第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 第 3-3 - 20 図 日 米 欧 の 収 益 性 と 総 資 本 回 転 率 米 欧 に 比 日 本 収 益 率 (1)( 総 資 産 益 率 ) (2)( 資 本 益 率 ) 第 (3) 上 益 率 (4) 総 資 本 回 転 率 3



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別紙3

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目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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Transcription:

第 3 章 3 日 本 経 済 の 競 争 力 一 国 経 済 の 競 争 力 というのは 曖 昧 な 概 念 であるが ここでは そこに 立 地 する 企 業 が 成 長 できるような 環 境 を 提 供 する 力 であると 考 えてみよう そうした 定 義 の 下 では 競 争 力 のある 国 の 企 業 は 高 い 収 益 を 上 げているはずであり また 海 外 から 多 くの 直 接 投 資 が 惹 きつ けられるはずである 以 下 では 我 が 国 企 業 の 収 益 力 は 欧 米 企 業 に 伍 しているか 海 外 から の 投 資 は 呼 び 込 めているか 我 が 国 は 企 業 活 動 に 相 応 しい 国 か といった 論 点 について 検 討 する (1) 我 が 国 企 業 の 収 益 力 は 欧 米 企 業 に 伍 しているか ここでは 公 開 会 社 の 財 務 データを 用 いて 我 が 国 企 業 の 収 益 力 を 巡 る 状 況 について 米 欧 と 比 較 しつつ 評 価 しよう 具 体 的 には 一 般 に 指 摘 される 我 が 国 企 業 の 利 益 率 の 低 さを 確 認 した 上 で その 背 景 を 探 るとともに 利 益 処 分 の 状 況 についても 確 認 する 米 欧 に 比 べて 低 い 日 本 企 業 の 収 益 率 最 初 に 日 米 欧 の 企 業 について 2000 年 代 における 平 均 的 な 収 益 率 に 関 する 指 標 の 推 移 を 振 り 返 る すなわち 総 資 産 利 益 率 (ROA) 総 資 本 利 益 率 (ROE)のほか これらに 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 売 上 高 利 益 率 総 資 本 回 転 率 の 4 つの 指 標 に 着 目 しよう( 第 3-3 - 20 図 ) ここから 我 が 国 企 業 の 収 益 力 について 次 のようなことが 分 かる 第 一 に ROA ROE ともに 我 が 国 企 業 は 米 欧 の 企 業 と 比 べ 低 い 水 準 にある 2000 年 初 めの IT バブル 崩 壊 に 伴 う 世 界 的 な 景 気 後 退 で いったんは 3 地 域 の 企 業 の 収 益 率 が 収 束 したが 景 気 回 復 に 伴 って 差 が 開 くことになった その 後 は 3 地 域 とも 2007 年 まで 幾 分 改 善 ないし 横 ばい 圏 内 の 動 きが 続 き 2008 年 の 景 気 後 退 で 同 時 に 低 下 したが 我 が 国 の 低 下 幅 は 大 きく 米 欧 と の 差 はさらに 開 くこととなった 第 二 に ROA と ROE の 動 きは いずれの 地 域 でもおおむね 似 通 っている 大 きな 違 いは 一 点 だけで 米 欧 の ROA はほとんど 同 水 準 であったものが ROE では 欧 州 のほうが 顕 著 に 高 く なっている この 背 景 には 2000 年 代 後 半 にアメリカ 企 業 のレバレッジが 低 下 し 欧 州 企 業 との 差 が 開 いたことがある 我 が 国 のレバレッジはアメリカと 近 い 水 準 で 推 移 したため 日 米 の ROA ROE の 差 はほとんど 変 化 しなかった 第 三 に 我 が 国 企 業 は 米 欧 に 比 べ 総 資 本 に 対 する 売 上 高 の 比 率 である 総 資 本 回 転 率 が 高 い ため ROA ROE の 低 さの 原 因 は 売 上 高 利 益 率 の 低 さにあると 考 えられる 実 際 2000 年 代 後 半 に 米 欧 ではこの 指 標 が 上 昇 しているのに 対 し 我 が 国 では 横 ばいとなっている この 間 の 資 源 高 新 興 国 の 台 頭 といった 国 際 経 済 環 境 の 下 で 我 が 国 企 業 が 十 分 に 収 益 機 会 を 生 かせ 386

第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 第 3-3 - 20 図 日 米 欧 の 収 益 性 と 総 資 本 回 転 率 米 欧 に 比 日 本 収 益 率 (1)( 総 資 産 益 率 ) (2)( 資 本 益 率 ) 第 (3) 上 益 率 (4) 総 資 本 回 転 率 3 章 ( 備 考 ) 日 経 EED Financial uest 及 びureau an Di 社 Osirisにより 成 対 象 企 業 は 金 融 保 険 を 除 いて 上 記 データベースより 2000 年 2008 年 の 連 結 算 データが 取 得 でき 必 要 項 目 にのない 以 下 の 企 業 としている 日 本 (20002008 年 ) 証 上 場 1958 社 (2004 年 2008 年 ) 同 2392 社 アメリカ(2000 年 2008 年 ) 上 場 2936 社 (2004 年 2008 年 ) 同 3966 社 欧 州 (2000 年 2008 年 )EU15か 国 の 2205 社 (2004 年 2008 年 ) 同 3310 社 ず マージンが 圧 迫 されていた 様 子 がうかがわれる 低 収 益 率 を 許 容 する 低 い 資 本 コスト こうした 日 本 企 業 の 低 収 益 性 の 背 景 としては 様 々な 理 由 が 考 えられるが 資 本 コストの 低 さが 一 つの 引 き 金 になっているとの 見 方 がある 株 主 の 要 求 する 利 益 水 準 が 低 いことが 企 業 387

第 3 章 に 利 益 率 が 低 い 投 資 プロジェクトを 選 択 させているというものである ここではこうした 考 え 方 を 検 証 するため 日 本 とアメリカについて 資 本 コストを 計 算 し その 推 移 を 比 較 してみよ う 資 本 コストは 株 式 発 行 による 資 金 調 達 コストと 負 債 による 資 金 調 達 コストを 加 重 平 均 し て 計 算 することができる( 第 3-3 - 21 図 ) 第 一 に 我 が 国 企 業 の 資 本 コストはおおむね 3% 程 度 であり 2000 年 代 においてほとんど 変 化 していない 一 方 アメリカの 資 本 コストは 急 低 下 した 2008 年 を 除 けばおおむね 5 6% 程 度 で 推 移 している 2008 年 の 急 低 下 の 背 景 にはリーマンショック 時 の 株 価 低 下 が 影 響 してい ると 見 られるが このときでも 我 が 国 企 業 の 資 本 コストよりも 高 い 水 準 にあった 第 二 に 資 本 コストの 内 訳 として 負 債 コスト 株 主 資 本 コストを 見 ると いずれについても 我 が 国 企 業 の 水 準 は 低 い もっとも 2008 年 にはアメリカ 企 業 の 株 主 資 本 コストは 大 幅 に 低 下 しており これが 上 記 のような 資 本 コストの 低 下 をもたらしている ただし 株 主 資 本 コス トについても 依 然 として 我 が 国 企 業 のほうが 低 水 準 にある 第 三 に 投 下 資 本 利 益 率 から 資 本 コストを 差 し 引 いた EVA スプレッド 39 を 見 ると 2007 年 までは 日 米 企 業 はおおむね 近 い 水 準 となっている このことから 日 米 とも 資 本 コストに 見 合 った 収 益 を 上 げてきたと 考 えられるが 2008 年 には 我 が 国 の EVA スプレッドがマイナスと なっている 資 源 価 格 の 高 騰 とリーマンショック 後 の 世 界 的 な 景 気 の 悪 化 は 我 が 国 企 業 に 相 対 的 に 大 きなダメージを 与 えたことが 分 かる 我 が 国 企 業 の 配 当 性 向 は 近 年 上 昇 以 上 で 国 際 的 に 見 ると 我 が 国 企 業 の 収 益 率 は 依 然 低 く その 背 景 に 資 本 コストの 低 さがあ ることが 確 認 された 資 本 コストの 低 さは 高 収 益 率 を 求 める 投 資 家 からの 圧 力 が 相 対 的 に 弱 いことを 示 唆 している こうした 状 況 は 従 来 我 が 国 企 業 の 低 い 配 当 性 向 を 説 明 する 要 因 で もあった この 点 を 含 め 以 下 では 企 業 の 利 益 処 分 について 日 米 欧 の 間 で 比 べてみよう( 第 3-3 - 22 図 ) 第 一 に 投 資 キャッシュフローが 営 業 キャッシュフローに 占 める 割 合 は 我 が 国 企 業 では 2000 年 代 の 景 気 拡 張 局 面 で 設 備 投 資 が 回 復 するにつれ 次 第 に 高 まってきた 製 造 業 では 2008 年 には EU が 我 が 国 の 水 準 に 追 いついたが アメリカと 比 べると 投 資 に 回 す 割 合 は 倍 程 度 に 達 していた ただし 非 製 造 業 では 日 米 欧 でそれほど 差 がない 状 況 にある 第 二 に 黒 字 企 業 の 配 当 性 向 を 見 ると 我 が 国 企 業 においては 2004 年 の 2 割 弱 から 緩 やかに 上 昇 した 後 リーマンショックのあった 2008 年 に 急 上 昇 し 4 割 程 度 にまで 達 した この 間 アメリカは 3 割 程 度 で 安 定 していたのに 対 し EU は 我 が 国 同 様 に 配 当 性 向 を 高 め 5 割 を 超 え る 状 況 となっている 注 (39)EVA とは 資 本 コストを 考 慮 した 純 の 経 済 的 付 加 価 値 に 相 当 する EVA は アメリカのコンサルティング 会 社 スターン スチュワート 社 の 登 録 商 標 であるが ここでは 一 般 的 な 経 済 付 加 価 値 を 計 算 しており 同 社 が 提 唱 するものと 計 算 方 法 が 若 干 異 なる 388

第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 第 3-3 - 21 図 資 本 コストの 日 米 比 較 日 本 の 資 本 コスト 資 本 負 とに (1) 日 本 (2) 第 3 章 389

第 3 章 第 3-3 - 22 図 投 資 配 当 に 関 する 日 米 欧 比 較 日 本 投 資 ッフロー 比 率 上 るととに 配 当 性 配 比 率 上 昇 (1) 投 資 比 率 () (2) 投 資 比 率 () (3) 配 当 性 (4) 配 比 率 ( 備 考 ) 日 経 EED Financial uest 及 びureau an Di 社 Osirisにより 成 対 象 企 業 は 金 融 保 険 を 除 いて 上 記 データベースより 2004 年 2008 年 の 連 結 算 データが 取 得 でき 必 要 項 目 にのない 以 下 の 企 業 としている 日 本 (1)2590 社 (2)2582 社 アメリカ(1)4516 社 (2)4800 社 欧 州 EU15か 国 対 象 (1)1900 社 (2)3602 社 投 資 キャッシュフロー(CF) 営 業 CF 比 率 は 以 下 の 式 にて 算 出 しており 営 業 CFがプラスのもとでは 投 資 CF 超 (CFのマイナス)が 大 きいほど 高 いとなる 投 資 CF 営 業 CF 比 率 投 資 CF 金 (-1) 営 業 CF 金 配 当 性 向 有 配 企 業 比 率 については 黒 字 企 業 のみを 対 象 第 三 に 黒 字 企 業 に 占 める 有 配 企 業 の 割 合 は 以 前 から 我 が 国 企 業 は 8 割 と 高 く その 後 さ らに 上 昇 して 9 割 程 度 に 達 している この 間 アメリカでは 5 割 程 度 で 安 定 しており EU で は 急 速 に 上 昇 してアメリカとの 差 が 拡 大 している このように 我 が 国 企 業 では 投 資 配 当 が 積 極 的 に 行 われるようになっており 特 に 配 当 性 390

第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 向 の 上 昇 は グローバル 化 の 流 れのなかで 投 資 家 の 目 が 強 く 意 識 されるようになったことを 反 映 していると 見 られる 特 に リーマンショックを 含 む 2008 年 のデータからは 厳 しい 収 益 の 下 でも 一 定 の 配 当 が 行 われていることが 分 かった (2) 海 外 からの 投 資 は 呼 び 込 めているか 一 国 経 済 の 競 争 力 を 問 う 場 合 対 内 直 接 投 資 の 大 きさを 一 つのバロメーターと 考 えるこ とも 可 能 である また 外 資 系 企 業 には 収 益 力 が 高 く 優 れた 技 術 やノウハウを 持 つ 場 合 が 少 なくなく 同 業 他 社 や 周 辺 企 業 の 収 益 力 に 対 してスピルオーバー 効 果 を 示 す 可 能 性 も 考 えられ る こうした 問 題 意 識 から 我 が 国 への 対 内 直 接 投 資 の 現 況 について 調 べよう 我 が 国 の 対 内 直 接 投 資 は 低 水 準 ながら 増 加 の 動 きも 国 際 的 に 見 ると 我 が 国 への 対 内 直 接 投 資 は 少 ないことが 知 られているが 最 近 の 状 況 を 含 めてこの 点 を 確 認 しよう 具 体 的 には さきに 対 外 直 接 投 資 の 推 移 を 調 べたときのように 主 要 国 への 対 内 直 接 投 資 の 推 移 をフローとストックそれぞれの GDP 比 の 形 で 見 てみると 次 の 第 3 章 ような 点 が 明 らかになった( 第 3-3 - 23 図 ) 第 一 に 我 が 国 への 対 内 直 接 投 資 フローは 2006 年 まではほとんど 無 視 しうる 水 準 で 推 移 してきた しかし 2007 年 2008 年 については GDP 比 で 0.5%ではあるが これまでの 状 況 と 比 べると 動 きが 出 てきたと 見 ることができる 最 近 のこうした 動 きは アメリカ オラン 第 3-3 - 23 図 対 内 直 接 投 資 (フロー 及 びストック)の GDP 比 の 国 際 比 較 (1)フローのGDP 比 国 の 対 内 直 接 投 資 の (2)ストックのGDP 比 ( 備 考 )UCTADForeign Direct Inestment tatisticsにより 成 391

第 3 章 ダ シンガポールなどから 金 融 保 険 や 卸 小 売 業 といった 業 種 を 中 心 に 投 資 が 行 われた 結 果 であ る 第 二 に 他 の 主 要 国 への 対 内 直 接 投 資 フローを 見 ると 2005 年 以 降 は 英 国 向 けが 非 常 に 大 きくなっている また この 時 期 にはアメリカやドイツ 向 けも 比 較 的 高 水 準 が 続 いた これら の 先 進 諸 国 は 対 外 直 接 投 資 の GDP 比 も 高 めの 傾 向 にあり 双 方 向 で 積 極 的 な 直 接 投 資 活 動 を 進 めている これに 対 し 中 国 は 対 内 直 接 投 資 の 受 け 入 れを 継 続 的 に 拡 大 してきたが 近 年 は GDP の 成 長 に 追 いつかず GDP 比 は 緩 やかながら 低 下 が 見 られる 第 三 に 対 内 直 接 投 資 のストックについても フローについての 国 際 的 な 順 位 をおおむね 反 映 し 英 国 が 2008 年 でも GDP の 4 割 弱 と 突 出 している 次 いで ドイツ アメリカ 韓 国 中 国 の 順 となっており 我 が 国 は 最 低 の 水 準 である こうしたストックベースの 状 況 は 短 期 間 で 変 化 するものではないが 我 が 国 では 分 母 の 名 目 GDP の 伸 びが 他 国 と 比 べて 低 かったため 緩 やかながら 上 昇 傾 向 が 続 いてきた 対 内 直 接 投 資 の 増 加 は 受 入 国 の 生 産 性 上 昇 をもたらす 可 能 性 対 内 直 接 投 資 は 高 い 収 益 力 海 外 の 技 術 やノウハウ あるいは 高 度 な 人 材 の 移 転 などを 通 じ 受 入 国 の 潜 在 成 長 力 や 受 入 国 企 業 の 収 益 力 の 向 上 をもたらす 可 能 性 がある この 点 に 関 連 して ここでは 外 資 系 企 業 の 利 益 率 の 状 況 対 内 直 接 投 資 の 増 加 と 生 産 性 の 関 係 について データを 確 認 してみよう( 第 3-3 - 24 図 ) 第 一 に 外 国 資 本 が 保 有 する 企 業 と 我 が 国 法 人 企 業 全 体 の 総 資 本 営 業 利 益 率 を 時 系 列 で 対 比 させると 外 資 系 企 業 のほうが 一 貫 して 我 が 国 企 業 より 利 益 率 が 高 い こうした 現 象 の 解 釈 と して もともと 利 益 率 が 高 く 余 裕 のある 企 業 が 海 外 に 進 出 するという 側 面 も 考 えられる 仮 に そうであっても 周 辺 企 業 等 へのスピルオーバーなどから 我 が 国 全 体 の 成 長 力 を 底 上 げする 方 向 に 働 く 可 能 性 はあろう 第 二 に 売 上 高 に 占 める 研 究 開 発 費 の 比 率 を 見 ると やはり 外 資 系 企 業 では 全 法 人 の 平 均 よ り 高 水 準 にある ここでもまた 上 記 と 同 様 にもともと 研 究 開 発 に 重 点 を 置 く 業 種 ないし 企 業 が 我 が 国 に 進 出 しているとも 考 えられるが いずれにせよ 外 資 系 企 業 による 研 究 開 発 の 推 進 は 我 が 国 企 業 にとっても 潜 在 的 なメリットを 伴 うと 見 られる 第 三 に 各 国 における 対 内 直 接 投 資 ストックの GDP 比 の 変 化 と 全 要 素 生 産 性 (TFP) 上 昇 率 の 関 係 を 見 ると それほど 明 確 ではないが 対 内 直 接 投 資 が 増 加 している 国 ほど 生 産 性 も 伸 びやすい 傾 向 が 見 られる マクロ 的 に 見 ても 上 記 の 推 論 と 同 様 に 外 資 系 企 業 の 高 い 収 益 率 が 受 入 国 の 生 産 性 上 昇 をもたらす 可 能 性 を 示 しているといえよう 投 資 障 壁 などが 対 内 直 接 投 資 の 低 さに 影 響 している 可 能 性 我 が 国 への 対 内 直 接 投 資 の 少 なさはどのような 要 因 で 説 明 できるだろうか 一 般 に 企 業 は 国 境 を 越 えて 立 地 選 択 を 行 うに 際 し 自 国 と 相 手 国 の 市 場 規 模 やその 格 差 相 手 国 における 労 392

第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 第 3-3 - 24 図 対 内 直 接 投 資 と 生 産 性 上 昇 対 内 直 接 投 資 の 国 の 生 産 性 上 昇 す 性 (1) 総 資 本 益 率 の (2) 対 上 比 率 の 第 (3) 対 内 直 接 投 資 と 生 産 性 のびの 国 比 較 ( 備 考 ) 経 済 産 業 外 資 系 企 業 動 向 調 企 業 活 動 本 調 財 務 法 人 企 業 計 EUE UCTADForeign Direct Inestment tatistics により 成 全 法 人 の 利 益 率 については 財 務 法 人 企 業 計 における 全 規 模 の 計 数 全 法 人 の 対 売 上 高 研 究 開 発 費 比 率 については 経 済 産 業 企 業 活 動 本 調 における 計 数 た だし 同 調 は 従 業 者 50 人 以 上 かつ 資 本 金 は 出 資 金 3000 以 上 の 会 社 を 対 象 企 業 としている ことから 国 内 の 法 人 全 体 の 数 より 高 めに 出 て いる 可 能 性 がある 国 比 較 については 97-2006 年 の 変 化 をとった 国 比 較 の 対 象 国 は オーストラリア オースト リア チェコ デンマーク スペイン フンラ ンド フランス ドイツ ハンガリー アイルラ ンド イタリア 日 本 オランダ スロベア スウェーデン 英 国 アメリカ 3 章 働 力 など 生 産 要 素 の 状 況 投 資 や 貿 易 の 障 壁 の 大 きさなどを 参 照 すると 考 えられる ここで は 内 閣 府 における 先 行 研 究 40 から 人 材 の 状 況 と 投 資 障 壁 に 関 する 指 標 と 対 内 直 接 投 資 の 関 係 についての 分 析 を 紹 介 しよう 41 ( 第 3-3 - 25 図 ) 第 一 に 専 門 技 術 管 理 者 が 全 就 業 者 に 占 める 比 率 を 見 ると OECD 諸 国 のうち 高 所 得 国 の 中 では 同 比 率 が 高 い 場 合 に 対 内 直 接 投 資 の GDP 比 が 高 いケースが 目 立 つ 専 門 技 術 管 理 者 は 科 学 者 研 究 者 IT 技 術 者 弁 護 士 会 社 経 営 者 などから 構 成 される これらの 高 注 (40) 内 閣 府 (2008) 対 内 対 外 直 接 投 資 の 要 因 分 析 -なぜ 対 日 直 接 投 資 は 少 ないのか- ( 政 策 課 題 分 析 シリーズ1) (41)データについては 所 要 の 改 訂 を 行 っている 393

第 3 章 第 3-3 - 25 図 対 内 直 接 投 資 と 投 資 コスト 専 門 技 術 者 比 率 投 資 対 内 直 接 投 資 のにる 性 (1) 専 門 技 術 者 率 と 対 内 直 接 投 資 (2) 投 資 コストと 対 内 直 接 投 資 ( 備 考 )UCTADForeign Direct Inestment tatistics World Economic ForumTe Gloal Cometeteeness Reort IOAORTAにより 成 数 は (1) 図 が2001-2008 年 の 平 均 (2) 図 が 2001-2007 年 の 平 均 (2) 図 は 投 資 指 標 が 高 いほど 投 資 コストが 低 いことを 表 す 近 似 は ベルギーとアイスランドを 除 いて 引 いている 度 人 材 が 豊 富 な 国 には 海 外 の 企 業 が 研 究 開 発 など 知 識 集 約 部 門 を 配 置 しようとする 誘 因 が 強 いことが 示 唆 される 第 二 に 投 資 障 壁 の 低 さを 示 す 投 資 指 標 についても それが 高 い 国 において 対 内 直 接 投 資 の GDP 比 が 高 い 場 合 が 目 立 つ ここで 投 資 指 標 としては World Economic Forum の 国 際 競 争 力 報 告 における 国 内 企 業 の 経 営 権 取 得 の 制 約 性 外 国 人 労 働 者 の 雇 用 制 約 性 ジョイントベンチャーの 交 渉 制 約 性 などに 関 する 指 標 を 取 り 出 して 比 較 が 可 能 なように 標 準 化 したものである 第 三 に 我 が 国 ではこれらのいずれの 指 標 も 低 く 対 内 直 接 投 資 が 少 ない 要 因 となっている ことが 示 唆 される まず 専 門 技 術 管 理 者 の 比 率 が 低 いのは 会 計 士 や 弁 護 士 といった 専 門 職 の 人 材 が 少 ないことが 影 響 しているものと 見 られる また 投 資 指 標 については 我 が 国 は 国 内 企 業 の 経 営 権 取 得 の 制 約 性 ジョイントベンチャーの 交 渉 制 約 性 国 内 銀 行 から の 資 金 調 達 の 困 難 性 などの 項 目 が 相 対 的 に 弱 い (3) 我 が 国 は 企 業 活 動 に 相 応 しい 国 か これまで 見 てきたとおり 我 が 国 企 業 は 欧 米 企 業 と 比 べると 収 益 力 が 総 じて 弱 く また 海 外 からの 企 業 の 受 け 入 れも 低 水 準 となっている 以 下 では 海 外 からの 企 業 の 誘 致 といった 394

第 3 節 新 たな 国 際 分 業 と 日 本 経 済 視 点 にとどまらず より 広 く 我 が 国 のビジネス 環 境 について 現 状 を 把 握 しておこう 他 の 先 進 国 と 比 べ 我 が 国 の 法 人 実 効 税 率 は 相 対 的 に 高 いが 税 社 会 保 険 料 のくさびは 中 程 度 まず 企 業 が 直 面 する 公 的 負 担 の 代 表 として 税 や 社 会 保 障 負 担 による 公 租 公 課 による 負 担 が 考 えられる そこで 法 人 実 効 税 率 と 労 働 コストに 対 する 税 社 会 保 険 料 のくさび(tax wedges) について 我 が 国 の 状 況 を 国 際 比 較 データから 確 認 しよう 前 者 は 企 業 活 動 全 般 への 影 響 が 考 えられ 企 業 の 立 地 選 択 にとって 重 要 である 後 者 は 労 働 供 給 に 対 する 公 租 公 課 であり 人 材 の 確 保 労 働 市 場 の 柔 軟 性 といった 観 点 から 注 目 される 第 一 に 我 が 国 の 法 人 実 効 税 率 はアメリカと 同 程 度 であり OECD 諸 国 の 中 で 最 も 高 いグ ループにある( 第 3-3 - 26 図 (1)) ほぼ 同 程 度 でアメリカが 続 き フランスやドイツといっ た 国 も 相 対 的 に 高 い 英 国 やスウェーデンといった 国 は 中 程 度 であり 比 較 的 税 率 が 低 い 国 に はハンガリーやトルコといった OECD 諸 国 の 中 でも 中 進 国 に 位 置 づけられる 国 が 多 く 見 られ る 第 二 に 我 が 国 の 法 人 実 効 税 率 の 内 訳 を 見 ると 地 方 税 によるものが 3 割 程 度 を 占 めている こうした 国 は OECD の 中 では 少 数 であり 我 が 国 以 外 では カナダやドイツ スイスで 地 方 税 の 割 合 が 高 くなっている これらの 国 は いずれも 連 邦 制 を 採 用 している 点 が 特 徴 である 第 三 に 税 社 会 保 険 料 のくさび については 法 人 実 効 税 率 とは 異 なり 我 が 国 の 雇 用 者 報 酬 に 対 する 負 担 は OECD 諸 国 の 中 でも 中 位 よりも 低 めに 位 置 している( 第 3-3 - 26 図 (2)) 所 得 税 負 担 に 比 べ 事 業 主 被 用 者 双 方 による 社 会 保 険 料 負 担 は 相 対 的 に 大 きい 税 社 会 保 険 料 のくさび が 高 い 国 にはフランスやベルギーといった 法 人 実 効 税 率 が 高 い 国 とハン ガリーやトルコといった 低 い 国 が 混 在 している スペインや 英 国 は 中 程 度 アメリカは 我 が 国 より 低 い 水 準 に 位 置 している 第 3 章 法 人 税 パラドックス 前 述 の 法 人 実 効 税 率 について 我 が 国 と OECD で 長 期 の 時 系 列 がとれる 23 か 国 EU 平 均 G5 平 均 の 時 系 列 推 移 を 比 較 してみよう( 第 3-3 - 27 図 (1)) その 結 果 以 下 のような 点 が 明 らかとなる 第 一 に 我 が 国 の 法 人 実 効 税 率 は 98 年 や 99 年 の 税 制 改 革 もあり 大 きく 低 下 した 後 2000 年 以 降 はおおむね 横 ばいで 推 移 してきている 一 方 英 国 における 84 年 のサッチャー 税 制 改 革 やアメリカにおけるレーガン 税 制 のように 課 税 ベースの 拡 大 と 合 わせて 税 率 の 引 下 げが 多 くの 国 で 行 われた 結 果 OECD 諸 国 平 均 EU 平 均 で 見 ると 法 人 実 効 税 率 は 大 きく 低 下 してい る この 結 果 90 年 代 末 に 我 が 国 も 大 きく 税 率 を 引 き 下 げたにもかかわらず これを 上 回 っ て 諸 外 国 でも 税 率 は 低 下 し 我 が 国 の 法 人 実 効 税 率 は 各 国 平 均 に 比 べると 相 対 的 に 高 い 水 準 と なっていることが 分 かる さらに 最 近 の 動 きとして アジア 諸 国 において 企 業 の 誘 致 や 経 済 活 性 化 を 目 的 に 大 きく 税 率 を 低 下 させる 動 きがあることに 留 意 が 必 要 である 395

第 3-3 - 26 図 租 税 負 担 等 の 国 際 比 較 対 に 税 率 との 税 のび (1)D 国 にる 税 率 (200) (2) 税 のび(200) 第 3 章 396