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ISFJ2009 政 策 フォーラム 発 表 論 文 個 人 金 融 資 産 の 取 り 崩 しによる 消 費 の 喚 起 1 家 計 の 埋 蔵 金 を 掘 り 起 こせ! 京 都 産 業 大 学 菅 原 宏 太 研 究 会 行 政 分 科 会 山 本 大 輔 堂 浜 隼 斗 小 池 卓 也 2009 年 12 月 1 本 稿 は 2009 年 12 月 12 日 13 日 に 開 催 される ISFJ 日 本 政 策 学 生 会 議 政 策 フォーラム2009 の ために 作 成 したものである 本 稿 の 作 成 にあたっては 菅 原 宏 太 教 授 ( 京 都 産 業 大 学 )をはじめ 多 くの 方 々から 有 益 且 つ 熱 心 なコメントを 頂 戴 した ここに 記 して 感 謝 の 意 を 表 したい しかしながら 本 稿 にあり 得 る 誤 り 主 張 の 一 切 の 責 任 はいうまでもなく 筆 者 たち 個 人 に 帰 するものである 1

要 約 我 々は 消 費 を 促 進 し 内 需 拡 大 を 狙 う 政 策 を 求 める 現 在 政 府 や 地 方 公 共 団 体 の 財 政 に 余 裕 がないため 大 規 模 な 財 政 出 動 を 行 うことなく 消 費 喚 起 できれば 有 効 である そこで 家 計 の 埋 蔵 金 とも 呼 ばれる 前 払 式 証 票 やポイント マイレージが 未 使 用 の 状 態 で 一 世 帯 当 たり 約 30~50 万 円 分 ( 基 準 日 未 使 用 残 高 総 世 帯 数 :49,566,305 世 帯 平 成 17 年 (2005 年 ) 国 勢 調 査 より) 眠 っていることや 家 計 の 個 人 金 融 資 産 の 現 預 金 は 約 800 兆 円 に 上 る ことから これらを 取 り 崩 して 消 費 の 拡 大 に 結 びつける 政 策 を 提 言 する また 多 くの 企 業 で 顧 客 獲 得 等 を 目 的 としたポイント マイレージサービスを 行 っており 野 村 総 合 研 究 所 のリサーチによれば 2013 年 にポイント マイレージの 最 少 発 行 規 模 が 総 額 約 8400 億 円 まで 増 加 すると 予 測 されている 今 後 さらに 消 費 者 が 受 け 取 るポイント も 増 加 し 未 使 用 残 高 も 年 々 増 加 することが 考 えられるため 前 払 式 証 票 やポイント マイ レージを 用 いた 消 費 喚 起 策 が 有 効 になるのではないだろうか ただし ここで 言 うポイント とは 現 金 または 現 金 に 準 ずる 価 値 を 持 つものとして 使 用 できるものを 指 し スタンプカー ドは 含 まないものとする 次 に 短 期 間 に 未 使 用 分 の 前 払 式 証 票 やポイント マイレージがすべて 使 用 されるものと 仮 定 し 総 務 省 統 計 局 より 発 表 された 平 成 17 年 産 業 連 関 表 (190 部 門 別 )を 用 いて 消 費 の 喚 起 にどれほどの 効 果 を 与 えるのか 分 析 を 行 った 分 析 に 用 いたデータは 前 払 式 証 票 基 準 日 未 使 用 残 高 とポイント マイレージの 未 使 用 残 高 を 足 し 合 わせた 額 で 算 出 した ポイン ト マイレージの 未 使 用 残 高 については 複 雑 な 会 計 処 理 等 の 問 題 があり 実 額 が 把 握 でき ないため 最 小 発 行 予 測 高 の 10% 30% 50%を 未 使 用 残 高 と 仮 定 し それぞれのパター ンで 経 済 波 及 効 果 を 算 出 した そして 民 主 党 政 権 が 推 し 進 める 子 ども 手 当 や 公 立 高 校 の 実 質 無 料 化 による 経 済 波 及 効 果 と 比 べた 結 果 それぞれのパターンで 同 額 の 社 会 保 障 および 学 校 教 育 に 関 する 財 政 出 動 を 行 うよりも 大 きな 経 済 波 及 効 果 が 得 られることが 判 明 した しかし 現 状 では 欲 望 の 二 重 一 致 を 克 服 できない 前 払 式 証 票 や 満 点 に 満 たないポイント マイレージなど 市 場 に 出 回 らず 未 使 用 の 状 態 で 家 計 に 眠 っている そのため 政 府 が 主 導 となり 前 払 式 証 票 やポイント マイレージを 一 元 化 し 商 品 券 や 電 子 マネーなど 家 計 が より 使 用 しやすい 形 へ 振 り 替 えるべきである この 振 り 替 えられたものを 以 後 政 府 消 費 券 と 呼 ぶことにする さらに 政 府 消 費 券 の 使 用 期 限 を 定 め その 期 間 内 に 政 府 消 費 券 を 全 国 一 斉 に 使 用 し 消 費 を 喚 起 させるのだ 期 間 については 実 質 GDP の 民 間 最 終 消 費 支 出 から 実 質 GDP 季 節 調 整 を 差 し 引 くことで 消 費 が 旺 盛 な 時 期 を 推 定 した その 結 果 第 4 四 半 期 が 他 の 四 半 期 に 比 べ て 圧 倒 的 に 差 額 が 大 きいことから 12 月 を 中 心 にこの 政 策 を 実 行 し 消 費 を 喚 起 させること を 提 案 する つまり クリスマスや 年 末 商 戦 で 家 計 にとって 出 費 がかさむ 12 月 から 翌 1 月 の 2 ヶ 月 間 に 限 定 し 消 費 の 下 支 えを 行 うのだ 最 後 に この 政 策 提 言 は 景 気 回 復 を 見 込 み 一 時 的 に 消 費 を 喚 起 させることを 目 的 とし たものである 以 上 が 我 々の 政 策 提 言 である 2

目 次 はじめに 第 1 章 現 状 分 析 第 1 節 (1.1) 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージとは 何 か? 第 2 節 (1.2) 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 発 行 額 基 準 日 未 使 用 残 高 の 推 移 第 3 節 (1.3)なぜ 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージを 未 使 用 のままにして しまうのか? 第 2 章 ポイント マイレージの 有 効 性 に 関 する 先 行 論 文 第 1 節 (1.1) 小 西 英 行 氏 の 研 究 第 2 節 (1.2) 安 岡 寛 道 氏 の 研 究 第 3 節 (1.3) 本 稿 の 位 置 付 け 第 3 章 分 析 第 1 節 (1.1) 分 析 の 目 的 第 2 節 (1.2) 産 業 連 関 表 とは 第 3 節 (1.3) 産 業 連 関 表 を 用 いた 分 析 第 4 節 (1.4) 分 析 結 果 のまとめ 第 4 章 政 策 提 言 に 伴 う 問 題 点 と 考 察 第 1 節 (1.1) 政 府 消 費 券 の 発 行 第 2 節 (1.2) 前 払 式 証 票 のケース 第 3 節 (1.3)ポイント マイレージのケース 第 4 節 (1.4) 政 策 実 施 に 伴 う 諸 問 題 第 5 章 政 策 提 言 第 1 節 (1.1) 政 府 消 費 券 への 振 り 替 え 先 行 論 文 参 考 文 献 データ 出 典 3

はじめに サブプライムローンの 焦 げ 付 きに 端 を 発 する 金 融 危 機 が 世 界 経 済 に 深 刻 なダメージを 与 えたことは 記 憶 に 新 しい 2008 年 9 月 のリーマンショック 以 降 日 本 経 済 も その 影 響 を 大 きく 受 けた 当 時 の 麻 生 太 郎 内 閣 は 経 済 対 策 として 高 速 道 路 料 金 を 休 日 1,000 円 以 下 に 家 電 エコポイント エコカー 減 税 住 宅 ローン 減 税 など 大 規 模 な 財 政 出 動 を 行 い 景 気 の 回 復 に 努 めた マクロ 経 済 学 では 政 府 の 財 政 政 策 により 景 気 を 刺 激 し 国 民 所 得 を 押 し 上 げることが 有 効 であると 論 じられているが これは 政 府 の 財 政 を 逼 迫 させ 将 来 の 増 税 という 形 で 国 民 生 活 に 大 きな 負 担 を 強 いることになりかねない 政 府 や 地 方 公 共 団 体 の 長 期 債 務 残 高 の 合 計 額 は 530 兆 円 を 突 破 している 現 在 追 加 経 済 対 策 や 新 型 インフルエンザ 予 防 など 不 測 の 事 態 に 対 応 するための 余 裕 はないであろう 大 規 模 な 政 府 支 出 が 必 要 となった 場 合 公 共 サービスの 低 下 や 国 債 の 増 発 は 避 けられない では 財 政 に 余 裕 のない 政 府 や 地 方 公 共 団 体 が 大 規 模 な 財 政 出 動 を 行 わずして 消 費 を 喚 起 させるためには どのような 政 策 を 実 行 すべきであろうか 注 目 すべき 点 は 全 国 の 家 計 に 眠 る 埋 蔵 金 である 現 預 金 以 外 に 眠 っている 未 使 用 の 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージは 2 兆 円 を 超 えると 言 われている 株 主 優 待 券 商 品 券 電 子 マネー ポイントカードなど この 巨 額 の 資 産 を 活 用 し 消 費 を 喚 起 させ るのだ 4

第 1 章 現 状 分 析 第 1 節 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージ とは 何 か? 前 払 式 証 票 とは 前 払 式 証 票 発 行 協 会 によれば 1 額 または 物 品 サービスの 数 量 ( 個 数 本 数 度 数 等 )が 商 品 券 等 に 記 載 または 電 磁 的 な 方 法 で 記 録 されていること 2 商 品 券 等 に 記 載 または 電 磁 的 な 方 法 で 記 録 された 金 額 または 物 品 サービスの 数 量 に 応 ずる 対 価 が 支 払 われていること 3 商 品 券 等 が 発 行 されること 4 商 品 を 購 入 するとき サービスの 提 供 を 受 けるとき 等 に 商 品 券 等 が 提 示 交 付 その 他 の 方 法 により 使 用 されること と 定 義 されている 一 般 的 に 商 品 券 やギフト 券 プリペイドカードなどのように 前 払 いで 購 入 した 証 票 の 総 称 であり 例 えば 図 書 券 やテレホンカード 全 国 百 貨 店 共 通 商 品 券 前 払 式 電 子 マネーで ある IC カード 型 の Edy Suica PASMO ICOCA なども 含 まれる ただし 乗 車 券 や 入 場 券 航 空 券 あるいは 使 用 期 間 が6か 月 以 内 のもの 等 の 定 義 除 外 や 適 用 除 外 のものは 4つの 要 件 が 備 わっていたとしても 前 払 式 証 票 に 該 当 しないものとして 前 払 式 証 票 法 による 規 制 の 対 象 外 となる ポイント マイレージとは 企 業 の 販 売 促 進 活 性 化 策 として JAL や ANA などの 航 空 企 業 系 マイレージや JCB やクレディセゾンなどのクレジットカード 会 社 系 ポイント イトーヨ ーカドーやダイエーなどの 大 手 流 通 企 業 系 高 島 屋 や 大 丸 などの 百 貨 店 系 TSUTAYA などの ビデオ DVD レンタル 企 業 系 Yahoo!や 楽 天 などの EC サイト 関 連 事 業 者 系 ローソンやセ ブン-イレブンなどの CVS 系 スーパーや 個 人 商 店 などのポイントなど 航 空 クレジット 流 通 電 信 電 鉄 など 幅 広 い 業 界 で 導 入 されており 貯 まったポイントやマイレージを 電 子 マネーやその 他 の 特 典 に 交 換 できるサービスが 展 開 されている 近 年 電 子 マネーの 急 速 な 普 及 と 共 に 企 業 が 顧 客 の 囲 い 込 みをかけるためにポイントサービスを 充 実 させている これらのポイント マイレージは 家 計 にとって 資 産 としての 価 値 を 持 ち 企 業 にとっ ては 顧 客 の 行 動 を 可 視 化 し 多 様 な 顧 客 管 理 多 様 なマーケティング 手 段 として 活 用 する ことができる ポイント マイレージを 用 いた 企 業 通 貨 マーケティングを 行 う 企 業 にとって ポイントは 情 報 取 得 の 対 価 であり 顧 客 情 報 はマーケティングのための 資 産 であるが 一 方 で 企 業 通 貨 マーケティングを 意 識 しない 企 業 にとって ポイントはただの 負 債 にすぎない 5

第 2 節 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージ の 発 行 額 基 準 日 未 使 用 残 高 の 推 移 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 前 払 式 証 票 発 行 額 基 準 日 未 使 用 残 高 の 推 移 によれば 前 払 式 証 票 の 発 行 額 は 90 年 代 後 半 は 毎 年 約 15 兆 円 を 発 行 2000 年 代 前 半 では 10 兆 円 代 を 割 り 込 むも 2000 年 代 後 半 では 約 10 兆 円 を 発 行 している それに 対 して 基 準 日 未 使 用 残 高 は 1998 年 以 降 の 10 年 間 で 約 2,000 億 円 も 増 加 している すなわち 1 年 間 で 約 200 億 円 もの 前 払 式 証 票 が 未 使 用 のまま 家 計 に 眠 っているものだと 考 えられる 2005 年 の 未 使 用 残 高 は 18,955 億 円 であり 2005 年 の 国 勢 調 査 による 総 世 帯 数 :49,566,305 世 帯 で 割 ると 一 世 帯 当 たりの 未 使 用 残 高 は 約 38,000 円 であり 前 年 度 からの 増 加 額 403 億 円 を 総 世 帯 数 で 割 ると 一 世 帯 当 たりの 1 年 間 の 未 使 用 残 高 は 約 800 円 であると 計 算 できる 前 払 式 証 票 発 行 額 基 準 日 未 使 用 残 高 の 推 移 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 前 払 式 証 票 の 発 行 額 等 の 推 移 より 200000 21000 億 円 150000 100000 20000 19000 50000 18000 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 年 度 17000 年 間 発 行 額 基 準 日 未 使 用 残 高 野 村 総 合 研 究 所 (2008) ポイント マイレージ 最 新 動 向 - 法 制 度 と 不 況 が 促 進 させる 構 造 変 化 - によれば ポイント マイレージの 年 間 最 小 発 行 規 模 予 測 は 2009 年 に 7,933 億 円 2013 年 8,432 億 円 と 5 年 間 で 約 500 億 円 の 増 加 が 見 込 まれている 世 界 の 全 航 空 会 社 のマ イルの 未 使 用 残 高 が 約 15 兆 マイル 程 度 存 在 するとも 言 われている 一 方 で 未 使 用 残 高 に ついては 各 企 業 のポイント 制 度 が 複 雑 であるため 完 全 に 把 握 することは 難 しく ポイント やマイルの 交 換 レートにより 現 金 換 算 した 場 合 の 正 確 な 価 値 を 見 出 すことも 難 しい そのた め 仮 に 野 村 総 合 研 究 所 によるポイント マイレージの 年 間 最 小 発 行 規 模 予 測 のうち 10% 30% 50%が 未 使 用 であると 3 つのパターンに 場 合 分 けをして 仮 の 数 値 を 用 いて 分 析 を 行 う 6

ポイント マイレージの 年 間 最 少 発 行 規 模 予 測 野 村 総 合 研 究 所 (2008) ポイント マイレージ 最 新 動 向 法 制 度 と 不 況 が 促 進 させる 構 造 変 化 より 9000 億 円 8500 8000 7993 7861 7933 8061 8185 8308 8432 7500 7000 6500 6654 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年 度 日 本 経 済 新 聞 (2009 年 07 月 30 日 朝 刊 )によれば 大 手 家 電 量 販 店 やクレジットカード 利 用 のポイントや 航 空 会 社 のマイレージを 合 算 した 発 行 額 は 約 7,900 億 円 であり これに TUTAYA の CCC グループ 楽 天 とヤフーといったネット 通 販 によるポイントの 発 行 額 を 加 え ると 約 8,200 億 円 に 上 る さらに 家 電 エコポイントを 合 わせれば 2009 年 度 のポイント 市 場 は1 兆 円 を 超 え 現 金 通 貨 の 流 通 額 の 1.5%に 当 たるとされている 経 済 産 業 省 の 発 表 によれば 2009 年 8 月 末 時 点 で 家 電 エコポイントによるポイント 発 行 数 10,433,503,000 点 に 対 し 1,866,515,169 点 と 約 17.87%が 未 交 換 のままである すで に 交 換 されたポイントのうち 96.29%が 商 品 券 やプリペイドカードと 交 換 されており 地 域 型 商 品 券 や 地 域 産 品 との 交 換 に 比 べ 圧 倒 的 である これは 消 費 者 にとって ポイントを 商 品 券 に 振 り 替 えることが 好 ましいのではないだろうか 7

家 電 エコポイントの 交 換 実 績 (09 年 8 月 末 時 点 ) 経 済 産 業 省 (2009)グリーン 家 電 エコポイント 事 務 局 エコポイントの 活 用 によるグ リーン 家 電 普 及 促 進 事 業 の 実 施 状 況 等 について より 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 鉄 道 バス フェリー 0.65% 食 品 飲 食 権 3.10% 生 活 関 連 株 17.35% 旅 行 宿 泊 券 1.67% 流 通 系 商 品 券 31.65% 流 通 系 プリペイドカード 9.76% クレジット 系 商 品 券 31.84% 0.26% カタログギフト 券 第 3 節 なぜ 前 払 式 証 票 およびポイント マイレ ージを 未 使 用 のままにしてしまうのか? 前 払 式 証 票 に 共 通 する 不 満 点 として 使 えるお 店 が 限 定 されていることや 釣 銭 が 出 ない ことなどの 理 由 が 考 えられる 例 えは 贈 答 品 としてハーゲンダッツアイスクリームギフト 券 を 受 け 取 ったものの 甘 いものを 苦 手 とする 人 にとってみれば このギフト 券 よりも 現 金 やその 他 の 贈 物 を 欲 するであろう また 多 額 の 商 品 券 を 所 持 していたとしても ミュージ ック ギフトカードで 松 阪 牛 を 購 入 することはできない 松 阪 牛 ギフト 券 を 所 持 していれば 話 は 早 いが このように 商 品 券 の 用 途 が 限 られている 場 合 消 費 者 の 欲 望 との 間 でミスマ ッチが 生 じる ポイント マイレージは 家 計 にとって 資 産 並 みの 価 値 を 持 つものであるが それら の 利 用 頻 度 や 交 換 特 典 に 左 右 される 例 えば 一 度 の 海 外 旅 行 だけでは 十 分 にマイルを 貯 めることができず 有 効 期 限 切 れを 迎 えてしまうことがある つまり 利 用 可 能 な 最 低 マイ レージ 数 (1 万 マイル)がライトユーザーにとって 敷 居 が 高 いため 交 換 可 能 マイルに 満 たな いことが 要 因 である また 家 電 をはじめとする 耐 久 消 費 財 の 買 い 替 えも 頻 繁 に 行 わないこ とから 次 回 のためにポイントを 貯 めていても 使 わずじまいになってしまうことがあげら れる 仮 に 十 分 なポイントを 貯 めていたとしても 交 換 できる 特 典 に 魅 力 を 感 じなければ ポイントカードの 存 在 自 体 の 価 値 もなくなるであろう このように 消 費 者 は ポイント 利 用 の 頻 度 や 商 品 の 購 入 単 価 ポイント 付 与 率 に 影 響 されるだけでなく 企 業 が 提 供 する 交 換 特 典 の 魅 力 によって 未 使 用 額 が 左 右 される さらに 野 村 総 合 研 究 所 の ポイント マイレージの 最 新 動 向 によれば 消 費 者 にとっ て 貯 めたいポイントと 貯 めているポイントの 間 に 乖 離 があると 説 明 されている 下 記 のグ 8

ラフは 業 態 別 に 消 費 者 が 貯 めているポイントと 貯 めたいポイントとの 間 にギャップがある ことを 示 している 野 村 総 合 研 究 所 ポイント マイレージの 最 新 動 向 から 作 成 グラフが 示 している 通 り 一 般 消 費 者 の 約 4 割 が 総 合 スーパー 携 帯 電 話 家 電 量 販 店 ドラッグストアのいずれかのポイントを 貯 めている とりわけ スーパーやドラッグストア のポイントは 30 代 の 女 性 が 家 電 量 販 店 のポイントは 30~40 代 の 男 性 が 積 極 的 に 貯 めてい る 一 方 で 航 空 鉄 道 バスは 限 られた 消 費 者 しか 利 用 しないことや コンビニエンスス トア インターネットのように 利 用 する 客 層 が 限 られているため ポイントを 貯 めている 消 費 者 が 少 ない グラフを 単 純 比 較 することはできないが 今 後 貯 めたいポイントとして 日 常 生 活 中 で 利 用 頻 度 の 高 いコンビニや 総 合 スーパー ガソリンスタンド 百 貨 店 鉄 道 バスのポイントサ ービスに 消 費 者 は 関 心 を 寄 せていることがわかる つまり 消 費 者 にとって 貯 めているポイントと 貯 めたいポイントのギャップがあり そ の 要 因 として 考 えられることは 先 にも 述 べた 通 り ポイントの 利 用 頻 度 やポイント 自 体 の 魅 力 である では 一 般 消 費 者 が 貯 めたいとは 思 っていないポイントを 汎 用 性 の 高 い 形 である 政 府 消 費 券 に 変 えることができれば 消 費 に 使 われる 可 能 性 が 高 くなり 消 費 を 刺 激 させることが できるのではないだろうか このように 我 々の 目 指 すところは 家 計 の 眠 れる 資 産 すなわち 埋 蔵 金 を 取 り 崩 す ことで 経 済 の 活 性 化 を 図 ることである 次 章 では ポイント マイレージの 増 加 要 因 について 説 明 する 消 費 者 がなぜ ポイント マイレージを 持 つようになったのかを マーケティングの 有 効 性 という 観 点 からみていく 9

第 2 章 ポイント マイレージの 有 効 性 に 関 する 先 行 論 文 第 1 節 小 西 英 行 氏 の 研 究 我 々が 先 行 研 究 として 用 いたのは 小 西 英 行 氏 の ポイント 経 済 と 関 係 性 マーケティン グ 安 岡 寛 道 氏 の 企 業 通 貨 におけるポイント マイレージの 現 状 と 将 来 性 である ポ イント マイレージに 関 する 先 行 研 究 の 中 で 我 々の 考 える 政 策 提 言 へと 直 接 つながるもの が 見 つからなかったため 使 用 したのはポイント マイレージの 有 効 性 を 説 くものとなって いる この 2 つの 論 文 を 参 考 に ポイント マイレージの 発 行 額 が 増 加 している 要 因 につい て 考 察 する 最 初 に 小 西 英 行 氏 の ポイント 経 済 と 関 係 性 マーケティング から ポイント システ ムの 成 功 例 と 失 敗 例 を 紹 介 する 研 究 では ポイント システムが 成 功 した 企 業 撤 退 した 企 業 それぞれ 2 企 業 を 例 に 挙 げて 説 明 している ポイント システムから 撤 退 した 企 業 とし て 挙 げられているのは すかいらーくとユニクロである 簡 単 に 両 企 業 の 特 徴 を 説 明 しておく すかいらーくは 低 価 格 かつおいしい 食 事 を ユニ クロは 低 価 格 高 品 質 をウリにしている この 両 企 業 に 共 通 するキーワードは 低 価 格 である 後 に 成 功 例 として 紹 介 するヨドバシカメラは 価 格 を 若 干 高 めに 設 定 しポイント 還 元 を 行 っていた しかし この 両 企 業 は 共 に 低 価 格 をウリにしているため 価 格 を 高 めに 設 定 しポイント 還 元 という 手 法 は 困 難 である 加 えて ユニクロはもともと 利 益 率 が 低 いため ポイントサービスを 行 う 余 地 は 小 さかったとしている すかいらーくは 1996 年 ~2001 年 の 還 元 率 を 5% 2001 年 ~2002 年 の 還 元 率 を 10%とし た 還 元 率 が 10%と 以 前 の 倍 になり これが 販 促 費 として 計 上 され 経 営 を 圧 迫 していた さらに インターネット 上 での 満 点 に 満 たないカードの 売 買 により 多 くのカードが 満 点 と なってしまった 未 使 用 になると 予 測 していたポイントまでもが 利 用 されたことで サービ スから 撤 退 することとなった ちなみに 外 食 チェーンの 還 元 率 は 概 ね 5% 程 度 であり 若 干 価 格 に 上 乗 せされているようである ユニクロは 還 元 率 を 8.75%に 設 定 した このポイントカードは 有 効 期 限 がなく 複 数 カ ードを 合 算 することができ さらに 無 記 名 での 使 用 が 可 能 であった これがインターネット 上 で 取 引 され 予 想 を 上 回 る 利 用 率 となったことが 撤 退 した 理 由 とされている ポイント システムから 撤 退 した 両 社 に 共 通 するのは 予 測 を 上 回 る 利 用 率 により 撤 退 し たということである ポイントの 処 理 に 関 しては 会 計 処 理 の 問 題 が 絡 んでくるため 少 々 複 雑 な 問 題 となる 現 在 我 が 国 ではポイントに 関 する 会 計 処 理 の 明 確 な 基 準 が 存 在 しておらず 企 業 によっ て 会 計 処 理 の 方 法 が 異 なる 大 きく 分 けて 次 の 3 つに 分 類 することができる 10

1ポイントが 発 行 された 時 点 で 費 用 として 処 理 2ポイントが 使 用 された 時 点 で 費 用 処 理 3ポイントが 使 用 された 時 点 で 費 用 として 処 理 され 期 末 に 未 使 用 ポイントの 残 高 を 引 当 金 に 計 上 する 我 が 国 の 企 業 で 用 いられている 会 計 処 理 の 方 法 は 上 記 の3 番 の 方 法 が 多 く 近 い 将 来 に 企 業 が 発 行 したポイントをどれだけ 使 われるかを 想 定 し 引 当 金 として 積 み 立 てていると 言 われている このように 企 業 はポイントやマイレージを 発 行 することで 販 売 促 進 費 等 の 負 債 を 先 送 りし 将 来 の 収 益 を 圧 迫 する 要 因 にもなり 得 る しかし 販 売 促 進 費 という 名 目 で 発 行 している 以 上 そのポイントやマイレージが 十 分 に 消 費 に 生 かされなければならない ここからは ポイント システムが 成 功 した 例 を 紹 介 する ポイント システムの 成 功 例 として 挙 げられるのは 家 電 量 販 店 のヨドバシカメラとヤマダ 電 機 である まずは ヨドバ シカメラのポイント システムについて 説 明 する ヨドバシカメラのゴールドポイントカードは 現 金 支 払 い 時 に 最 大 20% 以 上 のポイント 還 元 を 行 った その 代 わりに 商 品 価 格 は 少 々 高 めに 設 定 していたが 実 質 価 格 は 他 店 と 大 差 はなかった しかし 需 要 創 出 効 果 としての 再 来 店 率 がかなり 高 く 間 接 の 需 要 創 出 効 果 としてのポイントの 価 値 が 大 きいことから とりあえずカードを 作 る という 人 が 多 いそ うだ ヤマダ 電 機 は 現 金 値 引 きをウリとしていた カード 導 入 後 は 支 払 額 は 他 店 のポイ ント 還 元 分 を 引 いた 額 と 同 じ さらにポイントを 加 える 分 お 得 になる ことを 宣 伝 文 句 とし た なお 還 元 率 は 1~3%であった しかし 後 にヨドバシカメラ 同 様 還 元 率 を 上 げ 価 格 を 高 めに 設 定 するようになったようである また ポイント 不 要 客 には 現 金 値 引 きをして いる 以 上 が 先 行 研 究 において 述 べられていた 成 功 例 と 失 敗 例 である 第 2 節 安 岡 寛 道 氏 の 研 究 では 次 に 安 岡 寛 道 氏 の 企 業 通 貨 におけるポイント マイレージの 現 状 と 将 来 性 から 企 業 がポイント マイレージを 採 用 する 理 由 を 探 っていく この 研 究 では 企 業 がポイント マイレージを 採 用 する 理 由 としては 以 下 の 4 大 メリットが 存 在 するためであるとしてい る 1) 既 存 顧 客 の 囲 い 込 み 2) 既 存 顧 客 の 優 良 顧 客 化 3) 新 規 顧 客 の 獲 得 4) 提 携 他 社 との 相 互 送 客 まず 1についてである 消 費 者 は ポイントのたまりやすさに 加 え ポイントの 使 い 道 が 魅 力 的 であれば 他 のポイントへの 乗 換 えをしなくなるため 囲 い 込 みが 成 功 する 次 に サービスの 利 用 に 応 じて 顧 客 をランク 分 けし ランクごとに 優 待 サービスを 提 供 す る 消 費 者 がポイントを 貯 めるために 同 じ 企 業 で 消 費 をするため 優 良 顧 客 化 を 図 れるとし ている また ポイント プログラムを 導 入 するだけでも 消 費 者 が 普 段 以 上 に 商 品 サー 11

ビスを 購 入 してくれる 効 果 も 期 待 できるのである 貯 まりやすいポイントであるほど 消 費 者 が 惹 きつけられ 新 規 顧 客 を 獲 得 できることが 3 つ 目 のメリットである 4 つ 目 は ポイ ントを 発 行 する 企 業 が 他 社 と 提 携 することで 他 社 と 自 社 の 顧 客 を 相 互 に 送 り 込 むことがで きるというメリットである 以 上 のメリットから 企 業 がポイント システムを 採 用 することはマーケティングとして 有 効 な 方 法 であることが 読 み 取 れる 2 つの 先 行 研 究 から 家 電 量 販 店 がポイントを 発 行 するのは 1) 既 存 顧 客 の 囲 い 込 み 2) 既 存 顧 客 の 優 良 顧 客 化 のメリットが 大 きいためであると 推 測 できる ヨドバシカメラはポイ ント 還 元 率 を 最 大 20% 以 上 とすることで 3) 新 規 顧 客 の 獲 得 にも 成 功 したと 思 われる 家 電 小 売 業 界 においてのポイント システムは マーケティングとして 有 効 に 作 用 していると 判 断 できる 我 々は 航 空 会 社 のマイレージもまた 同 様 に 有 効 なものであると 考 えている 予 め 定 員 数 が 決 まっている 航 空 機 では 極 力 空 席 を 少 なくすることが 望 ましい そのためにマイレー ジを 発 行 し 航 空 機 の 利 用 を 促 すことは 理 にかなっている 問 題 は マイレージは 一 回 の 利 用 では 最 低 交 換 単 位 にならないこと 有 効 期 間 が 定 まっていることである 我 々が 想 定 して いる 家 計 の 埋 蔵 金 約 30~50 万 円 の 中 には このマイレージも 含 まれる マイレージは い わば 有 効 期 限 付 きの 資 産 である これらは もしものときのためにとっておく 種 のものでは ないため 使 いやすい 形 へと 変 えることができれば 消 費 させることが 可 能 であると 我 々は 考 えている ポイント マイレージが 有 効 であることは 現 在 ポイント システムを 採 用 している 企 業 が 多 いことからも 分 かる 第 3 節 本 稿 の 位 置 付 け ここまで 先 行 研 究 を 利 用 し 企 業 がポイント マイレージを 採 用 することのメリットにつ いて 述 べてきた ポイント 発 行 額 が 増 えていることも マーケティングの 面 から 考 えると 妥 当 だと 言 えるだろう 発 行 額 が 増 えているということは すなわち 消 費 者 が 受 け 取 るポイ ントが 増 加 していることを 意 味 している 我 々が 本 稿 において 主 張 したいことは 消 費 者 が 持 つポイントのうちの 未 使 用 分 を 消 費 に 回 すことで 経 済 の 活 性 化 へつなげることができる ことである 航 空 会 社 のマイレージのような 最 低 交 換 単 位 に 満 たないものや 意 図 せず 貯 め ていたポイントを 汎 用 性 の 高 いものに 交 換 することで 消 費 に 回 しやすくし それがどれほど の 波 及 効 果 を 生 み 出 すのかを 分 析 し 政 策 提 言 につなげていく 12

第 3 章 分 析 第 1 節 分 析 の 目 的 我 々の 提 言 は 政 府 による 大 規 模 な 財 政 支 出 を 行 うことなく 消 費 を 喚 起 させることを 目 的 としている しかし 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 未 使 用 分 を 政 府 消 費 券 に 振 り 替 える 際 十 分 な 政 府 による 引 当 金 基 金 の 設 立 が 必 要 ではないかという 問 題 が 生 まれる であろう ここでは 政 府 が 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 未 使 用 残 高 と 同 等 の 引 当 金 を 準 備 したと 仮 定 し 経 済 全 体 への 波 及 効 果 を 検 証 する 前 払 式 証 票 やポイント マイレージの 未 使 用 分 を 政 府 消 費 券 に 振 り 替 えた 場 合 エコポイ ントの 交 換 実 績 や 家 計 の 消 費 行 動 から 小 売 の 最 終 需 要 を 押 し 上 げるだけでなく 利 用 者 数 が 多 く 電 子 決 算 が 頻 繁 に 使 用 されやすい 鉄 道 旅 客 輸 送 の 最 終 需 要 を 押 し 上 げるので はないかと 考 え 産 業 連 関 表 を 用 い 分 析 する さらに 2009 年 現 在 政 権 を 担 っている 民 主 党 が 子 ども 手 当 ての 半 額 実 施 や 公 立 高 校 の 実 質 無 料 化 公 共 事 業 の 削 減 を 掲 げていることから 産 業 連 関 表 の 社 会 保 障 や 学 校 教 育 公 共 事 業 の 最 終 需 要 が 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 すると 仮 定 し 経 済 全 体 への 波 及 効 果 を 比 較 する また 政 府 消 費 券 の 有 効 期 限 を 設 けるのであれば 1 年 で 最 も 家 計 の 消 費 が 旺 盛 な 時 期 を 検 証 し 消 費 喚 起 に 期 待 ができる 時 期 に 合 わせて 有 効 期 限 を 策 定 しなければならない こち らは GDP の 民 間 最 終 消 費 支 出 を 四 半 期 ごとに 計 測 する 実 質 原 型 列 から 季 節 調 整 原 系 列 を 差 し 引 き 最 も 適 した 時 期 を 分 析 する 第 2 節 産 業 連 関 表 とは 我 々は 産 業 連 関 表 を 用 いて 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 未 使 用 分 をすべて 使 用 した 場 合 どれほどの 経 済 効 果 があるのか また 同 規 模 の 財 政 政 策 を 行 った 場 合 と 比 較 し その 効 果 を 分 析 する 総 務 省 統 計 局 によれば 経 済 活 動 は 産 業 相 互 間 あるいは 産 業 と 家 計 などの 間 で 密 接 に 結 びつき 互 いに 影 響 を 及 ぼし 合 っており このような 各 産 業 の 投 入 と 産 出 に 関 す る 経 済 取 引 を 特 定 の 1 年 間 について 一 覧 表 にしたものを 産 業 連 関 表 と 呼 んでいる この 表 は 国 内 経 済 において 一 定 期 間 ( 通 常 1 年 間 )に 行 われた 財 サービスの 産 業 間 取 引 を 一 つの 行 列 (マトリックス)に 示 した 統 計 表 であり 5 年 ごとに 関 係 府 省 庁 の 共 同 事 業 として 作 成 されるものである 我 が 国 の 経 済 構 造 を 明 らかにする 基 礎 統 計 として 経 済 の 波 及 効 果 分 析 や 予 測 国 民 経 済 計 算 などの 経 済 統 計 の 基 準 値 として 利 用 されているものである 我 々 13

は この 表 を 利 用 して 小 売 鉄 道 旅 客 輸 送 社 会 保 障 学 校 教 育 公 共 事 業 の 経 済 波 及 効 果 の 分 析 を 行 う 産 業 連 関 表 とは ある 産 業 に 1 単 位 の 最 終 需 要 が 追 加 された 場 合 この 最 終 需 要 を 満 たす ために 直 接 間 接 に 必 要 な 様 々な 産 業 の 生 産 量 を もとの 最 終 需 要 の 量 を 1 単 位 として 比 率 で 表 したものが 逆 行 列 係 数 である この 逆 行 列 係 数 を 各 産 業 について 一 覧 表 の 形 にしたも のが 逆 行 列 係 数 表 である 逆 行 列 係 数 表 は 投 入 係 数 表 をもとに 数 学 上 の 逆 行 列 を 求 める 方 法 で 算 出 し ある 産 業 へ 1 単 位 ずつ 最 終 需 要 が 与 えられたとき 各 産 業 への 波 及 効 果 が 何 単 位 になるのかを 知 るための 表 である 第 3 節 産 業 連 関 表 を 用 いた 分 析 総 務 省 統 計 局 より 発 表 された 平 成 17 年 産 業 連 関 表 (190 部 門 別 )を 用 いて 分 析 を 行 っ た 分 析 に 際 して 前 払 式 証 票 の 基 準 日 未 使 用 残 高 2 兆 51 億 円 に 加 え ポイント マイレ ージの 未 使 用 残 高 を 合 算 したもので 算 出 する なお ポイント マイレージの 未 使 用 残 高 に 関 しては 複 雑 な 会 計 処 理 等 の 問 題 があり 実 額 が 把 握 できないため 最 小 発 行 予 測 高 の 10% 30% 50%を 未 使 用 残 高 と 仮 定 し それぞれのパターンで 経 済 波 及 効 果 を 算 出 した 2008 年 度 のポイント マイレージ 最 小 発 行 規 模 は 約 7,861 億 円 である このうち 未 使 用 分 を 10%と 仮 未 使 用 残 高 は 約 786 億 円 である 同 様 に 30%の 場 合 約 2,358 億 円 50%の 場 合 約 3,930 億 円 である 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 前 払 式 証 票 の 基 準 日 未 使 用 残 高 2,005,100,000,000 2,005,100,000,000 2,005,100,000,000 ポイント マイレージ の 未 使 用 残 高 推 計 78,610,000,000 235,830,000,000 393,050,000,000 総 額 ( 円 ) 2,083,710,000,000 2,240,930,000,000 2,398,150,000,000 以 後 ポイント マイレージの 未 使 用 分 を 10%と 仮 を1 30%と 仮 定 した 場 合 を2 50%と 仮 を3とする まず それぞれの 数 値 を 平 成 17 年 産 業 連 関 表 (190 部 門 別 )に 代 入 し 経 済 波 及 効 果 を 算 出 する 小 売 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 1 約 3 兆 3 千 億 円 2 約 3 兆 6 千 億 円 3 約 3 兆 8 千 億 円 の 経 済 波 及 効 果 が 見 込 める 14

1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 総 額 ( 円 ) 2,083,710,000,000 2,240,930,000,000 2,398,150,000,000 小 売 に 全 額 投 入 さ れた 場 合 の 経 済 波 及 効 果 3,313,978,954,919 3,564,025,156,786 3,814,071,358,653 次 に 社 会 保 障 の 最 終 需 要 が これらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 1 約 3 兆 円 2 約 3 兆 3 千 億 円 3 約 3 兆 6 千 億 円 となり 3 つのパターンすべてで 社 会 保 障 の 最 終 需 要 が 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 より 小 売 の 方 が 経 済 波 及 効 果 が 大 きいと 言 うことができる 小 売 に 全 額 投 入 さ れた 場 合 の 経 済 波 及 効 果 社 会 保 障 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,313,978,954,919 3,564,025,156,786 3,814,071,358,653 3,088,635,428,507 3,321,679,020,019 3,554,722,611,532 差 額 ( 円 ) 225,343,526,411 242,346,136,766 259,348,747,121 さらに 学 校 教 育 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 1 約 2 兆 5 千 億 円 2 約 2 兆 7 千 億 円 32 兆 9 千 億 円 となり こちらも 3 つのパターンすべてで 学 校 教 育 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 より 小 売 の 方 が 経 済 波 及 効 果 が 大 きいと 言 うことができる 小 売 に 全 額 投 入 さ れた 場 合 の 経 済 波 及 効 果 学 校 教 育 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,313,978,954,919 3,564,025,156,786 3,814,071,358,653 2,523,654,027,502 2,714,068,665,913 2,904,483,304,324 差 額 ( 円 ) 790,324,927,417 849,956,490,873 909,588,054,329 15

最 後 に 公 共 事 業 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 1 約 4 兆 1 千 億 円 2 約 4 兆 4 千 億 円 3 約 4 兆 7 千 億 円 であった これは 社 会 保 障 や 学 校 教 育 とは 異 なり 3 つのパターンすべてで 公 共 事 業 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 よりも 小 売 の 方 が 経 済 波 及 効 果 が 小 さいと 言 うことができる 小 売 に 全 額 投 入 さ れた 場 合 の 経 済 波 及 効 果 公 共 事 業 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,313,978,954,919 3,564,025,156,786 3,814,071,358,653 4,105,197,835,600 4,414,943,051,447 4,724,688,267,294 差 額 ( 円 ) 791,218,880,681 850,917,894,661 910,616,908,642 同 様 に 鉄 道 旅 客 輸 送 の 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 1 約 3 兆 5 千 億 円 2 約 3 兆 8 千 億 円 3 約 4 兆 円 の 経 済 波 及 効 果 が 見 込 める 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 総 額 ( 円 ) 2,083,710,000,000 2,240,930,000,000 2,398,150,000,000 鉄 道 旅 客 輸 送 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 3,488,663,928,086 3,751,890,453,261 4,015,116,978,437 社 会 保 障 と 鉄 道 旅 客 輸 送 を 比 較 したところ 鉄 道 旅 客 輸 送 の 経 済 波 及 効 果 の 方 が 大 きいことがわかる 鉄 道 旅 客 輸 送 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 社 会 保 障 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1 イント マイレー ジ 未 使 用 率 10% と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,488,663,928,086 3,751,890,453,261 4,015,116,978,437 3,081,075,815,756 3,314,119,407,268 3,547,162,998,781 差 額 ( 円 ) 400,028,499,579 430,211,433,242 460,394,366,906 16

学 校 教 育 と 鉄 道 旅 客 輸 送 との 比 較 でも やはり 鉄 道 旅 客 輸 送 の 経 済 波 及 効 果 はより 大 きいことがわかる 鉄 道 旅 客 輸 送 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 学 校 教 育 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,488,663,928,086 3,751,890,453,261 4,015,116,978,437 2,523,654,027,502 2,714,068,665,913 2,904,483,304,324 差 額 ( 円 ) 965,009,900,584 1,037,821,787,349 1,110,633,674,113 公 共 事 業 と 鉄 道 旅 客 輸 送 を 比 べた 場 合 公 共 事 業 と 小 売 とを 比 べた 時 と 同 様 に 鉄 道 旅 客 輸 送 に 最 終 需 要 がこれらの 未 使 用 分 と 同 額 増 加 した 場 合 の 方 が 経 済 波 及 効 果 が 小 さいと 言 うことができる 鉄 道 旅 客 輸 送 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 公 共 事 業 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,488,663,928,086 3,751,890,453,261 4,015,116,978,437 4,105,197,835,600 4,414,943,051,447 4,724,688,267,294 差 額 ( 円 ) 616,533,907,514 663,052,598,185 709,571,288,857 さらに 鉄 道 旅 客 輸 送 と 小 売 との 経 済 波 及 効 果 を 比 較 するならば 鉄 道 旅 客 輸 送 の 方 が すべてのパターンで 約 2 千 億 円 大 きいことがわかる 17

鉄 道 旅 客 輸 送 に 全 額 投 入 された 場 合 の 経 済 波 及 効 果 小 売 に 全 額 投 入 さ れた 場 合 の 経 済 波 及 効 果 1ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 10%と 仮 2ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 30%と 仮 3ポイント マイレー ジ 未 使 用 率 50%と 仮 3,488,663,928,086 3,751,890,453,261 4,015,116,978,437 3,313,978,954,919 3,564,025,156,786 3,814,071,358,653 差 額 ( 円 ) 174,684,973,167 187,865,296,476 201,045,619,785 第 4 節 分 析 結 果 のまとめ まず 産 業 連 関 表 の 分 析 の 結 果 社 会 保 障 や 学 校 教 育 に 比 べ 前 払 式 証 票 および ポイント マイレージの 未 使 用 残 高 をすべて 小 売 または 鉄 道 旅 客 運 送 に 投 入 した 方 が 経 済 に 与 える 波 及 効 果 が 大 きいと 言 える このことから 政 府 消 費 券 は 家 計 が 小 売 ま たは 鉄 道 旅 客 輸 送 に 対 して 使 用 されるべきものでなければならない また 公 共 事 業 の 波 及 効 果 は 小 売 鉄 道 旅 客 運 送 社 会 保 障 学 校 教 育 よりも 格 段 に 大 きいことから 公 共 事 業 の 削 減 を 推 し 進 め 子 ども 手 当 や 公 立 高 校 の 実 質 無 料 化 に 財 源 を 充 てる 現 民 主 党 政 権 の 方 針 に 疑 念 を 抱 く 分 析 結 果 となった この 結 果 だけを 見 れば たしかに 公 共 事 業 の 波 及 効 果 が 大 きいため もっと 公 共 投 資 を 行 うべきではないかという 意 見 もあるかもしれない しかし 同 時 に 大 規 模 な 財 政 出 動 も 伴 うため 政 府 や 地 方 公 共 団 体 の 財 政 に 余 裕 がない 現 在 大 々 的 に 公 共 事 業 を 行 うことは 望 ましいこととは 言 えない また 子 ども 手 当 や 公 立 高 校 の 実 質 無 料 化 に 関 しても 概 算 要 求 額 にして 合 わせて 約 2 兆 7 千 億 円 の 財 政 支 出 を 伴 う しかし 我 々は 大 規 模 な 財 政 出 動 を 行 うことなく 消 費 喚 起 を 行 う 政 策 を 提 言 する すな わち 政 府 が 推 し 進 める 子 ども 手 当 や 公 立 高 校 の 実 質 無 料 化 のような 財 政 支 出 を 行 うよりも 前 払 式 証 票 やポイント マイレージの 未 使 用 分 を 政 府 消 費 券 に 振 り 替 え 消 費 を 喚 起 させた 方 が 経 済 への 波 及 効 果 が 大 きく 政 府 の 負 担 は 引 当 金 基 金 を 設 立 するだけで 済 む さらに 子 どもや 学 生 のいない 家 計 もその 恩 恵 を 受 けることができる では 我 々の 政 策 提 言 を 実 行 するに 当 たり どのような 問 題 が 発 生 するかを 次 章 で 考 察 する 18

第 4 章 政 策 提 言 に 伴 う 問 題 点 と 考 察 第 1 節 政 府 消 費 券 の 発 行 我 々は 各 企 業 政 府 の 発 行 する 前 払 式 証 票 およびポイント マイレージを 政 府 が 一 元 化 し 汎 用 性 を 高 めるシステムの 構 築 を 提 案 する 前 払 式 証 票 やポイント マイレージをより 使 いやすい 形 にすることで 消 費 の 活 性 化 に 結 び 付 けるのである ポイント マイレージは 提 携 している 企 業 間 で 使 用 できるが そこに 消 費 者 が 望 む 製 品 やサービスがなければ 使 われ ることはない 貯 めているポイントと 貯 めたいポイントとのギャップができるのはそのため でもある そこで 政 府 主 導 により 家 計 が 使 用 しやすい 形 へと 一 元 化 する 使 用 しない 前 払 式 証 票 や 最 低 交 換 単 位 に 満 たないポイント マイレージを 政 府 が 回 収 し 同 額 分 の 商 品 券 ま たは 電 子 マネーを 発 行 する 本 稿 ではこれを 政 府 消 費 券 と 称 している なぜ 現 金 ではなく 商 品 券 として 交 換 するのかについて 説 明 する 参 考 としたのは 家 電 エコポイントの 交 換 実 績 である それを 示 しているのが 9 ページのグラフである ここから 流 通 系 商 品 券 クレジット 系 商 品 券 の 交 換 率 が 共 に 31%を 超 えており 人 気 が あることが 伺 える 生 活 関 連 株 が 17.35%でそれらに 続 き その 他 の 5 つの 交 換 対 象 につい てはあまり 人 気 がない この 事 実 から 我 々は 商 品 券 へ 交 換 することが 最 も 望 ましいと 判 断 した 前 払 式 証 票 ポイント マイレージを 現 金 化 して 還 元 した 場 合 貯 蓄 に 回 ることも 大 いに 考 えられるため 我 々の 目 指 す 消 費 喚 起 につながらない 恐 れがある そこで 商 品 券 と したのである しかし 一 元 化 するだけでは 消 費 されないのではないかという 問 題 がある 汎 用 性 が 高 く なることにより 現 金 同 様 万 一 の 備 えとしてタンス 預 金 という 形 で 貯 蓄 する 人 々も 出 てく るだろう この 問 題 を 解 決 するために 有 効 期 限 を 設 定 し かつ 試 用 期 間 を 短 期 間 に 限 定 す るのである 特 に 家 計 の 出 費 が 増 える 時 期 を 狙 い 試 用 期 間 を 限 定 する こうすることで 貯 蓄 以 上 に 消 費 に 使 われるだろう 我 々が 想 定 している 試 用 期 間 は 年 末 年 始 の 時 期 12 月 ~1 月 である 下 記 のグラフが 示 しているのは 実 質 民 間 最 終 消 費 支 出 と 季 節 調 整 の 民 間 最 終 消 費 支 出 の 差 である 2000 年 第 1 四 半 期 から 2008 年 第 4 四 半 期 までの GDP の 実 質 原 系 列 から 実 質 季 節 変 動 原 系 列 を 差 し 引 いた 結 果 民 間 最 終 消 費 支 出 は グラフからも 見 て 取 れ るように すべての 年 で 第 4 四 半 期 が 圧 倒 的 にプラスになっている この 時 期 はお 歳 暮 やク リスマス 年 末 商 戦 が 行 われるため 消 費 が 増 える つまり 消 費 喚 起 を 促 すためには 第 4 四 半 期 が 最 も 適 していると 結 論 付 けられる 19

麻 生 政 権 が 実 施 した 景 気 刺 激 策 である 家 電 エコポイントやエコカー 制 度 と 我 々の 政 策 案 との 違 いは 有 効 期 限 が 短 期 に 設 定 されている 点 と 生 活 必 需 品 の 購 入 が 可 能 となる 点 であ る 特 に 小 売 店 やレジャーのために 使 用 されることとなれば 経 済 への 波 及 効 果 はより 広 がることとなり 各 方 面 での 消 費 の 取 りこぼしを 抑 えることができるだろう 一 元 化 についての 問 題 点 は 前 払 式 証 票 ポイント マイレージのそれぞれにある 前 払 式 証 票 についての 問 題 点 と その 解 決 策 を 挙 げ 次 にポイント マイレージのそれについて 説 明 する 第 2 節 前 払 式 証 票 のケース まず 前 払 式 証 票 について 説 明 する 下 記 の 図 は 我 々の 政 策 提 言 を 簡 潔 に 表 したもので ある ここで 注 意 していただきたい 点 は 商 品 券 を 持 つものを 消 費 者 として 一 元 化 して いる 点 である 商 品 券 は 贈 答 用 として 購 入 される 場 合 が 多 いため 消 費 者 の 持 つ 商 品 券 は 自 ら 望 んだものではないことがある ここでは より 簡 単 に 説 明 するため 消 費 者 として 図 に 示 している 企 業 A が 消 費 者 の 現 金 と 引 き 換 えに 商 品 券 を 発 行 する(1) その 商 品 券 は 企 業 B では 使 えないため これを 政 府 消 費 券 と 交 換 する(2) 交 換 した 政 府 消 費 券 を 使 用 し 企 業 B で 商 品 を 購 入 する(3) 企 業 B は 政 府 消 費 券 を 現 金 と 交 換 する(4) 20

企 業 A は 商 品 券 の 発 行 とともに 現 金 収 入 があるが 企 業 B は 政 府 消 費 券 と 製 品 の 購 入 に 伴 う 現 金 が 収 入 となる しかし 政 府 消 費 券 は 現 金 収 入 とならないため 黒 字 倒 産 といった 事 態 も 考 えられなくはない そこで 企 業 B の 持 つ 政 府 消 費 券 を 現 金 へと 振 り 返 ることができ るように 政 府 が 引 当 金 を 作 る 必 要 がある 引 当 金 として 必 要 な 額 は 最 大 で 2 兆 51 億 円 である これは 前 払 式 証 票 の 未 使 用 残 高 と 同 額 分 である また 政 策 を 実 施 したところで この 制 度 を 利 用 しない 消 費 者 もいると 予 測 されるため 実 際 には 未 使 用 残 高 以 下 の 金 額 で 足 りるであろう 問 題 は 図 の 赤 の 矢 印 で 示 した 流 れ(5)である 政 府 が(2)の 段 階 で 振 り 替 えた 商 品 券 を 企 業 A との 間 で 現 金 化 できるのかということだ ここで 現 金 化 できれば 政 府 の 負 担 は 大 幅 に 軽 減 される 政 策 実 施 に 伴 う 諸 費 用 はかかるが 大 規 模 な 財 政 出 動 は 免 れるだろう 仮 に 企 業 A と 政 府 間 で 現 金 化 できなかったとしても この 政 策 にかかる 引 当 金 は 十 分 に 確 保 できるものと 我 々は 考 えている この 引 当 金 に 充 てる 財 源 として 特 別 会 計 の 埋 蔵 金 を 使 用 することで 解 決 が 図 れるであろう 高 橋 洋 一 氏 の 著 書 では 霞 が 関 には 約 50 兆 円 も の 埋 蔵 金 が 存 在 すると 指 摘 されている 我 々の 政 策 実 施 に 伴 う 引 当 金 は 前 払 式 証 票 とポイ ント マイレージを 合 わせて 約 2.5 兆 円 であり この 埋 蔵 金 のうちの 約 5%に 相 当 するが 決 して 捻 出 できない 額 ではない 第 3 節 ポイント マイレージのケース 次 にポイント マイレージの 問 題 点 について 説 明 する ポイント マイレージの 実 際 の 発 行 額 は 推 定 できないため 野 村 総 合 研 究 所 も ポイント マイレージの 年 間 最 小 規 模 発 行 予 測 としてデータを 発 表 している ポイント マイレージの 問 題 点 もいくつかある まず 前 払 式 証 票 と 同 様 引 当 金 が 必 要 になることだ ポイント マイレージを 政 府 消 費 券 と 交 換 する 場 合 を 図 で 示 すと 下 記 のようになる 21

消 費 者 の 支 払 いに 応 じて 企 業 A がポイントを 発 行 する(1) 企 業 A が 発 行 したポイン トは 企 業 B で 使 用 できないため このポイントを 政 府 消 費 券 へと 交 換 する(2) 交 換 し た 政 府 消 費 券 を 使 用 し 消 費 者 が 企 業 B で 商 品 を 買 う(3) そして 企 業 B がその 政 府 消 費 券 を 現 金 と 交 換 するという 仕 組 みである(4) ポイント マイレージを 交 換 できるよう にするための 引 当 金 として 最 大 約 4 千 億 円 が 必 要 となる ポイント マイレージは 政 府 が 一 括 して 保 有 していても 資 産 にならず それを 使 うこともできない つまり 政 府 の 財 政 出 動 となる しかし この 4 千 億 円 についても 前 払 式 証 票 の 場 合 と 同 様 に 埋 蔵 金 を 財 源 と することで 捻 出 できると 考 えている 全 国 一 斉 の 大 規 模 な 消 費 喚 起 を 行 うのであれば 全 国 共 通 百 貨 店 共 通 券 や 大 手 企 業 のポイ ント 航 空 マイレージだけでなく 全 国 に 流 通 している 証 票 やポイントも 対 象 とするべきで ある 課 題 となるのは 交 換 可 能 かを 判 定 する 明 確 な 基 準 の 取 り 決 め 政 府 が 指 定 する 期 間 までに 各 種 ポイントを 交 換 し 終 えるよう 早 くから 制 度 の 概 要 を 告 知 する 必 要 がある 点 であ る ポイント マイレージについては 大 手 企 業 だけでなく 中 小 企 業 や 個 人 経 営 店 など そ の 種 類 と 発 行 額 が 多 岐 に 渡 るので 詳 細 なデータを 入 手 することが 困 難 である そのため どの 種 のポイント マイレージを 交 換 可 能 なものにするか その 線 引 きが 難 しく はっきり とした 基 準 を 定 めるには 議 論 の 余 地 がある しかし 我 々は 国 民 にも 分 かりやすい 基 準 と して 市 場 での 取 引 額 の 大 きい 航 空 会 社 や 携 帯 電 話 会 社 家 電 量 販 店 など 東 証 一 部 上 場 企 業 を 中 心 とした 大 手 企 業 のポイント マイレージを 交 換 可 能 なものとして 定 めることを 提 案 する 22

第 4 節 政 策 実 施 に 伴 う 諸 問 題 我 々は 航 空 会 社 や 家 電 量 販 店 など 大 規 模 なポイント システムを 採 用 している 企 業 に 対 して 危 惧 していることがある それは 発 行 したポイントをその 会 社 で 使 われないことが 企 業 消 費 者 間 で 確 認 できた 場 合 非 常 に 高 いポイントを 還 元 する 可 能 性 があることだ 還 元 率 100%でポイントを 発 行 しても 実 際 にその 企 業 でポイントを 使 われなければ 売 り 上 げ に 影 響 はない 競 争 の 激 しい 家 電 小 売 業 界 では 還 元 率 が 100%を 超 える 可 能 性 もある ど の 企 業 も ポイントが 自 社 で 使 われない 限 りはポイント 発 行 を 抑 える 必 要 がない 顧 客 獲 得 のために ポイント 還 元 率 が 天 文 学 的 な 数 字 となってしまう 可 能 性 も 否 めないのである そ して 大 量 に 発 行 されたポイントを 最 終 的 に 現 金 化 するのは 政 府 である ポイント 還 元 率 を ある 程 度 規 制 しなければ 予 想 以 上 の 引 当 金 つまりは 政 府 の 支 出 が 必 要 となる 我 々は 大 規 模 な 財 政 出 動 なしに 消 費 を 活 性 化 させることを 目 的 としているため ポイント 還 元 率 が 異 様 に 高 くなってしまう 事 態 を 容 認 してしまうと 最 終 的 に 大 規 模 な 財 政 出 動 となってしま う 加 えて とてつもないポイントを 現 金 化 しなくてはならない 恐 れもある そのため ポ イント 還 元 率 について 最 大 で 20~25% 程 度 までとするなど 法 的 な 面 からの 整 備 が 重 要 と なってくる 企 業 のマーケティング 戦 略 であるポイント システムに 国 が 関 与 してしまうこ ととなるが これは 我 々の 政 策 に 必 要 不 可 欠 なことであり 受 け 入 れてもらわなければならな い もちろん 国 の 関 与 が 続 くわけではない 還 元 率 を 規 制 するのは ポイント マイレー ジの 交 換 制 度 を 告 知 した 時 点 から 交 換 期 間 終 了 時 までの 期 間 である 告 知 から 交 換 受 付 期 間 がどのくらいのものとなるか 断 言 することはできないが おそらく 半 年 から 一 年 程 度 だろう 国 民 への 告 知 は 3 月 ~4 月 の 卒 業 入 学 入 社 シーズン 前 にし ておくことが 望 ましい というのも 3 月 ~4 月 も 消 費 が 増 える 時 期 だと 考 えられ 家 電 量 販 店 などで 買 い 物 をする 消 費 者 も 少 なくないと 思 われるからだ 1 月 ~2 月 に 全 面 的 な 告 知 をし 8 月 末 まで 対 象 ポイント マイレージの 交 換 を 受 け 付 ける 11 月 末 には 全 ての 交 換 希 望 者 の 手 に 行 き 渡 り 12 月 に 入 ると 同 時 に 使 用 可 能 とするのが 我 々の 描 いているシナリ オである エコポイントの 交 換 におよそ 2 カ 月 ~3 カ 月 かかることから 今 回 の 政 策 でも 同 程 度 か おそらくそれ 以 上 かかると 推 測 した そこから 逆 算 し 交 換 受 付 期 間 を 8 月 末 まで とした その 場 合 交 換 受 付 期 間 終 了 の 直 前 までポイントを 貯 める 消 費 者 も 予 想 される 早 期 に 交 換 申 請 をした 消 費 者 に 対 しては 何 パーセントか 上 乗 せし 還 元 するなど 交 換 受 付 が 短 期 間 に 集 中 しないように 制 度 を 整 えなければならない ここまで 予 想 される 問 題 点 とその 解 決 策 について 考 察 してきた 以 上 のように 政 策 に 伴 う 問 題 も 見 られるがそれぞれに 解 決 策 があり 決 して 実 現 不 可 能 な 政 策 ではないと 言 え る 次 章 において 我 々の 政 策 提 言 を 示 す 23

第 5 章 政 策 提 言 第 1 節 政 府 消 費 券 への 振 り 替 え 各 企 業 や 協 会 の 発 行 する 前 払 式 証 票 やポイント マイレージを 政 府 が 一 元 化 し 汎 用 性 を 高 める 法 整 備 とシステムの 構 築 をすすめるべきである 前 払 式 証 票 やポイント マイレージ をより 使 いやすい 形 にすることで 消 費 の 活 性 化 に 結 びつけるのだ ポイント システムは 企 業 の 戦 略 であることから 提 携 している 企 業 間 で 使 用 できるが そこに 消 費 者 が 要 求 す る 商 品 やサービスがなければ 使 われない 政 府 主 導 により これを 家 計 が 使 用 しやすい 形 に 一 元 化 することができれば 消 費 をより 活 性 化 させることができると 我 々は 考 えている つまり 家 計 が 使 用 していない 前 払 式 証 票 や 満 点 に 満 たないポイント マイレージを 政 府 が 回 収 する それと 引 き 替 えに 同 額 分 の 有 効 期 限 付 きの 商 品 券 や 電 子 マネーを 発 行 し 消 費 を 促 す すなわち 必 要 ない 前 払 式 証 票 を 消 費 者 の 欲 する 形 即 日 使 用 が 可 能 なものに 振 り 替 えることや 満 点 に 満 たないポイント マイレージを 割 引 いて 回 収 し 現 金 と 同 等 の 価 値 を 有 する 政 府 消 費 券 に 振 り 替 えるのだ 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 の 前 払 式 の 支 払 手 段 の 利 用 者 実 態 調 査 によれば 前 払 式 の 支 払 手 段 として 利 用 されている 媒 体 は 紙 式 の 商 品 券 (36%) IC プリペイドカード (32%) 磁 気 カード(27%) サーバ 管 理 型 (6%)と IT 社 会 である 現 代 にもかかわらず 紙 媒 体 の 商 品 券 が 好 まれていることが 伺 える また 家 電 エコポイントの 交 換 実 績 からも 流 通 系 商 品 券 やクレジット 系 商 品 券 が 好 まれる 傾 向 にあるため 紙 媒 体 の 商 品 券 に 振 り 替 える ことが 好 ましい しかし ただ 一 元 化 するのみでは 使 用 されない 可 能 性 がある 一 元 化 により 汎 用 性 が 高 くなれば 現 金 と 同 様 に 万 一 の 備 えとして 貯 蓄 に 回 そうとする 人 々も 出 てくるだろう す なわち 予 備 的 貯 蓄 仮 説 に 基 づき 家 計 が 行 動 することが 考 えられる また 政 府 消 費 券 もま た 商 品 券 と 同 様 に 使 用 されずに 眠 ってしまう 可 能 性 も 否 定 できない そこで この 問 題 を 解 決 するために 有 効 期 限 を 設 け 使 用 期 間 を 短 期 間 に 限 定 する 家 計 の 支 出 が 増 える 時 期 を 集 中 的 に 狙 い 使 用 期 間 を 限 定 することで 貯 蓄 以 上 に 消 費 に 回 される だろう 例 えば お 歳 暮 やクリスマス 年 末 商 戦 により 家 計 の 出 費 がかさむ 12 月 から 翌 年 1 月 の 約 2 ヶ 月 に 限 定 することで 消 費 の 下 支 え 活 性 化 につながり ポイント 一 元 化 の 効 果 がより 大 きくなるだろう 有 効 期 限 があるものの 現 金 と 同 じく 使 用 することができれ ば 結 果 的 に 消 費 を 促 進 させることが 可 能 ではないだろうか また 企 業 にとっては 第 4 四 半 期 決 算 を 控 えるに 当 たり ポイント マイレージが 使 用 されることで 費 用 を 減 少 させることができるだけでなく 在 庫 の 一 掃 にもつながる 将 来 の 需 要 を 取 り 崩 しているに 過 ぎないとの 指 摘 もあるかもしれないが 有 効 期 限 を 設 け 対 象 期 間 を 短 期 的 かつ 集 中 的 に 行 うことや 耐 久 消 費 財 だけでなく 生 活 必 需 品 の 購 入 が 可 能 である という 点 で 09 年 度 に 施 行 された 政 府 の 景 気 刺 激 策 である 家 電 エコポイントやエコカー 制 度 とは 大 きく 異 なる 特 に 小 売 店 やレジャーのために 使 用 されることができれば より 経 済 24

への 波 及 効 果 は 広 く 各 方 面 で 消 費 の 取 りこぼしを 抑 えることができるのではないだろう か さらに 政 府 消 費 券 を 発 行 するにあたり 政 府 は 引 当 金 のための 基 金 を 設 ける 必 要 がある この 点 については 産 業 連 関 表 による 分 析 結 果 からも 見 て 取 れるように 前 払 式 証 票 とポイ ント マイレージの 未 使 用 残 高 の 総 計 約 4 兆 円 を 政 府 消 費 券 に 振 り 替 えた 場 合 と それと 同 額 の 財 政 出 動 を 行 った 場 合 とを 比 べたところ 政 府 消 費 券 による 経 済 全 体 への 波 及 効 果 の 方 がより 大 きい このことから 現 在 民 主 党 政 権 が 推 し 進 める 子 供 手 当 て や 公 立 高 校 の 実 質 無 償 化 といった 政 策 のために 大 規 模 な 財 政 出 動 を 実 施 するより 経 済 全 体 への 波 及 効 果 が 大 きく さらに 政 府 の 財 政 に 大 きな 負 担 をかけない 政 府 消 費 券 の 発 行 が 望 まし いのではないだろうか 仮 にこの 政 策 が 実 行 されるならば どの 種 の 証 票 や 企 業 ポイントを 交 換 できるようにする か どこで 交 換 できるのか 何 と 交 換 できるのか といった 議 論 をすすめる 余 地 がある 前 払 式 証 票 やポイント マイレージの 未 使 用 分 を 大 幅 に 取 り 崩 し 全 国 一 斉 に 大 規 模 な 消 費 喚 起 を 行 うのであれば 全 国 百 貨 店 共 通 券 や 大 手 企 業 のポイント 航 空 マイレージだけでなく 全 国 に 流 通 している 多 数 の 証 票 やポイントも 対 象 とすべきである その 際 交 換 可 能 か 判 定 する 明 確 な 基 準 を 取 り 決 める 必 要 があることや 政 府 が 指 定 する 使 用 期 間 までに 各 種 ポイン トの 交 換 をし 終 える 必 要 があるため 早 くから 制 度 の 概 要 を 国 民 に 告 知 する 必 要 があるなど の 課 題 も 含 まれる このように 政 策 実 行 における 課 題 も 残 されているが 政 府 は もともと 使 用 されずに 眠 っていた 家 計 の 資 産 を 使 用 されやすい 形 に 振 り 替 えたにすぎない マクロ 経 済 政 策 による 大 規 模 な 財 政 支 出 を 伴 わずに 消 費 を 喚 起 させることができると 考 えている さらに 前 払 式 証 票 やポイント マイレージの 振 り 替 えに 伴 う 引 当 金 の 基 金 設 立 について は 財 源 の 確 保 が 問 題 となるが 特 別 会 計 の 埋 蔵 金 を 当 てることで 解 決 するのではない だろうか 高 橋 洋 一 氏 の 著 書 によれば 霞 ヶ 関 には 約 50 兆 円 の 埋 蔵 金 が 眠 っていると 指 摘 されている 仮 に 前 払 式 証 票 とポイント マイレージの 未 使 用 額 と 同 額 の 引 当 金 を 準 備 した としても 総 額 で 約 2 兆 4 千 億 円 を 取 り 崩 すにすぎない 実 際 のところ 引 当 金 は 同 等 の 額 を 準 備 する 必 要 はない 基 金 を 立 ち 上 げるために 必 要 な 額 は 子 供 手 当 て や 公 立 高 校 の 実 質 無 償 化 に 必 要 な 額 に 比 べ わずかな 財 政 支 出 にとどまるであろう 少 ない 支 出 で 大 きな 経 済 効 果 が 期 待 できるのではないだろうか 以 上 のことから 政 府 が 主 導 となり 前 払 式 証 票 やポイント マイレージの 未 使 用 分 を 家 計 がより 使 用 されやすい 形 すなわち 政 府 消 費 券 に 振 り 替 えると 同 時 に 使 用 可 能 な 期 間 を 特 定 の 期 間 に 限 定 し 全 国 一 斉 に 消 費 を 喚 起 する 政 策 を 求 める 以 上 が 我 々の 政 策 提 言 である 25

先 行 論 文 参 考 文 献 データ 出 典 先 行 論 文 小 西 英 行 (2005) ポイント 経 済 と 関 係 性 マーケティング 安 岡 寛 道 (2007) 企 業 通 貨 におけるポイント マイレージの 現 状 と 将 来 性 参 考 文 献 野 村 総 合 研 究 所 企 業 通 貨 プロジェクトチーム(2008) 企 業 通 貨 マーケティング 次 世 代 ポ イント 電 子 マネー 活 用 のすすめ ニッスイ(2009) 電 子 マネーとポイントサービスがもたらす 新 しいサービスの 形 態 日 本 経 済 新 聞 (2009 年 07 月 30 日 朝 刊 ) 土 居 英 二 / 浅 利 一 郎 / 中 野 親 徳 ( 日 本 評 論 社 1996) はじめよう 地 域 産 業 連 関 分 析 高 橋 洋 一 ( 光 文 社 2008) この 金 融 政 策 が 日 本 経 済 を 救 う データ 出 典 野 村 総 合 研 究 所 (2008) ポイント マイレージ 最 新 動 向 - 法 制 度 と 不 況 が 促 進 させる 構 造 変 化 - 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 前 払 式 証 票 の 発 行 額 等 の 推 移 経 済 産 業 省 (2008)グリーン 家 電 エコポイント 事 務 局 エコポイントの 活 用 によるグリー ン 家 電 普 及 促 進 事 業 の 実 施 状 況 等 について 総 務 省 統 計 局 平 成 17 年 (2005 年 ) 国 勢 調 査 総 務 省 統 計 局 平 成 17 年 産 業 連 関 表 (190 部 門 別 ) 内 閣 府 国 民 経 済 計 算 (SNA) 国 内 総 生 産 (GDP) 実 質 原 系 列 実 質 季 節 調 整 原 系 列 26