第10回税制調査会 総10-1



Similar documents
平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

スライド 1

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

公表表紙

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

第4回税制調査会 総4-1

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

●電力自由化推進法案

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

18 国立高等専門学校機構

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

●幼児教育振興法案

m07 北見工業大学 様式①

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

16 日本学生支援機構

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

文化政策情報システムの運用等

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

 

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務


【労働保険事務組合事務処理規約】

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B38FDA8DD72E747874>

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

Microsoft Word - 【第17期】有価証券報告書(課税上の取り扱い)

代 行 制 度 を 基 本 的 な 枠 組 とする 厚 生 年 金 基 金 制 度 の 今 後 の 在 り 方 について 本 試 案 では 代 行 部 分 は 公 的 年 金 の 一 部 である という 基 本 認 識 に 立 って 1 早 急 な 対 応 が 求 められる 代 行 割 れ 問 題

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

PowerPoint プレゼンテーション

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

資    料 (法人課税)

弁護士報酬規定(抜粋)

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

<81696D373188A E58A77816A E93788D9191E5834B C8EAE82502E786C73>

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

Microsoft PowerPoint - 税制上の特例.pptx

スライド 1

Taro-H19退職金(修正版).jtd


共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

Microsoft PowerPoint - 基金制度

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

内 において 管 理 されている 上 場 株 式 等 のうち 非 課 税 管 理 勘 定 に 係 るもの( 新 規 投 資 額 で 毎 年 80 万 円 を 上 限 とします )に 係 る 配 当 等 で 未 成 年 者 口 座 に 非 課 税 管 理 勘 定 を 設 けた 日 から 同 日 の 属


法 人 等 に 対 する 課 税 際 課 税 原 則 の 帰 属 主 義 への 見 直 しのポイント 総 合 主 義 から 帰 属 主 義 への 移 行 法 人 及 び 非 居 住 者 ( 法 人 等 )に 対 する 課 税 原 則 について 従 来 のいわゆる 総 合 主 義 を 改 め OECD

スライド 1

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

第一部【証券情報】

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑


貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

第316回取締役会議案

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 26 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 副 理 事 長 A 理 事 16,638 10,332 4,446 1,

財政再計算結果_色変更.indd

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

1

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

( 補 助 金 等 交 付 決 定 通 知 に 加 える 条 件 ) 第 7 条 市 長 は 交 付 規 則 第 11 条 に 規 定 するところにより 補 助 金 の 交 付 決 定 に 際 し 次 に 掲 げる 条 件 を 付 するものとする (1) 事 業 完 了 後 に 消 費 税 及 び

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

1 はじめに 財 政 の 役 割 資 源 配 分 ( 公 共 財 供 給 ) 所 得 再 分 配 経 済 安 定 化 ( 景 気 調 整 ) 地 方 自 治 体 の 役 割 は 資 源 配 分 ( 公 共 財 の 安 定 供 給 )とされる ( 所 得 再 分 配 や 経 済 安 定 化 は 国 の

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

Taro-07-1提言概要.jtd

●労働基準法等の一部を改正する法律案

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

PowerPoint プレゼンテーション

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

Transcription:

平 26.6.27 総 1 0-1 平 成 26 年 6 月 法 人 税 の 改 革 に つ い て( 案 ) 税 制 調 査 会

法 人 税 の 改 革 について 1. 法 人 税 改 革 の 趣 旨 グローバル 経 済 の 中 で 日 本 が 強 い 競 争 力 を 持 って 成 長 していくためには 法 人 税 もまた 成 長 志 向 型 の 構 造 に 変 革 していく 必 要 がある わが 国 では これ までもグローバル 化 に 対 応 しながら 税 制 を 見 直 してきた 平 成 21 年 度 税 制 改 正 で 導 入 した 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 がその 典 型 である 速 いス ピードで 変 化 する 社 会 経 済 情 勢 を 受 け 止 め 成 長 を 支 えるための 法 人 税 改 革 を さらに 進 めていく 必 要 がある この 観 点 から 本 年 1 月 安 倍 総 理 大 臣 はダボス 会 議 において 法 人 にか かる 税 金 の 体 系 も 国 際 相 場 に 照 らして 競 争 的 なものにしなければなりません と 述 べられた 今 般 政 府 税 制 調 査 会 においては この 総 理 の 発 言 を 端 緒 とし て 国 地 方 の 法 人 税 の 改 革 に 着 手 した 今 回 の 改 革 の 主 な 目 的 は 次 の2つであ る 第 1は 立 地 競 争 力 を 高 めるとともに わが 国 企 業 の 競 争 力 を 強 化 するため に 税 率 を 引 き 下 げることである 近 年 ドイツ イギリスなど 多 くの 先 進 国 が 自 国 の 立 地 競 争 力 を 高 め かつ 税 収 を 維 持 するための 法 人 税 の 構 造 的 な 改 革 に 取 り 組 んでいる 企 業 が 国 を 選 ぶ 時 代 にあって 国 内 に 成 長 分 野 を 確 保 するに は 法 人 税 率 の 引 下 げは 避 けて 通 れない 課 題 である わが 国 においても グロ ーバル 経 済 における 法 人 課 税 のあり 方 を 根 本 から 考 え 課 税 ベースを 拡 大 し つつ 税 率 を 引 き 下 げる という 世 界 標 準 に 沿 った 改 革 を 行 うことにより 成 長 志 向 の 法 人 税 改 革 を 行 うべき 時 に 来 ている もちろん 法 人 税 率 引 下 げだけで 立 地 競 争 力 や 企 業 の 収 益 力 を 高 めること はできない コーポレートガバナンスの 強 化 や 企 業 の 生 産 性 向 上 のためのさ まざまな 取 組 みが 不 可 欠 である また 経 済 連 携 協 定 の 加 速 労 働 市 場 改 革 等 の 規 制 改 革 エネルギーコストの 低 減 行 政 手 続 きの 簡 素 化 など 企 業 の 経 営 環 境 を 改 善 するための 政 策 をパッケージで 行 う 必 要 がある しかし 少 なくと も 高 い 法 人 税 率 が 立 地 選 択 にあたっての 阻 害 要 因 になることは 避 けねばなら ない 国 内 企 業 が 高 付 加 価 値 分 野 を 国 内 に 残 し また 海 外 から 多 くの 企 業 が 日 本 に 直 接 投 資 を 行 う 環 境 を 作 ることは 質 の 高 い 雇 用 機 会 を 国 内 に 確 保 する ために 不 可 欠 の 課 題 である 第 2は 法 人 税 の 負 担 構 造 を 改 革 することである すなわち 課 税 ベースを 拡 大 し 税 率 を 引 き 下 げることで 法 人 課 税 を 広 く 薄 く 負 担 を 求 める 構 造 にすることにより 利 益 を 上 げている 企 業 の 再 投 資 余 力 を 増 大 させるとともに 収 益 力 改 善 に 向 けた 企 業 の 取 組 みを 後 押 しするという 成 長 志 向 の 構 造 に 変 革 していくことである こうした 構 造 改 革 は 一 部 の 企 業 だけではなく 広 く 税 率 引 下 げの 効 果 が 及 ぶことから 新 しい 産 業 や 新 規 開 業 が 行 われやすい 環 境 を - 1 -

作 ることにもなる 近 年 法 人 税 改 革 に 取 り 組 んできた 諸 外 国 においても 税 率 引 下 げと 同 時 に 課 税 ベースの 拡 大 を 行 い その 結 果 として 産 業 の 新 陳 代 謝 が 行 われやすい 環 境 を 作 ってきた 少 子 化 高 齢 化 が 急 速 に 進 むわが 国 においては 産 業 の 新 陳 代 謝 を 促 して 国 内 に 稼 ぐ 力 を 持 った 企 業 を 多 く 作 っていくこと また 新 規 開 業 を 促 すこと そして 結 果 的 に 生 産 性 を 高 めていくことの 重 要 性 はきわめて 高 い また 課 税 ベースの 見 直 しは 法 人 間 での 課 税 の 公 平 のみならず 企 業 の 選 択 を 歪 めない 税 制 にするという 中 立 の 観 点 からも 重 要 である 何 を 課 税 所 得 の 対 象 とするかは 企 業 の 選 択 に 影 響 を 与 えるため 企 業 行 動 をなるべく 歪 めるこ とのない 税 制 にしていかねばならない また 租 税 特 別 措 置 は 一 度 創 設 され ると 長 期 にわたって 存 続 するという 問 題 点 があるため その 必 要 性 や 効 果 を 常 にゼロベースで 検 証 していく 必 要 がある 国 地 方 の 法 人 税 率 の3 分 の1を 地 方 法 人 課 税 が 占 めることを 考 えれば 地 方 法 人 課 税 の 見 直 しは 法 人 税 改 革 の 重 要 な 柱 である 地 方 税 は 行 政 サービス の 対 価 を 広 く 受 益 者 で 負 担 するという 応 益 課 税 の 考 え 方 が 重 要 であること を 踏 まえ 住 民 税 や 固 定 資 産 税 を 含 む 地 方 税 全 体 のあり 方 と そのなかでの 法 人 課 税 の 位 置 づけを 再 検 討 することが 必 要 である 立 地 競 争 力 を 高 めたり 新 規 開 業 を 促 したりすることは 地 方 の 経 済 活 力 においてもきわめて 重 要 であり その 意 味 でも 法 人 に 過 度 に 依 存 することがないよう 法 人 課 税 の 位 置 づけを 再 検 討 しなければならない 地 方 法 人 課 税 については 応 益 課 税 の 観 点 から 企 業 間 で 広 く 薄 く 負 担 を 担 う 構 造 にすることが 必 要 である 応 益 課 税 としての 性 格 の 明 確 化 や 税 収 の 安 定 化 といった 趣 旨 で 平 成 15 年 度 には 法 人 事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 が 資 本 金 1 億 円 超 の 法 人 を 対 象 に 導 入 され すでに 定 着 している この 外 形 標 準 課 税 につい ても 事 業 活 動 規 模 に 対 し 課 す 税 として 企 業 間 でより 広 く 薄 く 負 担 を 担 う 構 造 にするために 一 段 の 見 直 しが 求 められる また 国 税 と 同 様 企 業 の 選 択 を 歪 めないという 中 立 の 観 点 からの 見 直 しも 必 要 である 法 人 税 改 革 を 行 うに 当 たって 重 要 な 課 題 は 財 政 再 建 との 両 立 である わが 国 は 基 礎 的 財 政 収 支 の 赤 字 を 2015 年 度 に 半 減 し 2020 年 度 に 解 消 すること を 国 際 的 にコミットしている 内 閣 府 の 試 算 では 成 長 戦 略 が 成 功 して 日 本 経 済 が 再 生 した 場 合 に 2020 年 度 の 名 目 成 長 率 は 3.6%になるという 前 提 を 置 い ているが それでもなお 2020 年 度 における 基 礎 的 財 政 赤 字 の 解 消 は 達 成 され ない 法 人 税 改 革 を 進 めるに 当 たっては この 厳 しい 財 政 状 況 を 直 視 しなくて はならない 法 人 税 改 革 は 必 ずしも 単 年 度 での 税 収 中 立 である 必 要 はない また 法 人 税 の 枠 内 でのみ 税 収 中 立 を 図 るのではなく 法 人 税 の 改 革 に 関 連 し 他 の 税 目 についても 見 直 しを 行 う 必 要 がある しかし 恒 久 減 税 である 以 上 恒 久 財 源 を 用 意 することは 鉄 則 である 企 業 は 長 期 の 見 通 しに 立 って 事 業 を 行 うために - 2 -

法 人 税 を 頻 繁 に 見 直 すことは 望 ましくなく この 観 点 からも 恒 久 財 源 を 手 当 て しておくことが 必 要 である 政 府 税 制 調 査 会 では これまでも 法 人 課 税 のあり 方 について 何 度 か 議 論 を 行 ってきた しかし グローバル 化 と 少 子 化 高 齢 化 による 人 口 減 少 という 大 き な 環 境 変 化 を 踏 まえて 法 人 課 税 を 根 本 から 見 直 す 作 業 はいまだ 不 十 分 である 必 要 性 が 指 摘 されながらも 法 人 税 改 革 が 十 分 に 行 われずにきた 理 由 のひと つは さまざまな 利 害 が 対 立 するがゆえに 課 税 ベース 拡 大 などの 構 造 的 な 見 直 しができなかったことにある このため 政 策 税 制 は 毎 年 度 のように 導 入 され ても 税 率 の 大 胆 な 引 下 げは 行 われずにきた たしかに 法 人 税 は 企 業 の 利 益 に 直 結 するため 利 害 が 激 しく 対 立 するのは 当 然 のことでもあろう しかし わが 国 はいまアベノミクスによってデフレ 脱 却 を 果 たし 20 年 以 上 の 長 い 停 滞 から 抜 け 出 ようとしている 日 本 経 済 が 少 子 化 高 齢 化 による 人 口 減 少 という 制 約 を 克 服 し 再 びアジアを そして 世 界 をリードする 存 在 にな るために 短 期 的 な 利 害 を 何 とか 乗 り 越 えて 本 格 的 な 法 人 税 改 革 を 実 現 させ ねばならない 法 人 税 改 革 が 難 しい 理 由 の2つ 目 は 生 活 に 直 結 しない 税 であるがゆえに 関 心 が 高 まりにくく 国 民 全 体 の 理 解 を 得 られにくいことにある 法 人 税 率 の 引 下 げは 家 計 に 負 担 を 強 いて 企 業 を 優 遇 するかのような 受 け 止 め 方 すらある しかし 国 内 に 成 長 力 のある 企 業 が 多 く 存 在 するかどうかは 雇 用 に 直 結 する 問 題 である また 企 業 の 成 長 力 は 賃 金 にも 直 結 する このように 企 業 と 家 計 は 二 分 化 されたものではなく 法 人 税 率 が 高 すぎることのしわ 寄 せは 賃 金 や 製 品 サービス 価 格 への 転 嫁 などを 通 じ 最 終 的 には 何 らかのかたちで 家 計 に 及 ぶ 世 界 経 済 の 構 造 が 急 速 に 変 わりつつあることの 危 機 感 を 共 有 し 広 い 議 論 を 喚 起 しながら 法 人 税 改 革 を 進 めることが 必 要 である 以 上 の 問 題 認 識 のもとに 法 人 税 改 革 ディスカッショングループでは3 月 12 日 以 降 7 回 にわたる 検 討 を 行 ってきた 法 人 税 改 革 の 個 別 事 項 として 次 に 述 べる 論 点 について それぞれ についてとりま とめを 行 うものである 2. 具 体 的 な 改 革 事 項 (1) 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し 租 税 特 別 措 置 には 産 業 支 援 など 特 定 の 政 策 目 的 のために 税 負 担 の 軽 減 な どを 図 る 政 策 税 制 のほか 租 税 回 避 の 防 止 や 手 続 きの 特 例 等 のための 措 置 が ある 政 策 税 制 は 全 申 告 件 数 276 万 件 ( 平 成 24 年 度 )のうち 約 96 万 法 人 が 適 用 を 受 けている - 3 -

政 策 税 制 については 経 済 社 会 環 境 の 変 化 に 応 じて 必 要 性 と 効 果 を 検 証 し 真 に 必 要 なものに 限 定 する 必 要 がある 特 に 特 定 の 産 業 が 集 中 的 に 支 援 を 受 ける 優 遇 措 置 は 可 能 な 限 り 廃 止 縮 減 し 既 存 産 業 への 政 策 支 援 の 偏 りを 是 正 することで 新 産 業 が 興 りやすい 環 境 を 整 備 していく 必 要 がある 見 直 しに 当 たっては 国 際 的 なイコールフッティングの 観 点 が 重 要 である という 意 見 があったが 税 率 を 引 き 下 げるのであれば 例 外 措 置 は 思 い 切 って 見 直 すべきとの 意 見 が 多 かった 具 体 的 には 以 下 の 基 準 に 沿 って ゼロベースでの 見 直 しを 行 うこととす る その 際 租 税 特 別 措 置 の 適 用 状 況 の 透 明 化 等 に 関 する 法 律 に 基 づく 適 用 実 態 調 査 の 結 果 などを 踏 まえる 基 準 1: 期 限 の 定 めのある 政 策 税 制 は 原 則 期 限 到 来 時 に 廃 止 する 延 長 が 繰 り 返 されて 期 限 が 有 名 無 実 化 すれば 政 策 手 段 としての 効 用 が 損 なわれ さらに 税 負 担 の 歪 みも 固 定 化 するおそれがある 基 準 2: 期 限 の 定 めのない 政 策 税 制 は 期 限 を 設 定 するとともに 対 象 の 重 点 化 などの 見 直 しを 行 う 政 策 手 段 としての 効 果 を 最 大 限 に 発 揮 させるとともに 定 期 的 に 検 証 を 行 う 基 準 3: 利 用 実 態 が 特 定 の 企 業 に 集 中 している 政 策 税 制 や 適 用 者 数 が 極 端 に 少 ない 政 策 税 制 は 廃 止 を 含 めた 抜 本 的 な 見 直 しを 行 う 例 えば 不 特 定 多 数 の 適 用 を 想 定 しながら 上 位 10 社 の 適 用 が8 割 超 の 場 合 や 適 用 が 10 件 未 満 の 場 合 は 必 要 性 や 効 果 の 検 証 を 徹 底 する 最 大 の 政 策 税 制 であり かつ 重 要 度 の 高 い 研 究 開 発 税 制 については 次 の 観 点 から 見 直 すべきである 総 額 型 は 平 成 15 年 度 税 制 改 正 において 税 率 引 下 げが 見 送 られる 中 政 策 の 重 点 分 野 への 集 中 投 入 を 図 る 観 点 から 研 究 開 発 税 制 を 大 幅 に 拡 充 するものとして 導 入 された 経 緯 や 税 額 控 除 が 結 果 的 に 補 助 金 と 同 じ 効 果 を 持 つことを 踏 まえ 税 率 引 下 げに 対 応 して 大 胆 に 縮 減 し 研 究 開 発 投 資 の 増 加 インセンティブとなるような 仕 組 みに 転 換 してい くべきである また 対 象 となる 試 験 研 究 費 について 人 件 費 減 価 償 却 費 や 外 部 委 託 費 などの 算 入 を 制 限 している 諸 外 国 の 例 も 参 考 としつつ 対 象 の 重 点 化 を 図 るべきである ( 注 ) 研 究 開 発 費 の 内 訳 ; 人 件 費 36% 原 材 料 費 15% 外 部 委 託 費 14% 減 価 償 却 費 6% また 平 成 25 26 年 度 税 制 改 正 では 企 業 の 研 究 開 発 投 資 設 備 投 資 及 び 賃 上 げを 促 すために 税 制 上 の 対 応 を 行 った これらの 政 策 税 制 はアベノ ミクスの 推 進 のために 導 入 したものであり その 政 策 効 果 やデフレからの 脱 却 状 況 を 見 つつ 集 中 投 資 促 進 期 間 との 整 合 性 を 踏 まえて 考 える 必 要 が - 4 -

ある (2) 欠 損 金 の 繰 越 控 除 制 度 の 見 直 し 企 業 はある 年 に 発 生 した 欠 損 金 を9 年 間 繰 り 越 し 将 来 の 課 税 所 得 と 相 殺 することができる 各 年 度 において 控 除 できる 欠 損 金 額 は 所 得 の8 割 に 制 限 されている( 資 本 金 1 億 円 以 下 の 法 人 は 所 得 の 全 額 まで 控 除 可 能 ) 欠 損 金 の 繰 越 控 除 制 度 は 企 業 活 動 が 期 間 を 定 めずに 継 続 的 に 行 われるの に 対 し 法 人 税 の 課 税 所 得 は 事 業 年 度 を 定 めて 計 算 されるため 法 人 税 負 担 の 平 準 化 を 図 ることを 目 的 とする 制 度 であり 諸 外 国 にも 存 在 する 制 度 であ る この 制 度 の 存 在 により 企 業 行 動 やそのタイミングに 影 響 を 与 えること があり 企 業 行 動 に 対 してより 中 立 的 な 仕 組 みとする 必 要 がある このため より 長 期 間 での 税 負 担 の 平 準 化 を 図 ることが 望 ましく 繰 越 控 除 期 間 を 延 長 し あわせて 控 除 上 限 額 を 引 き 下 げる 見 直 しを 行 うこととする この 見 直 しは 税 収 の 安 定 化 にもつながることとなる 見 直 しに 当 たっては 中 小 企 業 への 配 慮 が 必 要 である なお 繰 越 期 間 を 延 長 する 際 には 帳 簿 の 保 存 期 間 もあわせて 延 長 する 必 要 がある わが 国 より 繰 越 期 間 が 長 い 諸 外 国 では 納 税 者 側 に 立 証 責 任 を 求 めることで 適 正 な 課 税 を 確 保 しており このような 立 証 責 任 を 納 税 者 に 転 換 する 手 法 の 採 用 も 選 択 肢 となる (3) 受 取 配 当 等 の 益 金 不 算 入 制 度 の 見 直 し 法 人 の 受 け 取 る 配 当 等 については 持 株 割 合 が 25% 以 上 の 株 式 の 配 当 等 の 場 合 はその 全 額 を 25% 未 満 の 場 合 はその 50%を 益 金 不 算 入 としている 企 業 の 株 式 保 有 は 支 配 関 係 を 目 的 とする 場 合 と 資 産 運 用 を 目 的 とする 場 合 がある 支 配 関 係 を 目 的 とする 場 合 は 経 営 形 態 の 選 択 や 企 業 グループ の 構 成 に 税 制 が 影 響 を 及 ぼすことがないよう 配 当 収 益 を 課 税 対 象 から 外 す べきである 他 方 資 産 運 用 の 場 合 は 現 金 債 券 などによる 他 の 資 産 運 用 手 段 との 間 で 選 択 が 歪 められないよう 適 切 な 課 税 が 必 要 である この 観 点 から 支 配 関 係 を 目 的 とした 株 式 保 有 と 資 産 運 用 を 目 的 とした 株 式 保 有 の 取 扱 いを 明 確 に 分 け 益 金 不 算 入 制 度 の 対 象 とすべき 配 当 等 の 範 囲 や 益 金 不 算 入 の 割 合 などについて 諸 外 国 の 事 例 や 会 社 法 における 各 種 の 決 議 要 件 少 数 株 主 権 などを 参 考 にしつつ 見 直 すこととする その 際 市 場 に 与 える 影 響 に 留 意 が 必 要 である なお 見 直 しにあたっては 外 国 子 会 社 にポートフォリオ 投 資 をしている - 5 -

場 合 の 課 税 の 整 合 性 に 留 意 すべきという 意 見 や 見 直 しによって 大 きく 影 響 を 受 ける 業 態 への 配 慮 が 必 要 との 意 見 があった また 持 株 比 率 で 支 配 目 的 か 資 産 運 用 目 的 かを 一 律 に 線 引 きをすることは 実 態 にそぐわないとの 意 見 がある 一 方 で 支 配 目 的 か 資 産 運 用 目 的 かを 考 える 場 合 には 持 株 比 率 で 区 分 けせざるを 得 ないとの 意 見 もあった (4) 減 価 償 却 制 度 の 見 直 し 機 械 装 置 等 の 減 価 償 却 の 方 法 について 定 額 法 と 200% 定 率 法 の 選 択 適 注 用 が 認 められている ( 注 ) 定 額 法 は 償 却 費 の 額 が 毎 年 同 額 となる 償 却 方 法 定 率 法 は 毎 期 首 の 未 償 却 残 高 に 一 定 率 を 乗 じて 減 価 償 却 費 を 計 上 する 償 却 方 法 であり 現 行 初 年 度 の 償 却 費 が 定 額 法 の 200%となるよう 償 却 率 が 設 定 されている 減 価 償 却 方 法 の 選 択 の 柔 軟 性 は 資 産 の 使 用 実 態 に 合 わせた 適 切 な 減 価 償 却 費 の 計 上 が 目 的 だが 実 際 はその 時 々の 損 益 状 況 に 応 じた 節 税 効 果 の 観 点 から 選 択 が 行 われているおそれがある 特 に 初 期 の 償 却 限 度 額 が 大 きくなる 定 率 法 は 所 得 操 作 の 可 能 性 を 大 きくする また 同 様 の 資 産 について 同 様 の 使 用 実 態 があるにもかかわらず 法 人 によって 減 価 償 却 方 法 が 異 なるとい う 不 均 衡 を 生 じさせるおそれがある 近 年 IFRS( 国 際 会 計 基 準 )の 導 入 や 事 業 のグローバル 化 に 伴 うグループ 内 会 計 の 統 一 化 などを 背 景 に 減 価 償 却 方 法 を 定 率 法 から 定 額 法 に 見 直 す 動 きが 見 られる また 課 税 ベース 拡 大 の 一 環 として 減 価 償 却 制 度 の 見 直 しを 行 うことが 国 際 的 な 動 きとなっており ドイツでは 2008 年 の 法 人 税 改 革 に おいて 定 率 法 を 廃 止 し 定 額 法 に 一 本 化 した このような 観 点 から 定 率 法 を 廃 止 し 定 額 法 に 一 本 化 すべきである そ の 際 デフレ 脱 却 に 向 けた 集 中 投 資 促 進 期 間 において 様 々な 政 策 対 応 が 採 られていることとの 整 合 性 を 踏 まえて 検 討 する 必 要 がある また 減 価 償 却 は 使 用 実 態 に 合 わせて 行 うこととされているが 償 却 限 度 額 の 範 囲 内 で 償 却 費 の 計 上 が 任 意 でできるようになっており この 制 度 は 適 正 な 期 間 損 益 の 計 算 を 損 なっているのではないかとの 指 摘 もあった (5) 地 方 税 の 損 金 算 入 の 見 直 し 法 人 事 業 税 や 固 定 資 産 税 等 は 所 得 ( 利 益 )から 納 付 する 法 人 税 や 法 人 住 民 税 とは 異 なり 事 業 に 関 連 して 発 生 する 税 であることから 費 用 性 があるも のと 認 められ 税 負 担 額 が 損 金 に 算 入 される - 6 -

法 人 事 業 税 や 固 定 資 産 税 等 が 損 金 算 入 されることで 地 方 の 超 過 課 税 や 減 免 措 置 が 国 税 の 課 税 ベースを 変 動 させ 同 時 に 国 税 と 連 動 する 住 民 税 や 事 業 税 の 課 税 ベースも 変 動 させる 例 えば 地 方 公 共 団 体 が 超 過 課 税 を 行 えば その 分 国 税 収 入 が 減 少 し 結 果 的 に 地 方 交 付 税 の 原 資 が 減 少 する また こ の 場 合 住 民 税 や 事 業 税 の 課 税 ベースも 縮 小 するため 事 業 者 が 複 数 の 地 域 に 拠 点 を 持 つ 場 合 には 他 の 地 方 公 共 団 体 の 税 収 入 にも 影 響 を 与 えることに なる 近 年 多 くの 地 方 公 共 団 体 が 特 区 制 度 などを 活 用 して 法 人 事 業 税 や 固 定 資 産 税 を 減 免 し 企 業 誘 致 を 行 っている この 場 合 損 金 算 入 額 が 減 少 し 国 税 負 担 は 逆 に 重 くなることになり 地 方 税 の 軽 減 効 果 が 減 殺 される 例 えば ドイツでは 納 税 者 にそれぞれの 税 目 の 実 質 的 な 税 負 担 が 分 かる ようにするとともに 国 と 地 方 の 双 方 にとって 収 入 の 境 界 が 明 確 になるよう にすることを 目 的 として 2008 年 の 法 人 税 改 革 において 営 業 税 ( 地 方 税 ) を 損 金 不 算 入 とした このように 税 の 性 格 上 は 損 金 算 入 が 自 然 ではあっても 地 方 公 共 団 体 独 自 の 措 置 が 国 税 収 入 や 他 の 地 域 の 税 収 に 影 響 を 与 えることや 各 税 目 の 税 負 担 が 納 税 者 にとって 不 明 確 になることを 考 慮 すれば 地 方 税 を 損 金 不 算 入 と することが 考 えられる このため 財 源 確 保 の 一 環 として 地 方 税 の 各 税 目 の 性 格 や 事 業 者 への 影 響 を 勘 案 しつつ 地 方 税 の 損 金 算 入 の 見 直 しについて 具 体 的 な 方 策 を 検 討 すべきである (6) 中 小 法 人 課 税 の 見 直 し 法 人 税 法 上 中 小 法 人 は 資 本 金 1 億 円 以 下 の 企 業 と 定 義 され 様 々な 税 制 支 援 の 適 用 を 受 けることが 可 能 となる 基 本 税 率 は 25.5%であるが 中 小 法 人 には 800 万 円 以 下 の 所 得 に 軽 減 税 率 が 適 用 される 具 体 的 には 法 人 税 法 で 19%に 軽 減 され さらにリーマンショック 後 の 対 応 として 租 税 特 別 措 置 法 で 15%に 軽 減 されている 現 在 の 資 本 金 基 準 の 下 で 税 制 上 は 全 法 人 の 99% が 中 小 法 人 に 分 類 されている ⅰ) 中 小 法 人 の 範 囲 について 企 業 規 模 を 見 る 上 での 資 本 金 の 意 義 は 低 下 してきており 資 本 金 基 準 が 妥 当 であるか 見 直 すべきである 仮 に 資 本 金 基 準 を 継 続 する 場 合 でも 中 小 法 人 に 対 する 優 遇 措 置 の 趣 旨 に 鑑 みれば 真 に 支 援 が 必 要 な 企 業 に 対 象 を 絞 り 込 むべきであり 1 億 円 という 水 準 の 引 下 げや 段 階 的 基 準 の 設 置 などを 検 討 する 必 要 がある 特 に 会 計 検 査 院 からの 多 額 の 所 得 を 得 なが ら 中 小 企 業 向 け 優 遇 税 制 を 受 けている 企 業 が 存 在 する との 指 摘 への 対 応 は 必 要 である ⅱ) 軽 減 税 率 について - 7 -

同 じ 所 得 金 額 には 同 じ 税 率 を 適 用 するべきであり 特 に 基 本 税 率 を 引 き 下 げることを 踏 まえれば 所 得 金 額 のうち 800 万 円 以 下 の 金 額 に 適 用 さ れる 法 人 税 法 による 19%への 軽 減 税 率 は 厳 しく 見 直 す 必 要 がある また リーマンショック 後 の 対 応 として 設 けられた 時 限 的 な 軽 減 税 率 (15%)は その 役 割 を 終 えている ⅲ)その 他 の 特 例 措 置 について 税 率 以 外 の 特 例 措 置 については 前 述 の 租 税 特 別 措 置 の 見 直 しの 方 向 性 に 沿 って 見 直 しを 行 う 必 要 がある ⅳ)いわゆる 法 人 成 り について 個 人 事 業 主 か 法 人 形 態 かの 選 択 に 税 制 が 歪 みを 与 えるべきではない 個 人 法 人 間 の 税 制 の 違 いによって 法 人 形 態 を 選 択 する 法 人 成 り の 問 題 は その 歪 みを 是 正 する 必 要 がある 法 人 成 り の 実 態 を 踏 まえ 給 与 所 得 控 除 など 個 人 所 得 課 税 を 含 めた 検 討 を 行 う 必 要 がある 法 人 税 率 引 下 げによって 個 人 所 得 課 税 との 差 が 拡 大 すれば 法 人 成 り のメリットがさらに 拡 大 するため この 観 点 からも 軽 減 税 率 など 中 小 法 人 に 対 する 優 遇 措 置 を 見 直 す 必 要 がある また 個 人 所 得 課 税 の 税 率 と 法 人 税 率 の 差 が 拡 大 した 場 合 配 当 を 恣 意 的 に 抑 制 して 利 益 を 法 人 内 に 留 保 し 個 人 所 得 課 税 を 繰 り 延 べる 誘 因 が 注 大 きくなる 特 定 同 族 会 社 の 内 部 留 保 に 対 する 留 保 金 課 税 は 中 小 法 人 については 適 用 除 外 とされているが 内 部 留 保 への 過 度 の 誘 因 を 避 ける 観 点 から 法 人 税 率 引 下 げにあわせて 適 用 を 検 討 する 必 要 がある なお オーナー 企 業 は 地 域 に 根 ざし 地 域 での 雇 用 を 生 み 出 していると いう 実 態 を 踏 まえるべきとの 意 見 があった ( 注 ) 特 定 同 族 会 社 は 株 主 等 の1 人 及 びその 同 族 関 係 者 等 で 持 株 割 合 が 50% を 超 える 会 社 をいう (7) 公 益 法 人 課 税 等 の 見 直 し 公 益 法 人 等 は 収 益 事 業 のみが 課 税 対 象 となり 公 益 目 的 事 業 に 係 る 収 益 は 原 則 非 課 税 とされている 収 益 事 業 に 対 しては 中 小 法 人 と 同 じ 軽 減 税 率 が 適 用 されることに 加 え 収 益 事 業 による 収 入 を 非 収 益 事 業 のために 支 出 し た 金 額 は 寄 附 金 とみなして 一 定 額 まで 損 金 算 入 される(みなし 寄 附 金 制 度 ) 協 同 組 合 等 については 全 ての 事 業 が 課 税 対 象 となるが 公 益 法 人 等 と 同 様 に 軽 減 税 率 が 適 用 されている 公 共 的 とされているサービスの 提 供 主 体 が 多 様 化 し 経 営 形 態 のみによっ て 公 益 事 業 を 定 義 することが 適 当 ではなくなっている こうした 市 場 の 変 化 を 踏 まえ 公 益 法 人 等 や 協 同 組 合 等 に 対 する 課 税 の 抜 本 的 な 見 直 しを 行 う 必 - 8 -

要 がある 特 に 介 護 事 業 のように 民 間 事 業 者 との 競 合 が 発 生 している 分 野 に おいては 経 営 形 態 間 での 課 税 の 公 平 性 を 確 保 していく 必 要 がある こうした 観 点 から 公 益 法 人 等 の 成 り 立 ちや 果 たしている 役 割 も 踏 まえな がら 公 益 法 人 等 の 範 囲 や 収 益 事 業 の 範 囲 を 見 直 すべきである 特 に 収 益 事 業 の 範 疇 であっても 特 定 の 事 業 者 が 行 う 場 合 に 非 課 税 とされている 事 業 で 民 間 と 競 合 しているもの( 例 えば 社 会 福 祉 法 人 が 実 施 する 介 護 事 業 )につい ては その 取 扱 いについて 見 直 しが 必 要 である また 収 益 事 業 の 規 定 方 法 については 従 来 から 現 行 の 限 定 列 挙 方 式 ではなく 対 価 を 得 て 行 う 事 業 は 原 則 課 税 とし 一 定 の 要 件 に 該 当 する 事 業 を 非 課 税 とすべきとの 指 摘 があ り このような 方 向 での 見 直 しも 検 討 すべきである また 公 益 法 人 等 の 収 益 事 業 からの 所 得 には 軽 減 税 率 とみなし 寄 附 金 制 度 が 適 用 されている 公 益 目 的 事 業 への 所 得 の 活 用 を 促 す 措 置 ではあるが みなし 寄 附 金 制 度 の 適 用 を 受 けた 上 に 軽 減 税 率 の 適 用 も 受 けることは 過 大 な 対 応 であり 見 直 しが 必 要 である さらには 配 当 等 の 金 融 資 産 収 益 につ いては 会 費 や 寄 附 金 収 入 とは 異 なり 事 業 活 動 の 中 で 新 たに 発 生 した 収 益 であることから その 課 税 のあり 方 についても 見 直 しを 行 うべきである なお 公 益 法 人 等 のガバナンスの 強 化 や 対 象 法 人 が 実 際 に 公 益 目 的 事 業 を 行 っているかを 確 認 する 仕 組 みが 必 要 であるとの 意 見 もあった (8) 地 方 法 人 課 税 の 見 直 し( 法 人 事 業 税 を 中 心 に) 法 人 事 業 税 においては 平 成 16 年 度 より 資 本 金 1 億 円 超 の 法 人 ( 全 法 人 の1%)を 対 象 として 法 人 事 業 税 の4 分 の1の 部 分 に 外 形 標 準 課 税 が 導 入 されている 外 形 標 準 課 税 の 課 税 ベースは 付 加 価 値 と 資 本 金 等 である 外 形 標 準 課 税 について 平 成 19 年 の 政 府 税 制 調 査 会 では 次 のように 答 申 されている 外 形 標 準 課 税 は 多 数 の 法 人 が 法 人 事 業 税 を 負 担 していない という 状 況 の 是 正 を 図 るとともに 法 人 所 得 に 対 する 税 負 担 を 軽 減 する 一 方 付 加 価 値 等 に 対 して 課 税 するものであり 応 益 性 の 観 点 から 将 来 的 には 外 形 標 準 課 税 の 割 合 や 対 象 法 人 を 拡 大 していく 方 向 で 検 討 すべきである ( 抜 本 的 な 税 制 改 革 に 向 けた 基 本 的 考 え 方 ) この 方 向 に 沿 って 現 在 の 付 加 価 値 割 の 比 重 を 高 め 法 人 所 得 に 対 する 税 負 担 を 軽 減 していくことが 望 ましい あわせて 事 業 活 動 規 模 をより 適 切 に 反 映 し 税 の 簡 素 化 を 図 る 観 点 から 資 本 割 を 付 加 価 値 割 に 振 り 替 えること が 望 ましい また 外 形 標 準 課 税 が 全 法 人 の1% 未 満 である 資 本 金 1 億 円 超 の 企 業 のみ を 対 象 にすることは 行 政 サービスの 受 益 者 が 広 くその 費 用 を 負 担 するとい う 地 方 税 の 趣 旨 に 反 するため 外 形 標 準 課 税 の 趣 旨 に 沿 って 資 本 金 1 億 円 - 9 -

以 下 の 法 人 についても 付 加 価 値 割 を 導 入 すべきとの 意 見 が 多 く 出 された このため 法 人 事 業 税 における 付 加 価 値 割 の 拡 大 対 象 法 人 の 拡 大 を 行 う べきである その 際 は 創 業 会 社 や 中 小 法 人 への 配 慮 などを 検 討 すべきであ る 現 在 資 本 金 等 の 額 と 従 業 者 数 に 基 づいた 区 分 に 応 じ 課 税 されている 法 人 住 民 税 均 等 割 についても 増 額 し 法 人 所 得 に 対 する 税 負 担 を 軽 減 することが 望 ましい また 資 本 金 等 の 額 や 従 業 者 数 は いずれも 企 業 規 模 をみる 指 標 としては 意 味 が 薄 れている このため 法 人 住 民 税 均 等 割 の 増 額 について 新 たな 指 標 の 作 成 や 区 分 の 再 検 討 を 含 めて 検 討 すべきである また 行 政 サービスの 受 益 を 広 く 負 担 し 合 う 地 方 税 の 趣 旨 に 鑑 みれば 法 人 所 得 に 過 度 に 依 存 することなく 住 民 税 や 固 定 資 産 税 等 のあり 方 も 含 めて 検 討 していくことが 必 要 である 3. 法 人 税 の 改 革 と 併 せて 検 討 すべき 事 項 今 般 の 法 人 税 の 改 革 においては 法 人 税 の 枠 内 にとどまらず 他 の 税 目 につ いても 見 直 しを 行 うべきとの 意 見 が 多 く 出 された 諸 外 国 の 法 人 税 改 革 でも 単 に 法 人 税 の 改 革 を 行 うのではなく 所 得 税 消 費 税 資 産 税 などを 含 めた 税 制 全 体 の 改 革 を 行 っている 政 府 税 制 調 査 会 において 引 き 続 き 広 く 見 直 しの 検 討 を 行 っていくことが 必 要 である 法 人 税 改 革 に 関 連 するその 他 の 対 応 としては 次 の 事 項 が 重 要 である (1)BEPS プロジェクトを 踏 まえた 国 際 課 税 の 見 直 し 近 年 グローバル 企 業 が 税 制 の 隙 間 や 抜 け 穴 を 利 用 した 節 税 対 策 により 法 人 税 等 の 負 担 軽 減 を 図 っていることにつき 国 際 的 に 批 判 が 高 まっている こうした 状 況 を 是 正 し 実 際 に 企 業 の 経 済 活 動 が 行 われている 場 所 での 課 税 を 十 分 に 可 能 とするため OECD は 2012 年 6 月 より BEPS(Base Erosion and Profit Shifting: 税 源 浸 食 と 利 益 移 転 )プロジェクト を 開 始 し 2013 年 7 月 に 15 項 目 からなる BEPS 行 動 計 画 を 公 表 した 現 在 OECD は BEPS 行 動 計 画 の 各 項 目 について 検 討 を 進 めており 今 後 新 たに 国 際 的 な 税 制 の 調 和 を 図 る 方 策 を 順 次 勧 告 することとしている 国 際 的 な 租 税 回 避 を 防 止 し 適 正 な 課 税 を 確 保 するため わが 国 の 国 際 課 税 制 度 についても 見 直 しを 検 討 すべきである 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 は 外 国 子 会 社 から 受 ける 配 当 について 現 地 で 損 金 算 入 される 配 当 も 制 度 の 対 象 とされており 二 重 非 課 税 の 問 題 が 生 じている BEPS プロジェクトにおいて 二 重 非 課 税 が 生 じないように - 10 -

配 当 益 金 不 算 入 制 度 を 採 用 している 国 は 損 金 算 入 配 当 を 制 度 の 対 象 外 とす るよう 求 められていることを 踏 まえ 損 金 算 入 配 当 を 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 の 対 象 外 とすべきである 他 にも BEPS プロジェクトでは 移 転 価 格 税 制 について 無 形 資 産 の 移 転 等 への 課 税 のあり 方 や 文 書 化 の 検 討 が 進 められている また 外 国 子 会 社 合 算 税 制 について 合 算 課 税 の 対 象 となる 資 産 性 所 得 の 範 囲 等 について 議 論 が 行 われている こうした 他 の 国 際 課 税 制 度 についても BEPS プロジェクト の 議 論 を 踏 まえつつ 幅 広 く 見 直 しを 進 めていく 必 要 がある (2)その 他 の 対 応 (a) 資 本 所 得 課 税 法 人 所 得 課 税 は 個 人 所 得 課 税 の 前 取 りとの 性 格 を 有 するものであるこ とから 法 人 所 得 課 税 の 減 税 を 行 う 場 合 には 個 人 所 得 課 税 における 資 本 所 得 課 税 の 強 化 を 検 討 すべきである その 際 金 融 所 得 課 税 の 一 体 化 の 流 れ 等 に 留 意 する 必 要 がある (b) 給 与 所 得 控 除 法 人 形 態 にすることでオーナー 自 身 への 給 与 等 を 損 金 に 算 入 し さらに 個 人 段 階 では 給 与 所 得 控 除 を 受 けることができることが 法 人 成 り の 誘 因 の 一 つであることが 指 摘 されている 給 与 所 得 控 除 の 水 準 を 含 めた 検 討 が 必 要 である (c) 住 民 税 や 固 定 資 産 税 地 方 税 については 行 政 サービスの 受 益 に 応 じてその 費 用 を 広 く 分 担 す るという 考 え 方 が 重 要 であることを 踏 まえ 住 民 税 や 固 定 資 産 税 等 につい て 充 実 を 検 討 すべきである (d) その 他 このとりまとめに 示 した 課 税 ベース 拡 大 の 取 組 みを 行 い その 上 でさら に 課 税 ベースの 過 度 な 縮 小 を 防 ぐ 必 要 がある 場 合 には 例 えば アメリカ の 代 替 ミニマムタックス 制 度 のような 最 低 課 税 制 度 の 導 入 についても 検 討 することが 考 えられる また イギリスで 銀 行 税 が 導 入 され 法 人 課 税 の 一 翼 を 担 っている 例 もあり 必 要 に 応 じ 法 人 税 率 引 下 げの 財 源 確 保 の 一 環 として 法 人 課 税 の 一 翼 を 担 うような 新 税 の 導 入 の 可 能 性 も 検 討 すべ きである 4. 改 革 の 目 標 と 今 後 の 工 程 今 後 経 済 財 政 運 営 と 改 革 の 基 本 方 針 2014~デフレ 脱 却 から 好 循 環 拡 大 へ~ ( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )に 示 された 方 向 に 沿 って 具 体 的 な 税 制 改 革 案 を 速 やかに 検 討 し 実 施 していくべきである - 11 -

法 人 課 税 ディスカッショングループでは 税 率 の 引 下 げと 負 担 構 造 の 改 革 と いう2つの 目 標 を 掲 げて 実 現 のための 方 策 を 検 討 してきた 政 府 の 方 針 に 沿 って 税 率 引 下 げを 行 うにあたっては 課 税 ベースの 拡 大 についても 優 先 順 位 を 勘 案 し 工 程 を 明 確 にして 着 実 に 進 めなくてはならない 課 税 ベースに 関 するさまざまな 制 度 は 社 会 経 済 が 変 化 し また 法 人 税 の 基 本 税 率 が 下 がるにつれて 必 要 性 が 変 わってくる いかなる 制 度 であれ そ の 廃 止 や 見 直 しには 反 対 が 強 いが 今 般 の 法 人 税 改 革 においては 大 胆 に 税 率 を 引 き 下 げるという 目 標 を 共 有 し 可 能 な 限 り 課 税 ベースを 拡 大 していく 努 力 が 必 要 である - 12 -