研 究 者 技 術 者 のための 化 学 実 験 にかかわる 規 則 法 律 入 門 放 射 線 を 使 った 実 験 に 関 する 規 則 と 法 律 蜂 須 賀 暁 子 1 はじめに 昨 今, 放 射 線 は, 目 に 見 えず, 感 知 できなことを 理 由 に 怖 がられてるが, 実 験 室 におては 非 常 に 高 感 度 に 検 出 できるものであり, 原 子 そのものを 標 識 できるこ とと 合 わせてトレーサーとしての 有 用 性 は 今 更 説 明 する までもな しかし, 放 射 線 関 連 の 使 用 は, 実 験 室 内 に おて 最 も 厳 しく 法 管 理 されてるものの 一 つでもあ る 放 射 線 を 使 った 実 験 はしてみたが, 何 だか 法 律 が 面 倒 そうだから と ちゅう ちょ 躊 躇 してる 人 がることも 事 実 であろう そこで,これから 放 射 線 を 扱 ってみようと 考 えてる 人,また, 現 在, 放 射 線 を 取 り 扱 ってるが 全 体 像 がつかめな 人 に, 放 射 線 管 理 の 概 要 を 紹 介 す る また, 放 射 線 の 使 用 の 有 無 にかかわらず, 放 射 線 の 法 規 制 を 理 解 することは, 他 の 化 学 物 質 の 規 制 の 仕 組 み を 理 解 する 上 でも 役 に 立 つものと 思 われる 同 じ 原 子 番 号 を 持 つ 元 素 の 原 子 には, 中 性 子 の 数 が 異 なる 同 位 体 が 存 在 し,それらは, 安 定 同 位 体 と 放 射 線 を 出 して 崩 壊 する 放 射 性 同 位 体 (radioisotope, RI)の 二 種 類 に 分 けられる 放 射 性 同 位 体 は 物 質 であり, 放 射 線 は 放 射 性 同 位 体 から 放 出 される 電 磁 波 または 粒 子 線 であ る 本 稿 では,これらの 使 用 等 を 規 制 してる 放 射 性 同 位 元 素 等 による 放 射 線 障 害 の 防 止 に 関 する 法 律 ( 障 害 防 止 法, 昭 和 32 年 を 中 心 に 説 明 する なお, 法 律 で は 放 射 性 同 位 体 ( 例 えば 11 C と 14 C)ではなく, 総 称 と して 放 射 性 同 位 元 素 ( 14 C と 18 F など) を 用, 一 つ 一 つの 種 類 としては 核 種 とう 用 語 を 用 る 2 ICRP 勧 告 につて 日 本 における 放 射 線 の 法 規 制 を 説 明 する 前 に, 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 (ICRP, International Commission on Radiological Protection)による 放 射 線 防 護 に 関 する 考 え 方 を 紹 介 する 放 射 線 の 使 用 はレントゲンが X 線 を 発 見 した 1895 年 以 降 になるが,その 直 後 から 人 体 への 有 害 影 響 も 報 告 され, 放 射 線 防 護 の 必 要 性 が 唱 えられ Regulations and Compliance for Chemical Research and Development The Rule and Law about the Experimental Radioisotope Use. た これを 受 けて 1928 年 に 国 際 X 線 およびラジウム 防 護 委 員 会 が 設 立 され,1950 年 に 現 在 の 名 称 に 改 称 されるとともに 対 象 範 囲 もすべての 電 離 放 射 線 に 広 げら れた ICRP は, 放 射 線 医 学, 放 射 線 遺 伝 学, 放 射 線 生 物 学 等 の 専 門 家 の 立 場 から 放 射 線 防 護 に 関 する 勧 告 を 行 う 非 営 利, 非 政 府 の 国 際 学 術 組 織 であり, 適 切 な 放 射 線 防 護 方 策 の 基 本 原 則 を 提 示 し, 国 や 地 域 的 な 違 などを 考 慮 した 柔 軟 性 を 持 たせた 勧 告 を 行 うことを 基 本 方 針 と してる ICRP が 出 す 勧 告 は 国 際 的 に 権 威 あるものと され, 国 際 原 子 力 機 関 (IAEA)の 安 全 基 準, 世 界 各 国 の 放 射 線 障 害 防 止 に 関 する 法 令 の 基 礎 にされており, 日 本 もそれに 倣 ってる 現 在, 我 が 国 の 法 律 は 1990 年 勧 告 を 受 け 入 れ,2007 年 勧 告 の 受 け 入 れ 準 備 がなされ てる ICRP で 提 案 されてる 放 射 線 防 護 の 基 本 的 考 え 方 は, 1 行 為 の 正 当 化 : 放 射 線 被 ばくを 伴 う 行 為 は,その 導 入 が 十 分 な 便 益 を 生 むものでなければならな, 2 防 護 の 最 適 化 : 個 人 線 量 の 大 きさ, 被 ばくする 人 の 数 等 を, 経 済 的, 社 会 的 要 因 を 考 慮 に 加 えた 上, 合 理 的 に 達 成 可 能 な 限 り 低 く(ALARA : as low as reasonably achievable) 保 つべきである, 及 び 3 個 人 の 線 量 限 度 : 行 為 の 結 果 生 ずる 個 人 の 被 ばくは 線 量 限 度 に 従 うべきで ある,の 3 要 件 としてる 従 って 日 本 の 法 律 も,こ の 基 本 方 針 によってる 3 放 射 線 の 法 体 系 法 体 系 は, 国 会 が 定 める 法 律 と, 政 府 が 定 める 政 令, 省 令, 告 示,それに 続 く 通 知 がある 放 射 線 がかかわる 法 律 の 関 係 を 図 1 に 示 す 放 射 線 分 野 で 最 上 位 に 位 置 する 法 律 が 原 子 力 基 本 法 で あり, 原 子 力 の 研 究, 開 発 及 び 利 用 の 促 進 に 関 すること を 定 めてる 9 章 21 条 からなるこの 基 本 法 は,まず 目 的 として 原 子 力 の 研 究, 開 発 及 び 利 用 を 推 進 するこ とによって, 将 来 におけるエネルギー 資 源 を 確 保 し, 学 術 の 進 歩 と 産 業 の 振 興 とを 図 り,もって 人 類 社 会 の 福 祉 と 国 民 生 活 の 水 準 向 上 とに 寄 与 すること を 掲 げ, 基 本 方 針 として 原 子 力 の 研 究, 開 発 及 び 利 用 は, 平 和 の 目 的 に 限 り, 安 全 の 確 保 を 旨 として, 民 主 的 な 運 営 の 下 182 ぶんせき
に, 自 主 的 にこれを 行 うものとし,その 成 果 を 公 開 し, 進 んで 国 際 協 力 に 資 するもの と, 平 和 利 用 に 限 定 して る 次 に 放 射 線 分 野 の 法 律 における 定 義 が 続 き, 原 子 力 ( 原 子 核 変 換 の 過 程 におて 原 子 核 から 放 出 されるす べての 種 類 のエネルギー), 核 燃 料 物 質 (ウラン,トリ ウム 等 原 子 核 分 裂 の 過 程 におて 高 エネルギーを 放 出 す る 物 質 ), 核 原 料 物 質 (ウラン 鉱,トリウム 鉱 その 他 核 燃 料 物 質 の 原 料 となる 物 質 ), 原 子 炉 ( 核 燃 料 物 質 を 燃 料 として 使 用 する 装 置 ), 放 射 線 ( 電 磁 波 又 は 粒 子 線 の うち, 直 接 又 は 間 接 に 空 気 を 電 離 する 能 力 をもつもの) と 定 めてる 基 本 法 は 理 念 を 掲 げ, 具 体 的 な 内 容 は 別 の 法 律 に 譲 るが,ここでは 第 二 十 条 で 放 射 線 による 障 害 を 防 止 し, 公 共 の 安 全 を 確 保 するため, 放 射 性 物 質 及 び 放 射 線 発 生 装 置 に 係 る 製 造, 販 売, 使 用, 測 定 等 に 対 する 規 制 その 他 保 安 及 び 保 健 上 の 措 置 に 関 しては, 別 に 法 律 で 定 める とし,これを 受 ける 形 で 障 害 防 止 法 が 設 置 されてる 同 様 に, 原 子 炉, 核 燃 料 物 質 の 管 理 に 関 する 法 律 として 原 子 炉 等 規 制 法 の 設 置 を 定 めて る 本 稿 では, 原 子 炉 等 規 制 法 ではなく, 障 害 防 止 法 下 での 使 用 に 関 して 説 明 する 障 害 防 止 法 に 関 連 する 法 律 として, 放 射 線 等 取 扱 者 の 労 働 安 全 に 関 しては, 労 働 安 全 衛 生 法 に 基 づく 電 離 放 射 線 障 害 防 止 規 則, 国 家 公 務 員 法 に 基 づく があ り,これらの 法 律 と 放 射 線 使 用 施 設 との 関 係 を 表 1 に 示 す その 他, 医 療 法, 薬 事 法, 建 築 基 準 法 等 の 法 律 及 びそれに 関 連 した 政 令, 規 則 等 が 関 係 する 放 射 線 放 射 能 に 関 する 単 位 は,1977 年 のICRP 勧 告 に 基 づき 放 射 線 を 放 出 する 放 射 性 同 位 元 素 の 数 量 を 定 める 件 ( 昭 和 63 年 ) で 規 定 され, 以 降,SI 単 位 が 採 用 されて る 4 障 害 防 止 法 実 際 に 実 験 室 での 放 射 線 使 用 に 第 一 義 にかかわる 法 律 は, 文 部 科 学 省 の 障 害 防 止 法 である この 法 律 の 目 的 は, 原 子 力 基 本 法 の 精 神 にのっとり, 放 射 性 同 位 元 素 の 使 用, 販 売, 賃 貸, 廃 棄 その 他 の 取 扱, 放 射 線 発 生 装 置 の 使 用 及 び 放 射 性 同 位 元 素 によって 汚 染 された 物 の 廃 棄 その 他 の 取 扱 を 規 制 することにより,これらによ る 放 射 線 障 害 を 防 止 し, 公 共 の 安 全 を 確 保 する ことで ある 取 扱 者 だけでなく, 公 共 の 安 全 の 確 保 を 目 的 とし てるのがポイントである 4 1 放 射 性 同 位 元 素 等 と 使 用 の 区 分 障 害 防 止 法 が 使 用 規 制 の 対 象 としてるものは 放 射 性 同 位 元 素, 放 射 性 同 位 元 素 装 備 機 器, 放 射 線 発 生 装 置 の 3 つであり, 法 令 上 の 定 義 を 以 下 に 示 す 放 射 線 とは, 電 磁 波 又 は 粒 子 線 のうち, 直 接 又 は 間 接 に 空 気 を 電 離 する 能 力 をもつもので, 1 a 線, 重 陽 子 線, 陽 子 線,その 他 の 重 荷 電 粒 子 及 び b 線, 2 中 性 子 線, 3 g 線 及 び 特 性 X 線, 4 1MeV 以 上 のエネルギー を 有 する 電 子 線 及 び X 線 である ここで 関 連 法 規 間 で 注 意 が 必 要 なのは 4 で, 障 害 防 止 法 の 1MeV 以 上 に 対 し, や ではエネルギーの 特 定 がな く, 弱 エネルギーの 電 子 線 や X 線 に 関 しては 法 令 に より 定 義 が 異 なる( 表 1) 放 射 性 同 位 元 素 とは, 放 射 線 を 放 出 する 同 位 元 素 の 数 量 及 び 濃 度 がその 種 類 ごとに 定 められた 下 限 数 量 及 び 濃 度 を 超 えるものである ただし, 核 燃 料 物 質 及 び 核 原 料 物 質, 医 薬 品, 治 験 薬 物 等 の 除 外 規 定 がある 下 限 数 量 とは, 数 量 および 濃 度 の 小 さ 放 射 性 同 位 元 素 の 規 制 を 合 理 化 するために,IAEA 等 の 定 めた 国 際 標 準 値 の 導 入 により 2004 年 に 定 められたものである 具 体 的 には, 137 Cs であれば 下 限 数 量 10 kbq かつ 濃 度 10 Bq/g, 90 Sr 表 1 放 射 線 源 の 種 類 別, 事 業 所 の 種 類 別 規 制 の 状 況 事 業 所 の 種 類 放 射 線 源 放 射 性 同 位 元 素 及 び 放 射 線 発 生 装 置 (X 線, 電 子 線 につては 1 MeV 以 上 ) X 線 発 生 装 置 ( 左 記 のものを 除 く) 核 燃 料 物 質 核 原 料 物 質 民 間 障 害 防 止 法 原 子 炉 等 規 制 法 図 1 放 射 線 がかかわる 法 律 の 関 係 国 立 障 害 防 止 法 原 子 炉 等 規 制 法 ぶんせき 183
であれば 数 量 10 kbq かつ 濃 度 100 Bq/g を 超 えると, 法 律 上 は 放 射 性 同 位 元 素 となる 核 種 ごとの 下 限 数 量, 濃 度 は, 告 示 に 定 められてる また, 複 数 核 種 含 まれ てる 場 合 は, 下 限 数 量 および 濃 度 につて 比 の 合 計 が 各 々 1 を 超 える 場 合 に 放 射 性 同 位 元 素 となる 例 えば, 137 Cs 5 Bq /g と 90 Sr 30 Bq /g の 混 合 物 1kgは, 数 量 5/10( 137 Cs)+30/10( 90 Sr)=3.5, 濃 度 5/10( 137 Cs)+ 30/100( 90 Sr)=0.8 で, 数 量 は 1 を 超 えるが 濃 度 が 1 を 超 えなので 放 射 性 同 位 元 素 とはならず,これだけであ れば 法 規 制 を 受 けな 下 限 数 量 を 取 り 入 れる 以 前 は, 密 封 されてる 放 射 性 同 位 元 素 と 密 封 されてな 放 射 性 同 位 元 素 で 定 義 の 基 準 が 異 なったが, 今 は 同 一 の 数 量 基 準 で 区 分 される 放 射 性 同 位 元 素 装 備 機 器 は 放 射 性 同 位 元 素 を 装 備 して る 機 器 のことである 設 計 認 証 取 得 により 表 示 付 認 証 機 器 になり, 使 用 等 の 法 規 制 が 簡 略 化 される 例 えば, 設 計 認 証 機 器 で 表 示 付 ガスクロマトグラフ 用 エレクトロ ン キャプチャ ディテクタであれば, 使 用 の 届 出 と 廃 棄 の 制 限 があるのみで, 使 用, 保 管 等 の 法 的 基 準 は 課 せ られな 放 射 線 発 生 装 置 は 荷 電 粒 子 を 加 速 することにより 放 射 線 を 発 生 させる 装 置 で, 法 令 で 定 められた 最 大 線 量 当 量 率 (600 nsv/h)を 超 えるもので,サイクロトロン,シ ンクロトロン,シンクロサイクロトロン, 直 線 加 速 装 置,ベータトロン 等 がある これら 放 射 性 同 位 元 素 等 を 使 用 する 場 合 は 文 部 科 学 大 臣 の を 受 けなくてはならず, を 受 けたものが 使 用 者 である 線 源 等 の 種 類 と 数 量 により, 使 用 者 及 び 届 出 使 用 者 の 二 種 類 があり, 区 分 を 表 2 に 示 す 許 可 の 基 準 としては 放 射 線 施 設 の 設 備 等 が 技 術 上 の 基 準 に 適 合 する 必 要 がある 使 用 者 によっては, 施 設 検 査, 定 期 検 査, 定 期 確 認 を 受 けなくてはならな 表 2 使 用 者 及 び 届 出 使 用 者 の 区 分 線 源 等 使 用 数 量 貯 蔵 数 量 等 密 封 線 源 下 限 数 量 の 1000 倍 を 越 える 1 個 当 たりの 数 量 が 10 TBq 以 上 貯 蔵 能 力 が10 TBq 以 上 届 出 取 扱 主 任 者 第 ( 特 定 ) 1 種 第 2 種 なお, 核 燃 料 物 質, 核 原 料 物 質 のウラン 及 びトリウム は, 障 害 防 止 法 ではなく, 規 制 数 量 ( 天 然 及 び 劣 化 ウラ ンは 300 g,トリウムは 900 g)を 超 える 場 合 は 原 子 炉 等 規 制 法 の 規 制 を 受 け,その 数 量 以 下 の 場 合 は, 国 際 規 制 物 質 の 使 用 等 に 関 する 規 則 への 対 応 が 必 要 になる 4 2 管 理 区 域 管 理 区 域 とは, 1 外 部 放 射 線 による 線 量 が 1.3 msv/ 3 か 月 間 を 超 え, 2 空 気 中 の 放 射 性 同 位 元 素 の 3 か 月 間 につての 平 均 濃 度 が 空 気 中 濃 度 限 度 の 1/10 以 上, 又 は 3 放 射 性 同 位 元 素 によって 汚 染 される 物 の 表 面 密 度 が 表 面 密 限 度 の 1/10 以 上 のおそれのある 場 所 で, 一 般 の 人 々の 立 ち 入 りが 制 限 される された 使 用 核 種, 数 量, 方 法 などから, 規 定 されたレベル 以 上 になる おそれがある 場 所 に 設 けられる 概 念 図 を 図 2 に 示 す 放 射 線 施 設 は, 使 用 施 設, 廃 棄 物 詰 替 施 設, 貯 蔵 施 設, 廃 棄 物 貯 蔵 施 設 又 は 廃 棄 施 設 に 区 分 される それら の 中 には, 作 業 室 ( 密 封 されてな 放 射 性 同 位 元 素 を 使 用 する 室 ; 密 封 された 放 射 性 同 位 元 素 や 放 射 線 発 生 装 置 を 使 用 する 室 は 作 業 室 とは 言 わな), 廃 棄 作 業 室 ( 放 射 性 同 位 元 素 又 は 放 射 性 同 位 元 素 によって 汚 染 され た 物 を 焼 却 した 後 その ざん さ 残 渣 を 焼 却 炉 から 搬 出 し, 又 はコ ンクリートその 他 の 固 型 化 材 料 により 固 型 化 する 作 業 を 行 う 室 ), 汚 染 検 査 室 ( 人 体 又 は 作 業 衣, 履 物 等 人 体 に 着 用 してる 物 の 表 面 の 放 射 性 同 位 元 素 による 汚 染 の 検 査 を 行 う 室 ), 排 気 設 備 ( 排 気 浄 化 装 置 等 気 体 状 の 放 射 性 同 位 元 素 等 を 浄 化 し, 又 は 排 気 する 設 備 ) 及 び 排 水 設 備 ( 排 液 処 理 装 置 等 液 体 状 の 放 射 性 同 位 元 素 等 を 浄 化 し, 又 は 排 水 する 設 備 )などがある 放 射 性 同 位 元 素 等 を 取 り 扱 う 上 での 行 為 基 準 として, 使 用, 保 管, 運 搬, 廃 棄 等 の 基 準 が 定 められてる 一 つ 一 つをここに 挙 げることはできなが, 例 えば, 使 用 の 基 準 としては, 放 射 性 同 位 元 素 又 は 放 射 線 発 生 装 置 の 使 用 は, 使 用 施 設 におて 行 うことや, 密 封 されてな 放 射 性 同 位 元 素 の 使 用 は, 作 業 室 におて 行 うこと, 放 射 線 業 務 従 事 者 の 線 量 限 度 を 超 えなようにするた め, 遮 蔽, 距 離, 時 間 の 措 置 を 講 ずることなどが 示 され てる ずれも 取 扱 者 及 び 一 般 公 衆 の 被 ばくを 抑 える ための 行 為 基 準 であり, された 使 用 法 を 遵 守 するこ 下 限 数 量 を 超 え 下 限 数 量 の 1000 倍 以 下 届 出 第 3 種 非 密 封 線 源 放 射 線 発 生 装 置 下 限 数 量 を 越 える 下 限 数 量 の 10 万 倍 を 越 える ( 特 定 ) 第 1 種 第 1 種 注 ) 表 示 付 認 証 機 器 使 用 者 は 使 用 の 届 出 のみで, 届 出 の 場 合 の 密 封 線 源 は 数 量 を 合 算 しな 図 2 管 理 区 域 と 実 効 線 量 限 度 184 ぶんせき
とが 求 められてる 届 出 使 用 者 等 は, 放 射 線 障 害 のおそれのある 場 所 につて, 放 射 線 の 量 及 び 放 射 性 同 位 元 素 による 汚 染 の 状 況 を 定 められた 期 間 毎 に 測 定 しなければならず,それ らには 線 量 限 度 や 濃 度 限 度 が 決 められてる( 図 2 参 照 ) これらの 測 定 の 結 果 は 記 録 し 保 存 しなくてはなら な 4 3 放 射 線 業 務 従 事 者 放 射 線 を 扱 う 人 は 管 理 区 域 による 区 別 がある 放 射 線 業 務 従 事 者 とは, 放 射 性 同 位 元 素 等 又 は 放 射 線 発 生 装 置 の 取 り 扱 や 管 理 などの 業 務 に 従 事 する 者 であり, 管 理 区 域 に 立 ち 入 るものである 取 扱 等 業 務 に 従 事 してて も 入 らなものは 放 射 線 業 務 従 事 者 とは 言 わな 表 3 に 整 理 する ICRP の 個 人 の 線 量 限 度 の 考 えに 従, 管 理 区 域 に 立 ち 入 る 放 射 線 業 務 従 事 者 の 実 効 線 量 限 度 及 び 等 価 線 量 限 度 が 表 4 のように 定 められてる また, 内 部 被 ばく を 考 慮 して, 放 射 線 施 設 内 の 人 が 常 時 立 ち 入 る 場 所 にお て 人 が 呼 吸 する 空 気 中 の 放 射 性 同 位 元 素 の 空 気 中 濃 度 限 度 が 定 められてる 同 様 に 放 射 線 施 設 内 の 人 が 常 時 立 ち 入 る 場 所 におて 人 が 触 れる 物 の 表 面 の 放 射 性 同 位 元 素 の 表 面 密 度 限 度 も 表 5 のように 定 められてる これらが, 管 理 区 域 の 定 義 と 関 連 してる 届 出 使 用 者 等 は, 放 射 線 施 設 に 立 ち 入 る 者 に 対 し, 放 射 線 障 害 予 防 規 程 の 周 知 その 他 を 図 るほか, 放 射 線 障 害 を 防 止 するために 必 要 な 教 育 及 び 訓 練 を 施 し,ま た, 健 康 診 断 を 行 わなければならな それらの 時 期 や 内 容 の 概 要 を 表 3 に 示 す これらは, 障 害 防 止 法 の 他,, での 規 制 も 受 けるが, 内 容 は 同 じではな 例 えば 健 康 診 断 の 実 施 時 期 が, 障 害 防 止 法 が 1 年 を 超 えな 期 間 ごとに 対 し,, 人 事 院 規 則 は 6 か 月 を 超 えな 期 間 ごととなってる 放 射 線 障 害 を 受 けた 者 または 受 けたおそれのある 者 に 対 しては, 程 度 に 応 じて 管 理 区 域 への 立 入 の 禁 止 などの 措 置 を 行 うように 求 めてる 4 4 放 射 線 障 害 予 防 規 程, 放 射 線 取 扱 主 任 者 届 出 使 用 者 等 は, 放 射 線 障 害 を 防 止 するため, 放 射 性 同 位 元 素 若 しくは 放 射 線 発 生 装 置 の 使 用 等 を 開 始 す る 前 に, 放 射 線 障 害 予 防 規 程 を 作 成 し, 文 部 科 学 大 臣 に 届 け 出 ることになってる これは, 事 業 所 ごとの 状 況 に 合 わせ, 放 射 性 同 位 元 素 等 の 取 り 扱 の 安 全 管 理 に 関 する 組 織 等, 法 令 を 遵 守 する 上 で 必 要 なことの 記 載 が 求 められてる 例 えば, 届 出 使 用 者 等 は, 安 全 管 理 上 必 要 な 記 録, 記 帳 を 保 存 しなくてはならなとされ, 記 載 事 項 の 細 目 が 定 められてるが,この 中 には, 放 射 性 同 位 元 素 の 受 け 入 れ 又 は 払 出 し, 使 用, 保 管, 運 搬, 廃 棄, 放 射 線 施 設 の 点 検, 教 育 訓 練 に 関 することな 表 3 放 射 線 業 務 従 事 者 等 に 課 せられた 健 康 診 断, 教 育 訓 練, 被 ばくの 測 定 算 定 区 分 健 康 診 断 教 育 訓 練 放 射 線 業 務 従 事 者 取 扱 等 業 務 従 事 者 一 時 立 ち 入 り 者 入 り, 放 射 線 の 取 り 扱 等 の 業 務 に 従 事 するも の 入 らず, 放 射 線 の 取 り 扱 等 の 業 務 に 従 事 する もの 放 射 線 の 取 り 扱 等 の 業 務 以 外 で 管 理 区 域 に 立 ち 入 る 者 立 ち 入 る 前 ( 問 診, 検 査 または 検 診 ) 立 ち 入 った 後 1 年 ごと 立 ち 入 る 前 ( 項 目 及 び 時 間 数 の 規 定 有 ) 立 ち 入 る 前 ( 項 目 及 び 時 間 数 の 規 定 有 ) 立 ち 入 る 前 立 ち 入 った 後 1 立 ち 入 った 後 1 年 ごと 年 ごと 被 ばくの 測 定 算 定 入 る 場 合, 継 続 して3 か 月 ご と 立 ち 入 ってる 間 (ただし,100 nsv 以 下 のとき は 除 外 ) 表 4 放 射 線 業 務 従 事 者 の 実 効 線 量 限 度 及 び 等 価 線 量 限 度 放 射 線 業 務 従 事 者 の 100 msv/5 年 間 実 効 線 量 限 度 50 msv/1 年 間 女 子 の 腹 部 5mSv/3 か 月 妊 娠 中 の 女 子 の 内 部 被 ばく 1mSv/ 妊 娠 の 認 知 から 出 産 までの 間 放 射 線 業 務 従 事 者 の 目 の 水 晶 体 (1mm 線 量 当 量 )150 等 価 線 量 限 度 msv/1 年 間 皮 膚 (70 nm 線 量 当 量 )500 msv/1 年 間 妊 娠 中 の 女 子 の 腹 部 表 面 2mSv/ 妊 娠 の 認 知 から 出 産 までの 間 表 5 表 面 密 度 限 度 a 線 を 放 出 する 放 射 性 同 位 元 素 4Bq/cm 2 a 線 を 放 出 しな 放 射 性 同 位 元 素 40 Bq/cm 2 どが 含 まれる 従 って, 放 射 線 業 務 従 事 者 である 実 験 者 は, 放 射 線 等 の 取 り 扱 に 際 して 放 射 性 同 位 元 素 の 種 類, 数 量, 使 用 の 目 的, 方 法 及 び 場 所 等 に 関 して 記 録 を 行 うことが 必 要 になり,これらの 事 業 所 ごとの 規 則 が 放 射 線 障 害 予 防 規 程 に 記 載 されることになる 事 故 や 災 害 での 対 応 も 法 で 定 められてる 届 出 使 用 者 等 は,その 所 持 する 放 射 性 同 位 元 素 につて 盗 取, 所 在 不 明 その 他 の 事 故 が 生 じたときは, 遅 滞 なく, 警 察 官 に 届 け 出 なくてはならな また,その 所 持 する 放 射 性 同 位 元 素 等 に 関 し, 地 震, 火 災 その 他 の 災 害 が 起 こったことにより, 放 射 線 障 害 のおそれがある 場 合 又 は ぶんせき 185
放 射 線 障 害 が 発 生 した 場 合 におては, 直 ちに, 応 急 の 措 置 を 講 じ, 文 部 科 学 大 臣 に 届 け 出 なくてはならず, 緊 急 連 絡 システムも 準 備 されてる 届 出 使 用 者 等 は, 放 射 線 障 害 の 防 止 につて 監 督 を 行 わせるため, 区 分 に 従 って 放 射 線 取 扱 主 任 者 を 選 任 し, 文 部 科 学 大 臣 に 届 け 出 ることになってる( 表 2) 放 射 線 取 扱 主 任 者 は, 誠 実 にその 職 務 を 遂 行 することが 求 められてる 逆 に, 放 射 線 施 設 に 立 ち 入 る 者 は, 放 射 線 取 扱 主 任 者 がこの 法 律 もしくはこの 法 律 に 基 づく 命 令 又 は 放 射 線 障 害 予 防 規 程 の 実 施 を 確 保 するためにする 指 示 に 従 わなければならなとしてる 5 おわりに 放 射 線 管 理 は, 大 まかに 分 けると 施 設, 物, 人 の 三 者 と 考 えてる 施 設 は, 法 律 が 定 める 条 件 を 満 たした 申 請 書 類 の 内 容 を 維 持 することである 物 は, 放 射 性 同 位 元 素 等 の 出 入 りを 帳 簿 で 追 えるようにし, 実 物 との チェックを 行, 汚 染 を 測 定 により 調 べ, 法 律 が 要 求 す るところが 守 られてるか 確 認 することである 人 は, 放 射 線 業 務 従 事 者 の 被 ばく 線 量 限 度 を 守 るために, 教 育 により 知 識 及 び 注 意 レベルを 維 持 し, 被 ばく 量 を 測 定 算 定 し, 健 康 管 理 を 行 うことである 管 理 者 及 び 取 扱 者 が 法 律 の 意 図 するところを 理 解 し, 正 し 取 り 扱 を 行 うことによって, 取 扱 者 のみならず 公 共 の 安 全 を 守 るこ とができると 考 えられる なお, 本 稿 で 取 り 上 げた 法 令 は, 下 記 の URL より 入 手 できる http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi( 筆 者 2012 年 3 月 5 日 最 終 確 認 ) 蜂 須 賀 暁 子 (Akiko HACHISUKA) 国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 ( 158 8501 東 京 都 世 田 谷 区 上 用 賀 1 18 1) 千 葉 大 学 大 学 院 薬 学 研 究 科 修 士 課 程 修 了 博 士 ( 薬 学 ) 現 在 の 研 究 テーマ 今 年 は 放 射 線 一 色 になりそうです 趣 味 騒 音 を 発 生 させること(チェロ) E mail : hachisuk@nihs.go.jp 実 験 レポート 作 成 法 畠 山 雄 二 大 森 充 香 訳 英 語 論 文, 投 稿 論 文 の 書 き 方 などとう 類 の 本 は,これまで ももちろん 多 数 出 版 されてるが, 本 書 はあえて 実 験 レポー トを 書 くこと を 指 南 してる 原 書 は``Successful Lab Reports: A Manual for Science Students'' とうタイトルで, 20 年 ほど 前 に Cambridge University Press から 刊 行 されて る 定 番 書 である ジャーナルの 論 文 の 書 き 方 を 教 えてくれる 上 級 者 向 けの 書 籍 を 読 んでも, 実 際 のところ 実 験 レポートを 書 く にはどうしたらよのかはわからなことが 多 本 書 は,あ くまで 初 めて 実 験 レポートを 書 く 理 系 の 学 部 生 に 向 けて 書 かれ てる 構 成 は,Part 1 レポートの 下 書 きをする レポート のフォーマット で,レポートの 構 成 やイントロダクションの 書 き 方, 仮 説 の 立 て 方, 表 グラフ 文 章 のどれで 書 くべきか などとったことが 述 べられ, 続 く Part 2 レポートを 完 成 させる レポートのスタイル では, 下 書 きの 書 き 直 し 方 が 実 際 の 添 削 例 なども 交 えて 指 南 されてる 紹 介 上 は 書 き 方 と 表 記 してしまってるが, 実 際 の 読 後 感 は,どのように 書 く かとうテクニック 的 なことではなく,むしろ,どのように 考 えを 進 めるか,どのように 進 めば 自 分 を 含 めたが 読 者 が 正 し 見 解 にたどり 着 けるかとったことが 中 心 に 据 えられてると 感 じる このような 基 本 的 なことが 身 に 付 てれば, 実 験 を することと 論 文 を 書 くことの 間 の 溝 は 限 りなく 狭 まるのだろう と, 学 部 をはるか 昔 に 卒 業 した 者 であれ 自 戒 の 念 を 否 めな (ISBN 978 4 621 08498 4 A5 判 100 ページ 1,800 円 + 税 2011 年 刊 丸 善 出 版 ) 186 ぶんせき