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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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16 日本学生支援機構

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4. 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 特 例 の 延 長 長 期 優 良 住 宅 に 係 る 以 下 の 特 例 措 置 の 適 用 期 限 ( 平 成 28 年 3 月 31 日 )を 延 長 する 1 登 録 免 許 税 の 特 例 ( 所 有 権 の 保 存 登 記 : 本 則 0.4%

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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文化政策情報システムの運用等

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(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

公表表紙

PowerPoint プレゼンテーション

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

建設特別・資産運用の基本方針

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(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

1. 中 小 企 業 等 経 営 強 化 法 の 目 的 (1) 生 産 性 向 上 の 必 要 性 (3) 業 種 別 の 経 営 課 題 への 対 応 少 子 高 齢 化 人 手 不 足 等 の 状 況 において 効 果 的 に 付 加 価 値 を 生 み 出 せるよう 製 造 業 はもとより

m07 北見工業大学 様式①

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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省 九 州 地 方 整 備 局 長 若 しくは 宮 崎 県 知 事 に 意 見 を 提 出 することができる ( 役 員 の 任 命 ) 第 8 条 理 事 長 及 び 監 事 は 宮 崎 県 知 事 が 任 命 する 2 理 事 は 理 事 長 が 任 命 する 3 副 理 事 長 は 理 事 長

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

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平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

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資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

●電力自由化推進法案

定款

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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主要生活道路について

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

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一般競争入札について

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

定款  変更

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

大阪府住宅供給公社定款

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18 国立高等専門学校機構

1 はじめに 計 画 の 目 的 国 は 平 成 18 年 度 に 住 生 活 基 本 法 を 制 定 し 住 まいに 関 する 基 本 的 な 計 画 となる 住 生 活 基 本 計 画 ( 全 国 計 画 )を 策 定 し 住 宅 セーフティネットの 確 保 や 住 生 活 の 質 の 向 上

土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

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(2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 該 当 事 項 はありません (3) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 作 成 に 係 る 会 計 処 理 の 原 則 手 続 表 示 方 法 等 の 変 更 当

小山市保育所整備計画

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

Transcription:

レポート 東 京 国 際 金 融 センターの 地 位 確 立 に 向 けて 東 京 が 目 指 すべきモデルと 戦 略 に 関 する 考 察 みずほ 総 合 研 究 所 調 査 本 部 本 部 長 代 理 兼 市 場 調 査 部 長 長 谷 川 克 之 1. 動 き 始 めた 国 際 金 融 セン ター 推 進 構 想 去 りゆく2014 年 は 国 際 金 融 センターとして 捲 土 重 来 を 期 す 日 本 就 中 東 京 にとって 節 目 の 年 として 記 憶 されるだろう 6 末 に 閣 議 決 定 された 政 府 の 日 本 再 興 戦 略 改 定 2014 未 来 への 挑 戦 では 新 たに 講 ずべき 具 体 的 施 策 として 国 際 金 融 センターとして の 地 位 確 立 が 明 記 された 政 府 方 針 と 呼 応 目 次 1. 動 き 始 めた 国 際 金 融 センター 推 進 構 想 2. 世 界 の 国 際 金 融 センターと 東 京 の ビ ジネスモデル 3. 東 京 の 国 際 金 融 センター 強 化 戦 略 4. 最 後 に: 東 京 国 際 金 融 センターの 勝 算 するように 東 京 都 は 東 京 国 際 金 融 センター 推 進 会 議 を 始 動 させており 舛 添 要 一 都 知 事 も 東 京 を 金 融 面 での 世 界 の 拠 点 にする 国 家 的 大 事 業 と 並 々ならぬ 意 欲 を 示 している 民 間 においても 今 秋 以 降 日 本 証 券 業 協 会 日 本 取 引 所 グループ 投 資 信 託 協 会 日 本 投 資 顧 問 業 協 会 などを 中 心 に 東 京 国 際 金 融 センターの 推 進 に 関 する 懇 談 会 が 設 置 され 議 論 が 開 始 されている そうした 官 民 での 議 論 の 流 れを 後 押 しする 一 つの 契 機 となったのが 日 本 経 済 研 究 セン ター 大 和 総 研 みずほ 総 合 研 究 所 が 今 年 5 に 公 表 した 共 同 提 言 東 京 金 融 シティ 構 想 の 実 現 に 向 けて ( 図 表 1 以 下 共 同 提 言 ) である ( 注 ) 振 り 返 れば 東 京 を 国 際 金 融 センターに 育 て 日 本 の 金 融 機 能 を 強 化 しようという 議 論 はこれまでにも 幾 度 となくされてきた 古 く は1980 年 代 の 半 ばに 日 本 の 金 融 自 由 化 円 の 国 際 化 の 流 れの 中 で 東 京 が 国 際 金 融 セン 34

( 図 表 1) 東 京 金 融 シティの 実 現 に 向 けて 日 本 経 済 研 究 センター 大 和 総 研 みずほ 総 合 研 究 所 による 共 同 提 言 (2014 年 5 16 日 ) 1. 東 京 金 融 シティ 構 想 の 実 現 に 向 けた 体 制 づくり 2. 東 京 都 独 自 減 税 の 実 施 ( 国 家 戦 略 特 区 の 活 用 ) 3. 個 人 金 融 資 産 活 性 化 で 貯 蓄 から 投 資 へ を 促 進 4.アジアの 金 融 ハブ 化 への 向 けた 市 場 インフラ 整 備 5. 東 京 を 資 産 運 用 の 街 に 6. 東 京 を 金 融 教 育 や 海 外 との 草 の 根 人 材 交 流 の 中 心 地 に 7. 東 京 オリンピック パラリンピックを 見 据 えた 都 市 政 策 との 連 携 詳 細 はhttp://www.mizuho-ri.co.jp/company/release/20140516.htmlをご 参 照 ターになるとの 機 運 が 高 まり 実 際 欧 米 金 融 機 関 の 日 本 進 出 が 相 次 いだ また 1996 年 には 第 2 次 橋 本 内 閣 がフリー フェア グロ ーバルな 市 場 育 成 を 目 指 す 日 本 版 ビッグバ ン を 提 唱 した 2000 年 代 半 ばにも 世 界 的 な 景 気 拡 大 の 中 で 国 際 金 融 センターへの 関 心 が 再 び 高 まった 2007 年 に 第 1 次 安 倍 内 閣 は アジア ゲートウェイ 構 想 を 打 ち 出 し 貿 易 においても 金 融 においても 日 本 がアジア のハブになることを 目 標 に 掲 げた これまでの 国 際 金 融 センター 化 を 巡 る 試 み は バブル 崩 壊 後 の 経 済 低 迷 デフレの 長 期 化 アジア 通 貨 危 機 や 金 融 危 機 といったグロ ーバルな 金 融 環 境 の 激 変 の 中 で 十 分 な 成 果 を 収 めることができなかった しかし デフ レからの 脱 却 が 視 野 に 入 り 東 京 オリンピッ ク パラリンピック 開 催 を 控 えて 内 外 から の 期 待 と 注 目 度 が 高 まっている 今 こそ 日 本 にとって 国 際 金 融 センター 化 に 再 挑 戦 するま たとない 好 機 だと 言 える 2. 世 界 の 国 際 金 融 センター と 東 京 の ビジネスモデル 東 京 は 国 際 金 融 センターとしてどのような モデルを 目 指 すべきか 以 下 では 先 ず 国 際 金 融 センターとしての 東 京 の 立 ち 位 置 を 確 認 し 世 界 の 国 際 金 融 センターの 類 型 につい て 見 た 上 で あるべき 東 京 の 国 際 金 融 センタ ー 像 について 考 えてみたい 国 際 金 融 センターのランキングとして 代 表 的 な 英 シンクタンクZ/Yen Group 作 成 の 国 際 金 融 センター 指 数 で 見 ると 日 本 は 第 6 位 とニューヨーク ロンドンはおろか 香 港 シンガポールといったアジアの 金 融 センター の 後 塵 を 拝 しているのが 実 情 だ(2014 年 3 時 点 ) 同 指 数 のサブインデックスで 金 融 センターとしての 個 別 要 素 別 ランキングを 見 てみると 人 的 資 源 の 順 位 が 相 対 的 に 劣 位 に 留 まっている 英 国 で 留 学 勤 務 した 者 として 筆 者 は 日 35

( 図 表 2) 世 界 の 金 融 センターのマッピング ( 資 料 )TheCityUK KEY FACTS ABOUT THE UK AS AN INTERNATIONAL FINANCIAL CENTRE (June 2014)からみずほ 総 合 研 究 所 作 成 本 の 金 融 人 材 が 諸 外 国 に 劣 っているとは 考 え ていない 優 秀 な 金 融 人 材 は 本 邦 系 金 融 機 関 にも また 在 日 外 資 系 金 融 機 関 にも 多 いし 海 外 から 日 本 に 赴 任 してきている 外 国 人 も 少 なくない しかし 例 えば 証 券 アナリスト のグローバルスタンダードとされるCFA( 米 国 CFA 協 会 認 定 証 券 アナリスト) 資 格 のア ジアでの 保 有 者 数 を 国 別 に 比 較 してみると 日 本 は1 千 人 強 に 留 まっており 香 港 の 約 6 千 人 シンガポールの3 千 人 強 に 比 べて 大 幅 に 少 ない 中 国 でも 同 資 格 の 取 得 者 数 は 近 年 急 増 しており 既 に3 千 人 弱 に 達 している グローバルに 通 用 する 金 融 人 材 の 強 化 或 い は 呼 び 込 みは 日 本 の 課 題 と 言 えそうだ それでは 国 際 金 融 センターにはどのよう な 類 型 があるのだろうか ロンドンにおける 金 融 の 業 界 団 体 であるTheCityUKでは 図 表 2のように 金 融 センターのグローバル 度 合 いと 提 供 するサービスの 広 がり 度 合 いから 金 融 センターのマッピングを 行 っている グ ローバルプレーヤー として 位 置 づけられて いるのはロンドンとニューヨークのみであ り 香 港 シンガポールは 東 京 上 海 ソウ ルとともに アジアのリージョナルハブ と して 位 置 づけられている 歴 史 を 紐 解 けば 国 際 金 融 センターは 世 界 の 覇 権 システムの 循 環 の 中 で 変 遷 してきたも のだ 17 世 紀 にオランダが 世 界 の 覇 権 を 掌 握 していた 時 には 国 際 金 融 の 中 心 地 はアムステ ルダムであり 18 世 紀 に 英 国 が 覇 権 を 継 承 す るとロンドンが 国 際 金 融 センターとして 栄 え るに 至 った 20 世 紀 就 中 その 後 半 に 米 国 が 覇 権 を 継 承 すると ニューヨークが 国 際 金 融 センターとしての 地 位 を 築 いた 今 なお ロンドンが 国 際 金 融 センターとしての 地 位 を 維 持 しているのは その 地 位 の 維 持 強 化 に 向 けた 官 民 挙 げての 不 断 の 取 組 みやタイムゾ ーンとしての 地 理 的 優 位 性 もあるが 過 去 の 36

レガシーによるところも 大 きい 東 京 が 国 際 金 融 センター 化 を 進 める 中 で 覇 権 とともに 歩 んできたロンドンやニューヨ ークのような 地 位 を 短 期 的 に 築 くことは 非 現 実 的 だろう かといって 東 京 の 金 融 センタ ーとしての ビジネスモデル は 中 国 大 陸 へのゲートウェイであり 中 国 マネーのオフ ショアセンターでもある 香 港 交 通 の 要 衝 に あり また ライトタッチかつビジネスフレ ンドリーな 行 政 を 武 器 とするシンガポールと も 自 ずと 異 なってくる それでは 東 京 或 いは 日 本 の 強 みとは 何 だろうか 第 一 に 1,600 兆 円 に 上 る 家 計 金 融 資 産 や その 家 計 資 産 をベースとした 巨 大 な 公 的 年 金 資 産 など 国 内 での 潤 沢 な 資 金 の 存 在 があげ られる そうした 資 金 の 大 宗 が 安 全 資 産 に 滞 留 しており 今 後 リスクマネーや 成 長 マネ ーに 向 かう 可 能 性 に 鑑 みれば 日 本 における 金 融 センターとしての 伸 び 代 は 大 きいと 言 え る また 日 本 企 業 の 産 業 としての 裾 野 の 広 さ また グローバルに 展 開 する 分 厚 い 日 本 企 業 の 集 積 も 間 違 いなく 大 きな 強 みだろう 日 本 の 産 業 企 業 の 総 合 力 は 香 港 シンガポール そして 英 国 も 凌 駕 するものだ そうした 企 業 の 資 金 調 達 資 金 運 用 ニーズ 或 いは 金 融 ソ リューションニーズは 今 後 とも 増 大 すること が 見 込 まれ これが 第 二 の 強 みである 第 三 には 高 度 に 発 達 した 都 市 インフラや 良 好 な 治 安 住 環 境 も 日 本 の 売 りである 東 京 圏 の 人 口 は3,600 万 人 に 及 び 世 界 一 のメ ガシティだ この 巨 大 な 都 市 機 能 の 集 積 も 東 京 の 強 みと 言 える 第 四 として アベノミクスによるデフレか らの 脱 却 そして2020 年 の 東 京 オリンピック パラリンピックに 向 けた 期 待 の 存 在 も 強 い 追 い 風 である 世 界 最 強 とも 言 える 日 本 銀 行 の 量 的 質 的 金 融 緩 和 による 異 次 元 の 流 動 性 供 給 と 世 界 で 最 も 有 利 な 資 金 調 達 環 境 も 当 面 は 日 本 の 強 みと 言 って 良 いだろう 第 五 には 世 界 の 成 長 センターであるアジ アに 近 接 した 地 理 的 立 地 も 欧 米 と 比 べた 場 合 には 東 京 の 比 較 優 位 となる 東 南 アジアに は 親 日 国 も 多 く アジア 経 済 が 雁 行 的 な 発 展 を 遂 げる 中 で その 先 頭 を 行 く 日 本 に 対 する 経 済 金 融 面 の 協 力 への 期 待 度 は 高 い 東 京 の 国 際 金 融 センターとしてのビジネス モデルではこうした 日 本 の 強 みを 最 大 限 に 活 用 することが 重 要 となってくる 具 体 的 には 日 本 の 強 みを 活 かした 垂 直 型 のビジネスモデ ルによる 金 融 仲 介 が 有 効 だろう ここでいう 垂 直 型 のビジネスモデルとは 金 融 仲 介 のバ リューチェーンにおいて 日 本 の 強 みを 組 み 込 んだモデルを 想 定 しており 例 えば グロ ーバルな 投 資 機 会 を 求 める 国 内 の 潤 沢 なマネ ーと 成 長 資 金 を 有 利 かつ 安 定 的 に 調 達 したい アジアを 中 心 とした 海 外 の 資 金 需 要 主 体 を 仲 介 すること 或 いはデフレから 脱 却 する 中 で 新 たな 成 長 マネーを 必 要 とする 日 本 企 業 と 有 利 な 運 用 機 会 を 求 めるグローバル 投 資 家 マネ ーの 仲 介 を 行 うことなどである 将 来 的 には グローバルな 投 資 家 とグローバルな 企 業 を 仲 37

介 する 水 平 型 のビジネスモデル 追 求 の 余 地 も あろうが 先 ずは 垂 直 型 のビジネスモデルが 東 京 国 際 金 融 センターの 基 本 的 なモデルとな ると 考 えられる 3. 東 京 の 国 際 金 融 センター 強 化 戦 略 それでは 東 京 はどのような 戦 略 のもとで 国 際 金 融 センター 機 能 を 強 化 していくべき か ここでは 経 営 学 でいうマーケティング ミックスの 考 え 方 に 則 り 東 京 国 際 金 融 セン ターにとっての4P すなわち プロダクツ ( 品 揃 え) プレイス( 流 通 ) プライス( 価 格 ) プロモーション( 宣 伝 )について 考 えていき たい 1 プロダクツ( 品 揃 え) 経 済 金 融 活 動 がグローバル 化 している 中 では 金 融 プロダクツは 自 ずと 国 境 を 跨 いで 幅 広 く 拡 散 するものだ とりわけ 魅 力 的 な 将 来 性 のあるプロダクツについては 世 界 の 金 融 センターが 競 って 取 り 組 み 熾 烈 な 競 争 を 展 開 しているのが 実 情 だ この 点 について 日 本 が 遅 れをとっているのが 人 民 元 の 取 扱 いとイスラム 金 融 であり 国 際 金 融 センター として 生 き 残 るためには 不 可 欠 な 品 揃 えだと 思 われる 世 界 第 二 の 経 済 大 国 であり 経 済 規 模 とし ては 将 来 的 に 米 国 を 上 回 る 可 能 性 がある 中 国 の 人 民 元 の 地 位 が 高 まっていくのは 自 然 な 流 れだ アジアインフラ 投 資 銀 行 (AIIB) ブ ラジル ロシア インド 中 国 南 アフリカ 5か 国 による 新 開 発 銀 行 (BRICS) 銀 行 の 設 立 など 中 国 は 国 際 金 融 秩 序 においても 着 実 に 存 在 感 を 増 している 国 際 金 融 センターと してのランキングでは 上 海 は 東 京 よりもか なり 下 位 には 位 置 しているが 2020 年 までに 中 国 経 済 の 実 力 と 人 民 元 の 国 際 的 地 位 に 見 合 った 国 際 金 融 センターとなることを 目 標 とし ており 金 融 の 自 由 化 を 着 実 に 進 めている 外 国 為 替 市 場 での 取 引 通 貨 シェアを 見 ても 人 民 元 の 上 昇 が 顕 著 である 世 界 の 外 国 為 替 市 場 において ドル ユーロ 円 の3 通 貨 が 主 要 な 取 引 通 貨 であることに 変 化 ないが 人 民 元 は2001 年 の 第 35 位 から2013 年 には 第 9 位 と 取 引 通 貨 としての 地 位 を 格 段 に 高 めてい る( 図 表 3) 金 融 通 信 メッセージにおける 国 際 的 な 業 界 団 体 であるSWIFTによれば 2014 年 9 までの2 年 間 における 人 民 元 の 国 際 決 済 額 は378%の 増 加 中 国 本 土 香 港 間 を 除 けば837%の 増 加 になったと 言 う 国 際 資 本 市 場 では 2014 年 は 点 心 債 (オフショア の 人 民 元 建 ての 債 券 )の 発 行 額 が 過 去 最 高 金 額 となる 見 通 しだ このように 国 際 的 な 企 業 投 資 家 は 資 金 調 達 運 用 の 一 つの 選 択 肢 として 人 民 元 を 位 置 付 けつつある 世 界 の 主 要 国 際 金 融 センタ ーはオフショア 人 民 元 のハブとなることを 競 っており 残 念 ながら 東 京 は 蚊 帳 の 外 に 置 か れている 東 京 における 人 民 元 ビジネスの 取 組 みの 遅 れは 将 来 的 には 日 本 の 企 業 や 個 38

( 図 表 3) 世 界 の 外 国 為 替 市 場 での 取 引 通 貨 シェア( 合 計 :200%) 通 貨 1998 2001 2004 2007 2010 2013 シェア 順 位 シェア 順 位 シェア 順 位 シェア 順 位 シェア 順 位 シェア 順 位 米 ドル 86.8 1 89.9 1 88 1 85.6 1 84.9 1 87 1 ユーロ 37.9 2 37.4 2 37 2 39.1 2 33.4 2 日 本 円 21.7 2 23.5 3 20.8 3 17.2 3 19 3 23 3 英 ポンド 11 3 13 4 16.5 4 14.9 4 12.9 4 11.8 4 豪 ドル 3 6 4.3 7 6 6 6.6 6 7.6 5 8.6 5 スイス フラン 7.1 4 6 5 6 5 6.8 5 6.3 6 5.2 6 加 ドル 3.5 5 4.5 6 4.2 7 4.3 7 5.3 7 4.6 7 中 国 元 0 30 0 35 0.1 29 0.5 20 0.9 17 2.2 9 香 港 ドル 1 8 2.2 9 1.8 9 2.7 8 2.4 8 1.4 13 シンガポール ドル 1.1 7 1.1 12 0.9 14 1.2 13 1.4 12 1.4 15 ( 資 料 )BISよりみずほ 総 合 研 究 所 作 成 人 による 人 民 元 ニーズの 海 外 金 融 センターへ の 流 出 に 繋 がりかねない もちろん 人 民 元 の 取 組 みには 政 治 的 な 側 面 も 強 い また 東 京 での 人 民 元 ビジネスは 人 民 元 の 国 際 化 に 利 するだけであり むしろ 円 の 国 際 化 を 進 める べきだとの 批 判 もあろう 中 国 経 済 が 減 速 過 程 にあり 様 々な 政 治 経 済 社 会 的 な 課 題 を 抱 えているのも 事 実 だ しかし 人 民 元 の 成 長 性 や 潜 在 性 に 鑑 み 大 局 的 な 見 地 から 議 論 を 進 め 東 京 でも 人 民 元 の 取 扱 いを 強 化 す るべきだと 思 われる イスラム 金 融 もまた 世 界 の 金 融 センターが 成 長 分 野 として 注 目 しているプロダクツだ 世 界 のイスラム 教 徒 (ムスリム)の 数 は 約 16 億 人 で 世 界 人 口 の 約 4 分 の1を 占 めている また ムスリム 人 口 の 伸 びは 非 ムスリムの 人 口 の 伸 びよりも 高 く ムスリム 比 率 は 高 まっ ていく 世 界 で 発 行 されるイスラム 債 の 発 行 金 額 も 右 肩 上 がりで 拡 大 している イスラム 金 融 ではマレーシアが 先 行 しているが 香 港 シンガポール ロンドンといった 世 界 の 金 融 センターも 熱 い 眼 差 しを 向 けている 世 界 の 主 要 金 融 機 関 がイスラム 金 融 ビジネスに 戦 略 的 に 取 り 組 んでおり 日 本 の 大 手 金 融 機 関 も マレーシアではイスラム 債 を 発 行 している 東 京 市 場 においてもイスラム 金 融 の 可 能 性 に 関 する 議 論 を 進 めるべきだと 考 えられる 国 内 におけるプロダクツとしては 前 述 し た 日 本 の 強 みを 活 かすためにも 社 会 的 ニー ズに 対 応 した 金 融 商 品 サービスを 提 供 する ことにより 豊 富 な 金 融 資 産 の 一 層 の 活 用 を 図 ることが 重 要 だ 例 えば 3シンクタンク による 共 同 提 言 では 国 民 の 資 産 形 成 支 援 とし て NISA( 少 額 投 資 非 課 税 制 度 )の 拡 充 や ジュニアNISAにも 言 及 している 日 本 には NISA 確 定 拠 出 年 金 制 度 財 産 形 成 貯 蓄 制 度 等 があるが それぞれの 制 度 が 個 別 に 設 計 運 営 されており 必 ずしも 十 分 には 活 用 さ れていない 面 がある 米 国 の 個 人 退 職 勘 定 (IRA)や 英 国 の 個 人 貯 蓄 口 座 (ISA)も 参 考 に 制 度 の 拡 充 改 善 を 進 めていくことが 望 まれる 39

2 プレイス( 流 通 ) アジアの 金 融 ハブ 化 へ 向 けて 東 京 市 場 のイ ンフラを 整 備 することが 必 要 だ 東 京 市 場 の 多 通 貨 化 に 向 けた 検 討 とアジア 諸 国 の 資 金 調 達 運 用 の 場 として 東 京 が 活 用 される 環 境 を 整 備 することが 重 要 と 考 えられる 日 本 経 済 のグローバル 化 を 背 景 に 調 達 運 用 の 両 面 で 外 貨 建 て 金 融 商 品 に 対 するニーズが 拡 大 し ていることに 異 論 はないだろう 東 京 が 国 際 金 融 センターとして 発 展 していくためには 外 貨 建 ての 投 資 が 円 滑 に 行 われるための 証 券 決 済 の 仕 組 みを 構 築 していく 必 要 がある 外 貨 建 ての 証 券 決 済 の 仕 組 みの 構 築 にあたって は より 多 くのニーズが 想 定 されるドル ユ ーロ 人 民 元 への 取 組 みから 検 討 を 開 始 する ことが 考 えられる 人 民 元 については 元 建 ての 資 金 決 済 を 円 滑 に 行 うために 人 民 元 クリアリング バン クの 早 期 設 置 が 望 まれる 人 民 元 クリアリン グ バンクはアジアでは 香 港 台 湾 シンガ ポールにおいて また 欧 州 ではロンドン フランクフルトにおいて 設 置 されている わ が 国 でも 同 様 の 取 組 みが 求 められるところ だ なお 英 国 政 府 は 今 春 先 進 国 初 となるイ スラム 国 債 を 発 行 し 10 には 人 民 元 建 て 国 債 を 発 行 した また 香 港 政 庁 もイスラム 国 債 の 発 行 を9 に 発 行 した 各 国 政 府 当 局 が 前 述 した 戦 略 的 プロダクツの 市 場 整 備 に 向 けて 先 導 役 を 務 めているのが 実 情 だ この 点 に 関 して 敷 衍 すれば 東 京 都 は12 に 豪 ドル 建 ての 個 人 向 け 都 債 の 発 行 を 計 画 しており 東 京 市 場 のグローバル 化 に 資 する 取 組 みとし て 高 く 評 価 されよう 3 プライス( 価 格 ) プライスという 点 では 税 制 面 での 優 遇 を 戦 略 的 に 施 し 東 京 市 場 のコスト 構 造 を 引 き 下 げることが 必 要 だろう 3シンクタンクによ る 共 同 提 言 では 東 京 都 独 自 減 税 について 提 案 している 具 体 的 には 国 が 検 討 している 法 人 税 改 革 に 加 え 東 京 都 による 国 家 戦 略 特 区 に かかる 提 案 をふまえた 地 方 法 人 課 税 の 減 免 を 実 施 することである すでにあるアジアヘッ ドクォーター 特 区 の 税 制 優 遇 措 置 を 国 家 戦 略 特 区 に 合 わせて 衣 替 えするという 手 もある だろう それにより アジアの 国 際 金 融 セン ターと 十 分 に 競 争 しうる 実 効 税 率 に 引 き 下 げ ることも 可 能 である 国 内 REIT 市 場 ではヘルスケアREITの 誕 生 など 市 場 の 多 角 化 が 進 みつつあり 国 際 的 に も 割 安 とされる 日 本 の 不 動 産 市 場 への 関 心 は 海 外 では 根 強 い 既 存 のオフィスビルを 活 用 す る こ と に 加 え て 日 本 版 UPREIT 制 度 (Umbrella Partnership REIT 制 度 REITに 不 動 産 を 現 物 出 資 する 際 に 譲 渡 益 に 対 する 課 税 を 繰 り 延 べる 仕 組 み)の 創 設 なども 検 討 に 値 しよう 因 みに 米 国 ではUPREIT 市 場 が 導 入 された1992 年 以 降 REIT 市 場 は 飛 躍 的 に 発 展 している 為 替 市 場 がドル 高 円 安 地 合 いで 推 移 する 中 で 外 貨 建 てで 見 た 場 合 の 投 資 コストは 大 幅 40

に 下 がっている 東 京 としては 足 元 の 円 安 環 境 も 活 用 しながら 従 来 のコスト 面 での 比 較 劣 位 を 是 正 していくべきだろう 4 プロモーション( 宣 伝 ) 東 京 が 国 際 金 融 センターとしての 地 位 を 向 上 させていくためには 海 外 の 金 融 関 連 業 者 の 呼 び 込 みを 積 極 的 に 行 うことが 必 要 であ り そのためにはプロモーション 活 動 が 欠 か せない ロンドンのシティでは ロード メ イヤー( 名 誉 職 的 な 市 長 )が 年 間 100 日 以 上 も 国 外 でプロモーション 活 動 を 行 っていると いう 共 同 提 言 ではロンドンのメイヤーを 参 考 に 日 本 でも 日 本 版 メイヤー を 設 置 し 海 外 向 けプロモーション 活 動 を 積 極 的 に 展 開 することを 提 案 している また 共 同 提 言 では ロンドンのチャタム ハウス( 正 式 名 称 : 英 国 王 立 国 際 問 題 研 究 所 ) が 果 たしているような 情 報 の 発 信 交 換 共 有 の 場 を 創 設 することも 提 案 している こ の 点 に 関 しては 舛 添 都 知 事 は 国 内 外 の 金 融 機 関 が 情 報 共 有 する 国 際 会 議 東 京 フィナン シャルフォーラム ( 仮 称 )の 開 催 を 表 明 し ている 東 京 市 場 の 対 外 的 なPR 活 動 にも 資 する 動 きとしてのその 行 方 には 注 目 したい 4. 最 後 に: 東 京 国 際 金 融 セ ンターの 勝 算 最 後 に 国 際 金 融 センターの 先 行 きを 考 える 中 で グローバルな 経 済 金 融 環 境 の 変 化 と そのインプリケーションについて 考 察 した い やや 消 極 的 な 議 論 にはなるかもしれない がが 海 外 の 金 融 センターの 敵 失 により 東 京 が 失 地 挽 回 を 図 る 可 能 性 もあろう 先 ずは 国 際 的 な 金 融 規 制 の 強 化 の 流 れであ る 金 融 規 制 の 強 化 はグローバルな 流 れでは あるが 日 本 における 金 融 ビジネスは 米 国 に 比 べれば 相 対 的 に 節 度 あるものと 言 え 金 融 危 機 後 に 規 制 環 境 が 大 幅 に 強 化 された 米 国 と 比 べれば 比 較 的 連 続 性 が 担 保 されていると 捉 えることもできよう 日 本 としては 顧 客 と の 長 期 的 な 取 引 関 係 が 重 視 され 相 対 的 にビ ジネスがしやすい 都 市 というポジションを 戦 略 的 に 構 築 活 用 していくことが 肝 要 と 考 え られる 9 の 住 民 投 票 では 辛 くもスコットランド の 独 立 を 回 避 した 英 国 ではあるが 2015 年 の 総 選 挙 とその 後 の 国 民 投 票 の 結 果 次 第 では EU( 欧 州 連 合 ) 脱 退 の 可 能 性 があり そう なった 場 合 にはロンドンの 国 際 金 融 センター としての 地 位 が 脅 かされる 懸 念 もある 香 港 やシンガポールは 世 界 で 最 も 住 宅 価 格 が 割 高 な 都 市 であり 不 動 産 バブルの 懸 念 が 強 い また 米 金 利 が 上 昇 に 転 じ ドル 高 が 進 めば ドルにペッグしている 香 港 ドルも 増 価 に 転 じる その 際 には 実 体 経 済 面 では 中 国 経 済 とのリンクが 一 段 と 強 まる 一 方 で 金 融 面 ではドルペッグしているという 香 港 の 一 国 二 経 済 の 矛 盾 が 炙 り 出 される 可 能 性 もあ る 中 国 や 香 港 には 程 度 の 差 こそあれ 自 由 41

人 権 や 環 境 問 題 などの 課 題 も 抱 えている 香 港 では 行 政 長 官 の 次 期 選 挙 のあり 方 を 巡 り デモ 騒 動 も 起 きている こうした 点 は 金 融 セ ンターとしての 評 価 においても 無 縁 ではなか ろう グローバルな 市 場 間 競 争 が 強 まっている が 各 国 の 金 融 センターともそれぞれ 課 題 を 抱 えているのもまた 事 実 である 東 京 の 国 際 金 融 センターへの 道 のりも 平 坦 ではないだろ うが 国 際 金 融 センター 化 に 王 道 はない 官 民 で 知 恵 を 絞 り 息 の 長 い 地 道 な 取 組 みを 多 面 的 に 進 めていくことが 不 可 欠 だ ( 注 ) 本 稿 は 共 同 提 言 の 取 り 纏 めに 携 わった 一 人 として 東 京 金 融 シティ 構 想 の 内 容 を 踏 まえつつ 東 京 の 国 際 金 融 センターの 機 能 強 化 に 関 する 論 点 について 考 察 したものである なお 本 稿 は 筆 者 の 個 人 的 な 見 解 であり 共 同 提 言 を 公 表 した3シ ンクタンクの 意 見 では 必 ずしもないことに 留 意 い ただきたい 1 42