを 提 供 している 同 ターミナルの 面 積 と 岸 壁 延 長 は それぞれ 65ha 3000m である 沖 荷 役 の 荷 役 方 式 は 海 上 でバージのクレーンを 使 用 して 中 小 型 コンテナ 船 との 間 に コンテナの 積 み 下 ろし 積 み 上 げ 作 業 を 行 うことに 特 徴 がある この 方 式 は 荷 役 の 効 率 が 低 いものの 料 金 がコンテナターミナルと 比 べて 相 対 的 に 安 いので スピードよりコスト を 重 視 するコンテナ 貨 物 の 荷 役 作 業 には 優 位 性 がある( 津 守 [1999:184]) 香 港 には 12 ヶ 所 の 沖 荷 役 作 業 区 があり 面 積 と 岸 壁 延 長 は 合 わせて 34.6ha 3513m である 内 河 ターミナルと 沖 荷 役 作 業 区 をはじめとするほかの 港 湾 施 設 は 葵 涌 - 青 衣 コンテナ ターミナルのサポート 役 として 活 躍 している これらの 港 湾 施 設 は 2010 年 において 香 港 港 全 体 コンテナ 取 扱 量 の 28%を 占 める 約 660 万 TEU コンテナを 取 扱 った その 数 量 は 大 連 港 の 年 間 コンテナ 取 扱 量 (2011 年 速 報 値 約 640 万 TEU)に 匹 敵 するものであった 2. 香 港 港 の 地 位 低 下 とその 問 題 点 73

香 港 港 は 1989 年 から 2004 年 にかけて コンテナ 取 扱 量 において 世 界 第 1 位 港 湾 の 地 位 を 保 持 してきた ところが 2001 年 以 降 香 港 港 のコンテナ 取 扱 量 は 伸 び 悩 み 2009 年 と 2010 年 を 除 いて その 伸 び 率 は2%から8%との 間 で 推 移 していた 2005 年 にはシンガポ ール 港 2007 年 には 上 海 港 のコンテナ 取 扱 量 が 香 港 港 を 上 回 り 現 在 では 取 扱 量 世 界 第 3 位 に 転 落 している( 表 2を 参 照 ) さらに リーマン ショックや 欧 州 金 融 不 安 の 影 響 で 過 去 最 大 のコンテナ 取 扱 量 となった 2008 年 の 約 2450 万 TEU の 水 準 を 現 在 でも 回 復 してい ない その 原 因 は 以 下 に 示 すように 主 に 香 港 港 の 高 い 港 湾 料 金 と 近 隣 華 南 諸 港 湾 のとの 競 争 によるものであると 指 摘 されている 2 表 2 香 港 におけるコンテナ 取 扱 量 の 推 移 ( 出 所 ) 香 港 特 別 行 政 区 政 府 海 事 処 資 料 より 筆 者 作 成 ( 単 位 : 千 TEU) 年 実 入 りコンテナ 空 コンテナ 総 計 取 扱 量 伸 び 率 取 扱 量 伸 び 率 取 扱 量 伸 び 率 世 界 順 位 1997 11751-2635 - 14386 - 第 1 位 1998 11489-2.2 3093 17.4 14582 1.4 第 2 位 1999 12801 11.4 3410 10.2 16211 11.2 第 1 位 2000 14248 11.3 3850 12.9 18098 11.6 第 1 位 2001 14189-0.4 3638-5.5 17826-1.5 第 1 位 2002 15322 8.0 3822 5.1 19144 7.4 第 1 位 2003 16532 7.9 3917 2.5 20449 6.8 第 1 位 2004 17883 8.2 4101 4.7 21984 7.5 第 1 位 2005 18453 3.2 4149 1.2 22602 2.8 第 2 位 2006 19344 4.8 4195 1.1 23539 4.1 第 2 位 2007 19907 2.9 4091-2.5 23998 2.0 第 3 位 2008 20272 1.8 4222 3.2 24494 2.1 第 3 位 2009 17726-12.6 3314-21.5 21040-14.1 第 3 位 2010 20002 12.8 3697 11.6 23699 12.6 第 3 位 2011 - - - - 24404 3.0 第 3 位 (1) 高 い 港 湾 料 金 香 港 港 の 港 湾 料 金 は 世 界 で 最 も 高 いといわれている 経 済 発 展 及 労 工 局 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2004] 運 輸 及 房 屋 局 運 輸 科 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2008]によると 珠 江 デ ルタ 東 部 ( 東 莞 ) 発 アメリカ 西 海 岸 着 の 40 フィートのコンテナ 一 個 を 輸 送 する 場 合 香 港 港 経 由 と 深 圳 塩 田 港 経 由 のコストを 比 較 すると その 差 は 明 確 である 2004 年 には 香 港 港 経 由 の 場 合 は 深 圳 塩 田 港 経 由 の 場 合 より 296 ドルも 高 く 2006 年 には 277 ドルも 高 いも のである 香 港 港 の 港 湾 料 金 が 高 い 理 由 は2つある ひとつには 政 府 の 規 制 や 通 関 などの 影 響 で あり もうひとつには 香 港 港 の THC(Terminal Handling Charge:ターミナルハンドリン 74

グチャージ)が 高 いことである 2006 年 の 香 港 港 の THC は 深 圳 諸 港 より 約 100 ドルも 高 い 香 港 港 には 金 融 の 利 便 性 や 通 関 の 迅 速 性 などのメリットはあるものの 荷 主 がコスト を 重 視 する 趨 勢 の 中 この 二 つのコスト 高 要 因 の 影 響 は 大 きく 香 港 港 の 競 争 力 が 深 圳 諸 港 に 劣 りつつあることがわかる (2) 華 南 諸 港 湾 との 競 争 1990 年 代 以 降 香 港 と 近 接 する 深 圳 港 広 州 港 珠 海 港 などの 華 南 諸 港 湾 が 急 激 に 整 備 され その 規 模 を 拡 大 させてきた その 勢 いは 現 在 も 続 いている 運 輸 及 房 屋 局 運 輸 科 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2008]によると 2006 年 には 珠 江 デルタのコンテナバース 数 は 61 バースであったが 2010 年 には 89 バースまで 拡 張 すると 見 込 まれていた この 数 字 に は 香 港 港 の 24 バースを 含 んでいるためこれをのぞくと わずか4 年 で 37 バースから 65 バースへと2 倍 近 くも 増 える 予 定 であったことになる その 急 伸 ぶりには 驚 くしかない 華 南 諸 港 湾 はコンテナ 貨 物 をめぐって 香 港 港 の 強 力 なライバルとなっているのである と くに 深 圳 港 はもともと 香 港 港 のフィーダー 港 であったが 現 在 では 華 南 地 域 のハブ 港 湾 と して 成 長 し 香 港 港 に 次 ぐ 世 界 第 4 位 のコンテナ 港 湾 として その 地 位 を 大 いに 向 上 させ てきた 数 年 後 には 深 圳 港 のコンテナ 取 扱 量 は 香 港 港 を 超 えると 業 界 では 予 測 されてい る 表 3 広 東 省 における 諸 港 湾 のコンテナ 取 扱 能 力 と 取 扱 量 一 覧 (2010 年 ) ( 出 所 ) 中 国 港 口 年 鑑 編 輯 部 編 [2011:180-205]に 基 づいて 筆 者 作 成 ( 単 位 : 万 TEU) 珠 江 デルタ 珠 江 デルタ 東 翼 地 区 山 間 部 港 湾 取 扱 能 力 取 扱 量 港 湾 取 扱 能 力 取 扱 量 港 湾 取 扱 能 力 取 扱 量 広 州 - 1270.26 汕 頭 58.00 93.50 韶 関 2.00 0.00 深 圳 1891.00 2250.96 汕 尾 2.00 4.19 河 源 0.00 0.00 珠 海 139.00 70.27 潮 州 4.83 3.08 梅 州 0.00 0.00 仏 山 578.00 305.96 掲 陽 0.00 0.00 清 遠 10.00 3.64 江 門 156.00 70.53 珠 江 デルタ 西 翼 地 区 雲 浮 9.00 4.88 東 莞 65.00 49.99 港 湾 取 扱 能 力 取 扱 量 中 山 168.00 125.06 湛 江 16.00 32.02 広 東 省 全 体 恵 州 55.00 26.89 茂 名 10.00 4.32 取 扱 量 能 力 3939.00 肇 慶 34.00 44.56 陽 江 0.00 0.04 取 扱 量 4360.15 珠 江 デルタにおけるコンテナバースが 確 実 に 整 備 されている 一 方 で 新 たな 変 化 も 生 じ ている 表 3が 示 すように 2010 年 には 広 東 省 全 体 のコンテナ 取 扱 能 力 とコンテナ 取 扱 量 はそれぞれ 約 3939 万 TEU 4360 万 TEU であり 港 湾 能 力 と 需 要 のバランスが 取 れていた また 深 圳 港 広 州 港 3 汕 頭 港 汕 尾 港 湛 江 港 肇 慶 港 のコンテナ 取 扱 能 力 はコンテナ 取 扱 量 を 下 回 っているものの さほどの 問 題 はない ところが 大 きな 問 題 になるのは ほ 75

かの 港 湾 とくに 珠 海 港 仏 山 港 江 門 港 東 莞 港 中 山 港 恵 州 港 のコンテナ 取 扱 能 力 はいずれもコンテナ 取 扱 量 を 大 幅 に 上 回 っていることである さらに 後 述 するように 深 圳 大 鏟 湾 碼 頭 広 州 南 沙 港 二 期 工 事 のコンテナターミナルは 竣 工 されたものの その 利 用 率 はまだ 低 い このように 珠 江 デルタにおいては 部 分 的 に 港 湾 のコンテナ 取 扱 能 力 の 過 剰 問 題 がすでに 顕 著 になっている ところが 能 力 過 剰 の 問 題 が 存 在 するにもかかわらず 珠 江 デルタにおける 諸 港 湾 では 新 規 コンテナターミナルの 整 備 が 継 続 される 予 定 である 現 在 珠 江 デルタにおける 諸 港 湾 は 過 剰 な 処 理 能 力 を 埋 めるため 熾 烈 な 集 荷 競 争 を 展 開 している こうした 状 況 を 対 応 するため 一 部 の 港 湾 では 地 方 政 府 の 補 助 政 策 を 受 けて 低 価 格 競 争 戦 略 を 採 用 している ( 罗 尹 [2008:32]) コスト 競 争 の 優 位 性 を 持 たない 香 港 港 にとって 珠 江 デルタにおける 過 剰 な 港 湾 整 備 と 港 湾 間 競 争 は 決 して 望 ましいことではない 今 後 も 香 港 港 がハブ 港 湾 の 地 位 を 維 持 するた めには 高 い 作 業 効 率 通 関 の 迅 速 性 法 律 の 健 全 性 金 融 面 の 利 便 性 基 幹 航 路 の 高 頻 度 の 寄 港 サービスなどの 既 存 優 位 性 を 確 保 し 続 けなければならない また コンテナ 陸 上 輸 送 コストを 削 減 するために 香 港 特 別 行 政 区 政 府 によるコンテナ 輸 送 車 両 への 規 制 緩 和 も 必 要 になると 言 える 第 2 節 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 前 節 にて 述 べたように 香 港 港 と 華 南 諸 港 湾 との 間 では 激 しい 競 争 が 展 開 されている ところが 香 港 港 と 深 圳 港 の 運 営 主 体 を 見 れば 香 港 港 のターミナルオペレーターと 深 圳 港 のターミナルオペレーターは ほぼ 同 じなのである 異 なる 点 は 香 港 港 は HPH 社 と MTL 社 が 主 導 しているが 深 圳 蛇 口 港 赤 湾 港 嫣 湾 港 には CMHI 社 深 圳 塩 田 港 には HPH 社 深 圳 大 鏟 湾 碼 頭 には MTL 社 がそれぞれの 港 湾 運 営 の 主 導 権 を 握 っている さら に HPH 社 は 深 圳 港 だけでなく 珠 海 港 江 門 港 南 海 港 などの 多 くの 港 湾 にも 参 入 している 珠 江 デルタにおける 香 港 系 GTO のプレゼンスは 極 めて 高 い そのため 香 港 港 と 華 南 諸 港 湾 との 関 係 は 香 港 系 GTO の 戦 略 的 進 出 に 伴 って 複 雑 になることから 必 ずしも 競 争 関 係 だけとは 限 らない 本 節 ではそれについて 詳 しく 見 よう 1. 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 (1)HPH 社 HPH 社 は 世 界 最 大 のコンテナターミナルオペレーターである 2010 年 には HPH 社 は 76

25 ヵ 国 51 の 港 湾 に 進 出 し 308 バースの 株 式 を 所 有 している 世 界 港 湾 における HPH 社 のコンテナ 取 扱 量 は 同 企 業 の 進 出 に 伴 って 年 々 増 加 し 2010 年 には 約 7500 万 TEU に 達 し た( 和 記 黄 埔 有 限 公 司 二 〇 一 〇 年 年 報 15 ページ) HPH 社 はコンテナターミナル 業 界 の 覇 者 として 世 界 港 湾 に 君 臨 しているが その 事 業 基 盤 は 香 港 と 中 国 本 土 諸 港 湾 にある と くに 香 港 と 深 圳 塩 田 港 の 事 業 は HPH 社 の 港 湾 事 業 の 核 心 的 位 置 に 付 けられている HPH 社 は 1992 年 から 中 国 本 土 港 湾 への 進 出 を 本 格 的 に 始 めた HPH 社 の 中 国 進 出 の 特 徴 は 上 海 港 以 南 の 中 国 沿 海 地 域 に 一 気 に 港 湾 ネットワークを 構 築 したことである HPH 社 は 1990 年 代 から 2001 年 までに 香 港 と 隣 接 する 深 圳 を 中 心 とする 珠 江 デルタ 諸 港 湾 長 江 デルタの 主 要 港 湾 である 上 海 港 と 寧 波 港 東 南 沿 海 の 主 要 港 湾 である 厦 門 港 へと 次 々 に 進 出 を 果 たした そのうち 深 圳 港 の 塩 田 港 区 の 一 期 工 事 における 株 式 割 合 は 50%を 突 破 して 73%に 達 し 企 業 支 配 権 を 手 に 入 れた また 珠 海 港 南 海 港 上 海 港 江 門 港 厦 門 港 寧 波 港 の 各 ターミナルにおいても HPH 社 は 49%あるいは 50%を 出 資 しており 多 数 のコンテナターミナルの 運 営 を 実 質 的 に 主 導 している さらに 2001 年 の 中 国 WTO 加 盟 以 降 HPH 社 は 進 出 した 港 湾 を 拠 点 として 新 規 ターミナルへの 進 出 と 新 たな 港 湾 への 投 資 を 同 時 に 行 い 中 国 港 湾 市 場 における 優 位 性 の 維 持 を 図 ろうとしている( 表 4を 参 照 ) 表 4 中 国 港 湾 における HPH 社 の 進 出 状 況 一 覧 年 港 湾 ターミナル 出 資 比 率 (%) 合 弁 期 限 1992 年 珠 海 港 珠 海 国 際 貨 櫃 碼 頭 ( 九 洲 ) 有 限 公 司 50 50 年 1992 年 南 海 港 南 海 国 際 貨 櫃 碼 頭 有 限 公 司 50 1993 年 上 海 港 上 海 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 50 50 年 1994 年 深 圳 港 塩 田 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 73 1994 年 珠 海 港 珠 海 国 際 貨 櫃 碼 頭 ( 高 欄 ) 有 限 公 司 50 1994 年 汕 頭 港 汕 頭 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 70 1995 年 江 門 港 江 門 国 際 貨 櫃 碼 頭 有 限 公 司 50 1997 年 厦 門 港 厦 門 国 際 貨 櫃 碼 頭 有 限 公 司 49 50 年 2001 年 寧 波 港 寧 波 北 侖 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 49 50 年 2003 年 上 海 港 上 海 浦 東 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 30 50 年 2005 年 上 海 港 上 海 明 東 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 50 50 年 2006 年 恵 州 港 恵 州 港 業 股 份 有 限 公 司 2007 年 恵 州 港 恵 州 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 出 所 : 中 国 港 口 年 鑑 編 輯 部 編 [1999~2010] 各 港 湾 各 社 のホームページより 筆 者 作 成 現 在 珠 江 デルタにおける HPH 社 の 優 位 性 はとくに 顕 著 なものである 2010 年 には 香 港 の 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナル(COSCO 社 -HIT 社 の2バースを 含 む)と 内 河 ター ミナルにおける HPH 社 のコンテナ 取 扱 量 はそれぞれ 約 1104 万 TEU 192 万 TEU であった 一 方 深 圳 塩 田 港 における HPH 社 のコンテナ 取 扱 量 は 約 1013 万 TEU であった( 和 記 黄 埔 有 限 公 司 二 〇 一 〇 年 年 報 17 ページ) HPH 社 は 香 港 と 深 圳 の 両 港 湾 において 半 分 近 い 市 場 シェアを 占 めている また 珠 海 江 門 南 海 汕 頭 恵 州 各 港 への 進 出 によって 香 港 と 深 圳 を 中 心 とする 港 湾 ネットワークが 構 築 されている 77

さらに HPH 社 は 珠 江 デルタにおいて 自 然 条 件 の 良 い 大 水 深 コンテナ 港 湾 の 開 発 を 推 進 している HPH 社 は 香 港 港 と 深 圳 塩 田 港 において 大 水 深 コンテナターミナルを 有 するほか 珠 海 港 と 恵 州 港 の 開 発 にも 力 を 注 いでいる 2009 年 に 珠 海 国 際 貨 櫃 碼 頭 ( 高 欄 ) 一 期 工 事 (5 万 トン 級 コンテナバース2バース 水 深 15.8m 岸 壁 延 長 824m)を 竣 工 した 後 HPH 社 と 珠 海 港 は 共 同 で 次 期 コンテナバースの 開 発 (10 万 トン 級 1バースと5 万 トン 級 2バー ス)をおこなう 予 定 である 4 その 上 HPH 社 は 恵 州 港 務 集 団 有 限 公 司 と 合 弁 した 恵 州 港 国 際 集 装 箱 碼 頭 (5 万 トンコンテナバース2バース 水 深 15.2m 岸 壁 延 長 800m)の 第 1 号 バースを 2011 年 12 月 に 竣 工 させ 第 2 号 バースを 2012 年 10 月 に 竣 工 させる 予 定 である 5 また HPH 社 の 事 業 戦 略 において 最 近 とくに 注 目 されるのは HPH Trust 社 の 上 場 であ る HPH 社 は 2011 年 3 月 に 香 港 の HIT 深 圳 塩 田 港 マカオ 港 における 深 水 港 湾 珠 江 デルタの 河 川 港 ( 珠 海 江 門 南 海 )などの 優 良 資 産 を 本 体 から 分 離 しシンガポール 証 券 取 引 場 に HPH Trust 社 として 上 場 を 果 たした HPH Trust 社 は IPO( 新 規 株 式 公 開 :Initial Public Offering)の 方 式 で 58 億 ドルを 調 達 した この 動 きの 戦 略 的 意 味 は 極 めて 大 きいと 考 えられる なぜなら HPH Trust 社 が 所 有 する 資 産 が 珠 江 デルタにおける HPH 社 の 優 位 性 を 再 び 証 明 する 一 方 で 58 億 ドルの 資 金 調 達 は 珠 江 デルタにおける HPH 社 の 既 存 港 湾 の 運 営 と 次 期 港 湾 の 開 発 を 支 援 することになるためである (2)COSCO Pacific 社 COSCO Pacific 社 は 中 国 資 本 を 背 景 とする 香 港 系 GTO であり 世 界 第 5 位 のターミナ ルオペレーターでもある 同 企 業 は 親 会 社 である COSCO 社 (China Ocean Shipping (Group) Company: 中 国 遠 洋 運 輸 集 団 公 司 )が 中 国 における 最 大 の 国 有 海 運 会 社 であるという 優 位 性 を 生 かして 勢 力 を 急 速 に 拡 大 している 2002 年 以 前 には COSCO Pacific 社 は 中 国 の 5ヶ 所 の 港 湾 に 株 式 を 持 っていたに 過 ぎなかったが 2010 年 まで 17 の 港 湾 (そのうち 海 外 4 港 湾 )に 進 出 し 107 バース(そのうち コンテナバース 97 バース 雑 貨 バース8 バース 自 動 車 バース2バース)における 株 式 を 持 つに 至 った この 年 の COSCO Pacific 社 のコンテナ 取 扱 量 は 約 4852 万 TEU に 達 した( 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 2010 年 終 期 業 績 新 聞 稿 2ページ) COSCO Pacific 社 はすでに 中 国 の 環 渤 海 地 域 長 江 デルタ 珠 江 デル タ 東 南 沿 海 地 域 および 海 外 における 多 数 の 港 湾 に 進 出 し 港 湾 ネットワークを 構 築 して いる 最 近 では 中 国 港 湾 企 業 が 株 式 会 社 化 され ついで 株 式 上 場 をするようになったことを 利 用 し COSCO Pacific 社 はその 株 の 買 付 け 増 資 などの 方 法 によって 港 湾 企 業 あるい は 港 湾 全 体 の 支 配 権 を 獲 得 しようとする 動 きを 加 速 させている 2007 年 4 月 に COSCO Pacific 社 は 福 州 港 務 集 団 の 29%の 株 を 取 得 した COSCO Pacific 社 は 福 州 港 の 全 体 の 支 配 78

権 を 取 得 していないが ターミナルだけでなく 港 湾 全 体 への 影 響 力 を 拡 大 しようとする 動 きは 明 確 である また COSCO Pacific 社 は 収 益 性 の 高 いコンテナターミナルだけでなく 雑 貨 自 動 車 などのターミナルへの 投 資 も 拡 張 している COSCO Pacific 社 は 2004 年 には 大 連 港 汽 車 碼 頭 ( 持 株 割 合 30%)に 進 出 し 2006 年 には 泉 州 太 平 洋 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 比 率 71.43%) 2007 年 には 揚 州 遠 揚 碼 頭 ( 持 株 割 合 55.59% 雑 貨 2バース)と 晋 江 太 平 洋 碼 頭 ( 持 株 割 合 80% コンテナ2バース 雑 貨 3バース)の 支 配 権 を 獲 得 し 投 資 先 の 多 元 化 を 推 進 している さらに COSCO Pacific 社 は 珠 江 デルタにおいて HPH 社 と 提 携 して 香 港 における COSCO-HIT( 持 株 比 率 50%) 塩 田 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 比 率 15%) 塩 田 三 期 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 比 率 13.36%)を 運 営 する 一 方 で 広 州 南 沙 海 港 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 割 合 59%)にも 投 資 している 広 州 南 沙 海 港 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 は 広 州 南 沙 港 二 期 工 事 の6つの 10 万 トン 級 コンテナ バース( 水 深 15.5-16m 岸 壁 延 長 2100m)を 運 営 している ところが 同 公 司 は 広 州 南 沙 海 港 集 装 箱 碼 頭 が 2007 年 に 竣 工 した 後 においても 経 営 初 期 の 赤 字 状 態 から 脱 出 して いなかった 2010 年 には 同 社 のコンテナ 取 扱 量 は 306 万 TEU に 達 し 2009 年 の 215 万 TEU より 41.8%の 伸 び 率 で 大 幅 に 増 加 したが COSCO Pacific 社 は 約 508 万 8000 米 ドルの 赤 字 となった( 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 2010 年 終 期 業 績 新 聞 稿 4-5ページ) 同 ターミナルの コンテナ 取 扱 量 能 力 は 400 万 TEU であるが 現 在 もフル 稼 働 状 態 に 至 っていないのである (3)CMHI 社 CMHI 社 は 香 港 招 商 局 の 子 会 社 であり 中 国 本 土 最 大 のコンテナターミナルオペレータ ーでもある 香 港 招 商 局 は 中 央 政 府 の 香 港 駐 在 企 業 として 1979 年 から 深 圳 蛇 口 工 業 区 の 開 発 をきっかけに 中 国 本 土 の 港 湾 開 発 に 参 入 した 2000 年 以 降 香 港 招 商 局 は 港 湾 とその 関 連 業 務 を CMHI 社 に 集 約 させ 香 港 中 国 本 土 海 外 における 港 湾 事 業 を 拡 大 しつつある 2010 年 には CMHI 社 傘 下 のターミナルのコンテナ 取 扱 量 とバルク 雑 貨 の 取 扱 量 はそれ ぞれ 約 5228 万 TEU( 伸 び 率 19.2%) 2 億 8100 万 トン( 伸 び 率 21.1%)になった( 招 商 局 国 際 有 限 公 司 2010 年 年 報 7ページ) CMHI 社 は 香 港 では MTL 社 の 27%の 株 式 を 保 有 する 一 方 で 香 港 における 沖 荷 役 を 従 事 する 招 商 局 貨 櫃 服 務 有 限 公 司 ( 持 株 比 率 100%)を 運 営 し 亜 洲 空 運 センターにも 参 入 している 2000 年 以 降 CMHI 社 の 港 湾 分 野 における 戦 略 的 行 動 は 以 下 の3つである 第 1の 戦 略 的 行 動 は 深 圳 西 側 港 湾 の 再 編 成 である 香 港 招 商 局 は 深 圳 西 側 にある 蛇 口 赤 湾 嫣 湾 という3つの 港 区 において 多 数 の 株 式 を 持 っている ところが こうした 株 式 は 複 数 の 経 営 主 体 に 所 持 されるので 港 湾 経 営 における 規 模 の 経 済 を 実 現 させることは 不 79

可 能 であった また 異 なる 経 営 主 体 による 激 しい 集 荷 競 争 も 深 圳 西 側 港 湾 の 発 展 に 不 利 益 をもたらした そのため 香 港 招 商 局 は 分 散 された 港 湾 株 式 や 資 源 を CMHI 社 に 集 約 す る 戦 略 を 採 用 してきた 2000 年 から 2006 年 にかけて CMHI 社 は 株 式 の 買 収 などの 手 法 を 通 じて 蛇 口 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 率 70%) 赤 湾 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 ( 持 株 率 第 2 位 ) 深 圳 嫣 湾 港 務 有 限 公 司 ( 持 株 率 70%) 招 商 港 務 ( 深 圳 ) 有 限 公 司 ( 持 株 率 100%) 深 圳 海 星 港 口 発 展 有 限 公 司 ( 持 株 率 67%)の 主 導 権 を 入 手 し 深 圳 西 側 港 湾 の 一 体 的 経 営 を 実 現 した こうした 再 編 成 の 結 果 深 圳 西 側 の 港 湾 は CMHI 社 の 母 港 としての 地 位 が 確 立 され 深 圳 東 側 にある HPH 社 が 主 導 する 塩 田 港 に 対 して 対 抗 できるようになった 第 2の 戦 略 的 行 動 は 沿 海 中 枢 港 湾 への 重 点 的 な 投 資 である 2004 年 以 降 CMHI 社 は 具 体 的 なターミナル 運 営 管 理 だけでなく 中 国 沿 海 における 中 枢 港 湾 全 体 への 投 資 も 積 極 的 におこなっている 2005 年 には CMHI 社 は 上 海 港 を 運 営 する 上 海 国 際 港 務 集 団 の 株 式 上 場 のチャンスを 生 かして 55 億 7000 万 元 の 資 金 を 投 入 し 上 海 国 際 港 務 集 団 の 第 2 位 の 株 主 ( 持 株 比 率 30%)となった 2007 年 には CMHI 社 は 16 億 2000 万 元 の 資 金 を 湛 江 港 集 団 に 投 入 し 同 集 団 の 45%の 株 式 を 所 有 している 2008 年 には CMHI 社 は 寧 波 港 股 份 公 司 の 5.4%の 株 式 を9 億 2400 万 香 港 ドルで 購 入 し 寧 波 港 の 第 2 位 の 株 主 となった こうした 投 資 を 通 じて CMHI 社 は 珠 江 デルタ( 香 港 深 圳 ) 長 江 デルタ( 上 海 寧 波 ) 環 渤 海 地 域 ( 天 津 青 島 ) 東 南 沿 海 ( 厦 門 漳 州 ) 西 南 沿 海 ( 湛 江 )に 跨 る 港 湾 ネット ワークを 構 築 している 6 第 3の 戦 略 的 行 動 は 海 外 港 湾 への 進 出 である 成 長 しつつある CMHI 社 は 中 国 国 内 だけ でなく その 投 資 先 は 海 外 へも 拡 張 している 2010 年 には CMHI 社 は ZIM Integrated Shipping Services Limited が 所 有 したナイジェリアの Tin-Can Island Container Terminal Limited(TICT 碼 頭 )の 47.5%の 株 式 を 買 収 し 海 外 進 出 を 本 格 的 に 始 めた 7 さらに 2011 年 9 月 には CMHI 社 は 他 の 財 団 と 連 携 してスリランカの Colombo South Container Terminal に 関 する BOT 協 定 のサインもおこなった Colombo South Container Terminal ではコンテナ バース3バース( 水 深 18m 岸 壁 延 長 1200m 年 間 取 扱 能 力 240 万 TEU)が 整 備 される 予 定 である CMHI 社 は Colombo South Container Terminal を 運 営 する Colombo International Container Terminals Ltd (CICT)の 55%の 株 式 を 所 有 している 8 こうした 投 資 を 通 じて CMHI 社 は 徐 々に 海 外 にもその 影 響 力 を 拡 大 している (4)MTL 社 MTL 社 は 華 人 財 閥 企 業 The Wharf (Holdings) Ltd( 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 )の 子 会 社 である The Wharf (Holdings) Ltd は MTL 社 の 68%の 株 式 を 所 有 している MTL 社 のコンテナター ミナル 経 営 は 1972 年 に 香 港 の 最 初 のコンテナターミナル(CT1)から 開 始 し すでに 40 年 の 歴 史 を 持 つ 近 年 MTL 社 は 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルおいて 約 3 分 の1の 市 場 80

シェアを 維 持 している ほかの 香 港 系 GTO と 比 べて MTL 社 の 中 国 進 出 は 若 干 出 遅 れて いるものの 1994 年 には 深 圳 西 側 にある 蛇 口 集 装 箱 碼 頭 の 経 営 に 参 入 した 現 在 MTL 社 は CMHI 社 が 主 導 する 蛇 口 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 と 赤 湾 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 のそれぞれ 20% 8%の 株 式 を 所 有 している( 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 二 〇 一 〇 年 年 報 58 ページ) MTL 社 が 本 格 的 に 主 導 する 中 国 本 土 の 港 湾 開 発 は 蘇 州 太 倉 港 と 深 圳 大 鏟 湾 の 事 業 である 2004 年 には MTL 社 は 太 倉 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 の 51%の 株 式 を 購 入 し COSCO 社 ( 持 株 率 45.87%) 蘇 州 港 口 発 展 集 団 有 限 公 司 ( 持 株 率 3.13%)と 共 同 で 経 営 している 太 倉 国 際 集 装 箱 碼 頭 有 限 公 司 は 1998 年 に 設 立 された 企 業 である 主 要 な 港 湾 施 設 はコンテ ナ 専 業 バース2バース(コンテナ 年 間 取 扱 能 力 70 万 TEU) 雑 貨 バース2バース( 年 間 取 扱 能 力 500 万 トン)がある その 後 MTL 社 は 太 倉 港 2 期 工 事 である 太 倉 国 際 門 戸 にも 投 資 し 70%の 株 式 を 持 っている 一 方 で コンテナバースを2バースから6バースまでに 拡 張 し 同 ターミナルのコンテナ 取 扱 能 力 を 360 万 TEU まで 上 昇 させた 深 圳 大 鏟 湾 碼 頭 (1 期 )は MTL 社 ( 持 株 率 65%)と 深 圳 市 大 鏟 湾 港 口 投 資 発 展 有 限 公 司 ( 持 株 率 35%)と 共 同 で 投 資 したコンテナターミナルである 大 鏟 湾 碼 頭 (1 期 )は 2005 年 に 工 事 が 始 まり 2007 年 12 月 には 先 に 竣 工 した4 番 5 番 コンテナバースが 稼 動 し 2009 年 にはターミナル 全 体 が 完 成 した 現 在 は 15 万 トン 級 コンテナバース5バース(そ のうち 8000TEU 型 船 用 3バース 6000TEU 型 船 用 バース2バース)が 整 備 された 同 タ ーミナルは 岸 壁 延 長 1830m であり 水 深 は 15.5m に 達 し 年 間 取 扱 能 力 250 万 TEU を 有 している 同 ターミナルは 優 れた 地 理 位 置 や 先 端 な 港 湾 設 備 をアピールしているが 竣 工 時 期 は 2008 年 以 降 の 経 済 危 機 と 重 なっているので 実 際 のコンテナ 取 扱 量 は 2008 年 には 8 万 6000TEU 2009 には 23 万 5000TEU 2010 年 には 67 万 1000TEU であった( 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 [2007-2010]) コンテナ 取 扱 量 の 伸 び 率 が 大 きいものの ターミナル 全 体 の 稼 働 率 は 低 い 水 準 にとどまっている 今 後 どのように 同 ターミナルの 稼 働 率 を 高 め 企 業 収 益 を 増 加 するかは MTL 社 にとって 重 要 な 課 題 である MTL 社 は 珠 江 デルタにおける 深 圳 蛇 口 港 赤 湾 港 深 圳 大 鏟 湾 碼 頭 長 江 デルタにおけ る 蘇 州 太 倉 港 の 株 式 を 持 っている 一 方 で 今 後 環 渤 海 地 域 における 大 連 港 のコンテナ 港 湾 開 発 事 業 にも 参 入 する 予 定 である 2. 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 の 特 徴 以 上 のように 香 港 系 GTO は 重 要 なターミナルの 確 保 港 湾 或 いはターミナル 企 業 支 配 権 の 獲 得 港 湾 ネットワークの 構 築 を 図 ろうとしている 点 ではおおむね 共 通 している 香 港 系 GTO は 香 港 港 及 び 珠 江 デルタを 含 む 中 国 港 湾 の 発 展 に 大 きな 影 響 力 を 持 っている ことは 認 めざるを 得 ない また 香 港 系 GTO は 珠 江 デルタにおいてアライアンスを 組 んで 寡 占 体 制 を 作 っている 81

香 港 港 には HPH 社 と COSCO Pacific 社 MTL 社 と CMHI 社 はそれぞれ 連 携 して 安 定 的 な 寡 占 体 制 を 作 っている 深 圳 港 では HPH 社 が COSCO Pacific 社 と 連 携 し 塩 田 港 の 主 導 権 を 握 っている CMHI 社 は MTL 社 と 連 携 し 蛇 口 港 赤 湾 港 の 運 営 を 主 導 している さら に 深 圳 港 における 香 港 系 GTO による 寡 占 体 制 は 香 港 港 における 香 港 系 GTO による 寡 占 体 制 の 空 間 的 拡 張 であると 考 えられる( 王 [2010:89]) 香 港 系 GTO は 現 在 中 国 港 湾 とくに 珠 江 デルタ 諸 港 湾 において 攻 守 兼 備 という 極 めて 有 利 な 立 場 にある 攻 とは M&A によって 現 在 進 出 した 港 湾 の 持 ち 株 の 割 合 を 拡 大 し ターミナルの 企 業 支 配 権 を 獲 得 する 一 方 持 続 的 に 新 規 港 湾 へ 進 出 し 最 終 的 に 中 国 各 沿 海 地 域 と 長 江 流 域 を 跨 った 港 湾 ネットワークを 構 築 することである これによって 広 域 な 港 湾 寡 占 が 可 能 になり その 企 業 利 潤 の 最 大 化 を 実 現 できる 一 方 で 守 とは 中 国 港 湾 発 展 を 見 極 め その 投 資 を 慎 重 に 行 い 進 出 港 湾 を 拠 点 として 物 流 業 の 分 野 にも 進 出 することである これによって 経 営 の 多 角 化 を 図 ることが 可 能 となる 3. 香 港 系 GTO の 役 割 香 港 系 GTO の 存 在 は 香 港 港 の 発 展 にとって3つの 重 要 な 役 割 を 果 たしている 最 初 の 役 割 は 効 率 的 な 港 湾 運 営 である 香 港 港 のコンテナターミナルは 香 港 系 GTO の 経 営 努 力 によって 高 い 効 率 で 運 営 されている 香 港 系 GTO による 寡 占 体 制 がある 一 方 で 香 港 系 GTO 間 には 激 しい 集 荷 競 争 が 展 開 されている そのため 他 の 港 湾 と 比 較 しても 香 港 港 の 生 産 性 は 極 めて 高 い 新 しいコンテナバースが 整 備 されてないにもかかわらず 葵 涌 - 青 衣 コンテナターミナルのコンテナ 取 扱 能 力 は 1700 万 TEU から 1900 万 TEU まで 上 昇 した 2010 年 には バースあたりのコンテナ 取 扱 量 は 71 万 TEU に 達 し 高 い 生 産 性 が 維 持 されている つぎの 役 割 は 価 格 競 争 の 抑 止 である 香 港 系 GTO は 企 業 利 益 の 最 大 化 を 追 求 するため に 珠 江 デルタの 諸 港 湾 に 積 極 的 に 進 出 している こうした 進 出 は 同 地 域 港 湾 の 取 扱 能 力 の 増 大 と 効 率 の 向 上 に 大 きく 貢 献 している 一 方 で 港 湾 ネットワークの 構 築 によって 寡 占 体 制 が 形 成 されている 香 港 系 GTO は 成 長 可 能 性 を 持 つ 港 湾 に 進 出 して 港 湾 管 理 運 営 の 主 導 権 を 握 り 香 港 港 との 価 格 競 争 をできる 限 り 抑 え 香 港 港 と 珠 江 デルタ 諸 港 湾 との 棲 み 分 けの 体 制 を 作 り 出 した たとえば HPH 社 が 主 導 する 深 圳 塩 田 港 の 港 湾 料 金 は 香 港 港 の 水 準 に 及 ばないものの 広 州 港 などの 華 南 諸 港 湾 より 結 構 高 くなっている 最 後 の 役 割 は 珠 江 デルタ 諸 港 湾 の 再 編 成 の 主 役 である 珠 江 デルタにおける 過 剰 な 港 湾 整 備 の 傾 向 はすでに 強 まっている 一 部 の 港 湾 たとえば 広 州 港 や 東 莞 虎 門 港 は 地 方 政 府 の 補 助 政 策 の 下 で 低 価 格 競 争 の 戦 略 を 採 用 している こうした 動 きは 香 港 港 を 含 め 珠 江 デルタ 諸 港 湾 の 全 体 的 発 展 にとって 決 してプラス 要 因 にならない そのため 珠 江 デル タにおける 港 湾 再 編 成 が 必 要 である しかし 珠 江 デルタには 上 海 国 際 港 務 集 団 大 連 港 82

集 団 のような 有 力 な 大 型 国 有 企 業 が 存 在 していない また 同 地 域 の 港 湾 民 営 化 は 進 んで いることから 同 地 域 の 港 湾 再 編 成 の 役 目 は 自 然 に 香 港 系 GTO によって 遂 行 されると 考 えられる 香 港 系 GTO は 豊 富 な 資 金 ノウハウと 港 湾 ネットワークを 持 っているので その 目 的 を 達 成 することが 容 易 であると 考 えられる おわりに 現 在 香 港 港 はアジアのハブ 港 湾 として 大 きな 課 題 に 直 面 しているものの そのハブ 港 湾 の 地 位 は 少 なくとも 安 定 している 深 圳 港 とはハードとソフトの 両 面 においてそのサー ビス 水 準 を 香 港 港 に 急 接 近 しているが 香 港 港 が 持 つような 便 利 な 通 関 システム 高 度 な 金 融 貿 易 機 能 などは 短 期 間 に 超 越 することができない 機 能 である 中 国 本 土 港 湾 と 競 争 関 係 にある 香 港 港 の 優 位 性 は まさに 通 関 などの 手 続 きコストに 立 脚 していると 指 摘 され ている( 柴 崎 [2010:18]) 中 央 政 府 は 香 港 の 経 済 貿 易 金 融 情 報 航 運 サービスなどに おける 優 位 性 を 評 価 し 香 港 港 の 国 際 ハブ 港 湾 の 地 位 を 固 める 方 針 は 全 国 港 湾 開 発 計 画 の 中 にすでに 確 定 されている さらに 香 港 系 GTO は 深 圳 港 をはじめとする 珠 江 デルタ 諸 港 湾 への 進 出 にともない 香 港 港 と 珠 江 デルタ 諸 港 湾 との 棲 み 分 けの 関 係 が 着 実 に 構 築 され ている 今 後 香 港 港 の 発 展 は 世 界 経 済 中 国 経 済 の 発 展 状 況 および 中 央 政 府 香 港 特 別 行 政 区 の 政 策 に 影 響 を 受 けるが 香 港 系 GTO の 戦 略 動 向 にはとくに 注 意 する 必 要 があると 考 え られる なぜなら 香 港 系 GTO はそれぞれの 港 湾 事 業 の 進 展 にともない 香 港 港 の 事 業 に 対 して 徐 々に 温 度 差 が 出 でいるからである 現 在 HPH 社 と MTL 社 は 香 港 港 を 母 港 とし て 位 置 づけているが CMHI 社 は 深 圳 西 側 港 湾 を 自 社 の 母 港 としてその 地 位 を 高 めようと している 本 章 は 従 来 の 港 湾 間 競 争 という 空 間 的 視 点 から 香 港 港 の 現 状 と 問 題 点 を 把 握 する 一 方 で 香 港 系 GTO の 戦 略 的 動 向 という 港 湾 企 業 資 本 の 動 きの 視 点 から 香 港 港 のハブ 港 湾 地 位 維 持 の 可 能 性 を 分 析 した 香 港 港 を 考 察 する 場 合 コンテナ 貨 物 取 扱 量 のランキング 伸 び 率 と 港 湾 施 設 の 能 力 は 重 要 な 参 考 指 標 であるが その 裏 側 にある 港 湾 企 業 資 本 の 動 向 も 見 逃 すことができない 今 後 HPH 社 COSCO Pacific 社 MTL 社 CMHI 社 の 動 向 を 注 目 する 一 方 で 香 港 における DPW 社 と PSA 社 の 戦 略 的 動 きをも 分 析 し 香 港 港 の 発 展 の 可 能 性 を 検 討 しなければならないであろう 83

1 森 [2006a]は 大 手 の 世 界 的 な 規 模 でコンテナターミナルを 運 営 する 企 業 を グローバルターミナル オペレーター と 記 述 した 筆 者 は 森 の 定 義 に 賛 成 する 一 方 で こうしたターミナルオペレーター はコンテナターミナルだけでなく 石 油 雑 貨 自 動 車 などのターミナルの 経 営 にも 参 入 している ので グローバルターミナルオペレーター(GTO: Global Terminal Operator)はグローバル コンテナ ターミナル オペレーターより 正 確 な 用 語 であると 考 える 本 章 では 以 上 の 意 味 を 持 つ 香 港 系 グロ ーバルターミナルオペレーターの 略 称 として 香 港 系 GTO と 称 する 2 香 港 港 地 位 低 下 の 原 因 は 経 済 発 展 及 労 工 局 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2004] 香 港 港 口 規 劃 総 綱 2020 研 究 と 運 輸 及 房 屋 局 運 輸 科 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2008] 香 港 港 口 貨 運 予 測 2005/ 2006 研 究 に 詳 しく 書 かれている 3 広 州 港 のコンテナ 取 扱 能 力 は 中 国 港 口 年 鑑 2011 に 掲 載 されていない しかし 同 書 では 同 港 の 中 核 港 湾 企 業 である 広 州 港 集 団 有 限 公 司 のコンテナ 取 扱 能 力 は 737 万 TEU コンテナ 取 扱 量 は 984 万 6000TEU と 記 載 されていた このことから 広 州 港 全 体 のコンテナ 取 扱 能 力 は 737 万 TEU より 上 回 るものであると 推 察 できる 4 中 国 港 口 網 http://www.chinaports.org/info/201111/145152.htm(2011 年 11 月 8 日 アクセス) 5 中 国 港 口 網 http://www.chinaports.org/info/201112/146961.htm(2011 年 12 月 21 日 アクセス) 6 CMHI 社 の 港 湾 分 野 における 第 1と 第 2の 戦 略 的 行 動 に 関 する 記 述 は 郭 国 燦 [2009:405-409] 胡 政 [2010:337-357] および CMHI 社 のホームページを 参 考 した 7 招 商 局 国 際 有 限 公 司 ウェブサイト:http://www.cmhi.com.hk/ Detail.aspx?D=35,2809,130,6(2011 年 12 月 20 日 アクセス) 8 招 商 局 国 際 有 限 公 司 ウェブサイト:http://www.cmhi.com.hk/Detail.aspx?D=35,3078,101,11(2011 年 12 月 30 日 アクセス) [ 参 考 文 献 ] < 日 本 語 文 献 > 池 上 寬 大 西 康 雄 編 [2007] 東 アジア 物 流 新 時 代 -グローバル 化 への 対 応 と 課 題 - ア ジア 経 済 研 究 所 オーシャンコマース[2010] 国 際 輸 送 ハンドブック 2010 年 版 柴 崎 隆 一 [2010] 岐 路 に 立 つ 東 アジアの 港 湾 -インフラ 開 発 競 争 後 のパラダイム- ( 運 輸 と 経 済 第 70 巻 第 3 号 12-22 ページ) 津 守 貴 之 [1999] 香 港 ( 財 団 法 人 関 西 経 済 研 究 センター アジア 物 流 と 日 本 の 港 湾 経 営 - 国 際 競 争 下 の 拠 点 港 湾 に 関 する 研 究 調 査 報 告 書 財 団 法 人 関 西 経 済 研 究 センタ 84

ー 180-199 ページ) 森 隆 行 [2006a] 国 際 港 湾 世 界 のコンテナターミナルオペレーターの 動 向 ( 上 ) ( 海 運 9 月 36-39 ページ) [2006b] 国 際 港 湾 世 界 のコンテナターミナルオペレーターの 動 向 ( 下 ) ( 海 運 10 月 62-65 ページ) < 中 国 語 文 献 > 郭 国 燦 [2009] 香 港 中 資 財 団 香 港 三 聯 書 店 ( 香 港 ) 有 限 公 司 和 記 黄 埔 有 限 公 司 [2001-2010] 和 記 黄 埔 有 限 公 司 年 報 香 港 和 記 黄 埔 有 限 公 司 胡 政 主 編 朱 耀 斌 朱 玉 華 編 著 [2010] 招 商 局 与 中 国 港 航 業 北 京 社 会 科 学 文 献 出 版 社 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 [2001-2010] 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 年 報 香 港 九 龍 倉 集 団 有 限 公 司 罗 萍 尹 震 [2008] 促 進 香 港 国 際 航 運 中 心 発 展 的 戦 略 思 考 ( 国 家 発 展 和 改 革 委 員 会 総 合 運 輸 研 究 所 編 中 国 港 口 建 設 発 展 報 告 北 京 人 民 交 通 出 版 社 31-34 ページ) 経 済 発 展 及 労 工 局 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2004] 香 港 港 口 規 劃 総 綱 2020 研 究 香 港 経 済 発 展 及 労 工 局 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 運 輸 及 房 屋 局 運 輸 科 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 [2008] 香 港 港 口 貨 運 予 測 2005/2006 研 究 香 港 運 輸 及 房 屋 局 運 輸 科 委 託 GHK( 香 港 ) 有 限 公 司 招 商 局 国 際 有 限 公 司 [ 各 年 版 ] 招 商 局 国 際 有 限 公 司 年 報 招 商 局 国 際 有 限 公 司 中 国 港 口 年 鑑 編 輯 部 編 [ 各 年 版 ] 中 国 港 口 年 鑑 上 海 中 国 港 口 雑 誌 社 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 [2001-2010] 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 終 期 業 績 新 聞 稿 中 遠 太 平 洋 有 限 公 司 王 緝 憲 [2010] 中 国 港 口 城 市 的 互 動 与 発 展 東 南 大 学 出 版 社 南 京 85