第1章



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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人


●電力自由化推進法案

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

公表表紙


3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

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災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

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m07 北見工業大学 様式①

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

目 次 都 市 づくりの 全 体 構 想 偏 1. 都 市 づくりの 理 念 と 目 標 1 1. 都 市 づくりの 理 念 と 将 来 像 1 2. 都 市 づくりの 目 標 とテーマ 2 3. 計 画 期 間 3 4. 将 来 人 口 フレーム 3 2. 将 来 都 市 構 造 4 1. 将 来

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16 日本学生支援機構

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

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事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用


1 異 動 の 規 模 等 (1) 異 動 規 模 ( 知 事 部 局 ) (2) 昇 任 の 状 況 ( 知 事 部 局 ) ( 単 位 : 人 ) ( 単 位 人 ) 異 動 内 容 H H 増 減 事 務 (うち 男 性 ) (うち 女 性 ) 技 術 (うち 男 性

18 国立高等専門学校機構


は し が き

目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

ニュースリリース

個人住民税徴収対策会議

などは 別 の 事 業 所 とせず その 高 等 学 校 に 含 めて 調 査 した 5 調 査 事 項 単 独 事 業 所 調 査 票 全 産 業 共 通 事 項 ( 単 独 事 業 所 ) ア 名 称 及 び 電 話 番 号 イ 所 在 地 ウ 経 営 組 織 ( 協 同 組 合 においては 協

別紙3

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

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タイトル

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平成24年度 業務概況書

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

●幼児教育振興法案

資 料 年 オリンピック パラリンピック 東 京 大 会 における ホストシティ タウン 構 想 (イメージ) 1. 趣 旨 経 済 財 政 運 営 と 改 革 の 基 本 方 針 2014( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )を 踏 まえ 2020 年 オリン

12 大 都 市 の 人 口 と 従 業 者 数 12 大 都 市 は 全 国 の 人 口 の 約 2 割 従 業 者 数 の 約 3 割 を 占 める 12 大 都 市 の 事 業 所 数 従 業 者 数 及 び 人 口 は 表 1 のとおりです これらの 12 大 都 市 を 合 わせると 全

市街化区域と市街化調整区域との区分

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2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

一般競争入札について

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

守 口 市 立 東 小 学 校 大 久 保 小 学 校 の 統 合 実 施 計 画 目 次 第 1 守 口 市 における 学 校 統 合 の 背 景 1 第 2 東 小 学 校 と 大 久 保 小 学 校 の 統 合 について 1 第 3 統 合 校 の 学 校 づくりについて 2 第 4 東 小

4. 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 特 例 の 延 長 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 以 下 の 特 例 措 置 の 適 用 期 限 ( 平 成 28 年 3 月 31 日 )を 延 長 する 1 登 録 免 許 税 の 特 例 ( 所 有 権 の 保 存 登 記 : 本 則 0.4%

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別 添 1 女 性 国 家 公 務 員 の 登 用 状 況 資 料 1 指 定 職 に 占 める 女 性 の 割 合 は3.0%( 平 成 27 年 11 月 1 日 現 在 ) ( 前 年 9 月 1 日 現 在 から0.2ポイント 増 ) 本 省 課 室 長 相 当 職 以 上 に 占 める 女

(2) 都 市 計 画 区 域 市 街 化 区 域 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 1 都 市 計 画 区 域 の 変 遷 2 市 街 化 区 域 及 び 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 旧 石 巻 市 ( 単 位 :ha) ( 単 位 :ha) 変 更 都 市 計 画 区 域 行

新 市 建 設 計 画 の 変 更 に 係 る 新 旧 対 照 表 ページ 変 更 後 変 更 前 表 紙 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 平 成 27 年 3 月 変 更 安 中 市 6 2. 計 画 策 定 の 方 針 (3) 計


預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

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スライド 1

Feature 平 成 24 年 度 事 業 報 告 並 びに 一 般 会 計 特 別 会 計 収 支 決 算 報 告 1. 知 的 資 産 経 営 と 企 業 間 連 携 の 推 進 による 地 域 産 業 の 活 性 化 ⑴ 経 営 革 新 への 取 り 組 み 支 援 による 地 域 産 業

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

景品の換金行為と「三店方式」について

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

学校安全の推進に関する計画の取組事例

Transcription:

特 別 寄 稿 経 済 の 特 徴 と 発 展 の 方 向 性 日 本 銀 行 仙 台 支 店 前 支 店 長 橋 本 要 人 営 業 課 本 郷 保 範 山 崎 智 広

経 済 の 特 徴 と 発 展 の 方 向 性 日 本 経 済 は 生 産 所 得 支 出 の 好 循 環 が 働 くもとで 緩 やかに 拡 大 して おり 昨 年 11 月 には いざなぎ 景 気 を 超 え 戦 後 最 長 の 景 気 回 復 局 面 となっ ている こうした 中 経 済 の 現 状 をみると 的 な 景 気 回 復 のプロ セスの 中 で 企 業 部 門 を 中 心 に 緩 やかな 回 復 を 続 けているものの に 比 べ 出 遅 れ 感 は 否 めない 状 況 となっている このような 地 域 格 差 は 地 域 が 抱 え る 構 造 調 整 圧 力 が 色 濃 く 出 ていることによるものではないかと 考 えられる そこで 本 稿 では 経 済 の 特 徴 を 整 理 した 上 で 今 後 県 経 済 が 中 期 的 に 進 むべき 構 造 調 整 の 方 向 性 や 取 り 組 むべき 課 題 等 について 述 べてみた い 1. 経 済 の 特 徴 の 産 業 構 造 をみると ( 図 1) と 比 べ 第 二 次 産 業 の 割 合 が 低 い 一 方 農 業 水 産 業 を 中 心 とする 第 一 次 産 業 や 卸 小 売 業 運 輸 通 信 業 を 中 心 とする 第 三 次 産 業 の 割 合 が 高 いことが 特 徴 である また 仙 台 市 を 中 心 に 県 外 企 業 ( 県 外 に 本 店 を 有 する 出 先 事 業 所 等 )の 割 合 (26.1%< 事 業 所 企 業 統 計 調 査 2001 年 >)が 高 く(47 都 道 府 県 中 第 1 位 ) 支 店 経 済 の 色 彩 が 強 いことも 大 きな 特 徴 の ひとつとなっている もっとも 地 域 別 にみると 県 内 一 様 ではない( 図 2) すなわ ち 仙 台 市 は の 名 目 GD 図 1 の 産 業 構 造 (%) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1.9 1.6 26.9 20.6 77.5 71.6 第 一 次 産 業 第 二 次 産 業 第 三 次 産 業 ( 注 1) の 数 値 は 年 度 の 数 値 は 暦 年 ( 以 下 同 様 ) ( 注 2) 四 捨 五 入 のため 合 計 は 必 ずしも 100%にならない 232 ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (04 年 )

Pのおよそ 半 分 (49.6%)を 占 める 県 の 中 核 都 市 であり 同 市 は 第 三 次 産 業 特 に 卸 小 売 業 やサービス 業 の 割 合 が 高 く 商 業 都 市 としての 色 彩 が 強 い 一 方 仙 台 市 を 除 くその 他 地 域 に 目 を 向 けると 仙 南 地 域 や 大 崎 地 域 など 製 造 業 が 盛 んな 地 域 も 一 部 にはみられるものの 的 にも 有 名 な 水 産 業 の 都 市 ( 気 仙 沼 市 石 巻 市 )を 配 して いるほか 登 米 地 域 や 栗 原 地 域 などでは 農 業 が 盛 んなこともあ り 総 じてみると 第 一 次 産 業 の 割 合 が 高 いことが 大 きな 特 徴 と なっている( 第 一 次 産 業 の 県 内 総 生 産 額 のうち 96.3%をその 他 地 域 が 占 めている) 2. 経 済 の 現 状 現 在 経 済 は 的 な 景 気 回 復 過 程 の 中 で 緩 やかな 回 復 を 続 けている しかしなが ら 実 質 GDPの 推 移 をみると ( 図 3) より 伸 び 悩 んでい る 状 況 が 続 いており 一 人 当 た り 県 民 所 得 の 水 準 をみても( 図 4) に 比 べ1 割 方 低 くなっ ている これは 今 回 の 景 気 回 復 の 牽 引 役 でもあり 生 産 性 の 伸 びが 高 図 2 の 産 業 構 造 マップ 仙 台 市 仙 南 地 域 大 崎 地 域 栗 原 地 域 仙 台 地 域 北 部 仙 台 地 域 南 部 仙 台 地 域 東 部 登 米 地 域 石 巻 地 域 農 業 気 仙 沼 本 吉 地 域 水 産 業 製 造 業 建 設 業 第 三 次 産 業 その 他 ( 注 ) 円 グラフの 面 積 は 市 町 村 内 総 生 産 ( 産 業 )の 大 きさを 表 す 図 3 実 質 GDP の 推 移 ( 資 料 ) 市 町 村 民 経 済 計 算 (03 年 度 ) (00 年 度 =100) 105 104 103 102 101 100 99 98 97 96 00 01 02 03 04 ( 年 度 年 ) 233 ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 内 閣 府 国 民 経 済 計 算

い 製 造 業 の 割 合 が 低 い( 図 5) といった 産 業 構 造 上 の 問 題 のほ か 人 口 も より 速 いペース で 増 加 幅 が 縮 小 し 2005 年 には 減 少 に 転 じていること( 図 6) などにより 潜 在 成 長 力 の 低 下 に 直 面 しているため と 考 えら れる こうした 点 を 踏 まえると 宮 城 県 経 済 として ただ 単 に 的 な 景 気 回 復 の 波 及 を 待 つ 受 け 身 的 な 姿 勢 では 今 後 も と の 格 差 が 一 段 と 拡 大 していくこ とが 懸 念 される 図 5 名 目 GDP に 占 める 製 造 業 の 割 合 図 4 1 人 当 たり 所 得 の 比 較 ( 千 円 ) 3,000 2,826 2,800 2,600 2,530 2,400 2,200 2,000 ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) 図 6 の 人 口 増 減 率 (%) 25 20 21.2 (%) 7.0 6.0 5.0 15 15.5 4.0 3.0 10 2.0 1.0 5 0.0 0-1.0 1980 85 90 95 2000 05 ( 年 ) ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) ( 注 ) 調 査 回 (5 年 )ごとの 増 減 率 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (04 年 ) 総 務 省 国 勢 調 査 3. 経 済 の 発 展 の 方 向 性 格 差 拡 大 が 懸 念 される 状 況 の 中 で 経 済 が 産 業 構 造 の 変 革 に 取 り 組 み 人 口 減 少 に 直 面 する 中 にあっても 生 産 性 の 向 上 などによって 潜 在 成 長 率 を 引 き 上 げて 将 来 に 向 けて 更 なる 発 展 を 遂 げていく 経 済 産 業 政 策 が 求 め られている このためには 県 内 各 地 域 はもとより 東 北 他 県 との 連 携 も 強 く 234

意 識 し 仙 台 市 とその 他 地 域 それぞれの 特 色 を 生 かしながら 以 下 のような 方 向 性 で 課 題 に 取 り 組 んでいくことが 有 効 であると 考 えられる (1) 商 都 としての 機 能 高 度 化 が 期 待 される 仙 台 前 段 でみてきた 通 り 仙 台 市 図 7 仙 台 東 北 他 都 市 間 の 高 速 バス 乗 車 者 数 の 推 移 は 第 三 次 産 業 の 割 合 が 高 く 百 ( 万 人 ) 貨 店 や 海 外 の 高 級 ブランドショ ップ 営 業 所 等 のオフィスが 集 積 しており 東 北 の 他 の 都 市 に 比 べても 商 業 都 市 としての 機 能 600 500 400 300 200 175 222 251 295 350 434 478 が 格 段 に 充 実 している その 結 100 果 東 北 他 県 から 買 い 物 等 を 目 的 に 仙 台 市 を 訪 れる 人 の 数 は 高 速 交 通 網 の 発 達 もあって 近 年 0 99 00 01 02 03 04 05 ( 年 度 ) ( 資 料 ) 東 北 運 輸 局 増 加 傾 向 にあり( 図 7) 域 外 需 図 8 仙 台 市 福 岡 市 の 人 口 1,000 人 当 たりの 事 業 所 数 要 の 獲 得 につながっている しかしながら 産 業 構 造 や 人 口 構 成 が 類 似 し 地 域 において 中 核 的 な 機 能 を 果 たしている 福 ( 事 業 所 数 ) 60 51 50 42 40 30 仙 台 市 福 岡 市 系 列 3 岡 市 と 比 較 すると 1 人 口 当 り 事 業 所 数 にみられる 企 業 集 積 度 の 割 り 負 け 感 ( 図 8)や 2 商 20 10 0 16 14 8 4 4 6 2 2 全 産 業 建 設 業 製 造 業 卸 売 小 売 業 飲 食 宿 泊 業 施 設 や 交 通 インフラ 面 での 劣 位 性 等 商 業 都 市 としての 魅 力 成 熟 度 が 相 対 的 に 低 い 現 状 がみ ( 注 )04 年 における 推 計 人 口 を 用 いて 作 成 ( 資 料 ) 総 務 省 事 業 所 企 業 統 計 調 査 (04 年 ) 仙 台 市 福 岡 市 推 計 人 口 てとれる( 図 表 9) 235

図 表 9 仙 台 市 と 福 岡 市 の 各 種 統 計 の 比 較 商 業 娯 楽 交 通 企 業 仙 台 市 福 岡 市 仙 台 福 岡 備 考 百 貨 店 ( 店 ) 3 4 1 06 年 店 舗 面 積 (m2) 77,460 154,079 76,619 10 月 末 主 要 海 外 ブランドショップ( 店 ) 12 14 2 06 年 5 月 末 旅 館 業 ( 旅 館 業 ホテル 営 業 等 ( 軒 ) 266 330 64 05 年 度 末 民 放 テレビ 局 ( 局 ) 4 5 1 06 年 11 月 末 映 画 館 ( 個 所 ) 10 49 39 04 年 末 演 劇 演 芸 場 ( 個 所 ) 8 16 8 ボウリング 場 ( 個 所 ) 6 9 3 テニス 場 ( 含 むテニス 練 習 場 ) 10 22 12 深 夜 酒 類 提 供 飲 食 店 ( 店 ) 2,634 5,858 3,224 主 要 祭 り 仙 台 七 夕 まつり 博 多 どんたく 港 まつり 集 客 数 ( 万 人 / 日 ) 71(06 年 8 月 ) 110(06 年 5 月 ) 39 06 年 地 下 鉄 営 業 距 離 (km) 14.8 29.8 15.0 04 年 度 末 都 市 間 長 距 離 バス 便 ( 便 ) 734 1,439 705 06 年 6 月 駐 車 場 ( 個 所 500m2 以 上 ) 208 319 111 04 年 度 末 収 納 可 能 台 数 ( 台 ) 31,789 57,922 26,133 証 券 取 引 所 福 岡 証 券 取 引 所 06 年 11 月 末 上 場 企 業 ( 社 ) 19 52 33 東 北 九 州 地 域 での 集 積 率 (%) 29.2 43.0 13.8 ( 資 料 ) 日 本 百 貨 店 協 会 厚 生 労 働 省 保 健 衛 生 行 政 業 務 報 告 ( 衛 生 行 政 報 告 例 )の 概 況 経 済 産 業 省 特 定 サービス 産 業 実 態 調 査 横 浜 市 大 都 市 比 較 統 計 年 表 警 察 庁 JTB 時 刻 表 都 道 府 県 別 上 場 企 業 一 覧 仙 台 市 が 福 岡 市 を 模 倣 する 必 図 10 実 質 GDP 成 長 率 の 比 較 要 はないが 両 市 のここ 十 数 年 の 経 済 発 展 を 比 較 した 場 合 ( 図 10) 参 考 となるべき 事 象 は 多 い 例 えば 企 業 の 集 積 度 をみた 場 合 福 岡 市 には 北 九 州 地 域 と いう 鉄 鋼 や 輸 送 機 械 等 製 造 業 の 一 大 拠 点 を 後 背 に 有 しており (90 年 度 =100) 115 1990 年 度 110 2003 年 度 107.8 105 100 100.0 100.0 95 112.2 これらの 営 業 事 務 部 門 の 福 岡 市 への 集 積 が 情 報 発 信 商 都 形 90 仙 台 市 福 岡 市 成 の 大 きな 要 因 となっている ( 資 料 ) 仙 台 市 福 岡 市 市 民 経 済 計 算 一 方 仙 台 市 周 辺 にも 仙 南 大 崎 など 製 造 業 が 盛 んな 地 域 はあるが 北 九 州 地 域 と 比 較 すると 格 段 に 規 模 が 小 さい もっとも 隣 県 にまで 目 を 向 ける と 岩 手 県 北 上 市 周 辺 では 自 動 車 産 業 を 中 心 に 産 業 振 興 に 行 政 が 力 を 入 れて おり 東 北 における 一 大 産 業 集 積 地 として 発 展 しつつある また 山 形 県 米 236

沢 市 は 情 報 通 信 機 器 では でも 有 数 の 工 業 地 域 となっている 現 在 では 仙 台 サイバーフォレスト 構 想 やMEMS( 微 小 電 気 機 械 システム)パークコンソーシアムなど 産 学 官 協 働 で 新 産 業 の 創 造 育 成 などに 注 力 しており 新 規 産 業 の 誘 致 育 成 に 期 待 が 持 たれている ただ こうした 取 り 組 みを 県 単 独 で 推 進 していくには 相 応 の 時 間 を 要 するのも 事 実 であることから 例 えば 仙 台 市 を 中 心 とした 広 域 経 済 圏 ( グレーター 仙 台 圏 )といった 広 い 視 野 に 立 って 周 辺 の 製 造 業 の 拠 点 を 仙 台 市 の 商 業 機 能 が 取 り 込 んでいくという 視 点 も 必 要 ではないかと 考 えられる こうした 中 で 昨 年 自 動 車 関 連 産 業 の 集 積 を 目 的 に 岩 手 宮 城 山 形 3 県 による と うほく 自 動 車 産 業 集 積 連 携 会 議 が 発 足 したが 地 域 連 携 による 産 業 育 成 に 向 けた 取 り 組 みとして 今 後 のさらなる 進 展 が 期 待 される (2) 東 北 のゲートウェイとしての 地 位 の 確 立 仙 台 市 は 東 北 の 交 通 の 要 衝 として 鉄 道 道 路 など 陸 上 の 交 通 網 が 充 実 し ているほか 東 京 からの 近 接 性 では 地 方 都 市 の 中 でも 群 を 抜 いており( 図 表 11) 交 通 の 利 便 性 は 仙 台 市 の 特 徴 といえる このため 仙 台 空 港 仙 台 港 など ヒト モノの 交 流 において 東 北 のゲートウェイとしての 役 割 を 充 実 強 化 していくことは 商 都 としての 機 能 も 高 めることになろう 図 表 11 東 京 からのアクセスの 優 位 性 仙 台 福 岡 交 通 手 段 所 要 時 間 1 日 当 たり 定 員 の 運 行 本 数 車 両 機 体 名 運 賃 約 100 分 32 本 1,152 名 はやて こまち 21,180 円 1,152 名 やまびこ(16 両 ) 48 本 新 幹 線 約 120 分 814 名 やまびこ(10 両 ) 35 本 1,634 名 Maxやまびこ(16 両 ) 約 130 分 817 名 Maxやまびこ(8 両 ) 20,160 円 新 幹 線 約 310 分 52 本 1,323 名 のぞみ 44,640 円 航 空 機 約 130 分 86 本 569 名 B747-400 64,800 円 ( 注 )06 年 4 月 中 の 運 行 ダイヤをもとに 作 成 所 要 時 間 のうち 航 空 機 は 東 京 駅 ~ 羽 田 空 港 福 岡 空 港 ~ 博 多 駅 の 鉄 道 移 動 時 間 を 含 む ( 資 料 ) 時 刻 表 仙 台 空 港 HP 福 岡 空 港 HP モノの 移 動 物 流 に 関 しては 陸 路 空 路 もさることながら 低 コスト 大 量 輸 送 としての 海 路 は 欠 かすことができないインフラである 特 に 港 湾 に 関 しては 県 の 財 政 が 厳 しい 中 にあっても 今 後 重 点 的 に 取 り 組 むべきイン フラであろう この 点 07 年 度 予 算 でも 仙 台 港 でのクレーン 増 設 や 周 辺 高 速 道 路 ICの 整 備 のため 予 算 が 拡 充 されているが 港 湾 は 陸 上 交 通 網 が 寸 237

断 される 災 害 時 における 物 流 網 としても 極 めて 有 用 であり 将 来 の 地 震 発 生 が 心 配 される ではその 点 からも 港 湾 整 備 の 必 要 性 が 指 摘 できる 一 方 ヒトの 交 流 として この 交 通 の 利 便 性 を 生 かすべき 場 としては 観 光 がある ( 仙 台 市 )は 東 北 における 交 通 の 要 衝 であり 近 隣 他 県 との 往 来 が 容 易 であるため 東 北 の 豊 かな 観 光 資 源 を 背 景 に 仙 台 市 を 起 点 に 観 光 客 の 多 様 なニーズに 応 じた 各 種 観 光 ルートを 設 定 すること が 可 能 である のみならず 東 北 他 県 にまで 視 野 を 広 げれば 伝 統 芸 能 神 社 仏 閣 自 然 遺 産 山 海 グルメ 温 泉 ( 湯 治 ) トレッキング スキ ー ゴルフ 等 観 光 資 源 は 無 尽 蔵 である こうした 中 は 仙 台 市 を 中 心 に 域 外 から 東 北 各 地 を 訪 れる 観 光 客 にとっての 拠 点 (ゲートウェイ)と 位 置 付 け みやぎ 観 光 戦 略 プラン を 策 定 して 観 光 推 進 策 を 展 開 している 観 光 振 興 は 地 域 活 性 化 の 有 効 策 と して 各 地 でも 取 り 組 みが 強 化 されており 観 光 客 誘 致 競 争 は 今 後 益 々 激 しくなっていくことが 予 想 される こうした 地 域 間 競 争 に 打 ち 勝 つためには 観 光 のみならず が 東 北 のリーダー コーディネーターとなり 広 域 連 携 で 取 り 組 んでいくことが 重 要 である 08 年 に を 中 心 に 実 施 される 仙 台 宮 城 デスティネーションキャンペーン においても この 点 を 意 識 して 東 北 他 県 と 連 携 することが 今 後 の 観 光 ひいては 東 北 観 光 の 発 展 につながると 考 えられる (3) 食 を 中 心 とした 産 業 連 携 の 確 立 は 沿 岸 部 や 北 部 を 中 心 に 第 一 次 産 業 の 割 合 が 高 いうえ 食 品 製 造 業 の 割 合 も 高 いが 残 念 ながら 近 年 第 一 次 産 業 食 品 製 造 業 の 割 合 は 低 下 傾 向 を 辿 っている( 図 12 13) 現 在 食 を 取 り 巻 く 環 境 は わが 国 食 料 自 給 率 が 40% を 下 回 りつつあるほか BS E 鳥 インフルエンザ ノロ 図 12 名 目 GDP に 占 める 第 一 次 産 業 の 割 合 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 238 238 (%) 96 97 98 99 00 01 02 03 04 ( 年 度 年 ) ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (04 年 )

ウィルスなど 安 全 安 心 に 対 す る 関 心 が 高 まり 食 の 安 全 保 障 が 喫 緊 の 課 題 である 加 えて 国 の 農 業 政 策 が 生 産 性 向 上 に 向 けて 大 きく 転 換 され る さらには 近 隣 諸 国 が 食 糧 輸 入 国 に 転 じる 一 方 所 得 向 上 に 伴 う 嗜 好 品 需 要 の 高 まり などの 変 化 に 晒 されている こうした 環 境 変 化 の 下 で 宮 城 県 をはじめとする 東 北 地 方 は 歴 史 的 にも 首 都 圏 に 対 す 図 13 名 目 GDP に 占 める 食 品 製 造 業 の 割 合 (%) 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 96 97 98 99 00 01 02 03 04 ( 年 度 年 ) ( 資 料 ) 県 民 経 済 計 算 (04 年 度 ) 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (04 年 ) る 食 料 供 給 基 地 としての 役 割 を 担 ってきた 経 緯 を 有 しており 当 地 の 特 色 ある 産 業 として 振 興 を 進 めてい くことは 他 地 域 の 追 随 を 許 さない 比 較 優 位 性 を 有 していると 思 われる 宮 城 県 の 07 年 度 予 算 の 中 にも 実 践 経 営 塾 を 通 じたアグリビジネス 経 営 体 の 育 成 を 目 的 とした 新 世 代 アグリビジネス 総 合 推 進 費 が 新 設 されているが 農 政 転 換 期 にある 今 の 農 業 にとって 生 産 性 の 高 い 農 業 を 営 むには 不 可 欠 な 取 り 組 みと 言 えるのではないだろうか こうした 中 例 えば 農 業 に 目 を 向 けると 米 仙 台 牛 いちごなどの 生 産 が 盛 んであるほか 水 産 業 では 好 漁 場 の 三 陸 沖 に 近 いため サンマ ホヤ カキ 銀 鮭 等 の 漁 獲 量 が 多 く 県 別 漁 獲 量 は 第 2 位 となっている もっ とも こうした 食 材 ( 資 源 )について の 産 品 としての 情 報 発 信 はこ れまで 不 足 していた 従 って 笹 かまといえば 仙 台 と 言 われるような 地 域 ブランドを 積 極 的 に 育 成 し これを 広 く 情 報 発 信 していく 必 要 があると 思 われる その 際 ただ 単 一 の 素 材 として 発 信 するだけではなく 食 品 製 造 業 ( 第 二 次 産 業 )や 飲 食 店 宿 泊 業 ( 第 三 次 産 業 )と 連 携 し 価 値 連 鎖 を 構 築 発 信 していくことが 重 要 であると 考 えられる 素 材 の 加 工 調 理 素 材 と 素 材 との 組 み 合 わせ 食 し 方 など 素 材 に 付 加 価 値 を 付 け オリジナリ ティ 差 別 化 を 強 調 していくことは 有 効 な 手 段 と 考 えられる 例 えば 地 元 のカリスマシェフが 地 元 の 食 材 を 用 い 地 元 の 食 品 加 工 業 者 とタイアップし て 製 品 を 開 発 し 発 信 をするといった 取 り 組 みや 季 節 や 景 観 等 T 239

(time) P(place) O(opportunity)とも コラボレイト した 食 し 方 を 提 案 することなどが 考 えられる こうした 産 業 の 連 携 により 提 供 される 食 は 観 光 客 にとっても 魅 力 的 で あり 観 光 振 興 にも 大 きく 寄 与 するものと 考 えられる この 点 も の 07 年 度 予 算 でも 県 内 農 林 水 産 物 のマッチング 調 査 や 商 談 会 への 出 展 を 目 的 とした 食 品 製 造 業 振 興 プロジェクト 推 進 費 が 新 設 されており 食 材 と 食 品 製 造 業 のマッチング 等 を 通 じた 連 携 の 推 進 ひいては 飲 食 店 宿 泊 業 ( 第 三 次 産 業 )にまで 及 ぶようになればより 強 力 な 連 携 となろう 4.むすび 本 稿 では が 取 り 組 むべき 課 題 として 1 商 都 としての 機 能 高 度 化 が 期 待 される 仙 台 2 東 北 のゲートウェイとしての 地 位 の 確 立 3 食 を 中 心 とした 産 業 連 携 の 確 立 といった 3 点 から 考 察 してきたが これらを 推 進 していくうえで 共 通 のキーワードは イノベーション と 連 携 であ る イノベーション とは これまでのモノ 仕 組 みなどに 対 して 全 く 新 しい 技 術 や 考 え 方 を 取 り 入 れて 新 たな 価 値 を 生 み 出 し 社 会 的 に 大 きな 変 化 を 起 こすこと ( 内 閣 府 )と 定 義 されている 今 後 グローバル 化 の 中 で 東 アジアを 中 心 とする 厳 しい 価 格 競 争 の 追 い 上 げに 打 ち 勝 っていくために は イノベーション への 取 り 組 みが 不 可 欠 であり また その 有 無 によっ て 今 まで 以 上 に 地 域 や 企 業 などの 間 で 格 差 が 拡 大 していく 可 能 性 が 高 いと 考 えられる それだけに 経 済 の 発 展 を 進 めていくに 当 たっても 地 域 特 性 を 見 定 めたこれまでにない イノベイティブ な 政 策 経 営 が 不 可 欠 である... この イノベーション は 異 分 野 の 知 識 知 恵 等 を 組 み 合 わせることに よって 生 まれることが 多 いため 産 業 の 集 積 教 育 機 関 等 の 知 的 集 約 を 高 め るべく 地 域 社 会 全 体 ( 産 学 官 に 加 え 金 融 機 関 )として 連 携 を 図 っ ていくことが 必 要 である 商 都 機 能 の 高 度 化 や 観 光 振 興 策 でも 触 れたとおり の 周 囲 には 製 造 業 の 集 積 が 進 んでいる 岩 手 山 形 福 島 農 業 が 盛 んな 青 森 秋 田 など にはない 特 性 を 有 している 地 域 が 多 い そうし た 周 辺 地 域 をも 含 めた 広 域 連 携 も 意 識 しながら 継 続 的 に イノベーシ ョン を 実 現 していくことが 経 済 の 発 展 に 資 するのではないかと 考 え 240

られる 現 状 の 地 域 経 済 は 戦 後 経 済 モデルの 大 きな 転 換 期 に 直 面 している 一 方 で 厳 しい 財 政 運 営 を 迫 られており ここ 数 年 をどのように 舵 取 りしていくか 知 恵 の 出 しどころであり 将 来 の 展 望 を 大 きく 左 右 する 重 大 な 局 面 にあるとの 認 識 が 重 要 である そうした 認 識 の 下 で 仙 台 宮 城 デスティネーションキャンペーン に おいて 仙 台 商 工 会 議 所 が デスティネーションキャンペーンへの 地 域 商 工 業 者 の 対 応 に 関 する 提 言 の 作 成 をはじめ 積 極 的 に 活 動 を 展 開 推 進 してい る 姿 にみられるように 各 経 済 主 体 が 行 政 に 対 して 要 望 するばかりではなく それぞれの 立 場 で 何 ができるのか 方 向 性 が 示 されたグランドデザインに 沿 って 行 動 し 貢 献 していくことが 望 まれよう 本 寄 稿 文 の 内 容 や 意 見 は 執 筆 者 個 人 に 属 し 日 本 銀 行 の 公 式 見 解 を 示 すもの ではありません 241