個 人 自 営 業 者 の 節 税 行 動 に 関 する 実 証 分 析 1 八 塩 裕 之 ( 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 ) 2 所 得 税 は 労 働 供 給 や 貯 蓄 などにはあまり 影 響 を 与 えない 一 方 で 節 税 行 動 には 大 きな 影 響 を 与 えることが 指 摘 されてきた 欧 米 では 多 くの 研 究 によって その 実 態 が 明 らかにさ れつつある( 例 えば Enis and Ke(2003) Gordon and Slemrod(2000) Lang et al.(1997) など) 節 税 行 動 がもたらす 問 題 は それが 所 得 税 による 死 加 重 を 増 大 させ(Feldstein (1999)) またそれが 富 裕 階 層 によってなされる 場 合 には 税 の 所 得 再 分 配 機 能 が 損 なわ れることである(Kopczuk(2001)) そのためその 存 在 は 所 得 税 政 策 に 大 きな 影 響 を 与 え る 可 能 性 があり その 実 態 分 析 の 重 要 性 が 高 まっている しかし 日 本 では 分 析 に 使 用 できる 適 切 なデータが 少 なく これまでその 実 態 はほとんど 分 析 されてこなかった 本 稿 では 節 税 がより 容 易 と 考 えられる 個 人 自 営 業 者 に 注 目 し 限 られたデータの 中 で その 一 端 を 明 らかにすることを 目 的 とする 3 そしてそれが 所 得 税 政 策 に 与 える 影 響 について 考 察 する 日 本 で 自 営 業 者 の 節 税 の 問 題 を 扱 った 数 少 ない 研 究 に 田 近 八 塩 (2005)がある そこ では 自 営 業 者 が 事 業 形 態 を 個 人 から 法 人 に 転 換 して 所 得 税 を 節 税 している(いわゆる 法 人 成 り )ことが 示 された しかし 法 人 成 りには 税 以 外 のコストも 伴 うため 4 日 本 ではい ぜん 多 くの 自 営 業 者 が 法 人 にならず 個 人 形 態 のまま 事 業 をおこなっている 本 稿 ではそう した 自 営 業 者 の 有 力 な 節 税 手 段 のひとつと 考 えられる 事 業 主 から 家 族 への 所 得 分 散 (イ ンカム シフティング) 行 動 について 分 析 する 5 日 本 では 青 色 申 告 を 選 択 した 個 人 形 態 の 自 営 業 者 ( 以 下 単 に 自 営 業 者 もしくは 青 色 申 告 者 などとよぶ)は 事 業 に 従 事 する 家 族 従 業 員 ( 専 従 者 )に 対 し 専 従 者 給 与 を 与 えるこ とができる 例 えば 2002 年 の 税 務 統 計 によると 専 従 者 一 人 あたり 給 与 額 は 平 均 221 万 円 である 専 従 者 や 専 従 者 給 与 額 は 事 前 に 税 務 署 に 届 け 出 なければならず また 専 従 者 に できる 家 族 は 同 居 親 族 に 限 られ その 給 与 額 も 労 務 対 価 相 当 である 必 要 がある それでも 自 営 業 者 としては 税 務 署 に 否 認 されない 範 囲 で 給 与 額 を 高 めに 設 定 し できるだけ 多 くの 所 得 を 家 族 に 分 配 すればそれだけ 世 帯 全 体 における 税 負 担 を 軽 減 できる 特 に 事 業 主 と 専 従 者 が 直 面 する 所 得 税 住 民 税 の 限 界 税 率 差 が 大 きい 場 合 には そのメリットは 大 きくな る 本 稿 では 1970 年 から 2002 年 までの 税 務 統 計 から 見 た 申 告 所 得 税 の 実 態 ( 国 税 庁 ) 1 本 稿 の 内 容 は 全 て 著 者 個 人 の 見 解 であり 著 者 が 属 する 機 関 の 見 解 を 示 すものではない 2 連 絡 先 hiroyuki.yashio@mof.go.jp 3 欧 米 では 個 人 自 営 業 者 による 節 税 行 動 の 分 析 もさかんになされている それによると 自 営 業 者 は 法 人 個 人 の 事 業 形 態 選 択 (Plesko(1999))や 資 金 借 入 れの 操 作 (Ayers et al. (2001))などを 通 して 節 税 をしているとされ また 所 得 税 の 限 界 税 率 変 化 に 対 する 課 税 所 得 の 弾 力 性 も 雇 用 者 に 比 べて 大 きい(Sillamaa and Veall(2001)) 4 法 人 成 りには 登 録 免 許 税 などの 費 用 ( 少 なくとも 20~30 万 円 )や 税 理 士 に 税 務 を 依 頼 するための 費 用 などが 必 要 である 5 家 族 への 所 得 分 散 による 節 税 は Stephens Jr. and Ward-Batts(2004)が 分 析 している
を 用 いた 計 量 分 析 によって 限 界 税 率 差 の 変 化 がそうした 節 税 行 動 に 大 きな 影 響 を 与 えて きたと 考 えられることを 示 す ここでいう 限 界 税 率 差 は 単 に 所 得 税 住 民 税 の 限 界 税 率 表 で 決 まるのではなく 税 制 のさまざまな 要 因 によって 決 定 されることに 注 意 が 必 要 である たとえば 専 従 者 給 与 には 給 与 所 得 控 除 が 適 用 されるが その 控 除 率 によって 給 与 が1 円 増 加 してもそれが 全 額 課 税 所 得 とはならず 実 質 的 に 控 除 は 専 従 者 給 与 の 限 界 税 率 を 下 げる 効 果 がある ほか の 要 素 としては 事 業 主 の 所 得 に 課 税 される 個 人 事 業 税 や 近 年 の 所 得 税 住 民 税 の 定 率 減 税 などがある 本 稿 では 限 界 税 率 表 だけでなく こうした 税 制 のさまざまな 要 因 によって 決 定 される 事 業 主 と 専 従 者 の 限 界 税 率 差 の 変 化 が 専 従 者 給 与 を 利 用 した 節 税 行 動 にどの ような 影 響 を 与 えたかについて 分 析 する ( 分 析 の 結 果 は 当 日 報 告 する) 参 考 文 献 田 近 栄 治 八 塩 裕 之 税 制 と 事 業 形 態 選 択 - 日 本 のケース- 日 本 財 政 学 会 叢 書 財 政 研 究,forthcoming Ayres,B., Cloyd,B. and Robinson,J., ``The Influence of Income Taxes on the Use of Inside and Outside Debt by Small Businesses," National Tax Journal 54(1),2001, 27-54. Enis,C. and Ke. B., ``The Impact of the 1986 Tax Reform Act on Income Shifting from Corporate to Shareholder Tax Bases: Evidence from the Motor Carrier Industry," Journal of Accounting Research 41(1), 2003. 65-88. Feldstein,M., 1999. ``Tax Avoidance and the Deadweight Loss of the Income Tax, The Review of Economics and Statistics 81(4), 674-680. Gordon,R. and Slemrod,J., ``Are ``Real" Responses to Taxes Simply Income Shifting between Corporate and Personal Tax Bases?," In Does Atlas Shrug?: The Economic Consequences of Taxing the Rich, edited by Slemrod,J., Cambridge, Mass. and London, :Harvard University Press, 2000, 240-280. Kopczuk,W., 2001. ``Redistribution when Avoidance Behavior is Heterogeneous," Journal of Public Economics 81, 51-71. Plesko,G., ``The Role of Taxes in Organizational Choice: S Conversions after the Tax Reform Act of 1986," working paper.mit, Boston,MA., 1999. Sillamaa,M. and Veall,R., 2001. ``The Effect of Marginal Tax Rates on Taxable Income: A Panel Study of the 1988 Tax Flattening in Canada, Journal of Public Economics 80, 341-356 Stephens,M. and Ward-Batts,J., ``The Impact of Separate Taxation on the Intra-Household Allocation of Assets: Evidence from the UK," Journal of Public Economics 88, 1989-2007, 2004.
( 仮 )わが 国 の 税 制 と 会 社 の 組 織 形 態 への 影 響 - 会 社 形 態 別 の 資 本 コストの 計 測 - 本 報 告 の 目 的 関 西 学 院 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 博 士 課 程 後 期 課 程 林 田 吉 恵 1 中 立 性 の 原 則 は 法 人 課 税 によって 企 業 活 動 が 影 響 されないことを 求 めている しかし 法 人 税 が 投 資 活 動 に 影 響 を 及 ぼすことはよく 知 られており これまでにも 多 くの 研 究 が 資 本 コストの 計 測 を 通 じて 法 人 税 が 投 資 に 影 響 することを 示 唆 してきた しかし 法 人 の 規 模 や 組 織 形 態 によって 適 用 される 税 制 は 異 なっており 資 本 コストの 格 差 が 投 資 活 動 の みならず 規 模 や 組 織 形 態 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある この 点 に 関 しては アメリカの 研 究 でも 検 証 されている 2 本 報 告 の 目 的 は 第 1に 中 小 法 人 と 大 法 人 の 税 制 上 の 相 違 を 明 示 的 に 組 み 込 んだ 法 人 税 負 担 の 計 測 モデルを 構 築 すること 第 2に そのモデルにしたがって 法 人 組 織 形 態 や 法 人 規 模 の 相 違 によって 資 本 コストに 差 が 存 在 するかを 検 証 すること 第 3に 資 本 コス ト 格 差 が 組 織 形 態 に 影 響 するのかを 検 証 することである 本 報 告 における 資 本 コストの 考 え 方 資 本 コストの 理 論 は 投 資 の 調 整 費 用 を 考 慮 する 考 え 方 と 限 界 概 念 で 税 制 と 投 資 行 動 を 分 析 する 考 え 方 がある 本 報 告 では 後 者 の 考 え 方 で 税 制 が 資 本 コストに 与 える 影 響 を 投 資 の 収 益 率 と 貯 蓄 の 収 益 率 との 間 の tax wedge を 直 接 見 積 ることで 検 証 しようとする King=Fullerton 3 に 則 ったものである 税 がないとき 貯 蓄 家 は 会 社 の 投 資 に 資 金 を 提 供 するとしたら それ は 会 社 の 投 資 に 対 して 得 られた 収 益 と 同 等 の 収 益 率 を 稼 ぐ しかし 税 を 伴 う 場 合 は この 投 資 と 貯 蓄 の 収 益 率 は 異 なる この 投 資 と 貯 蓄 の 収 益 率 の 差 である Tax wedgeの 大 きさは 法 人 税 制 税 制 とインフレの 相 互 作 用 減 価 償 却 と 棚 卸 資 産 の 税 優 遇 個 人 税 法 所 得 ( 例 えばキャピタルゲイン 対 配 当 )の 異 なる 法 定 形 態 の 優 遇 富 裕 税 の 存 在 とその 他 の 事 情 に 依 存 する その 結 果 投 資 に 対 する 実 効 税 率 は 産 業 の 所 在 地 がどこにあるか どのよう な 資 産 を 購 入 するのか 投 資 の 資 金 調 達 のやり 方 投 資 の 資 金 源 を 調 達 する 投 資 家 はどう いう 人 物 であるかということに 依 存 する このような 要 素 を 考 慮 し King=Fullerton では 税 制 によって 提 供 される 資 本 コストを 推 計 する 1 E-mail ecms1009@kwansei.ac.jp 2 Goolsbee(1998)(2004),Gordon,MacKie-Mason(1994) 3 King, Mervyn A. Don Fullerton(1984)
本 報 告 では この 個 人 法 人 の 資 本 所 得 税 制 を 考 慮 にいれた King=Fullerton の 資 本 コ ストに 関 する 理 論 的 フレームワークに 依 拠 し そこにより 日 本 的 な 税 制 を 取 り 込 み 日 本 型 モデルを 構 築 する これまで 日 本 においても 限 界 実 効 税 率 の 測 定 はされているが 会 社 形 態 の 違 いはほとんど 考 慮 されていなかった しかし 中 小 法 人 大 法 人 では 法 人 税 率 ( 償 却 資 産 の) 固 定 資 産 税 交 際 費 の 課 税 ベース 算 入 金 額 留 保 金 課 税 などのさまざまな 税 制 上 の 違 いがあり 資 本 コストのモデルは 違 ってくる そしてこのようなモデルの 違 い が 実 際 に 中 小 法 人 大 法 人 の 資 本 コストに 差 が 存 在 するのか 会 社 の 組 織 形 態 にどのよ うに 影 響 を 及 ぼしているのかを 検 証 する 詳 細 な 資 本 コストのモデル 推 計 結 果 は 当 日 配 布 させていただきます 主 要 参 考 文 献 Goolsbee, Austan(1998), Taxes, organizational form and the deadweight loss of the corporate income tax, Journal of Public Economics,vol.69:pp.143-152 Goolsbee, Austan(2004) The impact of the corporate income tax: evidence form state organizational form data Journal of Public Economics,vol.88:pp.2283-2299 Gordon, Roger H. Jeffrey K. MacKie-Mason(1994) Tax distortions to the choice of organization form Journal of Public Economics,vol.55:pp.279-306 林 宜 嗣 (1995) 法 人 所 得 税 と 企 業 投 資 総 合 税 制 研 究 No.3 pp.183-199 King, Mervyn A. Don Fullerton(1984)The Taxation of Income from Capital; A Comparative Study of the United States, The United Kingdom, Sweden, and West Germany, The University of Chicago Press pp.7-30 高 馬 裕 子 (1998) 法 人 税 改 革 と 限 界 実 効 税 率 の 計 測 関 西 学 院 大 学 経 済 学 研 究 第 28 号 pp.155-168 Shoven, John B. Toshiaki Tachibanaki(1988) Taxation of income from capital in Japan J. B. Shoven, ed., Government policy towards industry in the United states and Japan, Cambridge University Press pp.51-96 田 近 栄 治 油 井 雄 二 (2000) 日 本 の 企 業 課 税 - 中 立 性 の 視 点 による 分 析 - 東 洋 経 済 新 報 社
関 西 学 院 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 博 士 課 程 後 期 課 程 林 智 子 E-mail tomoko-hayashi@tim.hi-ho.ne.jp わが 国 の 滞 納 の 実 態 と 税 務 行 政 租 税 制 度 における 公 平 性 は 正 確 な 税 額 が 国 庫 に 収 納 されてはじめて 達 成 される そのためには 滞 納 や 租 税 回 避 である 脱 税 はなされるべきではない しかし 実 際 に は 滞 納 や 脱 税 等 が 発 生 しており そのために 日 本 の 税 務 行 政 では 滞 納 については 滞 納 の 圧 縮 は 税 務 行 政 の 最 重 要 課 題 として 滞 納 整 理 に 努 力 している ところが 滞 納 整 理 が 租 税 制 度 の 公 平 性 を 支 えるのに 大 変 重 要 であるにもかかわらず わが 国 では 租 税 制 度 についての 研 究 は 数 多 くなされているが 税 務 行 政 における 滞 納 整 理 につい ては データに 基 づいた 詳 細 な 研 究 が 数 少 ないのが 現 状 である そこで 本 報 告 において わが 国 の 税 務 行 政 における 滞 納 整 理 について 以 下 のこと を 検 証 してみる まず 滞 納 がどの 程 度 存 在 するのか 滞 納 の 実 態 を 把 握 する 次 いで 滞 納 整 理 にどれくらいのをコストかけているのか 滞 納 整 理 にかけているコストを 主 要 税 目 別 に 計 測 したうえで 滞 納 税 額 がどの 程 度 回 収 されているのかを 推 計 する そ して 税 目 別 にコストと 滞 納 整 理 との 関 係 について コストをかければ 滞 納 整 理 が 進 み 回 収 額 を 増 加 させ 税 収 を 増 やす 事 ができるのか それとも 滞 納 整 理 についてコ ストをかけずに 他 の 方 法 を 選 択 するべきであるのか 費 用 対 効 果 という 観 点 から 税 務 行 政 が 有 効 に 機 能 しているのかどうかを 検 証 してみる その 上 で 今 後 の 税 務 行 政 がよりコストを 投 入 して 滞 納 整 理 にあたり 税 収 額 を 増 加 させる 方 向 に 向 かうべきなの か あるいは 税 収 額 が 減 少 したとしても 徴 税 にかけるコストを 下 げる 方 が 税 務 行 政 として 有 効 なのかについて 考 察 することを 目 的 とする 2002 年 度 の 徴 税 コストは 全 体 で 701,095 百 万 円 であり その 内 滞 納 整 理 コストは 52,824 百 万 円 となった 税 目 別 に 比 較 すると 消 費 税 の 滞 納 整 理 コストが 最 も 高 く 2002 年 には 全 体 の 31% を 超 えている 結 果 になった 次 に 申 告 所 得 税 の 24% 源 泉 所 得 税 16% 法 人 税 15% の 金 額 となり 2002 年 の 滞 納 整 理 コストである 52,824 百 万 円 のうち 消 費 税 と 申 告 所 得 税 の 2 税 目 で 55% 超 を 使 用 していることになる また 消 費 税 徴 税 コストに 占 め る 滞 納 整 理 コスト 割 合 は 1989 年 から 2002 年 に 1.5%から 28.3%へと 増 加 しており それに 対 する 回 収 額 を 要 整 理 滞 納 税 額 に 占 める 処 理 済 滞 納 税 額 割 合 で 見 ると 1989 年 には 約 98%を 回 収 し その 後 回 収 分 が 減 少 しているが 2002 年 でも 約 50%と 高 い 回 収 率 を 示 していることがわかる このことから 消 費 税 においては 滞 納 整 理 にあた る 定 員 数 を 増 加 させ コストをかけて 回 収 を 進 めていると 言 えるだろう また 税 目 全 体 では 滞 納 整 理 コストが 増 加 すると 回 収 割 合 が 増 加 してくることから 滞 納 整 理 コストの 上 昇 は 税 目 全 体 の 滞 納 整 理 において 有 効 であるととらえることができる
これらのことについて 税 目 別 にコストと 滞 納 整 理 との 関 係 について 見 ると 法 人 税 については 滞 納 整 理 コストと 回 収 である 処 理 済 滞 納 税 額 が 比 例 の 関 係 になってい る 一 方 申 告 所 得 税 においては 滞 納 整 理 コストと 処 理 済 滞 納 税 額 との 間 に 明 確 な 相 関 は 見 られないという 結 論 になった また 税 務 行 政 が 滞 納 整 理 において 処 理 の 進 み にくい 申 告 所 得 税 に 定 員 増 加 がなく むしろ 定 員 を 減 少 させており 法 人 税 消 費 税 のように 滞 納 整 理 コストをかければ 滞 納 整 理 の 進 みやすいところに 定 員 増 加 がなされ コストをかける 傾 向 があることもわかった 滞 納 整 理 において わが 国 の 税 務 行 政 が 滞 納 整 理 コストを 増 加 し 滞 納 処 理 をすすめるという 方 法 に 効 果 が 見 られる 税 目 におい ては コストをかけ 効 果 がみられない 税 目 にはコストをかけないとしているのであ れば 費 用 対 効 果 の 観 点 から 有 効 であると 考 えられる また 一 方 で 申 告 所 得 税 のように 滞 納 発 生 割 合 が 最 も 高 く また 回 収 率 も 低 く 滞 納 残 高 の 累 積 が 問 題 で ある 税 目 については 消 費 税 と 同 程 度 の 高 いコストをかけると 仮 定 すれば 現 状 の 回 収 率 より 改 善 される 可 能 性 はあるが 滞 納 整 理 コストと 処 理 済 滞 納 税 額 との 間 に 明 確 な 相 関 も 見 られないことから 他 の 方 法 で 効 果 を 生 むということを 考 慮 する 必 要 があ るのではないかと 考 えられる 分 析 内 容 の 詳 細 な 結 果 につきましては 学 会 当 日 に 報 告 させて 頂 きます 主 要 参 考 文 献 Musgrave R.A. and Peggy B.Musgrave (1980) Public Finance In Theory And Practice. McGRAW-HILL INTERNATIONAL EDITIONS. Sandford, C.T.,M.R.Godwin and P.J.W.Hardwick,(1989) Administrative and Compliance costs of Taxation,Fiscal Publications, Sandford,C.T.,Godwin,M.R.,Hardwick,P.F.W.,and M.I.Butterworth,(1981) Cost and Benefits of VAT, Heineman Educational Books. B.Guy Peters,(1991)The Politics of Taxation Camridge,Mass. pp246-270. 伊 藤 忠 通 (1988) 付 加 価 値 税 の 納 税 協 力 費 租 税 研 究 第 465 号 46-51 頁 大 野 裕 之 芥 川 浩 一 (2003) 消 費 税 の 簡 素 性 : 税 務 執 行 費 用 の 計 測 と 他 税 との 比 較 東 洋 大 学 経 済 論 集 第 29 巻 1 号 1-14 頁 中 井 省 (1992) 数 字 で 見 る 我 が 国 税 務 行 政 の 現 状 金 融 ジャーナル 39-44 頁 税 務 大 学 校 研 究 部 編 (1996) 税 務 署 の 創 設 と 税 務 行 政 の 100 年 大 蔵 財 務 協 会 横 山 直 子 (1998) わが 国 における 所 得 税 納 税 システムの 問 題 点 徴 税 コ ストと 徴 税 行 政 の 公 平 性 関 西 学 院 経 済 学 研 究 第 29 号 233-257 頁 林 宏 昭 (1990) 各 国 の 税 務 行 政 費 と 納 税 協 力 費 租 税 研 究 483 号 47-57 頁 林 智 子 (2003) 徴 税 費 と 納 税 協 力 費 関 西 学 院 経 済 学 研 究 第 34 号 107-126 頁 林 智 子 (2004) わが 国 税 制 における 税 務 行 政 費 の 計 測 関 西 学 院 経 済 学 研 究 第 35 号 47-66 頁