フラットパネルディスプレイの 人 間 工 学 シンポジウム7 生 体 に 与 える 悪 影 響 を 防 止 する 技 術 NHK 放 送 技 術 研 究 所 森 田 寿 哉 映 像 の 効 果 と 影 響 映 像 効 果 コンテンツ + 表 示 装 置 影 響 興 味 感 動 集 中 理 解 促 進 臨 場 感 リアリティ 向 上 多 彩 な 映 像 表 現 インタラクティブ 化 大 画 面 化 立 体 3D 映 像 不 快 感 光 感 受 性 発 作 過 度 な 集 中 による 疲 労 映 像 酔 い 眼 精 疲 労
総 務 省 委 託 研 究 の 概 要 映 像 が 生 体 に 与 える 悪 影 響 を 防 止 する 技 術 (ネットワーク ヒューマン インターフェースの 総 合 的 な 研 究 開 発 ) 目 的 : 様 々な 映 像 メディアに 対 して 子 供 から 高 齢 者 まで 安 全 かつ 安 心 して 映 像 を 視 聴 可 能 とするため, 以 下 の 技 術 を 開 発 する 脳 の 定 量 的 評 価 解 析 技 術 自 律 神 経 系 の 影 響 を 同 時 に 計 測 する 技 術 生 体 に 影 響 のある 映 像 を 安 全 で 快 適 な 映 像 に 変 換 軽 減 防 止 する 技 術 ホーム 端 末 画 面 で 誰 もが3 次 元 映 像 を 安 心 安 全 に 楽 しめる3 次 元 映 像 表 示 期 間 : 平 成 15 年 9 月 3 日 ~ 平 成 18 年 3 月 31 日 ( 年 6ヶ 月 ) 受 託 機 関 : NHK-ES 東 京 大 学 神 奈 川 大 学 日 立 シャープ 東 芝 映 像 による 生 体 影 響 の 防 止 ガイドライン 検 出 装 置 検 出 変 換 装 置 メリット 特 別 な 表 示 装 置 を 必 要 としない コンテンツの 質 をコントロールでlきる デメリット あらゆる 視 聴 環 境 に 対 応 できない メリット 視 聴 環 境 を 考 慮 した 対 応 が 可 能 個 人 特 性 に 対 応 デメリット コンテンツの 質 を 低 下 させる 可 能 性 映 像 の 物 理 的 特 徴 量 と 生 体 影 響 の 関 係 の 解 明 本 研 究 の 取 り 組 み
生 体 影 響 防 止 技 術 の 現 状 と 課 題 映 像 の 特 徴 防 止 手 法 光 感 受 性 発 作 映 像 酔 い 点 滅 の 周 波 数 輝 度 差 色 領 域 の 大 きさ パターンなど 臨 床 実 験 等 により 多 くの 要 因 に ついて 解 明 が 進 んでいる 発 生 機 序 については 複 数 の 説 が 主 張 されている いくつかの 映 像 の 特 徴 に 関 して 実 験 的 に 求 められているが 評 価 方 法 が 統 一 されていない ITCやNHK 民 放 連 ガイドライン ITU-R 勧 告 BT.17 検 出 装 置 ビデオハザードブ ロッカー( 変 換 装 置 ) 多 様 な 視 聴 環 境 には 未 対 応 特 にないが 手 ぶれ 補 正 技 術 が 利 用 できる 可 能 性 あり 光 感 受 性 発 作 を 引 き 起 こす 視 覚 刺 激 の 特 徴 点 滅 刺 激 ~3Hzで 賦 活 効 果 が 大 きく 特 に15~18Hzで 大 きい 白 色 光 よりも 赤 色 光 (6~7nm)の 賦 活 効 果 が 大 きい 規 則 的 パタン 刺 激 縞 模 様 格 子 模 様 渦 巻 き 模 様 などの 規 則 的 パタン 模 様 空 間 周 波 数 が1~4cycle/deg.で 賦 活 効 果 が 大 きい 点 滅 刺 激 と 規 則 的 パタン 刺 激 に 共 通 する 特 徴 刺 激 のコントラスト( 輝 度 差 )に 比 例 して 賦 活 効 果 が 大 きくなる 刺 激 の 面 積 と 賦 活 効 果 の 大 きさは 視 角 48deg.まで 比 例 する 9 8 脳 波 に 異 常 が 見 える 患 者 の 割 合 (%) 7 6 5 4 3 1 4 7 13 16 19 5 8 31 34 37 4 43 46 49 5 55 58 61 64 フラッシュの 周 波 数 ( 一 秒 間 の 回 数 ) 誘 発 性 対 フリッカーの 時 間 周 波 数 (Harding & Jeavons のデータ, 被 験 者 17 人 ) cycle/deg.(4hの 場 合 ) 4cycle/deg..(4Hの 場 合 ) 規 則 的 パタン 刺 激 の 例
光 感 受 性 発 作 を 防 止 する 技 術 従 来 の 検 出 技 術 The Harding FPA 英 ITCの1 年 版 ガイドライン に 基 づいた 検 出 Red Flash Spatial Pattern luminance Flash Extended Duration を 計 測 参 考 計 測 器 NHK 民 放 連 の 共 通 ガイドライン アニメーション 等 の 映 像 手 法 に 関 するガイドライン に 基 づいた 検 出 赤 フリッカー 画 面 の 平 均 輝 度 変 化 コントラストの 強 い 画 面 の 反 転 規 則 的 なパターン 模 様 を 計 測 標 準 観 視 条 件 白 色 最 高 輝 度 :cd/m ガンマ :. 画 面 サイズ :5インチ 視 距 離 :m が 前 提 標 準 観 視 条 件 が 前 提 でいいのか? 表 示 デバイスの 多 様 化 大 画 面 化 携 帯 端 末 CRT PDP,LCD 視 聴 状 況 の 多 様 化 いつでも どこでも 視 聴 映 像 コンテンツの 多 様 化 インタラクティブコンテンツ(データ 放 送 等 ) アマチュア 映 像 の 流 通 多 様 な 視 聴 環 境 に 対 応 した 視 聴 環 境 における 映 像 検 出 変 換 技 術 が 必 要 光 感 受 性 発 作 を 防 止 する 映 像 変 換 手 法 光 感 受 性 発 作 を 引 き 起 こす 映 像 の 判 定 基 準 3Hzを 超 える 点 滅 周 波 数 輝 度 差 cd/m 画 面 の5%を 超 える 点 滅 領 域 (ITU-R 勧 告 BT.17を 参 考 ) 検 出 手 法 周 波 数 :3Hzを 超 える 点 滅 周 波 数 輝 度 差 : 表 示 装 置 の 最 高 輝 度 ガンマ 特 性 映 像 信 号 レベルから 算 出 点 滅 領 域 : 標 準 観 視 条 件 (5インチモニター 視 距 離 m)で 画 面 の5% の 領 域 が 網 膜 上 で 投 影 される 大 きさを 基 準 とする( 画 面 サイズ 視 距 離 点 滅 画 素 数 から 算 出 ) 変 換 手 法 点 滅 周 波 数 が3Hz 以 下 になるように 変 換
光 感 受 性 発 作 を 防 止 する 映 像 検 出 変 換 装 置 視 環 境 パラメータ 入 力 視 環 境 パラメータ 最 高 輝 度 ガンマ 値 画 面 サイズ 視 距 離 危 険 映 像 区 間 情 報 検 出 プログラム 変 換 プログラム 映 像 信 号 A/D 変 換 フレームメモリ D/ A 変 換 表 示 装 置 の 映 像 入 力 へ 検 出 プログラム 輝 度 ルックアップテーブル 作 成 画 素 値 pから 輝 度 値 L(p)を 算 出 L(p) = Lmax ( p 55 )γ 視 聴 環 境 パラメータ 最 高 輝 度 値 Lmax ガンマ 値 γ 動 き 補 償 危 険 な 輝 度 変 化 の 判 定 輝 度 変 化 がcd/m 以 上 の 画 素 総 数 が 1 5.54 tan N max = x y.5 ( ) 1 S tan d を 越 えるとき 危 険 な 輝 度 変 化 と 判 定 視 聴 環 境 パラメータ 画 面 サイズS 視 距 離 d 危 険 映 像 区 間 の 判 定 危 険 な 輝 度 変 化 が1 秒 間 に6 回 を 超 える 区 間 を 危 険 映 像 区 間 し その 開 始 フレー ムと 終 了 フレームの 情 報 を 出 力 変 換 プログラムへ 危 険 映 像 区 間 の 開 始 フレーム と 終 了 フレームの 情 報 を 渡 す
変 換 プログラム(フレーム 周 波 数 3Hzの 場 合 ) 開 始 フレーム 危 険 映 像 区 間 終 了 フレーム オリジナル 1 3 4 5 6 7 8 9 11 ~ ~ 57 58 59 6 61 6 第 1ブロック 第 ブロック 第 1ブロック 変 換 後 1 ~ ~ 58 58 58 58 58 6 第 1ブロック 中 の 任 意 のフレーム ( 第 フレーム)で 置 換 第 ブロックの 中 で 第 1ブロックで 置 換 した 第 フレームと 最 も 異 なる フレーム( 第 フレーム)で 置 換 第 1ブロックの 中 で 第 11ブロックで 置 換 した 第 54フレームと 最 も 異 なる フレーム( 第 58フレーム)で 置 換 検 出 変 換 結 果 検 出 変 換 区 間 5cd/m cd/m 標 準 :cd/m 4cd/m 5inch. 標 準 :5inch. 5inch. inch. Video( 最 大 輝 度 値 を 変 更 ) 4 6 8 Video( 画 面 サイズを 変 更 ) 4 6 8 Video( 視 距 離 を 変 更 ) 5cm cm 標 準 :cm 4cm 4 6 8 フレーム
映 像 酔 いを 引 き 起 こす 映 像 の 特 徴 を 求 める 手 法 SSQ による 映 像 酔 いの 主 観 評 価 脳 機 能 自 律 神 経 系 の 計 測 による 客 観 評 価 映 像 の 物 理 的 特 徴 量 ( 動 き 等 )の 抽 出 静 止 映 像 への 物 理 的 特 徴 量 ( 動 き 等 )の 付 加 映 像 酔 いの 程 度 と 映 像 の 物 理 的 特 徴 量 の 比 較 映 像 酔 いを 引 き 起 こす 映 像 の 物 理 的 特 徴 量 の 把 握 映 像 酔 い 評 価 手 法 SSQ (Simulator Sickness Questionnaire) (Kennedy, Lane, Berbaum, and Lilienthal, 1993) 16の 質 問 項 目 各 質 問 に(いいえ)から 3(はい)の4 段 階 4つの 指 標 TotalScore (TS) ((N+O+D) 3.74) Nausea (N, 気 持 ち 悪 さ) ( 素 点 9.54) Oculomotor (O, 目 の 疲 れ) ( 素 点 7.58) Disorientation (D,ふらつき 感 ) ( 素 点 13.9)
SSQ 質 問 項 目 General discomfort 全 体 的 に 気 分 がよくない (N,O) Fatigue 疲 れた (O) Headache 頭 痛 がする (O) Eyestrain 目 が 疲 れた (O) Difficulty focusing 目 の 焦 点 を 合 わせにくい (O,D) Increased salivation つばがよく 出 る (N) Sweating 汗 をかいている (N) Nausea 吐 き 気 がする (N,D) Difficulty concentrating 集 中 するのが 難 しい (N,O) Fullness of head 頭 がぼうっとする (D) Blurred vision ぼやけて 見 える (O,D) Dizzy (eyes open) 目 を 開 けているとふらふらした 感 じがする (D) Dizzy (eyes closed) 目 を 閉 じているとふらふらした 感 じがする (D) Vertigo ぐるぐるとしためまいがする (D) Stomach awareness 胃 に 違 和 感 がある (N) Burping げっぷが 出 る (N) 映 像 酔 いを 引 き 起 こす 手 ぶれ 映 像 の 分 析 SSQ Scores 6 4 TotalScore 映 像 1 映 像 映 像 3 映 像 4 比 較 用 パワースペクトル 1.8.6.4. 1 横 方 向 並 進 運 動 映 像 1 映 像 映 像 3 映 像 4 1 3 4 5 周 波 数 (Hz) 縦 方 向 並 進 運 動 映 像 酔 いに 寄 与 の 大 きい 成 分 は, 横 方 向 縦 方 向 並 進 パラメータの 約.5 ~Hzの 周 波 数 成 分 パワースペクトル.8.6.4. 映 像 1 映 像 映 像 3 映 像 4 1 3 4 5 周 波 数 (Hz)
映 像 酔 いと 縦 揺 れ 時 間 周 波 数 との 関 係 19.7deg. 酔 いの 強 さ 16 読 むのにかかる 時 間 秒 19 18. deg. SSQスコア( 差 ) 14 1 18 17 16 タテに 揺 れる 文 章 を 読 む 8.5.5 1 4 縦 揺 れ 時 間 周 波 数 (Hz) 15 結 果 : 酔 いの 強 さは.5Hzでもっとも 大 きい 動 揺 病 とは 異 なる 発 生 機 序 (.~.3Hz) 酔 いの 強 度 は 認 知 的 な 課 題 の 困 難 さに 依 存 しない 運 動 方 向 の 変 化 と 映 像 酔 い グローバルモーションの 運 動 量 は 同 じであっても, 運 動 方 向 の 変 化 がある 映 像 は, 映 像 酔 いを 生 じやすい
画 面 の 大 きさ( 視 野 角 実 サイズ)と 映 像 酔 い 観 察 条 件 5 cm DLP LCD 15 cm 75 cm DLP 5 cm cm cm cm cm 視 野 角 小 条 件 (14 deg ) 視 野 角 大 条 件 (4 deg ) 観 察 者 はアゴ 台 で 顔 面 の 位 置 を 固 定 実 験 結 果 SSQ Score (Total Score) 3 n = 1 4 deg 14 deg DLP (5 cm) DLP (15 cm) LCD (5 cm) DLP (75 cm) 5 15 5 Viewing distance (cm) SSQ Score (Nausea) 15 5 DLP (5 cm) 4 deg 14 deg DLP (15 cm) LCD (5 cm) DLP (75 cm) 5 15 5 Viewing distance (cm) トータルスコアにおいて, 視 野 角 が 大 きい 方 が 映 像 酔 いの 程 度 が 大 きい 気 持 ち 悪 さ(Nausea)の 因 子 でディスプレイサイズの 効 果 が 見 られ, 同 じ 視 野 角 でもディスプレイサイズが 大 きいと 酔 いの 程 度 が 大 きくなる
画 面 の 大 きさは 視 野 角 か? 振 幅 サイズ か? 視 野 角 振 幅 6 deg 1 deg 4 deg 3 deg.19.38.75 64 deg.9.19.38 ( 各 セル 内 は 振 幅 / 視 野 角 ) ランダムドット 刺 激 1Hzの 水 平 往 復 運 動 視 距 離 1.8m 提 示 時 間 5 分 SSQ (Total Score) 35 3 5 15.9.19 N = 1.19.38 5 6 1 18 4 Amplitude (deg) 64 deg 3 deg.38.75 振 幅 が 同 じであっても 視 野 角 が 大 きい と 酔 いの 程 度 も 大 きくなる. 視 野 角 3deg,64deg 条 件 共 に 振 幅 1 degのときに 最 も 酔 いの 程 度 が 大 きい. 振 幅 が 小 さい 映 像 では, 同 一 のコンテ ンツを 視 野 角 を 大 きくして 観 察 すると, 酔 いの 程 度 は 大 きくなる 振 幅 が 大 きい 映 像 では, 視 野 角 を 大 き くしても 酔 いの 程 度 があまり 変 わらな い 場 合 がある 付 加 的 背 景 刺 激 による 映 像 酔 い 低 減 手 法 NO OVERLAY 6 5 * n = 5 EMBOSS SSQ Total Score 4 3 NO OVERLAY GRID CHECKER BOARD EMBOSS * p <.5 (Wilcoxon signed rank test)
手 ぶれ 補 正 による 映 像 酔 い 防 止 手 法 映 像 のグローバルモーションを 推 定 画 面 サイズと 視 距 離 の 情 報 から 横 および 縦 方 向 平 行 移 動 の 速 度 の 閾 値 ( 下 限 値 )と 周 波 数 の 閾 値 ( 下 限 値 )を 設 定 つの 閾 値 を 共 に 超 える 区 間 を 映 像 酔 いの 生 じやすい 危 険 区 間 とする 危 険 区 間 の 変 位 に 対 してローパスフィルタをかける グローバルモーション 推 定 危 険 区 間 の 選 択 ( 周 波 数 最 大 速 度 による) 非 危 険 区 間 変 位 に 対 する ローパスフィルタ 画 面 サイズ 視 距 離 の 情 報 (pixel) 危 険 区 間 ( 周 波 数 大 and 速 度 大 ) 15 5-5 - 変 換 前 の 変 位 5 15 5 3 time(frame) 変 換 後 の 変 位 q Q : 変 位 Q_LPF Q" : 補 正 係 数 手 振 れ 補 正 による 映 像 酔 い 軽 減 手 法 主 観 評 価 結 果 SSQ 得 点 ( 酔 いの 強 さ) 6 4 被 験 者 1 被 験 者 被 験 者 3 補 正 なし 部 分 的 に 補 正 全 て 補 正
まとめと 今 後 の 課 題 研 究 成 果 多 様 な 視 聴 環 境 に 対 応 する 光 感 受 性 発 作 を 防 止 する 映 像 検 出 変 換 手 法 を 開 発 した 映 像 酔 いを 引 き 起 こす 映 像 の 特 徴 量 を 主 観 評 価 実 験 により 求 めた 視 聴 環 境 に 対 応 した 映 像 酔 いを 低 減 する 手 法 を 開 発 した 今 後 の 課 題 個 人 特 性 を 考 慮 した 映 像 酔 いを 引 き 起 こす 映 像 の 特 徴 量 の 評 価 手 法 の 開 発 防 止 効 果 と 映 像 の 劣 化 程 度 のバランスを 考 慮 した 生 体 影 響 防 止 手 法 の 開 発