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研 究 ノート 体 験 型 教 育 による 産 学 連 携 プロジェクトの 実 践 について 森 屋 一 訓 石 橋 貞 人 石 橋 ゼミナール 体 験 型 教 育 による 産 学 連 携 プロジェクトの 実 践 について The practice and challenges of industry-university cooperation project by the experience-based education 森 屋 一 訓, 石 橋 貞 人, 石 橋 ゼミナール Kazunori Moriya,Sadahito Ishibashi,Ishibashi Seminar 要 旨 産 学 連 携 の 事 例 の 多 くは 技 術 開 発 や 製 品 開 発 企 業 課 題 の 解 決 など 大 学 の 知 見 を 活 用 して 企 業 側 か らの 依 頼 に 基 づいて 企 業 に 顕 在 化 した 課 題 やニーズの 解 決 に 活 用 することが 一 般 的 である しかし 本 稿 で 取 り 上 げる 事 例 は 大 学 側 からの 提 案 により 体 験 教 育 の 一 環 として 実 施 されたものであり 石 橋 ゼ ミナールの 学 生 が 教 育 研 究 の 体 験 の 場 として 地 域 企 業 である 株 式 会 社 アドックインターナショナル というフィールドを 活 用 し 企 業 に 潜 在 する 課 題 を 提 示 しその 解 決 のための 提 案 を 行 ったものである 本 稿 では 産 学 連 携 プロジェクトの 概 要 と 石 橋 ゼミナールの 学 生 がアドックインターナショナルに 対 し 行 った 期 待 する 人 材 像 を 踏 まえた 新 卒 採 用 戦 略 の 提 案 について 記 述 するとともに 産 学 連 携 の 課 題 とその 対 応 策 について 述 べる [キーワード] 中 小 企 業 産 学 連 携 体 験 教 育 1.はじめに 産 学 連 携 の 事 例 の 多 くは 技 術 開 発 や 製 品 開 発 企 業 課 題 の 解 決 など 大 学 の 知 見 を 活 用 して 企 業 側 からの 依 頼 に 基 づいて 企 業 に 顕 在 化 した 課 題 やニーズの 解 決 に 活 用 することが 一 般 的 である 筆 者 の 1 人 である 森 屋 は かつて 中 小 企 業 支 援 の 一 環 として 産 学 連 携 に 10 数 年 に わたり 関 わってきた そこで 見 た 産 学 連 携 とは 企 業 の 不 足 する 資 源 を 補 うために 行 うもの であり 企 業 の 技 術 課 題 やニーズをできる 限 り 明 確 にし その 技 術 課 題 ニーズに 応 じて 適 切 な 大 学 研 究 室 の 知 見 と 結 びつけることで 技 術 上 の 課 題 解 決 や 製 品 化 を 図 ることであった しかし 本 稿 で 取 り 上 げる 事 例 は それまでの 産 学 連 携 と 異 なり 大 学 側 の 提 案 により 体 験 教 育 の 一 環 として 実 施 したものである 本 学 は 全 学 的 に 体 験 教 育 を 重 視 しており 経 営 学 部 に 於 いてもさまざまな 体 験 型 授 業 を 行 っている 今 般 経 営 学 部 としての 特 色 をいかした 授 業 と して 産 学 連 携 プロジェクトを トライアルとして 導 入 することとなり 筆 者 の 1 人 である 森 屋 は 人 的 資 源 管 理 を 専 門 とする 石 橋 ゼミナールに 地 域 企 業 である 株 式 会 社 アドックイン ターナショナル( 以 下 アドックインターナショナル)を 紹 介 した アドックインターナシ ョナルを 紹 介 した 理 由 としては 1 過 去 に 産 学 連 携 の 経 験 があり 産 学 連 携 を 受 け 入 れる 素 地 を 持 っていたこと 2 社 長 である 小 林 氏 の 気 質 あるいは 組 織 としてのオープンさならび 129 にマインドから 受 託 して 頂 ける 可 能 性 が 高 い という 2 点 が 考 えられた そして アドック

明 星 大 学 経 営 学 研 究 紀 要 第 9 号 2014 年 インターナショナルに 対 し プロジェクト 受 入 れの 依 頼 をしたところ 快 諾 をいただき 本 取 り 組 みを 実 施 することとなった 本 稿 では 産 学 連 携 プロジェクトの 概 要 と 石 橋 ゼミナールの 学 生 が アドックインター ナショナルに 対 し 行 った 期 待 する 人 材 像 を 踏 まえた 新 卒 採 用 戦 略 の 提 案 について 記 述 す るとともに 産 学 連 携 の 課 題 とその 対 応 策 について 述 べることとする 2. 産 学 連 携 研 究 の 概 要 2.1 研 究 内 容 今 回 の 産 学 連 携 プロジェクトにおける 研 究 テーマについては 石 橋 ゼミナールが 人 的 資 源 管 理 のゼミナールである 点 から 期 待 する 人 材 像 を 踏 まえた 新 卒 採 用 戦 略 の 提 案 を 研 究 テーマとして 提 案 することとした 本 研 究 テーマを 採 用 した 理 由 について 大 学 企 業 双 方 の 視 点 から 理 由 を 挙 げる まず 体 験 授 業 を 通 じて 学 びの 機 会 を 得 る 大 学 側 にとっては 1 人 的 資 源 管 理 の 重 要 な 職 能 である 採 用 について 産 学 連 携 による 体 験 研 究 を 通 じて 学 生 の 知 識 の 定 着 を 図 ることが 期 待 できること 2 学 生 が 今 後 の 就 職 活 動 にあたり 採 用 の 現 場 ではどのような 活 動 が 行 われているのか 企 業 の 側 から 学 ぶ 機 会 になること の 2 点 があげられる 一 方 企 業 側 からみると 以 下 の 点 があげられる 1 新 卒 採 用 を 行 う 地 域 企 業 にとって 人 材 確 保 は 最 重 要 な 課 題 であり 学 生 目 線 による 採 用 戦 略 の 提 案 が 期 待 できること このような 産 学 双 方 の 理 由 によりこのテーマをプロジェクトテーマとすることとした 130 2.2 事 前 準 備 石 橋 ゼミナールでは 研 究 に 先 立 ち 連 携 先 であるアドックインターナショナルの 事 業 内 容 について 企 業 調 査 を 実 施 した 調 査 にあたっては インターネットなど 開 示 されている 情 報 等 を 利 用 しての 企 業 調 査 を 行 い あわせて 新 卒 採 用 の 現 状 や 一 般 的 な 新 卒 採 用 の 考 え 方 流 れについても 調 査 を 行 った 尚 調 査 をしていく 中 でインターネット WEB 上 の 情 報 でとらえきれない 内 容 について は 課 題 としてとりまとめ インタビュー 時 にヒアリングすることとした 以 上 の 事 前 調 査 を 行 ったうえでインタビューの 質 問 の 準 備 を 行 った インタビューの 質 問 の 内 容 については 学 生 がそれぞれ 疑 問 に 思 った 点 について ブレー ンストーミングの 手 法 を 使 って 洗 い 出 し それをまとめて 質 問 項 目 の 整 理 をした ゼミナール 生 の 報 告 書 では アドックインターナショナルに 対 する 企 業 調 査 結 果 として 以 下 のとおり まとめられている 1 株 式 会 社 アドックインターナショナルについて 1.1 当 社 の 概 要 1.2 沿 革

研 究 ノート 体 験 型 教 育 による 産 学 連 携 プロジェクトの 実 践 について 森 屋 一 訓 石 橋 貞 人 石 橋 ゼミナール 1.3 業 務 内 容 1.4 企 業 理 念 1.5 最 近 業 務 内 容 で 力 をいれていること 1.6 その 他 特 異 な 事 項 1.7 当 社 の 採 用 戦 略 状 況 参 考 インタビュー 内 容 2.3 インタビュー 事 前 に 日 程 調 整 を 行 ったうえで 当 社 を 訪 問 し 社 長 採 用 担 当 者 にインタビューを 実 施 し た インタビューについては 先 に 述 べたとおり 事 前 に 調 査 した 情 報 資 料 ではとらえきれ ない 内 容 疑 問 点 を 整 理 したうえで 質 問 をした また 合 わせて 社 長 より 創 業 までの 経 緯 や 当 時 の 苦 労 された 様 子 を 具 体 的 にお 話 いただき そこから 生 まれた 経 営 理 念 や 事 業 に 対 する 思 い 考 え 方 を 直 接 聞 かせていただいた 2.4 提 案 内 容 の 決 定 準 備 しておいた 質 問 への 回 答 インタビュー 時 にお 話 しいただいた 社 長 の 考 え 方 思 いな どを 踏 まえ 石 橋 ゼミナールとして 以 下 の 3 点 についてアドックインターナショナルへ 提 案 することを 決 定 した 採 用 活 動 におけるSNSの 活 用 コンピテンシー 面 接 の 提 案 インターンシップにおける 母 集 団 形 成 石 橋 ゼミナールでは 3~4 名 からなるグループを 作 ったうえで グループに 分 かれ 提 案 内 容 を 作 成 した 各 グループによる 提 案 の 概 要 は 以 下 の 通 りである 1 採 用 活 動 におけるSNSの 活 用 インタビューの 結 果 から アドックインターナショナルの 採 用 戦 略 に 合 致 するとして S NSを 利 用 した 採 用 活 動 の 提 案 を 行 った SNSを 人 と 人 とのつながりを 促 進 サポート するコミュニティ 型 の 会 員 制 サービスと 定 義 した 上 で 採 用 活 動 に 役 立 つサイトとして Facebook Twitter Skype LINE YouTube Ustream など 多 種 多 様 なSNSの 内 容 を 紹 介 した 次 に こうしたSNS 採 用 活 動 の 内 容 と 手 法 について 触 れたうえで SNSサ イトの 採 用 活 動 について 実 施 されたアンケート 調 査 の 結 果 を 紹 介 し 企 業 のSNSサイト の 採 用 活 動 への 利 用 の 現 状 と これからの 動 向 などについてまとめた さらに ソーシャル リクルーティングを 導 入 している 企 業 10 社 のSNSサイトの 採 用 への 活 用 内 容 を 個 別 に 紹 介 したうえで ツールとして 利 用 されるSNSの 紹 介 SNS 採 用 活 動 のメリット デメ リットを 紹 介 し アドックインターナショナルに 対 し Facebook を 活 用 した 採 用 活 動 の 具 体 的 提 案 を 行 った 131

明 星 大 学 経 営 学 研 究 紀 要 第 9 号 2014 年 2 コンピテンシー 面 接 の 提 案 コンピテンシー 面 接 の 提 案 にあたり コンピテンシーの 概 要 人 事 システムにおけるコン ピテンシーの 活 用 分 野 を 列 記 しその 導 入 方 法 ポイントなどの 説 明 を 行 っている そのうえ で コンピテンシーを 高 い 業 績 を 生 み 出 すための 行 動 として 安 定 的 に 発 揮 される 能 力 と 定 義 し コンピテンシー 面 接 の 有 効 性 と 導 入 企 業 の 事 例 をあげ コンピテンシー 面 接 導 入 の 提 案 を 行 っている 提 案 に 当 たっては コンピテンシー 面 接 のシステム 構 築 までのプロセス 面 接 の 進 め 方 とBEI 導 入 の 必 要 性 などを 提 示 するなど 新 卒 採 用 の 流 れから 個 別 面 談 に 利 用 するテーマ 質 問 項 目 グループディスカッション 時 に 利 用 する 専 用 シートの 導 入 個 別 面 談 の 5 つのステップなど 実 施 のための 具 体 的 な 提 案 を 行 っている 3 インターンシップにおける 母 集 団 形 成 インターンシップを 活 用 した 新 卒 採 用 の 導 入 と そのための 母 集 団 形 成 の 必 要 性 について 提 案 した まず アドックインターナショナルの 企 業 風 土 を 人 としての 考 え 方 やとらえ 方 を 重 要 視 する 企 業 である ととらえ インターンシップを 利 用 することでイメージに 近 い 学 生 を 採 用 できるとした そのために 新 卒 採 用 者 を 対 象 とする 就 活 インターンシップの 母 集 団 の 形 成 が 必 要 であると 説 明 するとともに 一 般 的 な 母 集 団 形 成 の 手 法 について 調 査 し 就 職 サイトに 代 表 される 8 種 類 の 母 集 団 形 成 の 手 法 と それぞれのメリット デメリットを 紹 介 した 次 に インターンシップを 活 用 した 採 用 を 実 施 している 企 業 の 具 体 的 事 例 を 列 記 したうえで アドックインターナショナルに 導 入 を 提 案 する 母 集 団 形 成 の 手 法 と 就 活 イン ターンシップの 内 容 を 含 めた 採 用 までの 流 れについて 提 案 している 2.5 成 果 報 告 会 提 案 書 に 基 づき 成 果 報 告 会 を 実 施 した 報 告 会 は アドックインターナショナルの 社 長 をはじめ 現 場 でご 協 力 いただいた 社 員 の 方 々をお 招 きし 実 施 された 発 表 は 個 別 の 提 案 書 を 担 当 した3つのグループに 企 業 調 査 をとりまとめた1グループを 加 え 4グループ 14 名 により グループごとに 行 われた 各 グループによる 提 案 内 容 の 発 表 の 後 アドック インターナショナルの 関 連 する 部 署 の 方 々から 質 問 感 想 をいただき 最 後 に 小 林 社 長 より 本 プロジェクトの 講 評 をいただいた なお 報 告 会 の 後 で 実 施 した 懇 親 会 場 に 於 いても 企 業 の 方 々と 学 生 による 自 由 闊 達 な 意 見 交 換 をする 場 を 設 けることができた 132 3 産 学 連 携 プロジェクトにおける 課 題 と 対 応 3.1 マッチングの 問 題 産 学 連 携 プロジェクトの 第 1 の 課 題 として マッチングの 問 題 がある 本 プロジェクトは 大 学 側 の 提 案 により 体 験 教 育 の 一 環 として 実 施 したものであり 一 般 的 な 産 学 連 携 プロジェ クトとは 異 なるところもある しかし 総 じて 産 学 連 携 の 課 題 として 挙 げられるものに 企 業 と 大 学 のマッチングの 問 題 が 考 えられる つまり 1 企 業 の 課 題 が 明 確 になっていても そ の 課 題 を 解 決 相 談 できる 大 学 研 究 室 がどこなのかわからない 2 専 門 とする 研 究 室 があ っても 産 学 連 携 に 積 極 的 でない 3 研 究 室 は 受 け 入 れてくれたが 担 当 教 員 と 企 業 の 馬 が 合

研 究 ノート 体 験 型 教 育 による 産 学 連 携 プロジェクトの 実 践 について 森 屋 一 訓 石 橋 貞 人 石 橋 ゼミナール わない 等 の 課 題 である また 今 回 のように 大 学 からの 提 案 による 場 合 であっても 企 業 側 の 受 け 入 れ 態 勢 が 整 っていないことや テーマに 興 味 がもてないなど さまざまなミスマッ チが 考 えられる 以 上 のようにさまざまな 問 題 があるなかで 今 回 の 産 学 連 携 プロジェクトのマッチングが 成 功 した 理 由 として 以 下 の 3 点 があげられる 第 1 に 今 回 のプロジェクトの 企 業 は 業 況 が 安 定 しており 産 学 連 携 の 経 験 があり 組 織 と して 産 学 連 携 を 受 け 入 れる 体 制 があったことや 代 表 者 である 小 林 氏 が 若 者 を 育 てることに 協 力 的 であったことがあげられる 第 2 に 大 学 側 ではゼミナール 指 導 教 員 で 筆 者 の 一 人 である 石 橋 が かつて 人 事 コンサルタ ントの 実 務 経 験 があったことから 企 業 との 会 話 の 中 で 潜 在 的 課 題 を 把 握 することができる など 企 業 に 対 するコンサルティング 能 力 があり このことがテーマ 選 定 でも 有 意 に 機 能 し たことがあげられる 第 3 にリエゾン 役 で 筆 者 の 1 人 である 森 屋 が 企 業 と 大 学 を 熟 知 していたため ミスマッ チが 生 じない 企 業 と 研 究 室 の 組 み 合 わせをおこなったことがあげられる このように 企 業 大 学 リエゾンの 三 者 がうまくかみ 合 うことで 産 学 連 携 のマッチン グが 成 功 したと 考 える 3.2 学 生 の 動 機 づけ 産 学 連 携 プロジェクトの 2 つ 目 の 課 題 に 学 生 への 動 機 づけの 問 題 が 考 えられる 教 員 は 学 生 に 対 して いかにプロジェクトにコミットさせていくか 動 機 づけをうまく 作 る 必 要 がある 今 回 のプロジェクトテーマは ゼミナールの 専 門 分 野 であり 学 生 にとって 興 味 を 持 ち 得 る 内 容 であったこと 就 活 を 控 えた 学 生 にとって 自 分 の 利 にかなっていたこと など 学 生 が 積 極 的 にコミットし 易 いテーマ 選 定 が 動 機 づけになった また 今 回 のプロジェクトでアドックインターナショナルは ゼミナール 生 がこの 授 業 以 外 にもインターンシップ 生 として 企 業 に 伺 う 機 会 を 提 供 してくれた これにより 学 生 にと っては 敷 居 の 高 い 企 業 という 組 織 社 会 人 の 世 界 にかかわることができた 最 終 的 には 企 業 の 方 と 学 生 達 が 業 後 に 懇 親 を 深 めるほどに 学 生 を 引 き 上 げて 行 ってくれた このように 企 業 側 の 学 生 に 対 する 動 機 づけがプロジェクトの 成 功 に 大 きく 貢 献 したと 考 える 以 上 のように 今 回 の 産 学 連 携 プロジェクトは 単 に 教 員 だけなく 企 業 側 も 動 機 づけに コミットしたことも 大 きな 成 功 要 因 になっている 3.3 産 学 連 携 研 究 の 成 果 について 本 来 の 産 学 連 携 プロジェクトは 研 究 を 通 じた 成 果 を 求 めるものである しかし 今 回 筆 者 らは 企 業 側 に 研 究 の 成 果 そのものに 大 きなウェイト 期 待 を 持 たないようにお 願 いした しかし そのように 大 学 の 体 験 教 育 研 究 の 場 として 一 方 的 に 企 業 の 負 担 を 期 待 するもので あったら このプロジェクトが 次 年 度 以 降 も 継 続 していたか 疑 問 である この 点 について 本 プロジェクトが 本 格 的 に 動 き 出 す 前 に アドックインターナショナル から 森 屋 宛 に 新 規 事 業 推 進 にあたって 自 社 の 組 織 活 性 化 について 問 題 があり その 解 決 に 133

明 星 大 学 経 営 学 研 究 紀 要 第 9 号 2014 年 大 学 の 知 見 が 利 用 できないか 相 談 があった 企 業 側 は 石 橋 を 想 定 した 相 談 ではなかったが 相 談 内 容 から 森 屋 は 石 橋 を 紹 介 した その 結 果 簡 単 な 相 談 から 始 まった 企 業 の 課 題 は 石 橋 の 知 見 を 活 用 した 本 プロジェクトとは 別 の 産 学 連 携 活 動 として 動 きだし 現 在 も 企 業 担 当 者 が 定 期 的 に 来 校 し 課 題 について 話 し 合 う 状 況 が 続 いている こうした 石 橋 のフォローも あり 支 援 を 提 供 するだけのつもりでいた 企 業 が 大 学 とつながることのメリットを 強 く 感 じられる 状 況 が 構 築 された このように リエゾン 役 であって 筆 者 の 1 人 である 森 屋 が 企 業 ニーズの 発 掘 と 適 切 な 教 員 マッチングを 行 ったこと そしてゼミナール 指 導 教 員 であって 筆 者 の 1 人 である 石 橋 が 経 営 課 題 に 対 して 適 切 な 助 言 指 導 を 行 った 結 果 企 業 とのコミュニケーションが 構 築 され 次 年 度 以 降 へつながる 関 係 ができあがった 体 験 教 育 として 継 続 する 場 合 毎 年 こうした 企 業 を 開 拓 し 新 しい 企 業 と 信 頼 関 係 を 構 築 していくことは 難 しいし 負 担 が 大 きい しかしリエゾン 役 の 有 効 な 橋 渡 し 機 能 と 教 員 による 企 業 に 対 する 積 極 的 な 関 与 という 有 機 的 な 連 携 を 通 じて 企 業 に 対 し 産 学 連 携 研 究 の 成 果 を 期 待 させることが 可 能 となり 継 続 的 な 体 験 教 育 としての 産 学 連 携 プロジェクト が 生 まれていくと 考 えられる そして 企 業 が 産 学 連 携 にコミットしたくなる 仕 組 みづくり を 講 じることが 大 学 にとって 重 要 であり 企 業 と 継 続 した 関 係 構 築 ができると 考 える 4 おわりに 今 回 の 産 学 連 携 プロジェクトは 一 般 的 な 産 学 連 携 のように 企 業 に 顕 在 化 している 課 題 を 単 に 大 学 が 保 有 する 知 見 や 研 究 成 果 を 提 供 して 解 決 していくものではない 学 生 自 らが 企 業 とのディスカッション あるいはインタビューを 通 じて 企 業 の 潜 在 的 課 題 を 抽 出 し 調 査 分 析 を 行 った 上 で 企 業 に 対 して 課 題 の 提 示 と 課 題 解 決 の 提 案 を 行 なったものであ り 大 学 にとって 非 常 に 有 効 な 体 験 教 育 の 場 となったと 考 える 一 方 企 業 にとっては 未 熟 ながらも 学 生 による 学 生 の 目 線 に 立 った 採 用 戦 略 が 提 案 さ れたことで 自 社 の 採 用 活 動 の 再 認 識 ができた さらに 専 門 的 知 見 を 有 するゼミナール 指 導 教 員 と 人 的 ネットワークができ 実 際 教 員 の 持 っている 知 見 を 活 用 する 機 会 を 得 られたも のであり 企 業 にとっても 有 効 なものであったと 考 えられる 国 ではイノベーション エコシステムを 掲 げ 社 会 科 学 分 野 を 含 めた 幅 広 い 分 野 の 研 究 者 企 業 金 融 機 関 省 庁 等 の 連 携 を 図 っている 今 回 の 事 例 のように 大 学 の 体 験 教 育 研 究 の 鍛 錬 の 場 としてはじまる 産 学 連 携 であっても 教 員 と 企 業 の 姿 勢 次 第 では 大 学 と 企 業 双 方 に きわめて 有 効 な 連 携 となり 得 るものと 考 える 参 考 文 献 [1] 産 学 官 連 携 推 進 委 員 会 (2013 年 12 月 10 日 ) 産 学 官 連 携 によるイノベーション エコ システムの 推 進 について (とりまとめ) 134