alicセミナー 腸 内 フローラと 食 品 乳 製 品 平 成 28 年 2 月 8 日 ( 月 ) 公 益 財 団 法 人 日 本 ビフィズス 菌 センター 学 術 委 員 会 委 員 瀬 戸 泰 幸 ( 雪 印 メグミルク ミルクサイエンス 研 究 所 主 席 ) 1
本 日 の 内 容 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 2
腸 内 フローラとは ヒトの 腸 内 には 数 多 くの 細 菌 が 棲 みついている 最 新 研 究 では 腸 管 全 体 で 1000 種 類 1000 兆 個 (ヒトの 細 胞 が 約 60 兆 個 ) これらの 菌 の 集 合 体 を 腸 内 フローラと 呼 ぶ (フローラ=お 花 畑 ) ちなみに ヒトのうんちには 1gに 約 1 兆 個 の 腸 内 細 菌 が 含 まれる 3
なぜ 今 腸 内 フローラが 注 目 されるのか 2つの 大 きな 要 因 1. 腸 内 フローラの 解 析 法 の 発 展 培 養 法 による 解 析 から DNAを 利 用 した 解 析 へ 次 世 代 シーケンサーによる 大 規 模 な 解 析 方 法 の 確 立 2. 腸 管 免 疫 研 究 の 発 展 栄 養 や 水 分 吸 収 の 場 と 考 えられてきた 腸 管 が 最 大 の 免 疫 器 官 でもあることが 明 らかに 腸 内 フローラが 腸 管 の 免 疫 応 答 と 密 接 に 関 係 していることが 判 明 4
腸 内 フローラの 分 析 方 法 の 歴 史 1960 年 以 前 培 養 法 を 用 いた 個 々の 腸 内 細 菌 の 研 究 腸 内 フローラの 全 体 像 がわからない 1960 年 代 培 養 法 による 腸 内 フローラ 分 析 法 の 確 立 腸 内 フローラの 全 体 像 が 把 握 できるようになる 培 養 できない 菌 が 多 くある 1990 年 代 DNAベースでの 腸 内 フローラ 分 析 法 の 開 発 (DGGE 法 T-RFLP 法 q-pcr 法 など) 培 養 できない 菌 も 測 定 でき 信 頼 性 が 上 がる 定 量 性 など 各 方 法 にそれぞれ 弱 点 がある 2000 年 代 次 世 代 シーケンサーによる 腸 内 フローラ 分 析 法 確 立 弱 点 が 少 ない 網 羅 的 な 解 析 法! 5
腸 管 免 疫 研 究 の 発 展 腸 管 内 は 外 部 環 境 と 直 接 つながっている 病 原 菌 やウイルスも 取 り 込 まれる 腸 管 は 感 染 しやすい 場 所 腸 管 は 実 はヒト 最 大 の 免 疫 器 官 小 腸 大 腸 腸 内 細 菌 やその 代 謝 物 が 腸 管 の 細 胞 に 作 用 し 免 疫 反 応 と 関 わ ることが 分 かってきた 6
本 日 の 内 容 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 7
腸 内 フローラの 分 析 ( 培 養 法 ) 糞 便 均 質 化 試 料 試 料 の 希 釈 試 料 の 塗 抹 嫌 気 培 養 8
培 養 法 による 腸 内 フローラ 解 析 菌 数 測 定 1 名 あたり10 種 類 以 上 の 解 析 培 地 複 数 のコロニーが 出 る 場 合 が あり 測 定 に 熟 練 が 必 要 すぐ 培 養 しないと 菌 が 死 ぬ 多 くの 人 手 が 必 要 菌 数 測 定 に 熟 練 が 必 要 培 養 できない 菌 も 多 い 9
次 世 代 シーケンサーによる 腸 内 フローラの 分 析 16S-rRNA 遺 伝 子 便 からDNAを 抽 出 細 菌 の 分 類 指 標 となる 遺 伝 子 をPCR 法 で 増 幅 次 世 代 シーケンサーで 配 列 を 解 読 読 み 取 った 配 列 の 分 類 をソフトで 決 定 凍 結 保 存 サンプルも 解 析 できる 培 養 できない 菌 も 解 析 できる 培 養 法 よりは 少 人 数 で 済 む ソフトウェアへの 習 熟 が 必 要 10
培 養 法 と 次 世 代 シーケンサー 法 の 比 較 培 養 法 シーケンサー 法 測 定 菌 の 広 さ 培 養 可 能 な 菌 のみ 全 ての 菌 が 対 象 分 類 の 細 かさ 大 まか 細 かい 必 要 な 人 手 多 い 少 ない 凍 結 保 存 糞 便 使 えない 使 用 可 能 生 菌 の 分 離 可 能 できない 死 菌 の 影 響 測 定 されない DNA 残 れば 影 響 コスト 安 い 高 い シーケンサー 法 は 腸 内 フローラ 解 析 技 術 として 優 れているが 培 養 法 には 生 菌 を 分 離 できるメリットがある 11
本 日 の 内 容 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 12
腸 内 細 菌 の 分 類 について バクテリア 動 物 門 : ファーミキューテス 哺 乳 類 網 : バチライ 人 に 当 てはめた イメージ サル 類 目 : ラクトバチラレス 人 類 科 : ラクトバチラッセー アジア 人 属 : ラクトバチルス 日 本 人 種 : ガセリ カゼイ 徳 川 家 毛 利 家 13
消 化 管 の 部 位 によるフローラの 違 い 消 化 管 の 各 部 位 で 菌 数 やフローラは 異 なっている 胃 :1g 中 1000 個 以 下 耐 酸 性 ある 一 部 のラクトバチルス 小 腸 :1g 中 1 万 ~1000 万 個 程 度 ラクトバチルスなどが 中 心 小 腸 大 腸 大 腸 :1g 中 1000 億 個 程 度 バクテロイデス クロストリジウム ビ フィズス 菌 などの 絶 対 嫌 気 性 の 菌 腸 内 フローラという 場 合 通 常 は 大 腸 や 糞 便 のフローラを 指 す 14
腸 内 フローラを 構 成 する 主 な 菌 広 く 捉 えるときは 門 レベルの 分 類 を 良 く 使 う 細 かくみるときは 属 種 レベルの 分 類 をよく 使 う 門 ( 網 目 科 ) 属 種 ファーミキューテス バクテロイデテス クロストリジウム ルミノコッカス ラクトバチルス バクテロイデス プレボテラ ガセリ カゼイ アクチノバクテリア プロテオバクテリア ビフィドバクテリウム エッシェリッチア( 大 腸 菌 ) 15
健 康 なヒトの 腸 内 フローラ 門 レベルの 分 類 通 常 のヒトでは ファーミキューテスと バクテロイデテスで95%を 占 める また 健 康 なヒトのほうがいろいろな 菌 を 保 有 している( 多 様 性 が 高 い) といわれている 16
健 康 な 人 の 腸 内 フローラ: エンテロタイプ 近 年 健 康 な 人 の 腸 内 フローラは 主 に3パターンに 分 類 されることが 報 告 された Arumugamら Nature 2011 バクテロイデス プレボテラ ルミノコッカス 1 型 2 型 3 型 1 型 2 型 3 型 1 型 2 型 3 型 1 型 2 型 3 型 1 型 :バクテロイデス 属 が 多 いタイプ 2 型 :プレボテラ 属 が 多 いタイプ 3 型 :ルミノコッカス 属 が 多 いタイプ 17
各 エンテロタイプの 特 徴 エンテロタイプは 食 習 慣 との 関 係 があるといわれている 1 型 (バクテロイデスタイプ) 米 国 人 や 中 国 人 に 多 くみられ 低 炭 水 化 物 高 タンパク 質 の 食 事 に 多 いとされる 2 型 (プレボテラタイプ) アジア 人 中 南 米 やアフリカの 人 に 多 くみられ 高 食 物 繊 維 の 食 事 に 多 いとされる 3 型 (ルミノコッカスタイプ) 日 本 人 やスウェーデン 人 に 多 くみられ 動 物 性 タンパク 質 と 脂 肪 が 多 い 食 事 と 関 連 性 があるとされる ただし きれいに3つには 分 かれないという 研 究 者 もいる 18
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食 事 と 腸 内 フローラ 食 事 と 腸 内 フローラは 密 接 な 関 係 がある 食 事 を 変 更 して2 週 間 で 腸 内 フローラは 変 化 する (O'Keefe SJ et al, Nat Commun. 2015) アメリカ アフリカ アメリカに 住 むアフリカ 人 と 南 アフリカ 人 各 20 名 の 生 活 を 入 れ 替 えた 2 週 間 で 腸 内 フローラが 変 化 した アメリカ 生 活 では 胆 汁 酸 が 増 え 短 鎖 脂 肪 酸 が 減 少 した 20
食 事 と 腸 内 フローラ これまでに 報 告 がある 食 事 とフローラの 関 係 高 脂 肪 食 肥 満 になるとファーミキューテス 門 が 増 える 肉 食 バクテロイデテス 門 や 大 腸 菌 の 仲 間 が 増 える 低 食 物 繊 維 食 腸 内 細 菌 の 多 様 性 が 減 少 する その 他 細 かい 菌 種 が 変 化 する 報 告 もあるが 評 価 が 定 まっていないものもあるのでここでは 省 略 する 21
母 乳 と 腸 内 フローラ 母 乳 は 赤 ちゃんの 理 想 の 食 事 母 乳 で 育 てられた 赤 ちゃんではビフィズス 菌 がほとんどを 占 める 菌 数 ビフィズス 菌 大 腸 菌 授 乳 期 間 バクテロイデス 出 生 離 乳 22
母 乳 と 腸 内 フローラ 母 乳 中 の 特 別 な 構 造 を 持 つオリゴ 糖 が ビフィズス 菌 を 増 やすカギ Kitaokaら Appl. Environ. Microbiol.(2005) Wadaら Appl Environ Microbiol. (2008) ラクト-N-テトラオース ラクト-N-ビオースI グルコース N-アセチルグルコサミン ガラクトース 数 ある 腸 内 細 菌 の 中 で 赤 ちゃんにいるタイプ のビフィズス 菌 だけの 栄 養 源 となる 23
乳 製 品 と 腸 内 フローラ 牛 乳 に 含 まれる 乳 糖 には オリゴ 糖 ほどではないが ビ フィズス 菌 を 増 やす 作 用 がある ヨーグルトには 腸 内 ではたらく 乳 酸 菌 (プロバイオティク ス)を 使 用 しているタイプや 腸 内 の 有 用 菌 を 増 やすオリ ゴ 糖 を 含 むタイプがある チーズなどが 腸 内 フローラに 及 ぼす 影 響 についてはまだ よくわかっていない 24
日 本 人 の 食 事 と 腸 内 フローラ 海 苔 を 分 解 できる 酵 素 を 日 本 人 の 腸 内 細 菌 から 発 見 (J-H Hehemann,et al, Nature, 2010.) 海 洋 細 菌 の 研 究 者 が 海 苔 を 分 解 できる 菌 を 発 見 分 解 酵 素 を 同 定 日 本 人 の 腸 内 細 菌 (バクテロイデス プ レビウス)にも 酵 素 があることが 判 明 小 腸 大 腸 なぜ 日 本 人 の 腸 内 細 菌 だけか( 仮 説 ) 1 海 苔 と 一 緒 に 海 苔 分 解 菌 を 食 べる 2 海 苔 分 解 菌 が 腸 に 届 く 3 腸 内 細 菌 と 遺 伝 子 のやり 取 りを 行 う 4 腸 内 細 菌 が 海 苔 を 分 解 できるように なる 25
本 日 の 内 容 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 26
腸 内 フローラの 役 割 腸 内 フローラは 主 に 次 のような 働 きで 健 康 に 寄 与 して いると 考 えられている 有 害 菌 に 拮 抗 して 腸 管 への 接 着 や 腸 管 内 での 増 殖 を 抑 制 する 小 腸 大 腸 菌 の 構 成 物 や 代 謝 物 が 免 疫 細 胞 を 刺 激 し 免 疫 を 制 御 する 菌 の 代 謝 物 が 腸 管 細 胞 の 栄 養 と なり 腸 管 のバリア 性 を 高 める 27
腸 内 フローラの 働 き1 有 害 菌 の 腸 管 への 接 着 や 増 殖 を 抑 え 感 染 を 抑 制 する 栄 養 源 の 奪 い 合 い 接 着 部 位 での 競 合 腸 管 体 内 28
腸 内 フローラの 働 き2 菌 の 構 成 物 や 代 謝 物 が 免 疫 細 胞 を 刺 激 して 免 疫 を 制 御 する 腸 管 体 内 免 疫 細 胞 へ 刺 激 情 報 伝 達 物 質 の 産 生 全 身 へ 29
クロストリジウムと 免 疫 制 御 17 種 類 の 腸 内 細 菌 で 炎 症 が 抑 制 される (Atarashi et al, Nature. 2013) 腸 内 フローラからクロストリジウム 属 中 心 とする17 種 の 菌 を 分 離 炎 症 モデルマウスに 投 与 すると 炎 症 が 大 きく 改 善 腸 管 酪 酸 の 産 生 体 内 酪 酸 の 刺 激 でTreg 細 胞 が 増 える 炎 症 を 改 善 Treg 細 胞 : 過 剰 な 免 疫 応 答 を 制 御 する 細 胞 30
腸 内 フローラの 働 き3 代 謝 物 が 腸 管 細 胞 の 栄 養 となり また 腸 管 のバリア 性 を 高 める 短 鎖 脂 肪 酸 の 生 成 腸 管 ( 酪 酸 や 酢 酸 など) 短 鎖 脂 肪 酸 毒 素 など 体 内 細 胞 の 栄 養 となる 31
O157 感 染 と 腸 内 フローラ 特 定 のビフィズス 菌 が 大 腸 菌 O157によるマウスの 死 を 予 防 (S Fukuda et al, Nature. 2011) 無 菌 マウスにビフィズス 菌 を 投 与 した 後 にO157を 感 染 させると 特 定 のビフィズス 菌 のみがマウスの 死 を 予 防 した マ ウ ス 生 存 率 100% 50% 0% O157を 感 染 非 予 防 株 予 防 株 予 防 株 では 糞 便 中 には 毒 素 が 多 い にもかかわらず 血 液 中 には 毒 素 が 少 ない 0 1 2 3 4 5 6 7 8 日 32
0157 感 染 と 腸 内 フローラ ビフィズス 菌 が 大 腸 菌 O157によるマウスの 死 を 予 防 (S Fukuda et al, Nature. 2011) ゲノム 比 較 の 結 果 予 防 株 のみ 果 糖 取 込 み 能 を 有 し 大 腸 で 果 糖 から 酢 酸 を 産 生 できる 酢 酸 が 腸 管 のバリアを 強 化 し 毒 素 の 侵 入 を 抑 制 腸 管 ベロ 毒 素 酢 酸 果 糖 酢 酸 によりバリアが 強 化 33
腸 内 フローラの 異 常 (Disbiosis) いくつかの 疾 病 で 腸 内 フローラが 正 常 でないという 報 告 がなされている (Disbiosisがみられる 疾 病 ) 偽 膜 性 大 腸 炎 本 来 は 少 ないクロストリジウム ディフィシル 菌 が 増 加 する 炎 症 性 腸 疾 患 腸 内 細 菌 の 多 様 性 が 減 少 ファーミキューテスが 減 少 多 発 性 硬 化 症 ファーミキューテス とくにクロストリジウムが 減 少 過 敏 性 腸 症 候 群 ( 下 痢 型 ) 小 腸 における 細 菌 の 異 常 増 殖 34
腸 内 フローラの 異 常 (Disbiosis) 逆 に 腸 内 フローラが 乱 れることで 疾 病 の 要 因 になる 可 能 性 も 考 えられている (Disbiosisの 要 因 ) 抗 生 物 質 の 服 用 多 くの 腸 内 菌 が 死 滅 し 特 定 の 菌 だけ 生 き 残 る 胃 のpH 調 整 剤 の 服 用 phが 変 わり 通 常 以 外 の 菌 が 増 える 場 合 がある 食 物 繊 維 の 少 ない 食 事 大 腸 に 栄 養 源 が 届 かず 菌 の 多 様 性 が 減 る 高 脂 肪 の 食 事 胆 汁 酸 が 多 く 出 て 胆 汁 酸 耐 性 の 低 い 菌 が 死 ぬ 35
Disbiosisとディフィシル 菌 感 染 症 クロストリジウム ディフィシル 感 染 症 胞 子 をつくり 抗 生 物 質 耐 性 が 非 常 に 高 い 腸 内 細 菌 増 殖 すると 非 常 に 激 しい 炎 症 を 起 こし 治 りにくい 死 亡 率 は 数 % 高 齢 者 の 場 合 10% 以 上 にも 及 ぶ 抗 生 物 質 の 摂 取 後 に 起 こる 場 合 がほとんど 抗 生 物 質 を 継 続 して 飲 む 主 要 な 腸 内 細 菌 が 減 少 する(Disbiosis) ディフィシル 菌 のみ 生 き 残 る ディフィシル 菌 が 増 殖 し 炎 症 を 発 生 させる 36
便 移 植 の 可 能 性 健 常 人 の 糞 便 移 植 により ディフィシル 菌 感 染 症 に 伴 う 偽 膜 性 大 腸 炎 患 者 が 回 復 (van Nood E et al, N Engl J Med. 2013) 腸 内 フローラ 正 常 化 のため 健 康 なヒトの 糞 便 を 移 植 従 来 の 抗 菌 剤 投 与 よりも 治 癒 率 が 非 常 に 高 い 潰 瘍 性 大 腸 炎 など 他 の 腸 管 疾 患 にも 応 用 が 試 みられている 37
肥 満 マウスの 腸 内 フローラ 肥 満 のマウスは 通 常 マウスと 腸 内 フローラが 異 なる (Leyら, Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 ) 肥 満 マウスでは ファーミキューテ ス 門 が 多 く バクテロイデテス 門 が 少 ない 肥 満 の 結 果 なのか 原 因 なのか 38
肥 満 マウスの 腸 内 フローラ 肥 満 のマウスは 通 常 マウスと 腸 内 フローラが 異 なる (Leyら, Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 ) 肥 満 痩 せマウス 無 菌 マウス 便 移 植 便 移 植 肥 満 マウスの 便 を 移 植 すると 同 じ 餌 でも 肥 満 になる 腸 内 細 菌 が 肥 満 の 一 因 となっていることが 判 明 39
本 日 の 内 容 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 40
よい 腸 内 環 境 腸 内 フローラをつくるには プロバイオティクスの 摂 取 良 い 菌 を 腸 に 取 り 入 れる プレバイオティクスの 摂 取 自 分 の 腸 の 中 の 良 い 菌 を 増 やす 食 物 繊 維 をとる 大 腸 に 届 き 腸 内 細 菌 の 餌 になる バランスよくいろいろなものを 食 べる 腸 内 細 菌 の 多 様 性 を 増 やす 41
プロバイオティクスとは イギリスのFuller 博 士 が1989 年 にまとめた 概 念 現 在 は2002 年 のWHOの 定 義 適 切 な 量 を 摂 取 することで 宿 主 によい 影 響 を 及 ぼす 生 きた 微 生 物 となっている 乳 酸 菌 ビフィズス 菌 など プロバイオティクス Probiosis( 生 物 共 生 ) 有 害 菌 を 抑 制 して 体 によい 生 菌 アンチバイオティクス( 抗 生 物 質 ) 有 害 菌 を 殺 菌 する 医 薬 品 良 い 菌 も 死 ぬ 42
プレバイオティクスとは イギリスのGibson 博 士 が1995 年 にまとめた 概 念 腸 内 の 特 定 の 細 菌 の 活 性 を 変 化 させることで 宿 主 の 健 康 を 改 善 する 難 消 化 性 の 食 品 成 分 オリゴ 糖 など(ビフィズス 菌 を 良 く 増 殖 させる) プレバイオティクス pre( 事 前 に) 体 に 良 い 菌 を 増 やす 難 消 化 性 の 物 質 プロバイオティクス Probiosis( 生 物 共 生 ) 有 害 菌 を 抑 制 して 体 によい 生 菌 プロ+プレ シンバイオティクスというときもある 43
食 物 繊 維 について ヒトの 消 化 酵 素 では 分 解 できない 難 消 化 性 の 糖 質 そのまま 大 腸 まで 届 き 腸 内 細 菌 の 栄 養 源 になる 腸 管 食 物 繊 維 腸 内 細 菌 の 栄 養 菌 の 多 様 性 増 える 短 鎖 脂 肪 酸 増 える 体 内 44
今 後 の 課 題 腸 内 フローラとは 腸 内 フローラの 解 析 方 法 腸 内 フローラの 構 成 菌 と 健 康 なヒトのフローラ 食 事 と 腸 内 フローラ 腸 内 フローラの 役 割 と 疾 病 腸 内 フローラの 改 善 方 法 今 後 の 課 題 45
今 後 の 課 題 腸 内 フローラには 多 くの 菌 が 関 与 しているため どの 菌 の 何 が 影 響 するのか 複 雑 で 簡 単 に 解 析 できない そのため 論 文 で 現 象 が 報 告 されても メカニズムが 明 らかに なっていない 場 合 が 多 い 小 腸 メカニズムを 明 確 にして 結 果 の 信 頼 性 を 高 める 必 要 がある 大 腸 46
今 後 の 課 題 最 近 では 腸 での 刺 激 が 脳 まで 伝 わることがいわれ ( 脳 腸 相 関 ) 研 究 対 象 が 広 がっている ストレス うつ 睡 眠 小 腸 大 腸 こうしたメンタルの 部 分 にも 腸 内 フローラが 関 わるのか ということ が 新 たな 課 題 となっている 47
ご 清 聴 ありがとうございました 図 の 一 部 は いらすとやウェブサイト(http://www.irasutoya.com/)と Togo picture gallaryのフリー 素 材 を 使 用 しました Togo picture gallery by DBCLS is Licensed under a Creative Commons 表 示 2.1 日 本 (c) 48