は じ め に 近 年 消 費 者 の 食 の 安 全 安 心 や 環 境 問 題 への 関 心 がこれまで 以 上 に 高 まる 中 化 学 肥 料 や 農 薬 を 基 本 的 に 使 用 しない 有 機 農 業 の 取 組 は 消 費 者 はもとよ り 生 産 現 場 からも 大 きな 期 待

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は じ め に 近 年 消 費 者 の 食 の 安 全 安 心 や 環 境 問 題 への 関 心 がこれまで 以 上 に 高 まる 中 化 学 肥 料 や 農 薬 を 基 本 的 に 使 用 しない 有 機 農 業 の 取 組 は 消 費 者 はもとよ り 生 産 現 場 からも 大 きな 期 待 が 寄 せられています 北 海 道 では これまでも 食 の 安 全 安 心 条 例 などに 位 置 づけて 有 機 農 業 を 推 進 してきましたが 有 機 農 業 推 進 法 の 制 定 を 受 けて 平 成 20 年 3 月 に 北 海 道 有 機 農 業 推 進 計 画 を 策 定 し 4 月 からは 農 業 改 良 普 及 センターに 有 機 農 業 担 当 の 主 査 を 配 置 するなどさらに 推 進 体 制 を 強 化 し 北 海 道 らしい 資 源 循 環 型 の 有 機 農 業 の 普 及 定 着 を 図 っているところです しかしながら 道 内 の 有 機 農 業 者 は 約 330 戸 総 農 家 戸 数 の 0.6%とまだ まだ 少 ない 状 況 にあります この 事 例 集 は 有 機 農 業 の 取 組 を 進 めるため 道 内 各 地 で 先 進 的 に 取 組 をされ ている 農 家 の 方 の 中 から 農 業 改 良 普 及 センターを 通 じて 実 践 されている 内 容 を 取 りまとめたものです 有 機 農 業 は 化 学 肥 料 や 農 薬 を 基 本 的 に 使 わないことか ら 特 に 気 象 条 件 や 土 壌 条 件 などそれぞれの 地 域 にあった 技 術 を 取 り 入 れること が 重 要 であり 必 ずしも 条 件 の 異 なる 地 域 で 同 じ 効 果 が 発 揮 されないことも 考 えられますが 有 機 農 業 の 取 組 を 進 める 上 での 参 考 にしていただければ 幸 いで す 最 後 になりますが 取 りまとめに 当 たりご 協 力 をいただいた 農 家 の 皆 様 はじ め 関 係 の 皆 様 に 心 から 感 謝 申 し 上 げます 平 成 21 年 3 月 北 海 道 農 政 部 食 の 安 全 推 進 局 長 竹 林 孝

目 次 1 こだわりの 野 菜 づくりと 消 費 者 交 流 による 幅 広 い 農 業 をめざす あ し だ ( 千 歳 市 蘆 田 祐 介 氏 ) 1 2 有 効 微 生 物 群 を 生 かした 環 境 浄 化 と 資 源 循 環 型 農 業 を 目 指 す ( 新 篠 津 村 早 川 仁 史 氏 ) 5 3 消 費 者 の 期 待 に 応 える 安 全 安 心 な 有 機 栽 培 の 実 践 4 合 鴨 農 法 でおいしい 有 機 米 生 産 ( 七 飯 町 ついき 農 園 築 城 正 行 氏 ) 9 (せたな 町 せたなオーガニック 倶 楽 部 代 表 高 橋 利 治 氏 ) 13 5 北 海 道 で 有 機 JAS! 秋 田 県 ではエコファーマー!! ( 共 和 町 なかもと 農 園 代 表 中 本 正 雄 氏 ) 17 7 生 物 多 様 性 と 営 農 が 共 生 できる 農 業 をめざして ( 南 幌 町 匿 名 希 望 ) 24 8 ハーベストガーデン 福 山 の 取 り 組 み ( 当 麻 町 ハーベストガーデン 福 山 福 山 憲 昭 氏 ) 27 9 豊 かな 環 境 の 中 で 豊 かな 生 活 を 目 指 して ( 当 麻 町 匿 名 希 望 ) 31 10 命 の 糧 は 自 然 の 摂 理 にかなった 農 法 から ( 北 見 市 蝦 夷 農 園 代 表 北 原 潤 哉 氏 ) 34 11 津 別 町 有 機 酪 農 研 究 会 の 取 り 組 み ( 津 別 町 津 別 町 有 機 酪 農 研 究 会 会 長 山 田 照 夫 氏 ) 38 12 自 然 のサイクルを 最 大 限 に 活 かした 有 機 農 業 を 実 践 む か う ( 安 平 町 無 何 有 の 郷 農 園 13 有 機 農 業 は 自 然 サイクルが 最 も 大 切 しょうじ 小 路 建 男 氏 ) 42 ( 幕 別 町 トカプチ 有 限 会 社 森 茂 樹 氏 ) 46 14 健 康 な 大 地 を 取 り 戻 す 有 機 農 法 に 取 り 組 む [ 参 考 ] 特 別 栽 培 農 産 物 栽 培 実 践 事 例 ( 大 樹 町 十 勝 野 菜 村 遠 藤 内 査 勝 氏 ) 50 安 全 安 心 な 農 産 物 をより 多 くの 消 費 者 に 届 けたい よ ご ( 恵 庭 市 余 湖 智 氏 ) 53 参 考 資 料 1 北 海 道 有 機 農 業 推 進 計 画 ( 平 成 20 年 3 月 策 定 ) 57 2 有 機 農 業 の 推 進 に 関 する 法 律 ( 平 成 18 年 12 月 15 日 公 布 ) 68

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有 効 微 生 物 群 を 活 かした 環 境 浄 化 と 資 源 循 環 型 農 業 を 目 指 す ( 新 篠 津 村 早 川 仁 史 氏 ) 1 経 営 の 概 要 (1) 有 機 栽 培 経 験 年 数 5 年 (2) 経 営 規 模 (うち 有 機 栽 培 ) 25.1ha(9.5ha) (3) 労 働 力 ( 人 ) 2 人 (4) 作 物 別 作 付 面 積 及 び 生 産 量 (H 20 年 ) 作 物 名 作 付 面 積 (うち 有 機 栽 培 ) 生 産 量 (10a 当 り) (うち 有 機 栽 培 ) 水 稲 12.8 ha (5.4ha) 540 kg kg 大 豆 5.0 (3.5) 300 ( 300 ) 秋 まき 小 麦 6.0 600 メロン 1.3 (0.6) 2,600 ( 2,600 ) 2 有 機 農 業 取 組 の 経 緯 等 (1) 有 機 農 業 取 組 の 動 機 と 経 過 昭 和 63 年 から 始 めたメロン 栽 培 が 連 作 障 害 に 悩 ま されるようになった 頃 東 京 で 行 われた 比 嘉 教 授 ( 琉 球 大 学 )の 講 演 を 聞 き EM 農 業 の 存 在 を 知 って 新 篠 津 村 の 伊 藤 指 導 農 業 士 と 相 談 して 有 機 農 業 を 実 践 することになった 最 初 自 宅 の 居 間 でボカシ1t( 米 ぬか 中 心 )を 作 り メロンハウスに 散 布 した これを 継 続 するこ とによって 土 壌 が 変 わり 病 害 が 少 なくなった 感 触 を 持 った 農 薬 散 布 回 数 も 年 々 減 らし 無 農 薬 栽 培 に 移 行 した 無 農 薬 無 化 学 肥 料 栽 培 でメロンを 作 り 顧 客 を 開 拓 している 中 で 有 機 JASの 認 定 取 得 を 進 められ 取 得 に 向 けた 取 り 組 みを 始 めた メロンの 有 機 栽 培 に 始 まり 顧 客 からの 要 望 で 大 豆 の 有 機 栽 培 にも 取 り 組 み 平 成 14 年 に 有 機 JAS(メロン 大 豆 )の 認 定 を 取 得 した 水 稲 は 有 機 栽 培 に 準 じているが 様 々な 顧 客 ニーズに 応 じるため 有 機 JASの 認 定 は 取 得 せず 特 別 栽 培 農 産 物 として 取 り 組 んでいる 写 真 1 早 川 仁 史 氏 (2) 有 機 農 業 取 組 の 考 え 方 泥 炭 土 の 持 つ 力 ( 窒 素 供 給 量 の 多 さ)と 有 効 微 生 物 群 を 活 かし 環 境 浄 化 にもつながるよ うな 資 源 循 環 型 の 有 機 農 業 を 目 指 している 顧 客 の 顔 が 見 え その 要 望 に 応 えながら 家 族 労 働 力 (2 人 )で 賄 えて 経 営 として 成 立 するような 有 機 農 業 であること - 5 -

3 有 機 栽 培 管 理 技 術 等 の 特 徴 < 大 豆 > [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] 品 種 ~ 普 通 大 豆 トヨムスメ 黒 大 豆 いわいくろ 大 豆 は 同 一 ほ 場 に 連 作 している (9 年 連 作 にもかかわらず 莢 数 や 粒 の 大 きさは 慣 行 と 遜 色 なく むしろ 慣 行 を 上 回 るくらいである ) 種 子 は 自 家 採 種 したものを 使 用 し は 種 は5 月 15 日 前 後 に 実 施 している 出 芽 のバラツキの 低 減 雑 草 発 生 の 抑 制 タネバエの 被 害 軽 減 を 目 的 として は 種 後 の 土 壌 鎮 圧 を 堅 く 施 工 している 有 機 大 豆 は 出 芽 しにくいというのが 課 題 だが 慣 行 栽 培 よりも 発 芽 率 はよい 有 機 大 豆 は 慣 行 よりも 葉 色 が 少 し 薄 いようである 有 機 大 豆 づくりの 成 功 の 鍵 は EMボカシ づくりだと 考 えている 希 釈 したEM 培 養 液 を 散 布 する 以 外 は 何 も 散 布 しない [ 栽 培 管 理 技 術 等 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 米 ぬかを 主 体 に 魚 かす 籾 殻 を 使 用 した 自 作 のボカシ 肥 料 (EM 菌 を 利 用 )の 施 用 で 有 効 微 生 物 群 の 活 性 化 を 促 している (2) 病 害 虫 防 除 タネバエ 被 害 を 抑 えるため は 種 後 の 鎮 圧 を 強 化 するとともにボカシ 肥 料 の 施 肥 時 期 を 遅 らせている( 大 豆 の 発 芽 後 ある 程 度 生 育 (6 月 末 )してから 散 布 ( 施 肥 作 業 は1 回 (120kg/10a)) (EM ボカシは 米 ぬかを 元 にしているので 多 少 の 油 分 を 含 んでおり 多 少 の 油 やけを 起 こすが 大 きな 問 題 とはなっていない ) (3) 雑 草 対 策 雑 草 発 生 の 抑 制 も 目 的 として は 種 後 の 土 壌 鎮 圧 を 堅 く 施 工 している 土 壌 を 鎮 圧 するためカルチも 出 芽 直 前 ~ 直 後 に 入 ることを 重 点 として 計 10 回 程 度 行 う 除 草 も 兼 ねて 大 豆 をまいたところを 機 械 ( 草 カルチ+ 砕 土 クラッシャー)で 混 和 していく ( 空 気 ( 窒 素 )を 土 の 中 に 入 れることによって 大 豆 の 根 粒 菌 による 窒 素 固 定 を 活 発 化 させマメ の 成 長 を 促 すやり 方 ) この 作 業 は とにかく 暇 さえあれば 繰 り 返 し 行 い 約 7ha の 大 豆 畑 の 除 草 は 1 人 でやって 約 4 時 間 で 終 わる (4)その 他 大 豆 の 収 穫 作 業 等 写 真 2 草 カルチ+ 砕 土 クラッシャ ー 刈 り 取 り 後 ニオ 積 みし 生 産 グループで 乾 燥 調 製 を 行 っている ( 慣 行 はJAで 乾 燥 調 製 を 実 施 ) - 6 -

<メロン> [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] 品 種 ~ 赤 肉 系 ルピアレッド ルピアレッド325 ハウスは 動 かさず 連 作 (メロンは 連 作 障 害 ( 茎 枯 病 青 枯 病 等 )が 出 やすいため 3 ~4 年 経 ったらビニールハウスをずらすのが 通 例 であるが(これは 大 変 な 労 力 を 要 す る ) 全 てのほ 場 にEMぼかしを 施 用 しており 最 も 長 いところでは15 年 の 連 作 を 行 っている ) 種 子 ~ 購 入 育 苗 培 土 ~ 購 入 ( 有 機 培 土 ) は 種 は1 月 20 日 頃 からずらしながら 定 植 は3 月 初 旬 ~6 月 初 旬 収 穫 は6 月 20 日 ~8 月 20 日 を 計 画 している ボカシ 肥 料 ( 自 家 製 )は 定 植 前 に60kg/150 坪 貝 殻 化 石 60kg/150 坪 を 施 用 してい る 希 釈 したEM 培 養 液 を 散 布 する 以 外 は 何 も 散 布 しない [ 栽 培 管 理 技 術 等 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 米 ぬかを 主 体 に 魚 かす 籾 殻 を 使 用 した 自 作 のボカシ 肥 料 (EM 菌 を 利 用 )の 施 用 で 有 効 微 生 物 群 の 活 性 化 を 促 している (2) 病 害 虫 防 除 ハウス 周 辺 の 害 虫 の 発 生 時 期 を 観 察 しながら 丁 寧 に 草 刈 りを 行 い 病 害 虫 の 発 生 量 を 抑 えている (4)その 他 メロンは 最 後 に 根 が 窒 素 を 吸 い 上 げすぎてしまうと 糖 度 が 上 がらないが 光 合 成 細 菌 (EM 菌 )が 窒 素 を 餌 にしており メロンが 窒 素 を 必 要 としなくなると 光 合 成 細 菌 が 窒 素 を 消 費 するという 形 になっている 4 生 産 物 の 出 荷 販 売 メロン 大 豆 は 契 約 栽 培 を 主 体 としている 大 豆 は 農 協 で 検 査 を 行 い 有 機 栽 培 大 豆 としてこだわりのある 府 県 の 醤 油 みそ 加 工 業 者 に 全 量 販 売 している 冬 期 間 に 実 需 者 加 工 業 者 を 訪 問 して PR 活 動 を 行 い 契 約 の 継 続 を 図 っている こだわって 有 機 農 産 物 を 生 産 しているので 販 売 する 加 工 業 者 もこだわりが 共 感 できるよ うな 業 者 にしたいと 考 えており 加 工 業 者 を 必 ず 訪 問 し 考 え 方 を 理 解 してくれる 業 者 と 契 約 している 5 生 産 者 のつながり 関 係 機 関 団 体 等 との 関 わり 北 海 道 指 導 農 業 士 新 篠 津 村 EM 研 究 会 副 会 長 新 篠 津 村 の 現 状 村 内 の300 戸 の 農 家 のうち290 戸 がエコファーマーの 認 証 を 取 得 しており 約 30%の 農 家 が 特 別 栽 培 を 実 践 し 有 機 JAS は17 戸 で 認 定 を 受 けている - 7 -

新 篠 津 村 では 家 畜 ( 牛 豚 鶏 等 )が 少 ないため 平 成 6 年 より 米 ぬかを 使 った E Mボカシ を 製 造 し 土 づくりを 行 う 循 環 型 農 業 を 進 めている 村 が 補 助 金 を 活 用 して EMボカシ の 製 造 機 械 を 整 備 し 管 理 は 農 協 ボカシ 肥 料 の 生 産 は 農 家 が 自 ら 行 うシステムを 構 築 している 7 今 後 の 課 題 と 方 向 (1) 当 面 の 課 題 大 豆 栽 培 では 連 作 でマメシンクイガの 発 生 量 が 増 加 傾 向 にあるため BT 剤 ( 天 敵 微 生 物 を 利 用 した 生 物 農 薬 の 一 種 )などで 対 応 することを 検 討 している 実 需 者 や 加 工 業 者 への 訪 問 を 生 産 グループで 行 くようにしたい (2) 今 後 の 希 望 将 来 子 供 にバトンタッチできるように 次 世 代 に 継 承 できる 楽 しく 魅 力 ある 地 域 や 経 済 基 盤 を 残 せる 農 業 経 営 を 確 立 したい (3) 有 機 農 業 に 対 する 意 見 新 篠 津 村 において ここまで 施 設 が 整 っていても 有 機 栽 培 がなぜ 増 えないのかというと 有 機 農 家 が 有 機 農 業 を 増 やそうと 思 っていないからかもしれない 有 機 農 家 は 栽 培 技 術 を 持 っているし 生 産 した 有 機 農 産 物 を 売 る 販 路 を 持 っているが 有 機 農 産 物 を 買 ってくれる 消 費 者 が 増 えなければ 有 機 農 家 は 増 えていかない 安 定 して 計 画 どおり 生 産 できる 技 術 を 確 立 したことで 予 約 販 売 では 種 前 から 完 売 すると いうことがあるが 有 機 農 業 は 儲 からないというイメージを 持 つ 人 がいるのも 事 実 である 単 に 有 機 農 家 だけを 増 やそうとしても 有 機 農 産 物 を 買 う 消 費 者 や 有 機 農 産 物 を 扱 う 流 通 業 者 が 増 えなければ 販 売 先 を 取 り 合 う 形 になってしまうため 既 存 の 有 機 農 家 は 自 分 の 持 っている 技 術 を 外 に 出 さなくなる 有 機 農 産 物 の 消 費 が 伸 びない 現 状 の 裏 には 直 接 販 売 ではうまくいっても 大 手 の 流 通 業 者 が 手 を 出 さないというのが 理 由 だと 思 う 作 成 : 石 狩 農 業 改 良 普 及 センター 石 狩 北 部 支 所 - 8 -

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北 海 道 で 有 機 JAS! 秋 田 県 ではエコファーマー!! ~ 共 和 町 と 大 潟 村 をまたにかけるECO 農 業 の 取 り 組 み~ ( 共 和 町 なかもと 農 園 代 表 中 本 正 雄 氏 ) 1 経 営 の 概 要 (1) 有 機 栽 培 経 験 年 数 8 年 目 (2) 経 営 規 模 (うち 有 機 ) 50ha(5ha) ( 平 成 13 年 に 有 機 JAS 認 定 取 得 ) (3) 労 働 力 3 名 ( 本 人 従 業 員 2 名 ) (4) 作 物 別 作 付 面 積 及 び 生 産 量 (H20 年 ) これからは ECO 農 業 の 時 代 です! 写 真 1 中 本 正 雄 氏 品 目 そば( 有 機 JAS) そば( 一 般 ) 秋 まき 小 麦 馬 鈴 しょ 作 付 面 積 5ha 44ha 5ha 1 ha 10a 生 産 量 178kg 143kg 426kg 3,620kg このほか 秋 田 県 大 潟 村 で 水 稲 45haを 作 付 2 有 機 農 業 取 組 の 経 緯 等 (1) 有 機 農 業 取 り 組 みの 動 機 と 経 過 共 和 町 において 高 校 卒 業 ~ 昭 和 44 年 まで 両 親 とともに 稲 作 専 業 経 営 を 営 む 昭 和 45 年 より 大 規 模 稲 作 経 営 を 志 し 秋 田 県 大 潟 村 に10haの 農 地 を 取 得 現 在 では 共 和 町 ( 分 場 )でそば49ha 大 潟 村 ( 本 場 )で 水 稲 45haを 作 付 けし 北 海 道 と 秋 田 県 を 往 復 する 営 農 を 続 けている 平 成 10 年 頃 より 消 費 者 の 望 む 農 業 の 実 践 は 自 家 経 営 の 発 展 につながると 考 え 安 心 安 全 美 味 しい 農 作 物 生 産 を 目 指 し 大 潟 村 ( 水 稲 )でエコファーマー 平 成 1 3 年 に 共 和 町 で 有 機 JASの 認 定 を 取 得 した 有 機 JAS 認 定 ほ 場 では 毎 年 5haの そば を 栽 培 している 有 機 JAS 認 定 ほ 場 や 一 般 そばの 作 付 は 町 内 の 遊 休 農 地 を 活 用 ( 賃 借 )している (2) 有 機 農 業 取 り 組 みの 考 え 方 消 費 者 が 望 む 農 業 の 展 開 : 人 や 環 境 に 配 慮 した 農 業 (エコロジー 農 業 )を 基 本 とし 安 心 安 全 美 味 しい 農 産 物 生 産 を 目 指 す 農 産 物 の 付 加 価 値 化 による 農 業 経 営 の 安 定 化 有 機 JAS エコファーマーに 取 り 組 むことで 自 らの 生 産 コスト 低 減 意 識 を 高 める 有 機 JASほ 場 は 遊 休 農 地 を 活 用 することで 地 域 農 業 の 活 性 化 につながる - 17 -

3 有 機 栽 培 管 理 技 術 等 の 特 徴 [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] (1) 品 目 ( 品 種 ) そば(キタワセソバ) (2) 有 機 農 産 物 として そば を 選 んだ 理 由 そば は 病 害 虫 の 発 生 が 少 ないなど 容 易 に 栽 培 でき 失 敗 のリスクは 極 めて 低 い 共 和 町 内 でそばを 作 付 することで 大 潟 村 の 水 稲 と の 作 業 の 競 合 が 避 けられ 細 やかな 栽 培 管 理 が 可 能 (3) 有 機 栽 培 と 一 般 栽 培 の 違 い 基 本 的 な 栽 培 体 系 は 有 機 一 般 栽 培 ともに 変 わらない 有 機 栽 培 :100% 有 機 肥 料 を 使 用 し 除 草 はほ 場 の 砕 土 率 を 高 め は 種 後 の 鎮 圧 を しっかり 行 うなど 耕 種 的 対 策 に 力 を 入 れている 一 般 栽 培 :BB 肥 料 を 使 用 し 雑 草 対 策 は 状 況 に 応 じ 除 草 剤 で 対 応 一 般 そばは 秋 まき 小 麦 との 交 互 作 を 実 施 している 写 真 2 有 機 栽 培 の そば 表 1 有 機 栽 培 と 一 般 栽 培 の 比 較 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 旬 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 作 業 有 機 栽 培 期 節 一 般 栽 培 種 子 選 別 耕 起 整 地 施 肥 : 有 機 肥 料 は 種 施 肥 :BB 肥 料 は 種 除 草 剤 散 布 収 穫 生 育 期 節 出 芽 開 花 成 熟 期 [ 栽 培 管 理 技 術 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 遊 休 農 地 の 活 用 遊 休 農 地 を 活 用 することで 有 機 農 業 に 適 する 土 づくりを 時 間 をかけて 行 うことが できる コーヒーかす 茶 かすを 利 用 した 堆 肥 堆 肥 は 岩 内 町 の 飲 料 工 場 ( 日 本 アスパラガ ス 株 式 会 社 )から 排 出 されるコーヒーかすや 茶 かすを 利 用 し 家 畜 糞 と 混 ぜ 使 用 している 堆 肥 の 施 用 量 は 有 機 栽 培 ほ 場 で 毎 年 10a 当 たり2t 程 度 投 入 し 一 般 栽 培 ほ 場 では3 年 に1 回 10a 当 たり3t 程 度 投 入 している 排 水 性 の 改 善 - 18 - 写 真 3 ( 株 ) 日 本 アスパラガス 岩 内 工 場 大 型 機 械 の 踏 圧 などにより 暗 渠 排 水 機 能 が 低 下 しつつある 暗 渠 排 水 効 果 を 高 め るため 心 土 破 砕 チゼル 耕 溝 きりなどを 積 極 的 に 実 施 している 施 肥 ( 有 機 質 肥 料 ) 表 2 そばの 施 肥 量 (kg/10a) 有 機 質 肥 料 は 宮 城 県 のJAより 比 較 的 安 価 な 区 分 窒 素 リン 酸 カ リ 魚 粕 入 り 有 機 肥 料 ( 有 機 100%)を 購 入 し 使 用 し 有 機 7 16 7 ている 一 般 5 11 10

(2)は 種 は 種 量 は 種 方 法 散 播 により は 種 作 業 の 効 率 化 を 図 ることができる 鎮 圧 ローラをしっかり 掛 けることで 発 芽 は 均 一 となり 8kg 散 播 生 育 促 進 につながり 雑 草 抑 制 効 果 も 高 くなる (3) 雑 草 対 策 排 水 改 善 による 初 期 生 育 の 向 上 砕 土 整 地 はていねいに 行 い 砕 土 率 を 高 める は 種 後 の 鎮 圧 をしっかり 行 うことで 発 芽 率 の 向 上 や 生 育 促 進 が 図 られ 雑 草 抑 制 に つながる (4) 病 害 虫 防 除 土 づくりの 徹 底 ( 計 画 的 な 有 機 物 の 投 入 排 水 改 善 など) そばは 病 害 虫 の 発 生 が 少 ない 作 物 であり 有 機 栽 培 に 適 した 作 物 といえる (5) 収 穫 乾 燥 調 整 収 穫 は 黒 化 率 ( 成 熟 した 子 実 の 割 合 )70~90%(9 月 上 旬 ~)で 行 う(コンハ イン 収 穫 ) 有 機 栽 培 のそばは 一 般 そばとのコンタミネーション( 混 交 )を 防 ぐため 最 初 に 収 穫 乾 燥 を 行 うようにしている 写 真 4 コンバイン 写 真 5 乾 燥 施 設 4 生 産 物 の 出 荷 販 売 (1) 有 機 栽 培 そばの 実 績 表 3 有 機 栽 培 そばと 一 般 栽 培 の 実 績 比 較 生 産 性 区 分 10a 当 たり 収 量 販 売 単 価 ( 比 率 ) 有 機 栽 培 のそばは 一 般 栽 培 と 比 べ 収 量 有 機 栽 培 164~178kg 105 性 は 高 く 年 次 変 動 も 少 ない このこと 一 般 栽 培 110~143kg 100 は 長 年 の 土 づくりの 成 果 が 現 れた 結 果 H18~20の3カ 年 の 実 績 と 思 われる 販 売 単 価 有 機 栽 培 のそばは 品 質 面 で 優 れていることから 一 般 栽 培 に 比 べ5% 程 度 高 値 で 取 引 されている 販 売 確 保 の 取 り 組 みと 課 題 有 機 栽 培 のそばは 道 内 製 粉 業 者 数 社 と 契 約 栽 培 で 販 売 している ( 一 部 庭 先 販 売 にも 対 応 している ) < 主 な 課 題 > 契 約 している 製 粉 業 者 は 有 機 JAS( 製 造 業 者 )の 認 定 を 受 けていないため 有 機 食 品 のそば 粉 として 販 売 されていない 新 たな 販 売 先 を 開 拓 したいが 個 人 で 開 拓 するには 限 界 を 感 じている - 19 -

5 消 費 者 との 交 流 庭 先 販 売 ( 直 売 )による 消 費 者 との 交 流 有 機 栽 培 のそばは 農 場 に 直 接 買 いに 来 る 消 費 者 が 徐 々にではあるが 増 加 している 庭 先 販 売 を 通 し 消 費 者 と 意 見 交 換 をする 機 会 が 多 くなっており 食 の 安 心 安 全 健 康 志 向 などが 高 まりつつあることを 実 感 している 6 関 係 機 関 地 域 等 との 関 わり 有 機 JAS 認 定 ほ 場 や 一 般 そばの 作 付 は 町 内 の 遊 休 農 地 を 活 用 しており 関 係 機 関 と 連 携 した 中 で 地 域 農 業 の 活 性 化 に 一 役 買 っている 7 今 後 の 課 題 と 方 向 有 機 及 び 一 般 栽 培 のそばは 契 約 販 売 をしていることから 比 較 的 安 定 した 所 得 を 維 持 し ているが さらなる 農 業 所 得 向 上 のためには 新 たな 販 路 拡 大 が 最 大 の 課 題 である 販 路 さえ 拡 大 できれば 地 域 の 遊 休 農 地 をもっと 活 用 し 有 機 JAS 認 定 ほ 場 を 増 やし ていきたい 有 機 農 業 に 対 する 消 費 者 の 認 知 度 は 依 然 として 低 いので 行 政 には 有 機 農 産 物 のPRな どを 強 く 要 望 したい 今 後 も 消 費 者 が 望 む 農 業 = 農 業 経 営 の 発 展 につながるものと 信 じ 積 極 的 な 農 業 経 営 を 展 開 していく 作 成 : 後 志 農 業 改 良 普 及 センター - 20 -

生 物 多 様 性 と 営 農 が 共 生 できる 農 業 をめざして ( 南 幌 町 匿 名 希 望 ) 1 経 営 の 概 要 (1) 有 機 栽 培 経 験 年 数 28 年 (2) 経 営 規 模 11ha( 全 面 積 有 機 栽 培 ) (3) 労 働 力 3 人 ( 本 人 妻 研 修 生 ) (4) 作 物 作 付 面 積 ( 平 成 20 年 ) 作 物 名 有 機 栽 培 面 積 (ha) 備 考 水 稲 6.0 ゆきひかり おぼろづき ななつぼし 大 豆 3.0 カボチャ 1.0 馬 鈴 しょ 1.0 キタアカリ 合 計 11.0 2 有 機 農 業 取 組 の 経 緯 等 (1) 有 機 農 業 の 取 組 動 機 農 産 物 を 江 別 や 札 幌 方 面 で 直 売 している 時 に アトピー 患 者 の 会 の 代 表 者 と 出 会 い ア トピー 患 者 が 安 心 して 食 べられる 農 産 物 を 栽 培 してほしい との 言 葉 がきっかけで 取 り 組 み 始 めた (2) 取 組 経 過 水 稲 は 雑 草 対 策 が 一 番 問 題 だった 当 初 は 機 械 で 雑 草 を 処 理 していたが どうしても 株 間 の 草 が 処 理 できず 草 だらけになる 年 も 多 く 収 量 は 不 安 定 である 現 在 の 除 草 体 系 は 除 草 機 を 使 わず 代 かき(2 回 )と 米 ヌカ クズ 大 豆 により 雑 草 の 発 生 を 抑 える 栽 培 方 法 を 行 っている 手 取 り 除 草 もしないため 年 によって 収 量 のバラツ キが 大 きいのが 現 状 である 当 初 から 全 品 目 を 有 機 栽 培 で 取 り 組 んでおり 品 目 規 模 は 大 きくは 変 わっていない 水 稲 の 品 種 は ゆきひかり を 全 面 積 栽 培 していたが 現 在 は 消 費 者 ニーズに 合 わせて ゆきひかり おぼろづき ななつぼし の3 品 種 を 栽 培 している 平 成 15 年 に 有 機 JASの 認 定 を 取 得 (3) 有 機 農 業 取 組 の 考 え 方 有 機 JASの 認 定 のもとですべての 農 産 物 を 生 産 する アトピー 患 者 が 安 心 して 食 べられる 農 産 物 を 生 産 する 堆 肥 の 原 料 は 稲 わらを 主 に 魚 カスやバーク 堆 肥 を 投 入 し 栄 養 分 (ミネラル) 豊 富 な 堆 肥 を 心 がけている - 24 -

3 有 機 栽 培 管 理 技 術 等 の 特 徴 [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] 品 品 種 目 : 水 稲 種 : ゆきひかり おぼろづき ななつぼし 子 :JAから 購 入 育 苗 方 法 : 成 苗 ポット 栽 培 方 法 : 水 田 雑 草 の 発 芽 成 長 特 性 と 抑 草 法 型 有 機 農 業 ( 雑 草 を 抑 制 するために 2 回 の 代 かきを 有 効 に 行 い 移 植 後 は 米 ヌカ クズ 大 豆 で 発 生 を 抑 える 栽 培 方 法 近 年 は 生 き 物 調 査 なども 行 っている ) 収 量 性 :70~80%( 地 域 の 慣 行 栽 培 との 比 較 ) 写 真 1 イトミミ ス などの 土 中 のいき もの 調 査 [ 栽 培 管 理 技 術 等 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 全 面 積 には 投 入 できないが こだわりの 堆 肥 と 有 機 質 肥 料 で 栽 培 している 有 機 質 肥 料 は 窒 素 量 で 7.0kg/10aを 全 層 で 施 用 している (2) 病 害 虫 防 除 水 稲 では いもち 病 とカメムシが 問 題 になるが 一 切 防 除 はしていない いもち 病 は 風 の 比 較 的 強 い 当 地 区 では 発 生 が 少 ないためさほど 問 題 になっていない カメムシなどの 害 虫 は カエル クモ トン ボが 食 べてくれる 有 機 栽 培 を 長 年 行 っている ことで カエルなどの 生 き 物 が 多 く 生 息 してい る また 出 穂 時 期 に 畔 畦 の 雑 草 をある 程 度 繁 らせることで 畔 畦 に 生 息 するカメムシをカエ ルが 食 べる 環 境 をつくっている これで 斑 点 米 はほとんど 問 題 になっていない 写 真 2 たんぼは 多 くのクモが 生 息 (3) 雑 草 対 策 水 稲 の 有 機 栽 培 で 雑 草 対 策 は 一 番 重 要 なポイントである これについては 水 管 理 と 代 かき 時 期 の 工 夫 などで 機 械 手 取 り 除 草 は 一 切 行 っていない 栽 培 のポイント 1 耕 起 はなるべく 浅 く 起 こす(3cm 程 度 ) 2 1 回 目 の 代 かき(5 月 6 日 頃 )を 終 えた 後 は 3~5cm 程 度 の 水 を 張 り 雑 草 を 早 く 発 芽 させる 3 ミズアオイの 発 芽 を 確 認 してから2 回 目 の 代 かきを 行 い 発 芽 した 雑 草 を 一 斉 に 退 治 する (6 月 4 日 頃 ) 4 例 年 の 移 植 作 業 は6 月 5~10 日 頃 である 写 真 3 米 ヌカ クズ 大 豆 の 散 布 5 苗 は5~6 葉 期 前 後 の 比 較 的 大 きな 苗 を 移 植 する 6 移 植 後 すぐに 米 ヌカ クズ 大 豆 を 散 布 することで 表 面 に 発 酵 層 を 作 り 雑 草 の 発 生 を 抑 える - 25 -

(4)その 他 7 雑 草 に 水 圧 を 与 えるために 移 植 後 の 水 深 は5 cm 程 度 で 徐 々に 水 深 を 深 くしている 温 かい 水 が 循 環 するように 水 田 の 中 に 簡 易 なため 池 などをつくり 工 夫 している 8 イトミミズなどの 土 中 の 生 き 物 たちが 雑 草 の 種 に 泥 をかぶせ 発 芽 しずらい 環 境 を 自 然 に 作 っ ている 写 真 4 アオミト ロカが 田 んぼ 一 面 を 覆 い 雑 草 を 抑 える 育 苗 の 管 理 は 1.5 葉 期 までは 通 常 の 管 理 だが それ 以 降 は 水 を 張 り 移 植 まで 管 理 する プール 育 苗 を 行 っている 水 を 張 ることで 5 葉 期 を 越 えても 老 化 苗 の 防 止 になっている 4 生 産 物 の 出 荷 販 売 自 然 食 品 店 アトピー 患 者 の 会 消 費 者 団 体 に 直 接 販 売 している 消 費 者 と 年 間 の 販 売 計 画 を 作 成 し それを 基 に 宅 急 便 で 出 荷 している 個 人 との 取 引 は 年 間 の 販 売 額 を 前 金 で 頂 いている 消 費 者 団 体 とは 冷 害 などで 供 給 不 足 になっても 違 約 金 が 発 生 しないように 契 約 書 を 交 わ している 写 真 5 プール 育 苗 の 状 態 5 消 費 者 との 交 流 の 取 組 自 然 食 品 店 の 企 画 した 田 植 えツアー イモ 掘 りツアーの 受 け 入 れを 行 っている 東 京 札 幌 で 行 われる 消 費 者 団 体 との 直 売 交 流 会 に 参 加 している 6 生 産 者 のつながり 関 係 機 関 団 体 等 との 関 わり 生 産 者 のグループ 化 : 平 成 13 年 に 町 内 の 有 機 農 家 で 環 ネットワークなんぽろ を 結 成 し 消 費 者 交 流 や 先 進 地 視 察 などを 積 極 的 に 行 っている 今 後 市 町 村 農 協 関 係 機 関 等 の 支 援 連 携 を 期 待 したい 7 今 後 の 課 題 と 方 向 道 は 有 機 農 業 を 推 進 しているが 拡 大 するためには 販 路 拡 大 が 重 要 である 新 規 で 始 める 方 は 販 路 がない 場 合 が 多 く 環 境 が 整 っていないのが 現 状 である 有 機 質 資 材 は 価 格 が 高 いので 堆 肥 の 投 入 を 増 加 させ コストを 抑 えていきたい 個 人 単 位 ではなく 地 域 で 有 機 農 業 への 取 り 組 みの 輪 を 広 げていきたい 学 校 教 育 の 中 で 自 然 の 中 での 作 物 のなりたち 生 き 物 のなりたち を 観 察 調 査 をし て 環 境 と 調 和 した 農 業 の 重 要 性 を 地 域 で 考 えていきたい 写 真 6 移 植 前 の 状 態 - 26 - 作 成 : 空 知 農 業 改 良 普 及 センター

ハーベストガーデン 福 山 の 取 り 組 み ( 当 麻 町 ハーベストガーデン 福 山 福 山 憲 昭 氏 ) 写 真 1 福 山 憲 昭 氏 ( 右 ) 1 経 営 の 概 要 (1) 有 機 栽 培 経 験 年 数 20 年 (2) 経 営 規 模 1.26ha( 全 面 積 有 機 栽 培 ) (3) 労 働 力 2 人 (4) 作 物 別 作 付 面 積 ( 平 成 20 年 ) きゅうり トマト なす ピーマン レタス はくさい にんじん 120a 50a 60a 50a 120a 80a 85a スイカ とうもろこし こまつな ブロッコリー ハクサイ 60a 70a 50a 60a 80a 2 有 機 農 業 取 組 の 経 緯 等 (1) 有 機 農 業 の 取 組 動 機 東 京 で 共 働 きの 生 活 をしていたが 子 供 ができてからは 農 への 郷 愁 が 強 まり 当 時 から 農 家 の 無 農 薬 野 菜 を 共 同 購 入 し 始 めた 31 歳 のとき 脱 サラを 決 意 し 北 海 道 で 有 機 農 業 をすることを 選 択 した (2) 取 り 組 み 経 過 就 農 当 初 から 多 品 目 を 作 付 けし 野 菜 セット 宅 配 等 を 行 ってきた 作 付 品 目 の 大 きな 変 更 は 無 い 平 成 13 年 に 有 機 JAS 認 定 を 取 得 (3) 有 機 農 業 取 組 の 考 え 方 (こだわり) 安 全 安 心 で 食 味 の 良 い 農 産 物 の 提 供 を 最 優 先 テーマとしている 施 肥 量 を 抑 える 等 の 取 り 組 みを 実 施 し 環 境 負 荷 の 低 減 に 心 がけている - 27 -

3 有 機 栽 培 管 理 技 術 等 の 特 徴 [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] 品 目 名 面 積 作 型 (a) 播 種 定 植 収 穫 品 種 育 苗 方 法 栽 培 方 法 ピーマン 50 3/5 5/15 6/10 あきの ハウス きゅうり 120 3/15 4/20 5/20 黒 さんご ハウス きゅうり ( 台 木 ) 3/15 3/25 接 木 チマサンチ ュ 20 2/25 3/25 4/20 青 葉 ハウス トマト 50 3/17 5/22 7/15 麗 夏 ハウス ミニトマト 10 3/20 5/22 7/5 ミニキャロ ル ハウス なす 50 1/14 5/5 7/5 黒 べえ ハウス 米 なす 10 3/5 5/5 7/5 黒 わし ハウス ししとう 20 3/5 5/15 6/10 ハウス 露 地 青 なんばん 5 3/10 5/25 6/20 ロンク エース 露 地 赤 トウカ ラシ 5 3/10 5/25 9/ 下 旬 鷹 の 爪 露 地 スイカ 60 4/5 5/10 8/1 マタ ーホ ール 4/15 接 木 露 地 とうもろこし 70 5/1 8/5 ゆめのコーン85 露 地 えだまめ 20 5/10 8/1 天 ケ 峰 露 地 20 5/15 8/20 上 川 みどり 露 地 20 5/10 9/5 北 海 黒 大 粒 大 豆 露 地 インゲン 20 3/20 4/10 6/10 キセラ ハウス モロッコイン ケ ン 20 7/10 9/5 つる 有 り ハウス キャベツ 80 3/10 6/20 近 系 201 露 地 フ ロッコリ ー 60 3/10 6/20 ピクセル 露 地 レタス 80 2/20 3/20 5/25 スハ ーク ハウス 露 地 リーフレタ ス 40 4/1 5/1 6/10 ク リーンウェー フ 露 地 春 菊 15 3/30 4/20 5/20 さとゆたか ハウス にんじん 5 3/10 5/10 雪 印 フレッシ ー ハウス 60 4/15 7/10 ヘ ータ312 露 地 20 7/10 4/10 小 泉 越 冬 露 地 はくさい 80 2/2~ 5/20~ 仲 秋 等 ハウス 露 地 カブ 25 3/10~ 4/10 スワン ハウス 露 地 ほうれんそう 210 3/10~ 4/20 サンヒ ア リヒ エラ ハウス こまつな 50 3 /10~ 4/15 よかった 菜 露 地 - 28 -

[ 栽 培 管 理 技 術 等 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 10a 当 たり2tの 完 熟 牛 糞 たい 肥 を 施 用 する 石 灰 資 材 は 牡 蠣 ガラ 石 灰 などを 施 用 していたが 4 年 前 から 使 用 していない 肥 料 は ボカシ 肥 料 ( 魚 粕 米 ぬか パームカリ グアノリン 酸 を 主 原 料 とし 水 分 を 加 え 微 生 物 発 酵 させたもの)を 使 用 している (2) 病 害 虫 防 除 発 生 予 察 (ほ 場 観 察 )と 病 害 虫 の 発 生 しない 環 境 づくり( 土 づくりや 施 肥 灌 水 管 理 等 ) を 心 がけている トンネルは 防 虫 ネットなどの 防 虫 資 材 を 利 用 している (3) 雑 草 対 策 基 本 的 に 手 取 り 除 草 が 中 心 である 可 能 な 場 所 はカルチ 除 草 を 実 施 している ハウス 通 路 は 除 草 シートを 使 用 している (4)その 他 せんだん 資 材 として 天 然 ハッカ 液 に 木 酢 液 を 混 合 したものを 散 布 したり インド 栴 檀 (ニーム)の 実 ( 粉 砕 物 )を 使 用 している 育 苗 はハウスで 全 量 自 家 栽 培 生 産 である 4 生 産 物 の 出 荷 販 売 (1) 集 出 荷 における 工 夫 昭 和 59 年 に 安 全 安 心 の 食 を 目 ざし グループ 84 を 結 成 し 野 菜 のセット 宅 配 を 北 海 道 で 初 めて 実 施 平 成 15 年 からはグループの 農 家 が 個 々で 野 菜 のセット 宅 配 を 継 続 している 野 菜 のセット 宅 配 は 消 費 者 の 消 費 量 を 考 慮 し 少 量 多 品 目 出 荷 している コープさっぽろ 北 海 道 有 機 農 協 へは 出 荷 先 の 要 望 に 応 じて 出 荷 している (2) 販 売 先 との 取 り 決 め (3)の 出 荷 先 と 出 荷 量 を 事 前 に 協 議 し 全 量 契 約 栽 培 を 実 施 (3) 出 荷 先 1 コープさっぽろ 2 北 海 道 有 機 農 協 ( 札 幌 ) 3 提 携 会 員 への 宅 配 約 40 戸 5 消 費 者 との 交 流 の 取 組 20 年 以 上 に 亘 り 消 費 者 や 生 協 職 員 と 毎 年 のように 現 地 で 交 流 会 や 視 察 対 面 販 売 を 実 施 している 社 会 教 育 活 動 や 新 規 就 農 希 望 者 の 研 修 受 け 入 れ 活 動 を 通 して 人 材 の 育 成 や 都 市 と 農 村 の 交 流 に 努 めている ここ 数 年 町 内 外 の 児 童 生 徒 を 対 象 とした 食 育 推 進 事 業 などにも 取 り 組 んでいる ( 農 作 業 体 験 や 給 食 への 食 材 の 提 供 などを 行 う) 毎 週 宅 配 セット 野 菜 会 員 向 けの 通 信 を 発 行 している - 29 -

6 生 産 者 のつながり 関 係 機 関 団 体 等 との 関 わり 就 農 直 後 から 有 機 農 家 で グループ 84 を 結 成 し 産 直 活 動 消 費 者 との 交 流 を 実 施 している 当 麻 町 の 有 機 栽 培 生 産 者 を 中 心 につくられた 当 麻 町 有 機 農 業 を 考 える 会 会 員 として 有 機 農 業 の 普 及 拡 大 に 努 めている ( 社 ) 北 海 道 農 業 担 い 手 育 成 センターの 新 規 就 農 アドバイザー ( 平 成 9~14 年 )として 就 農 希 望 者 へのアドバイスを 行 ってきた 現 在 当 麻 町 議 会 議 員 として 町 の 農 業 振 興 に 尽 力 している 7 今 後 の 課 題 と 方 向 現 在 の 有 機 農 業 は 資 材 を 海 外 からの 輸 入 に 頼 りすぎているので 地 域 内 の 資 源 を 循 環 で きる 本 来 の 有 機 農 業 を 目 指 したい そのためには 森 と 里 山 づくりから 始 めたい 作 成 : 上 川 農 業 改 良 普 及 センター - 30 -

豊 かな 環 境 の 中 で 豊 かな 生 活 を 目 指 して ( 当 麻 町 匿 名 希 望 ) 1 経 営 の 概 要 (1) 有 機 栽 培 経 験 年 数 12 年 (2) 経 営 規 模 2.6ha( 全 面 積 有 機 栽 培 ) (3) 労 働 力 2 人 (4) 作 物 別 作 付 面 積 ( 平 成 20 年 ) 水 稲 トマト かぼちゃ ばれいしょ たまねぎ その 他 130a 10a 50a 30a 30a 10a 2 有 機 農 業 取 組 の 経 緯 等 (1) 有 機 農 業 の 取 組 動 機 豊 かな 環 境 の 中 で 豊 かな 生 活 を 目 指 し 有 機 農 業 に 取 り 組 んだ (2) 取 組 経 過 当 麻 町 で 農 業 実 習 後 新 規 就 農 した 就 農 当 初 は 養 鶏 と 水 稲 中 心 の 経 営 を 行 っていたが 養 鶏 による 労 働 力 の 負 担 が 大 きかっ たため 養 鶏 をやめ 野 菜 (トマト 等 )の 導 入 を 進 めた (3) 有 機 農 業 取 組 の 考 え 方 (こだわり) 安 全 でおいしいものを 消 費 者 へ 提 供 することを 第 一 に 生 産 を 実 施 している 生 産 基 盤 としての 土 と 水 を 良 い 状 態 で 次 世 代 に 引 き 継 ぎたい (4) 有 機 JAS 認 定 の 取 得 以 前 取 得 していたが 販 売 先 の 変 更 により JAS 有 機 の 取 得 が 販 売 先 から 求 められなくな ったため 認 定 取 得 を 止 めた 3 有 機 栽 培 管 理 技 術 等 の 特 徴 [ 有 機 栽 培 管 理 の 概 要 ] 作 物 名 品 種 作 型 栽 培 方 法 種 子 定 植 時 期 収 量 (H20) (Kg/10a) 水 稲 ななつぼし フ ール 購 入 5/ 中 420 ほしまる トマト 麗 夏 麗 容 ハウス 断 根 購 入 4/ 中 5,000 りんか 409 半 促 成 ホ ット ~6/ 下 ばれいしょ とうや 露 地 購 入 5/ 中 2,500 かぼちゃ 味 平 露 地 購 入 5/ 中 1,500 たまねぎ きたはやて 露 地 購 入 4/ 下 3,000-31 -

写 真 1 ばれいしょ 栽 培 ほ 場 [ 栽 培 管 理 技 術 等 のポイント 工 夫 ] (1) 土 づくり 堆 肥 : 鶏 ふん 堆 肥 を 使 用 している(1 年 かけて 堆 肥 化 したもの) 肥 料 :ぼかし 肥 料 を 購 入 し 使 用 している その 他 JAS 有 機 で 使 用 可 能 なものを 追 肥 等 で 使 用 している 緑 肥 : 一 時 ばれいしょ 後 に 緑 肥 えん 麦 を 使 用 していたが 現 在 は 作 付 けしていない (2) 病 害 虫 防 除 問 題 となる 病 害 虫 水 稲 :いもち 病 ドロオイムシ ト マ ト:かいよう 病 たまねぎ: 軟 腐 病 乾 腐 病 かぼちゃ:うどんこ 病 ばれいしょ: 疫 病 病 害 虫 対 策 水 稲 : 温 湯 消 毒 (プール 育 苗 ( 苗 立 枯 細 菌 病 )) ト マ ト: 粘 着 テープ( 害 虫 ) 通 路 に 除 草 シートを 敷 くことによる 湿 度 の 抑 制 たまねぎ: 早 生 品 種 の 栽 培 (3) 雑 草 対 策 水 稲 : 深 水 管 理 機 械 除 草 手 取 り 除 草 ( 平 成 20 年 にそばの 籾 殻 散 布 による 抑 草 効 果 試 験 を 実 施 し 効 果 が 認 められた) ト マ ト: 手 どり 除 草 通 路 は 除 草 シートを 使 用 たまねぎ:マルチ 栽 培 かぼちゃ: 中 耕 除 草 手 どり 除 草 ばれいしょ: 中 耕 培 土 マルチ 栽 培 ( 一 部 ) (4)その 他 育 苗 管 理 ト マ ト: 断 根 育 苗 により 根 の 生 育 促 進 を 図 っている - 32 -

水 稲 :プール 育 苗 により 育 苗 労 働 時 間 の 短 縮 を 図 っている (パイプハウス 内 にビニールまたはポリフィルムを 用 いて 簡 易 水 槽 (プール) を 作 り 湛 水 状 態 で 育 苗 を 行 う 方 法 で 灌 水 作 業 や 温 度 管 理 を 簡 略 できるた め 育 苗 労 働 時 間 を 短 縮 できる) 4 生 産 物 の 出 荷 販 売 (1) 生 産 物 の 出 荷 販 売 野 菜 (トマト たまねぎ かぼちゃ ばれいしょ):ラディッシュボーヤ 米 : 個 人 販 売 ( 宅 配 ) トマト:ジュースに 加 工 し 販 売 ( 宅 配 ) (2) 販 売 先 との 取 り 決 め ラディッシュボーヤと 年 度 初 めに 作 付 計 画 を 決 め 出 荷 前 に 出 荷 量 を 調 整 している 5 消 費 者 との 交 流 の 取 組 小 中 学 校 の 農 作 業 体 験 の 受 け 入 れを 行 っている 当 麻 町 有 機 農 業 推 進 協 議 会 による 農 作 業 体 験 の 受 け 入 れを 行 っている 消 費 者 による 農 作 業 体 験 の 受 け 入 れを 行 っている 6 生 産 者 のつながり 関 係 機 関 団 体 等 との 関 わり (1) 生 産 者 グループ 当 麻 町 の 有 機 農 業 者 及 び 有 志 による 会 当 麻 町 有 機 農 業 を 考 える 会 会 員 として 町 内 有 機 農 業 の 推 進 に 貢 献 している 平 成 20 年 より 当 麻 町 有 機 農 業 推 進 協 議 会 会 計 として 有 機 農 業 総 合 支 援 対 策 の 実 施 に 貢 献 している (2) 市 町 村 農 協 等 の 支 援 当 麻 町 有 機 農 業 推 進 協 議 会 に 町 農 協 農 業 委 員 会 土 地 改 良 区 が 参 加 し 町 を 上 げて 有 機 農 業 の 推 進 に 取 り 組 んでいる 7 今 後 の 課 題 と 方 向 (1) 地 域 の 課 題 有 機 農 業 の 認 知 度 を 上 げたい 有 機 農 業 の 普 及 を 行 いたい (2) 経 営 の 課 題 販 路 の 拡 大 により 経 営 のリスク 分 散 を 行 いたい 作 成 : 上 川 農 業 改 良 普 及 センター - 33 -