目 次 平 成 19(2007 ) 年 度 横 須 賀 市 政 策 研 究 報 告 書 の 発 行 にあたって 1 平 成 19 年 度 都 市 政 策 研 究 所 年 間 活 動 実 績 2 第 1 章 人 口 と 都 市 3 1. 将 来 推 計 人 口 と 世 帯 数 の 将 来 推 計 3



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平 成 19(2007) 年 度 横 須 賀 市 政 策 研 究 報 告 書 研 究 から 実 践 へ

目 次 平 成 19(2007 ) 年 度 横 須 賀 市 政 策 研 究 報 告 書 の 発 行 にあたって 1 平 成 19 年 度 都 市 政 策 研 究 所 年 間 活 動 実 績 2 第 1 章 人 口 と 都 市 3 1. 将 来 推 計 人 口 と 世 帯 数 の 将 来 推 計 3 2. 移 動 人 口 調 査 15 3. 人 口 減 少 と 定 住 30 第 2 章 新 時 代 の 行 政 43 1. 市 民 要 望 の 反 映 43 2. 行 政 評 価 の 再 構 築 ~ 重 点 施 策 評 価 と 事 務 事 業 等 の 総 点 検 ~ 58 第 3 章 情 報 蓄 積 75 政 策 情 報 アーカイブの 構 築 75 第 4 章 活 動 報 告 90 1.ファシリティマネジメント 研 究 90 2. 平 成 19 年 度 職 員 政 策 提 案 100 3. 平 成 19 年 度 大 学 院 大 学 院 科 目 等 履 修 生 派 遣 レポート 102 おわりに 123 i

平 成 19(2007 ) 年 度 横 須 賀 市 政 策 研 究 報 告 書 の 発 行 にあたって 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 副 所 長 福 本 眞 和 時 代 の 変 化 は 行 政 にも 機 敏 な 反 応 を 求 めています 昨 年 まで 市 民 の 要 望 だと 思 わ れていたことが 今 年 も 求 められているとは 限 りません 同 じことを 続 けること 自 体 が 課 題 ともいえます 常 に 評 価 をし 勇 気 を 持 って 変 えていくことが 必 要 です 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 も 創 設 以 来 5 年 が 経 過 し 従 来 の 政 策 研 究 中 心 の 活 動 か ら 行 政 評 価 や 総 合 計 画 の 管 理 も 加 え 実 践 的 な 政 策 形 成 を 推 進 することを 使 命 とす る 方 向 に 発 展 しようとしています 地 方 分 権 の 大 きな 流 れを 受 けて 自 ら 政 策 形 成 ができる 政 策 自 治 体 の 象 徴 として 内 外 にアピールした 第 1ステージに 対 して 新 世 紀 ビジョン の 策 定 を 行 った 昨 年 度 を 中 間 点 に 今 年 度 から 平 成 23 年 度 スタートの 新 基 本 計 画 策 定 までの 間 を 第 2ステージ と 位 置 づけています 本 報 告 書 は 第 2ステージの 初 年 度 にあたる 平 成 19 年 度 の 活 動 を 取 りまとめていま す 目 次 をご 覧 いただくとおわかりのとおり いわゆる 政 策 研 究 としての 個 別 課 題 の 研 究 から 次 期 基 本 計 画 策 定 のための 基 礎 的 な 調 査 や 新 たな 行 政 評 価 の 仕 組 みづくり など 実 践 的 な 研 究 中 心 の 内 容 になっています 第 1 章 人 口 と 都 市 では 新 基 本 計 画 だけでなく 各 部 局 が 分 野 別 の 政 策 を 検 討 する 際 に 活 用 できる 人 口 推 計 を 試 みています また 継 続 的 にデータを 集 積 してきた 移 動 人 口 については 人 口 減 少 の 要 因 を 探 り 定 住 促 進 政 策 などさまざまな 政 策 の 基 礎 となるよう 分 析 しています 第 2 章 新 時 代 の 行 政 では 新 たな 市 民 要 望 の 聴 取 手 法 としてコールセンターに 寄 せられた 多 数 のコールに 注 目 し その 可 能 性 について 主 管 課 と 共 同 で 研 究 した 成 果 をまとめています また 総 点 検 から 新 行 政 評 価 まででは 事 務 事 業 等 の 総 点 検 を 検 証 し 次 年 度 以 降 の 新 たな 政 策 施 策 評 価 の 概 要 を 示 しています 第 3 章 第 4 章 では その 他 の 取 り 組 みとして 人 材 育 成 を 中 心 とした 活 動 などを 報 告 していますが 詳 細 は 本 文 をご 覧 ください これまで 都 市 政 策 研 究 所 の 情 報 発 信 は 庁 外 の 人 にも 読 んでもらえることを 念 頭 に 編 集 した 政 策 研 究 よこすか が 担 ってきましたが 第 2ステージでは 庁 内 向 けに 編 集 してきた 政 策 研 究 報 告 書 がその 役 割 を 引 き 継 ぎます また 新 たに 本 市 の 現 状 と 課 題 を 取 りまとめた よこすか 白 書 を 編 集 し 政 策 研 究 報 告 書 とともにイン ターネットのウェブ サイトで 公 開 することにしました 職 員 だけでなく ネットで ご 覧 いただいた 庁 外 の 方 々からも 忌 憚 のないご 意 見 ご 批 判 をいただければ 幸 いです 1

平 成 19 年 度 都 市 政 策 研 究 所 年 間 活 動 実 績 今 年 度 の 都 市 政 策 研 究 所 は 新 たな 一 歩 を 踏 み 出 し より 実 践 的 な 政 策 形 成 に 寄 与 する ことを 念 頭 に 活 動 を 行 ってきた 平 成 19 年 度 の 主 な 活 動 は 次 のとおりである Ⅰ 政 策 研 究 よこすか 白 書 よこすか 白 書 は 数 値 に 基 づく 都 市 像 の 分 析 や 政 策 分 野 ごとの 現 状 と 課 題 長 期 的 展 望 の3 部 から 成 り 長 期 的 展 望 では 独 自 の 視 点 で 人 口 減 少 と 定 住 について 議 論 した 人 口 世 帯 分 析 個 別 研 究 では 昨 今 懸 念 される 人 口 をとりまく 問 題 に 力 点 を 置 き 人 口 及 び 世 帯 に 関 す る 将 来 推 計 を 本 市 独 自 のデータに 基 づき 実 施 した さらに 転 入 転 出 状 況 を 把 握 する 移 動 人 口 調 査 も 行 った 市 民 要 望 の 分 析 住 民 ニーズをいかに 捉 えるのかという 視 点 で コールセンターやボイスバンクに 寄 せら れる 情 報 から 政 策 へと 結 びつける 方 策 を 検 討 した Ⅱ 政 策 推 進 事 務 事 業 総 点 検 研 究 所 では 効 率 的 かつ 効 果 的 な 政 策 運 営 の 実 現 を 念 頭 に 行 政 評 価 の 一 環 として 関 係 部 局 と 連 携 のもと 全 事 業 の 評 価 を 実 施 した 新 たな 行 政 評 価 体 系 の 構 築 これまでの 政 策 施 策 評 価 と 事 務 事 業 評 価 のあり 方 を 見 直 し 新 たな 行 政 評 価 体 系 の 構 築 を 進 めた Ⅲ 情 報 蓄 積 政 策 情 報 アーカイブの 構 築 団 塊 世 代 の 退 職 を 控 え 技 術 や 情 報 の 伝 承 が 問 題 となっているが 庁 内 も 例 外 ではない そこで これまで 政 策 形 成 に 携 わった 人 の 知 見 を 記 録 として 蓄 積 することに 取 り 組 んだ Ⅳ その 他 新 たな 政 策 の 芽 を 掘 り 起 こす 政 策 提 案 の 募 集 や 人 材 の 育 成 ( 大 学 院 派 遣 科 目 等 履 修 生 派 遣 )も 実 施 してきた また 政 策 研 究 のみならず 他 部 局 の 政 策 立 案 を 支 援 することも 研 究 所 が 果 たすべき 役 割 の 一 つとして 掲 げており 2007 年 度 は 都 市 計 画 課 や 住 宅 政 策 課 への 参 画 横 須 賀 商 工 会 議 所 とのプロジェクトにも 取 り 組 んだ 2

第 1 章 人 口 と 都 市 1. 将 来 推 計 人 口 と 世 帯 数 の 将 来 推 計 2. 移 動 人 口 調 査 3. 人 口 減 少 と 定 住

1. 将 来 推 計 人 口 と 世 帯 数 の 将 来 推 計 宮 川 栄 一 Ⅰ はじめに 将 来 の 人 口 規 模 を 推 計 し 把 握 することは 将 来 の 都 市 づくりをどのように 進 めていくか を 考 えるうえで 重 要 な 要 素 である さらに その 規 模 だけでなく 年 齢 構 成 や 地 域 分 布 は 今 後 の 地 域 コミュニティのあり 方 や 行 政 需 要 の 中 身 に 大 きく 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる このことから 将 来 人 口 推 計 は 基 本 計 画 や 分 野 別 の 施 策 計 画 など 計 画 の 策 定 や 政 策 立 案 の 基 礎 資 料 として 重 要 なものと 考 えられている 都 市 政 策 研 究 所 では 平 成 19 年 8 月 に 住 民 基 本 台 帳 登 録 人 口 ( 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 ) を 基 準 とした 将 来 人 口 推 計 を 行 い 平 成 20 年 1 月 には 住 民 基 本 台 帳 登 録 人 口 ( 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 )に 外 国 人 登 録 人 口 ( 平 成 19 年 9 月 末 現 在 )を 加 えた 人 口 を 基 準 に 同 様 の 将 来 人 口 推 計 を 行 った さらに 世 帯 数 の 将 来 推 計 も 行 っている 以 下 では その 詳 細 について 報 告 する Ⅱ 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 19 年 8 月 推 計 ) (1) 推 計 方 法 の 概 要 1 推 計 期 間 平 成 19 年 から 平 成 37 年 まで 19 年 間 の 各 年 とした 将 来 人 口 推 計 は 過 去 の 人 口 の 動 向 を 将 来 に 投 影 して 人 口 がどのようになるかを 計 算 したものである しかし 将 来 の 社 会 経 済 状 況 を 長 期 間 にわたって 見 通 すことは 困 難 で あり 不 確 実 性 が 高 いことから 今 回 の 推 計 期 間 は 基 本 構 想 の 終 了 年 度 である 平 成 37 年 まで とした 2 推 計 の 方 法 について コーホート 変 化 率 法 を 用 いた 推 計 を 行 った 1 この 推 計 手 法 は 過 去 の 実 績 人 口 の 動 態 から 変 化 率 を 求 め 将 来 人 口 を 推 計 する 方 法 である 本 市 のように 直 近 の 傾 向 に 大 きな 人 口 変 動 がなく また 近 い 将 来 にも 特 殊 な 変 動 が 予 想 されない 地 域 の 将 来 推 計 に 有 効 性 が 認 められている 手 法 である この 変 化 率 には 死 亡 率 と 転 入 転 出 を 要 因 とする 移 動 率 が 含 まれており 若 年 層 で 1 コーホートとは ある 一 定 期 間 に 出 生 した 年 齢 集 団 のことをいう 例 えば 横 須 賀 市 に 住 民 登 録 をし ている 人 で 平 成 18 年 10 月 1 日 時 点 に 満 年 齢 が 20 歳 である 人 たちが 20 歳 のコーホート である コ ーホート 変 化 率 とは 年 齢 集 団 の 1 年 間 の 変 化 を 率 であらわしたもので 例 えば 平 成 18 年 10 月 1 日 時 点 に 満 年 齢 が 20 歳 である 集 団 (コーホート)を 100 人 とし 翌 年 の 平 成 19 年 10 月 1 日 時 点 に 21 歳 の 集 団 の 人 数 が 110 人 だった 場 合 その 年 齢 集 団 の 変 化 率 は 1.1となる この 数 値 が 20-21 歳 の 変 化 率 となる 1.0が 人 口 増 減 の 基 準 値 となる 3

は 死 亡 は 極 めて 少 ないことから 変 化 率 は 社 会 移 動 によって 決 まるといえる よって 若 年 層 での 変 化 率 が 1.0を 上 回 っている 場 合 は 横 須 賀 市 以 外 の 地 域 からの 流 入 が 流 出 を 上 回 り 転 入 超 過 になっているということを 表 しており 逆 に 下 回 っている 場 合 は 転 出 超 過 と 言 える 一 方 高 齢 層 では 社 会 移 動 が 極 めて 低 いことから 死 亡 により 変 化 率 が 決 まる と 言 える 3 推 計 に 用 いる 係 数 の 仮 定 方 法 コーホート 変 化 率 法 による 推 計 には 基 準 人 口 男 女 年 齢 別 コーホート 変 化 率 年 齢 別 出 生 率 出 生 性 比 を 用 いる 各 係 数 の 値 は 以 下 のとおり 設 定 している 2 ア) 基 準 人 口 推 計 の 出 発 点 となる 基 準 人 口 は 住 民 基 本 台 帳 法 ( 昭 和 42 年 法 律 第 81 号 )に 基 づいて 住 民 基 本 台 帳 に 登 録 された 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 の 男 女 年 齢 別 人 口 を 用 いた その 総 数 は 430,920 人 で 推 計 人 口 との 比 較 では 約 8,000 人 上 回 っていることに 留 意 が 必 要 である 3 イ) 男 女 年 齢 別 コーホート 変 化 率 の 仮 定 平 成 13 年 から 平 成 18 年 の5 期 間 (6 年 間 )をコーホート 変 化 率 の 仮 定 する 期 間 とし その 変 化 率 の 平 均 値 を 推 計 に 用 いた ウ) 年 齢 別 出 生 率 の 仮 定 本 市 の 将 来 の 合 計 特 殊 出 生 率 (Total Fertility (TFR))を Rate 推 計 期 間 の 19 年 間 を 通 して 平 成 17 年 実 績 値 1.20 で 固 定 し 年 齢 別 出 生 率 は 全 国 の 平 成 17 年 の 年 齢 別 出 生 率 を 基 準 に 本 市 独 自 に 年 齢 別 出 生 率 を 仮 定 した 4 全 国 と 本 市 の 合 計 特 殊 出 生 率 を 比 較 すると 平 成 17 年 の 全 国 1.26 に 対 し 本 市 は 1.20 で 低 い 傾 向 にある 全 国 的 にも 出 生 率 の 低 下 傾 向 が 続 くと 予 想 されるなか 本 市 でも 将 来 的 には 平 成 17 年 実 績 の 1.20 を 下 回 ることも 予 想 されるが 本 推 計 では 定 住 促 進 子 育 て 政 策 等 の 推 進 により TFR1.20 の 維 持 を 前 提 として 固 定 している 2 出 生 比 : 出 生 子 のうち 女 子 100 人 に 対 する 男 子 の 割 合 3 推 計 人 口 とは 直 近 の 国 勢 調 査 人 口 を 基 準 値 として その 後 の 増 減 を 毎 月 の 住 民 基 本 台 帳 人 口 及 び 外 国 人 登 録 の 異 動 から 得 て 算 出 したものである 横 須 賀 市 総 務 部 が 発 表 する 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 の 推 計 人 口 は 423,151 人 である 4 合 計 特 殊 出 生 率 (Total Fertility Rate):ある 期 間 ( 通 常 1 年 間 )の 出 生 状 況 に 着 目 したもので その 期 間 における 各 歳 (15~49 歳 )の 女 性 の 出 生 率 を 合 計 したもの その 年 齢 の 女 子 が 生 んだ 子 どもの 数 を 各 歳 の 女 子 人 口 (15~49 歳 の 合 計 )で 除 して 算 出 される 1 人 の 女 子 が 生 涯 に 生 むこどもの 数 の 目 安 になる 4

エ) 出 生 性 比 の 仮 定 日 本 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 18 年 12 月 推 計 ) 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 編 では 出 生 性 比 を 女 子 100に 対 して 男 子 105と 仮 定 しているが 今 回 の 推 計 では 平 成 12 年 ~ 17 年 の 本 市 実 績 に 基 づき 女 子 100に 対 して 男 子 107と 仮 定 した (2) 推 計 結 果 の 概 要 1 総 人 口 の 推 移 本 市 の 住 民 基 本 台 帳 登 録 人 口 の 過 去 10 年 間 を 振 り 返 ると 43 万 人 台 を 維 持 しながら 推 移 しているが 平 成 15 年 の 436,645 人 をピークに 減 少 傾 向 に 転 じている 現 在 の 条 件 下 においての 将 来 推 計 では 本 市 の 人 口 減 少 傾 向 は 続 き 現 在 の 基 本 計 画 の 最 終 年 度 である 平 成 22 年 の 人 口 は 422,592 人 基 本 構 想 の 最 終 年 度 である 平 成 37 年 の 人 口 は 366,170 人 となる 見 込 みである 人 図 表 1 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 総 数 ) 500,000 450,000 400,000 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 平 成 18 年 平 成 22 年 平 成 27 年 平 成 32 年 平 成 37 年 総 数 430,920 422,592 407,481 388,264 366,170 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 2 年 齢 3 区 分 別 人 口 の 推 移 本 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 19 年 8 月 推 計 )における 年 齢 構 造 の 変 化 を 年 少 人 口 (0~ 14 歳 ) 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 ) 老 年 人 口 (65 歳 以 上 )の3 区 分 に 分 けて 概 観 する( 図 表 2 参 照 ) ア) 年 少 人 口 年 少 人 口 の 割 合 は 全 国 的 な 少 子 化 傾 向 と 同 様 に 減 少 を 続 け 今 回 の 推 計 の 基 準 年 であ る 平 成 18 年 の 12.9 %(55,420 人 )から 平 成 27 年 には 11.4 %(46,472 人 ) 平 成 37 年 に は 9.7%(35,383 人 )にまで 19 年 間 で 約 2 万 人 減 少 すると 見 込 まれる 5

イ) 生 産 年 齢 人 口 生 産 年 齢 人 口 の 割 合 も 年 少 人 口 と 同 様 減 少 を 続 け 推 計 の 基 準 年 である 平 成 18 年 の 65.5 %(282,123 人 )から 27 年 には 59.5 %(242,524 人 ) 平 成 37 年 には 59.1 %(216,442 人 )にまで 低 下 し 19 年 間 で 約 6.5 万 人 も 減 少 すると 見 込 まれる ウ) 老 年 人 口 老 年 人 口 の 割 合 は 推 計 の 基 準 年 である 平 成 18 年 ですでに 21.7 %(93,377 人 )と 20% を 超 えており 県 内 他 都 市 全 国 と 比 較 しても 高 い 数 値 を 示 している 平 成 27 年 に 29.1 % (118,485 人 ) 平 成 32は 30.9 %(119,792 人 )と 全 人 口 に 占 める 老 年 人 口 割 合 は 増 加 を 続 け 平 成 37(2025 ) 年 には 31.2 %(114,345 人 )に 達 すると 予 測 される 人 300,000 図 表 2 横 須 賀 市 将 来 推 計 人 口 ( 年 齢 3 区 分 別 )の 推 移 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 年 少 人 口 (0-14 歳 ) 生 産 年 齢 人 口 (15-64 歳 ) 老 年 人 口 (65 歳 以 上 ) 平 成 18 年 平 成 22 年 平 成 27 年 平 成 32 年 平 成 37 年 55,420 52,335 46,472 40,106 35,383 282,123 265,320 242,524 228,366 216,442 93,377 104,937 118,485 119,792 114,345 図 表 3 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 年 齢 3 区 分 別 )の 推 移 ( 単 位 : 人 ) 平 成 18 年 平 成 22 年 平 成 27 年 平 成 32 年 平 成 37 年 総 数 430,920422,592407,481388,264366,170 年 少 人 口 55,420 52,335 46,472 40,106 35,383 (0-14 歳 ) 12.9% 12.4% 11.4% 10.3% 9.7% 生 産 年 齢 人 口 282,123265,320242,524228,366216,442 (15-64 歳 ) 65.5% 62.8% 59.5% 58.8% 59.1% 老 年 人 口 93,377 104,937118,485119,792114,345 (65 歳 以 上 ) 21.7% 24.8% 29.1% 30.9% 31.2% 計 算 上 小 数 点 以 下 が 出 るため 3 区 分 別 人 口 を 合 計 した 数 が 総 数 と 一 致 しないことがある 出 所 : 図 表 2 3 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 6

Ⅲ 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 都 市 政 策 研 究 所 では 前 述 のとおり 平 成 19 年 8 月 に 住 民 基 本 台 帳 人 口 を 基 準 にした 推 計 を 行 った この 推 計 で 基 準 とした 住 民 基 本 台 帳 登 録 人 口 は 日 本 国 籍 を 持 つもののみを 対 象 としており 本 市 に 居 住 している 外 国 人 を 含 まない しかし 本 市 に 外 国 人 登 録 5 をしている 人 は 4,951 人 ( 平 成 19 年 9 月 末 日 現 在 )おり 登 録 者 は 各 種 行 政 サービスの 対 象 であり 将 来 の 行 政 需 要 に 影 響 を 及 ぼすと 考 えられるこ とから 直 近 で 公 表 されている 住 民 基 本 台 帳 人 口 ( 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 )に 外 国 人 登 録 人 口 ( 平 成 19 年 9 月 末 日 現 在 )を 加 えた 人 口 を 基 準 として さらに 将 来 人 口 推 計 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 )を 行 った (1) 推 計 方 法 の 概 要 1 推 計 期 間 平 成 20 年 ~ 平 成 37 年 まで 18 年 間 の 各 年 とした 2 推 計 方 法 将 来 人 口 推 計 ( 平 成 19 年 8 月 推 計 )と 同 様 コーホート 変 化 率 法 を 用 いた 3 推 計 に 必 要 な 係 数 の 変 更 点 将 来 人 口 推 計 ( 平 成 19 年 8 月 推 計 )とは 以 下 の 点 が 異 なる なお 年 齢 別 出 生 率 及 び 出 生 性 比 の 仮 定 値 については 出 生 動 態 にもともと 外 国 人 の 動 向 を 含 んでいるため 同 様 とした ア) 基 準 人 口 の 変 更 住 民 基 本 台 帳 登 録 人 口 を 基 本 とするが これに 男 女 年 齢 別 の 外 国 人 登 録 者 を 加 えた 人 口 を 基 準 人 口 とした したがって 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 の 住 民 基 本 台 帳 人 口 数 429,404 人 と 平 成 19 年 9 月 末 日 現 在 の 外 国 人 登 録 者 数 4,951 人 が 明 らかになっていることから この 二 つの 人 口 を 合 わせた 434,355 人 を 基 準 人 口 とする なお 平 成 19 年 8 月 推 計 で 基 準 とした 平 成 18 年 10 月 1 日 現 在 の 住 民 基 本 台 帳 人 口 5 外 国 人 登 録 とは 日 本 に 在 留 する 外 国 人 の 居 住 関 係 身 分 関 係 を 明 らかにするもの 外 国 人 が 日 本 に 在 留 することとなった 日 から 一 定 の 期 間 内 に 居 住 している 市 区 町 村 に 居 住 地 や 身 分 事 項 などを 届 け 出 て 外 国 人 登 録 をすると 市 区 町 村 長 から 登 録 事 項 が 記 載 された 外 国 人 登 録 証 明 書 が 交 付 される 日 本 に 入 国 した 場 合 は 入 国 後 90 日 以 内 に また 日 本 で 出 生 した 場 合 や 日 本 国 籍 を 離 脱 ( 喪 失 ) したときなどの 場 合 は その 事 由 が 生 じた 日 から 60 日 以 内 に 外 国 人 登 録 の 申 請 をすることになっている 申 請 後 は 市 区 町 村 が 保 管 する 外 国 人 登 録 原 票 にその 居 住 事 実 身 分 事 項 が 記 録 され 出 入 国 管 理 行 政 を 始 め 福 祉 教 育 等 各 般 の 行 政 に 利 用 されるほか 外 国 人 個 人 の 社 会 生 活 上 例 えば 預 金 口 座 開 設 携 帯 電 話 購 入 等 広 く 利 用 されており この 登 録 によって 健 康 保 険 などの 社 会 保 障 を 受 けることがで きる なお 軍 人 軍 属 は 登 録 の 対 象 外 7

430,920 人 とでは 約 4,000 人 また 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 の 推 計 人 口 とでは 約 12,000 人 今 回 の 基 準 人 口 が 上 回 っていることに 留 意 が 必 要 である 6 イ) 男 女 年 齢 別 コーホート 変 化 率 の 仮 定 平 成 14 年 から 平 成 19 年 の5 期 間 (6 年 間 )をコーホート 変 化 率 の 仮 定 する 期 間 とし 各 期 間 の 変 化 率 の 平 均 値 を 推 計 に 用 いた (2) 推 計 結 果 の 概 要 1 総 人 口 の 推 移 本 市 の 住 民 基 本 台 帳 人 口 と 外 国 人 登 録 者 数 を 合 わせた 人 口 の 過 去 10 年 間 を 振 り 返 ると 平 成 15 年 の 441,383 人 をピークに 減 少 傾 向 に 転 じている 現 在 の 条 件 下 においての 将 来 推 計 では 本 市 の 人 口 減 少 傾 向 は 続 き 現 在 の 基 本 計 画 の 最 終 年 度 である 平 成 22 年 の 人 口 は 427,978 人 基 本 構 想 の 最 終 年 度 である 平 成 37 年 の 人 口 は 372,391 人 となる 見 込 みである なお 前 述 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 19 年 8 月 推 計 )の 結 果 と 比 較 すると 今 回 の 推 計 が 約 6,000 人 上 回 っている 人 図 表 4 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 総 数 460,000 440,000 420,000 400,000 380,000 360,000 340,000 320,000 300,000 平 成 19 年 平 成 22 年 平 成 27 年 平 成 32 年 平 成 37 年 総 数 434,355 427,978 413,200 394,283 372,391 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 6 横 須 賀 市 総 務 部 が 発 表 する 平 成 19 年 10 月 1 日 現 在 の 推 計 人 口 は 422,040 人 である 8

2 年 齢 3 区 分 別 人 口 の 推 移 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 )における 人 口 年 齢 構 造 の 変 化 を 年 少 人 口 (0~14 歳 ) 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 ) 老 年 人 口 (65 歳 以 上 )の3 区 分 に 分 けて 概 観 する ア) 年 少 人 口 年 少 人 口 の 割 合 は 全 国 的 な 少 子 化 傾 向 と 同 様 に 減 少 を 続 け 今 回 の 推 計 の 基 準 年 であ る 平 成 19 年 の 12.8 %(55,380 人 )から 平 成 27 年 には 11.4 %(47,111 人 ) 平 成 37 年 に は 9.7%(36,206 人 )にまで 18 年 間 で 約 2 万 人 減 少 すると 見 込 まれる イ) 生 産 年 齢 人 口 生 産 年 齢 人 口 の 割 合 も 年 少 人 口 同 様 に 減 少 し 続 け 推 計 の 基 準 年 である 平 成 19 年 の 64.8 %(281,551 人 )から 27 年 には 59.7 %(246,574 人 ) 平 成 37 年 には 59.2 %(220,260 人 )にまで 低 下 し 18 年 間 で 約 6 万 人 減 少 すると 見 込 まれる ウ) 老 年 人 口 老 年 人 口 の 割 合 は 推 計 の 基 準 である 平 成 19 年 で 22.4 %(97,424 人 )と 20%を 超 えて おり 県 内 他 都 市 全 国 と 比 較 しても 高 い 数 値 を 示 している これは 平 成 19 年 8 月 推 計 における 基 準 人 口 の 構 成 比 (21.7 %)と 比 較 すると 0.7% 増 えており 本 市 の 高 齢 化 傾 向 はさらに 進 んでいる 平 成 27 年 に 28.9 %(119,515 人 ) 平 成 32 年 に 30.7 %(121,115 人 )と 全 人 口 に 占 める 老 年 人 口 割 合 は 増 加 を 続 け 平 成 37 年 には 31.1%(115.925 人 )に 達 すると 予 測 される 人 図 表 5 横 須 賀 市 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 年 齢 3 区 分 別 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 年 少 人 口 (0-14 歳 ) 生 産 年 齢 人 口 (15-64 歳 ) 老 年 人 口 (65 歳 以 上 ) 平 成 19 年 平 成 22 年 平 成 27 年 平 成 32 年 平 成 37 年 55,380 52,872 47,111 40,915 36,206 281,551 269,420 246,574 232,253 220,260 97,424 105,686 119,515 121,115 115,925 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 9

図 表 6 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 年 齢 3 区 分 別 2007 年 ( 平 成 19 年 ) 2010 年 ( 平 成 22 年 ) 2015 年 ( 平 成 27 年 ) 2020 年 ( 平 成 32 年 ) ( 単 位 : 人 ) 2025 年 ( 平 成 37 年 ) 総 数 434,355427,978413,200394,283372,391 年 少 人 口 55,380 52,872 47,111 40,915 36,206 (0-14 歳 ) 12.8% 12.3% 11.4% 10.4% 9.7% 生 産 年 齢 人 口 281,551269,420246,574232,253220,260 (15-64 歳 ) 64.8% 63.0% 59.7% 58.9% 59.2% 老 年 人 口 97,424 105,686119,515121,115115,925 (65 歳 以 上 ) 22.4% 24.7% 28.9% 30.7% 31.1% 各 年 10 月 1 日 現 在 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 Ⅳ 横 須 賀 市 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 若 者 の 晩 婚 化 や 少 子 高 齢 化 が 進 むなかで 単 独 世 帯 の 増 加 傾 向 が 強 まるなど 家 族 人 員 や 年 齢 など 構 成 が 変 化 してきており 今 後 の 行 政 サービス 需 要 にさまざまな 変 化 をもたら すと 考 えられる 都 市 政 策 研 究 所 では 先 に 記 した 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 )の 結 果 をもとに 世 帯 数 の 将 来 推 計 を 行 った 推 計 方 法 ならびに 推 計 結 果 の 概 要 は 以 下 のとおりである (1) 世 帯 数 の 将 来 推 計 の 概 要 1 推 計 期 間 平 成 17 年 ~ 平 成 37 年 (5 年 ごと) 2 推 計 対 象 国 勢 調 査 の 公 表 資 料 における 一 般 世 帯 における 家 族 類 型 (16 区 分 )を 単 独 世 帯 夫 婦 のみ 世 帯 夫 婦 と 子 どもからなる 世 帯 男 親 と 子 どもから 成 る 世 帯 女 親 と 子 どもか ら 成 る 世 帯 その 他 の 一 般 世 帯 の6 区 分 に 分 類 し 推 計 を 行 った 7 3 推 計 の 基 準 となる 人 口 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 7 その 他 の 一 般 世 帯 とは 国 勢 調 査 の 公 表 資 料 世 帯 の 家 族 類 型 (16 区 分 )における その 他 の 親 族 世 帯 + 非 親 族 世 帯 10

4 推 計 方 法 と 手 順 今 回 の 推 計 では 世 帯 主 率 法 を 用 いた 8 都 道 府 県 及 び 15 大 都 市 ( 政 令 指 定 都 市 14 団 体 ( 堺 市 を 除 く) 及 び 東 京 都 区 部 ) 以 外 の 一 般 市 の 場 合 現 在 公 表 されている 国 勢 調 査 の 結 果 からは 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 家 族 類 型 別 の 世 帯 数 データが 得 られないため 推 計 に 必 要 となる 本 市 の 将 来 世 帯 主 率 は 過 去 4 期 ( 平 成 2 年 7 年 12 年 17 年 )の 国 勢 調 査 の 結 果 から 全 国 と 本 市 の 一 般 世 帯 における 家 族 類 型 (6 区 分 ) 別 の 世 帯 数 の 乖 離 率 を 算 出 し 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 が 日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 全 国 推 計 )2003 年 ( 平 成 15 年 10 月 推 計 ) で 公 表 し ている 平 成 37 年 まで5 年 ごとの 世 帯 の 家 族 類 型 別 年 齢 5 歳 階 級 別 世 帯 主 率 の 仮 定 値 に 家 族 類 型 別 の 乖 離 率 を 乗 じたものを 本 市 の 将 来 推 計 における 家 族 類 型 別 世 帯 主 率 と 仮 定 した この 世 帯 主 率 を 横 須 賀 市 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 : 本 市 推 計 )の 結 果 に 乗 じて 平 成 17 年 から5 年 ごと 平 成 37 年 までの 推 計 を 行 った (2) 推 計 結 果 の 概 要 1 総 世 帯 数 の 推 移 国 勢 調 査 の 結 果 から 本 市 の 一 般 世 帯 における 世 帯 総 数 を 振 り 返 ると 平 成 2 年 の 139,018 世 帯 から 平 成 17 年 には 160,610 世 帯 となり この 間 約 20,000 世 帯 増 加 した 世 帯 数 170,000 160,000 図 表 7 横 須 賀 市 の 将 来 世 帯 推 計 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 総 数 155,632 164,168 160,610 161,840 156,342 150,000 147,587 149,115 139,018 140,000 130,000 120,000 実 績 値 予 測 値 110,000 100,000 90,000 80,000 平 成 2 7 年 12 年 17 年 22 年 27 年 32 年 37 年 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 8 世 帯 主 率 法 とは 世 帯 数 は 世 帯 主 数 に 等 しいことを 利 用 して 人 口 に 世 帯 主 率 ( 人 口 に 占 める 世 帯 主 数 の 割 合 )を 乗 じることによって 世 帯 主 数 すなわち 世 帯 数 を 求 める 手 法 世 帯 数 (= 世 帯 主 数 )= 人 口 世 帯 主 率 ( 人 口 に 占 める 世 帯 主 数 の 割 合 ) 11

一 方 人 口 は 433,358 人 から 426,178 人 と 約 7,000 人 減 少 し 1 世 帯 あたりの 世 帯 人 員 は 3.11 人 から 2.65 人 となり 世 帯 の 縮 小 化 傾 向 が 見 られる 過 去 の 世 帯 動 向 から 今 後 も 現 在 の 環 境 で 推 移 することを 仮 定 して 行 った 世 帯 数 の 将 来 推 計 では 本 市 の 世 帯 数 は 現 在 の 基 本 計 画 の 最 終 年 度 である 平 成 22 年 までは 増 加 するが 以 降 の5 年 間 のなかで 減 少 に 転 じ 基 本 構 想 の 最 終 年 度 である 平 成 37 年 には 149,115 世 帯 になる 見 込 みで ピークと 考 えられる 平 成 22 年 と 比 較 して 約 15,000 世 帯 減 少 すると 予 測 される 2 家 族 類 型 (6 区 分 ) 別 の 世 帯 数 の 推 移 平 成 2 年 から 平 成 17 年 の 間 に 行 われた 国 勢 調 査 の 結 果 から 世 帯 を 家 族 類 型 別 に 観 察 すると( 図 表 8 参 照 ) 単 独 夫 婦 のみ 世 帯 が 一 貫 して 増 え 続 けているなか 夫 婦 と 子 からなる 世 帯 は 減 少 を 続 けている この 傾 向 は 全 国 的 にも 現 れており かつては 夫 婦 と 子 からなる 世 帯 が 世 帯 の 基 本 単 位 とされていたが 少 子 高 齢 化 若 年 層 の 晩 婚 化 などに 起 因 する 世 帯 の 多 様 化 に 伴 って 世 帯 の 小 規 模 化 が 進 行 していると 考 えられる 今 回 の 将 来 推 計 においても 世 帯 の 小 規 模 化 はさらに 進 むと 考 えられ 単 独 世 帯 は 平 成 37 年 まで 一 貫 して 増 加 し 続 けると 見 込 まれる とくに 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 単 独 世 帯 は 平 成 37 年 には 単 独 世 帯 全 体 の 半 数 に 上 ると 予 測 される また 夫 婦 のみ 世 帯 は 平 成 22 年 に 増 加 のピークを 迎 え 以 降 は 減 少 傾 向 に 転 じると 予 測 される 一 方 夫 婦 と 子 からなる 世 帯 は 平 成 17 年 以 降 も 一 貫 して 減 少 を 続 ける ことが 見 込 まれ 平 成 32 年 の 時 点 の 世 帯 数 では 単 独 世 帯 を 下 回 る( 図 表 8 参 照 )と 予 測 される また 平 成 2 年 から 平 成 17 年 の 間 で 増 加 を 続 けていた ひとり 親 と 子 からな る 世 帯 は 今 後 横 ばいで 推 移 することが 見 込 まれ 平 成 37 年 の 推 計 値 は 平 成 17 年 と 比 較 して 大 きな 変 化 は 見 られない 将 来 の 人 口 と 将 来 の 世 帯 主 率 を 掛 け 合 わせれば 将 来 の 世 帯 数 が 得 られることになる 12

図 表 8 横 須 賀 市 の 将 来 世 帯 推 計 ( 平 成 20 年 1 月 推 計 ) 家 族 類 型 6 区 分 別 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 平 成 2 年 7 年 12 年 17 年 22 年 27 年 32 年 37 年 単 独 世 帯 夫 婦 のみ 世 帯 夫 婦 と 子 からなる 世 帯 ひとり 親 と 子 からなる 世 帯 ( 世 帯 主 男 ) ひとり 親 と 子 からなる 世 帯 ( 世 帯 主 女 ) その 他 の 一 般 世 帯 図 表 9 横 須 賀 市 の 家 族 類 型 6 区 分 別 世 帯 数 の 推 移 ( 平 成 2 年 - 平 成 37 年 ( 推 計 )) 本 推 計 における 一 般 世 帯 の 家 族 類 型 単 独 世 帯 ( 総 数 ) 0~64 歳 65~74 歳 75 歳 以 上 夫 婦 のみ 世 帯 夫 婦 と 子 からなる 世 帯 ひとり 親 と 子 からなる 世 帯 ( 世 帯 主 男 ) ひとり 親 と 子 からなる 世 帯 ( 世 帯 主 女 ) その 他 の 一 般 世 帯 総 数 実 績 値 は 各 年 国 勢 調 査 結 果 による 世 帯 数 ( 実 績 ) 世 帯 数 ( 推 計 ) 平 成 2 年 7 年 12 年 17 年 22 年 27 年 32 年 37 年 25,57129,71835,04639,02140,93843,41044,86845,158 20,31722,1524,04825,3624,02923,08622,71022,392 3,2544,4815,9266,7678,1859,6309,4228,068 2,0023,0855,0726,8928,72510,69412,73614,698 22,4627,71232,67535,5038,45038,16436,69034,677 60,80159,54357,09954,26852,37548,20943,8539,785 1,7792,0352,1452,4683,0713,3153,4863,512 9,53510,3412,03813,56213,54613,54713,18912,644 18,87018,23816,62915,78815,78815,19514,25613,339 139,018 147,587 155,632 160,610 164,168 161,840 156,342 149,115 出 所 : 図 表 8 9 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 13

Ⅴ おわりに これまで 人 口 及 び 世 帯 の 推 計 について 述 べてきた いずれの 推 計 も 過 去 の 推 移 や 傾 向 が 今 後 も 続 くと 仮 定 し 将 来 に 投 影 したもので 推 計 の 結 果 は これまで 市 が 取 り 組 んでき た 子 育 て 支 援 策 や 高 齢 者 福 祉 施 策 等 を 踏 まえた 自 然 動 態 と 主 に 宅 地 開 発 企 業 活 動 等 に 起 因 する 社 会 動 態 の 動 向 を 含 んでいるものといえる 全 国 的 にも 死 亡 数 が 出 生 数 を 上 回 る という 自 然 減 の 傾 向 が 見 えはじめている 今 後 も 女 性 の 晩 婚 化 や 夫 婦 の 出 生 力 の 低 下 等 の 影 響 により 出 生 率 の 伸 びが 期 待 できない 中 で 数 として 多 い 高 齢 者 の 死 亡 が 増 えていくと いう 状 況 は 避 けられず 自 然 減 の 傾 向 はさらに 強 まると 考 えられる 都 市 としての 成 熟 が 早 かった 本 市 には 早 くからその 傾 向 が 顕 著 にあらわれており 今 後 劇 的 な 人 口 流 入 等 の 変 化 が 起 こらない 限 り 人 口 減 少 は 避 けられない 状 況 が 続 くものと 予 測 される 少 子 高 齢 社 会 のなかで 基 本 的 なトレンドは 人 口 減 少 である 財 政 状 況 が 厳 しいなか こ れからの 行 政 運 営 を 考 えるうえでは 将 来 の 行 政 需 要 の 縮 小 を 先 取 りして 各 種 計 画 イン フラや 施 設 などの 社 会 資 本 や 人 的 資 本 のあり 方 を 全 面 的 に 見 直 し 財 政 支 出 の 縮 小 を 通 じ て 収 支 のバランスの 均 衡 をはかることが 重 要 になるであろう そのうえで 単 に 人 口 の 増 減 に 一 喜 一 憂 するのではなく 将 来 を 見 据 えて 高 齢 者 比 率 の 高 い 人 口 構 成 のアンバランスをいかに 修 正 していくかを 念 頭 に 置 いて 施 策 の 展 開 を 図 るこ とが 重 要 であると 考 える 14

2. 移 動 人 口 調 査 一 瀬 真 宮 川 栄 一 豊 田 奈 穂 Ⅰ はじめに 横 須 賀 市 ( 以 下 本 市 とする )は 人 口 減 少 に 直 面 している その 原 因 としては 少 子 高 齢 化 にともなう 自 然 減 ( 出 生 - 死 亡 )が 進 んだことに 加 え 人 口 移 動 の 結 果 生 じる 社 会 減 ( 転 入 - 転 出 )も 継 続 的 に 発 生 していることによるものと 考 えられる 既 知 のとお り 本 市 では 高 齢 化 率 が 高 く 今 後 も 死 亡 数 の 増 加 による 自 然 要 因 のマイナスは 継 続 する と 予 測 されている 長 寿 社 会 の 実 現 から 生 じる 死 亡 数 の 増 加 を 抑 制 することは 困 難 であり これに 対 策 を 講 ずることは 不 可 能 といえる 他 方 社 会 要 因 ( 転 入 転 出 )については 規 模 は 大 きくはないかもしれないが いくらかの 政 策 的 な 誘 導 は 可 能 と 考 えられ 検 討 の 余 地 はある そこで 本 調 査 では 社 会 要 因 の 動 向 に 着 目 し 人 口 移 動 の 詳 細 を 分 析 する この 結 果 は 人 口 誘 導 政 策 の 対 象 となる 年 齢 層 や 本 市 との 間 で 競 争 関 係 にある 地 域 を 明 らかにするものであり 今 後 の 効 果 的 な 政 策 の 企 画 立 案 に 寄 与 するといえるであろう 具 体 的 には 平 成 15 年 と 平 成 18 年 における 本 市 の 住 民 基 本 台 帳 データから 移 動 ( 転 入 転 出 )の 特 徴 を 捉 え 今 後 の 政 策 対 象 について 検 討 する Ⅱ 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 出 者 ( 平 成 15 年 と 平 成 18 年 の 比 較 ) ここでは 本 市 の 転 入 出 者 の 総 数 を 男 女 別 年 齢 5 歳 階 級 別 に 分 け 平 成 15 年 と 18 年 の2 時 点 の 比 較 から その 変 化 や 傾 向 を 分 析 する 本 章 の 分 析 結 果 を 簡 単 に 述 べると 性 別 を 問 わず 転 入 者 総 数 が 減 少 し とくに 25~34 歳 でその 傾 向 が 顕 著 であること 総 転 出 数 の 伸 びは 小 さいが 30~39 歳 では 増 加 していること が 観 察 される (1) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 者 数 男 性 は 平 成 15 年 に 7,905 人 あった 転 入 総 数 が 18 年 には 6,435 人 となっており 1,470 人 減 少 している さらに これを 年 齢 5 歳 階 級 別 に 観 察 してみると 主 に 20~34 歳 の 年 齢 層 が 減 少 しており( 図 表 1 参 照 ) その 数 は 794 人 に 上 る とくに 25~29 歳 の 年 齢 層 での 転 入 の 減 少 が 著 しく 減 少 数 全 体 の 25% 以 上 を 占 めている 次 に 女 性 の 傾 向 を 観 察 する 転 入 数 の 傾 向 は 男 性 と 変 わらず 総 数 は 6,768 人 から 5,697 人 に 1,071 人 の 減 少 を 記 録 している 年 齢 5 歳 階 級 別 の 傾 向 でも 男 性 同 様 20~34 歳 の 年 齢 層 の 減 少 が 著 しく( 図 15

人 1,600 図 表 1 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 数 の 比 較 ( 男 性 ) 1,400 平 成 15 年 平 成 18 年 1,200 1,000 800 600 400 200 0 0-45-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 人 1,600 図 表 2 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 数 の 比 較 ( 女 性 ) 1,400 平 成 15 年 平 成 18 年 1,200 1,000 800 600 400 200 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 図 表 1 2 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 表 2 参 照 ) その 数 は 593 人 と 全 体 の 半 数 以 上 を 占 める 図 表 2からもわかるように な かでも 25~29 歳 の 年 齢 層 の 減 少 はその 他 の 年 齢 階 級 より 突 出 して 多 く 減 少 数 全 体 の 30% 近 くにものぼる (2) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 出 者 数 平 成 15 年 と 18 年 の 比 較 では 男 性 の 転 出 が 93 人 減 少 している 全 国 的 に 人 口 移 動 そ のものが 停 滞 していることが 指 摘 されているが 本 市 でも 転 出 行 動 が 止 まる 傾 向 にある 主 だった 動 向 としては 40~54 歳 の 年 齢 層 で 転 出 数 の 減 少 が 236 人 みられる 一 方 30~39 16

歳 の 年 齢 層 では 231 人 増 加 している( 図 表 3 参 照 ) 次 に 女 性 の 転 出 傾 向 を 観 察 する 総 数 の 比 較 では 387 人 少 なくなっており 男 性 同 様 転 出 者 数 は 止 まっている 年 齢 階 級 別 にみると 20~29 歳 の 転 出 者 数 が 325 人 も 減 少 しており 今 回 の 比 較 に 限 って 言 え ば 若 年 層 の 定 着 志 向 が 示 される 結 果 となった 他 方 30~39 歳 の 年 齢 層 の 転 出 について 人 1,800 図 表 3 年 齢 5 歳 階 級 別 転 出 の 比 較 ( 男 性 ) 1,600 平 成 15 年 平 成 18 年 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 0-4 5-9 10-1415-1920-2425-2930-3435-3940-445-4950-5455-5960-6465-6970-7475-7980-8485+ 人 1,600 図 表 4 年 齢 5 歳 階 級 別 転 出 数 比 較 ( 女 性 ) 1,400 平 成 15 年 平 成 18 年 1,200 1,000 800 600 400 200 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 図 表 3 4 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 17

は 169 人 増 加 している このほかの 年 齢 層 では 年 齢 別 の 転 出 者 の 傾 向 はほとんど 変 わ りないことがわかる ( 図 表 4 参 照 ) Ⅲ 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 県 外 県 内 別 転 出 入 者 次 に 本 市 の 転 入 出 者 の 総 数 を 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 移 動 前 の 居 所 ( 県 内 県 外 )に 分 け その 変 化 や 傾 向 を 分 析 する なお 県 内 移 動 には 本 市 内 での 移 動 は 含 まない ここでは 県 内 からの 転 入 が 減 少 しており 20~39 歳 の 年 齢 層 でとくに 転 入 規 模 が 縮 小 している こと 県 外 からの 転 入 減 少 分 は その7 割 を 20~34 歳 が 占 めていること 県 内 他 市 への 転 出 では 20~29 歳 の 若 年 層 の 移 動 も 活 発 ではないこと 県 外 への 転 出 については 男 性 と 女 性 では 異 なる 傾 向 がみられること が 明 らかとなっている (1) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 者 数 ( 県 内 からの 転 入 ) 転 入 者 ( 県 内 男 性 )の 比 較 では 図 表 5から 各 年 齢 層 で 減 少 していることがわかる 主 に 20~39 歳 の 年 齢 層 で 多 く 減 少 しており その 数 は 438 人 に 上 る また0~14 歳 の 転 入 も 減 少 しており 親 世 代 の 移 動 が 影 響 しているとも 考 えられる 人 800 700 図 表 5 年 齢 階 級 別 県 内 転 入 者 数 の 比 較 ( 男 性 ) 平 成 15 年 平 成 18 年 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 18

人 800 図 表 6 年 齢 階 級 別 県 内 転 入 者 数 の 比 較 ( 女 性 ) 700 平 成 15 年 平 成 18 年 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 次 に 女 性 の 傾 向 について 観 察 する 男 性 同 様 に ほぼ 全 ての 年 齢 層 で 転 入 者 数 が 減 少 している 両 時 点 の 比 較 ではその 数 が 743 人 にも 上 る 年 齢 5 歳 階 級 別 の 傾 向 も 同 様 で 20~39 歳 の 年 齢 層 で 著 しく( 図 表 6 参 照 ) その 数 は 399 人 で 減 少 数 全 体 の 半 数 以 上 を 占 めている また 0~14 歳 の 年 齢 層 も 減 少 しており 男 性 と 同 様 親 世 代 の 動 向 が 影 響 している 可 能 性 が 高 いといえよう (2) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 入 者 数 ( 県 外 からの 転 入 ) 続 いて 県 外 からの 転 入 動 向 をみると 平 成 15 年 と 18 年 の 比 較 では 男 性 は 619 人 減 少 している 主 に 20~34 歳 の 年 齢 層 で 多 く 減 少 総 数 の 70%がこの 年 齢 層 にあたる( 図 表 7 参 照 ) この 傾 向 は 前 述 の 県 内 転 入 者 と 同 様 であるが その 他 の 年 齢 層 での 減 少 傾 向 がみられないことが 先 に 述 べた 転 入 ( 県 外 女 性 )とは 異 なる 点 である 次 に 県 外 からの 転 入 ( 女 性 ) の 傾 向 を 観 察 する 両 時 点 の 総 数 を 比 較 すると 減 少 数 は 約 328 人 に 上 る 年 齢 5 歳 階 級 別 の 傾 向 は 20~34 歳 の 年 齢 層 で 強 く( 図 表 8 参 照 ) その 数 は 239 人 に 上 り 減 少 数 全 体 の 70% 以 上 を 占 める また 25~29 歳 の 年 齢 層 でその 傾 向 が 顕 著 である 19

人 900 図 表 7 年 齢 階 級 別 県 外 転 入 数 の 比 較 ( 男 性 ) 800 平 成 15 年 平 成 18 年 700 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-3435-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-7980-8485+ 人 800 図 表 8 年 齢 階 級 別 県 外 転 入 者 数 比 較 ( 女 性 ) 700 平 成 15 年 平 成 18 年 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 20

(3) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 出 者 数 の 推 移 ( 県 内 他 市 への 転 出 ) 県 内 他 市 への 転 出 動 向 を 観 察 すると 図 表 9からもわかるように 男 性 については 平 成 15 年 と 18 年 はほぼ 同 じ 傾 向 を 示 している 両 年 を 比 較 すると 転 出 数 が 150 人 減 少 してい るが このうちの 100 人 が 25~29 歳 となっており 減 少 分 の 65% 以 上 を 占 める 他 方 女 性 についても 類 似 しているが 20~29 歳 の 年 齢 層 での 転 出 が 止 まっており 若 年 層 の 移 動 が 活 発 に 行 われている 動 きはみられない( 図 表 10 参 照 ) 人 1,000 900 図 表 9 年 齢 階 級 別 県 内 転 出 者 比 較 ( 男 性 ) 平 成 15 年 平 成 18 年 800 700 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 人 900 図 表 10 年 齢 階 級 別 県 内 転 出 者 ( 女 性 ) 800 平 成 15 年 平 成 18 年 700 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 21

(4) 男 女 年 齢 5 歳 階 級 別 転 出 者 数 の 推 移 ( 県 外 への 転 出 ) さらに 県 外 への 転 出 動 向 について 観 察 してみると 前 述 の 県 内 他 市 への 転 出 とは 異 な り 男 性 は 20~39 歳 で 平 成 15 年 に 比 べ 18 年 の 転 出 数 が 310 人 多 く 県 外 へと 移 動 して いる( 図 表 11 参 照 ) また 県 内 他 市 への 転 出 ではほとんど 動 きのなかった 40~60 歳 の 中 壮 年 層 で 県 外 への 転 出 が 減 る 結 果 となっている 人 900 800 図 表 11 年 齢 階 級 別 県 外 転 出 者 比 較 ( 男 性 ) 平 成 15 年 平 成 18 年 700 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 人 800 図 表 12 年 齢 階 級 別 県 外 転 出 者 ( 女 性 ) 700 平 成 15 年 平 成 18 年 600 500 400 300 200 100 0 0-4 5-910-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-8485+ 出 所 : 図 表 11 12 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 22

他 方 女 性 については 男 性 とは 異 なる 動 きを 示 している( 図 表 12 参 照 ) 平 成 18 年 は 15 年 に 比 べ 県 外 への 転 出 者 数 が 20~29 歳 で 130 人 減 少 する 一 方 30~39 歳 で 153 人 増 加 している Ⅳ 転 入 元 と 転 出 先 前 章 の 移 動 状 況 を 踏 まえ どの 地 域 を 転 入 元 とし 本 市 からどこに 転 出 しているのかに ついて その 変 化 や 傾 向 を 分 析 する ここでは 性 別 を 問 わず 首 都 圏 からの 転 入 者 が 大 半 を 占 めること 県 外 転 入 県 外 転 出 ともに 男 性 の 移 動 は 自 衛 隊 施 設 を 抱 える 道 県 が 多 いこと 県 内 転 入 県 内 転 出 では 横 浜 市 との 間 で 動 きが 活 発 なこと が 明 らかとなっている (1) 都 道 府 県 別 の 動 向 1 転 入 元 転 入 元 を 観 察 してみると 性 別 を 問 わず 東 京 都 神 奈 川 県 ( 本 市 を 除 く) 千 葉 県 埼 玉 県 などの 首 都 圏 からの 転 入 者 が 大 半 を 占 める 図 表 13 14からもわかるように 本 市 に 転 入 する 人 々の 多 くが 転 入 元 を 神 奈 川 県 としており 県 内 他 市 からの 流 れが 全 体 の 約 50 北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 沖 縄 県 図 表 13 男 性 の 転 入 元 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 H15 H18 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 23

北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 沖 縄 県 図 表 14 女 性 の 転 入 元 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 H15 H18 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 %を 占 める 1 加 えて 男 性 については 転 入 元 の 上 位 に 広 島 県 静 岡 県 北 海 道 など 自 衛 隊 施 設 を 抱 える 道 県 があがっており この 点 は 本 市 の 特 徴 とみられる さらに 平 成 15 年 と 18 年 の 比 較 で 転 入 総 数 の 落 ち 込 みが 顕 著 であることは 先 に 記 し たとおりであるが 中 でも 県 内 他 市 からの 転 入 者 数 が 男 性 で 849 人 女 性 で 742 人 も 減 少 していることから 近 隣 自 治 体 からの 転 入 減 が 本 市 が 転 出 超 過 に 陥 る 一 因 となってい るものと 考 えられる 2 転 出 先 次 に 転 出 先 をみると 男 性 女 性 ともに 転 出 先 の 上 位 には 転 入 元 と 同 様 に 神 奈 川 県 ( 本 市 を 除 く) 東 京 都 千 葉 県 埼 玉 県 などの 都 県 があげられる( 図 表 15 16 参 照 ) 前 述 のとおり 平 成 15 年 に 比 べ 18 年 は 転 出 が 止 まる 傾 向 がみられ 最 も 転 出 者 数 の 多 い 県 内 他 市 町 村 でも 男 性 で 150 人 女 性 はその 約 2 倍 の 324 人 転 出 数 が 減 少 している 他 方 そうした 状 況 にも 関 わらず 平 成 18 年 は 静 岡 県 への 転 出 が 性 別 を 問 わず 顕 著 またが にみられる 県 を 跨 る 移 動 理 由 については 転 勤 や 帰 郷 など 社 会 的 な 要 因 が 容 易 に 想 定 されるところであるが 本 市 でも 企 業 動 向 や 自 衛 隊 関 係 者 の 移 動 が 影 響 した 可 能 性 が 推 測 される 1 転 入 総 数 には 国 外 と 前 住 所 地 不 詳 は 含 まない 24

北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 沖 縄 県 図 表 15 男 性 の 転 出 先 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 H15 H18 北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 沖 縄 県 図 表 16 女 性 の 転 出 先 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 H15 H18 出 所 : 図 表 15 16 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 (2) 県 内 他 市 町 別 の 動 向 前 節 では 都 道 府 県 別 に 転 入 元 転 出 先 を 観 察 してきたが ここでは 最 も 移 動 者 総 数 の 多 い 傾 向 を 顕 著 に 示 している 神 奈 川 県 の 動 向 に 注 目 し 県 内 市 町 村 別 にその 詳 細 を 分 析 して みる 25

1 転 入 元 ( 県 内 他 市 町 からの 転 入 ) 県 内 からの 転 入 では 男 性 女 性 ともに 横 浜 市 からの 動 きが 県 内 総 数 の 約 60%を 占 め ている 平 成 15 年 と 18 年 を 比 較 すると 男 性 で 521 人 女 性 が 496 人 と 合 計 で 1,017 人 の 転 入 減 が 生 じており 横 浜 市 からの 流 れが 停 滞 した 結 果 が 本 市 に 与 えた 影 響 は 大 きか 図 表 17 県 内 転 入 元 ( 男 性 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 人 横 浜 市 川 崎 市 平 塚 市 鎌 倉 市 藤 沢 市 小 田 原 市 茅 ヶ 崎 市 逗 子 市 相 模 原 市 三 浦 市 秦 野 市 厚 木 市 大 和 市 伊 勢 原 市 海 老 名 市 座 間 市 南 足 柄 市 綾 瀬 市 葉 山 町 H15 H18 図 表 18 県 内 転 入 元 ( 女 性 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 横 浜 市 人 川 崎 市 平 塚 市 鎌 倉 市 藤 沢 市 小 田 原 市 茅 ヶ 崎 市 逗 子 市 相 模 原 市 三 浦 市 秦 野 市 厚 木 市 大 和 市 伊 勢 原 市 海 老 名 市 座 間 市 南 足 柄 市 綾 瀬 市 葉 山 町 H15 H18 出 所 : 図 表 17 18 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 26

図 表 19 横 浜 市 区 別 転 入 状 況 男 性 転 入 女 性 転 入 平 成 15 年 平 成 18 年 平 成 18- 平 成 15 平 成 15 年 平 成 18 年 平 成 18- 平 成 15 横 浜 市 2,0691,548 521 1,9601,464 496 鶴 見 区 99 76 23 89 64 25 神 奈 川 区 95 53 42 93 56 37 西 区 45 32 13 34 44 10 中 区 75 51 24 68 53 15 南 区 180 122 58 174 139 35 保 土 ケ 谷 区 59 45 14 47 56 9 磯 子 区 221 152 69 210 137 73 金 沢 区 519 423 96 527 395 132 港 北 区 90 75 15 86 74 12 戸 塚 区 114 94 20 118 85 33 港 南 区 187 131 56 182 126 56 旭 区 72 48 24 74 49 25 緑 区 51 31 20 42 28 14 瀬 谷 区 38 26 12 33 25 8 栄 区 90 113 23 58 46 12 泉 区 44 28 16 50 34 16 青 葉 区 37 32 5 40 29 11 都 筑 区 53 16 37 35 24 11 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 ったといえるであろう また 県 央 地 区 や 県 西 地 区 からの 転 入 が 見 られず これらの 地 域 と 本 市 の 間 では 人 口 移 動 は 発 生 しない さらにそれを 移 動 者 数 の 多 い 横 浜 市 に 限 って 区 単 位 での 状 況 をみると 本 市 と 隣 接 する 金 沢 区 や 京 浜 急 行 線 沿 線 の 磯 子 区 港 南 区 を 転 入 元 とする 人 数 が 顕 著 に 減 少 傾 向 を 示 して いる( 図 表 19 参 照 ) 2 転 出 先 ( 県 内 他 市 町 への 転 出 ) 他 方 転 出 については いずれの 地 域 への 流 れも 減 少 しており 目 立 った 動 向 は 観 察 さ れない ただし ここで 特 筆 すべき 点 としてあげておくと 男 性 については 三 浦 市 への 転 出 が 増 加 しており( 図 表 20 参 照 ) これまで 本 市 への 人 口 供 給 源 と 考 えていたが その 流 れが 逆 転 する 結 果 となっており 今 後 の 動 向 が 注 目 される 27

図 表 20 県 内 転 出 先 ( 男 性 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 横 浜 市 人 川 崎 市 平 塚 市 鎌 倉 市 藤 沢 市 小 田 原 市 茅 ヶ 崎 市 逗 子 市 相 模 原 市 三 浦 市 秦 野 市 厚 木 市 大 和 市 伊 勢 原 市 海 老 名 市 座 間 市 南 足 柄 市 綾 瀬 市 葉 山 町 H15 H18 図 表 21 県 内 転 出 先 ( 女 性 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 横 浜 市 川 崎 市 平 塚 市 鎌 倉 市 藤 沢 市 小 田 原 市 茅 ヶ 崎 市 逗 子 市 相 模 原 市 三 浦 市 秦 野 市 厚 木 市 大 和 市 伊 勢 原 市 海 老 名 市 座 間 市 南 足 柄 市 綾 瀬 市 葉 山 町 H15 H18 人 出 所 : 図 表 20 21 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 28

Ⅴ おわりに 本 稿 では 平 成 15 年 と 18 年 の 比 較 から 人 口 移 動 の 状 況 について 観 察 してきた その 結 果 以 下 の 点 が 特 徴 として 明 らかになった 1) 転 入 転 出 の 中 心 が 20~39 歳 の 年 齢 層 で 首 都 圏 が 大 半 を 占 めること 2) 男 性 の 移 動 は 自 衛 隊 施 設 の 所 在 地 との 間 で 発 生 する 機 会 が 多 いこと 3) 移 動 人 口 をめぐる 綱 引 きは 隣 接 する 横 浜 市 との 間 で 活 発 なこと 4) 神 奈 川 県 内 であっても 移 動 の 対 象 とならない 地 域 があること 社 会 移 動 について 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 が 行 った 第 5 回 人 口 移 動 調 査 結 果 では 調 査 対 象 者 の 移 動 理 由 のうち 最 も 多 いのは 住 宅 を 主 とする 理 由 で 移 動 者 全 体 の 35.7 % 次 が 結 婚 離 婚 で 全 体 の 15.7 %を 占 める 結 果 となり 住 宅 事 情 が 圧 倒 的 に 大 きな 要 因 であるとされている この 傾 向 から 社 会 移 動 の 多 くに 定 住 地 選 択 が 影 響 を 与 えるものとみられる 本 市 の 社 会 移 動 は ここ 数 年 転 出 者 数 が 同 様 の 傾 向 で 推 移 していることから 現 在 の 社 会 減 は 男 女 とも 特 に 25~34 歳 の 年 齢 層 地 域 では 近 隣 の 横 浜 市 からの 転 入 者 の 減 少 が 大 きく 影 響 していると 考 えられる そこで 本 市 への 転 入 動 向 を 居 住 の 面 からみると 平 成 15 年 には 市 内 でも 利 便 性 の 高 い 港 が 丘 や 平 成 町 など 京 浜 急 行 沿 線 地 域 で 大 量 の 住 宅 供 給 があり 18 年 に 比 べ その 要 因 が 転 入 数 を 押 し 上 げたものとみられる ここから 利 便 性 の 高 い 京 浜 急 行 沿 線 での 住 宅 供 給 が 転 入 の 重 要 な 要 素 であると 推 測 されるが これには 民 間 事 業 者 の 力 が 必 要 になる 今 後 本 市 の 人 口 減 少 傾 向 を 緩 やかにするためには 転 入 の 促 進 が 重 要 になると 考 えら れる 市 としては 移 動 率 の 高 い 世 代 の 行 政 に 対 するニーズを 捉 えた 施 策 を 積 極 的 に 展 開 し 居 住 地 としての 魅 力 を 高 めることが 重 要 になるであろう そして このことが 民 間 事 業 者 の 住 宅 供 給 のインセンティブを 高 めることにもなり ひいては 本 市 への 転 入 者 が 増 加 する ことにつながるものと 推 察 される 29

3. 人 口 減 少 と 定 住 豊 田 奈 穂 Ⅰ はじめに (1) 人 口 争 奪 の 現 実 昨 今 横 須 賀 市 ( 以 下 本 市 とする )では 長 期 的 な 人 口 減 少 を 懸 念 している 図 表 1は 国 勢 調 査 をもとに 各 調 査 年 10 月 1 日 における 本 市 の 総 人 口 を 描 いたもので あるが 平 成 の 初 頭 までその 数 は 継 続 的 な 増 加 傾 向 にある しかし 平 成 7 年 の 調 査 から 徐 々にではあるが 確 実 に 縮 小 の 方 向 に 進 み 始 め 平 成 17 年 は 12 年 から 3,000 人 減 少 し 約 42 万 6,000 人 である 本 市 が 減 少 局 面 にあるにも 関 わらず 平 成 17 年 の 神 奈 川 県 の 総 人 口 は 12 年 から 3.6% の 増 加 である( 図 表 2 参 照 ) 川 崎 市 や 海 老 名 市 では 5%を 超 える 増 加 率 が 示 されている 一 方 県 西 部 の2 地 域 ( 小 田 原 市 南 足 柄 市 )と 三 浦 半 島 の2 地 域 ( 横 須 賀 市 三 浦 市 ) の4 市 はマイナスである これらの 人 口 減 少 地 域 では 南 足 柄 市 を 除 けば 平 成 7 年 の 調 査 からその 傾 向 が 継 続 しており 増 加 へと 転 じることが 難 しい 状 況 にある この 結 果 は どの 地 域 が 定 住 地 として 選 択 されるのかが 県 下 の 地 域 を 人 口 増 加 地 域 と 減 少 地 域 に 色 分 けし いわゆる 人 口 争 奪 競 争 の 勝 敗 を 暗 示 している 本 市 は 後 者 に 含 まれる 図 表 1 横 須 賀 市 の 総 人 口 千 人 500 427 433 432 429 421 426 400 390 348 317 300 200 100 昭 和 40 45 50 55 60 平 成 2 7 12 17 年 図 表 2 総 人 口 と 増 減 率 県 市 区 町 村 平 成 12 年 平 成 17 年 増 減 率 神 奈 川 県 8,489,974 8,791,5973.55 横 浜 市 3,426,651 3,579,6284.46 川 崎 市 1,249,905 1,327,0116.17 横 須 賀 市 428,645426,178-0.58 平 塚 市 254,633258,958 1.70 鎌 倉 市 167,583171,158 2.13 藤 沢 市 379,185396,014 4.44 小 田 原 市 200,173198,741-0.72 茅 ケ 崎 市 220,809228,420 3.45 逗 子 市 57,281 58,033 1.31 相 模 原 市 605,561628,698 3.82 三 浦 市 52,253 49,861-4.58 秦 野 市 168,142168,317 0.10 厚 木 市 217,369222,403 2.32 大 和 市 212,761221,220 3.98 伊 勢 原 市 99,544100,579 1.04 海 老 名 市 117,519123,764 5.31 座 間 市 125,694128,174 1.97 南 足 柄 市 44,156 44,134-0.05 綾 瀬 市 81,019 81,767 0.92 葉 山 町 30,413 31,531 3.68 出 所 : 図 表 1 2 総 務 省 国 勢 調 査 より 作 成 30

(2) 人 口 問 題 の 論 点 わが 国 の 総 人 口 は 出 生 率 の 低 下 と 長 寿 の 実 現 による 高 齢 化 が 相 俟 って 平 成 17 年 の 人 口 動 態 統 計 ( 年 間 推 計 )では 明 治 32 年 の 調 査 開 始 以 降 初 めて 自 然 減 を 経 験 した 1 昭 和 40 年 代 からこの 現 象 の 予 測 は 可 能 であったとの 指 摘 もあり 長 期 的 な 減 少 局 面 の 回 避 は 困 難 と 言 われている 2 今 後 現 在 推 進 している 少 子 化 対 策 により 仮 に 出 生 数 の 増 加 が 見 られたとしても 急 速 に 高 齢 化 の 進 む 時 代 に 死 亡 数 を 抑 制 させ 自 然 要 因 を 反 転 させる のは 不 可 能 であり 現 実 的 にはこのマイナスを 当 面 甘 受 するほかに 道 はない 他 方 地 域 人 口 は 増 減 の 一 因 となる 自 然 要 因 ( 出 生 - 死 亡 ) に 加 え 社 会 要 因 ( 転 入 - 転 出 ) もその 規 模 を 左 右 する 国 の 動 向 と 同 様 に 自 然 要 因 がマイナスであっても 社 会 要 因 がそれを 上 回 るプラスであるならば 一 地 域 としての 人 口 成 長 は 実 現 可 能 であり これが 地 域 人 口 はゼロサム ゲームであると 言 われる 所 以 である 3 例 えば 本 市 と 葉 山 町 について 平 成 16 年 の1 月 の 人 口 動 態 を( 出 生 数 - 死 亡 数 )+ ( 転 入 数 - 転 出 数 )に 分 解 してみると 横 須 賀 市 325=(316-320)+(1,125-1,446 ) 葉 山 町 =(20-33)+(150-104) となる 本 市 では 自 然 要 因 がマイナスになっているのに 加 え 社 会 要 因 も 転 出 超 過 であ り 総 人 口 は 前 年 12 月 に 比 べ 325 人 の 減 少 となっている ところが 平 成 12 年 の 国 勢 調 査 で 高 齢 化 率 が 20%を 超 え 本 市 より 自 然 減 が 先 行 している 葉 山 町 の 状 況 は 異 なっ ている 葉 山 町 も 自 然 要 因 はマイナスであるが それを 上 回 る 社 会 要 因 のプラスが 生 じた 結 果 人 口 成 長 がもたらされ 総 人 口 を 増 やしている つまり 前 述 の 式 の 第 2 項 が 人 口 増 加 と 減 少 を 分 ける 要 因 となり 人 口 に 関 する 都 市 間 競 争 はここを 巡 るものとなっている 少 子 高 齢 化 の 時 代 に いずれの 地 域 でも 自 然 要 因 がマイナスになることは 避 け 難 い 中 幾 らかなりとも 社 会 要 因 をプラスにすることが 地 域 人 口 の 中 心 的 論 点 と 考 えられる 本 稿 では その 点 を 踏 まえ 本 市 の 現 状 を 分 析 し 今 後 の 政 策 の 方 向 性 を 示 す Ⅱ 移 動 と 年 齢 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 の 調 査 によれば 一 生 涯 における 平 均 移 動 回 数 は3 回 居 住 したことのある 都 道 府 県 数 は2 箇 所 であり 個 人 のさまざまなライフイベントが 転 居 の 機 会 となるとしている 4 実 際 わが 国 では 高 度 成 長 期 と 団 塊 世 代 の 就 職 結 婚 期 が 重 1 2 自 然 減 とは 出 生 数 < 死 亡 数 となり 自 然 増 減 数 ( 出 生 数 - 死 亡 数 )がマイナスの 状 態 を 指 す 国 連 人 口 部 は Replacement をまとめている それによれば Migration 中 位 推 計 のもと 総 人 口 127 百 万 人 (2005 年 )を 維 持 するためには 2005 ~2050 年 の 間 に1 年 当 たり 平 均 38 万 人 の 移 民 の 受 け 入 れ を 必 要 としている 3 駒 井 (2005 ) 豊 田 (2006 ) 参 照 4 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 第 4 回 人 口 移 動 調 査 第 5 回 人 口 移 動 調 査 参 照 31

なった 昭 和 40 年 代 に 総 移 動 者 数 がピークを 迎 えている 本 市 の 移 動 も 類 似 傾 向 にあるこ と 予 測 されるが 何 歳 ぐらいで 本 市 を 離 れ どの 年 齢 層 が 新 たに 転 入 してきているのだろ うか ここでは 住 民 基 本 台 帳 人 口 の 社 会 動 態 ( 転 出 転 入 )に 基 づき 観 察 する (1) 転 出 の 特 徴 本 市 から 別 の 地 域 に 移 動 する 人 々の 年 齢 と 移 動 先 を 分 析 してみると 転 出 の 特 徴 として ⅰ) 転 出 者 の 多 くが 労 働 力 人 口 として 中 心 的 な 役 割 を 担 う 年 齢 層 とその 子 にあたる 10 歳 未 満 である ⅱ) 神 奈 川 県 外 ( 以 下 県 外 とする )に 転 出 する 割 合 が 上 昇 している ことが 明 らかとなり 転 勤 をはじめとする 社 会 的 な 要 因 が 強 く 影 響 していると 推 測 される 1 年 齢 図 表 3は 平 成 18 年 の 各 年 齢 別 人 口 に 占 める 転 出 者 比 率 ( 各 歳 別 転 出 者 数 / 各 歳 別 人 口 100)を 男 女 別 に 描 いているが 本 市 においても 進 学 就 職 に 係 る 18 歳 頃 から 結 婚 や 住 居 取 得 のライフイベントを 迎 える 30 代 半 ばまで 性 別 を 問 わず 転 出 率 が4%を 超 える ここで 特 筆 すべき 点 は ⅰ) 男 性 が 23~31 歳 女 性 は 25~30 歳 で 転 出 率 が 10% 強 と 高 水 準 に 達 する ⅱ) 女 性 は 42 歳 以 上 になると 転 出 率 が2% 台 を 割 り 込 むが 男 性 は 50 代 まで 継 続 する ことの 二 つである ⅱ)のように 性 別 の 差 異 が 生 じる 背 景 には 男 性 の 社 会 的 移 動 が 影 響 しているとの 見 方 ができるであろう 既 存 研 究 でも 中 壮 年 では 単 身 赴 任 の 割 合 が 高 く 年 齢 の 上 昇 に 比 例 してその 割 合 が 拡 大 することが 指 摘 されており 本 市 においても 同 様 の 傾 向 が 表 れたと 考 えられる 5 このほか 10 歳 未 満 の 転 出 率 については 親 世 代 にあたる 20 代 半 ばから 30 代 の 動 向 と 連 動 していることが 想 像 され 二 つ の 山 は 一 世 帯 として 移 動 してい るとの 判 断 が 妥 当 であろう こ こでは 平 成 18 年 のみを 示 して いるが 平 成 15 年 ~18 年 につ いても 類 似 した 傾 向 がみられる 図 表 3 平 成 18 年 各 歳 人 口 別 転 出 率 14.00 % 12.00 男 性 女 性 10.00 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 歳 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 56 60 64 68 72 76 80 84 出 所 : 横 須 賀 市 住 民 基 本 台 帳 より 作 成 5 単 身 赴 任 に 関 する 詳 細 は 荒 井 川 口 井 上 編 (2002 ) 日 本 の 人 口 移 動 第 8 章 参 照 32

2 移 動 先 図 表 4は 平 成 18 年 の 転 出 者 の 移 動 先 を 神 奈 川 県 内 ( 以 下 県 内 とする )と 県 外 に 区 分 している その 結 果 県 内 で 移 動 する 者 ( 以 下 県 内 移 動 とする )の 割 合 はおよ そ 44% 都 道 府 県 の 境 を 越 えて 移 動 している 者 ( 以 下 県 外 移 動 とする )が 約 56%を 占 めている これを 各 年 齢 の 動 きでみると 県 外 移 動 は 20 代 後 半 から 30 代 前 半 にかけて 最 も 多 く この 間 の 年 齢 層 が 全 体 の 12.7 %を 占 める 他 方 平 成 18 年 の 県 内 移 動 は 29 歳 でのみ 唯 一 2%を 超 えて 転 出 率 が 高 いが その 後 は 緩 やかに 低 下 し 40 代 以 上 では1% 以 下 で 推 移 する 前 述 のとおり 移 動 者 の 年 齢 は 労 働 力 人 口 にあたる 者 が 多 く 移 動 先 の 選 定 では 通 勤 地 や 通 学 地 との 関 係 が 重 視 されている 可 能 性 が 考 えられる そこで 国 勢 調 査 (H.17 ) を もとに 本 市 から 通 勤 通 学 先 としている 者 の 比 率 が 高 い 東 京 都 23 特 別 区 神 奈 川 県 内 8 市 1 町 ( 以 下 通 勤 圏 とする )とその 他 の 地 域 ( 以 下 圏 外 とする )に 転 出 者 を 分 類 し 観 察 する 6 平 成 15 年 は 通 勤 圏 に 7,755 人 (50.5 %) 圏 外 が 7,597 人 (49.5 %)と 通 勤 圏 が 全 体 の 半 数 を 占 める この 傾 向 は 平 成 17 年 まで 継 続 するが 平 成 18 年 になると 両 者 が 逆 転 す る( 図 表 5 参 照 ) 7 平 成 18 年 からのみで 判 断 することはできないが 圏 外 転 出 者 の 増 加 は 本 市 と 横 浜 市 のどちらを 選 択 するのかという 問 題 ではなく 物 理 的 に 本 市 を 選 択 肢 とすることそのものが 困 難 である 者 の 増 加 を 意 味 しており この 状 態 が 継 続 する 場 合 には 定 住 促 進 関 連 政 策 が 転 出 行 動 に 影 響 力 を 持 たない 可 能 性 に 留 意 しなければならない % 4.50 図 表 4 転 出 先 別 転 出 率 人 8,200 図 表 5 転 出 者 の 動 向 4.00 3.50 3.00 県 内 移 動 県 外 移 動 8,000 7,800 7,600 7,400 通 勤 圏 圏 外 2.50 7,200 2.00 7,000 1.50 6,800 1.00 6,600 6,400 0.50 6,200 0.00 6,000 歳 平 成 15 年 16 17 18 年 0 4 8 12162024283236404448525660646872768084 出 所 : 図 表 4 5 横 須 賀 市 住 民 基 本 台 帳 より 作 成 6 国 勢 調 査 (H.17 ) では 就 業 者 のうち 市 内 就 業 が 63.9 % 市 外 は 36.1 %である 7 東 京 都 特 別 区 横 浜 市 川 崎 市 平 塚 市 鎌 倉 市 藤 沢 市 逗 子 市 相 模 原 市 三 浦 市 葉 山 町 が 通 33

(2) 転 入 の 特 徴 次 に 本 市 への 転 入 者 の 特 徴 を 分 析 してみると 前 述 の 転 出 と 同 様 の 動 向 が 見 られる 図 表 6からもわかるように 20~40 代 にかけての 年 齢 層 で 転 入 率 が 高 く ここでも 働 き 盛 りの 世 代 を 中 心 に 県 外 からの 流 入 が 多 い 傾 向 にある 移 動 規 模 の 縮 小 は 全 国 的 傾 向 だが 本 市 の 平 成 17 年 の 転 入 総 数 は1 万 1,818 人 平 成 15 年 に 比 べ 17.5 %の 落 ち 込 んでおり 社 会 要 因 のプラスへの 反 転 は 厳 しい 情 勢 である 8 1 年 齢 転 出 者 と 同 様 に 本 市 への 転 入 者 の 約 6 割 を 20~39 歳 の 年 齢 層 が 占 めている 図 表 6は 平 成 18 年 の 各 歳 別 男 女 別 に 転 入 者 比 率 ( 各 歳 別 転 入 者 数 / 転 入 者 数 100)を 示 して いるが 男 性 女 性 ともに 20 代 ~ 30 代 前 半 で 総 転 入 者 数 の3%を 超 えて 高 い 水 準 にある とくに 平 成 18 年 は 女 性 で 28 29 歳 の 転 入 者 比 率 が 突 出 して4%を 上 回 っており この 年 齢 の 転 入 が 多 い 2 転 入 元 平 成 18 年 の 転 入 元 については 全 体 の 54.4 %が 県 外 から 45.6 %は 県 内 からとなっている その 内 訳 は 大 規 模 な 経 済 圏 を 形 成 する 東 京 都 千 葉 県 埼 玉 県 の 首 都 圏 が 多 い 傾 向 にある 加 えて 北 海 道 静 岡 県 広 島 県 など 自 衛 隊 関 連 施 設 の 所 在 地 がある 道 県 からの 流 入 規 模 が 大 き なウエイトを 占 めており この 点 は 本 市 の 特 徴 の 一 つと 考 えられる 図 表 6 各 歳 別 転 入 者 比 率 % 5.00 4.50 男 性 女 性 4.00 3.50 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 歳 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 56 60 64 68 72 76 80 84 図 表 7 転 入 者 の 動 向 人 9,000 通 勤 圏 圏 外 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 平 成 15 年 16 17 18 年 出 所 : 図 表 6 7 横 須 賀 市 住 民 基 本 台 帳 より 作 成 勤 圏 なお 本 市 を 通 勤 通 学 先 とする 人 口 比 率 が 高 い 都 市 は 本 市 が 行 き 先 とする 地 域 と 同 様 である 8 全 国 の 動 向 については 総 務 省 住 民 基 本 台 帳 移 動 人 口 報 告 書 を 参 照 34

さらに 図 表 7は 転 出 と 同 様 に 転 入 元 を 通 勤 圏 と 圏 外 に 分 類 したものである この4 年 間 の 平 均 では 250 人 程 度 通 勤 圏 からの 移 動 者 が 多 い 傾 向 にある ただし 転 入 者 総 数 が 減 少 する 中 ここで 想 定 する 通 勤 圏 からの 減 少 は 大 きく 近 隣 市 に 転 入 する 者 を 引 き 付 けることができない 傾 向 にあり ここ 数 年 転 出 数 の 減 少 が 進 んで いるにも 関 わらず 転 出 超 過 を 解 消 できずにいる Ⅲ 世 帯 移 動 と 場 所 20 代 は 就 職 や 結 婚 等 の 個 人 の 人 生 選 択 が 影 響 しやすい 時 期 であることに 加 え 単 身 者 も 多 く 移 動 性 が 高 い 昨 今 では 退 職 後 に 風 光 明 媚 なリゾートマンションへと 移 住 する 高 齢 者 も 話 題 になってはいるが 年 齢 の 上 昇 が 移 動 率 を 低 下 させると 認 識 されている こ うした 動 向 に 鑑 みれば 世 帯 形 成 期 世 帯 拡 大 期 を 過 ごす 場 所 が その 後 長 期 的 な 定 住 地 となる 可 能 性 が 高 いとも 考 えられる そこで 前 述 の 移 動 状 況 に 加 え 本 市 で 比 較 的 開 発 時 期 の 新 しい5 地 域 を 選 出 し 世 帯 単 位 での 転 入 元 を 調 査 する 世 帯 移 動 の 特 徴 を 把 握 することは 定 住 促 進 政 策 を 実 施 する 上 で ターゲットを 的 確 に 捉 えることを 可 能 とし 世 帯 形 成 期 世 帯 拡 大 期 と 本 市 を 結 び 付 ける 効 果 的 な 政 策 立 案 に 寄 与 するものであろう (1) 調 査 対 象 地 域 図 表 8 調 査 対 象 地 域 世 帯 の 移 動 定 住 地 の 選 択 には 通 勤 通 学 上 の 要 因 が 少 なからず 影 響 を 与 えることが 指 摘 されている 本 市 に おいては 交 通 の 利 便 性 が 市 内 の 地 域 により 大 きく 異 なる そのため 調 査 対 象 は 観 察 する 地 域 を 分 散 させるこ とに 留 意 するとともに 地 域 間 比 較 を 可 能 とするため 開 発 時 期 が 近 似 して いるエリアとしている 具 体 的 には 図 表 8の から まで の 地 区 ( 港 が 丘 平 成 町 吉 井 池 田 山 科 台 )を 選 び 出 している 9 これらの 地 区 は 平 成 10 年 から 15 年 にかけて の5 年 間 に 開 発 が 完 了 し 一 部 入 居 が 1 4 2 3 9 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 は 平 成 19 年 7 月 20 日 時 点 吉 井 池 田 地 区 山 科 台 地 区 は 平 成 19 年 9 月 1 日 時 点 の 住 民 基 本 台 帳 を 利 用 している 35

開 始 されている は 港 が 丘 地 区 である この 地 区 は 田 浦 行 政 センター 管 内 にあり 調 査 対 象 では 最 も 横 浜 市 ( 金 沢 区 )に 近 い 場 所 に 位 置 する 横 浜 や 東 京 方 面 へのアクセスが 容 易 な 一 戸 建 住 宅 の 広 がるエリアである は 平 成 町 地 区 で 本 庁 管 内 に 位 置 する 京 浜 急 行 線 の 横 須 賀 中 央 や 県 立 大 学 を 最 寄 り 駅 とする 大 規 模 なマンション 群 である は 吉 井 池 田 地 区 を 示 している ここは 浦 賀 行 政 センターと 大 津 行 政 センタ ー 管 内 とに 跨 り 近 年 で 最 も 大 規 模 なニュータウンである は 山 科 台 地 区 である 調 査 対 象 で 最 も 西 よりの 内 陸 に 位 置 する 住 宅 地 であり 市 外 へのアクセスに 時 間 を 要 すると 推 測 され 市 内 移 動 者 が 多 い 地 区 と 想 定 している (2) 世 帯 の 特 徴 移 動 状 況 を 観 察 するに 先 立 ち 世 帯 の 特 徴 を 概 観 する 図 表 9からもわかるように 世 帯 主 の 平 均 年 齢 が 戸 建 地 区 で 高 く 世 帯 主 が 比 較 的 若 い マンション 地 区 では 15 歳 未 満 の 年 少 人 口 比 率 が 高 い 傾 向 にある とりわけ 吉 井 池 田 地 区 2では 年 少 人 口 比 率 が3 割 を 超 える 一 方 高 齢 化 率 は5%を 下 回 り 最 も 低 い さらに 市 内 ではひとりや 夫 婦 のみなど 世 帯 の 小 規 模 化 が 進 んでいるが 調 査 対 象 と した 比 較 的 新 しい 地 区 では 山 科 台 地 区 を 除 き 4 人 世 帯 の 比 率 が 高 い 傾 向 にある 加 え て 港 が 丘 地 区 と 吉 井 池 田 地 区 1は 夫 婦 と 子 ども から 成 る 世 帯 の 比 率 がそれぞれ 60%を 超 え その 他 の 地 区 でも 半 数 以 上 を 占 めている このほか 戸 建 住 宅 の 地 区 では マンション 地 区 に 比 べ 三 世 代 同 居 比 率 が 高 い 傾 向 を 示 し 山 科 台 地 区 は5%を 上 回 る (3) 移 動 の 特 徴 各 地 区 の 世 帯 移 動 について 整 理 するが あらかじめ 調 査 地 区 全 体 に 関 する 主 だった 点 に ついて 触 れておくと ⅰ) 隣 接 する 横 浜 市 を 転 入 元 とする 世 帯 が 最 も 多 い ⅱ) 移 動 世 帯 の 約 9 割 が 神 奈 川 県 内 の 他 市 町 村 から 流 入 している ことが 共 通 した 特 徴 である( 図 表 9 参 照 ) とくに 本 市 の 中 でも 交 通 利 便 性 の 高 い 東 部 エリアでは 新 たな 開 発 にともない 市 外 からの 転 入 世 帯 が 多 くなる 傾 向 が 顕 著 にみられる 他 方 内 陸 部 になると 市 内 の 他 の エリアからの 移 動 が 大 半 を 占 め 市 外 からの 転 入 世 帯 の 割 合 は 縮 小 している 平 成 19 年 調 査 時 の 世 帯 主 平 均 年 齢 は 40 代 半 ばから 50 代 にかかっており 入 居 が 約 5 ~10 年 前 となる 開 発 当 初 であった 場 合 でも 多 くは 経 済 活 動 を 担 う 働 き 盛 りの 年 齢 層 と 考 36

図 表 9 地 区 別 の 特 徴 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 吉 井 池 田 地 区 1 吉 井 池 田 地 区 2 山 科 台 地 区 所 管 行 政 センター 田 浦 本 庁 浦 賀 大 津 浦 賀 西 住 居 形 態 戸 建 マンション 戸 建 マンション 戸 建 地 区 内 総 人 口 ( 人 ) 1,825 3,554 4,729 2,059 1,976 人 口 構 成 年 少 人 口 比 率 (%) 25.0 25.7 15.2 30.0 15.5 生 産 年 齢 人 口 比 率 (%) 65.6 66.5 62.6 65.3 70.1 老 年 人 口 比 率 (%) 9.4 7.8 7.6 4.8 14.4 世 帯 数 577 1,245 1,422 713 652 1 人 世 帯 (%) 8.8 15.6 8.9 17.4 9.4 2 人 世 帯 (%) 21.3 26.3 18.4 21.0 28.1 世 帯 人 員 3 人 世 帯 (%) 27.7 23.0 20.5 25.0 25.9 4 人 世 帯 (%) 30.8 28.7 38.3 29.5 26.5 5 人 世 帯 以 上 (%) 11.3 6.4 13.9 7.2 10.1 平 成 19 年 調 査 時 世 帯 主 平 均 年 齢 ( 歳 ) 58.0 47.0 47.8 43.7 55.0 転 入 元 比 率 ( 市 内 : 市 外 ) 40:60 59:41 66:34 72:28 58:42 夫 婦 と 子 どもから 成 る 世 帯 比 率 (%) 60.8 54.3 64.7 55.3 51.4 夫 婦 のみ 世 帯 比 率 (%) 18.5 22.1 14.4 16.0 23.8 3 世 代 同 居 世 帯 比 率 (%) 4.7 0.6 3.7 1.4 6.3 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 えられる したがって 既 存 研 究 ( 藤 田 ほか(2004 ) 山 田 (1992) 等 )でも 指 摘 されてい るとおり 本 市 においても 就 業 先 の 多 い 都 心 部 などへのアクセス 交 通 利 便 性 の 問 題 が 定 住 選 択 行 動 に 影 響 を 与 える 一 要 因 となっている 可 能 性 が 推 測 される 具 体 的 に 各 世 帯 の 転 入 元 を1 県 外 都 道 府 県 2 県 内 他 市 3 夫 婦 と 子 どもから 成 る 世 帯 に 着 目 し それぞれの 特 徴 について 整 理 してみる 1 都 道 府 県 総 世 帯 に 占 める 転 入 元 を 県 外 とする 世 帯 の 割 合 は 平 成 町 地 区 が 最 も 高 い 18.7 % 港 が 丘 地 区 で 11.1 %と 市 内 東 部 では 各 地 区 別 世 帯 数 の1 割 を 超 える 他 方 本 市 内 陸 部 の3 地 区 では 10% 未 満 の 水 準 にあり 県 外 からの 転 入 比 率 はそれほど 高 くない( 図 表 10 参 照 ) さらに 詳 細 をみていくと 転 入 比 率 ( 地 域 別 転 入 数 / 県 外 転 入 総 数 100)の 差 異 はあるが いずれの 地 区 においても 東 京 都 千 葉 県 埼 玉 県 からの 移 動 比 率 が 高 くなる 傾 向 にある 10 ここで 注 目 される 点 は 東 京 都 からの 転 入 比 率 が 港 が 丘 地 区 で 48.4 %と 最 も 高 いこと は 予 想 していたが 内 陸 部 の 山 科 台 地 区 でも 35.6 %であったことは 意 外 な 結 果 とも 言 え 良 好 な 住 環 境 が 市 外 転 入 者 を 惹 きつけたと 考 えられる さらに 各 地 区 とも 北 海 道 青 森 県 静 岡 県 等 自 衛 隊 関 連 施 設 のある 道 府 県 の 割 合 が 多 く 県 外 移 動 にはその 関 係 者 の 動 向 が 少 なからず 影 響 していると 推 測 される 10 首 都 圏 とは 関 東 地 方 1 都 6 県 ( 東 京 都 神 奈 川 県 千 葉 県 埼 玉 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 )と 山 梨 県 を 指 す 37

2 県 内 他 市 次 に 県 内 他 市 を 転 入 元 と する 世 帯 については いずれ の 地 区 も 上 位 2 番 目 までに 横 浜 市 川 崎 市 三 浦 市 の3 市 が 顔 を 揃 える( 図 表 11 参 照 ) 横 浜 市 は 港 が 丘 地 区 ( 76.6 % ) 平 成 町 地 区 (77.5 %)で7 割 を 超 え 残 りの3 地 区 でも 60% 以 上 と 県 内 他 市 町 の 大 半 を 占 めてい る なかでも 本 市 と 隣 接 す る 金 沢 区 からの 割 合 が 極 めて 高 い 他 方 秦 野 市 や 南 足 柄 市 小 田 原 市 などの 県 内 西 部 地 域 からは ほとんど 観 察 されな い 先 に 述 べたとおり 県 内 移 動 では 新 たな 定 住 地 が 通 勤 可 能 圏 であるか 否 かが 選 定 に 強 く 影 響 を 与 えているものと 考 えられる さらに 内 陸 部 の3 地 区 ( 吉 井 池 田 地 区 1 吉 井 池 田 地 区 2 山 科 台 地 区 )と 東 部 2 地 区 ( 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 )とでは 2 番 目 の 転 入 元 が 異 なる 内 陸 部 では 三 浦 市 からの 転 入 が 多 く 下 ( 南 )からの 流 れが 描 かれた 一 方 東 部 は 川 崎 市 が 横 浜 市 に 次 ぎ 高 い 比 率 となり 上 ( 北 )からの 流 れとなった 図 表 10 地 区 別 転 入 元 比 率 他 都 道 府 県 (%) 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 吉 井 池 田 地 区 1 吉 井 池 田 地 区 2 山 科 台 地 区 県 外 比 率 11.09 県 外 比 率 18.71 県 外 比 率 8.37 県 外 比 率 5.05 県 外 比 率 6.90 東 京 都 48.44 東 京 都 21.89 東 京 都 29.41 東 京 都 27.78 東 京 都 35.56 千 葉 県 14.06 千 葉 県 9.01 千 葉 県 10.08 北 海 道 11.11 千 葉 県 15.56 埼 玉 県 6.25 埼 玉 県 8.58 埼 玉 県 9.24 兵 庫 県 11.11 静 岡 県 11.11 青 森 県 3.13 北 海 道 1.72 広 島 県 5.04 埼 玉 県 5.56 埼 玉 県 4.44 静 岡 県 3.13 福 島 県 1.29 長 崎 県 4.20 大 阪 府 5.56 兵 庫 県 4.44 滋 賀 県 3.13 京 都 府 1.29 北 海 道 3.36 広 島 県 5.56 青 森 県 2.22 京 都 府 3.13 栃 木 県 0.86 静 岡 県 3.36 長 崎 県 5.56 秋 田 県 2.22 北 海 道 1.56 新 潟 県 0.86 愛 知 県 3.36 青 森 県 2.78 栃 木 県 2.22 茨 城 県 1.56 静 岡 県 0.86 大 阪 府 3.36 岩 手 県 2.78 長 野 県 2.22 栃 木 県 1.56 兵 庫 県 0.86 茨 城 県 2.52 宮 城 県 2.78 京 都 府 2.22 図 表 11 地 区 別 転 入 元 転 入 比 率 神 奈 川 県 内 他 市 (%) 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 吉 井 池 田 地 区 1 吉 井 池 田 地 区 2 山 科 台 地 区 県 内 他 市 比 率 48.87 県 内 他 市 比 率 27.87 県 内 他 市 比 率 25.74 県 内 他 市 比 率 23.42 県 内 他 市 比 率 35.43 横 浜 市 76.60 横 浜 市 77.52 横 浜 市 67.21 横 浜 市 61.68 横 浜 市 63.64 川 崎 市 7.45 川 崎 市 7.20 川 崎 市 7.38 三 浦 市 20.36 三 浦 市 9.52 逗 子 市 4.96 三 浦 市 3.46 三 浦 市 8.20 鎌 倉 市 3.59 川 崎 市 6.06 藤 沢 市 2.48 逗 子 市 2.59 逗 子 市 3.01 逗 子 市 2.99 鎌 倉 市 4.33 三 浦 市 1.77 鎌 倉 市 1.73 鎌 倉 市 2.46 川 崎 市 2.40 藤 沢 市 3.46 出 所 : 図 表 10 11 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 全 調 査 地 区 で 京 浜 急 行 線 やJR 横 須 賀 線 の 鉄 道 沿 線 もしくは 横 浜 横 須 賀 道 路 沿 線 上 にある 地 域 からの 転 入 が それ 以 外 の 地 域 に 比 べ 多 い 傾 向 にある 定 住 地 の 選 択 が 鉄 道 沿 線 と 関 連 していることは 先 行 研 究 で 知 られているが 本 分 析 でも 本 市 にアクセスが 容 易 なエリアからの 移 動 が 一 つのラインとして 浮 び 上 がってくることがわかる 3 夫 婦 と 子 どもから 成 る 世 帯 最 後 に 世 帯 構 成 別 比 率 でその 割 合 が 最 も 高 い 夫 婦 と 子 どもから 成 る 世 帯 の 移 動 に ついてみる 図 表 12に 示 すとおり 港 が 丘 地 区 を 除 き 市 内 移 動 比 率 が 高 く 吉 井 池 田 地 区 2では 70%を 超 える 38

子 どもの 平 均 年 齢 をみると 山 科 台 地 区 以 外 では 11 歳 前 後 とな っている 現 在 最 も 平 均 年 齢 が 高 い 山 科 台 地 区 で 開 発 完 了 時 まで 遡 ると 約 10 年 前 となることから 入 居 当 時 は 小 学 校 入 学 前 後 であっ 図 表 12 夫 婦 と 子 どもから 成 る 世 帯 港 が 丘 地 区 平 成 町 地 区 吉 井 池 田 地 区 1 吉 井 池 田 地 区 2 山 科 台 地 区 子 どもの 平 均 年 齢 12.6 11.1 11.5 10.0 18.5 15 歳 以 下 比 率 (%) 66.9 75.7 74.9 83.0 44.8 横 須 賀 市 内 (%) 41.9 47.0 66.4 72.8 56.1 転 入 元 県 内 他 市 (%) 50.1 29.1 26.5 23.9 36.7 県 外 (%) 8.0 23.8 7.1 3.3 7.2 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 たと 考 えられる その 点 に 鑑 みれば 社 会 的 事 由 による 場 合 を 除 き 移 動 時 には 子 どもの 就 学 条 件 も 考 慮 されていると 考 えられ 定 住 地 選 択 行 動 では 通 勤 地 と 並 んで 世 帯 構 成 も 影 響 すると 推 測 される Ⅳ おわりに- 人 口 減 少 と 人 口 争 奪 戦 人 が 住 居 を 移 すにあたり 発 地 と 着 地 が 遠 距 離 に 位 置 している 場 合 には 転 勤 移 動 や 親 元 への 帰 郷 といった 個 人 的 状 況 が 強 く 影 響 しているケースが 多 く 着 地 点 に 選 択 の 余 地 は 乏 しいと 考 えられる 他 方 それが 近 隣 である 場 合 には 住 民 の 定 住 選 択 行 動 において 隣 接 する 都 市 間 での 選 好 に 基 づき どこに 居 を 構 えるかの 選 択 が 行 われている 可 能 性 があ またが り そこで 争 奪 競 争 が 生 じるものと 推 測 される 前 節 でも 述 べてきたとおり 都 道 府 県 を 跨 る 移 動 を 除 けば 本 市 を 選 択 する 人 々の 多 くは 転 入 元 を 横 浜 市 の 南 部 地 域 や 三 浦 市 川 崎 市 とし 本 市 からの 転 出 先 も 同 じ 地 域 が 大 半 を 占 めている つまり それらの 近 隣 都 市 が 本 市 の 競 争 相 手 であり そこに 勝 ることが 住 民 争 奪 競 争 を 制 することをも 意 味 する 本 稿 での 分 析 結 果 からも 明 らかなように 移 動 時 の 年 齢 が 労 働 力 人 口 の 中 心 期 にある ことに 鑑 みれば 都 心 への 利 便 性 の 良 い 横 浜 市 や 川 崎 市 鉄 道 網 が 複 数 乗 り 入 れている 藤 沢 市 などに 比 して 本 市 の 移 動 コストは 極 めて 高 い 最 近 では 駅 直 結 マンションが 人 気 を 博 しているが 多 くの 人 々は 玄 関 から 駅 までに 数 分 から 数 十 分 さらに 交 通 機 関 利 用 時 間 と 到 着 駅 より 目 的 地 までの 時 間 を 要 し それらの 合 計 所 要 時 間 が 移 動 コストとなる つまり 路 線 検 索 情 報 からはじき 出 される 横 須 賀 中 央 駅 から 東 京 駅 までの1 時 間 10 分 では 目 的 地 まで 辿 りつくことはできないのである 11 したがって その 他 の 条 件 が 等 しいと 仮 定 した 場 合 この 移 動 時 間 が 短 縮 されることがないならば ライバル 市 に 比 べ 本 市 を 選 択 した 際 に 住 民 が 失 う 利 益 は 大 きいことになる ここで 改 めて 言 うまでもないが 一 自 治 体 の 政 策 で 移 動 コストの 削 減 は 不 可 能 であり 移 動 面 からではなく それを 補 う 何 かを 提 供 することを 視 野 に 入 れておかなければならな い 先 に 記 した 社 会 要 因 に 関 わる 人 口 争 奪 競 争 は 一 朝 一 夕 に 制 することができる 問 題 では 11 菅 野 (2008 )によれば 東 京 都 心 までの 70 分 を 境 に 人 口 集 積 の 命 運 が 分 かれ 衰 退 地 域 では 単 なるベ ッドタウン 化 だけでなく 移 動 コストを 超 える 取 り 組 みが 不 可 欠 と 指 摘 する 39

なく 長 期 的 戦 略 が 必 要 となる そうした 観 点 に 立 った 時 本 市 にはどんな 選 択 肢 があり その 裏 側 にどのような 利 益 と 不 利 益 があるのか 本 稿 の 最 後 に 議 論 する (1) 将 来 への 選 択 肢 分 析 結 果 を 踏 まえ 将 来 を 見 据 えた 時 現 在 の 状 況 を 甘 受 するのか それとも 何 らかの 人 口 誘 導 政 策 を 実 施 して 減 少 のスピードを 緩 和 するのか われわれはいずれかの 方 向 性 を 選 択 しなければならない ここでは 政 策 対 象 を 絞 り 考 えられる 選 択 肢 を 次 のように 設 定 してみたい 選 択 肢 A: 現 在 の 状 況 を 甘 受 し 人 口 誘 導 政 策 は 実 施 しない 選 択 肢 B: 若 年 層 誘 致 政 策 を 実 施 する 選 択 肢 C: 団 塊 世 代 富 裕 層 誘 致 政 策 を 実 施 する もちろん これらに 限 定 されるものではないが ここでは 人 口 減 少 と 定 住 を 念 頭 に 選 択 肢 AからCについて 検 討 してみたい 1 選 択 肢 A: 現 在 の 状 況 を 甘 受 し 人 口 誘 導 政 策 は 実 施 しない この 選 択 肢 は 効 果 が 不 透 明 な 人 口 誘 導 政 策 への 多 額 の 資 金 投 入 を 回 避 でき 現 住 民 の 満 足 度 向 上 に 財 源 を 振 り 向 け 市 内 環 境 の 一 層 の 充 実 を 図 ることができるという 利 点 があ る 本 市 の 厳 しい 財 政 状 況 を 考 えれば これは 一 つの 道 となるのかもしれない しかし 同 時 に 高 齢 化 の 一 層 の 進 行 にともなう 死 亡 数 の 増 加 と 転 出 超 過 から 急 激 な 縮 小 と 衰 退 が 待 っていることも 否 定 し 難 い 中 長 期 的 には 限 界 集 落 化 した 地 域 を 維 持 す るためのコストの 増 大 が 想 定 され 都 市 の 効 率 的 な 縮 小 方 法 が 大 きな 問 題 となるであろう 将 来 推 計 人 口 は 本 選 択 肢 と 同 様 社 会 環 境 の 現 状 維 持 を 前 提 としている 人 口 予 測 を 目 的 とするこの 値 は 規 模 を 論 点 としており 将 来 の 減 少 のみを 明 示 する ところが より 具 体 的 な 政 策 立 案 とその 実 施 を 担 う 行 政 当 局 は この 裏 側 に 単 なる 減 少 だけでなく 高 齢 者 比 率 の 上 昇 による 社 会 保 障 費 の 増 大 個 人 市 民 税 の 減 収 といった 財 政 基 盤 を 直 撃 する 不 利 益 が 潜 んでいることに 加 え 都 市 の 縮 小 の 過 程 では コミュニティーの 衰 退 消 滅 と いった 問 題 も 考 えておかなければならないことを 認 識 しておく 必 要 がある 2 選 択 肢 B: 若 年 層 誘 致 政 策 を 実 施 する 前 述 のとおり 本 市 では 働 き 盛 り 世 代 が 求 める 交 通 利 便 性 の 確 保 が 難 しく この 点 は 大 きな 弱 点 である このことを 認 識 した 上 で ライバル 自 治 体 の 魅 力 を 上 回 る 若 年 層 誘 導 政 策 の 実 施 には 多 額 の 財 源 を 注 ぎ 込 まなければならないという 問 題 が 浮 上 してくるであろ う 例 えば 現 在 多 くの 自 治 体 で 実 施 されている 子 育 て 家 庭 支 援 策 に 出 産 費 助 成 や 小 児 医 40

療 費 の 助 成 があるが ライバルと 同 じ 土 俵 で 競 い 合 う 場 面 では そうした 内 容 の 充 実 も 求 められることになるかもしれない 本 市 の 立 地 条 件 から 生 じる 住 民 のコストを 超 えるだけ の 公 共 サービスの 充 実 は 小 児 医 療 費 の 助 成 問 題 一 つをとっても 明 らかなように 逼 迫 す る 財 政 のもとで 決 して 容 易 な 戦 いではない しかし 他 方 で 5 年 後 には 団 塊 世 代 が 高 齢 期 に 突 入 しており 人 口 構 成 が 一 段 と 高 齢 側 に 傾 斜 し 都 市 が 縮 小 へと 向 かう 現 実 はすでに 目 前 である 本 市 に 限 らず 当 面 はどん な 少 子 化 対 策 をもってしても これを 回 避 することはできない そのため 行 政 のみなら ず 市 民 企 業 が 一 体 となって 実 施 する 全 市 的 な 若 年 層 誘 致 政 策 が 人 口 構 成 のアンバラ ンスとその 減 少 を 幾 分 でも 緩 やかなものとする 一 つの 手 段 であることは 間 違 いなく それ をどこの 自 治 体 が 制 するのかが 勝 負 の 分 かれ 目 とみられる さらに もう 一 歩 踏 み 込 んで みれば そうした 政 策 が 30~50 年 後 を 見 据 えた 時 年 齢 構 成 の 不 均 衡 の 解 消 とともに 活 力 ある 新 たな 発 展 として 実 を 結 んでくれるとも 考 えられ 将 来 に 大 きな 利 益 が 期 待 される 3 選 択 肢 C: 団 塊 世 代 富 裕 層 誘 致 政 策 を 実 施 する 最 後 の 選 択 肢 は 団 塊 世 代 富 裕 層 の 誘 致 政 策 である 本 市 が 誇 る 豊 かな 自 然 と 温 暖 な 気 候 をセールスポイントに 引 退 後 の 暮 らしを 楽 しむ 人 々を 呼 び 込 むことが 急 激 な 人 口 減 少 の 緩 和 剤 となる 利 点 は 大 きい 加 えて 経 験 ある 世 代 の 新 規 流 入 は 地 域 の 刺 激 となり その 活 動 が 周 辺 地 域 のマーケットにもプラスの 活 力 を 生 み 出 すことが 期 待 できるであろう 実 際 そうしたシニア 世 代 の 獲 得 をねらいとして 古 民 家 情 報 の 提 供 や 田 舎 暮 らし 体 験 ツ アーの 実 施 再 就 職 先 の 斡 旋 など 都 会 からの 還 流 促 進 に 力 を 入 れている 自 治 体 も 多 い ただ この 誘 致 政 策 では 留 意 しておかなければならない 点 がある 当 然 のことながら 地 域 の 原 動 力 として 迎 える 彼 らも 15~20 年 の 間 には 必 ず 後 期 高 齢 者 になる つまり こ れは 膨 大 な 医 療 費 や 介 護 費 を 必 要 とする 世 代 になることを 意 味 しており そうなった 時 では 別 の 都 市 に 行 ってください というわけにはいかない したがって 一 時 的 に 人 口 減 少 のスピードを 緩 めることは 可 能 であるが いずれ 現 在 の 状 況 以 上 に 人 口 構 成 の 不 均 衡 が 悪 化 するリスクも 抱 えることは 認 識 しておかなければならないであろう (2) 未 来 の 横 須 賀 市 に 向 けて わが 国 が 人 口 減 少 から 逃 れる 術 はいまやほぼないに 等 しい 仮 に 移 民 政 策 を 解 禁 しても 国 連 が 発 表 した 補 充 移 民 数 の 試 算 では 非 現 実 的 な 規 模 の 移 民 数 が 必 要 とされており 減 少 の 緩 和 は 可 能 でも 増 加 を 望 むことはできない そうした 動 向 を 正 確 に 認 識 した 上 で 本 市 が 一 定 の 持 続 可 能 性 安 定 性 を 確 保 していくためには 人 口 ピラミッドの 逆 三 角 形 を 長 期 戦 略 で 幾 らかなりとも 解 消 の 方 向 に 導 いていくことが 重 要 であろう 41

例 えば 長 野 県 下 條 村 では 平 成 2 年 から 17 年 にかけて 人 口 が 増 加 し 平 成 16 年 の 出 生 率 は 2.1を 超 えている この 背 景 には 行 政 改 革 と 長 期 戦 略 の 二 つの 要 因 が 大 きく 影 響 しているとの 指 摘 がある まず 慣 例 主 義 の 行 政 と 依 存 体 質 の 村 民 に 村 長 自 らが 意 識 改 善 を 促 し 職 員 削 減 や 住 民 による 公 共 サービスの 提 供 を 進 めることで 財 政 健 全 化 を 図 っ た さらに そうした 歳 出 削 減 努 力 によって 生 み 出 された 財 源 を 若 年 層 向 け 住 宅 の 供 給 や 子 どもの 医 療 費 無 料 化 ( 中 学 生 まで) 教 育 福 祉 など 定 住 促 進 に 関 連 する 事 業 に 当 て 村 をあげての 取 り 組 みが 功 を 奏 している もちろん 5,000 人 の 山 間 の 村 と 本 市 を 比 較 して 議 論 することはできないが ここで 注 目 したいのは この 村 の 若 年 層 定 住 政 策 が 15 年 もの 歳 月 をかけて 取 り 組 まれてきたという 点 である どの 政 策 が 真 に 若 年 層 吸 収 に 効 果 を 有 するのかは 現 段 階 で 未 知 数 な 部 分 が 多 いが 一 連 の 政 策 が 一 朝 一 夕 にできることでないことは 間 違 いない 下 條 村 がここにきて ようやく 結 実 しているプロセスから われわれが 次 期 計 画 の 策 定 に 向 けて 学 ぶべきところ も 多 いのではないだろうか とかく 行 政 組 織 は 明 日 のため を 考 え その 効 果 に 捕 らわ れるところがあるが 人 口 のような 課 題 には 大 局 的 な 見 地 からこれを 捉 え 現 在 の 政 策 と 未 来 が 表 裏 一 体 であることを 念 頭 に 数 十 年 後 の 横 須 賀 のため 行 政 も 住 民 も 互 い に 積 極 的 に 取 り 組 むことが 自 らの 発 展 を 手 に 入 れる 術 なのかもしれないのである 参 考 文 献 : 荒 井 良 雄 川 口 太 郎 井 上 孝 編 (2002 ) 日 本 の 人 口 移 動 -ライフコースと 地 域 性 古 今 書 院 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 (1996 ) 第 4 回 人 口 移 動 調 査 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 (2001 ) 第 5 回 人 口 移 動 調 査 駒 井 正 晶 (2005 ) 少 子 化 と 人 口 減 少 : 地 方 自 治 体 の 視 点 政 策 研 究 よこすか 都 市 政 策 研 究 所 菅 野 由 一 (2008 ) 都 市 圏 の 盛 衰 2005 年 国 勢 調 査 にみる ローカル 日 経 産 業 地 域 研 究 所 No.94 ブロック 編 4 南 関 東 日 経 グ 豊 田 奈 穂 (2006 ) 横 須 賀 市 の 人 口 減 少 要 因 政 策 研 究 よこすか 都 市 政 策 研 究 所 藤 田 和 史 新 藤 多 恵 子 上 江 洲 朝 彦 中 村 光 貴 仁 平 尊 明 安 在 鶴 (2004 ) 古 河 市 におけ る 住 民 の 居 住 地 移 動 と 通 勤 の 地 域 特 徴 地 域 調 査 報 告 筑 波 大 学 地 球 科 学 系 人 文 地 理 学 研 究 グループ 山 田 浩 久 (1992 ) 東 京 大 都 市 圏 周 辺 地 域 における 居 住 地 移 動 の 特 性 - 千 葉 市 を 事 例 として - 地 理 学 評 論 日 本 地 理 学 会 United Nations Population (2000 ) Replacement Division Migration 42

第 2 章 新 時 代 の 行 政 1. 市 民 要 望 の 反 映 2. 行 政 評 価 の 再 構 築 ~ 重 点 施 策 評 価 と 事 務 事 業 等 の 総 点 検 ~

1. 市 民 要 望 の 反 映 浅 野 昌 彦 Ⅰ はじめに 本 研 究 の 目 標 は コールセンター ボイスバンクに 実 際 に 寄 せられた 市 民 の 声 を 分 析 し 今 後 の 改 革 に 反 映 させる 可 能 性 を 探 ることである しかし このためには 具 体 的 に 要 望 を 抽 出 するための 分 析 方 法 がなくてはならない つまり 本 研 究 では まずその 方 法 の 開 発 とそれによる 具 体 的 な 分 析 結 果 の 二 つを 明 らかにすることを 目 的 としている 自 治 体 が 設 置 するコールセンターでは そこに 寄 せられる 市 民 の 声 を 分 析 する 方 法 は 未 だに 確 立 されていない コールセンターを 抱 える 自 治 体 では 市 民 の 意 見 を 政 策 へ 反 映 させることを 目 的 として 掲 げているが 成 功 しているとは 言 い 難 い 状 況 である しかし 蓄 積 された 貴 重 な 市 民 からの 声 は 宝 の 山 と 思 われ 市 役 所 にとって 何 らかの 有 用 な 情 報 を 入 手 できる 可 能 性 がある そこから 政 策 策 定 への 何 らかのヒントを 見 出 すことができ れば 自 治 体 にとっては 大 きな 財 産 となることだろう Ⅱ コールセンター ボイスバンク 概 要 (1)コールセンター 本 市 のコールセンターは 平 成 17 年 9 月 からサービスを 開 始 した 当 初 から 4500 4000 図 表 1 コールセンター 着 信 数 推 移 べんり 市 役 所 推 進 計 画 では コール 3500 センターにより 市 民 意 見 を 蓄 積 し そ のデータベースを 構 築 することが 謳 われ 3000 2500 2000 ている 現 在 7 時 ~23 時 まで 年 中 無 休 1500 でサービスに 対 する 問 合 わせ 講 座 の 申 込 み 地 域 情 報 の 問 合 わせ 等 にオペレー ターが 対 応 している 今 回 分 析 対 象 とした 平 成 18 年 度 の 総 着 信 数 ( 間 違 い 電 話 等 も 含 む)は 34,565 1000 500 0 平 成 18 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 平 成 19 年 1 月 2 月 3 月 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 件 となっており 月 別 の 着 信 数 の 推 移 は 図 表 1のようになっている 季 節 による 多 少 の 繁 閑 の 差 は 見 られるが 後 に 見 るように 問 合 わせが 多 いイベント 開 催 の 有 無 によるもの と 考 えられる 全 体 的 にみると ほぼ 年 間 を 通 じて 一 ヶ 月 あたり 2,500 件 以 上 が 着 信 して いることがわかる 市 民 が 気 軽 に 問 合 わせができる 媒 体 として 利 用 されている また 全 国 の 自 治 体 でも 政 令 市 中 核 市 を 中 心 にコールセンター 設 置 の 動 きが 広 がって おり 入 電 数 を 公 表 している 他 自 治 体 と 本 市 の 利 用 者 数 を 比 較 したのが 図 表 2である 人 口 あたりで 見 ると 本 市 のコールセンターの 利 用 者 の 多 さがわかる 43

図 表 2 他 自 治 体 コールセンターとの 比 較 都 市 \ 年 度 平 成 13 年 平 成 14 年 平 成 15 年 平 成 16 年 平 成 17 年 平 成 18 年 平 成 19 年 H17 国 調 人 口 横 須 賀 市 10,838 34,585 426,178 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.0250.081 札 幌 市 28,70985,056 93,460 96,556 1,880,863 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.0150.0450.0500.051 横 浜 市 125,690 125,002 3,579,628 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.0350.035 川 崎 市 12,921 1,327,011 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.010 大 阪 市 4,92018,179 2,628,811 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.0020.007 浜 松 市 106,000 582,095 人 人 口 一 人 当 たり 件 数 0.18 単 位 ( 件 ) 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 (2)ボイスバンク 本 市 では 手 紙 電 話 メール まちづくり 出 前 トーク 等 から 寄 せられた 市 民 の 声 をボ イスバンクというシステムに 蓄 積 している 現 在 平 成 17 年 以 降 の 意 見 がウェブを 介 して 閲 覧 可 能 となっており 平 成 19 年 12 月 時 点 で 1,462 件 の 意 見 が 公 開 されている ボイ スバンクでは 意 見 に 対 して 関 連 部 署 からの 回 答 対 応 状 況 が 付 された 後 公 開 されること となっている さらに 一 度 公 開 された 意 見 回 答 に 対 して 市 民 や 職 員 がコメントを 追 加 していくことも 可 能 であり 一 種 の 討 論 意 見 交 換 の 場 としても 機 能 している Ⅲ 経 過 方 法 コールセンター ボイスバンクへの 意 見 の 数 は 膨 大 であり 特 にコールセンターの 意 見 については 年 間 で3 万 件 以 上 に 及 ぶため そ の 全 てを 分 析 することは 時 間 的 作 業 的 に 非 常 に 難 しい そのため コールセンターにつ いては 今 回 平 成 18 年 度 のうち 平 成 18 年 5 月 8 月 11 月 平 成 19 年 2 月 の4ヶ 月 分 のデータを 対 象 としている 次 にこれらの 意 見 を 分 析 するにあたり い 図 表 3 市 民 の 声 の 分 類 の 経 過 政 策 のヒント 意 見 苦 情 コールセンター 医 療 通 報 or or ボイスバンク イベント 申 込 単 純 な 問 合 せ 依 頼 住 民 票 3 政 策 に 役 立 つか 否 か 2 問 合 せの 性 質 による 分 類 1 政 策 分 野 による 分 類 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 くつかの 観 点 から 分 類 を 行 った( 図 表 3) まず どういう 政 策 に 関 する 意 見 であるのかに ついて 政 策 分 野 コード( 図 表 4)の 付 与 による 整 理 分 類 を 行 った ただし 掲 載 した 図 表 には 紙 面 の 都 合 により 大 中 項 目 のうちの 一 部 のみを 記 載 している 実 際 には さら に 細 分 化 した 小 項 目 を 設 け 分 析 も 小 項 目 単 位 で 行 い その 数 は 301 項 目 に 及 んだ 続 い て 問 合 わせの 性 質 により 単 純 な 問 合 わせか 何 らかの 提 言 意 見 を 含 むものなのか を 明 らかにするために 問 合 わせコード( 図 表 5)を 用 いて 分 類 を 行 なった この 際 コールセンターとボイスバンクに 寄 せられる 声 に 違 いがあることが 確 認 さ れた まず コールセンターでは 情 報 の 欠 如 に 起 因 する イベントの 有 無 市 役 所 の 開 庁 時 間 等 の 単 なる 問 合 わせ が 多 く 含 まれる 一 方 で ボイスバンクでは 市 の 事 業 政 44

図 表 4 大 項 目 政 策 分 野 コード 表 中 項 目 1 社 会 保 障 1 社 会 福 祉 2 医 療 機 関 A 3 医 療 機 関 B 4 医 療 全 般 5 公 的 扶 助 6 年 金 保 険 2 行 政 サービス 1 手 続 き 届 出 2 納 税 その 他 手 続 3 市 政 3 公 共 施 設 1 一 般 2 教 育 施 設 3 福 祉 施 設 4 市 役 所 5 その 他 4 市 民 生 活 1 交 通 2 ライフライン 3 住 環 境 4 民 間 労 働 5 安 全 安 心 6 市 民 相 談 7 教 育 8 その 他 5 観 光 1 観 光 全 般 2 イベント( 市 主 催 ) 3 イベント( 市 主 催 以 外 ) 6 その 他 1 分 類 不 能 2 その 他 3 一 般 常 識 図 表 5 問 合 わせコード 表 大 項 目 中 項 目 定 義 1 即 時 処 理 01 問 合 せ 不 知 の 事 柄 の 確 認 02 手 続 き 各 種 行 政 手 続 の 教 示 03 対 処 対 応 方 法 の 教 示 04 申 込 各 種 イベントへの 申 込 05 作 業 依 頼 行 政 既 存 の 作 業 依 頼 06 転 送 担 当 部 署 関 連 機 関 への 転 送 依 頼 07 相 談 個 人 的 事 柄 の 相 談 08 苦 情 個 人 的 事 柄 の 苦 情 不 満 通 報 09 要 望 個 人 的 事 柄 の 要 望 10 事 務 連 絡 担 当 課 からコールセンターへの 事 務 連 絡 11 不 能 通 話 不 能 間 違 い 電 話 12 感 謝 市 への 感 謝 13その 他 情 報 検 索 の 手 段 等 2 政 策 課 題 01 相 談 行 政 施 策 への 相 談 02 苦 情 行 政 施 策 への 苦 情 不 満 通 報 03 要 望 行 政 施 策 への 要 望 04 意 見 行 政 施 策 への 意 見 05 提 案 行 政 施 策 への 提 案 出 所 : 図 表 4 5 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 策 に 関 する 意 見 苦 情 比 較 的 建 設 的 な 意 見 が 多 くを 占 めていた 最 後 に 政 策 策 定 改 善 に 役 立 つ 意 見 であるかを 基 準 として 単 なる 問 合 わせ と 政 策 のヒント の 二 つに 最 終 的 に 分 類 した 本 研 究 で 当 初 意 図 していたのは 後 者 の 政 策 策 定 に 活 用 できるような 意 見 の 収 集 であったが 図 表 6で 示 しているように 単 なる 問 合 わ せ が 10,705 件 と 圧 倒 的 に 多 いのに 対 して 政 策 のヒントは 935 件 と 非 常 に 少 なかった ただ 数 の 多 さからも 前 者 について 分 析 を 行 う 意 義 があると 考 えられ 分 析 を 行 った 前 者 の 分 析 で 期 待 される 成 果 は 市 民 に 必 要 な 情 報 が 明 らかになることである 単 なる 問 合 わせ とは 市 民 が 何 かの 情 報 を 欠 いていることが 原 因 となっている そう であれば 広 報 によって 効 果 的 効 率 的 に 市 民 が 必 要 としている 情 報 を 周 知 すること が 必 要 であり そのためには まずどの 情 報 を 市 民 が 必 要 としているかを 知 る 必 要 が あるだろう この 単 なる 問 合 わせ の 分 析 では この 点 を 明 らかにすることができ ると 考 えられ これを 企 業 の 顧 客 分 析 等 で も 用 いられるテキストマイニングという 手 法 によって 分 析 をした 図 表 6 市 民 の 意 見 の 性 質 例 公 園 がほしい 道 路 を 補 修 してほしい 既 存 事 業 の 見 直 し 新 規 事 業 のヒント 政 策 のヒント(935 件 ) 単 なる 問 合 せ(10,705 件 ) 例 市 役 所 何 時 から? 住 民 票 の 手 続 きは? 広 報 周 知 の 改 善 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 45

後 者 の 政 策 のヒント となりうる 意 見 については 新 規 の 政 策 立 案 既 存 の 政 策 評 価 をするための 市 民 の 声 を 析 出 するための 分 析 を 行 った しかし この 場 合 テキストマイ ニング 手 法 を 用 いた 場 合 には 対 象 数 が 少 なく 分 析 の 正 当 性 に 問 題 があるようにも 思 われ る そこで ここでは 寄 せられた 意 見 を 概 観 し 市 民 の 声 を 政 策 策 定 改 善 に 利 用 できる ように 分 かりやすく 取 りまとめた ところで 上 記 の 手 法 は 問 合 わせの 内 容 に 着 目 した 分 析 だったが これとは 違 う 側 面 からコールセンターのデータを 活 用 した 分 析 が 可 能 である コールセンターでは 入 電 の 曜 日 時 間 入 電 した 市 民 の 年 齢 性 別 を 大 まかな 推 測 によって ではあるが 記 録 して いる これら 問 合 わせの 内 容 ではなく 外 形 的 な 態 様 に 関 するデータを 利 用 するこ とで どのような 市 民 が どのような 情 報 を 欲 しているのかを 明 らかにすることができる この 結 果 は 今 後 の 効 率 的 な 広 報 周 知 のあり 方 を 考 える 上 で 大 きなヒントとして 活 用 できる 可 能 性 を 秘 めている さらに 問 合 わせに 対 するコールセンターの 対 応 の 様 子 例 えばFAQ(Frequently Answered 頻 出 問 合 わせへの Question( 回 答 集 ))を 参 照 したか 担 当 課 へと 転 送 したかといったことも 記 録 から 読 み 取 ることができる これは コールセン ターでの 対 応 のあり 方 機 能 の 充 実 についてのヒントとなるだろう この 態 様 に 関 す る 分 析 を 問 合 わせ 概 況 分 析 として 行 なった 以 上 の 三 つの 分 析 手 法 に 関 して 期 待 される 結 果 をまとめると 図 表 7になる 図 表 7 分 析 手 法 と 期 待 される 成 果 が 手 法 が 期 待 される 成 果 入 電 分 類 問 合 わせ 概 況 分 析 完 了 率 FAQ 使 用 率 性 別 時 間 帯 等 を 用 いて 概 況 を 分 析 する 政 策 の ヒ ン ト 単 な る 問 合 わ せ 政 策 立 案 評 価 に 活 用 する 政 策 のヒント 分 析 意 見 をレビューし 文 章 化 してまとめ 単 なる 問 合 わせ 分 析 テキストマイニングにより 頻 出 単 語 を 抽 出 広 報 周 知 に 活 用 する CCの 対 応 や 周 知 方 法 の 改 善 に 反 映 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 46

以 下 では 各 手 法 による 分 析 結 果 について 問 合 わせの 多 かった 政 策 領 域 を 対 象 として 結 果 を 示 す Ⅳ 各 手 法 による 分 析 結 果 (1) 単 なる 問 合 わせ 分 析 結 果 分 析 方 法 ここでは 問 合 わせの 内 容 ごとに どのような 情 報 が 市 民 に 必 要 とされているかについ ての 分 析 を 試 みた ここでは 手 法 としてテキストマイニングにより 以 下 のような 分 析 を 行 った 図 表 8 テキストマイニングの 工 程 問 合 わせ 単 語 に 分 解 単 語 単 語 単 語 単 語 組 合 せパターンの 分 析 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 単 語 登 場 回 数 のカウントによるキーワードの 抽 出 問 合 わせの 文 言 に 含 まれる 単 語 を 奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 情 報 科 学 研 究 科 自 然 言 語 処 理 学 講 座 松 本 裕 治 研 究 室 が 開 発 しウェブ 上 で 無 料 公 開 配 布 されている 形 態 素 解 析 シ ステム 茶 筌 (ちゃせん) を 用 いて 問 合 わせのテキストデータを 分 解 し 頻 出 単 語 の 分 析 を 行 い 政 策 形 成 のヒントとなるキーワードをピックアップした 単 語 の 組 み 合 わせ 問 合 わせの 中 で 登 場 する 単 語 の 組 み 合 わせを 分 析 した より 正 確 に 問 合 わせの 背 景 文 脈 を 明 らかにする 手 がかりを 得 た 概 念 化 したレベルでの 組 み 合 わせ 上 記 の 単 語 同 士 の 組 み 合 わせ 分 析 では 政 策 分 野 によっては 単 語 の 数 が 膨 大 になるこ とがあり 煩 雑 で 把 握 しにくいという 分 析 上 の 問 題 がある そこで 共 通 する 意 味 を 持 つ 各 単 語 を さらに 高 次 のキーワードによりグループ 化 ( 概 念 化 )し その 組 み 合 わせを 分 析 した 例 えば 横 須 賀 衣 笠 は 場 所 という 言 葉 に 病 院 診 療 所 は 医 療 機 関 という 言 葉 で 括 ることができる 47

要 周 知 項 目 最 後 に 以 上 の 分 析 を 踏 まえた 上 で 市 民 に 周 知 すべきと 考 えられる 情 報 についてまと めた なお 手 法 1では 分 析 対 象 として 単 純 な 問 合 わせに 分 類 したもののうち 問 合 わせの 多 かった 上 位 五 つの 政 策 分 野 内 科 医 療 ゴミ リサイクル 国 民 健 康 保 険 住 民 票 動 物 について 分 析 の 対 象 としている 1 内 科 医 療 (n=511 ) 単 語 登 場 回 数 内 科 の 項 目 中 ではあるが 救 急 が 511コール 中 で 73 回 (14. 3%)と 多 く コールセンタ ーが 急 病 患 者 からの 問 合 わせが 多 い また 具 体 的 な 疾 病 を 示 す 単 語 としては 熱 お 腹 風 邪 が 見 られた 単 語 の 組 み 合 わせ 病 院 という 単 語 を 含 む 組 み 合 わせが 多 い 特 に 救 急 当 番 住 所 との 組 み 合 わせが 多 い また 電 話 ( 番 号 ) 地 名 との 組 み 合 わせが 多 く 病 院 への 連 絡 アク セスの 方 法 についての 情 報 を 求 めていると 考 えられる 概 念 化 後 の 組 み 合 わせ 概 念 化 した 上 での 組 み 合 わせ 分 析 では 医 療 施 設 場 所 についての 単 語 と 多 く 登 場 した また 場 所 は 市 民 自 身 の 住 む 場 所 であり 前 項 で 述 べたとおり 自 分 の 住 む 場 所 の 近 くの 医 療 施 設 情 報 が 求 められている 要 周 知 事 項 緊 急 事 態 の 中 で 場 所 連 絡 先 当 番 情 報 等 医 療 機 関 についての 情 報 が 求 められてい る 特 に 夜 間 については 市 民 への 周 知 に 取 り 組 む 余 地 がある また 一 度 案 内 した 後 に 病 院 が 開 院 していないなどの 理 由 で 再 入 電 する 場 合 もある コールセンターでも 正 確 な 情 報 を 把 握 しておかなければならない 2ゴミ リサイクルへの 政 策 課 題 (n=204) 単 語 登 場 回 数 登 場 する 単 語 については 収 集 回 収 処 理 工 場 等 ごみの 処 理 に 関 する 単 語 が 多 く 他 には 粗 大 ごみ 資 源 プラスチック 等 のごみの 種 類 に 関 する 言 葉 が 頻 出 し ている また 電 話 担 当 申 込 といった ごみ 処 理 についての 情 報 の 需 要 が 多 いこ とが 理 解 された 48

単 語 の 組 み 合 わせ 上 位 の 組 み 合 わせは 粗 大 ごみ と 収 集 粗 大 ごみ と 申 込 資 源 と 回 収 であった つまり 具 体 的 な 処 理 の 手 続 き 作 業 依 頼 に 関 する 単 語 が 圧 倒 的 に 多 い 概 念 化 後 の 組 み 合 わせ 回 収 処 理 等 作 業 に 関 する 単 語 と ごみの 種 類 に 関 する 概 念 の 組 み 合 わせが 最 多 で あった 続 いてやはり 作 業 関 連 と 処 理 施 設 を 示 す 場 所 の 組 み 合 わせが 多 かった 三 番 目 は 依 頼 と 種 類 の 組 み 合 わせであり ごみの 種 類 の 中 でも 処 理 の 方 法 が 不 明 なものについての 問 合 わせが 多 いと 推 察 される 要 周 知 事 項 大 きく 二 つに 問 合 わせは 分 類 できる 作 業 依 頼 のための 入 電 と ゴミの 分 別 についての 問 合 わせである 前 者 については 作 業 を 具 体 的 にする 部 署 の 周 知 も 必 要 だが 気 軽 に 問 合 わせができるコールセンターで 依 頼 を 受 付 けることも 市 民 の 利 便 性 を 高 めるだろう た だ ワンストップサービスの 一 環 としてコールセンターを 考 えるのであれば 一 度 コール センターで 受 けた 電 話 を 転 送 するのではなく コールセンターで 受 付 けて 担 当 部 署 と 情 報 を 共 有 することも 考 えられる 3 国 民 健 康 保 険 (n=17 6) 単 語 回 数 国 民 健 康 保 険 についての 問 合 わせで 多 く 登 場 したのは 加 入 会 社 手 続 き 脱 退 扶 養 等 の 単 語 であった 単 語 の 組 み 合 わせ 会 社 との 組 み 合 わせが 多 く 加 入 月 など 手 続 き 関 連 や 扶 養 との 組 み 合 わ せも 多 かった 就 職 結 婚 といった 人 生 の 節 目 での 情 報 が 求 められていることが 推 測 され る また 紛 失 と 発 行 も 多 かった 概 念 化 後 の 組 み 合 わせ 概 念 化 したレベルでクロスさせてみると 手 続 き 方 法 と 場 所 手 続 き 方 法 と 情 報 に 関 する 単 語 の 組 み 合 わせが 多 く 手 続 き 場 所 ( 市 役 所 役 所 屋 等 )についての 質 問 が 多 い 要 周 知 事 項 まずは 手 続 きの 場 所 についての 情 報 を 周 知 させる 必 要 があるだろう また 転 職 退 職 49

といった 節 目 での 保 険 手 続 きについても 問 合 わせが 多 く 制 度 についての 情 報 と 共 に 手 続 きの 方 法 について 周 知 することが 必 要 である また 保 険 料 の 納 付 に 関 して 行 き 違 いの 督 促 の 通 知 が 行 なわれたことへの 苦 情 があった 業 務 手 続 上 仕 方 のない 場 合 もあるが 市 民 が 不 快 にならないように 確 認 や 連 絡 等 の 体 制 を 強 化 することが 求 められる 4 住 民 票 (n=11 4) 単 語 回 数 目 立 った 傾 向 の 単 語 はないが 取 る 郵 送 請 求 といった 具 体 的 な 取 得 方 法 につ いての 単 語 が 比 較 的 多 い また ( 市 ) 役 所 窓 口 といった 手 続 き 場 所 についての 質 問 も 多 い 単 語 の 組 み 合 わせ 国 保 同 様 に 会 社 との 組 み 合 わせが 目 立 ち 中 でも 扶 養 加 入 との 組 み 合 わせ が 多 い また 手 続 き も 頻 出 であり 具 体 的 な 手 続 き 方 法 も 周 知 する 必 要 がある 概 念 化 後 の 組 み 合 わせ 概 念 化 したレベルで 観 察 すると 手 続 き と 場 所 の 組 み 合 わせが 多 い 他 では 書 類 内 容 と 場 所 引 っ 越 し 転 入 などのライフサイクルにおける イベント と 場 所 が 多 くなっていた このことから 場 所 についての 問 合 わせが 多 いことが 読 み 取 れた 要 周 知 項 目 土 日 の 問 合 わせが 突 出 して 多 く 土 日 における 対 応 郵 送 などの 来 庁 できない 人 たちの ための 手 続 き 方 法 の 周 知 が 効 果 的 と 考 えられる 5 動 物 (n=91 ) 単 語 回 数 猫 が 圧 倒 的 に 多 く 野 良 猫 も 含 むとさらにその 数 は 増 す 他 では 連 絡 電 話 も 多 く 作 業 の 依 頼 先 の 連 絡 についての 問 合 わせが 多 い 単 語 の 組 み 合 わせ ここでも 猫 との 組 み 合 わせが 多 く 特 に 死 骸 道 路 収 集 車 が 多 く 道 路 での 事 故 により 被 害 に 遭 った 猫 の 収 集 作 業 依 頼 を 内 容 とするものが 多 い 概 念 化 後 の 組 み 合 わせ やはり 概 念 化 したレベルで 観 察 しても 場 所 と 動 物 場 所 と 連 絡 動 物 50

と 状 態 に 関 するものが 多 い 要 周 知 項 目 作 業 依 頼 がほとんどを 占 めているため 実 際 の 作 業 をする 担 当 部 署 への 連 絡 を 要 望 する ものが 多 い その 意 味 では 市 民 には 担 当 課 所 の 電 話 番 号 の 周 知 が 必 要 となる ただ こ の 場 合 転 送 等 でコールセンターから 直 接 担 当 箇 所 へ 市 民 の 電 話 を 繋 ぐが ワンストップ での 処 理 の 利 便 性 の 向 上 を 目 指 すのであれば コールセンターに 寄 せられた 情 報 を 担 当 箇 所 と 共 有 できる 仕 組 みがあれば 一 層 の 市 民 サービスにつながるだろう (2) 問 合 わせ 概 況 分 析 分 析 方 法 単 なる 問 合 わせ 分 析 については 併 せて 問 合 わせの 態 様 に 関 する 分 析 として コー ルセンターへの 問 合 わせを 対 象 に コ ールセンターで 記 録 された 入 電 の 時 間 帯 曜 日 問 合 わせをする 人 の 年 齢 性 別 コールセンターでの 対 応 状 況 等 の 分 析 を 行 った 図 表 9 10 11では 内 科 医 療 を 例 に 入 電 者 の 属 性 問 合 わせの 種 類 と 完 了 率 入 電 時 間 帯 と 曜 日 についての 分 析 結 果 をグラフで 示 し た 図 表 9 入 電 者 の 年 齢 性 別 400 350 男 性 女 性 300 250 200 150 100 50 0 15 歳 以 下 30 歳 未 満 60 歳 未 満 60 歳 以 上 図 表 10 問 合 わせの 種 類 と 完 了 率 図 表 11 時 間 帯 曜 日 分 析 600 16 500 14 400 12 10 300 8 200 6 4 100 0 問 合 せ 手 続 き 対 処 申 込 作 業 依 頼 転 送 相 談 苦 情 要 望 事 務 連 絡 不 能 感 謝 その 他 相 談 苦 情 要 望 意 見 提 案 一 次 処 理 転 送 電 話 番 号 案 内 未 解 決 折 り 返 し 7:00 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 19:00 21:00 月 火 水 木 金 土 祝 2 0 出 所 : 図 表 9 10 11 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 51

結 果 として 以 下 のことが 明 らかになった 医 療 機 関 についての 問 合 わせが 全 てを 占 めている コールセンター 段 階 で 対 応 が 終 了 できている 土 日 祝 の 問 合 わせが 多 い また 日 中 の 入 電 が 多 いのも 特 徴 的 小 児 医 療 と 重 複 するが 子 どもの 病 気 についての 問 合 わせが 多 いためか 母 親 はじめ 女 性 の 問 合 わせが 非 常 に 多 くなっている この 問 合 わせ 概 況 分 析 を 先 程 の 単 なる 問 合 わせ で 上 位 だった 政 策 分 野 につい て 行 った 逐 一 グラフ 等 は 示 さないが 最 終 的 な 結 果 をまとめたものが 図 表 12である ま た 同 図 表 では 手 法 1の 分 析 の 結 果 多 かった 質 問 を 併 記 している つまり これら 質 問 の 多 かった 情 報 を 手 法 3で 明 らかにした その 情 報 を 欲 している 市 民 に 対 して 提 供 し ていくことが 効 率 的 な 広 報 となると 考 えられる 図 表 12 問 合 わせ 状 況 の 現 状 政 策 分 野 件 数 多 い 曜 日 時 間 年 齢 性 別 多 い 質 問 内 科 医 療 511 木 夕 土 日 昼 30-59 女 医 療 機 関 の 場 所 開 院 状 況 ごみ リサイクル 204 午 前 中 土 曜 男 女 ごみの 分 別 回 収 方 法 国 民 健 康 保 険 176 平 日 午 前 16-59 女 手 続 き 場 所 方 法 住 民 票 114 土 曜 朝 16-29 男 手 続 き 場 所 方 法 動 物 91 集 中 期 なし 女 性 死 骸 回 収 等 の 作 業 依 頼 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 以 下 に 単 なる 問 合 わせ 分 析 と 問 合 わせ 概 況 分 析 から 具 体 的 な 課 題 として それぞれの 政 策 分 野 ごとに 整 理 した 1 内 科 医 療 医 療 機 関 当 番 表 等 市 民 の 住 所 地 周 辺 での 病 院 の 開 院 状 況 の 正 確 な 情 報 を 提 供 する 母 親 から 子 どもの 病 気 についての 問 合 わせが 多 く 小 児 救 急 電 話 相 談 の#8000 等 の 専 門 コ ールセンターの 周 知 も 考 えられる 2ゴミ リサイクル ごみの 分 別 資 源 ごみ 粗 大 ごみの 出 し 方 についての 情 報 を 周 知 する 3 国 民 健 康 保 険 一 次 解 決 率 が 高 く コールセンターで 対 応 が 可 能 な 問 合 わせが 多 いが 保 険 の 切 り 替 え 時 保 険 証 の 紛 失 時 の 手 続 きの 周 知 をする 督 促 等 市 民 への 通 知 に 際 しては 行 き 違 いが 無 いよう 注 意 する 52

4 住 民 票 土 日 の 対 応 について 周 知 する 比 較 的 手 続 きのための 時 間 が 取 りにくい 30 歳 未 満 の 男 性 への 周 知 を 行 なう 5 動 物 市 民 が 問 合 わせ 部 署 に 直 接 連 絡 できるように 連 絡 先 の 周 知 ワンストップサービスを 目 指 すのであれば 作 業 依 頼 の 場 合 一 度 コールセンターに 寄 せ られた 情 報 を 市 民 が 担 当 部 署 に 連 絡 することなく 作 業 担 当 部 署 と 共 有 する 仕 組 み (3) 政 策 のヒント 分 析 結 果 分 析 手 法 ここでは 図 表 13のように コールセンターの 入 電 うち 政 策 課 題 を 抽 出 したもの(1)と 建 設 的 な 意 見 が 多 く 政 策 のヒントとなると 考 えられ るボイスバンクの 意 見 全 体 (2)を 集 約 (3)し それらの 意 見 の 内 容 を 概 観 し 課 題 の 抽 出 を 試 み た 分 析 においては 1と2の 件 数 を 合 算 した3 の 件 数 が 上 位 の5 分 野 について 行 った 図 表 13 政 策 のヒント 分 析 対 象 コールセンター 1 2 ホ イスバンク 集 約 3 出 所 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 作 成 1 市 職 員 への 政 策 課 題 (n=46) 窓 口 対 応 名 札 をしない 名 を 名 乗 らない 応 対 が 不 親 切 などの 基 本 的 な 苦 情 をはじめ 窓 口 の 配 置 が 効 率 的 でない 個 人 情 報 の 取 扱 いに 配 慮 が 欠 けるなどの 行 政 としての 対 応 そのものに ついての 苦 情 があった その 性 質 については 単 に 職 員 の 対 応 に 問 題 があるものから 手 続 きの 内 容 などが 正 し く 説 明 されないため 以 前 と 違 うなどのトラブルになるものまである 中 には 窓 口 対 応 を 改 善 するためのアンケートを 実 施 すべきとの 提 案 もあった 業 務 への 姿 勢 勤 務 時 間 中 に 関 わらずお 茶 を 飲 みながら 私 語 をしたり 喫 煙 に 時 間 を 要 したり 携 帯 電 話 をいじったり 仕 事 机 にぬいぐるみを 並 べたり 時 間 をもてあましているように 見 えた りと 職 務 を 遂 行 する 姿 勢 ではないとの 苦 情 がある さらに 時 間 がかかりすぎることや 問 合 わせない 限 り 放 置 される 案 件 もあり 職 務 怠 慢 ではないかとの 苦 情 もある また 乱 暴 な 扱 いや 運 転 マナーの 悪 さなどの 苦 情 もある 53

人 材 政 策 への 要 望 財 政 問 題 による 人 員 減 への 反 対 や 女 性 管 理 職 の 積 極 的 な 登 用 人 材 の 適 正 配 置 などの 要 望 があった これらはより 効 果 的 に 行 政 サービスを 得 られる 体 制 を 強 く 望 むと 共 に 職 員 減 による 行 政 サービスの 低 下 を 危 惧 してのことと 思 われる また 団 塊 の 世 代 の 大 量 退 職 後 の 市 の 対 応 を 聞 くなど 将 来 的 な 人 材 政 策 への 心 配 もう かがえる 職 員 の 不 祥 事 への 対 応 行 政 センターであった 不 祥 事 についての 苦 情 や 公 表 方 法 の 不 満 再 発 防 止 の 対 策 などの 質 問 があった また 飲 酒 運 転 に 対 する 市 の 懲 戒 等 の 対 応 方 針 の 厳 正 化 によるモラルの 向 上 や 隠 蔽 体 質 への 批 判 や 法 令 違 反 など 職 員 に 対 する 市 民 の 目 が 厳 しいことが 窺 える 2 道 路 全 般 への 政 策 課 題 (n=38) 歩 道 最 も 件 数 の 多 い 案 件 が 歩 道 についてである 具 体 的 には 危 険 性 のないように 歩 道 の 拡 幅 や 横 断 歩 道 の 設 置 自 転 車 通 行 をさせない トンネルの 歩 道 が 狭 いので 人 道 トンネルの 整 備 休 日 などの 歩 行 者 天 国 化 などの 要 望 歩 道 を 飲 食 店 が 占 有 していることの 苦 情 などで ある 渋 滞 解 消 具 体 的 には 衣 笠 十 字 路 佐 原 十 字 路 などの 渋 滞 解 消 のためのバイパス 設 置 などの 要 望 があった 他 に 通 研 通 りの 延 伸 など 地 域 における 道 路 網 の 充 実 を 求 める 要 望 もあった また 周 辺 渋 滞 解 消 のために 横 浜 横 須 賀 道 路 の 横 須 賀 PAにスマートインターの 設 置 を 求 める 要 望 もあった 広 域 道 路 整 備 横 須 賀 市 は 地 理 的 に 横 浜 方 面 との 連 絡 道 路 が 国 道 16 号 しかないため 防 災 面 などから 湾 岸 部 に 国 道 357 号 や 首 都 高 速 の 延 伸 などを 求 める 要 望 が 複 数 あった また 東 京 湾 口 道 路 に 関 する 要 望 もあった 工 事 関 係 道 路 工 事 における 事 前 告 知 や 長 時 間 にわたる 通 行 止 めなどの 工 事 の 手 法 等 に 関 する 苦 情 があった 54

安 全 関 係 歩 道 橋 へのエレベーター エスカレーターの 設 置 通 学 路 へのカラーベルトの 設 置 街 路 の 除 草 などの 要 望 があった また 私 道 であるが 危 険 を 感 じるような 場 合 があり 市 に 対 してその 対 応 を 求 める 要 望 もあった その 他 一 時 停 止 無 視 への 対 応 や 道 路 標 識 の 設 置 要 望 親 水 施 設 の 整 備 などの 要 望 があった 3 公 園 運 動 公 園 への 政 策 課 題 (n=37) 公 園 整 備 近 隣 への 公 園 新 設 児 童 のためや 介 護 予 防 になる 遊 具 の 新 設 老 朽 化 した 遊 具 の 改 修 案 内 板 の 設 置 など 公 園 を 有 意 義 に 利 用 できるような 要 望 が 多 数 あった また 交 差 点 に 近 いため 子 どもが 飛 び 出 すので その 安 全 対 策 に 関 する 要 望 もあった さらに 公 園 か ら 遠 い 人 が 通 うための 駐 車 場 の 設 置 や 駐 車 料 金 の 値 下 げの 要 望 もあった 公 園 のルール 球 技 は 禁 止 にも 関 わらずボール 遊 びをしたり 柵 を 乗 り 越 えて 立 ち 入 り 禁 止 エリアに 入 ったり ごみを 捨 てていったりするケースがあるので その 対 策 を 求 める 苦 情 要 望 があ った また 公 園 内 の 禁 煙 化 の 要 望 やホームレスの 苦 情 もあった 動 物 のマナー 愛 犬 家 などからドッグランや 公 園 での 犬 の 散 歩 のマナーに 関 してのルール 化 などの 要 望 が 複 数 あった その 他 横 須 賀 スタジアムへのスポンサー 導 入 国 営 公 園 誘 致 に 賛 同 する 意 見 があった 4ゴミ リサイクル(n=37) タバコのポイ 捨 て 歩 行 喫 煙 22 件 中 8 件 がタバコに 関 する 苦 情 要 望 であった 具 体 的 にはポイ 捨 て 防 止 や 歩 きタバ コの 禁 止 禁 煙 区 域 の 導 入 さらにはそれらの 条 例 化 を 求 めるものまであった それだけ タバコに 不 満 を 感 じる 市 民 が 多 いとともに ポイ 捨 てなどが 目 立 っていることでもある 特 に 横 須 賀 中 央 駅 周 辺 は 市 の 玄 関 なのに 美 観 を 損 ねていて 恥 ずかしいなどの 意 見 もあった 55

放 置 ごみ バス 停 や 海 辺 釣 り 人 のごみなどが 散 乱 しているとして その 対 策 を 求 める 要 望 が 複 数 ある その 解 消 のために 清 掃 ボランティアの 導 入 を 提 案 する 声 も 複 数 ある また 放 置 ごみを 無 くすためにごみ 箱 を 設 置 したらいいという 意 見 と ごみ 箱 がいつも 溢 れているの で 撤 去 したらいい 等 様 々な 意 見 が 見 られた リサイクル 横 浜 市 のようにリサイクルに 数 値 目 標 を 持 つべき 市 内 でリサイクルを 完 結 するべき 粗 大 ごみの 手 続 きがわかりづらいなどの 意 見 があった 5 米 軍 基 地 への 政 策 課 題 (n=31) 原 子 力 空 母 問 題 31 件 中 26 件 が 原 子 力 空 母 に 関 する 意 見 要 望 等 であった その 他 その 他 は 米 兵 の 犯 罪 による 防 犯 対 策 や 基 地 返 還 後 の 利 用 方 法 基 地 交 付 金 の 活 用 NLP 禁 止 要 望 など 基 地 のまちとしての 課 題 が 浮 き 彫 りになる 苦 情 要 望 等 が 占 めた Ⅴ まとめ 本 研 究 では 市 民 の 声 分 析 のための 開 発 の 手 法 と それを 用 いた 分 析 により 具 体 的 な 政 策 へのヒントを 得 ることを 目 的 としていた 手 法 については 問 合 わせの 性 質 に 応 じ 前 述 の 三 つの 手 法 を 開 発 した 分 析 の 結 果 新 規 既 存 政 策 の 立 案 見 直 しのための 政 策 のヒ ント 広 報 のための 知 見 が 明 らかになった ただ 手 法 については 課 題 も 残 る 広 報 の 知 見 につながる 単 なる 問 合 わせ の 数 は 多 く テキストマイニングによる 定 量 的 分 析 が 可 能 であり 広 報 に 関 する 工 夫 に 結 びつく 項 目 が 明 らかになった 他 方 政 策 のヒント については 数 が 少 なかったため 参 考 意 見 と しては 十 分 な 価 値 があると 考 えられるが 一 般 的 な 意 味 での 市 民 の 意 見 として 扱 う ことができるかは 疑 問 が 残 る また 政 策 のヒント 分 析 で 行 なったような 意 見 の 概 観 による 取 りまとめは 読 み 手 の 主 観 的 な 判 断 により 問 題 を 析 出 することとなるため 読 み 手 には 一 層 の 慎 重 さが 求 められるだろう 今 後 も 引 き 続 き 本 年 度 の 成 果 を 充 実 させるために 市 民 の 声 の 収 集 分 析 に 努 める 必 要 がある また 得 られた 成 果 を 政 策 策 定 評 価 に 活 用 するためには 庁 内 で 成 果 を 共 有 す る 仕 組 みづくりも 重 要 な 課 題 であるが これは 次 年 度 以 降 の 宿 題 としたい 56

参 考 文 献 : 大 阪 市 総 合 コールセンター http://www.osaka -city -callcenter.jp/ 川 崎 市 総 合 コンタクトセンター http://www.city.kawasaki.jp/16/16simin/tha nkyoucall/index.html 札 幌 市 コールセンター http://www.city.sapporo.jp/callcenter/ Chasen s Wiki http://chasen.naist.jp/hiki/chasen/ 横 須 賀 市 コールセンター http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/8222500/in 横 須 賀 市 ボイスバンク http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/voicebank/ 横 浜 市 コールセンター http://www.city.yokohama.jp/me/shimin/call/call 57

2. 行 政 評 価 の 再 構 築 ~ 重 点 施 策 評 価 と 事 務 事 業 等 の 総 点 検 ~ 藤 崎 竹 田 啓 造 浩 幸 Ⅰ 横 須 賀 市 の 行 政 評 価 システムの 概 要 本 市 の 行 政 評 価 システムは 横 須 賀 方 式 の 行 政 評 価 システムとして 各 方 面 から 注 目 を 集 めてきた まずはその 概 要 について 触 れる (1) 行 政 評 価 の 目 的 横 須 賀 市 の 行 政 評 価 は 以 下 の3 点 を 目 的 として 実 施 してきた 1 2 3 成 果 重 視 の 行 財 政 運 営 限 りある 行 政 資 源 の 有 効 配 分 市 民 への 責 任 ある 公 表 の 徹 底 (2) 行 政 評 価 の 取 り 組 み 経 過 行 政 評 価 システムの 導 入 検 討 から 今 日 に 至 るまでの 経 過 は 以 下 の 表 に 示 すとおりである 年 度 内 容 平 成 12 年 度 平 成 13 年 度 政 策 評 価 指 標 事 務 事 業 評 価 の 研 究 を 行 い 行 政 評 価 システム 導 入 検 討 に 着 手 事 務 事 業 評 価 運 用 行 政 評 価 プロジェクトチーム まちづくり 評 価 委 員 会 で 検 討 IT 版 デモ 作 成 平 成 14 年 度 事 務 事 業 政 策 施 策 評 価 の 運 用 統 合 評 価 外 部 評 価 の 実 施 I T 版 システム 開 発 平 成 15 年 度 平 成 16 年 度 平 成 17 年 度 平 成 18 年 度 平 成 19 年 度 行 政 評 価 システム 運 用 IT 版 システムの 運 用 開 始 計 画 から 評 価 までの 実 務 開 始 行 政 評 価 システム 運 用 行 財 政 改 革 との 連 携 検 討 行 政 評 価 システム 運 用 行 政 改 革 における 事 務 事 業 の 総 点 検 ( 行 政 評 価 システムは 不 使 用 ) 行 政 評 価 システム 運 用 新 たな 行 政 評 価 システムの 構 築 に 着 手 行 政 評 価 システム 運 用 休 止 58

(3) 行 政 評 価 システムの 構 造 横 須 賀 市 の 行 政 評 価 では 総 合 計 画 の 体 系 に 基 づき 政 策 施 策 評 価 と 事 務 事 業 評 価 を 行 い それぞれで 評 価 した 結 果 を 統 合 化 したものを 統 合 評 価 とし 全 体 を 行 政 評 価 システム と 表 している その 評 価 結 果 は 基 本 計 画 の 小 柱 中 柱 大 柱 単 位 に 出 していく ( 図 表 1 参 照 ) 図 表 1 行 政 評 価 システムの 構 造 総 合 計 画 政 策 施 策 行 政 評 価 システム 政 策 施 策 評 価 統 合 評 価 事 務 事 業 事 務 事 業 評 価 1 評 価 のステップ 行 政 評 価 システムでは 庁 内 ( 担 当 部 局 および 行 政 評 価 プロジェクトチーム)において 内 部 評 価 を 行 った 後 に その 結 果 を 市 民 参 画 の 外 部 評 価 委 員 会 (まちづくり 評 価 委 員 会 )で 検 討 することで 評 価 結 果 を 確 定 させる ( 図 表 2 参 照 ) 図 表 2 評 価 ステップ ( 内 部 評 価 ) 部 局 内 評 価 (1 次 評 価 ) 部 長 による 評 価 課 長 による 評 価 (2 次 評 価 ) 行 政 評 価 プロジェクトチーム 予 算 決 算 へ 活 用 各 部 局 部 長 会 議 報 告 市 長 副 市 長 報 告 内 部 評 価 結 果 報 告 公 表 議 会 市 民 実 務 担 当 者 に よる 評 価 事 務 事 業 評 価 外 部 評 価 結 果 報 告 公 表 議 会 市 民 市 民 アンケート まちづくり 指 標 政 策 施 策 評 価 予 算 計 画 などへ 反 映 各 部 局 ( 外 部 評 価 3 次 評 価 ) まちづくり 評 価 委 員 会 ( 市 民 参 画 ) まちづくり 市 民 コメンテーター 市 民 意 見 の 反 映 市 長 副 市 長 報 告 59

2 統 合 評 価 の 基 準 横 須 賀 市 の 行 政 評 価 システムの 特 徴 の1つに 統 合 評 価 がある これは 政 策 施 策 評 価 による 市 民 が 感 じている 結 果 効 果 に 対 する 評 価 と 事 務 事 業 評 価 による 行 政 活 動 の 結 果 効 果 の 差 異 を 分 析 し 政 策 施 策 事 務 事 業 の 改 善 に 活 用 していこうと するものである 統 合 評 価 では 政 策 施 策 評 価 の 結 果 を 優 先 し 総 合 計 画 の 柱 ごとに + - + - 青 黄 黄 赤 赤 の 評 価 を 決 める 統 合 評 価 ( 行 政 活 動 の 結 果 や 効 果 と 市 民 が 感 じている 結 果 や 効 果 の 差 異 を 分 析 する) 政 策 施 策 評 価 結 果 (A B)と 事 務 事 業 評 価 結 果 (a b c)を 基 本 計 画 の 柱 単 位 にまとめ その 評 価 結 果 の 組 み 合 わせにより 統 合 評 価 ( 青 黄 赤 )を 出 す ( 図 表 3 参 照 ) 政 策 施 策 ごとの 組 み 合 わせ 結 果 を 基 に 社 会 経 済 状 況 を 加 味 して 最 終 的 な 統 + - + - 合 評 価 ( 青 黄 黄 赤 赤 )を 確 定 する ( 図 表 4 参 照 ) 図 表 3 統 合 評 価 の 各 評 価 基 準 の 組 み 合 わせと 自 動 判 定 結 果 政 策 施 策 評 価 結 果 A( 適 正 ) B( 見 直 し) 事 務 事 業 評 価 結 果 a( 適 正 ) 青 黄 b( 見 直 し) 青 黄 c( 中 止 ) 黄 赤 図 表 4 統 合 評 価 の 評 価 結 果 表 記 青 政 策 施 策 の 進 行 は 適 正 で 現 状 を 維 持 する + 黄 政 策 施 策 の 再 検 討 など 見 直 しを 行 ったうえで 現 状 より 推 進 する - 黄 政 策 施 策 の 再 検 討 など 見 直 しを 行 ったうえで 現 状 より 縮 小 する + 赤 政 策 施 策 を 根 本 から 見 直 したうえで 新 たな 施 策 の 構 築 が 必 要 であ る - 赤 政 策 施 策 を 中 止 中 断 する 60

Ⅱ これまでの 行 政 評 価 に 関 する 振 り 返 りと 再 構 築 の 方 向 性 各 方 面 から 注 目 されてきた 行 政 評 価 システムであるが ほぼ 形 が 固 まった 平 成 14 年 度 以 降 5 年 間 運 用 し 平 成 18 年 度 まちづくり 評 価 委 員 会 では 次 のステップへと 進 む 必 要 性 が 提 言 された ここでは 提 言 に 基 づき これまでの 成 果 と 問 題 点 を 振 り 返 り それを 踏 ま えて 行 政 評 価 はどのような 役 割 を 果 たしていくべきなのか 再 構 築 の 方 向 性 を 示 す (1)これまでの 行 政 評 価 の 成 果 と 問 題 点 ~まちづくり 評 価 委 員 会 提 言 から~ 横 須 賀 市 まちづくり 評 価 委 員 会 報 告 書 ( 平 成 18 年 度 ) 平 成 17 年 度 行 政 評 価 について( 提 言 ) では 以 下 の 成 果 と 問 題 点 を 指 摘 し 今 後 の 行 政 評 価 のあり 方 を 提 言 している 1 成 果 Ⅰの(1)に 示 した 目 的 の 1 成 果 重 視 の 行 財 政 運 営 および 3 市 民 への 責 任 ある 公 表 の 徹 底 については これまで 行 政 評 価 に 取 り 組 んできた 中 で 一 定 の 成 果 を 上 げ 日 常 業 務 の 一 部 として 根 付 いた 職 員 の 意 識 の 変 化 職 員 が これまでの 行 政 運 営 ではあまり 触 れられてこなかった 事 業 の 効 果 を 意 識 しなが ら 事 業 立 案 を 行 うようになった また コスト 感 覚 にも 変 化 をもたらした 市 民 への 責 任 ある 公 表 の 徹 底 市 の 取 り 組 みについて 納 税 者 などに 説 明 責 任 を 果 たすことの 重 要 性 を 認 識 した 2 問 題 点 提 言 により 指 摘 されている 最 も 大 きな 問 題 点 は 目 的 の 2 限 りある 行 政 資 源 の 有 効 配 分 に 関 して 政 策 施 策 事 業 の 選 択 重 点 化 による 行 政 資 源 の 効 果 的 な 配 分 のための ツールとして 十 分 に 機 能 しなかったことである そのほかにも 以 下 のような 問 題 点 が 指 摘 されている 評 価 全 体 について 年 度 終 了 後 に 評 価 を 行 うため 速 やかな 施 策 や 事 業 の 見 直 しにつながらない 統 合 評 価 について 政 策 施 策 評 価 と 事 務 事 業 評 価 の 因 果 関 係 が 分 析 できない 政 策 施 策 評 価 について 市 民 アンケート まちづくり 指 標 だけでは 判 断 しきれない 施 策 もある アンケート 設 問 や 指 標 にも 改 善 の 余 地 がある 事 務 事 業 評 価 について 事 業 の 改 善 や 見 直 しツールとして 機 能 しなかった 予 算 どおりに 事 業 を 執 行 することで 良 い 評 価 となること 61

事 業 効 果 を 重 視 していないこと 評 価 対 象 を 実 施 計 画 事 業 としていること (2) 課 題 の 整 理 まちづくり 評 価 委 員 会 の 提 言 や これまでの 運 用 実 績 を 踏 まえ 再 構 築 を 見 据 えた 行 政 評 価 の 課 題 を 以 下 のとおり 整 理 する 1 経 営 資 源 の 選 択 と 集 中 に 向 け 実 効 性 の 高 いツールとすること 2 特 に 重 点 施 策 である 新 世 紀 ビジョン の 実 現 のために 評 価 結 果 をダイレクトに 政 策 施 策 マネジメントに 結 びつけること 3 事 業 の 廃 止 休 止 を 含 めた 効 率 化 を 実 行 するためのツールとしての 役 割 を 果 たすこと 4 評 価 結 果 をスピーディーに 予 算 に 反 映 させること (3) 行 政 評 価 見 直 しの 目 的 ( 旧 行 政 評 価 導 入 の 背 景 ) 本 市 の 行 政 評 価 は 基 本 計 画 の 進 行 管 理 を 色 濃 く 残 したものであった これは まちづく り 評 価 委 員 会 が 総 合 計 画 進 行 管 理 委 員 会 を 発 展 的 に 解 消 し つくられたことからも 分 かる つまり 本 市 の 行 政 評 価 は 市 民 参 加 で 策 定 した 基 本 計 画 を 市 民 も 参 加 しながらうま くいっているかチェックし 着 実 に 実 行 していくことが 必 要 という 考 えを 起 源 としている 統 合 評 価 政 策 施 策 評 価 はもちろん 事 務 事 業 評 価 も 総 合 計 画 の 進 行 管 理 の 影 響 を 大 き く 受 けたものとなっている 加 えて 言 えば 基 本 計 画 策 定 の 直 後 は 地 方 分 権 一 括 法 の 施 行 を 控 え 地 方 が 自 己 決 定 自 己 責 任 により 魅 力 あるまちづくりをしていく 時 代 が 到 来 するという 機 運 の 高 まりもあ る 中 で 行 政 評 価 に 期 待 する 役 割 が 大 きくなっていた ( 基 本 計 画 から 新 世 紀 ビジョンへ) 基 本 計 画 の 中 でも 特 に 力 を 入 れる 分 野 を 明 らかにし 基 本 計 画 を 戦 略 的 に 進 めて 行 こ うとするのが 市 制 施 行 100 周 年 の 節 目 に 策 定 した 新 世 紀 ビジョンである そのキーワードには 市 民 が 実 感 できる 元 気 な 横 須 賀 が 据 えられ 目 指 すべき 将 来 像 と 施 策 の 方 向 性 が 示 されている 本 市 の 財 政 状 況 は 一 度 は 改 善 されたものの 近 年 は 極 めて 厳 しい 状 況 が 続 いており 総 花 的 な 総 合 計 画 を 根 拠 に あれもこれも 手 をつけるという 状 況 にない 新 世 紀 ビジョンの 策 定 実 行 は わずかな 財 源 を 戦 略 的 に 活 用 して 魅 力 あるまちづく りをしていこうとする 試 みである ( 行 政 評 価 見 直 しの 目 的 ) このような 状 況 から 判 断 すれば 行 政 評 価 に 今 期 待 される 機 能 は これまでに 蓄 積 した 62

ノウハウを 生 かしながら 総 合 計 画 の 進 行 管 理 から 離 れ 市 の 活 動 全 体 を 見 渡 し 時 代 に 合 わない 事 業 や 効 果 の 小 さい 事 業 の 廃 止 見 直 しや 内 部 管 理 の 工 夫 による 効 率 化 により 財 源 確 保 に 努 めること そして 確 保 した 財 源 を 有 効 活 用 するため 資 源 配 分 に 必 要 な 情 報 を 収 集 し これらの 情 報 を 材 料 にして 効 果 的 に 重 点 施 策 を 実 行 していくことの2 点 に 集 約 される なお 前 者 はすでに 事 務 事 業 等 の 総 点 検 として 平 成 19 年 度 着 手 している (4) 行 政 評 価 の 役 割 および 見 直 しの 方 向 性 これまでの 行 政 評 価 は 総 合 計 画 ( 特 に 基 本 計 画 )を 中 心 に 経 営 資 源 の 選 択 と 集 中 を 判 断 するツールとして 運 用 してきたが 結 果 的 には 十 分 に 機 能 を 果 たしたとは 言 えない 今 後 は これまで 蓄 積 したノウハウを 生 かしながら 必 要 な 役 割 に 応 じて 以 下 のとお り 機 能 分 化 させていく 1 重 点 施 策 評 価 ( 新 世 紀 ビジョン 評 価 ) 新 世 紀 ビジョンで 明 らかにした 重 点 施 策 を 効 果 的 に 進 めるためのツール 重 点 施 策 の 評 価 重 点 施 策 内 の 事 業 構 成 資 源 配 分 などの 見 直 しに 直 結 する 評 価 スピーディな 評 価 2 事 務 事 業 等 の 総 点 検 財 政 状 況 に 応 じて 市 全 体 の 活 動 を 見 渡 し 効 率 化 を 図 るためのツール 事 業 の 廃 止 見 直 しや 効 率 化 に 直 結 する 評 価 図 表 5 新 旧 行 政 評 価 の 体 系 の 比 較 政 策 施 策 事 務 事 業 統 合 評 価 旧 行 政 評 価 政 策 施 策 評 価 基 本 計 画 の 全 政 策 施 策 を 評 価 事 務 事 業 評 価 実 施 計 画 事 業 を 毎 年 度 評 価 あり 基 本 計 画 の 全 政 策 施 策 の 政 策 施 策 評 価 事 務 事 業 評 価 を 統 合 新 行 政 評 価 重 点 施 策 評 価 新 世 紀 ビジョンの 将 来 像 施 策 の 方 向 性 を 評 価 事 務 事 業 等 の 総 点 検 一 般 会 計 の 全 ての 事 業 活 動 を3~4 年 に1 回 点 検 なし 政 策 的 な 視 点 から 施 策 の 方 向 性 を 構 成 する 事 業 を 検 証 63

( 参 考 )その 他 のこれまで 行 政 評 価 が 担 ってきた 機 能 について 基 本 計 画 の 進 行 管 理 3~4 年 に1 度 実 施 計 画 策 定 の 年 に 市 民 アンケートを 実 施 し 基 本 計 画 の 柱 に 基 づ く 政 策 施 策 全 体 に 対 する 市 民 の 満 足 度 を 把 握 するなど 基 本 計 画 の 柱 別 評 価 を 行 う 評 価 結 果 は 実 施 計 画 の 策 定 に 反 映 する 実 施 計 画 の 進 行 管 理 実 施 計 画 事 業 については 毎 年 度 予 算 化 の 状 況 および 事 業 の 実 施 状 況 を 簡 易 な 形 で 把 握 し 着 実 な 実 行 につなげていく Ⅲ 新 たな 取 り 組 み ~ 事 務 事 業 等 の 総 点 検 ~ Ⅱでは 評 価 の 目 的 に 応 じた 機 能 分 化 の 一 つの 方 向 性 として 財 政 状 況 に 応 じて 効 率 化 を 図 るためのツールである 事 務 事 業 等 の 総 点 検 の 必 要 性 を 挙 げた 事 務 事 業 等 の 総 点 検 を 実 施 する 契 機 として 平 成 19 年 3 月 の 行 政 改 革 推 進 委 員 会 か らの 収 支 のアンバランスを 少 しでも 早 く 解 消 する 手 法 として 全 ての 事 業 を 点 検 し 事 業 費 人 件 費 を 圧 縮 すべき との 提 言 がある ここでは 平 成 19 年 度 に 取 り 組 んだ 事 務 事 業 等 の 総 点 検 について その 経 過 や 結 果 を 整 理 する (1) 背 景 および 目 的 本 市 では 平 成 18 年 度 から 集 中 改 革 プランをスタートし 財 政 体 質 の 改 善 に 向 けた 取 り 組 みを 強 化 した しかし 横 須 賀 市 実 施 計 画 ( 第 4 次 まちづくり3カ 年 計 画 ) の 策 定 に 合 わせて 作 成 し た 平 成 19 年 度 ~21 年 度 の 財 政 収 支 見 通 しでは 集 中 改 革 プランの 実 行 による 効 果 を 加 味 しても 最 も 大 きい 財 源 不 足 が 生 じる 平 成 20 年 度 の 予 算 編 成 時 に 78 億 円 決 算 時 に 28 億 円 の 単 年 度 財 源 不 足 となる 見 込 みであった この 厳 しい 財 政 状 況 は 歳 入 の 中 心 を 占 める 市 税 地 方 交 付 税 の 減 少 に 歯 止 めがかから ないこと 一 方 で 歳 出 では 最 も 基 礎 的 な 市 民 サービスである 扶 助 費 や 特 別 会 計 企 業 会 計 への 繰 出 金 などコントロールの 困 難 な 経 費 が 増 加 の 一 途 をたどっていることなど 社 会 経 済 環 境 の 変 化 による 構 造 的 なものと 考 えられる 新 世 紀 ビジョンに 示 した 市 民 が 実 感 できる 元 気 な 横 須 賀 を 実 現 するために まずは 見 込 まれる 収 支 のアンバランスを 少 しでも 早 く 解 消 し 基 金 の 残 高 が 確 保 できている 間 に 単 年 度 の 収 入 で 単 年 度 の 支 出 を 賄 うことができ 基 金 は 不 測 の 事 態 への 備 えとして 一 定 額 を 確 保 するような 財 政 体 質 へ 改 善 することが 必 要 であり 事 務 事 業 等 の 総 点 検 を 実 施 した 64

(2) 基 本 方 針 1 従 来 の 手 法 にとらわれない 見 直 し 財 政 収 支 見 通 しで 想 定 する 財 源 不 足 を 解 消 し 早 期 に 収 支 バランスを 均 衡 させることを 目 標 とする そのためには 従 来 の 考 え 方 やり 方 の 継 続 を 前 提 とした 見 直 しのみでは 不 可 能 であり 聖 域 を 設 けることなく 全 ての 事 務 事 業 業 務 を 対 象 に 従 来 の 手 法 にとらわ れない 大 胆 な 見 直 しを 行 う 2 歳 出 削 減 を 中 心 とした 見 直 し 地 域 の 活 性 化 による 歳 入 の 確 保 は 重 要 な 課 題 であるが その 効 果 による 税 収 の 増 や 景 気 回 復 に 過 度 の 期 待 をせず 歳 出 の 削 減 を 中 心 に 事 業 の 見 直 しを 行 う 各 部 局 は 総 点 検 を 通 じて 平 成 19 年 度 予 算 額 を 基 準 として 3 年 以 内 ( 平 成 22 年 度 まで)に 28 億 円 以 上 の 一 般 財 源 額 を 削 減 する 見 直 し 案 を 作 成 する 3 結 果 の 公 表 総 点 検 の 経 過 や 結 果 は 市 議 会 等 に 公 表 する (3) 経 過 1 部 長 会 議 [5 月 23 日 ] 部 長 会 議 において 総 点 検 の 実 施 について 市 長 から 各 部 局 長 に 対 して 指 示 された 2 事 務 事 業 等 の 総 点 検 に 関 する 説 明 会 [6 月 1 日 ] 課 長 主 査 を 対 象 とした 総 点 検 説 明 会 を 開 催 した ( 出 席 者 :240 人 ) 併 せて イントラネットに 市 長 メッセージ 説 明 会 での 副 市 長 コメントなどを 掲 載 し 職 員 への 周 知 を 図 った 3 総 務 常 任 委 員 会 で 一 般 所 管 事 項 報 告 [6 月 5 日 ] 第 2 回 市 議 会 定 例 会 総 務 常 任 委 員 会 において 一 般 所 管 事 項 として 総 点 検 の 背 景 およ び 目 的 基 本 方 針 手 順 等 について 報 告 した 4 事 務 事 業 等 点 検 票 の 作 成 [6 月 1 日 ~6 月 21 日 ] 各 部 局 において 一 般 会 計 の 全 事 業 を 対 象 に 事 務 事 業 等 点 検 票 を 作 成 し 見 直 し 案 を 検 討 するためのセルフチェックシートとして 活 用 した ( 点 検 件 数 1,520 件 ) 65

主 な 点 検 項 目 開 始 年 度 終 了 予 定 年 度 事 業 スタート 時 からの 社 会 環 境 の 変 化 により 必 要 性 が 薄 れていないか 終 期 を 決 めているのか 事 業 等 の 実 施 にかかる 概 算 人 件 費 および 事 業 費 と 合 算 した 総 コスト 人 件 費 も 含 め 事 業 の 実 施 にどれだけの 経 費 がかかっているのか 財 源 内 訳 一 般 財 源 がどの 程 度 投 入 されているのか 費 用 対 効 果 についてどのように 考 えるか 補 助 事 業 単 独 事 業 の 区 分 法 定 等 による 分 類 法 令 に 根 拠 がありやめられない 事 業 なのか 法 定 の 場 合 で も 効 率 化 する 裁 量 が 市 にあるのか 重 点 性 新 世 紀 ビジョンを 実 現 するための 主 要 事 業 実 施 計 画 ( 第 4 次 まちづ くり3カ 年 計 画 ) 事 業 として 位 置 づけられているのか 他 都 市 でも 標 準 的 に 実 施 している 事 業 なのか 国 県 他 団 体 が 実 施 している 事 業 と 類 似 重 複 していないか 廃 止 休 止 した 場 合 市 民 生 活 に 重 大 な 影 響 があるのか 法 定 等 による 分 類 点 検 票 に 法 令 や 内 容 から 図 表 6の5グループに 分 類 する 項 目 を 設 け 市 の 一 般 財 源 がど のような 性 質 のものに 使 われているのかを 検 証 するとともに 見 直 し 案 の 検 討 材 料 とした 図 表 6 法 定 等 による 分 類 グループ 内 容 A1 法 定 : 裁 量 ( 小 ) A2 法 定 : 裁 量 ( 大 ) 法 律 や 政 令 で 実 施 内 容 や 実 施 方 法 が 具 体 的 に 規 定 されて いる 業 務 法 律 や 政 令 で 実 施 が 求 められているものの その 実 施 内 容 や 実 施 方 法 実 施 体 制 については 市 に 委 ねられている 業 務 B1 法 定 外 政 策 的 サービス 法 令 の 規 定 がない もしくは 規 定 による 制 約 が 小 さく 本 市 の 判 断 により 実 施 している 業 務 B2-1 施 設 の 維 持 管 理 施 設 の 維 持 管 理 に 係 る 業 務 B2-2 その 他 内 部 管 理 内 部 管 理 業 務 のうち 施 設 の 維 持 管 理 業 務 以 外 の 業 務 66

法 定 等 による 分 類 の 結 果 業 務 数 を 見 るとB1( 法 定 外 政 策 的 サービス)が 全 体 の 52.5 %を 占 めるが B1の 一 般 財 源 比 率 は 18.2 %であり A2( 法 定 : 裁 量 ( 大 ))が 34.8 %と 大 きい 割 合 を 占 めている また 職 員 数 を 見 ると A2の 占 める 割 合 が 58.1 %とさらに 大 きくなる ( 図 表 7 参 照 ) 総 点 検 の 目 標 とした 一 般 財 源 の 削 減 を 実 行 していくには 法 令 にしばられない 政 策 的 な サービス(B1)について 必 要 性 や 費 用 対 効 果 を 精 査 していくだけでなく 法 令 に 規 定 さ れている 業 務 (A1 A2)についても 市 の 裁 量 の 範 囲 で 業 務 体 制 を 見 直 すなど 効 率 性 を 高 めていくことが 不 可 欠 となる 図 表 7 法 定 等 による 分 類 の 結 果 分 類 業 務 数 ( 比 率 ) 事 業 費 国 庫 支 出 金 県 支 出 金 特 定 財 源 市 債 その 他 一 般 財 源 ( 比 率 ) ( 単 位 : 千 円 ) 職 員 数 ( 比 率 ) A1 A2 B1 B2-1 100(6.6%) 29,444,961 12,168,7640 1,159,706 16,116,491 (16.3%) 178(6.0%) 340(22.4%) 41,288,016 1,598,858 996,100 4,192,793 34,500,265 (34.8%) 1,707 (58.1%) 798(52.5%) 27,715,171 2,153,016 3,801,400 3,725,643 18,035,112 (18.2%) 553(18.8%) 106(7.0%) 5,826,380 9,64234,500352,378 5,429,860 (5.5%)87 (3.0%) B2-2 公 債 費 土 地 開 発 基 金 償 還 金 議 員 報 酬 退 職 手 当 管 理 職 給 与 費 等 災 害 復 旧 費 予 備 費 176(11.6%) 28,085,472 13,594 2,152,900 919,821 24,999,157 (25.2%) 414(14.1%) 5 (0.3%) 16,830,6990 0 697,770 16,132,929 (16.3%)0 (0.0%) 19 (1.3%) 6,334,9800 2,146,9000 4,188,080 (4.2%) 200(6.8%) 8 (0.5%)350,000 0 0 0 350,000 (0.4%)0 (0.0%) その 他 144(9.5%) 4,569,793 13,5946,000222,051 4,328,148 (4.4%) 214(7.3%) 計 1,520 (100.0%) 132,360,000 15,943,874 6,984,900 10,350,341 99,080,885 (100.0%) 2,939 (100.0%) 5 削 減 目 標 達 成 に 向 けた 見 直 し 計 画 書 の 作 成 [6 月 1 日 ~7 月 10 日 ] 一 般 財 源 削 減 目 標 額 を 各 部 局 に 設 定 し 各 部 局 において 目 標 額 を 基 準 に 削 減 目 標 達 成 に 向 けた 見 直 し 計 画 書 を 作 成 した ( 見 直 し 計 画 書 作 成 件 数 320 件 ) 6プロジェクトチームによる 検 討 プロジェクトチームの 設 置 [6 月 1 日 ] 見 直 し 計 画 の 調 整 結 果 のとりまとめ 等 を 行 うため 総 務 部 ( 人 事 課 行 政 管 理 課 行 政 改 革 推 進 担 当 ) 企 画 調 整 部 ( 都 市 政 策 研 究 所 ) 財 政 部 ( 財 政 課 )の 課 長 主 査 担 当 者 15 人 で 構 成 する 事 務 事 業 等 の 総 点 検 プロジェクトチーム を 設 置 した プロジェクトチームによる 検 討 [6 月 1 日 ~] 各 部 局 が 作 成 した 見 直 し 計 画 について プロジェクトチームにおいてさまざまな 視 点 か 67

ら 検 討 を 行 った また 各 部 局 による 一 層 の 見 直 しを 促 すため プロジェクトチームから の 見 直 し 提 案 を 作 成 した プロジェクトチームからの 見 直 し 提 案 の 作 成 にあたっては 全 庁 の 職 員 から 見 直 し 案 を 募 集 し( 職 員 見 直 し 案 38 件 ) 検 討 資 料 として 活 用 した 各 部 局 との 協 議 [8 月 1 日 ~8 月 14 日 ] 各 部 局 が 作 成 した 見 直 し 計 画 の 内 容 や 考 え 方 実 現 可 能 性 スケジュール 見 直 しによ る 影 響 等 について 各 部 局 とプロジェクトチームによる 協 議 を 行 った プロジェクトチームからの 見 直 し 案 (23 件 )を 各 部 局 に 提 案 し 検 討 を 依 頼 した 7 市 長 副 市 長 報 告 [7 月 19 日 7 月 31 日 9 月 7 日 9 月 10 日 11 月 14 日 ] 各 部 局 見 直 し 計 画 提 出 後 および 各 部 局 との 協 議 後 に 各 部 局 見 直 し 計 画 やプロジェクト チームからの 見 直 し 提 案 の 検 討 状 況 を 報 告 し 方 向 性 について 指 示 を 受 けた 8 平 成 20 年 度 予 算 要 求 への 反 映 [9 月 19 日 ~10 月 30 日 ] 予 算 編 成 方 針 に 各 部 局 が 見 直 し 計 画 を 予 算 見 積 書 に 反 映 させることを 位 置 づけた 各 部 局 において 必 要 に 応 じて 関 係 者 の 意 見 聴 取 や 関 係 者 との 調 整 を 行 うなど 見 直 し 計 画 の 実 現 に 向 けた 検 討 を 行 い 平 成 20 年 度 予 算 要 求 に 反 映 した 9 総 務 常 任 委 員 会 で 一 般 所 管 事 項 報 告 [9 月 21 日 ] 第 3 回 市 議 会 定 例 会 総 務 常 任 委 員 会 において 一 般 所 管 事 項 として 総 点 検 の 経 過 につ いて 報 告 した 併 せて 同 資 料 により 全 議 員 に 情 報 提 供 した 10 総 務 常 任 委 員 会 で 一 般 所 管 事 項 報 告 [12 月 5 日 ] 第 4 回 市 議 会 定 例 会 総 務 常 任 委 員 会 において 一 般 所 管 事 項 として 総 点 検 の 経 過 およ び 平 成 20 年 度 予 算 要 求 の 状 況 を 反 映 した 見 直 し 計 画 の 概 要 について 報 告 した 併 せて 同 資 料 により 全 議 員 に 情 報 提 供 した (4) 見 直 しの 視 点 見 直 し 計 画 の 作 成 にあたっては 法 令 で 実 施 が 求 められているものも 含 め 内 部 管 理 の 工 夫 により 効 率 性 を 高 められないかを 優 先 して 検 討 し 併 せて 事 業 等 について 見 直 しが できないか 検 討 した 1 内 部 管 理 の 工 夫 による 効 率 化 法 令 で 実 施 が 求 められているものも 含 め 内 部 管 理 の 工 夫 により 効 率 性 を 高 められない かを 優 先 して 検 討 した 68

( 見 直 しの 視 点 ) 執 行 体 制 や 業 務 の 見 直 しによる 職 員 数 の 削 減 ( 集 中 改 革 プラン 分 を 除 く) 事 務 費 など 内 部 管 理 経 費 の 効 率 化 施 設 等 の 管 理 基 準 の 見 直 しによる 経 費 の 削 減 事 業 スケジュールの 見 直 しによる 経 費 の 削 減 決 算 の 分 析 による 経 費 の 削 減 など 2 事 業 等 の 見 直 し 事 業 等 について 見 直 しができないか 以 下 の 視 点 等 により 多 角 的 総 合 的 に 検 討 した ( 見 直 しの 視 点 ) 時 代 社 会 環 境 の 変 化 や 法 令 制 度 の 変 更 などにより 事 業 の 必 要 性 や 市 が 関 与 す る 必 要 性 が 低 下 していないか 緊 急 性 は 高 いか 施 策 の 重 点 化 により 優 先 順 位 が 低 下 していないか 対 象 や 利 用 者 が 減 少 していないか または 対 象 や 利 用 者 が 少 なく 費 用 対 効 果 に 問 題 はないか 期 待 した 効 果 は 得 られているか 他 団 体 や 民 間 が 提 供 するサービスと 重 複 していないか 当 初 の 政 策 目 的 は 達 成 されていないか 政 策 目 的 を 実 現 するために 必 要 性 は 高 いか 同 目 的 の 類 似 事 業 はないか 代 替 施 策 により 補 完 できないか サービス 等 の 対 象 者 と 対 象 外 の 者 の 公 平 性 は 保 たれているか 関 係 者 の 理 解 を 得 て 協 力 してもらうことができないか 見 直 した 場 合 市 民 生 活 にはどのような 影 響 があるか など (5) 見 直 し 計 画 の 概 要 1 見 直 し 計 画 数 245 件 * 事 業 スケジュールの 見 直 しによる 単 年 度 経 費 の 削 減 決 算 の 分 析 による 経 費 の 削 減 などを 除 く 2 効 果 見 込 み 額 2,853 百 万 円 図 表 8 事 務 事 業 等 の 総 点 検 による 効 果 見 込 み 額 ( 年 度 別 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 年 度 平 成 20 年 度 平 成 21 年 度 平 成 22 年 度 合 計 効 果 見 込 み 額 1,825 526 502 2,853 割 合 64.0% 18.4 % 17.6 % 100.0% 69

3 見 直 し 計 画 による 職 員 の 削 減 数 76 人 ( 職 員 の 一 時 不 補 充 などを 含 まない) 4 見 直 し 計 画 の 性 格 別 分 類 図 表 9 事 務 事 業 等 の 総 点 検 による 効 果 見 込 み 額 ( 性 格 別 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 見 直 し 計 画 の 性 格 効 果 見 込 み 額 割 合 1 内 部 管 理 の 工 夫 による 効 率 化 1,727 60.5% 組 織 執 行 体 制 の 見 直 し 688 24.1% 事 務 経 費 施 設 管 理 基 準 等 の 見 直 し 1,039 36.4% 2 事 業 等 の 見 直 し 219 7.7% サービス 施 設 の 見 直 し 85 3.0% イベント 講 演 会 等 の 見 直 し 45 1.6% 補 助 金 の 見 直 し 40 1.4% その 他 事 業 の 見 直 しなど 49 1.7% 3 制 度 改 正 などによる 減 907 31.8% 合 計 2,853 100.0% (6) 見 直 し 計 画 の 着 実 な 実 行 見 直 し 計 画 については 行 政 改 革 大 綱 に 沿 ったものを 集 中 改 革 プランへ 追 加 するととも に 各 年 度 の 予 算 編 成 において 着 実 に 実 行 していく 見 直 し 計 画 245 件 のうち 130 件 が 集 中 改 革 プランへ 位 置 づけられた また 平 成 18 年 度 から 平 成 22 年 度 の 職 員 数 削 減 計 画 についても 集 中 改 革 プラン 策 定 時 の 274 人 ( 平 成 17 年 度 職 員 定 数 の 6.9%) 削 減 から 325 人 ( 平 成 17 年 度 職 員 定 数 の 8.1%) 削 減 に 上 方 修 正 している (7) 事 務 事 業 等 の 総 点 検 のポイント 事 務 事 業 等 の 総 点 検 は 集 中 改 革 プランによるさまざまな 計 画 がある 中 で さらなる 削 減 を 図 るという 難 しい 取 り 組 みであった 目 標 である 28 億 円 の 削 減 の 見 通 しが 立 ったことで 一 定 の 成 果 を 上 げたと 言 えるが 一 方 で 収 支 のアンバランスの 解 消 については 十 分 見 通 しが 立 ったとは 言 えず 今 後 の 歳 入 歳 出 の 動 きに 注 意 し その 動 きに 合 わせて 柔 軟 な 取 り 組 みが 求 められる 事 務 事 業 等 の 総 点 検 については 今 後 も3~4 年 に1 度 財 政 状 況 などに 合 わせた 手 法 で 実 施 する 予 定 である 今 回 の 取 り 組 みのポイントを 以 下 に 整 理 する 70

1 強 力 なリーダーシップ 危 機 感 の 共 有 全 庁 においては 市 長 副 市 長 の 強 力 なリーダーシップ 各 部 局 においては 部 局 長 のリー ダーシップにより 取 り 組 みを 推 進 した 部 長 会 議 で 市 長 から 各 部 局 長 へ 決 意 と 指 示 を 伝 達 し 併 せてイントラネットを 利 用 し 市 長 から 職 員 へ 向 けたメッセージを 動 画 で 配 信 した また 課 長 主 査 対 象 の 説 明 会 では 副 市 長 の 明 確 な 指 示 の 伝 達 があった 強 力 なリーダーシップが 職 員 に 伝 わり 危 機 感 を 共 有 しながら 取 り 組 みが 進 んだ 2 明 確 な 目 標 の 設 定 現 場 の 判 断 を 重 視 3 年 以 内 に 28 億 円 の 経 常 経 費 削 減 を 目 標 に 掲 げ 各 部 局 に 削 減 目 標 額 を 設 定 し 現 場 に 近 い 事 業 部 門 において 見 直 し 計 画 を 作 成 した スタッフ 部 門 でなく 事 業 部 門 の 判 断 を 重 視 したことにより 現 実 的 な 見 直 し 計 画 がつくられた 各 部 局 削 減 目 標 額 の 設 定 にあたっては 過 去 のシーリングなどでは 別 枠 となっていた 職 員 人 件 費 を 含 め 算 出 した 3スタッフ 部 門 の 連 携 総 務 部 ( 人 事 課 行 政 管 理 課 行 政 改 革 推 進 担 当 ) 企 画 調 整 部 ( 都 市 政 策 研 究 所 ) 財 政 部 ( 財 政 課 )がプロジェクトチームを 構 成 し 事 業 部 門 との 調 整 にあたった Ⅳ 新 たな 取 り 組 み ~ 重 点 施 策 評 価 ( 新 世 紀 ビジョン 評 価 )~ Ⅱで 示 したように 効 果 的 に 重 点 施 策 を 実 行 するためのツールとしても 行 政 評 価 を 機 能 させる 必 要 がある 財 政 体 質 が 改 善 したから 元 気 な 横 須 賀 かといえばそういうことではない 体 質 を 改 善 し 健 康 になった 状 態 で 何 をしていくかが 次 の 重 要 なテーマになる ここでは これまでの 基 本 計 画 の 全 政 策 施 策 を 対 象 とした 評 価 を 見 直 し 対 象 を 絞 り 込 み 政 策 改 善 との 結 びつきを 強 める 重 点 施 策 評 価 のポイントや 手 法 について 示 す (1) 検 討 経 過 都 市 政 策 研 究 所 で 素 案 を 検 討 し 行 政 評 価 プロジェクトチーム(12 人 )で 評 価 の 実 施 を 見 据 えた 検 討 を 行 った 日 程 内 容 ~1 月 中 旬 都 市 政 策 研 究 所 で 素 案 検 討 1 月 17 日 行 政 評 価 プロジェクトチームの 設 置 71

1 月 17 日 第 1 回 行 政 評 価 プロジェクト 会 議 行 政 評 価 の 見 直 しの 方 向 性 について 政 策 施 策 評 価 の 手 順 について 1 月 22 日 第 2 回 行 政 評 価 プロジェクト 会 議 重 点 施 策 評 価 の 手 順 について 1 月 29 日 第 3 回 行 政 評 価 プロジェクト 会 議 重 点 施 策 評 価 の 手 順 について まちづくり 市 民 アンケートについて (2) 重 点 施 策 評 価 の 目 的 重 点 施 策 評 価 の 目 的 は 新 世 紀 ビジョンで 明 らかにした 重 点 施 策 を 市 民 が 実 感 できる 形 で 着 実 かつ 効 果 的 に 進 めることであり そのためのマネジメントサイクルが 機 能 する しくみづくりが 必 要 になる (3) 重 点 施 策 評 価 のポイント Ⅱに 示 した 行 政 評 価 の 課 題 を 踏 まえた 政 策 施 策 に 関 する 評 価 の 再 構 築 のポイントは 以 下 の1~5のとおりである 1 新 世 紀 ビジョンを 着 実 に 進 め 市 民 が 実 感 できる 元 気 な 横 須 賀 を 早 期 に 実 現 するた め 基 本 計 画 をベースにした 本 市 施 策 の 総 合 的 な 評 価 から 重 点 施 策 である 新 世 紀 ビジ ョンの 評 価 に 変 更 する 2 評 価 結 果 と 政 策 の 改 善 をダイレクトに 結 びつけるとともに より 政 策 的 な 視 点 で 評 価 を 行 うため 企 画 調 整 会 議 で 最 終 評 価 を 行 う 3まちづくり 評 価 委 員 会 による 外 部 評 価 を 最 終 評 価 としてきたが 政 策 決 定 との 結 びつき を 強 化 するため 最 終 評 価 を 内 部 評 価 とし まちづくり 評 価 委 員 会 の 意 見 については 部 局 評 価 および 最 終 評 価 の 検 討 材 料 とする 4 政 策 を 展 開 する 主 管 部 の 考 え 方 を 評 価 に 反 映 させるため 政 策 に 関 する 部 局 評 価 を 導 入 する 5 評 価 結 果 をスピーディかつ 着 実 に 予 算 に 反 映 させるため すべての 評 価 を9 月 上 旬 まで に 終 了 させる (4) 重 点 施 策 評 価 の 評 価 と 見 直 しの 対 象 重 点 施 策 評 価 では 新 世 紀 ビジョンで 目 指 す 市 民 が 実 感 できる 元 気 な 横 須 賀 将 来 像 施 策 の 方 向 性 施 策 の 方 向 性 を 推 進 する 事 業 について 評 価 し 事 業 につい ては 毎 年 度 評 価 結 果 から 必 要 に 応 じて 見 直 しを 行 う 施 策 の 方 向 性 についても 3~4 年 に1 度 実 施 計 画 策 定 前 に 見 直 しの 必 要 性 を 検 討 するが 元 気 な 横 須 賀 将 来 像 については 一 定 期 間 固 定 のものとして 取 り 扱 う 72

図 表 10 評 価 と 見 直 しの 対 象 元 気 な 横 須 賀 将 来 像 施 策 の 方 向 性 事 業 評 価 見 直 し - - は 毎 年 は3~4 年 に1 回 -は 一 定 期 間 固 定 (5) 重 点 施 策 評 価 の 手 順 重 点 施 策 評 価 は 現 状 を 把 握 することからスタートする 新 世 紀 ビジョンに 示 した 目 標 にどの 程 度 近 づいているのかを 検 証 するとともに 目 標 に 近 づくために 実 施 している 主 要 事 業 が 着 実 に 進 んでいるかを 見 る さらに それが 市 民 の 実 感 につながっているかを 市 民 アンケートにより 調 査 する 次 に これらのデータをまちづくり 評 価 委 員 会 に 示 し 専 門 的 な 視 点 や 客 観 的 な 視 点 か らの 意 見 を 聴 取 する 部 局 評 価 では 市 民 アンケートなどのデータとまちづくり 評 価 委 員 会 の 意 見 を 受 けて 各 部 局 がそれぞれの 立 場 から 新 世 紀 ビジョンの 進 ちょく 状 況 について 考 察 し 新 世 紀 ビ ジョンの 実 現 を 市 民 に 実 感 してもらうために 何 が 必 要 なのかを 検 討 する 部 局 評 価 が 出 揃 ったら 市 長 副 市 長 をトップに 関 係 部 長 等 で 構 成 する 企 画 調 整 会 議 に 各 部 局 の 見 解 を 持 ち 寄 り 新 世 紀 ビジョンの 進 ちょく 状 況 について 市 全 体 でどのように 解 釈 するのかを 議 論 し その 上 で 新 世 紀 ビジョンの 実 現 のための 短 期 中 長 期 の 方 針 を 決 定 する 決 定 された 方 針 はスピーディかつ 着 実 に 次 年 度 予 算 に 反 映 させていくことになる 重 点 施 策 評 価 における 企 画 調 整 会 議 は 新 世 紀 ビジョンという 経 営 戦 略 を 実 行 するため の 民 間 企 業 で 行 われている 経 営 会 議 をイメージするものであり 今 後 の 取 り 組 みの 方 向 性 や 資 源 配 分 のバランスなどを 議 論 する 場 である 図 表 11 重 点 施 策 評 価 の 手 順 新 世 紀 ビジョン の 目 標 値 主 要 事 業 の 実 施 状 況 市 民 アンケート まちづくり 評 価 委 員 会 部 局 評 価 企 画 調 整 会 議 部 長 会 議 73

Ⅴ おわりに 行 政 評 価 は 経 営 ツールの 一 つであるので いつも 同 じ 手 法 でやればよいというもので はない 今 回 の 評 価 体 系 の 再 構 築 も 全 政 策 施 策 を 対 象 とした 政 策 施 策 評 価 と 実 施 計 画 事 業 を 対 象 とした 事 務 事 業 評 価 そしてこれらを 合 わせる 統 合 評 価 を5 年 間 運 用 し そのプロ セスがあったからこそ 進 むことができる 新 たなステップである 今 後 も 内 部 外 部 の 経 営 環 境 に 合 わせて 必 要 とされる 目 的 を 明 確 にし 適 切 な 手 法 を 追 求 していく 必 要 がある 今 回 の 見 直 しにより 横 須 賀 市 の 行 政 評 価 は 新 たなステップに 歩 みを 進 めた 平 成 20 年 度 から 導 入 する 新 たな 重 点 施 策 評 価 のしくみは 基 本 計 画 の 改 定 も 見 据 えたものではある が 運 用 しながら 改 良 していくことは 必 要 であるし 数 年 後 にはまた 大 きな 方 向 転 換 もあ り 得 ると 考 える 参 考 文 献 : 横 須 賀 市 行 政 改 革 推 進 委 員 会 (2007 ) 横 須 賀 市 の 行 政 改 革 に 関 する 提 言 横 須 賀 市 まちづくり 評 価 委 員 会 (2007 ) 横 須 賀 市 まちづくり 評 価 委 員 会 報 告 書 ( 平 成 18 年 度 ) 平 成 17 年 度 行 政 評 価 について( 提 言 ) 74

第 3 章 情 報 蓄 積 政 策 情 報 アーカイブの 構 築

政 策 情 報 アーカイブの 構 築 梯 大 介 Ⅰ 目 的 と 方 法 本 事 業 は 過 去 に 本 市 で 行 われた 重 要 な 行 政 課 題 への 取 り 組 みについて 当 時 の 政 策 担 当 者 にヒアリングを 行 い そのプロセスの 中 で 獲 得 した 交 渉 技 術 やアイデア 等 有 形 無 形 の 経 験 や 情 報 ノウハウを 今 後 の 本 市 における 政 策 形 成 に 生 かせるよう ア ーカイブ としてストックするものである さらに 研 究 協 力 者 として 各 部 局 から 主 査 クラスの 職 員 15 名 に 参 加 してもらい ホンモノ の 事 業 を 検 討 課 題 として 当 時 の 判 断 や 行 動 を 追 体 験 することにより 実 際 の 政 策 形 成 におけるノウハウの 獲 得 や 職 員 個 人 の 市 政 に 関 する 応 用 知 識 の 形 成 など 実 践 的 な 人 材 育 成 のモデル 研 究 を 目 的 としている このような 目 的 のもとでスタートした 本 事 業 は 今 年 度 が 初 めての 試 みであり 政 策 形 成 を 担 ってきた3 名 の 管 理 職 を ヒアリング 対 象 者 として 協 力 を 得 た 具 体 的 には 主 に 取 り 組 んだ 事 業 をテーマとし 研 究 協 力 者 がヒアリング 対 象 者 からこれまで 政 策 形 成 の 過 程 で 培 ってきた 経 験 やノウハウ そこで 発 揮 された 能 力 などを 聞 き 出 すというものであ る また コーディネーターをお 願 いした 金 井 利 之 東 京 大 学 公 共 政 策 大 学 院 教 授 とも 協 力 し 講 座 の 学 生 もヒアリングに 参 加 した 前 述 のとおり 本 事 業 の 目 的 の 一 つは これまでのノウハウを 今 後 に 生 かせるようにア ーカイブ つまり 記 録 としてストックすることにある ヒアリングでは 大 小 様 々なエピ ソードがあり それらの 積 み 重 ねがこれまでの 政 策 形 成 に 携 わった 人 を 培 ってきたことを 実 感 することができる そのために 本 事 業 は ヒアリング 対 象 者 と 研 究 協 力 者 との 対 話 か らその 知 見 を 当 事 者 の 生 の 声 言 葉 として 引 き 出 す 手 法 をとっている よって 本 事 業 の 報 告 書 ではヒアリングにおける 対 話 形 式 のままを 記 録 として 残 すこととしている なお その 記 録 は 本 事 業 のイントロダクションとして 行 われた 金 井 教 授 の 講 演 とともに 政 策 情 報 アーカイブの 構 築 事 業 報 告 書 に 詳 細 を 掲 載 しているので そちらを 参 照 され たい また 参 加 した 東 京 大 学 公 共 政 策 大 学 院 でも 自 治 体 職 員 が 政 策 形 成 に 係 る 経 過 と 職 員 の 能 力 開 発 について 独 自 に 報 告 書 を 作 成 している 本 稿 では それぞれの ヒアリング 対 象 者 が 発 言 した 事 柄 を テーマごとに 一 部 抜 粋 して 紹 介 する 75

Ⅱ ヒアリングの 一 部 抜 粋 以 下 では ヒアリング 対 象 者 の 発 言 の 一 部 を 報 告 する ヒアリングA( 対 象 者 : 井 上 透 経 済 部 雇 用 労 働 YRP 担 当 課 長 ) 略 歴 最 初 の 所 属 の 市 民 病 院 では 平 成 2 年 まで 12 年 間 在 籍 し 後 に 総 務 部 ( 財 政 部 ) 契 約 課 に 異 動 となる 契 約 課 では 平 成 11 年 までの9 年 間 に 担 当 者 から 主 任 主 査 という 最 も 働 き 盛 りの 期 間 を 過 ごし 様 々な 改 革 に 取 り 組 むことになる その 後 は 都 市 部 都 市 計 画 課 企 画 調 整 部 情 報 政 策 課 同 部 企 画 調 整 課 を 経 て 総 務 部 人 事 課 への 異 動 に 伴 い 課 長 に 昇 進 し 人 事 制 度 改 革 に 取 り 組 むこととなる そして 現 在 の 経 済 部 企 業 誘 致 推 進 課 に 至 る (1) 仕 事 の 取 り 組 み 方 1 仕 事 の 取 り 組 み 方 人 の 話 を 聴 くということは 非 常 に 大 切 だと 思 っている 前 任 者 は 職 員 や 業 者 からの 苦 情 や 要 望 などをきちんと 聞 き 周 りから 頼 られていたので それを 見 習 おうと 思 っていた また 仕 事 に 対 しては 言 われたとおりにやるのではなく 常 に 疑 問 をもってやるべき で 新 たな 発 想 の 転 換 などをして 業 務 に 取 り 組 んでいって かつ 市 民 サービスを 低 下 させな いような 部 分 も 持 ち 合 わせていることが 必 要 と 思 っている また 若 手 からの 意 見 を 吸 い 上 げるような 形 で きちんと 話 せる 場 をつくらなければいけないと 思 っている (2)テーマ1: 入 札 制 度 改 革 事 業 概 要 全 国 的 に 談 合 や 贈 収 賄 事 件 等 が 多 発 し これらの 防 止 を 目 的 として 取 り 組 むこととな った 具 体 的 には 全 ての 事 業 者 が 入 札 に 参 加 できるようにする 一 般 入 札 制 度 への 全 面 転 換 談 合 を 行 う 機 会 を 排 除 するための 郵 便 入 札 の 導 入 役 所 側 の 恣 意 を 排 除 する ラ ンク 制 と 主 観 点 の 廃 止 などである これらにより 平 均 落 札 率 が 平 成 9 年 の 95.7 %か ら2 年 後 には 85.7 %まで 下 がるなど 絶 大 な 効 果 をもたらした 1 意 識 の 変 化 この 入 札 制 度 改 革 は 市 長 のイニシアチブのもと 推 進 された 当 初 は 今 までどおりにや っている 入 札 に 慣 れていたので 改 革 についての 必 要 性 は 認 識 していたが 自 ら 進 んで 入 札 制 度 の 改 革 を 行 うことは 考 えていなかった そのような 中 部 長 が 非 常 に 強 いリーダーシップを 発 揮 し 我 々が 想 像 つかないような 76

部 分 に 関 してまでいろいろ 提 案 してきた 部 長 は 強 い 志 の 中 でいろいろなことを 変 えて 行 き 非 常 に 勉 強 になったが スピードの 速 さと 発 想 の 転 換 についていくことは 大 変 だった 私 自 身 長 く 契 約 課 に 携 わっている 中 で 全 く 違 う 側 面 から 言 われることが 悔 しいという 思 いがあったので 最 初 は 非 常 にぶつかっていたが 最 後 にはそう 言 われないようにどう したらいいのだろうかといろいろ 考 えるようになったのである 2 国 や 県 との 交 渉 入 札 を 変 えるときに 県 や 国 の 方 と 話 をしたが 当 然 国 や 県 に 関 しては 過 去 の 事 例 を 取 って 建 前 の 中 でしか 話 をしない 部 分 があり あまり 意 味 がなかった 特 に 国 でも 入 札 制 度 を 変 えようとしているところであり 横 須 賀 が 国 の 方 針 と 違 う 方 法 を 行 うことに 異 議 を 唱 えられたが 逆 に 我 々が 変 わることで 国 や 県 にも 変 わってもらわないと 困 るというぐ らいの 気 持 ちがあった 3 現 状 への 問 題 意 識 業 務 に 慣 れてくると 入 札 制 度 改 革 だけではなく 契 約 課 全 体 での 今 の 状 態 がどうなのだ ろうかということが 見 えてくる 例 えば 入 札 参 加 申 請 書 類 や 申 請 方 法 の 変 更 契 約 規 則 の 改 正 等 も 行 った 特 に 清 掃 業 務 委 託 や 有 人 警 備 は 長 年 1 社 随 意 契 約 を 行 っていたのを 競 争 入 札 に 変 更 した そして 清 掃 業 務 委 託 の 予 定 価 格 は 業 者 からの 見 積 りで 予 定 価 格 を 決 定 していたが 国 の 積 算 基 準 を 参 考 に 予 定 価 格 を 決 定 するようにした 業 務 を 見 直 す 部 分 はたくさんあったが なかなかマンパワーがなくてできず 一 つ 一 つ を 変 えていった (3)テーマ2: 人 事 制 度 改 革 事 業 概 要 職 員 の 意 欲 と 能 力 を 高 め 最 大 限 に 活 用 することにより 質 の 高 いサービスを 効 率 的 に 提 供 し 市 民 に 市 政 に 対 する 満 足 度 を 高 めることのできる 人 事 制 度 を 構 築 した 特 徴 としては 等 級 制 度 評 価 制 度 給 与 制 度 について 根 幹 から 見 直 しを 行 い 各 制 度 を 関 連 付 けた 一 つの 総 合 的 な 体 系 を 整 備 するという 考 え 方 のもと 人 事 制 度 全 般 について 改 革 を 実 施 した 1 人 事 評 価 への 意 識 人 事 評 価 の 目 的 は 評 価 をすることが 目 的 ではなく 評 価 をすることにより 職 員 の 長 所 と 短 所 を 把 握 し 職 員 の 意 欲 と 能 力 を 向 上 させること である それには 職 員 が 人 事 制 度 に 目 を 向 けなければいけない それがまず 意 識 改 革 であった 特 に 課 長 職 はこの 制 度 のキーマンになっている 課 長 職 は 主 査 担 当 者 など 役 所 の 中 77

で 大 部 分 を 占 める 人 の 評 価 をするので 公 正 な 評 価 をするとともに その 評 価 結 果 に 基 づ き 人 材 育 成 を 行 う 重 責 を 担 っている そのために 課 長 職 に 対 しての 研 修 は 手 厚 く 行 った 2 改 革 の 方 向 性 方 向 性 に 関 しては 担 当 課 が 設 置 された 以 前 から 人 事 課 で 検 討 をしており 大 まかには 示 されていた また 県 が 人 事 制 度 の 検 討 会 を 行 っており そのメンバーに 部 下 であった 主 査 が 参 加 していたので ある 程 度 の 仕 組 みなどもわかっていた ただ 平 成 16 年 度 にこの 担 当 課 がスタートしたのだが 私 は 人 事 制 度 のデータはほとん どもっていなかったので 自 分 がおかしいと 思 うことではなく 今 の 状 況 の 中 で 進 んでい る 話 を 聞 いて その 中 でどうしようという 判 断 をしていった それと 管 理 部 門 からの 押 し 付 けということはしてはいけないということは 特 に 意 識 していた また 大 方 の 人 は アピールカードの 使 われ 方 や 異 動 や 昇 任 の 決 まり 方 ということは 分 からないと 思 う まずその 人 事 のブラックボックスを 詳 らかにしなければいけないと 感 じた その 部 分 に 関 しては 職 員 にも 伝 えなければいけないし 質 問 があればなるべく 応 え なければいけないと 思 っていた 3ワーキングチームとプロジェクトチームの 立 ち 上 げ ワーキングチームをつくるにあたり 担 当 課 が 各 部 署 から 指 名 してメンバーを 決 めるこ ともできたが 人 事 ということは 全 員 に 関 係 するものなので 自 ら 手 を 挙 げた 人 たちが 自 分 たちの 意 見 を 喧 々 諤 々とあわせながら 合 意 形 成 をする 方 が 納 得 度 も 高 いと 考 え 職 員 全 部 の 視 点 に 立 つ 意 味 でも 各 部 からの 推 薦 をいただいた プロジェクトチームのメンバーは 先 にも 述 べたが 人 事 制 度 は 課 長 級 がキーマンになる ので 将 来 にわたり 課 長 自 らこの 制 度 を 理 解 運 用 してもらわなくては 困 るということで 若 手 の 課 長 を 出 してもらった 4ワーキングチーム プロジェクトチームの 運 営 ワーキングチーム 等 は 多 数 決 や 事 務 局 で 決 まってしまうのではなくて 意 見 を 出 した 人 にはきちんと 話 をしなければいけないと 思 っていた 若 手 の 課 長 はいろいろな 意 見 を 持 っており 役 所 の 中 で 私 が 担 当 課 長 になって 一 番 若 いので そこの 部 分 ではおそらく 言 い 易 かったのではないかと 思 う その 中 で かなりハードな 意 見 交 換 をしながらやっていっ た 一 般 的 に 担 当 者 や 主 査 の 会 議 で 決 まったことが 課 長 や 部 長 の 会 議 で 変 わってしまうケ ースはよくあることである そこでなぜ 変 わったのかということを 詳 らかにしなければい けない そのためには ワーキングチームの 中 で 担 当 するリーダー サブリーダーには 一 緒 にプロジェクトチームの 会 議 に 出 てもらい ワーキングチームで 議 論 した 結 果 が 変 わっ 78

てしまった 場 合 なぜ 変 わったかという 経 過 を 明 らかにした 方 が 納 得 度 も 高 いと 考 えて 参 加 してもらった 5 職 員 の 反 応 おそらく 人 事 制 度 は 職 員 全 員 が 納 得 しているとは 思 っていない それぞれの 意 見 は 違 う が その 中 で 大 多 数 を 占 めた 意 見 に 従 って 組 織 は 動 かなければいけないと 思 う そこで 職 員 に 対 するアンケートを 平 成 16 年 度 から 行 った そして 平 成 18 年 度 に 行 っ た 最 後 のアンケートにおいて 大 枠 でいい 方 向 にいけているのではないかという 結 果 が 出 た また それとは 別 に 個 別 でもいろいろな 話 があった 直 接 話 したこともあったが どう しても 意 見 が 合 わない 人 もおり 特 に 今 までの 管 理 職 の 主 幹 技 幹 から 主 査 級 になってし まう 人 たちにとっては 不 満 が 鬱 積 し かなり 厳 しい 話 をもらった ただ それは 意 見 とし て 聞 くが この 制 度 は 何 のためかというと これから 横 須 賀 市 を 担 う 人 がどれだけ 頑 張 っ てもらうかということなので そこの 部 分 は 全 く 変 える 必 要 がなかったと 思 っていた 6 評 価 への 思 い 各 課 長 は 全 庁 で 150 人 以 上 いるが 平 成 17 年 度 は4~5 人 のグループと 平 成 18 年 度 は 一 人 ひとりと 面 談 をし 意 見 交 換 を 行 った 制 度 を 押 し 付 けるのではなく まず 課 長 がコアになってその 人 が 納 得 してくれないとい けないと 思 っている 各 課 長 によって 温 度 差 があるが 今 以 上 に 課 長 が 一 歩 前 に 出 ないと 人 事 制 度 の 目 的 達 成 が 困 難 であると 思 う そのために きちんと 説 明 をして 少 しでも 納 得 してもらえればいいと 思 っていた つまり 意 識 改 革 なのである 私 の 苦 労 よりも その 制 度 で 職 員 が 評 価 されたときに 変 な 評 価 をされると 職 員 のため にならないので きちんと 説 明 して 少 しでも 前 に 足 を 出 してもらえればいいと 思 ってい た それが 集 合 の 研 修 ではなかなか 伝 わらないので 面 談 を 行 ったということである ただ 評 価 制 度 は 実 際 に 私 が 思 い 描 いていた 形 と 多 少 違 っている 部 分 もある しかしそ れはワーキングチームやプロジェクトチームの 中 で 検 討 したものなので 納 得 はしている が 私 は 行 動 評 価 については 項 目 数 を 絞 ってもいいのではないかと 思 っている 人 事 評 価 制 度 とは 評 価 することが 目 的 ではなく 職 員 が 頑 張 るような 仕 組 みをつくる ことだと 思 っている 上 司 と 部 下 がコミュニケーションを 取 れるような 関 係 になれば 部 下 からもいろいろな 意 見 も 出 て それに 伴 い 職 員 のやる 気 も 出 てくるので それは 凄 く 大 事 なことだと 考 えている 79

ヒアリングB( 対 象 者 : 小 貝 幸 久 都 市 部 都 市 総 務 課 長 ) 略 歴 市 内 で 生 まれ 育 っていたので 県 外 の 大 学 へ 行 くことによって 横 須 賀 市 の 魅 力 を 改 め て 実 感 することができ 卒 業 後 は 横 須 賀 市 で 働 きたいと 思 うようになった 高 校 時 代 からバレーボールや 剣 道 などのスポーツに 打 ち 込 み とても 苦 しいことも 経 験 してきた 職 場 でもバレーボール 部 に 所 属 し 県 実 業 団 1 部 昇 格 に 尽 力 するなどの 熱 意 を 持 ち スポーツで 培 った 強 い 精 神 力 がその 後 の 原 動 力 になっていることが 垣 間 見 え る 昭 和 54 年 の 入 庁 時 は 土 木 部 用 地 課 に 配 属 されて 市 内 中 を 走 り 回 ったことで 隅 々ま で 知 ることができた その 後 税 務 部 資 産 税 課 建 築 部 住 宅 課 経 済 部 地 域 活 性 推 進 課 ( 産 業 政 策 課 )を 経 て 秘 書 課 時 代 には 市 長 の 行 動 を 間 近 で 見 ることができ 市 の 政 策 の 全 体 を 見 渡 すことができた このような 経 験 により 横 須 賀 市 が 抱 える 課 題 などを 把 握 できるようになった それ 以 降 は 総 務 部 中 核 市 推 進 課 財 政 部 財 政 課 を 経 て 企 画 (1) 調 整 部 仕 企 事 画 の 調 取 整 り 課 組 への み 方 異 動 に 伴 い 課 長 に 昇 進 し 現 在 の 都 市 部 都 市 総 務 課 に 至 る (1) 仕 事 の 取 り 組 み 方 1 仕 事 の 取 り 組 み 方 立 ち 止 まっていると 問 題 は 大 きくなる 壁 である 以 上 その 壁 はそのまま 留 まっていて くれない そこを 突 き 崩 す 作 業 をしなければ どんどん 大 きくなってしまうので 一 番 い いと 思 われる 対 応 策 を 職 場 の 人 間 たちでいつも 考 えるようにしている 市 として 市 民 や 議 会 に 対 して どのようにすれば 一 番 いい 結 果 になるのだろうと 探 せば 全 く 手 の 打 ちよ うがないということはないので とにかく 行 動 することが 大 事 だと 思 っている 新 しい 職 場 に 行 くと 効 率 的 でないことをよく 感 じることがある 余 分 な 仕 事 は 省 いて その 分 を 他 にまわせばいいということを 基 本 的 に 考 えている それは 変 化 を 求 めるという よりは 改 善 をしていったほうがいいという 考 えであり 説 明 を 聞 いたときにおかしいと 思 う 時 は 必 ず 声 を 出 して 言 うようにしている 2 市 長 から 学 んだ 仕 事 に 対 する 姿 勢 沢 田 前 市 長 は 横 須 賀 市 の 人 ではなかったが 本 当 に 横 須 賀 が 好 きだということは 秘 書 課 在 籍 時 に 常 に 一 緒 にいて 感 じていた 横 須 賀 市 のパンフレットをいつもかばんの 中 に 詰 め 東 京 に 行 ったりした 時 に 一 生 懸 命 PRをしていた また 市 長 の 横 にいると 市 の 政 策 の 全 体 を 見 ることができ そのことで 自 分 の 担 当 する 仕 事 だけでなく 横 須 賀 市 の 中 がどういうように 動 いているのかということを 知 っておく 必 要 があると 感 じた まず 横 須 賀 を 好 きになって 横 須 賀 の 動 きを 知 っているということ を 前 提 にして 仕 事 に 取 り 組 むとかなり 幅 が 出 てくると 感 じることになった 80

3 管 理 職 としてのマネジメント 仕 事 をするのは 担 当 者 であり 管 理 職 はマネージャーとしていろいろな 判 断 を 与 えたり 先 を 見 据 えて 何 が 必 要 になるかをあらかじめ 考 えながら 材 料 として 渡 すなどのコントロ ールをするのである 職 員 とは 毎 日 一 緒 にいて 顔 をあわせているので 何 をやっているか 何 を 言 っているか ということは 全 部 わかる 自 分 がそのチームのリーダーとして 動 かしていきたいし うま くみんなにも 動 いて 欲 しいし かつ 自 分 と 考 え 方 が 一 致 していて 欲 しい だから 対 話 す る 時 に 自 分 から 近 寄 っていって いろいろと 聞 きながら 仕 事 をしている 仕 事 を 知 っているのは 担 当 者 なのだが 表 現 の 仕 方 が 上 手 くなかったり ポイントや 全 体 が 見 えていないだけに 漏 れていることも 結 構 ある そういうことがないようにするために 方 向 性 の 指 示 はするが 中 身 の 細 かいとこまでは 言 い 過 ぎないようにして 必 ず 文 書 で 提 案 してもらうようにしている 担 当 者 はそれをつくりながら 自 分 の 考 え 方 もまとまるし それを 説 明 する 時 にプレゼンの 能 力 も 高 まる この 人 に 任 せておけば 大 丈 夫 という 人 にな って 欲 しいという 思 いで 向 かい 合 っている (2)テーマ1: 中 核 市 の 推 進 事 業 概 要 県 から 事 務 権 限 を 移 し 市 民 に 身 近 な 市 役 所 を 実 現 することにより 市 民 の 利 便 性 を 高 め あわせて 一 層 の 地 方 分 権 の 推 進 を 図 るために 中 核 市 になることを 目 指 した 中 核 市 への 移 行 については 事 務 を 移 行 する 側 の 神 奈 川 県 などとの 協 議 が 最 も 重 要 で あった そこで 庁 内 への 受 け 入 れ 態 勢 を 整 えるとともに 市 民 への 啓 発 活 動 にも 力 を 入 れるために 平 成 11 年 に 総 務 部 内 に 中 核 市 推 進 課 を 設 置 した そして 平 成 13 年 4 月 1 日 に 全 国 で 28 番 目 の 中 核 市 に 移 行 することとなった この 移 行 により 本 市 に 移 譲 された 事 務 は 新 規 事 務 とすでに 本 市 で 処 理 している 事 務 をあ わせて 1,175 件 にのぼる 1 中 核 市 推 進 課 への 応 募 秘 書 課 在 籍 時 に 市 長 が 中 核 市 要 件 の 緩 和 について 国 に 要 望 する 時 に 同 行 していたこと で 中 核 市 の 流 れを 意 識 はしていた 市 といっても 様 々な 規 模 があり それが 一 律 に 同 じ 事 務 だけをやっていることはおかしいので ある 程 度 の 規 模 の 都 市 には 県 から 権 限 を 移 譲 するべきだというのが 中 核 市 の 考 え 方 であるが そういう 転 機 に 自 分 も 携 わりたいと 思 っ た その 時 は 秘 書 をやっていて4 年 目 だったが この 業 務 にずっと 慣 れてしまって 鋭 敏 で なくなるところも 出 てきてしまうのではないかと 思 い 始 めたこともあり 応 募 することに した 81

2 中 核 市 移 行 の 目 的 と 問 題 点 中 核 市 になる 目 的 は 何 かというと 市 としての 格 を 上 げ それによって 全 国 に 横 須 賀 市 が 中 核 市 になる 程 の 実 力 のある 都 市 であるということを 発 信 することであった また 市 民 にとっては 県 が 事 務 をやっているよりも 市 役 所 がやってくれることによって 利 便 性 が 上 がるうえ 県 を 経 由 したことによって 手 間 や 時 間 がかかっていたものが 短 縮 できるとい うメリットが 生 じる それから 何 よりも 本 市 の 職 員 が 中 核 市 の 職 員 として 意 欲 が 高 まる ということを 目 的 として 取 り 組 んだのである ただし その 移 行 には 財 源 という 問 題 があった 中 核 市 になると 県 から 事 務 を 移 譲 され るが 法 に 基 づいて 補 助 金 を 出 さないといけない 仕 事 もついてくる さらにそのような 補 助 金 のほかに 県 が 独 自 に 上 乗 せしていたような 補 助 金 も 移 るのである 当 初 から 中 核 市 の 用 件 を 備 えているが その 理 由 で 財 政 が 苦 しくなるので 移 行 しないという 市 もある 財 源 については 地 方 交 付 税 に 中 核 市 補 正 があり 基 本 的 には 増 額 となるが このように 中 核 市 になったことによってそれ 以 上 に 持 ち 出 しが 多 くなる 場 合 がある 新 たに 必 要 とな る 経 費 が 全 部 その 補 正 でまかなえ かつ 余 りが 出 て その 分 を 新 たな 財 源 として 例 えば 周 辺 の 市 町 村 との 連 携 や 新 たな 政 策 のために 使 えることになれば 一 番 望 ましい 形 だと 考 えていた 3 中 核 市 移 行 のための 交 渉 中 核 市 への 移 行 とは 県 と 市 の 間 で 何 の 法 律 の 定 めもない 中 で 県 が 今 までやってきた 事 業 をどこまで 市 が 引 き 受 けるかということであり 県 が 圧 倒 的 に 有 利 である これがう まくいかないと 県 が 補 助 している 事 業 で 本 市 だけが 受 けられない 形 になることもある 行 政 同 士 でどこが 財 源 を 出 すかという 交 渉 をすることが 一 番 大 きかったのである 各 担 当 部 局 は 綿 密 な 打 合 せをして その 事 務 が 滞 りなく 移 譲 されるようにするなど 移 行 にはものすごくエネルギーのいる 仕 事 だった この 仕 事 をするうえで 中 核 市 補 正 の 中 に 必 ず 収 めるようにしてほしいと それから 少 し 余 ってお 金 が 使 えるようにしてほしいと いうことを 県 に 理 解 してもらうということが 重 要 だった そうすると 知 事 と 市 長 などの 話 し 合 いが 重 要 となり 自 分 が 秘 書 課 にいた 時 の 経 験 から トップに 動 いてもらわないといけない 場 面 が 相 当 出 てくるだろうという 感 覚 はあった と ころが 中 核 市 推 進 課 のある 総 務 部 は 企 画 調 整 部 とは 違 い どちらかといえば 行 儀 のいい 仕 事 の 仕 方 になっていたので 多 少 のギャップを 感 じていた やはりいろいろな 問 題 を 突 きつけられた 時 に 大 きな 問 題 点 と 感 じられる 事 については 大 至 急 市 長 に 時 間 をもらいながら 相 当 打 合 せをして 市 の 考 えを 県 側 に 返 すということに よって 協 議 が 成 立 していくことになるし 最 終 的 にはそういう 動 きができたからこそ 中 核 市 になれたと 思 う 82

(3)テーマ2: 交 流 都 市 の 推 進 事 業 概 要 本 市 では 総 人 口 の 減 少 と 少 子 高 齢 化 が 進 む 中 で さまざまな 人 が 横 須 賀 を 訪 れ 横 須 賀 で 活 動 し 交 流 する 活 気 にあふれたまちを 実 現 するため 平 成 16 年 に 職 員 による 交 流 都 市 推 進 プロジェクトチーム( 以 下 PTという)を 設 置 した PTにより 交 流 人 口 調 査 を 実 施 したり 翌 年 には 学 識 経 験 者 や 関 係 者 市 民 による 交 流 都 市 推 進 懇 話 会 を 設 置 して 広 く 検 討 を 行 った そして 市 議 会 交 流 都 市 推 進 特 別 委 員 会 を 経 て 平 成 18 年 3 月 に 交 流 都 市 推 進 プラ ン を 策 定 した 1 交 流 都 市 の 位 置 づけ 交 流 人 口 の 増 加 は 平 成 10 年 に 横 須 賀 市 が 定 めた 基 本 計 画 の 中 に いきいきとした 交 流 が 広 がるまちを 目 指 す という 政 策 が 掲 げられている これを 実 現 していくために 何 に 取 り 組 むかということが 具 体 的 になっていない 状 態 であった しかし 交 流 人 口 の 増 加 を 位 置 づけるには 様 々な 議 論 を 招 くことが 予 想 された 交 通 状 況 が 良 い 訳 ではない 半 島 に 人 がどんどん 来 るということは 交 通 渋 滞 も 招 くし 来 た 人 が ごみを 置 いていくかもしれないし 犯 罪 も 増 えるかもしれない こういう 議 論 に 対 してき ちんと 説 明 できるようにするということが 入 り 口 だった 実 際 にPTを 結 成 して 議 論 したが 交 流 人 口 の 増 加 を 推 進 するべきとの 考 えになかなか 一 歩 踏 み 込 めずに かなりの 回 数 の 会 議 を 重 ねてきたという 状 態 だった 2プロジェクトチームの 運 営 PTを 若 手 の 職 員 で 構 成 して まず 統 一 した 見 解 を 持 つために 初 めに 研 修 会 を5 回 開 催 した 内 容 は 都 市 戦 略 として 交 流 都 市 をどう 進 めればいいのかということの 考 え 方 や 外 国 の 取 り 組 みだとか また 横 須 賀 の 歴 史 や どういう 魅 力 が 残 っているのかなど 交 流 都 市 としてのまちづくりはどういうことに 取 り 組 めばいいのかということである 会 議 の 資 料 づくりは 非 常 に 大 変 だったが いろいろなこともわかってきた 横 須 賀 市 は きれいな 観 光 パンフレットを 作 っていたのだが 外 から 来 た 人 がそれを 見 た 時 にわかりに くかったのである また これが 駅 前 などの 簡 単 に 手 に 入 る 場 所 にもなかった さらに 外 から 来 た 人 に 対 してまわりやすい 交 通 網 が 整 備 されていないのである 個 々 の 場 所 のPRはあっても 線 ではつながっていない 状 態 だった まず 大 交 流 時 代 の 中 で 横 須 賀 市 が 取 り 残 されたまちにならないように 人 から 選 ばれ るまちになろうということが 大 目 標 であり それによってまちに 賑 わいができて まちも 発 展 することを 目 的 としているわけであり そういうことを 議 論 した 83

3 実 地 調 査 ~プランの 策 定 市 外 から 来 た 人 が 横 須 賀 市 に 来 て 何 を 感 じているのかのデータは 全 くなかったので P Tで 手 分 けをして 市 内 の 観 光 地 や 駅 前 で 市 外 から 来 た 人 にアンケートを 取 った そういう 作 業 を 自 分 たちでやってみることで 横 須 賀 を 良 く 知 らなければいけないし 横 須 賀 の 現 状 を 自 分 たちの 肌 で 感 じなければいけないし 横 須 賀 に 関 するデータも 全 部 知 らなければいけないし 何 よりも 自 分 たちが 横 須 賀 を 好 きにならなければ 何 を 発 信 してい いのかもわからないということを 感 じた また 関 係 する 事 業 者 などで 交 流 都 市 の 推 進 懇 話 会 を 設 立 して いろいろな 意 見 をもらうこともした これらをたたき 台 として ある 程 度 の 方 向 性 をPTでまとめて 平 成 17 年 度 に 交 流 都 市 推 進 プランをつくりあげた 実 際 には 今 ある 横 須 賀 の 魅 力 を 高 めるためにすでにお 金 をかけているところを 有 効 活 用 する 周 遊 性 を 高 めて 滞 在 時 間 を 長 くしてもらう 何 よりも 大 切 なのが 市 民 に 横 須 賀 を もっと 知 ってもらっていいまちだということを 感 じてもらい それを 口 コミで 伝 えてもら うという3つの 柱 に 取 り 組 んだ このプロジェクトは 横 須 賀 の 魅 力 を 高 めることにつながることから 他 の 部 局 の 事 業 に も 広 く 関 連 することになる これまではそのためにひとつになって 取 り 組 んだことはなか ったので そういう 意 味 でもこれまでとは 圧 倒 的 に 異 なるプロジェクトだと 思 っている 4 議 会 との 関 わり 人 に 来 てもらうこともそうだが 議 会 が 一 番 気 にしていたのは 人 口 減 なので 定 住 の 増 加 につながるような 策 をしっかり 打 って 欲 しいという 要 望 が 突 きつけられた 状 態 であった やはり 行 政 と 両 輪 である 議 会 の 方 で この 取 り 組 みについて 理 解 を 得 られないのであれ ば 全 く 進 まないのである 結 果 的 には 議 会 もこのプランをつくることを 非 常 に 重 要 事 項 で あると 認 識 されて また 方 向 性 も 一 緒 に 確 認 したいということがあって 交 流 都 市 推 進 特 別 委 員 会 を 設 置 した 当 初 この 取 り 組 みを 進 める 時 には 人 を 呼 び 込 むということは 観 光 であり そんなこ とにお 金 を 使 っている 場 合 なのかといわれることを 一 番 怖 れていたので その 辺 をきちん と 理 解 してもらった 多 くの 人 が 来 ることによるマイナス 面 もあるが 何 故 これに 取 り 組 まなければならないのかということを 理 解 してもらうことが 一 番 重 要 だった 議 会 へは 我 々の 初 期 段 階 の 案 を 提 出 することから 始 まり 計 7 回 も 委 員 会 を 開 催 して いただいて よく 理 解 を 得 られた 上 でスタートできたので 非 常 に 良 かったと 感 謝 してい る 今 になって 振 り 返 れば 議 会 の 資 料 づくりをしないといけないし 策 定 検 討 委 員 会 も あり PTもありということだったが よく2 年 の 間 にあれだけの 事 務 量 がこなせたと 思 っている 84

ヒアリングC( 対 象 者 : 越 後 信 義 企 画 調 整 部 市 民 安 全 担 当 部 長 ) 略 歴 高 校 時 代 にバスケットボールに 打 ち 込 み 大 学 進 学 後 は 海 外 旅 行 をしていた 先 輩 の 影 響 を 受 けて アメリカへ 何 度 か 旅 行 し 見 聞 を 広 めた また 地 元 では どぶ 板 通 りで 実 地 の 英 語 力 を 鍛 えていた 昭 和 52 年 大 学 卒 業 後 入 庁 し 最 初 に 大 津 支 所 に 配 属 されたが 初 日 に 病 欠 職 員 の 代 わりに 窓 口 に 出 ることとなり 市 民 対 応 がうまくできずに 悔 しい 思 いをした その 後 昭 和 55 年 に 福 祉 部 老 人 しあわせ 課 に 移 り 老 人 福 祉 行 政 の 充 実 期 に 業 務 に 携 わった 昭 和 59 年 に 都 市 施 設 公 社 土 地 開 発 公 社 に 異 動 し 用 地 買 収 に 携 わり 昭 和 61 年 には 都 市 政 策 室 市 街 地 整 備 計 画 課 に 移 り 汐 入 の 再 開 発 などの 中 心 市 街 地 整 備 計 画 に 携 わっ た 平 成 2 年 には 市 長 室 総 合 文 化 センター 開 設 準 備 室 平 成 4 年 に 都 市 整 備 部 整 備 計 画 課 に 異 動 し 平 成 6 年 には 企 画 調 整 部 文 化 振 興 課 に 異 動 して 同 年 オープンした 芸 術 劇 場 に 携 わり 平 成 9 年 に 劇 場 運 営 課 長 に 昇 進 して 興 行 師 として 公 共 施 設 では 抜 群 の 興 行 実 績 を 達 成 した その 後 平 成 12 年 に 環 境 部 減 量 推 進 課 長 平 成 14 年 に 都 市 部 まちづくり 課 長 を 経 て 平 成 17 年 に 市 民 安 全 担 当 部 長 に 昇 任 し 現 在 に 至 る (1) 仕 事 の 取 り 組 み 方 1 仕 事 に 取 り 組 む 姿 勢 当 時 の 上 司 は 我 々 部 下 に 積 極 的 な 提 案 をするように 求 めていた 物 事 を 評 価 するにあ たり 予 算 市 民 の 理 解 度 等 をマトリックスとしてとらえて 評 価 することを 教 わったが これは 今 も 物 事 を 考 える 上 で 役 に 立 っている 当 時 所 属 していた 部 署 は 一 匹 狼 のように 自 分 の 仕 事 で 成 果 をあげるべく 各 自 が 仕 事 をしていたが 忙 しい 時 はそれが 当 然 であり それぞれが 信 頼 し 合 う 雰 囲 気 はあった 後 輩 達 には 物 事 をよく 考 えて 欲 しい いろいろな 角 度 から 自 分 なりに 評 価 軸 をつくっ て マトリックスをつくる 方 法 で 自 分 のプランをきちっと 設 計 をして 提 案 をしてもらい たい 結 果 市 としての 行 政 の 効 率 もあがってくるのではないか 若 い 人 には 極 力 一 生 懸 命 仕 事 を 考 えてもらって いろいろな 角 度 から 検 討 し 自 ら 仕 事 を 設 計 する 能 力 を 身 につ けてもらいたい 2 庁 外 ネットワークの 構 築 役 所 にいたのではネットワークは 絶 対 広 がらないので 出 て 行 くような 姿 勢 を 常 に 持 っ ていた とかく 役 所 の 人 は 役 所 にいるが 機 会 があればいろんなところに 出 て 行 って い ろんな 人 と 話 した すごくありがたいネットワークを 築 けたと 思 う いろんな 人 と 知 り 合 っていくことは 財 産 になると 思 っている お 世 話 になったら その 人 を 絶 対 忘 れず 大 事 にして 何 か 機 会 があれば 顔 を 出 す そういうことが 大 事 であり そう 心 がけている 85

(2)テーマ1:まちづくり 事 業 概 要 米 軍 に 接 収 されていた 米 海 軍 下 士 官 兵 集 会 場 (EMクラブ)が 昭 和 58 年 に 日 本 に 返 還 されたが その 跡 地 の 有 効 活 用 が 市 の 課 題 であった また 造 船 不 況 大 型 商 業 施 設 の 進 出 による 地 元 の 商 業 団 体 の 不 安 などもあり 結 果 既 存 の 中 心 市 街 地 活 性 化 につい て 検 討 が 行 われた 中 央 地 区 に 加 え 汐 入 地 区 を 新 たな 拠 点 として 整 備 し 二 つの 拠 点 に よる 活 性 化 をベースとするプランが 学 識 者 の 協 力 や 商 業 界 との 交 渉 を 経 て 策 定 され た 具 体 的 な 開 発 としては 芸 術 劇 場 や 人 口 40 万 規 模 の 自 治 体 として 悲 願 であった 都 市 型 ホテルの 誘 致 をはじめとして 商 店 街 の 整 備 横 須 賀 中 央 駅 から 汐 入 駅 までの 道 路 のモール 化 などが 行 なわれた 1 芸 術 劇 場 との 関 係 芸 術 劇 場 の 建 設 に 関 しては 当 初 の 再 開 発 の 基 本 計 画 とは 別 に 文 化 施 設 に 関 する 基 本 計 画 を 策 定 していた 劇 場 については 特 に 市 民 に 対 しての 意 見 を 聞 いたということではない が 市 民 アンケートの 要 望 の 上 位 に 入 っていた この 二 つが 再 開 発 が 進 むにつれて 収 斂 していった 2 横 須 賀 駅 周 辺 の 開 発 ウェルシティ 以 外 では 横 須 賀 駅 の 整 備 計 画 も 模 索 されていた 駅 前 広 場 を 整 備 し 商 業 施 設 も 入 れるという 意 見 もあったが 実 現 可 能 性 権 利 者 の 意 向 もあり それ 以 上 は 進 まなかった ただ 横 須 賀 駅 から 汐 入 地 区 まではヴェルニー 公 園 の 整 備 に 伴 い 快 適 な 歩 行 者 空 間 が 整 備 された また ウェルシティに 関 しては プールもあり 若 い 人 も 多 く 利 用 して 頂 いており 外 部 からも 多 くの 方 が 訪 れる 場 所 となっている 3まちづくりにおける 仕 事 の 流 儀 土 地 の 買 収 に 係 わる 権 利 者 間 の 調 整 が 非 常 に 難 しく また 土 地 の 権 利 者 間 だけではなく 上 物 の 権 利 者 との 調 整 も 困 難 であった しかし 自 分 が 計 画 したものが 実 現 していくのは 非 常 に 大 きな 成 功 体 験 であり 計 画 した 施 設 の 鉄 骨 が 立 ったのを 見 た 時 には 涙 が 出 た その 後 まちづくり 課 長 になった 時 には 逆 にバブルの 時 代 の 建 設 計 画 の 後 始 末 白 紙 化 をしており そのために 地 元 に 出 向 いて 説 明 に 回 っていた まちづくりを 考 える 上 では 土 地 のポテンシャルを 見 極 める 等 地 に 足 のついた 形 で 考 え きちっとケーススタディもやる 必 要 がある バブルの 時 はなんでも 大 きいことはいい ことだという 発 想 だったが 今 は 丁 寧 に 慎 重 に 進 めるべきである これは 夢 ばかりを 追 い 続 けていたバブルの 時 代 の 反 省 でもある 86

4コンサルとの 関 係 コンサルは 確 かに 広 い 知 識 人 脈 を 有 している しかし 丸 投 げしてしまうと 彼 らは 手 を 抜 く 可 能 性 がある 彼 らにはない 地 域 の 情 報 地 域 への 情 熱 を 持 つ 市 役 所 職 員 がコンサ ルと 共 に 仕 事 をすることで 相 乗 効 果 を 得 られると 考 えられる 5 新 しい 動 向 を 踏 まえた 今 後 の 政 策 策 定 のあり 方 ~ 市 民 参 加 当 時 は 今 ほど 市 民 参 加 は 盛 んではなかった ただ 最 近 の 傾 向 として お 役 所 任 せでは なく 入 り 口 から 自 分 たちが 主 役 になってやっていくという 市 民 側 の 意 識 の 高 まりがある のは 事 実 である 計 画 づくりではワークショップを 開 く 等 いろいろ 変 わってきていると 思 う 市 民 参 加 には 行 政 側 から 進 めるものだけではなく 市 民 側 からアプローチされるもの もある 入 り 口 からの 市 民 参 加 は 効 果 的 だが ケースバイケースかもしれない そこはど ういった 事 例 で 住 民 が 提 案 してくるかということにも 関 わる 本 当 にかなりの 方 々の 合 意 のもとに 動 いているのか それとも 一 部 の 住 民 の 意 向 だけで 動 いているのか いろいろな ことを 判 断 して 市 の 関 わり 方 のパターンが 決 まってくる 市 民 参 加 というと とかく 声 の 大 きい 人 の 意 見 が 前 面 に 出 てくるが 実 はその 影 にはサ イレントマジョリティがいて その 意 向 をどう 把 握 するかということは 非 常 に 難 しい い ろいろな 意 見 を 吸 収 するための 環 境 整 備 をして 今 までは 声 が 出 なかった 人 からも 声 が 上 がる 仕 掛 けを 絶 対 していくべきである 6 新 しい 動 向 を 踏 まえた 今 後 の 政 策 策 定 のあり 方 ~ 事 業 評 価 この 事 業 に 関 しては 現 在 のような 評 価 はきちんとしていない 未 だに 芸 術 劇 場 をつく ったことはどうなのかという 話 が ずっと 引 きずられている 評 価 は これから 事 業 を 進 めるにあたって 重 要 な 視 点 であり 当 時 は 欠 けていた 視 点 である いかにお 客 様 に 来 て もらうかということに 尽 力 をしたので それが 明 確 な 指 標 もない 中 でひとつの 評 価 軸 にな るのかと 思 ったが かなり 評 価 については 幼 稚 だった (3)テーマ2: 芸 術 劇 場 事 業 概 要 EMクラブ 跡 地 利 用 の 一 つとして 平 成 6 年 に よこすか 芸 術 劇 場 が 設 けられた 公 設 劇 場 としては 日 本 有 数 の 設 備 を 有 し オペラ ジャズ クラシック 演 歌 ポッ プス 等 様 々な 音 楽 舞 台 芸 術 の 場 となっている 越 後 部 長 は 運 営 を 行 なう( 財 ) 横 須 賀 芸 術 文 化 財 団 ( 以 下 財 団 という)に 出 向 し 会 館 当 時 より 興 行 師 として 演 目 の 設 定 を 行 う 等 劇 場 運 営 を 担 い 公 共 施 設 では 抜 群 の 興 行 実 績 を 達 成 した 87

1 自 主 運 営 の 必 要 性 運 営 で 既 存 の 公 共 施 設 のように 赤 字 が 続 くと 大 変 だという 危 機 感 があり 民 間 の 発 想 を 入 れた 経 営 をしなければいけないと 考 えた それには 単 純 に 財 団 が 頑 張 ったらそれだけの 見 返 りがあるといいのだろうということで 利 用 料 金 制 度 等 を 取 り 入 れた 自 治 省 ( 現 総 務 省 )に 相 談 に 行 き ちょうど 法 改 正 のタイミングと 重 なったこともあり 財 団 をつくりそ こに 収 入 を 入 れる 方 式 をつくった さらに 財 団 に 自 己 責 任 とリスクを 負 わせようという 基 本 方 針 を 打 ち 立 てた 市 が 支 援 する 限 度 を 定 めて あくまで 財 団 が 主 体 となり 収 入 を 稼 がざるを 得 ない 仕 組 みにした 芸 術 劇 場 の 場 合 には 基 金 は 10 億 円 で ホールの 施 設 利 用 料 を 財 団 に 入 れた 床 の 収 益 と 利 用 料 金 等 それでソフト 事 業 は 賄 い ハードは 市 がやるという 線 引 きをした 収 支 にとってプラスであるため 補 助 金 は 何 本 か 入 れたが 基 本 的 な 経 営 全 体 に 影 響 があ るようなヒモつきの 補 助 はもらわなかった 2 多 様 な 人 材 の 活 用 法 芸 術 劇 場 の 運 営 には 効 率 的 な 運 営 のため 市 職 員 財 団 のプロパー 派 遣 職 員 アルバ イトがいた 確 かに 身 分 が 非 常 に 複 雑 でやりにくいところもあった しかし 私 が 心 か げて 口 すっぱくみんなに 言 ったことは とにかく 劇 場 のスタッフなのだということであっ た 特 に 客 商 売 の 評 判 の 善 し 悪 しというのは 第 一 線 でお 客 様 と 接 している 人 達 これ が 一 番 重 要 だが 本 当 にきちんとお 客 様 を 大 事 にしてくれた ともかく 一 緒 に 劇 場 を 愛 している 思 いは 一 つだと 共 通 認 識 を 持 つように 気 をつけた 本 当 にアルバイトの 人 に 感 謝 していて 忘 年 会 など 何 をやるのでも 一 緒 で よい 雰 囲 気 だったと 思 う 外 部 の 経 験 者 を 呼 んだこともあったが 良 い 面 と 悪 い 面 もあった 経 験 者 がそういう 必 要 なところは 外 から 入 れてもいいが コアは 自 分 の 地 元 を 愛 している 横 須 賀 の 人 間 がやるべきであろう 3 市 民 は お 客 様 横 須 賀 芸 術 劇 場 は いわば 五 目 ちらし である 演 歌 からジャズからそれこそオペラ バレエから いろいろなそれぞれ 違 う 演 目 を 行 い いろいろお 付 き 合 いをさせていただい たので 面 白 かった もう 一 つは 公 務 員 の 仕 事 の 中 でも この 事 業 ほどパッと 成 功 か 失 敗 か 見 えるものはない また お 客 様 の 満 足 度 というのがあって 私 は 自 分 の 公 演 は 終 演 後 にお 客 様 のお 見 送 りをしていたが 本 当 に 満 足 して 帰 っていただけると 嬉 しかった 役 所 もサービス 業 なのだ お 客 様 なのだと 言 うが 芸 術 劇 場 は 切 符 が 売 れないと 事 業 が やれないというリスクを 抱 えてやっていたので 本 当 に お 客 様 だった 本 当 に 買 ってく れるお 客 様 を 大 事 にしなければと 思 った 市 役 所 はまだ 顧 客 満 足 度 が 判 断 基 準 の 第 一 に なっていない 向 きがある 内 部 の 処 理 が 楽 であることが 判 断 基 準 の 第 一 であってはなら ない 88

4 他 自 治 体 との 関 係 影 響 この 劇 場 の 運 営 方 法 はいい 仕 組 みだったが なかなかすぐに 広 がらなかった 広 い 舞 台 を 持 った 本 格 的 な 劇 場 がいくつか 日 本 にあり そのネットワークとして 多 面 舞 台 連 絡 協 議 会 を 作 った そこでいろいろな 人 と 話 したが 市 役 所 の 人 というのはなかなか リスクを 負 うのが 嫌 なのだなと 思 った ただ 最 近 は 財 政 が 厳 しくなってそういうこと 言 っていら れないはずだとも 思 った 5 悔 やまれること ワイマールオペラの 招 致 ができなかったことが 悔 やまれる また その 協 議 会 の 中 で 何 か 事 業 企 画 をやれたら 良 かった 実 際 に 招 致 を 経 験 して 行 政 側 に 能 力 がつき つまり 公 共 の 文 化 施 設 と 各 地 の 音 楽 事 務 所 イベンターとの 力 関 係 が 随 分 変 わっていたはずであ る ただ 公 共 館 は 詳 しい 人 がいないので 向 こうの 言 いなりみたいなところもある 原 価 計 算 がきちんとできれば それは 高 すぎるとかわかるはずだが それをしていない 施 設 が 往 々にして 多 かった 89

第 4 章 活 動 報 告 1.ファシリティマネジメント 研 究 2. 平 成 19 年 度 職 員 政 策 提 案 3. 大 学 院 大 学 院 科 目 等 履 修 生 派 遣 レポート

1.ファシリティマネジメント 研 究 角 田 麻 里 子 Ⅰ はじめに 横 須 賀 市 ( 以 下 本 市 とする )におけるファシリティマネジメント 研 究 の 契 機 は 平 成 13 年 度 に 遡 る 都 市 政 策 研 究 所 ( 以 下 研 究 所 とする )と 関 係 部 局 によって 駐 車 場 施 設 有 料 化 の 事 業 性 に 関 する 検 討 及 び 駐 車 場 基 本 台 帳 シート の 作 成 を 目 的 として 公 園 施 設 を 中 心 とする 市 内 22カ 所 の 駐 車 場 施 設 についての 調 査 を 実 施 した その 結 果 から 公 共 施 設 の 管 理 手 法 について 様 々な 課 題 が 抽 出 された そして これらの 課 題 を 解 決 する ための 手 法 として ファシリティマネジメント (Facility 宜 表 記 する )という 考 え 方 に 着 目 したのである Management (FM) 以 下 適 研 究 に 着 手 してから 長 い 期 間 を 経 てきており その 間 広 範 な 概 念 を 含 むファシリティ マネジメントという 手 法 への 理 解 から 徐 々にではあるが 本 市 の 抱 えている 課 題 に 対 応 するための 具 体 的 な 取 り 組 みを 進 めている ここでは これまでの 本 市 におけるファシリティマネジメント 研 究 の 経 過 を 辿 るととも に その 成 果 を 基 にした 今 年 度 の 研 究 報 告 と 今 後 の 課 題 及 び 取 り 組 みを 提 示 する Ⅱ ファシリティマネジメントの 概 要 (1) ファシリティマネジメントとは ファシリティマネジメントとは アメリカで 生 まれた 新 しい 経 営 管 理 方 式 で 組 織 体 が 保 有 し あるいは 使 用 する 全 ての 施 設 や 設 備 を 対 象 として そのあり 方 を 最 適 に 保 つこと を 目 的 として 総 合 的 長 期 的 視 野 に 立 ち 多 面 的 な 知 識 技 術 を 活 用 して 行 う 計 画 管 理 活 動 と 定 義 されている 1 その 特 徴 としては 1スタンダードと 基 本 性 能 の 向 上 2ベンチマークによるコストダ ウン 3ファシリティマネジメントサイクルとしての 取 り 組 み 4ファシリティマネジメ ント 統 括 組 織 の 確 立 があげられる( 図 表 1 2 参 照 ) 次 に 導 入 の 効 果 についてみると 一 般 的 に1 機 能 性 能 の 保 持 2 費 用 対 効 果 の 最 大 化 3サービスレベルの 向 上 4 環 境 保 護 省 資 源 化 5 施 設 利 用 者 の 信 頼 性 確 保 の5 点 があげられる( 図 表 3 参 照 ) 元 来 民 間 企 業 における 資 産 運 用 の 手 法 の 一 つとして アメリカを 中 心 に 発 展 したもの であるが 今 日 地 方 自 治 体 も 民 間 企 業 と 同 様 に 膨 大 な 公 共 施 設 を 有 しており これら 施 設 を 効 率 的 に 活 用 し 資 源 として 市 民 のサービスに 活 用 していくことが 求 められている 1 社 団 法 人 日 本 ファシリティマネジメント 推 進 協 会 による 90

FMの 特 徴 1スタンダードと 基 本 性 能 の 向 上 2ベンチマークに よるコストダウン 3FMサイクルと しての 取 り 組 み 4FM 統 括 組 織 の 確 立 図 表 1 FMの 主 な 特 徴 具 体 的 内 容 FMを 効 果 的 に 実 施 するためには 施 設 の 規 模 や 品 質 管 理 業 務 や サービスレベルに 関 する 基 準 標 準 が 不 可 欠 である スタンダ ードをクリアさせることで 一 定 のレベルに 品 質 が 確 保 でき 明 らか にオーバースペックな 品 質 に 対 してもスタンダードレベルに 近 づけ ることで 全 体 として 均 質 化 が 図 られる 多 くの 組 織 では 部 局 毎 に 個 別 に 管 轄 施 設 を 管 理 しているため 部 局 間 で 施 設 関 連 コストにばらつきが 存 在 しがちである FMは 組 織 が 保 有 する 施 設 群 を 総 合 的 に 把 握 するため 一 定 の 基 準 設 定 が 可 能 と なり 組 織 内 でのベストプラクティスを 選 定 し これを 他 施 設 にも 適 用 することができる 多 くの 施 設 を 保 有 し 最 適 かつ 経 済 的 に 管 理 していくためには 次 の サイクルを 実 施 することにより 効 果 的 にFMに 取 り 組 むことが 必 要 である 1 計 画 基 準 や 管 理 規 定 といった 標 準 (スタンダード)を 策 定 2 施 設 の 実 態 把 握 3 定 期 的 な 点 検 診 断 による 評 価 4 問 題 点 の 具 体 的 改 善 の 実 施 5 建 設 維 持 管 理 の 実 施 とデータベースへの 反 映 多 くの 施 設 を 保 有 活 用 する 組 織 では 施 設 に 係 る 部 局 も 多 く 施 設 関 連 の 管 理 データも 多 岐 に 渡 っているため これらを 統 括 的 にマネ ジメントし 横 断 的 に 業 務 遂 行 できるFMの 統 括 組 織 が 必 要 となる 出 所 :2005 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 より 1 基 準 準 備 図 表 2 FMサイクル 2 実 態 把 握 3 評 価 判 定 4 改 善 策 5 実 施 進 捗 管 理 FM 組 織 FM 技 術 情 報 システム データベース 出 所 :2005 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 より 91

FMの 特 徴 1 機 能 性 能 の 保 持 2 費 用 対 効 果 の 最 大 化 3サービスレベル の 向 上 4 環 境 保 護 省 資 源 化 5 施 設 利 用 者 の 信 頼 性 確 保 図 表 3 一 般 的 なFM 導 入 の 効 果 具 体 的 内 容 施 設 利 用 者 が 常 に 施 設 を 安 心 快 適 に 利 用 できるように 施 設 の 機 能 性 能 の 維 持 安 全 性 を 確 保 することができる また 地 震 などの 自 然 災 害 に 備 えた 安 全 性 を 確 保 することができる 費 用 対 効 果 の 最 大 化 および 保 有 施 設 に 関 わる 業 務 の 効 率 化 を 図 るこ とができる 施 設 の 品 質 サービスレベルの 適 正 化 を 行 うことによって 施 設 内 で 業 務 を 行 う 人 の 業 務 効 率 及 び 施 設 利 用 者 へのサービス 向 上 を 図 る ことができる 省 エネ 廃 棄 物 処 理 に 対 する 施 策 を 立 案 実 施 することにより 環 境 保 護 省 資 源 に 貢 献 することができる 建 設 投 資 及 び 維 持 管 理 費 用 の 適 正 化 を 裏 付 ける それらを 情 報 公 開 することによって 経 営 者 や 施 設 利 用 者 への 信 頼 性 を 確 保 するとと もに FM 組 織 の 存 在 意 義 を 示 すことができる 出 所 :2005 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 より 図 表 4 従 来 の 施 設 管 理 とFMの 違 い FM 以 前 の 施 設 管 理 FM 業 務 の 目 的 施 設 の 維 持 保 全 施 設 を 通 した 経 営 への 貢 献 マネジメント 担 当 者 組 織 対 象 と 対 応 時 期 日 常 的 な 現 場 管 理 が 中 心 現 場 対 応 施 設 コストは 必 要 経 費 と 捉 えら れている 総 務 部 門 等 で 仕 事 の 一 部 として 扱 われる 施 設 担 当 はトップマネジメント から 遠 いポジション 個 々の 施 設 現 状 の 問 題 への 対 応 中 長 期 の 戦 略 的 な 計 画 経 営 サイドでの 対 応 施 設 は 人 材 資 金 等 と 同 等 の 経 営 資 源 として 捉 えられ 活 用 が 求 め られる 専 任 のFM 担 当 者 部 門 F M 担 当 は ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト に 近 いポジション 全 施 設 の ラ イ フ サ イ ク ル を 通 し た 最 適 化 必 要 な 関 連 知 識 技 術 建 築 不 動 産 関 連 知 識 経 営 建 築 不 動 産 財 務 環 境 情 報 アウトソーシング 個 々の 業 務 対 応 外 注 下 請 け 業 務 全 体 での 最 適 化 パートナー 的 な 捉 え 方 出 所 :2005 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 より 92

(2) 自 治 体 における 導 入 例 平 成 18 年 7 月 に 国 土 交 通 省 の 社 会 資 本 整 備 審 議 会 建 築 分 科 会 において 国 家 機 関 の 建 築 物 を 良 質 なストックとして 整 備 活 用 するための 官 庁 営 繕 行 政 のあり 方 について が まとめられた これは 国 の 所 有 する 建 築 物 の 有 効 活 用 を 図 り ファシリティマネジメン トを 推 進 するための 指 針 である こうした 国 の 動 きに 先 立 ち 地 方 自 治 体 ではファシリティマネジメント 導 入 を 推 進 して いる その 先 駆 的 役 割 を 担 ったのは 平 成 16 年 に 担 当 部 署 を 設 置 し 導 入 推 進 事 業 を 開 始 した 青 森 県 である その 後 各 自 治 体 においてそれぞれの 必 要 性 から 導 入 の 動 きが 見 られ るようになった 以 下 その 事 例 を 挙 げる 1 龍 ヶ 崎 市 ア) 概 要 茨 城 県 龍 ヶ 崎 市 ( 人 口 78,950 人 )では 企 画 財 務 部 財 政 課 によって 導 入 されている 現 在 龍 ヶ 崎 市 では 財 政 健 全 化 に 向 けて 内 部 管 理 経 費 を 中 心 に 経 費 の 削 減 を 実 施 してお り 公 共 施 設 の 管 理 運 営 経 費 の 削 減 もその 一 環 となっている 具 体 的 には 平 成 16 年 度 か ら 施 設 マネジメント と 称 して 公 共 施 設 の 維 持 保 全 経 費 の 削 減 と 計 画 的 な 改 修 によ る 耐 用 年 数 の 延 長 化 を 重 点 目 標 として 全 庁 的 な 取 り 組 みが 行 われている イ) 取 り 組 み 状 況 従 来 から 委 託 業 務 を 行 っている 施 設 のうち 整 備 管 理 等 業 務 委 託 費 の 占 める 割 合 が 多 い ものや 建 設 後 20 年 以 上 経 過 し 機 能 劣 化 が 進 行 しているものを 対 象 としている 対 象 と なる 全 8 施 設 のうち 主 要 4 施 設 についての5 年 間 の 委 託 料 削 減 効 果 額 は 約 2 億 400 万 円 と なっており 光 熱 水 費 の 削 減 効 果 額 は3 年 間 で 約 500 万 円 となっている また 施 設 マネジメントの 統 括 者 と 協 議 した 上 で 施 設 担 当 者 が 建 物 の 耐 用 年 数 を 前 提 とした 改 修 計 画 を 立 案 し 市 の 実 施 計 画 や 予 算 に 反 映 するシステムを 構 築 している 同 時 に 施 設 担 当 者 が 工 事 履 歴 図 面 及 び 設 備 管 理 カードを 作 成 し 施 工 日 業 者 金 額 を 適 確 に 把 握 できるシステムを 構 築 している それらによって 施 設 担 当 者 自 らが 適 正 な 管 理 手 法 を 確 認 でき 改 修 時 期 を 見 計 らった 保 全 計 画 に 反 映 させることが 可 能 となっ ている ウ) 今 後 の 取 り 組 み 今 後 に 向 けては 未 利 用 市 有 地 の 有 効 活 用 や 売 却 について 検 討 を 行 っている また 戦 略 的 な 行 政 運 営 のための 施 設 保 全 計 画 の 立 案 や 効 果 的 な 施 設 管 理 を 行 うため の 適 正 な 施 設 情 報 管 理 の 必 要 性 が 挙 げられている さらに 施 設 に 関 する 膨 大 な 情 報 ( 施 設 敷 地 情 報 図 面 竣 工 情 報 エネルギー 情 報 93

保 全 更 新 計 画 工 事 履 歴 情 報 設 備 管 理 情 報 保 守 点 検 情 報 等 )を 管 理 する 施 設 管 理 台 帳 と 会 計 基 準 に 基 づいて 固 定 資 産 を 管 理 する 土 地 建 物 財 産 台 帳 の 情 報 管 理 を 一 元 化 するシステム 構 築 に 向 けて 検 討 が 進 められている 2 浜 松 市 ア) 概 要 静 岡 県 浜 松 市 ( 人 口 804,032 人 )では 平 成 18 年 度 に 作 成 した 浜 松 市 行 政 経 営 計 画 で ファシリティマネジメントの 導 入 を 掲 げており 平 成 20 年 度 より 新 たに 課 を 設 置 し 推 進 する 効 率 的 な 行 政 経 営 の 観 点 から 現 状 では 公 共 建 築 課 や 管 財 課 等 で 個 別 に 担 当 し ている 公 有 財 産 の 管 理 について 市 が 保 有 する 建 築 物 の 情 報 を 全 庁 的 に 統 合 し 再 編 整 備 や 有 効 活 用 を 推 進 することとしている る また 統 廃 合 の 対 象 となった 施 設 の 売 却 や 有 効 活 用 についても 検 討 を 行 うこととしてい イ) 取 り 組 み 状 況 現 在 公 共 建 築 課 は 所 有 する 施 設 ごとに 建 築 年 数 耐 震 性 等 のデータをまとめたカル テの 作 成 に 取 り 組 んでいる また 管 財 課 においても 市 有 地 についてカルテの 作 成 を 進 め ており 平 成 20 年 度 の 新 課 設 置 に 向 けて 土 地 建 物 を 組 み 合 わせたデータベースの 構 築 を 進 めている Ⅲ 本 市 における 検 討 経 過 (1) 平 成 14 年 度 ワーキングチームを 設 置 し 市 内 9カ 所 の 行 政 センターの 施 設 管 理 状 況 ( 予 算 ベース) を 調 査 し それらをファシリティマネジメントの 観 点 から 分 析 することにより 導 入 の 基 礎 となる 研 究 を 実 施 した また 導 入 によって 期 待 される 効 果 を 挙 げ 検 討 の 必 要 性 につ いて 提 案 した (2) 平 成 15 年 度 市 民 の 利 用 頻 度 が 高 い 施 設 について 管 理 運 営 状 況 を 調 査 し 安 全 性 効 率 性 など 施 設 に よって 偏 りのある 管 理 運 営 状 況 の 課 題 を 分 析 した (3) 平 成 16 年 度 プロジェクトチームを 設 置 し ファシリティマネジメントの 段 階 的 な 導 入 について 検 討 を 開 始 し 全 庁 的 な 施 設 の 統 括 管 理 運 営 の 可 能 性 を 視 野 に 入 れた 導 入 の3 段 階 にわたる ステップを 提 案 した( 図 表 5 参 照 ) 94

図 表 5 ファシリティマネジメント 導 入 のステップ 項 目 1Step 2Step 3Step 施 設 管 理 台 帳 ( 施 設 カルテ) 施 設 保 全 マ ニ ュアル 中 長 期 保 全 計 画 推 進 体 制 マ ネ ジ メ ン ト 意 識 の 醸 成 ( 施 設 情 報 の 公 開 ) パイロット 的 な 導 入 によ り 内 容 を 検 討 ( 推 進 調 査 ) ( 既 存 施 設 新 設 を 対 象 ) 施 設 の 不 具 合 状 況 と 対 応 の 洗 い 出 し 中 長 期 保 全 計 画 モデル の 検 討 プロジェクトチームによ る 検 討 パネル 展 示 ( 光 熱 水 費 委 託 経 費 人 員 配 置 ) 段 階 的 に 機 能 の 拡 張 内 容 の 検 討 マニュアルの 作 成 中 長 期 保 全 計 画 モデ ルの 施 行 FM 担 当 組 織 を 定 め プ ロジェクトチームで 検 討 ホームページ 上 での 公 開 (コスト 意 識 の 醸 成 ) 統 括 管 理 ネットワーク 化 ネットワーク 化 と 活 用 財 政 名 を 含 めた 中 長 期 保 全 計 画 の 作 成 担 当 す る 組 織 を 設 置 し 推 進 推 進 リーダーの 育 成 目 標 数 値 の 設 定 と 達 成 出 所 :2004 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 より (4) 平 成 17 年 度 プロジェクトチームを 設 置 し 導 入 のメリットの 一 つである 情 報 共 有 による 効 果 の 例 として 行 政 センター 及 び 新 設 の 健 康 安 全 科 学 センターを 対 象 に 施 設 保 全 台 帳 案 を 作 成 した また 行 政 センター9 施 設 の 光 熱 水 費 について 決 算 ベースでの 比 較 データを 作 成 した これらを 基 礎 資 料 として 施 設 保 全 台 帳 の 運 用 手 法 体 制 を 確 立 していくことや 台 帳 項 目 の 見 直 しなどのブラッシュアップを 行 うことを 提 案 した (5) 平 成 18 年 度 プロジェクトチームを 設 置 し 行 政 センター9 施 設 について 長 期 修 繕 補 修 計 画 検 討 表 を 作 成 し 建 築 機 械 電 気 設 備 等 の 補 修 の 目 安 を 判 断 できる 仕 組 みについて 検 討 した また 光 熱 水 費 台 帳 を 作 成 し 契 約 方 法 等 の 変 更 による 削 減 を 検 討 した 効 率 的 な 施 設 の 維 持 管 理 及 び 光 熱 水 費 削 減 については 今 後 3 年 以 内 を 目 途 に 情 報 やシ ステムの 共 有 化 を 図 り 方 策 の 実 施 や 次 年 度 予 算 への 反 映 を 行 い 全 庁 的 にファシリティ マネジメントを 推 進 していくこととした (6) 検 討 を 通 じて 浮 かび 上 がった 課 題 本 市 は 2,000 棟 以 上 の 施 設 を 所 有 しており 主 な 施 設 として 市 庁 舎 行 政 センター 地 域 自 治 活 動 センター 小 中 学 校 体 育 施 設 図 書 館 保 育 園 福 祉 施 設 市 営 住 宅 等 が ある 昭 和 30 年 代 半 ばからの 人 口 の 増 加 に 伴 い 本 市 では 昭 和 40 年 代 半 ば 以 降 に 多 くの 施 設 が 建 設 されたが それらは 建 設 後 20 年 以 上 経 過 しており 建 物 自 体 の 劣 化 老 朽 化 が 95

進 んでいる しかし 現 在 地 方 自 治 体 を 取 り 巻 く 財 政 状 況 が 厳 しさを 増 す 中 老 朽 施 設 の 建 て 替 えや 代 替 施 設 の 新 規 建 設 は 極 めて 困 難 である 本 市 の 財 政 状 況 も 同 様 であるため 既 存 施 設 を 本 市 の 重 要 な 資 産 として 捉 え 有 効 に 活 用 するために 修 繕 等 維 持 管 理 に 努 め る 必 要 がある そこで 実 現 可 能 性 の 低 い 長 期 修 繕 計 画 を 策 定 するよりも まず 単 年 度 ご との 修 繕 工 事 について どの 施 設 から 優 先 的 に 着 手 するかを 効 率 的 に 決 定 できる 取 り 組 み から 検 討 を 進 めることが 重 要 となってくる また 本 市 で 既 に 始 まっている 人 口 減 少 の 動 向 や 行 政 経 営 のスリム 化 の 推 進 との 関 係 を 勘 案 すると 最 終 的 には 市 内 に 点 在 する 施 設 の 適 正 配 置 を 検 討 し 老 朽 施 設 や 余 剰 施 設 等 の 統 廃 合 の 実 施 も 視 野 に 入 れた 検 討 を 行 うこともファシリティマネジメントの 重 要 な 側 面 ともいえる しかし 本 来 ファシリティマネジメントでは 全 施 設 を 一 元 的 に 見 るこ とを 前 提 としているが 様 々な 利 用 者 がいる 公 共 施 設 では 困 難 なところもあり これにつ いては 同 じ 機 能 を 持 つ 施 設 単 位 での 検 討 が 必 要 である Ⅳ 平 成 19 年 度 の 取 り 組 み 平 成 18 年 度 のプロジェクトチームの 検 討 結 果 を 受 け 効 率 的 な 施 設 の 維 持 管 理 と 光 熱 水 費 削 減 について 次 のような 取 り 組 みを 行 った (1) 施 設 の 維 持 管 理 これまで 各 施 設 の 補 修 修 繕 については 部 局 単 位 あるいは 同 じ 機 能 を 持 つ 施 設 単 位 で の 検 討 が 中 心 であったため 全 庁 的 に 見 たときには 緊 急 性 が 高 い 案 件 にも 関 わらず 予 算 措 置 がされないことがあり 問 題 点 としてあげられていた そこで 補 修 修 繕 の 必 要 性 について 統 一 的 な 視 点 により 全 庁 的 に 合 理 的 な 予 算 配 分 を 行 うシステムの 構 築 を 検 討 した その 結 果 平 成 20 年 度 予 算 編 成 から 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 を 導 入 した これによって 予 算 要 求 にあたり 各 施 設 の 管 理 部 局 があらかじめ 公 共 建 築 課 に 概 算 見 積 の 依 頼 をした 案 件 について 専 門 家 の 目 で 技 術 的 に 判 断 した 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 考 察 表 ( 図 表 6 参 照 )を 財 政 課 が 予 算 編 成 を 行 う 際 に 全 庁 的 な 維 持 補 修 の 優 先 度 の 判 断 に 活 用 し 合 理 的 な 予 算 配 分 を 行 うことが 容 易 になった (2) ファシリティマネジメント 会 議 平 成 18 年 度 のプロジェクトチームでは 施 設 管 理 部 局 ごとに 行 っている 光 熱 水 費 の 維 持 管 理 費 削 減 方 策 の 共 有 化 を 図 り 方 策 の 実 施 や 次 年 度 予 算 への 反 映 につなげることの 必 要 性 が 検 討 された そこで 平 成 19 年 度 から 全 庁 的 な 削 減 策 の 情 報 共 有 と 職 員 のマネジメ ント 意 識 の 向 上 を 目 標 とし 対 象 となる 施 設 管 理 部 局 の 職 員 と 共 に 組 織 横 断 的 な 調 整 会 議 であるファシリティマネジメント 会 議 を 設 置 することとなった 96

図 表 6 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 考 察 表 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 考 察 表 工 事 名 主 管 課 施 設 名 担 当 所 在 地 内 線 1234 依 頼 の 概 要 注 意 窓 開 口 が 大 きく 夏 暑 く 冬 寒 いので 建 具 を 複 層 ガラスの 物 にして 欲 しい 修 繕 費 で 対 応 すべき 工 事 と 考 えます 総 合 判 定 D A: 必 要 度 の 高 い 工 事 と 判 断 されます B: 準 じて 必 要 度 の 高 い 工 事 であり 必 要 な 工 事 と 判 断 され ます C: 特 別 な 事 由 が 無 ければ 観 察 等 を 続 けて 必 要 な 時 期 を 見 計 らっても 問 題 は 少 ないと 判 断 されます D: 当 面 工 事 の 必 要 性 は 低 いと 判 断 されます E: 機 能 変 更 型 の 工 事 であり 判 定 対 象 外 です 本 判 定 は 建 物 建 築 設 備 の 維 持 保 全 を 主 目 的 に 公 共 建 築 課 で 行 ったもので 機 能 変 更 な どを 含 んだ 場 合 の 工 事 自 体 の 必 要 性 に 対 する 絶 対 的 な 基 準 ではありません 最 終 的 な 工 事 の 必 要 性 は 財 政 課 と 協 議 してください 評 価 内 容 危 険 度 種 別 劣 化 度 種 別 補 修 効 果 必 要 度 現 時 点 での 危 険 性 は 感 じられないが 定 期 的 な 観 測 の 必 要 性 がある 劣 化 状 態 に 支 障 は 無 いが 美 観 上 問 題 がある 今 回 工 事 の 必 要 は 無 いが 保 障 期 間 も 経 過 しており 近 い 将 来 改 修 の 必 要 がある 今 後 数 年 現 状 が 維 持 できる コメント ブラインド 等 により 十 分 対 応 できると 思 います 建 具 取 替 による 省 エネルギー 効 果 は 期 待 できるほどありません 事 務 担 当 は 公 共 建 築 課 班 担 当 内 出 所 : 平 成 20 年 度 (2008 年 度 ) 予 算 編 成 要 領 より 97

平 成 19 年 度 は 取 り 組 みの 足 がかりとするため 複 合 施 設 ではなく 一 般 的 な 光 熱 水 費 の 管 理 形 態 を 持 つと 考 えられる 行 政 センター 地 域 自 治 活 動 センター 青 少 年 の 家 保 育 園 老 人 福 祉 センター 図 書 館 を 対 象 とし それらを 所 管 する 課 と 公 共 建 築 課 が 共 に 検 討 を 行 った また 既 に 独 自 に 管 理 運 営 を 行 っている 学 校 施 設 所 管 課 がオブザーバーとして 会 議 に 参 加 した この 会 議 は 施 設 管 理 部 局 及 び 公 共 建 築 課 の 実 務 担 当 者 ( 主 査 級 )の 情 報 提 供 の 場 とし ての ファシリティマネジメント 会 議 ( 準 備 会 ) と 準 備 会 でまとめられた 情 報 を 検 討 す る 施 設 管 理 部 局 及 び 公 共 建 築 課 の 課 長 級 職 員 による ファシリティマネジメント 会 議 の 別 に 開 催 を 行 っている 以 下 これらの 会 議 の 検 討 経 過 と 抽 出 された 課 題 について 述 べる 1 ファシリティマネジメント 会 議 ( 準 備 会 ) ここでは 各 施 設 の 光 熱 水 費 の 維 持 管 理 費 削 減 状 況 について 確 認 がなされた 従 来 から のISO14001 及 びYESでの 削 減 への 取 り 組 みの 結 果 いずれの 施 設 も 契 約 方 法 の 改 善 等 それぞれに 工 夫 を 凝 らした 取 り 組 みを 行 っており これ 以 上 の 大 幅 な 削 減 は 難 し いと 考 えられる 2 しかし 各 施 設 も 詳 細 に 毎 月 の 使 用 量 の 増 減 を 記 録 しているが 同 一 施 設 においても 担 当 者 によって 記 録 方 法 が 異 なることがあるため 使 用 量 の 変 動 要 因 を 探 るための 仕 組 みが 確 立 されていないことが 判 明 した これについては 同 じような 用 途 間 取 り 等 類 似 施 設 同 士 を 施 設 群 として 比 較 し 毎 月 毎 年 の 使 用 量 の 変 化 の 確 認 や 情 報 交 換 を 行 うこと は 有 効 だという 意 見 で 一 致 した また 建 築 設 備 に 専 門 的 知 識 を 持 たない 各 施 設 所 管 課 担 当 者 が 記 録 管 理 すること が 容 易 で かつ 施 設 群 や 施 設 ごとに 比 較 検 討 が 可 能 な 共 通 様 式 を 全 庁 的 に 共 有 することも 有 効 であるという 意 見 で 一 致 した なお 担 当 者 の 管 理 及 び 比 較 検 討 が 容 易 な 点 から 既 にYESで 実 施 している 光 熱 水 費 の 管 理 様 式 との 整 合 性 を 図 り 両 者 を 連 動 させるような 共 通 様 式 の 作 成 を 検 討 すべきとの 意 見 があった 2ファシリティマネジメント 会 議 ここでは 各 施 設 の 実 務 担 当 者 が 参 加 したファシリティマネジメント 会 議 ( 準 備 会 )で 提 案 された 施 設 の 維 持 管 理 状 況 を 容 易 に 確 認 するための 共 通 様 式 の 作 成 を 中 心 に 各 施 設 担 当 課 長 による 検 討 を 行 った 今 後 光 熱 水 費 削 減 の 工 夫 や 知 恵 を 全 庁 的 に 共 有 していくためには 共 通 するデータ 2 本 市 は 市 役 所 本 庁 舎 行 政 センター 等 で 平 成 11 年 に 環 境 マネジメントシステムの 国 際 規 格 であるI SO14001の 認 証 を 取 得 し 継 続 的 な 環 境 活 動 に 取 り 組 んできた 1 職 員 の 環 境 配 慮 行 動 の 定 着 2 全 ての 公 共 施 設 を 対 象 とする 環 境 マネジメントシステムの 必 要 性 3 効 率 的 な 事 務 執 行 の 必 要 性 等 に よりISOの 外 部 認 証 を 返 上 し 全 305 施 設 全 職 員 を 対 象 に 平 成 19 年 に 横 須 賀 市 環 境 マネジメントシ ステム(YES)を 構 築 し 移 行 した 98

情 報 の 蓄 積 が 必 要 であり 仮 に 突 発 的 な 事 態 が 発 生 した 時 など データ 情 報 の 蓄 積 が 活 用 できることが 考 えられる また 光 熱 水 費 修 繕 履 歴 耐 用 年 数 等 施 設 に 関 する 総 合 的 なデータ 情 報 の 蓄 積 は 前 述 した 公 共 建 築 課 が 実 施 する 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 考 察 表 による 全 庁 的 な 修 繕 の 優 先 度 の 判 断 材 料 となることから 今 後 の 課 題 として 全 庁 共 通 の 様 式 作 成 の 必 要 性 を 再 確 認 した Ⅴ 次 年 度 以 降 の 取 り 組 み 平 成 20 年 度 予 算 編 成 から 導 入 された 建 築 等 修 繕 工 事 の 重 要 度 評 価 考 察 表 は 今 後 も 評 価 の 精 度 を 高 めるための 余 地 があり 両 課 にて 検 討 を 行 っていく 必 要 がある また ファシリティマネジメント 会 議 は 各 施 設 の 維 持 管 理 費 縮 減 についての 情 報 やノ ウハウを 共 有 するための 情 報 交 換 の 場 を 継 続 して 開 催 する さらに 各 施 設 の 維 持 管 理 費 や 修 繕 履 歴 等 を 継 続 管 理 するための 共 通 様 式 の 作 成 及 び 全 庁 的 な 導 入 を 検 討 する そのため 共 通 様 式 の 作 成 について 建 築 設 備 について 専 門 知 識 を 有 する 公 共 建 築 課 を 中 心 に 維 持 管 理 の 実 務 に 携 わる 各 施 設 所 管 課 担 当 者 とともに 検 討 を 行 う 参 考 文 献 : 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 (2005 ) 2004 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 (2006 ) 2005 年 度 FMプロジェクトチーム 研 究 報 告 書 横 須 賀 市 (2008 ) 平 成 20 年 度 (2008 年 度 ) 予 算 編 成 要 領 青 森 県 http://www.pref.aomori.lg.jp/ 社 団 法 人 日 本 ファシリティマネジメント 推 進 協 会 浜 松 市 http://www.city.hamamatsu.shizu oka.jp/ http://www.jfma.or.jp/ind 横 須 賀 市 (YES)http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/yes/ 龍 ヶ 崎 市 http://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/toppag 99

2. 平 成 19 年 度 職 員 政 策 提 案 梯 大 介 職 員 政 策 提 案 制 度 は 職 員 の 政 策 形 成 への 意 欲 を 向 上 させ 職 員 自 らが 求 められている 政 策 を 考 え 発 表 する 機 会 を 設 けることで 企 画 力 の 形 成 を 促 すことを 目 的 として 実 施 し ている 本 制 度 は 業 務 改 善 ではなく 行 政 のあらゆる 分 野 に 関 する 政 策 の 提 案 を 募 集 す るもので 企 画 調 整 部 長 が 指 名 する 委 員 による 事 前 審 査 委 員 会 本 審 査 委 員 会 の2 段 階 で 厳 正 な 審 査 が 行 われている 審 査 において 優 秀 賞 及 び 奨 励 賞 に 選 出 された 提 案 は 関 連 部 局 とともに 提 案 者 も 参 加 できる 会 議 を 設 けて 事 業 化 を 検 討 する 体 制 となっている 1 平 成 19 年 度 は 9 件 の 応 募 があった 事 前 審 査 委 員 会 により 4 件 が 本 審 査 会 へ 送 付 す る 提 案 として 選 出 され 二 つの 提 案 が 努 力 賞 を 受 賞 している ここでは その2 提 案 の 概 要 とともに 今 後 職 員 政 策 提 案 へ 応 募 する 際 の 参 考 として 審 査 過 程 での 意 見 の 一 部 を 紹 介 する Ⅰ 受 賞 提 案 概 要 (1) 本 市 滞 納 公 金 等 の 一 元 管 理 - 収 納 率 向 上 の 方 策 として- この 提 案 は 複 数 課 で 行 っている 滞 納 公 金 等 の 収 納 業 務 を 一 元 管 理 することにより 重 複 する 業 務 の 削 減 と 収 納 率 の 向 上 を 図 るものである 特 に 納 税 課 内 には 全 庁 横 断 的 な 滞 納 整 理 特 別 班 を 設 置 することで 重 複 する 滞 納 公 金 等 や 高 額 で 累 積 する 難 事 案 の 処 理 を 進 め 収 納 率 の 向 上 が 期 待 できる さらに 詳 細 な 滞 納 情 報 を 把 握 共 有 することが 市 民 へのよりきめ 細 やかな 対 応 を 可 能 とし ワンストップサービスと 市 民 サービスの 向 上 に 資 することができるようになるとするものである この 実 現 には 税 や 手 数 料 など 異 なる 公 金 の 一 元 取 り 扱 い 民 間 委 託 の 範 囲 の 検 討 費 用 対 効 果 情 報 漏 えい 防 止 措 置 などの 整 備 が 必 要 になる また 滞 納 整 理 ( 徴 収 業 務 )の 強 化 に 際 し 市 の 内 部 環 境 としては 職 員 の 適 材 適 所 配 置 管 理 職 等 による 休 日 夜 間 督 励 納 税 課 職 員 の 早 朝 夜 間 督 励 外 部 環 境 においては 専 門 家 の 活 用 決 算 資 料 等 の 提 出 義 務 付 け 滞 納 処 分 の 多 様 化 公 売 処 分 の 広 域 化 の 推 進 といった 具 体 的 手 段 が 必 要 となる (2)ガリバーによる 観 光 振 興 ガリバー 旅 行 記 でガリバーが 上 陸 した 日 本 のザモスキは 観 音 崎 との 説 から 平 成 1 選 出 される 賞 は 1 優 秀 賞 ( 新 規 性 実 現 可 能 性 があり 見 込 まれる 実 施 効 果 が 優 れていると 判 断 さ れる 提 案 ) 2 奨 励 賞 ( 創 造 的 な 提 案 で 実 現 に 向 けた 検 討 を 行 う 意 味 が 大 きいと 判 断 される 提 案 ) 3 努 力 賞 ( 事 業 化 には 及 ばないが 今 後 に 期 待 のできると 判 断 される 提 案 )である 100

21 年の上陸 300 年に向け 市民団体が平成 18 年から 観音崎フェスタ において ガリ バーイベントを開催している さらに 地元商店らにより 観音崎ガリバー本舗 もオー プンするなど 市民レベルでの活動が活発になってきている この提案は 世界規模で知られるガリバーを素材にした市民の熱意をダイナミックに展 開することを可能とするため 横須賀市観光協会等を中心に 行政を含めた 仮称 ガリ バー上陸 300 年実行委員会を設立しようとするものである 横須賀美術館も開館し 脚光を集め始めている観音崎において このようなアピールを することが 新たな横須賀のイメージを全国に発信するとともに 国内外からの交流人口 の増大 さらには地域振興を図ることができる Ⅱ 審査意見 副市長以下5名による本審査会においては 新規性 実現可能性 見込まれる効果の視 点で審査が行われ 19 年度は優秀賞および奨励賞に該当する提案はなく 2提案に対して 努力賞が授与された 努力賞となった上記の2提案については 本市滞納公金等の一元管理 収納率向上の方 策として に対し すでに庁内で検討会議を設けて検討を始めているが 現在問題とな っている課題について なんとか解決しなければという職員の気概を強く感じるとの評価 であった また ガリバーによる観光振興 については 具体性を欠く点も否めないが 市民団体 が既に活動しており 新たなPRの切り口として可能性を持った提案であるとされた このほか 本審査会に選出された各提案については 所管課からの意見も審査資料とし て提出されている それぞれについて 一定の評価が示されているものの 新規性 背景 や根拠の提示 他との比較など 考察の熟度が問われる厳しい意見も見られ 次年度以降 の提案にあたっては そうした点の考慮も 受賞には不可欠な要素といえる 蒲谷市長から表彰状を受ける受賞者 左 本市滞納公金等の一元管理 収納率向上の方策として 消防局 桑名氏 右 ガリバーによる観光振興 企画調整部 桐ケ谷氏 101

3. 平 成 19 年 度 大 学 院 大 学 院 科 目 等 履 修 生 派 遣 レポート - 総 合 計 画 の 実 効 性 について- 檜 山 直 人 大 学 院 派 遣 の 研 究 成 果 をもとに 自 治 体 総 合 計 画 の 今 後 の 方 向 性 を 考 察 する 1 Ⅰ はじめに 自 治 体 の 総 合 計 画 に 対 しては 事 業 を 寄 せ 集 めただけの 計 画 で 地 域 のビジョンが 見 え ない 膨 大 な 資 料 が 冊 子 にまとめられているだけ など 批 判 的 な 見 解 も 少 なくない 2 これらの 批 判 を 総 称 すると 根 本 的 な 問 題 の 所 在 は 総 合 計 画 に 期 待 される 基 本 的 な 機 能 が 十 分 にはたらいていないこと つまり 計 画 としての 実 効 性 が 担 保 されていないと いうことであろう 翻 ってみると 総 合 計 画 に 期 待 される 機 能 とは 何 か という 本 質 的 な 問 題 点 にも 直 面 する 本 稿 では 本 来 総 合 計 画 に 期 待 される 機 能 や 条 件 等 を 整 理 した 上 で 実 際 にどのような 側 面 から 実 効 性 を 高 めるべきかを 考 察 する Ⅱ 総 合 計 画 の 現 状 と 課 題 まずは 市 町 村 の 総 合 計 画 が 導 入 された 経 緯 と 当 初 そこではどのような 機 能 が 期 待 さ れていたかを 概 観 するとともに 今 日 の 総 合 計 画 の 現 状 と 課 題 について 考 察 する (1)これまでの 総 合 計 画 を 振 り 返 る 市 町 村 における 総 合 計 画 の 起 源 を 遡 ると 昭 和 40 年 に 当 時 の 自 治 省 が 国 土 計 画 協 会 に 委 託 するかたちで 行 った 新 たな 市 町 村 計 画 のあり 方 に 関 する 調 査 研 究 が 大 きな 契 機 と なっている 3 翌 年 には この 調 査 研 究 をもとに 市 町 村 計 画 策 定 方 法 研 究 報 告 ( 以 下 研 究 報 告 とする) が 提 言 されている この 研 究 報 告 は 当 時 計 画 行 政 が 十 分 とはいえな かった 市 町 村 に 自 主 的 かつ 総 合 的 な 行 政 運 営 を 行 えるようにすることを 意 図 していた 具 体 的 には 長 期 的 構 想 としての 基 本 構 想 中 期 計 画 としての 基 本 計 画 短 期 計 画 とし ての 実 施 計 画 を 提 起 するとともに 計 画 の 期 間 については 基 本 構 想 10 年 基 本 計 画 5 年 実 施 計 画 3 年 とするのが 妥 当 であるとされた 4 このほか 施 設 計 画 と 非 施 設 計 画 のバラン ス 関 連 諸 計 画 との 連 携 実 施 計 画 のローリング 方 式 の 導 入 による 実 行 性 の 確 保 住 民 参 1 本 稿 は 修 士 論 文 を 加 筆 修 正 したものであり 内 容 は 筆 者 個 人 に 帰 属 し 横 須 賀 市 及 び 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 の 公 式 見 解 を 示 すものではない 2 田 村 秀 (2005 ) 自 治 体 計 画 制 度 基 本 構 想 基 本 計 画 実 施 計 画 西 尾 隆 [ 編 ] 自 治 体 デモクラシー 改 革 - 住 民 首 長 議 会 - p.175 を 参 考 に 記 述 3 松 井 望 (2003 ) 総 合 計 画 制 度 の 原 型 変 容 課 題 都 市 問 題 第 94 巻 第 10 号 p.93 を 参 考 に 記 述 4 日 本 都 市 センター(202) 自 治 体 と 総 合 計 画 - 現 状 と 課 題 - p.4を 参 考 に 記 述 102

加 の 促 進 など 市 町 村 計 画 のあり 方 が 詳 細 に 提 言 された 5 その 後 研 究 報 告 における 基 本 構 想 の 制 度 イメージを 参 考 として 昭 和 44 年 に 議 会 の 議 決 を 経 た 基 本 構 想 の 規 定 が 地 方 自 治 法 に 盛 り 込 まれ 市 町 村 には 基 本 構 想 の 策 定 が 義 務 付 けられることとなった 6 さらにこれと 併 せて 自 治 省 は 市 町 村 の 基 本 構 想 策 定 要 領 ( 以 下 策 定 要 領 とする) を 策 定 し 市 町 村 への 指 導 を 開 始 したのである 7 策 定 要 領 の 内 容 は 全 体 で7 節 の 構 成 となっているが 特 に 重 要 と 考 えられる 部 分 を 抜 粋 すれば 第 3 節 の 施 策 の 大 綱 の 中 で ⅰ) 市 街 地 および 集 落 の 整 備 交 通 通 信 施 策 の 整 備 防 災 対 策 その 他 の 地 域 社 会 の 基 礎 的 条 件 の 整 備 に 関 する 事 項 ⅱ) 生 活 環 境 保 健 衛 生 社 会 福 祉 教 育 文 化 その 他 の 住 民 生 活 の 安 定 向 上 人 間 形 成 等 に 関 する 事 項 ⅲ) 農 林 水 産 業 商 工 業 その 他 の 産 業 の 振 興 に 関 する 事 項 ⅳ) 行 財 政 の 合 理 化 に 関 する 事 項 の4 点 を 具 体 的 に 盛 り 込 む 事 項 として 掲 げている 8 また 第 7 節 では 基 本 構 想 の 改 訂 について ⅴ) 社 会 情 勢 の 進 展 等 外 部 条 件 の 変 化 が 生 じた 場 合 はすみやかに 改 訂 すべき という 見 解 が 示 されている この 策 定 要 領 の 規 定 から 国 が 自 治 体 の 基 本 構 想 に 期 待 したと 考 えられる 機 能 を 整 理 すると 大 きく3つの 要 素 を 見 出 すことができる 1 点 目 は ⅰ)からⅲ)で 市 街 地 や 交 通 通 信 の 整 備 から 福 祉 教 育 農 林 水 産 商 工 業 に 至 るまで さまざまな 政 策 分 野 が 記 述 されているように 広 範 な 政 策 領 域 を 取 り 扱 う ことである 2 点 目 は ⅳ)で 示 されるように 行 財 政 の 合 理 化 に 寄 与 する 内 容 を 包 含 する こと そし て3 点 目 は ⅴ)にあるように 計 画 自 体 が 社 会 情 勢 の 変 化 に 対 して 柔 軟 に 対 応 する ことである もちろんこれは 下 位 計 画 である 基 本 計 画 や 実 施 計 画 を 含 めた 総 合 計 画 全 体 に 要 請 されたことであると 考 えられる 実 際 全 国 の 市 町 村 では 昭 和 40 年 代 から 研 究 報 告 の 提 言 内 容 と 策 定 要 領 の 趣 旨 に 則 り 基 本 構 想 を 中 心 とした 総 合 計 画 の 策 定 に 取 り 組 み 始 めることになる 当 初 の 昭 和 40 年 代 半 ばは 内 容 はともかく 総 合 計 画 を 策 定 することに 重 点 が 置 かれて いた 昭 和 50 年 代 半 ばになると 全 国 的 に 総 合 計 画 がほぼ 定 着 する( 基 本 構 想 90% 以 上 基 本 計 画 80% 以 上 実 施 計 画 70% 以 上 ) この 時 代 は 高 度 成 長 期 末 の 課 題 を 地 域 で 受 け 止 め 公 害 問 題 や 福 祉 問 題 等 を 積 極 的 に 組 み 入 れる 計 画 が 増 え ハード 面 だけでなくソフ 5 前 掲 松 井 (2003 )p.94 を 参 考 に 記 述 6 前 掲 松 井 (2003 )p.94 を 参 考 に 記 述 7 地 方 自 治 法 第 2 条 第 4 項 : ( 略 ) 市 町 村 は 議 会 の 議 決 を 経 てその 地 域 における 総 合 的 かつ 計 画 的 に 行 政 運 営 を 図 るための 基 本 構 想 を 定 め これに 即 して 事 務 の 処 理 を 行 うようにしなければならない 8 昭 和 44 年 9 月 13 日 自 治 省 振 第 163 号 各 都 道 府 県 知 事 あて 自 治 省 行 政 局 長 通 達 103

ト 面 にも 留 意 されるものが 多 くなる 9 また 多 くの 市 町 村 で 社 会 情 勢 の 変 化 に 対 応 を 図 る ため 予 算 と 連 携 した 実 施 計 画 の 策 定 とそのローリングに 進 展 が 見 られた 平 成 の 初 頭 に 入 ると ほぼすべての 市 町 村 で 総 合 計 画 の 策 定 が 完 了 する( 基 本 構 想 ほぼ 100% 基 本 計 画 実 施 計 画 90% 以 上 ) この 時 代 の 特 徴 としては 一 つには 資 源 の 効 率 的 な 配 分 の 観 点 から 重 点 プロジェクトを 設 けるなど 重 点 化 の 取 り 組 みが 見 られたこと 二 つには 計 画 策 定 に 係 る 住 民 参 加 の 重 要 性 が 一 段 と 高 まったことである 以 上 のように 導 入 された 当 初 は 策 定 すること 自 体 が 目 的 であったが ほぼ 定 着 した 昭 和 50 年 代 半 ばから 平 成 の 初 頭 にかけての 総 合 計 画 は ⅰ)ソフト 面 を 含 めた 政 策 領 域 全 般 を 扱 う ⅱ) 短 期 計 画 をもって 時 代 変 化 に 対 応 する ⅲ) 総 合 性 を 担 保 しつつも 重 点 化 を 図 る ⅳ) 住 民 の 要 望 を 計 画 に 取 り 込 む というように 最 初 から 研 究 報 告 や 策 定 要 領 が 示 した 内 容 を 具 備 していたわけではなく 環 境 の 変 化 や 時 代 の 要 請 に 対 応 するかたちで 少 しずつ 機 能 面 を 拡 大 させてきた 過 程 を 見 ることができる (2) 今 日 の 総 合 計 画 以 上 で 見 たような 変 遷 を 経 て 今 日 の 自 治 体 は 総 合 計 画 の 目 的 や 意 義 ならびに 課 題 を どのように 捉 えているのか 全 国 の 自 治 体 に 対 して 行 われたアンケート 調 査 をもとに 考 察 する 10 1 調 査 結 果 の 概 要 a) 目 的 意 義 について 総 合 計 画 を 策 定 する 目 的 意 義 としては 総 合 的 な 観 点 から 政 策 の 体 系 化 を 図 る (98.9 %) 将 来 的 な 方 針 や 見 通 しを 明 らかにする (95.6 %) 市 民 に 対 して 行 政 活 動 の 内 容 等 を 説 明 する (93.6 %) 現 状 課 題 と 解 決 策 の 把 握 (91.2 %) といった 項 目 が 上 位 に 挙 げられている この 他 に 事 務 事 業 の 優 先 順 位 付 け (71.7 %) 行 政 活 動 の 合 理 化 効 率 化 (67.2 %) といった 行 政 資 源 の 有 効 性 や 効 率 性 に 着 目 した 項 目 が7 割 程 度 の 支 持 を 得 ている( 図 表 1 参 照 ) 11 9 前 掲 新 川 (2003 )pp.12-13 参 照 10 ( 財 ) 日 本 都 市 センターが 実 施 した 自 治 体 の 計 画 行 政 に 関 するアンケート 調 査 ( 市 区 版 ) ( 財 ) 日 本 都 市 センター(2002 ) 自 治 体 と 総 合 計 画 - 現 状 と 課 題 - に 記 述 されているアンケート 調 査 を 参 照 調 査 の 概 要 1 調 査 対 象 : 全 国 694 市 区 ( 市 671 特 別 区 23) 2 調 査 期 間 :2002 年 2 月 4 日 ~3 月 1 日 3 回 答 状 況 : 回 収 況 75.36 %(694 市 区 中 523 市 区 ) 11 該 当 する やや 該 当 する と 答 えた 割 合 の 合 計 104

図 表 1 総 合 計 画 の 目 的 意 義 0% 20% 40% 60% 80% 100% 総 合 的 な 観 点 からの 政 策 の 体 系 化 現 状 課 題 と 解 決 策 の 把 握 将 来 的 な 方 針 見 通 しの 明 示 事 務 事 業 優 先 順 位 の 決 定 行 政 活 動 の 合 理 化 効 率 化 合 理 的 な 土 地 空 間 利 用 事 務 執 行 上 のガイドラインの 提 示 計 画 政 策 形 成 能 力 の 蓄 積 向 上 市 民 への 行 政 活 動 の 内 容 等 を 説 明 基 本 構 想 の 法 定 化 同 様 の 構 想 計 画 を 策 定 92.2 60.8 83.2 26 45.7 22.6 44.6 24.9 45.3 41.7 38.8 15.9 39.6 69.4 71.3 41.5 22.9 30.4 35.2 24.5 12 19.9 21.8 26.8 23.9 12.4 14.9 10.7 13 6.70.4 6.50.6 3.1 0.8 5.2 5.4 4.8 3.3 7.8 50.2 3.4 該 当 する やや 該 当 する あまり 該 当 しない 該 当 しない わからない 無 回 答 出 所 : 日 本 都 市 センター(2002 ) アンケート 調 査 より b) 課 題 について 総 合 計 画 の 課 題 としては 事 務 事 業 の 優 先 順 位 が 明 確 でない (71.7 %) 事 務 事 業 削 減 のための 方 針 と して 機 能 し ていない (69.2 %) 内 容 が 総 花 的 に なっている (67.1 %) 職 員 に 計 画 の 重 要 性 が 認 識 されていない (67.1 %) などが 上 位 に 挙 げられ ている( 図 表 2 参 照 ) 12 図 表 2 総 合 計 画 の 課 題 総 合 計 画 の 形 骸 化 政 策 体 系 の 欠 如 内 容 が 総 花 的 内 容 が 土 地 利 用 社 会 資 本 整 備 等 の 傾 斜 内 容 が 土 地 利 用 社 会 資 本 整 備 等 が 不 足 1.5 内 容 に 自 治 体 の 独 自 性 特 徴 がない 事 務 事 業 の 優 先 順 位 が 不 明 確 事 務 事 業 削 減 の 方 針 として 機 能 していない 戦 略 性 に 乏 しい マネジメン トの 視 点 の 欠 如 総 合 性 の 視 点 の 欠 如 5.5 内 容 に 合 理 性 が 欠 如 1.1 計 画 の 運 営 手 法 が 効 果 的 に 機 能 しない 職 員 に 計 画 進 行 管 理 の 意 識 が 希 薄 職 員 に 計 画 の 重 要 性 が 認 識 されていない 市 民 参 加 民 意 を 十 分 に 踏 まえていない 1.9 市 民 等 に 対 してわかりにくい 3.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 3.6 3.1 1.9 2.3 27.3 14.5 21.0 14.7 13.4 26.4 23.7 22.4 9.2 13.8 17.8 8.6 17.2 12.4 18.5 29.6 31.7 38.6 43.4 36.9 24.7 33.8 46.1 40.2 47.2 48.0 46.8 44.6 49.9 46.8 41.7 37.7 38.6 39.0 31.5 25.2 33.8 43.2 47.4 18.9 42.3 36.5 32.1 17.4 9.2 14.7 12.0 21.2 12.8 16.4 13.8 24.9 33.5 14.9 10.1 0.8 27.0 12.6 36.7 22.9 該 当 する やや 該 当 する あまり 該 当 しない 該 当 しない わからない その 他 0.4 0.4 0.4 0.2 0.6 0.8 0.6 2.7 2.7 2.7 0.4 2.1 4.4 0.4 0.6 2.3 出 所 : 日 本 都 市 センター(2002 ) アンケート 調 査 より 12 該 当 する やや 該 当 する と 答 えた 割 合 の 合 計 105

c) 今 後 のあり 方 について 上 記 以 外 では 今 後 の 総 合 計 画 のあり 方 はどうあるべきか という 設 問 に 対 して 現 行 の 総 合 計 画 システムに 予 算 評 価 等 を 連 携 させる (70.6 %) 3 層 構 造 を 基 本 とし 政 策 の 目 的 - 手 段 の 関 係 をより 明 確 にする (50.7 %) 施 策 等 の 優 先 度 を 明 確 にする 等 の 行 政 改 革 に 役 立 つようにする (40.7 %) 計 画 期 間 を 短 期 化 し 社 会 経 済 状 況 に 柔 軟 に 対 応 す る (18.4 %) などが 挙 げられている また 実 効 性 向 上 のための 改 善 方 法 としては 総 合 計 画 予 算 評 価 システムの 密 接 な 連 携 (81.5 %) 計 画 の 形 成 決 定 段 階 におけ る 市 民 参 加 協 働 の 推 進 (63.3 %) 事 務 事 業 の 優 先 順 位 の 明 確 化 (46.3 %)などが 挙 げられている 13 2 目 的 意 義 課 題 面 等 からの 考 察 上 記 の 調 査 結 果 から 各 自 治 体 が 今 日 の 総 合 計 画 の 目 的 意 義 ならびに 課 題 として 認 識 していることを 概 略 的 に 整 理 すると 以 下 のような 内 容 にまとめることができる 第 一 に 政 策 領 域 全 般 を 包 括 し それを 体 系 的 に 示 すといった 機 能 は 今 日 でも 重 要 な 機 能 の 一 つであるが 課 題 に 認 識 されていないことからわかるように ほぼその 目 的 は 達 成 しているものと 推 察 される 14 第 二 に 現 行 の 総 合 計 画 は 広 範 な 政 策 領 域 を 総 合 的 に 補 足 しているといっても 内 容 は 総 花 的 で 重 点 化 が 十 分 に 図 られておらず さらに 予 算 等 との 連 携 にも 課 題 があり 行 政 資 源 の 効 率 的 な 配 分 にはあまり 寄 与 していない 第 三 に 総 合 計 画 全 体 で 捉 えた 場 合 社 会 情 勢 の 変 化 に 対 応 した 見 直 し 改 定 が 十 分 でなく 計 画 体 系 の 柔 軟 性 に 問 題 がある 第 四 に 今 日 では 多 様 な 住 民 参 加 の 手 法 が 取 り 入 れられて いるが 近 年 の 地 方 分 権 改 革 の 進 展 や 住 民 意 識 の 高 まりからすれば それに 見 合 った 参 加 の 機 会 が 十 分 確 保 されているとは 言 えない Ⅲ 総 合 計 画 の 実 効 性 (1) 総 合 計 画 の 実 効 性 とは 地 方 自 治 法 で 規 定 されるとおり 総 合 計 画 はその 地 域 における 総 合 的 な 行 政 運 営 を 行 う ための 最 上 位 の 指 針 であることは 言 うまでもない また 大 森 (2002 )は 総 合 計 画 は 行 政 運 営 の 指 針 であり 行 政 職 員 はもとより 地 方 議 会 の 議 員 や 地 域 住 民 にとっても 自 治 体 が 向 かおうとしている 方 向 性 や 実 現 しようとしている 政 策 施 策 事 業 の 全 体 的 な 姿 を 知 ることができる 重 要 な 自 治 体 情 報 であると 指 摘 する 15 すなわち 総 合 計 画 は 単 に 行 政 内 部 の 運 営 方 針 にとどまらず 地 域 社 会 全 体 の 効 用 を 目 指 した 指 針 であるといえよう 13 前 掲 日 本 都 市 センター(2002 )pp.170-174 参 照 14 但 し 総 花 的 であるという 批 判 が 今 日 においても 絶 えないことから 真 の 意 味 での 体 系 性 や 総 合 性 が 確 保 できていないという 見 解 もある( 前 掲 松 井 (2003 )pp.21-22 参 照 ) 15 大 森 彌 (2002 ) 自 治 体 計 画 の 転 換 期 松 下 圭 一 西 尾 勝 新 藤 宗 幸 [ 編 ] 岩 波 講 座 自 治 体 の 構 想 3 政 策 pp.10-11 参 照 106

それでは 実 際 に 指 針 となり 得 るためには どのような 条 件 を 満 たす 必 要 があるのか ここでは 総 合 計 画 の 実 効 性 を 指 針 として 実 際 に 効 果 を 発 揮 すること という 広 い 意 味 で 捉 え 考 えてみたい これについては 明 確 な 基 準 は 存 在 しないが 先 述 した 研 究 報 告 および 策 定 要 領 で 示 されている 内 容 や 全 国 の 自 治 体 の 意 識 の 中 から その 傾 向 を 探 って みたい 前 節 の 考 察 を 踏 まえ 当 初 国 が 総 合 計 画 に 期 待 した 機 能 や 条 件 ならびに 今 日 の 自 治 体 が 考 えている 総 合 計 画 の 目 的 や 意 義 を 概 括 的 に 捉 えれば おもに 次 の4 点 に 集 約 することができると 考 えられる 1 政 策 全 般 を 総 合 的 体 系 的 に 示 す( 総 合 性 体 系 性 ) 2 資 源 を 効 率 的 に 配 分 する( 効 率 性 ) 3 環 境 変 化 に 柔 軟 に 対 応 する( 柔 軟 性 ) 4 民 意 を 反 映 する( 民 主 性 ) つまり 1 政 策 領 域 全 般 が 総 合 的 かつ 体 系 的 に 示 されること 2 重 点 化 や 優 先 順 位 の 明 確 化 など 合 理 的 な 枠 組 みによって 資 源 の 効 率 的 な 配 分 が 図 られること 3 環 境 変 化 に 対 応 するために 柔 軟 な 見 直 し 改 定 が 行 われること 4 地 域 社 会 全 体 の 計 画 として 住 民 の 意 向 が 広 く 反 映 されること という4つの 機 能 が 満 たされることにより 指 針 としての 実 効 性 が 担 保 されると 解 することができる (2)4つの 機 能 別 で 見 た 実 効 性 それでは 実 際 に これらの4 機 能 は 今 日 の 総 合 計 画 で 十 分 に 効 果 を 発 揮 しているといえ るのか 前 節 の 考 察 をもとに 分 析 すると 先 述 したように 1の 政 策 全 般 を 包 括 し 一 つの 計 画 として 体 系 的 に 示 す( 総 合 性 体 系 性 ) ことに 関 しては 多 くの 自 治 体 でその 目 的 は 達 成 されている 2の 資 源 を 効 率 的 に 配 分 する( 効 率 性 ) ことに 関 しては 施 策 の 重 点 化 や 事 務 事 業 の 優 先 順 位 の 明 確 化 などの 面 で 課 題 が 指 摘 されている 3の 環 境 の 変 化 に 柔 軟 に 対 応 する( 柔 軟 性 ) ことに 関 しては 変 化 に 対 応 した 柔 軟 な 計 画 改 定 の 面 で 課 題 が 指 摘 されている 4の 民 意 を 反 映 する( 民 主 性 ) ことに 関 しては 計 画 策 定 への 住 民 参 加 の 面 で 課 題 が 指 摘 されている このように 現 状 では 4 機 能 のうち2 3 4の3 機 能 が 十 分 に 効 果 を 発 揮 していな いことが 読 み 取 れる つまり 指 針 全 体 としての 実 効 性 が 担 保 できていないと 同 時 に 機 能 別 で 見 れば この3 機 能 それぞれが 実 効 性 を 欠 いていると 言 えるだろう そして この 先 この3 機 能 がさらに 高 いレベルで 要 求 されると 考 えられる それは 自 治 体 を 取 り 巻 くいくつかの 構 造 的 な 環 境 変 化 が 影 響 を 及 ぼすと 予 測 されるからである 一 つには 以 前 のような 経 済 成 長 は 期 待 できず 加 えて 人 口 の 減 少 ならびに 高 齢 化 にと もなう 税 収 減 といった 要 素 を 加 味 すると この 先 慢 性 的 な 財 源 不 足 に 直 面 することが 107

避 けて 通 れないこと 二 つには 近 年 の 急 速 な 社 会 経 済 環 境 の 変 化 は 行 政 運 営 において も より 迅 速 な 変 化 への 対 応 が 不 可 避 になっていること 三 つには 住 民 自 治 の 充 実 を 目 指 す 第 2 次 分 権 改 革 では 行 政 と 住 民 の 協 働 という 観 点 が 一 層 重 視 されることである つまり 今 後 に 向 けては 3 機 能 の 実 効 性 を 具 体 的 にどういった 方 法 で 担 保 するかが 求 められることになる なお 2の 資 源 を 効 率 的 に 配 分 する については 事 業 の 優 先 順 位 をどのように 明 確 化 するか 政 策 施 策 レベルの 重 点 化 をどうするかなど 計 画 本 体 の 内 容 面 に 関 する 機 能 である これに 対 し 3の 環 境 変 化 に 柔 軟 に 対 応 する 4の 民 意 を 反 映 する に ついては 変 化 に 対 応 可 能 な 計 画 体 系 をどのように 構 築 するか 策 定 過 程 の 住 民 参 加 をど のように 促 進 するかなど 計 画 の 形 式 手 続 面 の 機 能 と 言 える 以 下 では 3と4の2 点 に 焦 点 を 絞 り 実 際 に 実 効 性 を 高 める 方 策 を 考 えていくこと とする Ⅳ 環 境 変 化 への 柔 軟 な 対 応 ( 柔 軟 な 計 画 体 系 の 構 築 ) 総 合 計 画 が 環 境 変 化 に 対 応 していくためには 柔 軟 な 計 画 体 系 をいかに 構 築 するかが 解 決 の 糸 口 になると 考 えられる 計 画 の 期 間 計 画 の 構 造 という2つの 側 面 から 基 本 的 考 え 方 と 今 後 の 方 向 性 を 考 察 する (1) 基 本 的 考 え 方 1 計 画 の 期 間 a) 基 本 構 想 の 期 間 全 国 の 総 合 計 画 の 計 画 期 間 を 観 察 すると 基 本 構 想 10 年 基 本 計 画 5 年 実 施 計 画 3 年 という 形 態 が 最 も 多 い しかし この 形 態 が 唯 一 のものではなく 図 表 3で 示 すように 多 様 な 計 画 期 間 が 見 られ 長 いものでは 15 年 以 上 の 基 本 構 想 や 10 年 以 上 の 基 本 計 画 を 採 用 する 自 治 体 もある 図 表 3 総 合 計 画 の 計 画 期 間 基 本 構 想 10 年 15 年 以 上 その 他 基 本 計 画 5 年 10 年 10 年 実 施 計 画 なし 2 年 3 年 5 年 3 年 5 年 10 年 3 年 5 年 523 15 9 141 12 93 15 24 29 12 173 100% 2.9% 1.7% 27% 2.3% 17.8 % 2.9% 4.6% 5.5% 2.3% 33.1 % 注 )その 他 は すべて 回 答 一 部 回 答 無 回 答 の 計 上 段 は 自 治 体 数 下 段 は 構 成 比 出 所 : 日 本 都 市 センター(2002 ) アンケート 調 査 より 108

3 計 画 ( 基 本 構 想 基 本 計 画 実 施 計 画 )の 中 でも 基 本 構 想 の 期 間 設 定 は とくに 難 し い 問 題 である 総 合 計 画 が 導 入 された 当 初 国 の 策 定 要 領 では 基 本 構 想 の 期 間 は 当 該 市 町 村 の 経 営 の 目 標 となる 将 来 図 を 将 来 のどの 時 点 に 焦 点 をおいて 画 くことが 適 当 であ るかを 判 断 して 定 めるべきである( 略 ) という 見 解 が 示 されている つまり 期 間 の 設 定 は 自 治 体 の 裁 量 に 任 されている 基 本 構 想 の 期 間 をどの 程 度 にするかについては 2つの 方 向 性 があると 考 えられる た とえば 普 遍 的 なビジョンのみを 掲 げる 場 合 には 20 年 30 年 の 超 長 期 の 期 間 設 定 も 可 能 である これに 対 し 具 体 の 政 策 目 標 まで 示 す 場 合 には 政 策 の 有 効 性 という 観 点 から 見 て 20 年 から 30 年 もの 間 全 く 見 直 しの 必 要 のない 計 画 をつくることは 難 しい どちら が 妥 当 性 が 高 いかは 一 概 には 言 えないが 今 日 の 時 代 環 境 変 化 の 速 さを 鑑 みれば 計 画 期 間 をなるべく 短 期 化 し フレキシブルに 対 応 していくという 視 点 が 求 められているよう に 感 じられる 16 環 境 変 化 への 柔 軟 な 対 応 を 重 視 するのであれば 長 期 ビジョンである 基 本 構 想 いえども 10 年 程 度 を 一 つの 区 切 りとして 捉 えるのが 現 実 的 と 考 えられる b)ローカル マニフェストとの 整 合 また 実 際 に 総 合 計 画 全 体 として3 計 画 ( 基 本 構 想 基 本 計 画 実 施 計 画 )をそれぞれ どのような 期 間 設 定 するかについては 本 格 的 な 展 開 を 見 せつつある 首 長 のローカル マ ニフェスト( 以 下 マニフェスト とする )との 関 係 を 無 視 できなくなっている 地 方 自 治 法 第 2 条 第 4 項 では 市 町 村 は その 事 務 を 処 理 するにあたっては 議 会 の 議 決 を 経 て ( 中 略 ) 基 本 構 想 を 定 め これに 即 して 行 うようにしなければならない とし ている この 条 項 によれば 基 本 構 想 を 策 定 し 事 務 処 理 を 行 うのは 法 人 としての 市 町 村 である これとは 別 に 同 法 147 条 では ( 中 略 ) 長 は 普 通 地 方 団 体 を 統 括 しこれを 代 表 する と 規 定 されている すなわち 首 長 は 法 人 を 代 表 して 基 本 構 想 の 内 容 に 即 した 行 政 運 営 を 執 行 する 法 的 責 任 を 負 っていると 解 される 17 一 方 マニフェストは 首 長 個 人 が 任 期 中 に 実 施 する 政 策 を 有 権 者 に 約 束 したもので あるが 選 挙 を 通 じて 多 数 の 民 意 を 得 ている 以 上 それを 受 けて 当 選 した 場 合 には マニ フェストの 内 容 を 確 実 に 実 行 する 政 治 的 責 任 があると 判 断 される すなわち どちら も 首 長 の 責 任 において 執 行 することが 要 請 されているのである したがって 実 際 には 私 的 なマニフェストを 自 治 体 の 運 営 方 針 に 転 換 することが 必 要 16 実 際 計 画 期 間 は 従 来 どおりでよい という 自 治 体 が 約 6 割 で 最 も 多 いものの 短 期 化 が 望 ましい と 答 えた 自 治 体 も3 割 程 度 あることが 確 認 されている (( 財 ) 地 方 自 治 研 究 機 構 (2005 ) 行 政 評 価 等 マネジメントシステムを 取 り 入 れた 総 合 計 画 に 関 する 研 究 に 記 述 されている 調 査 結 果 を 参 照 ) 調 査 の 概 要 1 調 査 対 象 : 全 国 1,039 市 区 町 村 ( 政 令 指 定 都 市 13 特 別 区 23 市 252 町 村 751) 2 調 査 期 間 :2004 年 11 月 15 日 ~12 月 10 日 3 回 答 状 況 : 回 収 状 況 46.8 %(1,039 市 区 町 村 中 486 市 区 町 村 ) 17 大 塚 敬 (2004 ) ローカル マニフェストと 計 画 行 政 UFJ 総 合 研 究 所 国 土 地 域 政 策 部 [ 編 ] ロ ーカル マニフェストによる 地 方 のガバナンス 改 革 - 自 治 体 が 変 わる 地 域 も 変 わる- p.77 を 参 照 109

になるわけである 単 独 の 重 点 計 画 を 策 定 することも 一 つの 方 法 であるが 法 的 根 拠 を 有 する 総 合 計 画 に 内 容 を 反 映 させ 一 体 として 運 用 することが 望 ましいと 考 えられる さらにこの 場 合 マニフェストが 首 長 任 期 4 年 間 の 政 策 目 標 であることからすれば 総 合 計 画 の 期 間 についても 4 年 サイクルに 整 合 したものであることが 望 ましいと 考 えられ る 実 際 このような 取 り 組 みが 行 われている 自 治 体 もある 例 えば 岐 阜 県 多 治 見 市 で は マニフェストの 内 容 を 総 合 計 画 に 取 り 込 み 両 者 を 一 体 的 に 運 用 する 独 自 の 計 画 体 系 が 構 築 されており 全 国 的 に 注 目 を 集 めている 図 表 4 多 治 見 市 総 合 計 画 の 計 画 期 間 とサイクル 基 本 構 想 10 年 間 年 度 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 基 本 計 画 10 年 間 第 5 次 計 画 実 施 計 画 Ⅰ 5 年 間 展 望 展 計 望 画 計 画 5 年 5 間 年 間 第 5 次 計 画 見 直 し 後 選 挙 計 画 見 直 し 新 計 画 に 組 込 む 実 施 計 画 Ⅱ 5 年 間 第 6 次 計 画 実 質 4 年 間 選 挙 計 画 見 直 し 新 計 画 に 組 込 む 実 施 計 画 5 年 間 展 望 計 画 5 年 間 出 所 : 多 治 見 市 総 合 計 画 より 作 成 同 市 では 図 表 4のように 10 年 間 の 基 本 計 画 を 前 期 5 年 の 実 施 計 画 と 後 期 5 年 の 展 望 計 画 に 分 けて 策 定 し 前 期 5 年 の 実 施 計 画 は 実 行 性 現 実 性 の 高 い 施 策 で 構 成 し 後 半 の5 年 の 展 望 計 画 は 大 まかな 予 定 にとどめている 18 具 体 的 な 運 用 方 法 は 選 挙 翌 年 の4 年 度 目 に 実 施 計 画 の 見 直 しを 行 い 最 終 の5 年 度 目 を 展 望 計 画 から 改 定 され た 新 たな 実 施 計 画 の 初 年 度 に 組 み 込 む さらに 7 年 度 目 の 選 挙 の 翌 年 には 総 合 計 画 全 体 の 見 直 しを 行 い 9 年 度 目 と 10 年 度 目 を 新 たな 実 施 計 画 に 組 込 むという 方 式 である 19 つまり 実 施 計 画 の 最 後 の1 年 を 新 計 画 に 組 込 むことにより 実 質 4 年 間 の 実 施 計 画 と なり さらにそれを 前 期 と 後 期 で2 回 行 うため 総 合 計 画 全 体 としては8 年 間 の 計 画 期 間 となるので 首 長 任 期 の4 年 サイクルに 整 合 が 図 られるのである この 方 式 はあくまでも 一 つの 例 であるが 首 長 任 期 に 沿 った 計 画 期 間 のパターンは 他 に も 考 えられる たとえば 単 純 に 下 位 計 画 を4 年 とし その2 回 ないしは3 回 分 (8 年 か 18 松 下 圭 一 (2004 ) 転 換 期 の 自 治 体 計 画 づくり pp.45-52を 参 考 に 記 述 なお ここでいう 実 施 計 画 とは 一 般 的 な 本 計 画 の 下 の 実 施 計 画 ではなく 基 本 計 画 の 一 部 に 該 当 するものである 19 一 條 義 治 (2005 ) 新 しい 総 合 計 画 論 北 川 正 恭 縣 公 一 郎 総 合 研 究 開 発 機 構 [ 編 ] 政 策 研 究 の メソドロジー pp.320-321を 参 考 に 記 述 110

12 年 )を 基 本 構 想 の 期 間 とする 方 法 もあり 得 るだろう このように 見 てくると 環 境 変 化 に 柔 軟 に 対 応 できる 計 画 期 間 ということ 関 しては 第 一 に 基 本 構 想 は 10 年 程 度 に 抑 える 第 二 に 首 長 任 期 の4 年 を 基 礎 的 な 計 画 期 間 と して 総 合 計 画 全 体 ( 基 本 構 想 基 本 計 画 実 施 計 画 )の 計 画 期 間 を 設 定 する という2 つの 側 面 からの 取 り 組 みが 必 要 であろう 2 計 画 の 構 造 全 国 の 自 治 体 では 図 表 5で 示 すように 3 層 構 造 の 総 合 計 画 を 採 用 する 割 合 が 約 9 割 と 圧 倒 的 に 多 い 20 図 表 5 総 合 計 画 の 構 造 別 策 定 状 況 合 計 3 層 構 造 型 2 層 構 造 型 その 他 基 本 構 想 - 基 本 計 画 型 基 本 構 想 - 実 施 計 画 型 523 469 49 3 2 10% 89.7 % 9.4% 0.6% 0.4% 注 ) 上 段 は 自 治 体 数 下 段 は 構 成 比 出 所 : 日 本 都 市 センター(2002 ) アンケート 調 査 より このような3 層 構 造 の 形 態 が 一 般 化 したのは 先 述 したように 各 自 治 体 が 国 の 指 導 を 忠 実 に 守 ってきたことに 起 因 する しかし 実 際 には 法 的 拘 束 力 はなく 何 層 構 造 にするか は 全 くの 任 意 である したがって 計 画 期 間 と 同 様 変 化 への 対 応 という 観 点 からは 3 層 構 造 に 固 執 せず 自 治 体 の 裁 量 で 柔 軟 な 計 画 構 造 を 構 築 すべきと 考 える 21 総 合 計 画 の 策 定 改 定 作 業 においては 計 画 の 基 礎 となるデータや 資 料 の 作 成 にはじま り アンケート 調 査 審 議 会 など の 住 民 参 加 庁 内 プロジェクト チームなどの 職 員 参 加 広 報 やホ ームページを 活 用 した 市 民 意 見 の 聴 取 など 踏 まなければならない 手 続 が 多 く 1 年 から2 年 の 策 定 期 間 を 要 するのが 普 通 である 3 層 構 造 の 場 合 3 つ の 計 画 の 策 定 改 定 作 業 と 進 捗 管 理 を 同 時 並 行 的 に 行 うため 作 業 負 担 はかな 実 施 計 画 基 本 計 画 図 表 6 基 本 構 想 理 念 基 本 方 針 政 策 体 系 事 務 事 業 2 層 構 造 への 変 革 イメージ 理 念 基 本 方 針 政 策 体 系 事 務 事 業 3 層 構 造 層 構 造 2 出 所 : 筆 者 作 成 20 前 掲 日 本 都 市 センター(2002 ) アンケート 調 査 21 前 掲 地 方 自 治 研 究 機 構 (2005 )p.23 参 照 3 層 構 造 が 望 ましい とする 市 区 町 村 が 62.1 %で 3 層 構 造 にこだわる 必 要 はない とする 市 区 町 村 が 36.6 %という 調 査 結 果 が 出 ている 111

りのものとなる このような 状 況 を 踏 まえると 基 本 計 画 に 実 施 計 画 の 機 能 を 持 たせるか あるいは 実 施 計 画 に 基 本 計 画 の 機 能 をもたせることが 可 能 であれば 法 律 の 規 定 でつくらなければなら ない 基 本 構 想 と 基 本 計 画 もしくは 実 施 計 画 どちらか 一 方 の2 層 構 造 でもよい と 考 える 通 常 の 総 合 計 画 では おもに 基 本 構 想 では 理 念 や 基 本 方 針 基 本 計 画 では 政 策 体 系 実 施 計 画 では 事 務 事 業 を 記 載 するのが 一 般 的 である 2 層 構 造 にする 場 合 現 実 的 に は 図 表 6のように 下 位 計 画 ( 基 本 計 画 もしくは 実 施 計 画 )に 政 策 体 系 と 事 務 事 業 の 両 方 の 機 能 を 持 たせることになる これにより 計 画 内 容 のボリュームは 増 すため 策 定 改 定 には 時 間 を 要 することになる しかし 3 層 構 造 を 維 持 することに 比 べればその 負 担 は 少 なく 加 えて 構 造 が 簡 素 化 されより 明 快 な 計 画 構 造 になるため 総 体 的 には 得 られるメ リットの 方 が 大 きいと 考 えられる (2) 今 後 の 方 向 性 以 上 のような 考 え 踏 まえ 今 後 の 方 向 性 として 計 画 期 間 と 構 造 に 柔 軟 性 を 持 たせると 同 時 に 総 合 計 画 全 体 をマニフェスト サイクルに 整 合 させる 計 画 体 系 の 試 案 を 述 べる 1 計 画 の 構 造 と 期 間 計 画 の 構 造 は 基 本 構 想 とその 下 の 下 位 計 画 の2 層 構 造 とする 計 画 期 間 はいずれも 首 長 任 期 2 回 分 の8 年 間 とし 首 長 任 期 の4 年 サイクルとの 整 合 を 図 る 基 本 構 想 で 示 す 内 容 は まちづくりの 理 念 や 基 本 方 針 上 位 の 政 策 目 標 などの 大 枠 の 方 針 レベルにとどめ 具 体 的 な 内 容 は すべて 下 位 計 画 が 担 うようにする また 名 称 の 議 論 はあるが 下 位 計 画 を 実 施 計 画 と 呼 び 4 年 の 前 期 計 画 と 後 期 計 画 とに 分 けて 策 定 する 具 体 的 には 政 策 体 系 人 口 フレーム など 長 期 的 展 望 で 見 るべき 性 質 ものは8 年 スパンで 捉 え 前 期 後 期 に 共 通 して 記 載 する 一 方 重 点 プロジェクト 重 点 プロジェクトに 係 る 事 務 事 業 政 策 体 系 に 係 る 事 務 事 業 財 政 フ レーム については 4 年 スパンで 捉 えることとし 前 期 計 画 では 具 体 的 な 内 容 を 示 すが 後 期 計 画 では 暫 定 的 な 予 定 を 記 載 するにとどめる( 図 表 7 参 照 ) 2 計 画 のサイクル 当 選 した 首 長 は 翌 年 度 から 総 合 計 画 をスタートさせることが 前 提 条 件 となる 選 挙 前 年 の4 年 度 目 には それまでの 前 期 計 画 の 達 成 状 況 等 を 踏 まえ 後 期 計 画 の 骨 子 案 をつくり それをマニフェストに5 年 度 目 に 選 挙 に 出 馬 する 選 挙 に 当 選 した 場 合 に は 暫 定 の 後 期 計 画 を 正 式 な 後 期 計 画 へと 昇 華 させる 改 定 作 業 を 行 い 6 年 度 目 から 正 式 な 後 期 計 画 をスタートさせる さらに 9 年 度 目 の 選 挙 に 当 選 した 場 合 は 10 年 度 目 から 112

新 たな8 年 間 の 総 合 計 画 を 策 定 するというサイクルである( 図 表 7 参 照 ) 図 表 7 新 たな 総 合 計 画 のイメージ 年 度 1 2 3 4 5 6 7 8 基 本 構 想 基 本 方 針 理 念 上 位 の 政 策 目 標 年 度 1 2 3 4 5 6 7 8 9 選 挙 選 挙 選 挙 前 期 計 画 後 期 計 画 基 本 構 想 8 年 政 策 体 系 ( 政 策 施 策 ) 実 施 計 画 実 施 計 画 重 点 プロジェクト 政 策 体 系 に 係 る 事 務 事 業 重 点 プロジェクトに 係 る 事 務 事 業 重 点 プロジェクト( 予 定 分 ) 政 策 体 系 に 係 る 事 務 事 業 ( 予 定 分 ) 重 点 プロジェクトに 係 る 事 務 事 業 ( 予 定 分 ) 人 口 フレーム 前 期 計 画 4 年 改 定 作 業 ( 暫 定 ) 後 期 計 画 4 年 正 式 な 後 期 計 画 に 昇 華 させる 後 期 計 画 財 政 フレーム 財 政 フレーム( 予 定 ) 出 所 : 筆 者 作 成 3 期 待 される 効 果 と 課 題 計 画 構 造 面 に 関 しては 基 本 構 想 と 実 施 計 画 の2 層 構 造 に 簡 素 化 が 図 られる 計 画 期 間 については 基 本 構 想 が 10 年 以 下 に 短 期 化 され さらに 総 合 計 画 全 体 としては4 年 の 首 長 任 期 に 整 合 が 図 られる また 実 施 計 画 に 暫 定 の 後 期 計 画 を 付 加 することで 長 期 スパン の 見 通 しが 必 要 な 施 策 や 事 業 を 盛 り 込 めるとともに あくまで 暫 定 計 画 なので6 年 度 目 の 改 定 時 には 見 直 しを 図 ることが 可 能 になる なお 基 本 構 想 を 基 本 方 針 レベルの 内 容 にとどめることについては 大 型 建 設 事 業 や 重 点 プロジェクト 等 の 具 体 的 な 予 定 を 把 握 できないことから 議 会 の 了 解 が 得 られるのかと いう 懸 念 もある これについては 基 本 構 想 と 同 期 間 の 実 施 計 画 ( 後 期 計 画 を 含 む)で 長 期 の 予 定 を 示 すと 同 時 に 策 定 段 階 において 議 会 や 市 民 も 含 めた 議 論 の 場 を 十 分 に 提 供 す ることで 理 解 は 得 られると 考 える むしろ 基 本 構 想 で 具 体 的 な 事 業 等 の 予 定 を 示 し 議 決 により 長 期 的 に 拘 束 を 受 ける 状 態 の 方 が 執 行 部 ならびに 議 会 の 双 方 にとってデメリ ットが 大 きいと 考 える また 総 合 計 画 のスタート 時 期 を 選 挙 の 翌 年 度 に 設 定 することについては 新 しい 首 長 が 翌 年 度 から 計 画 をスタートさせることができるのかという 問 題 もある しかし 仮 に2 年 間 の 策 定 期 間 を 確 保 すると 首 長 任 期 と 計 画 が2 年 ズレることになる マニフェストとの 整 合 を 考 慮 すると 首 長 任 期 と 計 画 のズレは1 年 程 度 に 抑 えるべきと 考 える これを 実 現 するには 迅 速 な 改 定 作 業 に 加 え 現 行 計 画 の 進 捗 状 況 と 評 価 ならびに 行 政 課 題 など 計 画 策 定 の 基 礎 になる 政 策 情 報 を 早 い 時 期 から 公 開 していくことが 必 要 であろう とりわけ 113

政 策 情 報 の 提 供 は 新 人 候 補 者 のマニフェストづくりに 寄 与 すると 同 時 に 当 選 後 の 計 画 策 定 時 間 の 短 縮 にもつながる なお どうしても 策 定 に2 年 を 要 すると 判 断 した 場 合 は 実 施 計 画 前 期 の 始 期 を1 年 遅 らせ3 年 とし 総 合 計 画 全 体 では7 年 とする 方 法 も 選 択 肢 と してはあるだろう Ⅴ 民 意 の 反 映 ( 住 民 参 加 の 促 進 ) 計 画 に 広 範 な 民 意 を 反 映 させるには 幅 広 い 合 意 を 得 る 住 民 参 加 制 度 を 構 築 する 必 要 が ある 1 参 加 する 住 民 に 自 発 性 があるか 2 参 加 する 住 民 は 住 民 全 体 の 意 思 を 反 映 してい るか という2つの 側 面 から 基 本 的 考 え 方 と 今 後 の 方 向 性 を 考 察 する (1) 基 本 的 考 え 方 今 日 総 合 計 画 の 策 定 過 程 においては 多 様 な 住 民 参 加 の 手 法 が 見 られる 例 えば 1 行 政 に 対 する 意 見 書 要 望 書 2 住 民 に 対 するアンケート 調 査 3パブリック コメント 手 続 4 住 民 へのヒアリング 調 査 5 住 民 とのワークショップ 6 住 民 説 明 会 7 計 画 策 22 定 審 議 会 への 住 民 参 加 8 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 などがある これらの 手 法 は 行 政 と 直 接 対 話 する 形 態 ( 直 接 的 な 住 民 参 加 )のものと 文 書 等 を 通 じて 意 見 を 表 明 する 形 態 ( 間 接 的 な 住 民 参 加 )のものとに 大 別 することができるだろう( 図 表 8 参 照 ) 23 図 表 8 住 民 参 加 の 手 法 間 接 的 な 住 民 参 加 意 見 書 要 望 書 住 民 アンケート 調 査 パブリック コメント 手 続 直 接 的 な 住 民 参 加 住 民 へのヒアリング 調 査 住 民 ワークショップ 住 民 説 明 会 計 画 策 定 審 議 会 等 への 住 民 参 加 ( 委 嘱 方 式 ) 計 画 策 定 審 議 会 等 への 住 民 参 加 ( 公 募 方 式 ) 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 出 所 : 筆 者 作 成 これらの 手 法 には どれか 特 定 のものだけが 極 めて 効 果 的 であるということはない 多 様 な 住 民 参 加 手 法 のチャネルを 用 意 しておくことが 肝 要 であり それらを 総 合 的 に 組 み 合 22 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 とは 筆 者 の 個 人 的 定 義 であり 住 民 を 公 募 し 参 加 意 思 のある 者 はすべて 受 け 入 れる 会 議 のことをいう 会 議 の 役 割 は 計 画 素 案 の 策 定 等 を 行 うことである 23 その 他 にもさまざまな 参 加 手 法 があるが ここでは 筆 者 の 考 えで 代 表 的 なものだけを 取 り 上 げている 114

わせて 実 施 することで 幅 広 い 住 民 の 意 見 要 望 を 抽 出 することが 可 能 になる しかし 今 後 さらに 計 画 自 体 の 民 主 的 正 当 性 を 高 めていくためには 多 様 な 手 法 を 取 り 入 れつつも どちらかといえば 直 接 的 な 住 民 参 加 の 手 法 をより 充 実 させていかなけれ ばならないと 考 える とりわけ 住 民 が 関 与 する 度 合 いを 高 めることが 重 要 であり 住 民 が 策 定 作 業 に 直 接 参 加 する 手 法 に 重 点 を 置 く 必 要 があるだろう なお 直 接 的 な 住 民 参 加 手 法 を 真 に 機 能 させるためには 参 加 する 住 民 の 自 発 性 が 高 い( 自 発 性 ) こと 参 加 する 住 民 が 住 民 全 体 の 意 思 を 広 く 反 映 している( 反 映 性 ) こと という2つの 要 件 を 満 たすことが 不 可 欠 な 要 素 になると 考 えられる 24 しかし これまで の 住 民 参 加 の 手 法 を 考 察 すると この2つの 要 件 を 満 たすことが 容 易 でないことがわかる とりわけ 反 映 性 を 満 たすことが 難 しいと 言 える たとえば 一 般 的 に 計 画 策 定 審 議 会 に 公 募 委 員 を 入 れる 手 法 がよく 用 いられるが 通 常 小 数 の 人 数 枠 しか 用 意 できないため 自 発 性 は 高 くとも 広 く 多 様 な 住 民 の 意 思 を 反 映 しているとは 言 えないのである そこで 現 状 考 え 得 る 住 民 参 加 手 法 の 中 で 自 発 性 反 映 性 の 双 方 の 要 素 を 満 たすものを 考 えてみ たい 2つの 要 素 で 整 理 したのが 図 表 9である 縦 軸 は 住 民 の 自 発 性 の 高 さを 示 し 横 軸 は 全 体 意 思 の 反 映 性 の 高 さを 表 している 実 際 に 上 記 で 示 した 住 民 参 加 の 手 法 をこの 図 にプロットしてみると 住 民 を 公 募 し 応 募 者 全 員 を 受 け 入 れる 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 が 自 発 性 反 映 性 ともに 高 い 手 法 であることがわかる なぜなら 自 発 性 が 高 いこと 図 表 9 住 民 の 自 発 性 と 反 映 性 住 民 の 自 発 性 が 高 い 出 所 : 筆 者 作 成 は 当 然 として 人 数 制 限 をかけないことで 参 加 機 会 が 平 等 に 保 障 され 多 様 な 立 場 の 住 民 をより 多 く 参 加 させることが 可 能 になるため 反 映 性 も 高 いと 判 断 されるからである 25 このように 見 ると 現 状 では 数 ある 直 接 的 な 参 加 手 法 の 中 でも 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 が 広 範 な 民 意 反 映 という 面 で 最 も 効 果 が 高 い 手 法 であると 判 断 できよう 低 い 計 画 策 定 審 議 会 ( 公 募 ) 住 民 説 明 会 での 意 見 聴 取 住 民 ワークショップ 意 見 書 要 望 書 パブリック コメント 手 続 ヒアリング 調 査 計 画 策 定 審 議 会 ( 委 嘱 ) しかし この 手 法 にも 問 題 点 はある 市 民 活 動 やまちづくりを 支 援 するNPOの 東 京 ラ 低 い 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 アンケート 調 査 全 体 意 思 の 反 映 性 が 高 い 24 金 井 利 之 (2006 ) 自 治 体 行 政 学 (7) 総 合 計 画 (4) 自 治 研 修 協 会 [ 編 ] 月 刊 自 治 フォーラム pp.44-48の 考 え 方 を 参 考 にしている 金 井 は 参 加 する 住 民 が 1 自 発 的 積 極 的 な 意 思 を 持 っている こと 2 住 民 全 体 の 意 思 を 平 均 的 に 反 映 していることの2 点 が 重 要 な 要 素 と 指 摘 する 25 金 井 は 参 加 者 に 偏 りがあるとしても 参 加 機 会 が 平 等 に 開 かれている 限 り 偏 り をなくするよ うに 他 の 住 民 個 人 はいつでも 参 入 できると 指 摘 する( 前 掲 金 井 (2006 ) 参 照 ) 115

ンポは 住 民 には3つのタイプがあるとした 上 で 近 年 の 公 募 型 による 住 民 参 加 の 広 まり は もの 言 う 住 民 に 参 加 の 扉 を 開 いたが サイレント マジョリティ( 声 なき 住 民 ) の 多 くを 取 り 込 むまでには 至 っていないと 指 摘 する 26 つまり 参 加 する 機 会 が 平 等 に 開 かれていても 実 際 サイレント マジョリティと 呼 ばれるその 他 多 くの 住 民 の 参 加 はそ れほど 期 待 できないため 反 映 性 の 面 で 課 題 を 抱 えているのである この 手 法 を 効 果 的 に 運 用 するには どのような 方 法 で 自 発 性 の 低 い 住 民 層 を 取 り 込 んで いくかが 重 要 な 検 討 課 題 となる (2) 今 後 に 向 けた 方 向 性 以 上 のような 考 えを 踏 まえ 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 を 住 民 参 加 手 法 の 基 軸 に 置 くべ きという 観 点 で 今 後 の 方 向 性 を 述 べる 近 年 住 民 の 自 治 意 識 や 行 政 に 対 する 関 心 が 高 まっているとはいえ 将 来 的 に サイ レント マジョリティ 層 が もの 言 う 市 民 層 に 大 幅 に 変 わっていくことを 期 待 するの は 難 しい むしろ 行 政 がサイレント マジョリティを 積 極 的 に 取 り 込 んでいく 姿 勢 が 求 められるのではないだろうか たとえば 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 の 中 に 公 募 委 員 とは 別 枠 で 無 作 為 抽 出 で 住 民 を 選 び 会 議 の 構 成 員 に 加 える 方 法 がある これについては 無 作 為 で 選 んだ 住 民 が 実 際 にどれ ほど 参 加 するのか 自 由 参 加 型 なのに 行 政 が 恣 意 的 に 委 員 を 選 んでよいのか といった 批 判 はあるだろう しかし この 方 法 には 次 のような 効 果 が 期 待 できる 一 つには おそらく 住 民 参 加 の 場 に 参 加 してこない 住 民 には 1そのような 場 があるこ と 自 体 を 知 らない 2 知 っているが 参 加 していない という2つのパターンが 存 在 する 1には 会 議 の 存 在 を 知 れば 参 加 したいと 思 う 住 民 が 含 まれていると 考 えられる また 1 2に 共 通 して 自 ら 手 を 挙 げるほどではないが 依 頼 されれば 参 加 してみたいと 思 う 住 民 も 少 なからず 存 在 するはずである 行 政 からアプローチすることにより これまで 埋 もれていた 住 民 を 取 り 込 むことにつながるのである 二 つには 実 際 に 会 議 に 参 加 し 議 論 する 過 程 を 経 験 することにより 地 域 社 会 に 対 する 関 心 や 自 治 意 識 が 醸 成 され 自 発 的 な 住 民 に 変 わっていくことが 期 待 できるのである 27 またこれとは 別 に この 会 議 方 式 を 効 果 的 に 機 能 させるには 行 政 職 員 が 会 議 の 構 成 員 として 参 加 することが 必 要 であると 考 える 先 進 的 な 自 治 体 の 中 には 三 鷹 市 のように 住 26 3つのタイプは 1 行 政 から 見 える 住 民 ( 町 内 会 長 団 体 代 表 ) 2もの 言 う 住 民 (NPOで 活 躍 する 人 など) 3サイレント マジョリティ(その 他 多 くの 住 民 )である NPO 法 人 東 京 ランポホームページ なぜ 市 民 参 加 協 働 が 必 要 か 参 照 http://www.la -npo.org/shucho/kiso/hitsuyo.ht 27 三 鷹 市 では 2006 年 に 開 催 した みたかまちづくりディスカッション 2006 において 今 まで 参 加 の 機 会 の 少 なかった 市 民 の 声 を 聞 くために 18 歳 以 上 の 市 民 から 無 作 為 抽 出 で 選 んだ 1,000 人 に 依 頼 状 を 送 ったところ 52 名 の 参 加 があり 終 了 後 のアンケートでは 回 答 した 50 名 のうち 41 名 が もう 一 度 やってみたい と 答 えている ( 一 條 義 治 (2007 ) 計 画 参 加 アウトソーシングで 変 わる 自 治 体 のか たち 月 刊 地 方 自 治 職 員 研 修 (2007 年 5 月 号 ) 参 照 ) 116

民 のみの 会 議 体 が 白 紙 の 段 階 から 計 画 素 案 を 策 定 するケースもある このように 計 画 策 定 の 初 期 段 階 をすべて 住 民 に 任 せることがきるのは 住 民 意 識 の 高 さに 裏 打 ちされたもの であり 計 画 策 定 という 分 野 に 限 ってみれば 究 極 の 住 民 自 治 とも 言 える しかし 最 も 重 要 な 要 素 といえる 素 案 の 策 定 には 行 政 が 関 与 すべきと 考 える しかも 事 務 局 としてではなく 正 規 の 構 成 員 とし ての 参 加 が 望 ましい 行 政 も 地 域 社 会 を 構 成 する 主 体 の 一 つであることからすれ ば 住 民 と 行 政 が 協 働 して 計 画 策 定 にあ 図 表 10 自 由 参 加 型 住 民 会 議 のイメージ 素 案 策 定 たる 方 法 も 住 民 自 治 の 理 念 に 適 ったも のである 何 より 住 民 と 行 政 が 課 題 や 問 題 意 識 を 共 有 しながら 策 定 する 過 程 に 自 由 参 加 型 住 民 会 議 意 義 があるのではないだろうか そのような 意 味 で 自 由 参 加 型 の 住 民 会 議 のあり 方 としては 公 募 による 住 参 加 参 加 参 加 民 無 作 為 抽 出 で 選 ばれた 住 民 行 政 職 員 の3 主 体 が 対 等 な 立 場 で 素 案 無 作 為 に 選 ばれた 住 民 対 等 公 募 住 民 対 等 行 政 職 員 の 策 定 にあたる 体 制 が 望 ましいと 考 える 出 所 : 筆 者 作 成 ( 図 表 10 参 照 ) Ⅵ おわりに 総 合 計 画 の 実 効 性 について 環 境 変 化 への 対 応 するための 柔 軟 な 計 画 体 系 の 構 築 計 画 に 幅 広 い 民 意 を 反 映 させるための 住 民 参 加 の 促 進 という 二 つの 機 能 に 焦 点 をあて 今 後 に 向 けた 基 本 的 考 え 方 と 方 向 性 を 述 べた しかし 実 際 にこの2つの 実 効 性 を 高 めるに あたっては 想 定 される 課 題 もある なかでも 住 民 参 加 の 促 進 は 行 政 運 営 の 重 要 な 場 面 に 直 接 住 民 が 参 加 し 影 響 力 を 及 ぼすものであるが 間 接 民 主 主 義 のもとで 住 民 代 表 とさ れている 議 会 との 関 係 は きちんと 整 理 していかなければならないだろう また 具 体 的 方 策 に 触 れなかった 資 源 の 効 率 的 な 配 分 に 関 しては 将 来 的 な 財 政 状 況 の 厳 さを 踏 まえると 限 りある 資 源 を 適 切 に 配 分 するという 計 画 本 来 の 機 能 がより 強 く 求 められている 施 策 の 重 点 化 や 優 先 順 位 の 明 確 化 のほか 行 政 評 価 や 予 算 との 連 携 な ど 課 題 解 決 に 向 けた 方 策 は 多 様 である 多 角 的 な 視 点 から 実 効 性 を 担 保 する 方 策 を 検 討 していく 必 要 がある なお 今 回 は 総 合 計 画 が 行 政 運 営 の 指 針 として 必 要 な 機 能 とその 実 効 性 に 絞 って 考 察 した したがって 総 合 計 画 の 広 範 な 機 能 とその 実 効 性 を 深 く 掘 り 下 げてはいない 本 研 究 で 踏 み 込 めなかった 領 域 については 今 後 の 研 究 課 題 としたい 117

参 考 文 献 : 新 川 達 郎 (2003 ) 自 治 体 計 画 行 政 の 現 状 と 課 題 都 市 問 題 第 94 巻 ( 第 10 号 ) 東 京 市 制 調 査 会 一 條 義 治 (2005 ) 新 しい 総 合 計 画 論 総 合 研 究 開 発 機 構 [ 編 ] 政 策 研 究 のメソドロジー 法 律 文 化 社 一 條 義 治 (2007 ) 計 画 参 加 アウトソーシングで 変 わる 自 治 体 のかたち 月 刊 地 方 自 治 職 員 研 修 (2007 年 5 月 号 ) 公 職 研 大 塚 敬 (2004 ) ローカル マニフェストと 計 画 行 政 UFJ 総 合 研 究 所 [ 編 ] ローカル マニフェストによる 地 方 のガバナンス 改 革 ぎょうせい 大 森 彌 (2002 ) 自 治 体 計 画 の 課 題 転 換 松 下 圭 一 西 尾 勝 新 藤 宗 幸 [ 編 ] 岩 波 講 座 自 治 体 の 構 想 3 政 策 岩 波 書 店 金 井 利 之 (2006 ) 自 治 体 行 政 学 (4) 総 合 計 画 ( 上 )~ 自 治 体 行 政 学 (9) 総 合 計 画 (6) 自 治 研 修 協 会 [ 編 ] 月 刊 自 治 フォーラム 第 一 法 規 金 井 利 之 (2007 ) 自 治 体 行 政 学 (10) 総 合 計 画 (7)~ 自 治 体 行 政 学 (12) 総 合 計 画 (9) 自 治 研 修 協 会 [ 編 ] 月 刊 自 治 フォーラム 第 一 法 規 田 村 秀 (2004 ) 自 治 体 計 画 制 度 ( 基 本 構 想 基 本 計 画 実 施 計 画 ) 西 尾 勝 [ 編 ] 自 治 体 改 革 第 5 巻 自 治 体 デモクラシー 改 革 ぎょうせい 地 方 自 治 研 究 機 構 (2005 ) 行 政 評 価 等 マネジメントシステムを 取 り 入 れた 総 合 計 画 に 関 す る 研 究 地 方 自 治 研 究 機 構 西 尾 隆 (2003 ) 行 政 のコミュニケーションを 担 う 総 合 計 画 都 市 問 題 ( 第 94 巻 第 10 号 ) 東 京 市 制 調 査 会 西 尾 勝 (1990 ) 行 政 学 の 基 礎 概 念 東 京 大 学 出 版 会 日 本 都 市 センター(2002 ) 自 治 体 と 総 合 計 画 - 現 状 と 課 題 - 日 本 都 市 センター 日 本 都 市 センター(2003 ) 自 治 体 と 計 画 行 政 - 財 政 危 機 下 の 管 理 と 参 加 - 日 本 都 市 セン ター 松 井 望 (2003 ) 総 合 計 画 制 度 の 原 型 変 容 課 題 都 市 問 題 第 94 巻 第 10 号 東 京 市 制 調 査 会 松 沢 成 文 (2005 ) 実 践 ザ ローカル マニフェスト 東 信 堂 松 下 圭 一 (2005 ) 自 治 体 再 構 築 公 人 の 友 社 松 本 英 昭 (2004 ) 要 説 地 方 自 治 法 第 2 次 改 訂 版 ぎょうせい 多 治 見 市 第 5 次 総 合 計 画 ( 基 本 計 画 ) 合 併 に 伴 う 改 訂 版 http://www.city.tajimi.gifu.jp/kikaku/soukei/g NPO 法 人 東 京 ランポ なぜ 市 民 参 加 協 働 が 必 要 か htp://www.la -npo.org/shucho/kiso/hitsuyo.html 118

平 成 19 年 度 大 学 院 科 目 等 履 修 生 派 遣 レポート 大 野 田 徳 高 ( 総 務 部 人 事 課 研 修 担 当 ) 私 は 平 成 19 年 度 に 明 治 大 学 公 共 政 策 大 学 院 ガバナンス 研 究 科 に 科 目 等 履 修 生 として 派 遣 され 新 しい 公 共 経 営 に 関 する 科 目 を 履 修 した NPM( =New Public : Management 新 公 共 経 営 )を 始 めとする 公 共 経 営 の 考 え 方 と 本 市 の 人 材 育 成 の 方 向 性 について 整 理 し 考 察 したい Ⅰ 公 共 経 営 の3 類 型 (1)NPM NPMは 1979 年 からの 英 国 サッチャー 政 権 時 以 降 の 一 連 の 行 政 改 革 が 基 本 になって おり 30 年 近 く 前 の 概 念 である その 概 念 は 明 確 には 確 立 されておらず 成 果 志 向 ( 政 策 のアウトカムの 重 視 ) 顧 客 志 向 ( 顧 客 の 立 場 に 立 ってアウトカムを 設 定 追 求 ) 生 産 性 志 向 ( 経 営 品 質 を 重 視 し 持 続 的 生 産 性 向 上 を 目 指 す) 手 段 最 適 化 志 向 ( 結 果 を 重 視 し 手 段 は 最 適 な 主 体 に 任 せる)など 一 連 の 志 向 や 行 政 評 価 PFI 指 定 管 理 者 制 度 などの 手 法 の 総 称 である 英 国 等 では 既 に 耳 にすることのない 言 葉 だそうだが NPMが 近 年 日 本 で 盛 んに 議 論 され 多 くの 自 治 体 で 導 入 される 背 景 には 危 機 的 な 財 政 難 の 中 で 市 民 から 求 められる ニーズが 多 様 高 水 準 化 し これまでの 行 政 運 営 では 対 応 できない 状 況 が 多 々 発 生 してお り 新 しい 概 念 で 行 政 運 営 をしていかなければならないという 意 識 の 表 れと 考 えられる しかし 行 政 評 価 等 を 導 入 した 自 治 体 では 必 ずしも 効 果 的 に 運 用 がなされているわけ ではない その 導 入 自 体 が 目 的 化 し 形 骸 化 してしまっている 例 も 少 なくないのが 実 態 で ある 全 国 の 市 及 び 東 京 23 区 を 対 象 に 行 ったアンケートでは 行 政 評 価 導 入 の 目 的 が 行 政 運 営 の 効 率 化 にあったとする 回 答 が 最 も 多 い(53.9 %)にもかかわらず その 効 果 の 具 体 的 内 容 は 職 員 の 意 識 改 革 とする 回 答 が 最 も 多 く(35.3%) 行 政 運 営 の 効 率 化 とする 回 答 は 16.7 %に 留 まった これらの 調 査 結 果 から 何 のために 導 入 しているのか という 目 的 意 識 が 明 確 でないまま 自 治 体 でNPMの 導 入 が 進 んでいる 実 態 が 推 察 される また NPMによる 改 革 が 本 当 に 住 民 サービスの 向 上 や 行 財 政 運 営 の 効 率 化 に 結 びつい ているのか その 効 果 測 定 が 難 しく 喧 伝 されるほどの 成 果 を 上 げていないとの 批 判 もあ る (2)OPA(Old Public Administration : 従 来 型 行 政 ) OPAとは 行 政 のあり 方 に 関 する 古 典 的 なモデルで 問 題 の 把 握 解 決 方 法 の 選 択 実 施 の 全 てにおいて 行 政 が 責 任 を 持 ち 住 民 はサービスの 受 け 手 受 益 者 で 依 頼 人 となる ものである 行 政 は 依 頼 人 のニーズを 満 たす 専 門 性 の 高 いプロの 集 まりであり サービス 119

の 提 供 にあたっては 公 平 性 公 正 性 が 重 視 される 決 定 責 任 の 所 在 が 明 確 で 必 要 な 場 合 に 決 定 の 根 拠 について 説 明 責 任 を 果 たさなければならない (3)NPS(New Public : 新 Service 公 共 サービス) NPSとは NPMに 批 判 的 な 研 究 者 達 が 支 持 するモデルで 問 題 の 把 握 解 決 方 法 の 選 択 実 施 の 全 てについて 市 民 と 関 心 を 持 つ 団 体 等 が 参 加 し 市 民 の 主 権 を 尊 重 し 民 主 的 プロセスを 重 視 するものである 行 政 はパートナーとして 専 門 性 を 発 揮 しつつ 参 加 をす る 個 々の 問 題 について 関 心 のある 住 民 が 対 応 方 法 を 協 議 し 自 分 達 の 責 任 で 解 決 する そのために 参 加 主 体 はそれぞれの 専 門 性 や 保 有 資 源 に 基 づくパートナーシップ( 役 割 分 担 連 携 関 係 )を 作 り 協 働 をして 進 めることが 必 要 になる (4)3 類 型 の 関 連 性 一 つの 同 じ 課 題 に 対 しても それぞれ 三 つの 考 え 方 により 対 応 を 検 討 することができる NPMだけに 固 執 し 一 律 に 固 定 的 な 対 応 をするのではなく 政 策 関 わる 市 民 団 体 時 間 場 所 など 多 くの 要 因 によって 多 種 多 様 な 対 応 を 検 討 し 選 択 していかなければならな い どれが 正 しいという 正 解 はないが それぞれを 選 択 肢 とし 三 つのアプローチを 組 み 合 わせいいとこ 取 りの 運 営 を 行 うことが 今 後 の 行 政 運 営 には 重 要 となる Ⅱ 人 材 育 成 の 方 向 性 NPM OPA NPSそれぞれのモデルに 対 し 求 められる 職 員 のイメージを 示 すと NPMでは 顧 客 満 足 を 実 現 する 有 能 なマネジャーであり OPAでは 専 門 性 と 正 当 性 を 持 った 頼 もしいプロ 集 団 であり NPSでは 時 には 泥 もかぶりながら 市 民 自 治 の 力 で 地 域 作 りに 汗 を 流 す 旗 振 り 役 と 考 えられる 個 々の 職 員 においても ある 部 分 では 従 来 のように 行 政 が 主 導 権 を 持 ち 推 し 進 め ある 部 分 では 市 民 等 と 協 働 をし またある 部 分 は 指 定 管 理 者 制 度 やPFIにより 業 務 を 移 管 す るなど 業 務 によりその 役 割 が 変 わることになる さらには 団 塊 世 代 の 大 量 退 職 や 非 常 勤 職 員 の 増 加 など 職 場 環 境 にも 大 きな 変 化 が 生 じ それらに 柔 軟 に 対 応 し 適 正 に 能 力 を 発 揮 できる 職 員 が 求 められることになる どんなに 素 晴 らしい 画 期 的 な 行 政 システムでも その 適 正 な 担 い 手 がいなければ 存 在 価 値 はない 行 政 の 運 営 に 関 わる 職 員 一 人 ひとりが 意 識 を 高 め 市 の 適 正 な 運 営 に 貢 献 をし ていかなければならない そして 組 織 は そのための 人 材 育 成 を 常 に 推 し 進 め 職 員 に 対 し 効 果 的 なサポートをし ていくことが 重 要 になる 120

平 成 19 年 度 大 学 院 科 目 等 履 修 生 派 遣 レポート - 公 会 計 システムの 研 究 について- 小 澤 貴 史 ( 財 政 部 納 税 課 ) 私 は 明 治 大 学 専 門 職 大 学 院 ガバナンス 研 究 科 で 前 期 に 公 会 計 研 究 を 後 期 に 公 共 経 済 研 究 を 科 目 履 修 した このうち 前 期 の 公 会 計 研 究 で 学 んだことを 述 べる 恥 ずかしながら 公 会 計 という 言 葉 さえ この 授 業 を 受 けるまでは 知 らなかった ただ 現 在 までの 業 務 では 税 金 を 集 めることしか 知 らなかったので 実 際 にどのように 予 算 決 算 を 管 理 するのか 学 ぶため この 授 業 を 選 択 した 専 門 職 大 学 院 ということで 第 一 線 で 活 躍 している 受 講 者 が 多 く 知 らない 分 野 の 話 や 違 った 視 点 からの 話 を 多 数 聞 くことが 出 来 た 自 分 自 身 も 横 須 賀 市 の 職 員 として 恥 じる ことのないように 授 業 に 望 んだが 最 初 の2カ 月 は 言 葉 の 意 味 もわからず 苦 労 が 絶 えなか った 実 際 に 学 んだ 内 容 は 1 公 会 計 の 役 割 2 公 会 計 の 現 金 主 義 会 計 から 発 生 主 義 会 計 への 移 行 3 実 際 の 財 務 諸 表 からの 財 政 分 析 の3 点 である 以 下 では その 内 容 を 説 明 する 公 会 計 とは 公 共 部 門 が 営 む 経 済 活 動 および 経 済 事 象 を 貨 幣 単 位 で 測 定 し 記 録 し 伝 達 する 行 為 であり 簡 単 に 言 えば 政 府 もしくは 地 方 公 共 団 体 の 収 入 と 支 出 を 記 録 し 情 報 として 残 すことである ただし ただ 残 せばいいというわけではなく 次 の 機 能 を 要 し なければならないとされる それは 1その 情 報 が 政 府 の 活 動 に 対 するアカウンタビリテ ィに 寄 与 すること 2 活 動 結 果 の 評 価 を 可 能 とするもの 3 財 政 状 況 の 評 価 を 可 能 とする ものでなければならないとされている つまり 政 府 の 活 動 全 般 に 対 し 財 政 上 の 面 で 説 明 責 任 を 果 たすものが 公 会 計 である 実 際 に 政 府 と 地 方 公 共 団 体 は 毎 年 予 算 及 び 決 算 を 単 年 度 会 計 で 報 告 している 次 に 現 金 主 義 会 計 と 発 生 主 義 会 計 について 述 べる 現 在 日 本 の 政 府 および 地 方 公 共 団 体 の 公 会 計 システムは 現 金 主 義 会 計 を 採 用 している 先 進 国 のなかで この 現 金 主 義 会 計 を 採 用 しているのは 日 本 とドイツだけで その 他 の 先 進 国 や 隣 国 の 韓 国 では 発 生 主 義 会 計 という 会 計 システムを 採 用 している 現 金 主 義 会 計 は 記 録 の 方 法 により 単 式 簿 記 とも 言 われ その 年 度 内 の 収 入 と 支 出 のお 金 の 流 れを 単 純 に 記 録 する 方 法 である もう 一 方 の 発 生 主 義 会 計 とは 複 式 簿 記 とも 言 われ 企 業 会 計 で 使 用 されており 実 際 の 現 金 の 流 れだけではなく その 年 度 内 に 生 じるあらゆる 経 済 的 価 値 の 変 動 をプラス マ イナスの2 項 目 に 分 けそれぞれ 記 録 する 方 法 である 例 を 挙 げると 何 か 物 を 購 入 した 場 合 現 金 主 義 会 計 では 購 入 費 をマイナスとして 計 上 するだけであるが 発 生 主 義 会 計 で は 購 入 費 をマイナスして 計 上 するだけでなく 資 産 についてプラスと 計 上 する 現 金 主 義 会 計 より 発 生 主 義 会 計 が 優 れている 点 は 固 定 資 産 価 値 の 増 減 や 減 価 償 却 費 な 121

どお 金 を 介 さない 価 値 変 動 について 会 計 情 報 に 記 載 する 点 である これは 行 政 サービスの コストを 計 算 する 上 で お 金 を 介 すコストだけの 計 算 だけではなく 固 定 資 産 の 償 却 コス トも 計 算 するので その 結 果 としてフルコストでの 計 算 が 出 来 るのである また 企 業 会 計 にならい バランスシートを 作 成 することにより 資 金 の 調 達 先 と 運 用 先 をフローだ けでなく ストックも 会 計 情 報 として 評 価 可 能 としている これは 有 形 固 定 資 産 を 会 計 情 報 として 記 載 することができ 今 までの 現 金 主 義 会 計 の 方 法 ではできないことである 最 後 に 実 際 の 財 務 諸 表 からの 財 政 分 析 について 述 べる 授 業 の 中 で 横 須 賀 市 とその 周 辺 4 市 町 村 の 財 務 諸 表 について 財 政 分 析 を 行 った 資 料 は 各 市 町 の 17 年 から 過 去 5 年 分 の 決 算 シートと 18 年 のバランスシートを 使 用 した 結 論 としては 横 須 賀 市 は 三 浦 市 についで 財 政 状 況 が 悪 く それもここ2 年 で 急 に 悪 くなっ ていることがわかった また 今 後 三 浦 半 島 でこの4 市 町 が 合 併 することは 横 須 賀 市 と 三 浦 市 以 外 の 市 町 には 財 政 上 のメリットが 少 ないことも 明 らかになった また 他 の 生 徒 は それぞれ 自 分 の 住 む 自 治 体 や 勤 務 する 自 治 体 について 同 様 の 分 析 を 行 い 互 いに 発 表 した 町 田 市 や 中 核 市 の 宇 都 宮 市 や 熊 本 市 と 比 べても 横 須 賀 市 は 経 常 収 支 比 率 や 市 民 一 人 あたりの 負 債 額 等 財 政 状 況 が 芳 しくないことが 分 かった これについては 各 市 の 立 地 条 件 県 内 における 役 割 が 異 なるので 比 較 対 照 として 相 応 しくないとも 感 じたが 確 かに 横 須 賀 市 はこのままでは 財 政 上 健 全 ではないということは 明 らかであった この 授 業 を 受 けて 最 も 今 後 の 業 務 に 生 かさなければならないと 感 じたことは 市 の 業 務 すべてについて 市 民 に 対 し 明 確 な 説 明 責 任 を 果 たさなければいけないということであ る 丁 度 自 民 党 が 敗 北 した 参 議 院 選 が 行 われた 時 期 に 公 会 計 の 必 要 性 について 討 論 す る 授 業 があった 当 時 の 報 道 では 自 民 党 の 敗 因 として 年 金 記 録 問 題 や 閣 僚 の 事 務 所 費 問 題 等 お 金 の 記 録 と 説 明 責 任 について 論 じられており その 中 で 結 論 としては 国 民 に 対 し 政 府 は 説 明 責 任 を 果 たすことができなかった 結 果 として 自 民 党 は 国 民 の 支 持 を 得 ることができなかった これは 地 方 自 治 体 にも 言 えることで 市 民 に 対 し 説 明 責 任 を 果 たすことができなければ 市 民 の 支 持 を 得 ることはできない その 財 政 上 の 説 明 責 任 として 公 会 計 がある ということであった これは 通 常 の 業 務 でも 常 に 説 明 責 任 を 果 たさなければ 市 民 の 支 持 は 得 られないとい う 結 論 にもなる 私 自 身 の 具 体 的 な 業 務 のなかでも どのような 根 拠 で 市 がその 業 務 や 処 分 を 行 うかについて 理 論 的 に 落 ち 度 なく 説 明 ができるように 心 がけるようになった 以 上 が 今 回 の 大 学 院 で 学 んだ 内 容 である もう 一 方 の 授 業 で 学 んだことも 記 載 したか ったが 余 白 の 関 係 で 割 愛 した このような 大 切 な 機 会 を 与 えてくださった 方 々に 感 謝 を 申 し 上 げたい ただ 一 年 を 通 して 一 番 刺 激 を 受 けたのは 授 業 の 内 容 ではなく 一 緒 に 授 業 を 受 けた 生 徒 の 情 熱 であった 税 理 士 や 市 議 会 議 員 のほか 日 光 市 から2 時 間 半 かけ て 通 学 している 日 光 市 の 職 員 が 一 緒 の 授 業 を 受 けていた 今 後 も 市 の 職 員 という 身 分 にあ ぐらをかいているのではなく 精 進 しなければいけないと 強 く 感 じされられた 122

おわりに 巻 頭 で 触 れたとおり 第 2ステージに 入 った 当 研 究 所 の 目 標 を 実 践 的 な 政 策 形 成 の 推 進 においています ここではその 象 徴 的 な 意 味 で 二 つの 事 業 について 補 足 的 に 取 り 上 げたいと 思 います どちらも 従 来 の 研 究 とは 異 なるスタイルで 取 り 組 んだものです ひとつは 事 務 事 業 等 の 総 点 検 です 従 来 の 行 政 評 価 システムの 未 消 化 部 分 として 行 政 資 源 の 有 効 配 分 が 大 きな 課 題 としてあります 次 年 度 以 降 の 予 算 への 反 映 を 目 指 し タ イトなスケジュールでしたが すべての 部 局 にご 協 力 いただき 一 定 の 効 果 をあげることが できました 改 めて 感 謝 いたします 次 年 度 から 政 策 施 策 評 価 についても 新 たな 仕 組 みで 実 施 していく 予 定 ですので ご 協 力 をお 願 いいたします もう 一 点 は 政 策 情 報 アーカイブの 構 築 です アーカイブとは 記 録 の 保 管 や 書 庫 を 意 味 する 用 語 です 過 去 の 政 策 決 定 の 場 でどのような 考 え 方 や 手 法 を 用 いたのかを 直 接 経 験 者 から 聞 き 出 し 次 代 に 伝 承 する 仕 組 みづくりを 今 年 度 試 みました 実 施 にあたって 大 学 の 研 究 室 との 協 働 によったことも 新 しい 点 です 研 修 とは 異 なるアプローチで 人 材 育 成 に 寄 与 するツールとして 次 年 度 も 引 き 続 き 検 討 していく 予 定 です 財 政 体 質 の 改 善 も 人 材 育 成 も 本 市 の 置 かれた 厳 しい 状 況 を 乗 り 切 るために 必 要 不 可 欠 なことと 考 えます 当 研 究 所 も 常 にこれらを 意 識 しながら さまざまな 研 究 活 動 を 展 開 し ていこうと 思 います 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 主 任 研 究 員 黒 澤 一 成 123

都 市 政 策 研 究 所 構 成 員 1 廣 川 聡 美 都 市 政 策 研 究 所 長 2 福 本 眞 和 都 市 政 策 研 究 所 副 所 長 3 黒 澤 一 成 都 市 政 策 研 究 所 主 任 研 究 員 4 藤 崎 啓 造 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 5 宮 川 栄 一 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 6 檜 山 直 人 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 7 竹 田 浩 幸 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 8 角 田 麻 里 子 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 9 梯 大 介 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 ( 三 浦 市 派 遣 ) 10 一 瀬 真 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 ( 三 浦 市 派 遣 ) 11 豊 田 奈 穂 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 ( 博 士 ( 経 済 学 )) 12 浅 野 昌 彦 都 市 政 策 研 究 所 研 究 員 ( 早 稲 田 大 学 大 学 院 博 士 課 程 ) 124

平 成 20(2008 ) 年 3 月 発 行 横 須 賀 市 都 市 政 策 研 究 所 横 須 賀 市 小 川 町 11 番 地 ( 238-8550 ) TEL: 046-822 -8258FAX: 046-822 -9285 E-mail :upi -pc@city.yokosuka.kanagawa.jp URL:http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp /upi/ この 報 告 書 は 400 部 作 成 し 一 部 あたりの 印 刷 経 費 は 183 円 です なお 表 紙 以 外 の 頁 は 庁 内 で 印 刷 しています