国 際 大 学 GLOCOM 公 開 コロキウム ダイジェスト 題 目 : ネット 炎 上 の 真 実 講 師 : 田 中 辰 雄 ( 慶 應 義 塾 大 学 経 済 学 部 准 教 授 国 際 大 学 GLOCOM 主 幹 研 究 員 ) 山 口 真 一 ( 国 際 大 学 GLOCOM 研 究 員 / 助 教 ) 日 時 : 2016 年 5 月 10 日 ( 火 ) 午 後 5~7 時 会 場 : 国 際 大 学 グローバル コミュニケーション センター 概 要 2016 年 5 月 10 日 に 開 催 された 公 開 コロキウムでは GLOCOM 研 究 員 である 田 中 辰 雄 山 口 真 一 両 名 が 近 年 社 会 問 題 化 したネット 炎 上 についての 講 演 を 行 った 講 演 では 以 下 の 6 点 が 語 られた 第 一 に 炎 上 発 生 の 背 景 はインターネットと SNS の 普 及 で あり 炎 上 はいくつかのパターンに 分 類 できるということ 第 二 に 計 量 的 分 析 から 炎 上 参 加 者 の 属 性 が 推 定 され その 結 果 は 既 存 のイメージと 異 なり 一 般 的 市 民 像 ともいえる 特 徴 をもつと いうこと 第 三 に 炎 上 の 社 会 的 コストは 情 報 発 信 の 萎 縮 であるということ 第 四 に 現 役 の 炎 上 参 加 者 数 はネットユーザーの 0.5%に 限 られ その 中 で 問 題 となる 悪 質 な 攻 撃 者 は 極 めて 少 な く 特 異 な 人 々である 可 能 性 が 高 いということ 第 五 に 歴 史 的 観 点 から 炎 上 は 情 報 化 の 草 創 期 の 情 報 発 信 力 の 濫 用 であると 解 釈 できるということ 第 六 に 炎 上 の 対 策 として サロン 型 SNS の 普 及 と 情 報 リテラシー 教 育 の 徹 底 が 挙 げられるということ 以 上 を 踏 まえ 参 加 者 との 質 疑 応 答 を 行 った 主 に 他 SNS との 違 いや 実 現 可 能 性 といった 観 点 からサロン 型 SNS に 注 目 が 集 まった 1
ダイジェストレポート かつて インターネットが 人 々の 自 由 な 議 論 の 場 となることで 成 熟 した 民 主 主 義 社 会 を 導 く と 期 待 された しかし いわゆる 炎 上 の 増 加 はこういった 楽 観 論 を 暗 転 させ 近 年 ではネッ ト 上 での 議 論 について 悲 観 的 な 意 見 が 顕 著 になりつつある そこで 本 コロキウムでは 重 大 な 社 会 問 題 となった 炎 上 の 実 態 について GLCOM 研 究 員 であ る 田 中 辰 雄 山 口 真 一 両 名 が それぞれの 調 査 と 得 られた 知 見 についての 報 告 を 行 った 1 炎 上 の 実 態 山 口 からは 炎 上 の 実 態 が 語 られた 炎 上 の 定 義 を 述 べたうえで 炎 上 の 過 程 と 分 類 炎 上 参 加 者 属 性 の 実 態 について 説 明 し 考 察 を 行 った 1.1 炎 上 とは 何 か 近 年 インターネットと SNS の 普 及 を 背 景 として インターネット 上 で 一 つの 対 象 に 誹 謗 中 傷 コメントが 殺 到 する いわゆる 炎 上 が 増 加 傾 向 にある 炎 上 とは ある 人 物 や 企 業 が 発 信 した 内 容 や 行 った 行 為 について ソーシャルメディアに 批 判 的 なコメントが 殺 到 する 現 象 を 指 す こうした 炎 上 は その 背 景 から 過 去 の 批 判 集 中 とは 異 なる 特 徴 をもつ これは 拡 散 力 の 大 きさ 情 報 発 信 の 容 易 化 批 判 の 可 視 化 サイバーカスケードの 4 点 に 集 約 される 現 在 のインターネ ット 上 では 過 去 と 比 べ 拡 散 力 が 非 常 に 大 きく 事 象 が 潜 在 的 不 満 者 に 無 料 で 迅 速 に 伝 達 される 彼 らは 可 視 化 された 形 で 容 易 に 情 報 発 信 を 行 うことができ これは 行 動 の 過 激 化 や 追 従 的 参 加 者 を 生 み 批 判 を 受 ける 人 間 の 心 理 的 負 担 となる さらに サイバーカスケードの 存 在 から 過 激 化 が 加 速 される これらの 性 質 から 過 去 の 批 判 集 中 と 比 べ 炎 上 は 大 規 模 化 過 激 化 しやすく 被 害 者 の 負 担 が 大 きい このような 炎 上 は 具 体 的 には 以 下 のような 過 程 をたどっていく まず 炎 上 対 象 となる 事 象 が 起 こる この 事 象 に 気 付 いた 人 間 は ソーシャルメディア 上 で 発 信 拡 散 を 行 い 炎 上 が 始 まる やがて 炎 上 はまとめサイトやニュースサイト 1 の 目 に 留 まり 掲 載 されることになるが これによ り 炎 上 が 一 気 に 拡 大 する 一 定 以 上 に 拡 大 した 炎 上 は 既 存 メディアで 報 道 され インターネッ トユーザー 以 外 も 知 るところとなる 炎 上 は この 過 程 における 被 害 者 のアクションや 炎 上 対 象 により 複 数 のパターンに 分 類 する ことができるが ここには 大 きな 共 通 点 が 存 在 する 炎 上 対 象 となる 事 象 がインターネットユー 1 PV 数 稼 ぎを 目 的 として 積 極 的 に 炎 上 を 拡 散 過 激 化 するべく 恣 意 的 な 記 事 の 編 集 をするケー スが 多 くみられ 問 題 視 される しかし 表 現 の 自 由 の 観 点 から 取 り 締 まりは 困 難 であり 対 抗 言 論 として 信 頼 性 の 高 い 情 報 発 信 源 が 期 待 される 2
ザーの 規 範 に 反 する 行 為 という 点 である こうした 行 為 の 中 にはステルスマーケティングや 企 業 の 詐 欺 行 為 も 含 まれ 炎 上 の 拡 散 力 などの 性 質 から 従 来 のような 消 費 者 の 泣 き 寝 入 りや 被 害 拡 大 が 起 こりにくくなったという 正 の 側 面 も 存 在 する しかし 炎 上 に 至 るものの 中 に 犯 罪 や 反 社 会 的 行 為 でない 言 動 も 多 く 含 まれ 震 災 における 不 謹 慎 狩 り 2 や スマイリーキクチ 事 件 3 など 炎 上 被 害 者 に 何 の 落 ち 度 もない 炎 上 事 例 が 数 多 く 存 在 する 加 えて 仮 に 反 社 会 的 行 為 や 犯 罪 で あっても 炎 上 が 過 激 化 し 個 人 情 報 の 拡 散 といった 直 接 攻 撃 が 行 われた 場 合 それは 私 刑 4 であ り 法 治 国 家 において 許 容 されるものではなく 炎 上 は 重 大 な 社 会 問 題 といえる また これら のミクロ 的 被 害 のほかに 人 々が 炎 上 を 恐 れ 自 由 に 公 の 場 で 情 報 発 信 を 萎 縮 するというマクロ 的 被 害 も 存 在 し 誰 もが 自 由 に 情 報 発 信 可 能 な 場 としてのインターネットの 価 値 を 損 なうことにな る ミクロ マクロ 両 面 で 炎 上 は 現 代 社 会 の 重 要 な 課 題 となっているといえる 1.2 炎 上 参 加 者 の 実 態 炎 上 を 発 生 させる 実 際 の 炎 上 参 加 者 のプロフィールについては 事 例 研 究 や 社 会 学 的 理 論 考 察 は 存 在 するが 定 量 的 な 実 証 分 析 が 存 在 しない そこで アンケート 調 査 5 を 行 い 炎 上 参 加 者 の 実 態 について 分 析 する ロジットモデルとステップワイズ 法 6 を 用 いて 炎 上 参 加 行 動 と 個 人 属 性 について 分 析 を 行 った 結 果 有 意 となった 客 観 属 性 については 性 別 が 男 性 年 収 が 高 い 年 齢 が 若 い ソーシャル メディアの 利 用 時 間 が 長 い ラジオ 利 用 時 間 が 長 い 子 持 ちである などが 挙 げられた 有 意 と ならなかった 変 数 7 には 学 歴 やインターネットの 利 用 時 間 が 挙 げられた この 結 果 からは 既 存 の 炎 上 参 加 像 である 低 所 得 低 学 歴 インターネットヘビーユーザーといったイメージは 支 持 されないといえる また 主 観 属 性 については ネット 上 で 嫌 な 思 いをした 経 験 がある 人 間 ほど 炎 上 に 参 加 しやすいという 推 定 結 果 が 得 られ 炎 上 に 関 する 負 の 連 鎖 が 考 えられる 2 震 災 発 生 直 後 において 著 名 人 や 企 業 のあらゆる 行 動 が 震 災 被 害 者 に 対 し 不 謹 慎 であるとい われのない 攻 撃 を 受 けること ただし 2011 年 の 東 日 本 大 震 災 の 際 と 比 べ 2016 年 の 熊 本 大 震 災 においては 不 謹 慎 狩 りの 数 は 減 少 している 上 不 謹 慎 狩 りに 対 する 嫌 悪 的 態 度 の 方 が SNS 上 で 目 立 つなど インターネットユーザー 意 識 の 変 化 と 自 浄 作 用 がみられる 3 芸 人 のスマイリーキクチが ある 事 件 の 加 害 者 だと 勘 違 いされ 執 拗 な 攻 撃 を 長 年 にわたり 受 け 続 けたという 事 件 4 インターネットは 過 剰 性 を 持 っており 道 徳 の 過 剰 などの 過 剰 性 をまねく( 荻 上 チキ(2007) ウェブ 炎 上 ネット 群 集 の 暴 走 と 可 能 性 ちくま 新 書 ) これは 私 刑 の 過 激 化 や 横 行 につな がる さらに 反 社 会 的 行 為 とされる 言 動 の 範 囲 が 拡 大 するおそれがある 5 マイボイス 社 のインターネットモニター 約 2 万 人 に 対 し アンケートを 行 った そのうちの 2020 人 に 対 し 詳 細 な 質 問 を 行 いデータを 取 得 サンプリングバイアスは 分 析 の 際 にウェイト 付 けを 行 いコントロールしている 6 炎 上 に 確 率 する 確 率 に 対 し 個 人 の 客 観 的 属 性 ( 学 歴 性 別 など) 主 観 的 属 性 ( 炎 上 への 考 え 方 ) の 与 える 影 響 を 分 析 する この 際 アンケートから 得 られた 変 数 がどれについても 影 響 を 与 えて いると 理 論 的 に 考 えられるため ステップワイズ 法 により 有 意 な 変 数 だけのモデルを 構 築 する 7 統 計 学 的 性 質 上 有 意 でないことは 影 響 を 与 えていないと 解 釈 されるが これは 断 定 できるも のではない モデルの 設 定 やサンプル 抽 出 により 結 果 は 変 化 しうるため 参 考 に 留 まる 3
こうした 炎 上 参 加 者 のプロフィールから 自 らの 政 治 信 条 に 確 固 たるものをもち 自 らの 規 範 に 対 し 反 するものに 批 判 を 行 っていると 推 測 される これは 先 行 研 究 の 頭 を 良 く 見 せたい 型 ( 中 川 2010) 8 ともいえ 正 義 感 が 炎 上 に 隠 された 心 理 として 示 唆 される 自 らの 信 念 に 反 する 人 物 や 企 業 への いわば 正 義 の 鉄 槌 であり 同 意 見 の 批 判 者 が 可 視 化 されることにより 正 義 感 はより 満 たされ 過 剰 になっていく 2. 炎 上 の 問 題 点 と 歴 史 的 解 釈 からみる 炎 上 の 原 因 対 策 田 中 からは 炎 上 の 問 題 点 と 炎 上 の 現 状 の 歴 史 的 観 点 からの 解 釈 それらを 踏 まえた 今 後 の 炎 上 対 策 としての 炎 上 の 原 因 が 語 られ 今 後 の 対 策 が 述 べられた 2.1 炎 上 の 問 題 点 先 述 の 通 り 炎 上 は 心 理 的 負 担 となる 上 過 激 化 しやすく いわれのない 私 刑 にあうこともあ り 個 人 の 人 生 や 企 業 に 大 きなダメージを 与 える こういったミクロ 的 視 点 からの 問 題 点 以 外 に マクロ 的 観 点 からの 問 題 点 が 存 在 する それが 情 報 発 信 の 萎 縮 である 人 々が 炎 上 を 厭 い 情 報 発 信 を 停 止 してしまえば それは 誰 もが 自 由 に 情 報 発 信 を 行 うというインターネットの 大 きな 価 値 を 失 わせるものであり これは 社 会 的 コストである さらに 炎 上 を 厭 い 情 報 発 信 から 撤 退 する 人 間 は 中 庸 中 立 な 意 見 の 持 ち 主 であることが 多 い 誹 謗 中 傷 に 負 けない 極 端 な 意 見 を 持 った 人 々のみが 残 り 議 論 の 成 立 が 困 難 となる こういっ た 情 報 発 信 の 萎 縮 はデータや 事 例 に 現 れており オープンで 炎 上 が 発 生 しやすい SNS である Twitter から クローズな Facebook や LINE にユーザーが 移 動 している また アンケート 調 査 から インターネットに 対 するネガティブなイメージをもつユーザーの 割 合 の 高 さ 9 が 明 らかと なっている 2.2 炎 上 参 加 者 の 実 数 アンケート 結 果 からは 実 際 の 炎 上 の 参 加 者 は 1.1% 過 去 1 年 に 限 定 した 現 役 の 参 加 者 に 至 っては 0.5%に 過 ぎないと 推 定 された また 過 去 1 年 間 に 限 定 しても 炎 上 参 加 者 が 半 分 程 度 にしかならないことから 炎 上 参 加 メンバーは 固 定 的 だと 判 断 できる さらに 炎 上 発 生 件 数 とネットユーザーの 数 を 考 慮 すると 炎 上 事 件 1 件 あたりの 参 加 者 は 数 千 人 程 度 になる この 炎 上 参 加 者 については ただ 炎 上 事 件 について 批 判 的 な 内 容 を 呟 いたに 過 ぎない 人 も 含 まれ 実 際 8 中 川 淳 一 郎 (2010). ウェブを 炎 上 させるイタい 人 たち 面 妖 なネット 原 理 主 義 者 の いなし 方 宝 島 社 新 書 9 アンケート 結 果 においては インターネットは 怖 いところだと 思 う インターネットには 実 世 界 以 上 に 攻 撃 的 な 人 間 が 多 いと 思 う ユーザーがともに 7 割 を 超 え 情 報 発 信 の 萎 縮 の 可 能 性 が 示 唆 される 4
に 炎 上 で 問 題 となる 直 接 攻 撃 者 はこれ 以 上 に 少 なくなる 可 能 性 が 高 い 実 際 Twitter 上 の 書 き 込 みの 分 析 から 直 接 攻 撃 の 予 備 軍 10 となる 人 々は 炎 上 参 加 者 の 数 %にしか 過 ぎず 炎 上 事 件 1 件 あたり 数 十 人 ~ 数 百 人 と 推 定 された このごく 一 部 の 直 接 攻 撃 者 のプロフィールについてはあまりにもサンプルが 少 なく 統 計 的 な 分 析 が 不 可 能 である しかし 事 例 から 彼 らの 性 質 を 分 析 すると 非 常 に 特 異 な 人 物 像 が 浮 かび 上 がってくる 例 外 的 なごく 少 数 であり 大 きな 社 会 集 団 を 代 表 しているとはいえない こうし た 一 部 の 特 異 な 人 物 が 大 きな 影 響 力 を 行 使 してしまっている 状 況 が 炎 上 であるといえる 2.3 炎 上 の 歴 史 的 理 解 近 代 化 の 歴 史 は 国 家 化 産 業 化 情 報 化 の 3 つの 発 展 段 階 に 区 分 される こうした 発 展 段 階 において それぞれの 力 により 発 展 を 成 し 遂 げた 国 家 化 の 段 階 では 軍 事 力 の 競 争 と 主 権 国 家 体 制 の 確 立 がなされた 産 業 化 の 段 階 では 経 済 力 が 重 視 され 豊 かさが 尊 ばれた 情 報 化 の 段 階 である 現 代 では 物 理 的 豊 かさよりも 心 理 的 豊 かさが 重 視 されるようになり 情 報 収 集 力 情 報 処 理 力 情 報 発 信 力 といった いわば 情 報 力 に 重 きが 置 かれる 時 代 といえる この 各 発 展 段 階 の 草 創 期 において 一 部 の 者 による 力 の 濫 用 が 問 題 となった 国 家 化 の 時 代 で は 傭 兵 による 強 奪 が 深 刻 化 し 国 土 が 荒 廃 した 産 業 化 の 時 代 においては 悪 徳 企 業 による 過 酷 な 児 童 労 働 や 山 猫 銀 行 による 金 融 恐 慌 をまねいた この 観 点 から 情 報 化 の 草 創 期 である 現 代 に は 情 報 力 の 濫 用 が 生 じ 炎 上 はこの 中 の 情 報 発 信 力 の 濫 用 にあたると 解 釈 できる しかし 力 の 濫 用 は その 解 決 が 行 われてきた 例 えば 国 家 化 では 常 備 軍 化 で 産 業 化 では 労 働 法 制 などで その 力 を 殺 さず 制 御 する 形 で 解 決 されることとなった これに 従 うと 炎 上 は 歴 史 上 幾 度 かみられた 一 部 の 者 による 力 の 濫 用 である これは 解 決 可 能 な 問 題 であり 炎 上 はネットの 宿 命 ではない そして その 解 決 策 は 常 備 軍 化 や 労 働 法 制 のように その 力 の 潜 在 力 を 殺 すことなく より 生 かす 方 向 でなければならない 2.4 炎 上 の 原 因 と 対 策 歴 史 的 観 点 から 炎 上 を 情 報 発 信 力 の 濫 用 としてとらえた 場 合 炎 上 の 原 因 は ネット 上 で 個 人 に 与 えられた 情 報 力 が 強 すぎることにある 誰 でも 強 制 的 に 発 言 を 他 者 に 届 かせることができ これを 止 める 有 効 な 手 段 がなく 情 報 発 信 力 が 濫 用 されている 炎 上 の 対 策 については この 情 報 発 信 力 の 過 大 に 注 目 し これを 抑 える 形 の 対 策 が 好 ましい 11 10 炎 上 における 直 接 攻 撃 者 は 何 度 も 誹 謗 中 傷 を 繰 り 返 すという 観 点 から 書 き 込 み 回 数 が 複 数 にわたる 人 々を 炎 上 参 加 者 予 備 軍 とした 11 言 論 に 対 し 法 的 規 制 を 強 化 することによる 炎 上 対 策 も 考 えられるが 言 論 の 自 由 の 観 点 から デメリットが 大 きい 実 例 として 韓 国 で 導 入 されたネット 実 名 制 は 炎 上 件 数 増 加 の 効 果 は 極 めて 小 さく 一 般 の 情 報 発 信 を 減 少 させたのみとなり 失 敗 に 終 わった また クローズドな SNS への 移 行 などは 確 かに 炎 上 が 減 少 するが 情 報 発 信 が 失 われてしまう 5
ここでは 新 たな SNS の 形 としてのサロン 型 SNS と 炎 上 リテラシー 教 育 を 提 示 する サロン 型 SNS とは 情 報 発 信 と 受 信 を 分 離 したシステムの SNS である 具 体 的 には 数 多 く のサロンが 存 在 し そこにおいて 書 き 込 みはメンバーしかできないが 読 むのは 誰 でもできると いうシステムになる Facebook のような 炎 上 しにくいクローズドな SNS な 利 点 をもちつつ 情 報 発 信 力 を 保 つ ただし 攻 撃 的 な 情 報 発 信 を 限 定 するために サロンにおいて 主 催 者 の 承 認 制 によるメンバーシップ 制 をとる こうしたメンバーシップ 制 については アンケート 結 果 から 全 年 齢 で 支 持 されていることが 確 認 されている 最 も 支 持 率 が 低 いのは 30 代 であるが これは 人 格 形 成 期 である 20 代 に 炎 上 をみたことが 原 因 であると 考 えられる 炎 上 リテラシー 教 育 については 炎 上 に 対 する 理 解 を 深 め 炎 上 をしのいで 情 報 発 信 を 促 進 さ せるリテラシーを 普 及 させることになる 現 実 の 炎 上 参 加 者 は 全 体 のごく 一 部 であるが 実 際 の 炎 上 被 害 者 は 殺 到 する 誹 謗 中 傷 に 世 界 中 から 責 められているように 感 じてしまうことが 多 い しかし 炎 上 に 対 する 理 解 が 深 まり 炎 上 参 加 者 の 少 なさといった 現 状 を 知 っていれば 炎 上 に 屈 することなく 情 報 発 信 を 続 けることができる さらに 炎 上 が 実 際 に 発 生 した 場 合 の 対 処 法 を 周 知 すれば 炎 上 の 被 害 を 抑 えることができる また 炎 上 を 起 こしにくい 情 報 発 信 の 形 の 周 知 も 重 要 である こうした 炎 上 リテラシー 教 育 を 児 童 期 学 生 期 において ネットマナーや 著 作 権 についての IT リテラシー 教 育 に 加 え 炎 上 リテラシー 教 育 を 行 うことを 提 示 したい インタ ーネットやソーシャルメディアの 利 用 開 始 年 齢 は 低 下 傾 向 にあり こういった 炎 上 リテラシー 教 育 の 必 要 性 は 高 いと 思 われる 6