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後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

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Transcription:

平 成 20 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 (こころの 健 康 科 学 研 究 事 業 ) リワークプログラムを 中 心 とするうつ 病 の 早 期 発 見 から 職 場 復 帰 に 至 る 包 括 的 治 療 に 関 する 研 究 分 担 研 究 報 告 書 復 職 前 の 夜 間 睡 眠 の 状 態 と 復 職 後 の 経 過 との 関 連 分 担 研 究 者 田 中 克 俊 北 里 大 学 大 学 院 医 療 系 研 究 科 産 業 精 神 保 健 学 教 授 研 究 協 力 者 鎌 田 直 樹 北 里 大 学 医 学 部 精 神 神 経 科 川 島 正 敏 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 汎 用 機 特 車 事 業 本 部 診 療 所 高 野 知 樹 北 里 大 学 大 学 院 医 療 系 研 究 科 産 業 精 神 保 健 学 加 来 明 希 子 北 里 大 学 大 学 院 医 療 系 研 究 科 産 業 精 神 保 健 学 西 埜 植 直 北 里 大 学 大 学 院 医 療 系 研 究 科 産 業 精 神 保 健 学 研 究 要 旨 うつ 病 で 休 業 した 労 働 者 の 復 職 前 の 睡 眠 状 態 を 評 価 することが 復 職 後 の 経 過 を 予 測 するのに 役 立 つかを 調 べるため 睡 眠 時 間 入 眠 潜 時 睡 眠 効 率 中 途 覚 醒 回 数 等 の 睡 眠 指 標 (3 日 間 の 平 均 )と 復 職 3 ヵ 月 後 の 勤 務 状 況 ( 再 休 職 何 らかの 就 業 制 限 付 で 就 業 している 制 限 勤 務 ほとんど 就 業 制 限 のない 通 常 勤 務 )との 関 連 を 調 べた 睡 眠 指 標 の 測 定 には 3 軸 加 速 度 センサ 等 を 内 蔵 する 腕 時 計 式 の 携 帯 型 センサを 用 いた 19 名 ( 男 性 15 名 女 性 4 名 )を 対 象 に 年 齢 性 別 過 去 の 休 業 回 数 で 調 整 した 解 析 の 結 果 再 休 業 者 群 の 復 職 前 の 睡 眠 効 率 は 47.7%であったのに 対 し 制 限 勤 務 群 では 72.8% 通 常 勤 務 群 では 97.2%であり 睡 眠 効 率 は 復 職 後 の 経 過 と 有 意 に 関 連 していることが 示 唆 された 休 職 前 の 睡 眠 時 間 と 復 職 後 の 経 過 に おいても 再 休 業 群 (8 時 間 30 分 )と 制 限 勤 務 群 (6 時 間 44 分 )の 間 に 有 意 な 違 いが 認 められた 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 潜 時 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 中 途 覚 醒 回 数 においては 有 意 な 関 連 は 認 めなかった 本 研 究 の 結 果 休 職 前 の 睡 眠 効 率 は 復 職 後 の 経 過 の 有 意 な 予 測 因 子 であることが 示 唆 されたが 本 研 究 は 多 くの 限 界 を 含 んでおり 今 後 より 詳 細 な 研 究 が 必 要 である A. 研 究 目 的 うつ 病 等 の 精 神 疾 患 により 休 業 する 労 働 者 の 数 が 増 加 している ま た 休 業 から 復 職 した 後 再 び 症 状 が 悪 化 し 再 度 休 業 となる 事 例 も 少 なくない 再 度 休 業 となるケースに おいては 職 場 による 支 援 の 問 題 や 職 場 環 境 や 早 すぎる 薬 物 治 療 の 中 止 等 の 他 に そもそも 症 状 の 改 善 が 十 分 ではなく 復 職 の 判 断 が 早 すぎたと 思 われるケースも 少 なくない こ ころの 健 康 問 題 により 休 業 した 労 働

者 の 職 場 復 帰 支 援 の 手 引 き では 精 神 症 状 の 回 復 の 様 子 を 評 価 する 際 には 十 分 な 睡 眠 が 確 保 できている かの 評 価 が 重 要 なポイントであると している また 労 働 者 の 復 職 にか かわる 多 く 臨 床 家 も 適 切 な 睡 眠 の 確 保 を 復 職 可 否 判 断 の 重 要 なポイン トとしてあげている しかしながら 睡 眠 についての 評 価 は 労 働 者 の 主 観 的 な 評 価 に 頼 らざるを 得 ないため 正 確 な 判 断 は 困 難 である 客 観 的 な 睡 眠 状 態 の 評 価 にはポリソムノグラ フィーを 用 いた 検 査 が 必 要 だが 産 業 保 健 現 場 での 利 用 は 現 実 的 ではな い 本 研 究 では 光 電 脈 波 センサと3 軸 加 速 度 センサを 内 蔵 する 腕 時 計 式 の 携 帯 型 センサを 用 いて 復 職 前 の 労 働 者 の 夜 間 睡 眠 の 状 態 を 評 価 し 復 職 後 の 経 過 との 関 連 について 検 討 した B. 研 究 方 法 神 奈 川 県 内 の 製 造 業 および 機 械 製 作 関 連 の 研 究 所 に 勤 務 する 労 働 者 で うつ 病 の 診 断 で 休 業 し 2009 年 4 月 1 日 から 2009 年 11 月 30 日 の 期 間 に 復 職 した 労 働 者 を 対 象 とした 復 職 の 可 否 を 判 断 する 事 前 面 談 の 際 に 研 究 の 目 的 や 方 法 について 説 明 し 同 意 がえられた 労 働 者 に 夜 間 睡 眠 時 の 運 動 量 および 自 律 神 経 モニ タリングを 行 うための 腕 時 計 式 の 携 帯 型 センサ(NEM-T1: 東 芝 製 )の 夜 間 3 日 間 ( 連 続 )の 装 着 を 依 頼 した NEM-T1は, 指 先 に 装 着 する 光 電 脈 波 センサと3 軸 加 速 度 センサを 内 蔵 し ている ( 体 動 :0.05 以 上 をカウン ト(10Hz 相 当 ) 脈 波 間 隔 :35~ 135bpm 相 当 連 続 計 測 時 間 :40 時 間 データ 記 憶 容 量 :112 時 間 分 ) 光 電 脈 波 は,LED( 発 光 ダイオー ド) 光 源 と 皮 膚 からの 反 射 光 計 測 の ための 光 電 センサを 一 体 化 したヘッ ドを 装 着 する 簡 便 なものであり 装 着 によって 睡 眠 を 障 害 する 等 の 不 利 益 は 生 じない NEM-T1で 計 測 できる 項 目 は 下 記 の 通 りである - 入 眠 / 覚 醒 時 刻 睡 眠 時 間 睡 眠 効 率 入 眠 潜 時 中 途 覚 醒 回 数 及 び 時 間 - 体 動 頻 度 - 脈 波 間 隔 平 均 - LF 値 HF 値 LF/HF 比 今 回 の 報 告 では 脈 波 間 隔 平 均 LF 値 HF 値 の 算 出 が 全 て 終 了 してい ないため 睡 眠 時 間 入 眠 潜 時 睡 眠 効 率 中 途 覚 醒 回 数 のみを 睡 眠 指 標 として 用 いた 復 職 後 の 経 過 に 関 する 評 価 は 復 職 3ヵ 月 後 の 勤 務 状 況 を 調 査 して 行 っ た 評 価 は 再 休 職 何 らかの 就 業 制 限 付 で 就 業 している 制 限 勤 務 ほ とんど 就 業 制 限 のない 通 常 勤 務 の3 段 階 で 行 った 統 計 解 析 は 復 職 3ヶ 月 後 の 状 態 と 上 記 睡 眠 指 標 (3 日 間 の 平 均 値 )との 関 連 を 一 般 化 推 定 方 程 式 による 順 位 logistic 回 帰 モデルを 用 いて 調 べ た 本 研 究 は 北 里 大 学 医 学 部 倫 理 委 員 会 の 審 査 を 受 け 実 施 許 可 を 受 けた のち 実 施 された C. 結 果 合 計 24 名 のエントリー 中 2010 年 3 月 8 日 時 点 で 復 職 3 ヶ 月 後 のフォロ ーが 終 了 した 19 名 ( 男 性 15 名 女 性 4 名 )を 解 析 対 象 とした 対 象 者 の 属 性 及 び 復 職 前 の 睡 眠 指 標 ( 全 対 象 者 )を 表 1 に 示 す 対 象 者 の 平 均 年 齢 (SD)は 37.4 (7.9)であった

復 職 3 カ 月 後 の 経 過 は 7 名 (36.8%)が 再 休 業 となっていた 9 名 (47.4%)が 残 業 制 限 等 の 就 業 制 限 を 受 けながら 勤 務 を 継 続 中 であり 3 名 (15.8%)が 特 別 な 就 業 制 限 を 受 けない 通 常 勤 務 を 行 っていた 表 2に 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 指 標 との 関 連 を 示 す ここで 示 す 推 定 平 均 値 は 年 齢 性 別 過 去 の 休 業 回 数 で 調 整 されている 復 職 前 の 睡 眠 指 標 の 中 で 復 職 後 の 経 過 と 有 意 な 関 連 を 示 したのは 睡 眠 効 率 で あった 再 休 業 者 群 の 復 職 前 の 睡 眠 効 率 は 47.7%であったのに 対 し 制 限 勤 務 群 では 72.8% 通 常 勤 務 群 では 97.2%であり 再 休 業 vs 制 限 勤 務 再 休 業 vs 通 常 勤 務 制 限 勤 務 vs 通 常 勤 務 間 で 有 意 な 違 いが 認 められた その 他 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 時 間 において 再 休 業 群 の 平 均 睡 眠 時 間 (8 時 間 30 分 )は 制 限 勤 務 群 の 睡 眠 時 間 (6 時 間 44 分 )より 有 意 に 長 かった 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 潜 時 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 中 途 覚 醒 回 数 においては 有 意 な 関 連 は 認 めなか った D. 考 察 休 職 前 の 睡 眠 効 率 が 低 いと 復 職 後 の 再 休 業 率 が 高 まり 睡 眠 効 率 が 高 いほどより 良 好 な 経 過 が 予 測 される ことが 示 唆 された この 結 果 は 再 休 業 群 の 平 均 睡 眠 時 間 が 他 の 群 に 較 べて 長 かったこととも 関 連 している と 考 えられた 再 休 業 群 においては 睡 眠 の 質 的 な 問 題 により 代 償 的 に 睡 眠 時 間 が 延 長 している 可 能 性 がある 今 回 は 夜 間 の 自 律 神 経 モニタリン グの 結 果 は 解 析 に 含 まれていないが 今 後 は 夜 間 睡 眠 時 の 自 律 神 経 の 状 態 をもとに 夜 間 睡 眠 の 評 価 をより 多 角 的 に 進 めていく 必 要 がある また 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 等 の 睡 眠 障 害 の スクリーニングを 行 っていないこと が 本 研 究 の 重 大 な 課 題 である 復 職 後 の 経 過 は 職 場 のサポートによ っても 大 きな 影 響 を 受 けるため 今 後 は サポート 状 況 も 考 慮 した 上 で 夜 間 睡 眠 の 予 測 因 子 としての 意 義 を 検 討 していく 必 要 がある 本 研 究 で はまた 統 計 学 的 パワーは 十 分 でな く より 多 くの 対 象 者 を 募 る 必 要 が ある E. 結 論 休 職 前 の 睡 眠 効 率 は 復 職 後 の 経 過 の 有 意 な 予 測 因 子 であることが 示 唆 された ただし 本 研 究 は 多 くの 限 界 を 含 んでおり 今 後 より 詳 細 な 研 究 が 必 要 である F. 健 康 危 機 情 報 該 当 せず G. 研 究 発 表 H. 知 的 財 産 権 の 出 願 登 録 状 況 1. 特 許 取 得 2. 実 用 新 案 登 録 3.その 他 I. 引 用 文 献 1) 厚 生 労 働 省 こころの 健 康 問 題 により 休 業 した 労 働 者 の 職 場 復 帰 支 援 の 手 引 き ( 平 成 16 年 10 月 )

2) メンタルヘルスと 職 場 復 帰 支 援 ガイドブック. 東 京 : 中 山 書 店 ; 2005.

表 1. 参 加 者 属 性 および 復 職 前 の 睡 眠 指 標 ( 全 対 象 者 ) 人 数 パーセント 復 職 後 の 経 過 再 休 業 7 36.8% 制 限 勤 務 9 47.4% 通 常 勤 務 3 15.8% 性 別 男 性 15 78.9% 女 性 4 21.1% 平 均 SD 年 齢 37.4 7.9 過 去 休 業 回 数 0.3 0.6 睡 眠 時 間 ( 時 : 分 ) 7:39 1:56 入 眠 潜 時 ( 分 ) 8.9 3.2 睡 眠 効 率 (%) 64.3 24.4 中 途 覚 醒 回 数 ( 回 ) 2.5 1.9 表 2. 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 指 標 との 関 連 ( 年 齢 性 別 過 去 の 休 業 回 数 で 調 整 ) 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 時 間 ( 時 間 : 分 ) 再 休 業 08:30 05:17 07:29 09:31 制 限 勤 務 06:44 00:43 05:19 08:09 通 常 勤 務 06:52 00:41 05:31 08:13 再 休 業 vs 制 限 勤 務.029 再 休 業 vs 通 常 勤 務.056 制 限 勤 務 vs 通 常 勤 務.869

復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 潜 時 ( 分 ) 再 休 業 8.3 1.74 4.8 11.7 制 限 勤 務 8.2 1.34 5.6 10.8 通 常 勤 務 9.8 1.08 7.6 11.9 再 休 業 vs 制 限 勤 務.976 再 休 業 vs 通 常 勤 務.432 制 限 勤 務 vs 通 常 勤 務.253 復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 睡 眠 効 率 (%) 再 休 業 47.7 7.96 32.1 63.3 制 限 勤 務 72.8 6.38 60.3 85.4 通 常 勤 務 97.2 5.43 86.6 107.9 再 休 業 vs 制 限 勤 務.012 再 休 業 vs 通 常 勤 務.000 制 限 勤 務 vs 通 常 勤 務.001

復 職 後 の 経 過 と 休 職 前 の 中 途 覚 醒 回 数 ( 回 ) 再 休 業 2.9.68 1.6 4.3 制 限 勤 務 2.3.49 1.3 3.2 通 常 勤 務 1.1.61 -.07 2.3 再 休 業 vs 制 限 勤 務.501 再 休 業 vs 通 常 勤 務.052 制 限 勤 務 vs 通 常 勤 務.146