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Transcription:

気 管 支 喘 息 おとなの 喘 息 管 理 と 最 新 治 療 信 州 大 学 医 学 部 保 健 学 科 生 体 情 報 検 査 学 講 座 藤 本 圭 作 喘 息 は 気 管 支 のアレルギーによる 炎 症 と 気 道 過 敏 性 および 発 作 的 な 気 管 支 の 狭 窄 により 特 徴 づけ られ 繰 り 返 す 発 作 性 の 咳 喘 鳴 (ヒューヒュー ゼーゼー)および 呼 吸 困 難 を 示 すアレルギー 性 疾 患 です 気 管 支 の 粘 膜 に 炎 症 が 起 きている(アレルギー 性 慢 性 気 道 炎 症 ) ちょっとした 刺 激 で 発 作 を 起 こす( 気 道 過 敏 性 ) 繰 り 返 す 発 作 性 の 咳 喘 鳴 および 呼 吸 困 難 個 体 因 子 遺 伝 的 素 因 アレルギー 体 質 気 管 支 喘 息 の 発 症 の 仕 組 み アレルゲン 発 病 因 子 ウイルス 性 呼 吸 器 感 染 症 環 境 因 子 など 大 気 汚 染 喫 煙 ストレス 過 労 など 喘 息 の 原 因 として 多 いアレルゲンい ハウスダスト ダニ カビ 気 管 支 が 過 敏 ( 気 道 過 敏 性 ) 気 管 支 に 慢 性 的 な 炎 症 喘 息 増 悪 因 子 アレルゲン 大 気 汚 染 呼 吸 器 感 染 症 喫 煙 運 動 月 経 アルコール 気 象 の 変 化 刺 激 物 質 ストレス 過 労 など 気 管 支 が 狭 くなる 喘 息 症 状 ( 咳 喘 鳴 呼 吸 困 難 ) 花 粉 ペット(イヌ ネコ ハムス ター モルモットなど)の 毛 フケ 昆 虫 ( 蛾 ゴキブリなど) GINA2006 日 本 語 版 ARIA2008 日 本 語 版 より 改 変 1

喘 息 の 全 体 像 健 康 な 人 の 気 管 支 の 断 面 喘 息 患 者 の 発 作 時 の 気 管 支 の 断 面 上 皮 喘 鳴 炎 症 により 気 道 粘 膜 はむくみ 痰 などの 分 泌 物 が 増 えて 空 気 の 通 り 道 が 狭 く 不 整 になっています 気 道 過 敏 性 のメカニズムと 悪 循 環 気 道 過 敏 性 の 亢 進 炎 症 が 起 きている 気 管 支 は さまざまな 刺 激 に 対 して 敏 感 に 反 応 しやすくなっているた め ほこりやタバコの 煙 など ちょっとした 刺 激 がきっかけで 咳 や 呼 吸 困 難 さらには 喘 息 発 作 を 引 き 起 こします そしてこのような 状 態 が 悪 循 環 を 繰 り 返 すのです 線 毛 細 胞 は 線 毛 運 動 により 粘 液 がとらえた 異 物 を 痰 として 口 の 方 に 送 り 出 して 細 菌 などの 感 染 から 体 を 守 っています 炎 症 によって 上 皮 細 胞 の 一 部 がは がれおちて 様 々な 刺 激 物 に 対 して 敏 感 になっているため ほこりやタ バコの 煙 など ちょっとした 刺 激 にも 過 敏 に 反 応 し 気 管 支 が 収 縮 してしま います これが 気 道 過 敏 性 です 2

喘 息 とは 慢 性 アレルギー 性 の 気 管 支 炎 症 によって 気 管 支 が 過 敏 な 状 態 ( 気 道 過 敏 性 )になって) いることが 喘 息 症 状 の 根 源 ちょっとした 刺 激 ( 冷 気 臭 い 過 労 ストレス 感 冒 運 動 など)あるいはアレルゲン( 抗 原 ) 曝 露 で 喘 息 発 作 を 起 こしてしまう 喘 息 の 発 作 がない 時 でも 気 道 では 炎 症 が 起 こっています! 喘 息 患 者 の 気 道 の 断 面 アレルギー 性 の 慢 性 気 道 炎 症 肥 満 細 胞 好 酸 球 リンパ 球 症 状 ( 発 作 )がない 時 症 状 ( 発 作 )がある 時 3

繰 り 返 す 喘 息 症 状 や 発 作 気 管 支 の 構 造 的 変 化 リモデリングが 生 じる 発 作 による 気 管 支 狭 窄 は 自 然 にあるいは 治 療 によって 改 善 し 元 の 状 態 に 戻 ります しかし 抗 炎 症 治 療 をおこなわず 喘 息 のコントロールが 不 良 で 頻 回 に 発 作 を 繰 り 返 し ていると 気 管 支 はリモデリングを 来 たし 慢 性 の 喘 息 状 態 となって 治 療 に 対 する 改 善 効 果 が 乏 しくなり 難 治 性 となってしまいます この 炎 症 状 態 を 放 っておき 喘 息 症 状 や 発 作 を 繰 り 返 していると やがて 平 滑 筋 や 基 底 膜 といわれる 組 織 が 厚 くなり また 損 傷 を 受 けた 部 分 が 元 に 戻 らなくなり 空 気 の 通 り 道 はさらに 狭 くなって 喘 息 を 悪 化 させてしまうのです 喘 息 の 診 断 特 異 的 IgE 抗 体 (アレルギー 原 因 物 質 の 検 査 ) 発 作 性 の 呼 吸 困 難 喘 鳴 胸 苦 しさ 咳 などの 症 状 が 繰 り 返 しみられる 発 作 が 無 い 時 はほとんど 症 状 は 無 く 息 もスムーズに 吐 ける 喘 息 に 類 似 した 症 状 を 示 す 別 の 病 気 を 除 外 すること( 胸 のレ ントゲン 検 査 呼 吸 機 能 検 査 血 液 検 査 など) アレルギー 体 質 の 存 在 ( 約 6~7 割 の 患 者 さんで 認 められる アレルゲンに 対 する 抗 体 など) アレルギー 性 の 気 道 炎 症 の 存 在 ( 痰 の 細 胞 検 査 呼 気 中 の 一 酸 化 窒 素 濃 度 の 測 定 など) 4

呼 気 中 の 一 酸 化 窒 素 濃 度 測 定 は 喘 息 のバイオマーカーとして 有 用 日 本 における 喘 息 有 症 率 は 20~44 歳 で9.3% 20~79 歳 で10.1% 左 から 順 に 呼 気 流 速 が 1 適 当 である,2 強 すぎる, 3 弱 すぎる,ことを 示 している NIOX-MINO (Aerocrine 社 ) 携 帯 型 のFeNO 測 定 機 器 人 喘 息 死 年 齢 別 喘 息 の 病 態 に 応 じた 治 療 アレルゲン( 抗 原 ) 回 避 2060 環 境 整 備 ( 寄 与 因 子 増 悪 因 子 ) 88.5% 薬 物 療 法 厚 生 労 働 省 人 口 動 態 統 計 平 成 23 年 5

喘 息 の 原 因 として 多 いアレルゲンい ハウスダスト ダニ 喘 息 を 悪 化 させるものを 避 けましょう 禁 煙 をする 喘 息 を 重 症 化 させる 喘 息 治 療 に 対 する 反 応 を 低 下 させる カビ 花 粉 ペット(イヌ ネコ ハムス ター モルモットなど)の 毛 フケ 昆 虫 ( 蛾 ゴキブリなど) GINA2006 日 本 語 版 ARIA2008 日 本 語 版 より 改 変 6

アレルギー 性 気 道 炎 症 抗 原 暴 露 薬 物 治 療 ロイコトリエン 受 容 体 拮 抗 薬 気 管 支 拡 張 薬 気 管 支 狭 窄 喘 息 症 状 気 道 過 敏 性 亢 進 トリガー ( 風 邪 運 動 温 度 変 化 タバコの 煙 臭 いなど) 吸 入 ステロイドは 気 管 支 のアレルギー 性 炎 症 を 抑 制 し 気 道 過 敏 性 を 軽 減 させます その 結 果 喘 息 発 作 や 喘 息 症 状 がみられなくなります しかし を 止 めると 再 び 炎 症 が 活 発 となって 症 状 が 出 てきてしまいます 治 療 を 継 続 することが 重 要 です 早 期 診 断 と 気 管 支 のアレルギー 性 炎 症 を 抑 えてくれる 薬 による 早 期 治 療 が 重 要! 喘 息 が 発 症 してから 早 期 に 気 管 支 のアレル ギー 性 炎 症 を 抑 える 吸 入 ステロイドを 使 った 方 が 気 管 支 の 過 敏 性 を 早 期 に 回 復 し 呼 吸 機 能 の 改 善 が 著 しく リモデリングを 阻 止 する 7

日 本 の 喘 息 死 亡 数 と の 販 売 額 の 普 及 と 共 に 喘 息 死 亡 数 は 減 少 が 認 められている ( 人 数 ) 8,000 喘 息 6,000 死 亡 数 4,000 2,000 7,253 5,995 5,661 5,148 5,401 4,473 4,014 0 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 喘 息 死 亡 数 3,771 3,701 3,280 3,196 2,778 2,540 2,348 の 販 売 額 ( 億 円 ) 500 350 300 250 200 150 100 0 08 ( 年 ) 吸 入 ス テ ロ イ ド 薬 の 販 売 額 吸 入 療 法 の 意 義 気 道 局 所 へ 直 接 薬 剤 を 投 与 する 少 量 で 効 果 が 発 現 する 全 身 への 影 響 がより 少 ない 即 効 性 がある( 気 管 支 拡 張 薬 ) 吸 入 療 法 は 喘 息 に 対 する 中 心 的 な 治 療 佐 野 靖 之 :アレルギー 免 疫 Vol.13(10), 2006 一 部 改 変 吸 入 薬 の 一 覧 A. (ICS) C.ICSとLABAとの 合 剤 DPI (テ ィスカス) DPI (ターヒ ュ ヘイラー) pmdi 微 粒 子 化 pmdi B. 気 管 支 を 拡 げる 吸 入 薬 ( 気 管 支 拡 張 薬 ) 短 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 (SABA) DPI (テ ィスカス) DPI (ターヒ ュ ヘイラー) 3. 長 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 (LABA) 喘 息 治 療 の 目 標 8

喘 息 は 適 切 な 治 療 を 受 ければ 必 ず 良 くなる 治 療 ステップ1 治 療 ステップ2 治 療 ステップ3 治 療 ステップ4 ( 低 用 量 ) ( 低 ~ 中 用 量 ) ( 中 ~ 高 用 量 ) ( 高 用 量 ) 上 記 が 使 用 できない 場 合 は 以 下 の いずれかを 用 いる 上 記 で 不 十 分 な 場 合 に 以 下 のいずれ か1 剤 を 併 用 上 記 に 下 記 のいずれか 1 剤 あるいは 複 数 を 併 用 上 記 に 下 記 の 複 数 を 併 用 長 期 管 理 薬 基 本 治 療 ロイコトリエン 拮 抗 薬 テオフィリン 徐 放 製 剤 長 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 (LABA) ( 配 合 剤 の 使 用 可 ) ロイコトリエン 拮 抗 薬 テオフィリン 徐 放 製 剤 長 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 (LABA) ( 配 合 剤 の 使 用 可 ) ロイコトリエン 拮 抗 薬 テオフィリン 徐 放 製 剤 長 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 (LABA) ( 配 合 剤 の 使 用 可 ) ロイコトリエン 拮 抗 薬 テオフィリン 徐 放 製 剤 上 記 のすべ てでも 管 理 不 良 の 場 合 は 下 記 のいずれかあるい は 療 法 を 追 加 抗 IgE 抗 体 経 口 ステロイド 薬 呼 吸 機 能 (ピークフ ロー 値 )も 正 常 追 加 治 療 抗 アレルギー 薬 抗 アレルギー 薬 抗 アレルギー 薬 抗 アレルギー 薬 発 作 治 療 短 時 間 作 用 性 ベータ 刺 激 薬 臨 床 的 治 癒 ( 寛 解 ) 臨 床 的 治 癒 無 治 療 で 無 症 状 状 態 が5 年 以 上 継 続 する 状 態 小 児 喘 息 の 約 70% 程 度 は 思 春 期 から20 歳 に 至 る 間 に 臨 床 的 治 癒 (アウトグロー)の 状 態 になる しかし その 内 30% 前 後 は 成 人 になってから 再 発 する ご 清 聴 有 難 うございました 成 人 喘 息 は 小 児 と 異 なり 寛 解 する 率 は 低 く 再 発 率 も 高 い おとなの 喘 息 は 臨 床 的 治 癒 が 困 難 であり 高 血 圧 などと 同 様 に 全 く 症 状 がない 完 璧 な 状 態 を 維 持 することが 治 療 の 目 標 で ある これを 達 成 するために 治 療 薬 の 種 類 と 量 を 増 減 する 例 えば 症 状 が 全 く 無 くてコントロールが 良 好 であったが 風 邪 を 引 いてから 症 状 が 再 燃 し 発 作 がみられるようになれば 治 療 を 増 やし 安 定 すれば 医 師 の 指 示 に 従 い 減 量 を 試 みる 9