農 林 水 産 物 食 品 輸 出 環 境 課 題 レポート (2014/2015) 平 成 27 年 4 月 2 4 日
- 目 次 - 1.はじめに 1 2. 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 2 3. 品 目 横 断 的 な 課 題 への 対 応 (1) 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 への 対 応 9 (2) 動 植 物 検 疫 協 議 への 対 応 10 (3) 食 品 安 全 に 関 する 規 制 の 強 化 への 対 応 11 (4) 残 留 農 薬 基 準 への 対 応 12 (5) 知 的 財 産 侵 害 への 対 応 13 (6)ハラール 認 証 の 取 得 への 対 応 14 (7) 有 機 同 等 性 の 承 認 の 取 得 への 対 応 15 (8)その 他 の 取 組 み 15 4. 重 点 品 目 の 輸 出 環 境 課 題 を 巡 る 状 況 (1) 加 工 食 品 16 (2) 水 産 物 19 (3)コメ コメ 加 工 品 21 (4) 林 産 物 23 (5) 花 き 24 (6) 青 果 物 26 (7) 牛 肉 29 (8) 茶 31 5. 参 考 (1) 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 について 33 (2) 品 目 別 輸 出 団 体 の 発 足 状 況 35 (3) 品 目 別 輸 出 拡 大 方 針 36 (4) 主 な 輸 出 先 国 地 域 における 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 の 概 要 48 (5) 当 面 取 り 組 むべき 輸 出 環 境 課 題 について 49
1.はじめに 我 が 国 では 少 子 高 齢 化 の 進 行 等 により 農 林 水 産 物 食 品 市 場 が 減 少 傾 向 にある 一 方 で 世 界 の 食 市 場 は 平 成 21(2009) 年 の 340 兆 円 から 平 成 32(2020) 年 には 680 兆 円 ま で 倍 増 すると 推 計 されており 特 に 中 国 インドを 含 むアジア 全 体 の 市 場 規 模 は 所 得 水 準 の 向 上 による 富 裕 層 の 増 加 や 人 口 増 加 等 に 伴 い 82 兆 円 から 229 兆 円 まで3 倍 に 増 加 す ると 推 計 されている 1 我 が 国 からの 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 を 拡 大 し 我 が 国 の 農 林 水 産 業 を 成 長 産 業 にするためには この 世 界 の 食 市 場 の 成 長 を 取 り 込 むことが 不 可 欠 である 農 林 水 産 省 においては 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 を 平 成 32(2020) 年 までに1 兆 円 規 模 に 拡 大 するとの 目 標 を 掲 げ その 達 成 に 向 けて 平 成 25(2013) 年 8 月 農 林 水 産 物 食 品 の 国 別 品 目 別 輸 出 戦 略 ( 以 下 輸 出 戦 略 という ) を 策 定 した 同 戦 略 において は 日 本 食 を 特 徴 付 けるコンテンツである1 加 工 食 品 2 水 産 物 3コメ コメ 加 工 品 4 林 産 物 5 花 き 6 青 果 物 7 牛 肉 8 茶 の8 品 目 を 重 点 品 目 とし 重 点 品 目 ごとに 重 点 国 地 域 を 定 め 輸 出 環 境 の 整 備 や 商 流 の 確 立 拡 大 を 図 っていくことを 位 置 づけてい る 輸 出 戦 略 にも 位 置 づけられているように 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 を 拡 大 していくため には 個 々の 輸 出 事 業 者 がバラバラにプロモーション 等 に 取 り 組 んでいる 状 況 を 改 め オ ールジャパンでの 実 効 性 ある 輸 出 拡 大 に 向 けた 取 組 体 制 を 整 備 することが 重 要 である ま た 併 せて 輸 出 したい 国 地 域 に 対 して 輸 出 したい 品 目 を 輸 出 できるよう 原 発 事 故 を 契 機 に 行 われている 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 に 対 する 輸 入 規 制 の 緩 和 撤 廃 に 向 けた 働 き かけや 輸 出 先 国 地 域 が 求 める 基 準 認 証 等 の 撤 廃 緩 和 といった 輸 出 環 境 課 題 への 対 応 を 進 めていくこととしている こうした 考 えの 下 平 成 26(2014) 年 6 月 農 林 水 産 物 等 輸 出 促 進 全 国 協 議 会 に 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 を 設 置 し 関 係 省 庁 関 係 団 体 事 業 者 の 参 画 を 得 て 重 点 品 目 ごとに 輸 出 実 績 の 分 析 輸 出 戦 略 に 基 づく 取 組 の 検 証 プロモーション 活 動 や 環 境 整 備 等 具 体 的 な 取 組 方 針 をまとめたほか 輸 出 環 境 課 題 については 品 目 ごとに 優 先 的 に 対 応 する 必 要 があ る 課 題 をとりまとめた 今 後 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 において PDCA サイクル(Plan( 計 画 ) -Do( 実 行 )-Check( 評 価 )-Act( 改 善 ))に 基 づき 毎 年 度 の 取 組 の 進 捗 状 況 や 効 果 等 につ いて 検 証 を 行 い 必 要 な 見 直 しを 講 じていくこととしている 本 レポートは 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 での 議 論 の 結 果 を 基 に 農 林 水 産 省 において 重 点 品 目 の 輸 出 環 境 課 題 及 び 対 応 状 況 等 をまとめたものである 本 年 度 は 発 行 初 年 度 である ことから 現 時 点 において 重 要 と 考 えられる 輸 出 環 境 課 題 の 概 要 等 を 主 に 整 理 したが 今 後 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 での PDCA サイクルに 基 づく 検 証 結 果 を 踏 まえ 毎 年 度 の 進 捗 状 況 や 新 たに 生 じた 課 題 等 を 整 理 追 加 し 本 レポートを 更 新 充 実 化 していくことを 予 定 し ている 1 A.T.カーニー( 株 )の 推 計 を 基 に 農 林 水 産 省 で 算 出 1
2. 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 は 近 年 順 調 に 拡 大 し 平 成 19(2007) 年 には 5,160 億 円 となったが リーマンショック 等 を 契 機 とした 世 界 的 な 不 況 や 平 成 23(2011) 年 3 月 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 及 び 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 影 響 等 によって 減 少 し 5 千 億 円 の 壁 に 当 たっていた このような 中 農 林 水 産 業 の 成 長 産 業 化 を 目 指 すため 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 を 重 点 施 策 として 官 民 あげて 取 組 んできたところ 平 成 25(2013) 年 には 増 加 に 転 じ 輸 出 額 の 統 計 を 取 り 始 めた 昭 和 30(1955) 年 以 降 最 高 額 の 5,505 億 円 を 記 録 した 平 成 26(2014) 年 も 堅 調 に 拡 大 し 記 録 を 更 新 して 過 去 最 高 額 の 6,117 億 円 ( 対 前 年 比 +11.1%)となり 初 の6 千 億 円 台 に 到 達 した 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 の 推 移 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 を 品 目 別 で 見 ると 水 産 物 が 約 4 割 加 工 食 品 が 約 3 割 を 占 めている また 国 地 域 別 に 見 ると 1 位 香 港 2 位 米 国 3 位 台 湾 4 位 中 国 5 位 韓 国 となっており 地 域 別 ではアジアが 72% 北 米 が 17%と アジア 向 けの 輸 出 が 大 半 を 占 める 構 造 となっている 国 地 域 別 輸 出 額 ( 平 成 26 年 (2014 年 )) ( 億 円 ) 2
農 林 水 産 省 では 平 成 32(2020) 年 までに 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 を1 兆 円 規 模 に 拡 大 するという 目 標 を 掲 げており この 目 標 の 達 成 のため 輸 出 環 境 の 整 備 や 商 流 の 拡 大 に 取 り 組 んでいくこととしている 特 に 輸 出 環 境 の 整 備 については 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 といった 複 数 品 目 に 共 通 する 品 目 横 断 的 な 課 題 と 各 品 目 固 有 の 課 題 があり それぞ れに 重 要 度 や 難 易 度 を 考 慮 し 優 先 順 位 を 付 して 解 決 に 向 けて 取 り 組 んでいくことが 重 要 である ( 参 考 ) 農 林 水 産 物 食 品 の 国 別 品 目 別 輸 出 戦 略 ( 平 成 25(2013) 年 8 月 策 定 ) 3
コラム 世 界 の 食 品 輸 出 大 国 から 考 える 1. 自 国 の 特 性 を 活 かした 輸 出 の 促 進 2014 年 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 は 6,117 億 円 と 過 去 最 高 額 を 記 録 しま した しかし 世 界 に 目 を 転 じると 米 国 オランダ ドイツ 中 国 ブラジル フラ ンス 等 は 日 本 の 数 十 倍 の 輸 出 額 となっており 農 産 物 の 輸 出 額 では 日 本 は 57 位 となっ ています また 日 本 の 農 林 水 産 業 の 産 出 額 10 兆 3,349 億 円 (2012 年 )と 比 べ 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 は 著 しく 小 さい 状 況 となっています 世 界 で 輸 出 額 の 上 位 に 名 を 連 ねている 国 々を 見 ると 様 々な 特 徴 があることがわかり ます 例 えば 米 国 では 大 豆 やとうもろこし ブラジルでは 大 豆 や 砂 糖 カナダでは 小 麦 や 菜 種 といった 品 目 が 上 位 を 占 めていますが こうした 国 土 面 積 の 大 きな 農 業 大 国 は 広 い 土 地 を 利 用 して 生 産 した 穀 物 等 を 比 較 的 素 材 に 近 い 形 で 他 の 国 地 域 に 輸 出 してい ます 一 方 加 工 貿 易 や 中 継 貿 易 により 輸 出 を 伸 ばしている 国 もあります 例 えばオランダ は 国 土 面 積 の 小 さい 国 でありながらも 野 菜 花 き 等 の 施 設 栽 培 等 の 集 約 的 農 業 が 展 開 されている 他 海 外 から カカオ 豆 を 輸 入 し チョコレート 等 の 調 製 品 に 葉 たば こ を 輸 入 し たばこ に 加 工 した 上 で 輸 出 するなど 原 材 料 となる 輸 入 農 作 物 を 加 工 し 付 加 価 値 を 高 めて 他 国 に 輸 出 する 加 工 貿 易 を 行 っています また オランダは 欧 州 の 中 央 部 に 位 置 する 利 点 を 活 かして 南 欧 から 輸 入 した 野 菜 等 を 他 国 に 輸 出 する 中 継 貿 易 も 行 っています このように 自 国 の 農 業 構 造 立 地 条 件 輸 出 先 の 状 況 等 の 様 々な 要 素 を 活 かしなが ら 輸 出 促 進 に 取 り 組 んでいくことが 重 要 となっています 4
5
6
2. 食 文 化 の 普 及 確 立 と 一 体 となった 輸 出 の 促 進 近 年 日 本 でも 外 国 料 理 が 高 い 人 気 を 博 していますが 中 でも イタリアン や フ レンチ といった 外 国 料 理 は 世 界 の 多 くの 国 々で 愛 される 豊 かな 食 文 化 として 確 立 し ています こうした 豊 饒 な 食 文 化 を 生 み 出 し そして 世 界 中 に 普 及 確 立 させたフラン スやイタリアは 同 時 に 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 大 国 でもあります 実 際 イタリアやフランスは 自 国 の 食 文 化 の 売 り 込 みと 一 体 となって 輸 出 促 進 を 進 めており イタリアン や フレンチ と 関 連 する 食 材 の 輸 出 が 主 力 となっています 例 えば イタリアでは イタリアン の 中 核 をなす ワイン チーズ マカロニ オリ ーブ 油 といった 食 品 が 輸 出 上 位 品 目 となっています フランスでも 同 様 に フレンチ を 形 作 るワイン 蒸 留 酒 チーズといった 食 品 が 輸 出 上 位 品 目 となっています 7
食 文 化 の 普 及 確 立 と 一 体 的 に 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 拡 大 を 目 指 していく 上 で 日 本 は 大 いに 可 能 性 を 秘 めています 例 えば 好 きな 外 国 料 理 を 各 国 で 調 査 したところ 一 番 人 気 が 高 いのは 日 本 料 理 であるという 結 果 が 出 ています(ジェトロ 調 査 ) また 2013 年 には 和 食 がユネスコ 無 形 文 化 遺 産 に 登 録 されました 高 まる 日 本 食 食 文 化 への 関 心 人 気 を 追 い 風 に 日 本 酒 茶 味 噌 醤 油 など 日 本 食 を 象 徴 する 品 目 の 輸 出 は 着 実 に 伸 びています また 2015 年 に 開 催 される 食 をテーマとしたミラノ 万 博 は 日 本 の 食 文 化 の 素 晴 ら しさを 発 信 する 絶 好 の 機 会 であり 日 本 館 で 官 民 一 体 となって 食 に 関 する 様 々な 展 示 を 行 うこととしています また 2020 年 のオリンピック パラリンピック 東 京 大 会 は 世 界 中 から 多 くの 人 が 日 本 を 訪 問 し 日 本 の 食 を 体 験 するチャンスになります このよう な 世 界 的 なイベントの 機 会 を 捉 えて 日 本 食 食 文 化 の 普 及 確 立 と 一 体 となって 輸 出 に 取 り 組 んでいくことが 重 要 となっています 8
3. 品 目 横 断 的 な 課 題 への 対 応 (1) 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 への 対 応 平 成 23(2011) 年 3 月 に 発 生 した 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 に 伴 い 多 くの 国 地 域 において 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 入 停 止 や 放 射 性 物 質 検 査 証 明 書 の 要 求 といった 輸 入 規 制 措 置 が 講 じられた 国 内 では 事 故 発 生 直 後 から 安 全 な 食 料 の 供 給 のために 農 林 水 産 物 の 放 射 性 物 質 検 査 が 行 われ 基 準 値 を 超 える 放 射 性 物 質 が 検 出 された 農 林 水 産 物 が 市 場 に 出 回 らないよ う 対 策 が 講 じられている これら 日 本 の 食 品 の 安 全 確 保 のための 取 組 については 国 際 原 子 力 機 関 (IAEA)からも 日 本 のモニタリングや 放 射 性 物 質 汚 染 食 品 への 対 応 は 適 切 である フードチェーンは 管 理 されている と 高 い 評 価 を 受 けているところである 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 入 規 制 を 導 入 した 国 地 域 に 対 しては このような 我 が 国 が 実 施 している 食 品 モニタリング 検 査 や 出 荷 制 限 等 の 食 品 の 安 全 確 保 のための 措 置 の 説 明 や モニタリング 検 査 の 結 果 等 の 科 学 的 データの 提 供 等 を 丁 寧 に 行 い IAEA の 評 価 結 果 等 も 示 しながら 二 国 間 交 渉 及 び 国 際 会 議 等 の 場 で 政 府 一 体 となって 輸 入 規 制 の 緩 和 撤 廃 を 働 きかけてきた これらの 結 果 平 成 26(2014) 年 12 月 までにカナダ ベトナム オーストラリア 等 13 カ 国 において 全 ての 規 制 措 置 が 撤 廃 され 輸 入 規 制 措 置 が 緩 和 された 国 地 域 は 平 成 26(2014) 年 1 月 以 降 のみを 見 ても EU シンガポール タイ 等 9カ 国 地 域 に 上 る 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 に 対 する 輸 入 規 制 は 着 実 に 緩 和 撤 廃 されてきている 輸 入 規 制 完 全 撤 廃 最 近 の 輸 入 規 制 緩 和 ( 例 ) 9
このような 中 我 が 国 からの 輸 出 額 上 位 5カ 国 ( 地 域 )に 含 まれている 香 港 台 湾 中 国 韓 国 においては 未 だに 福 島 県 やその 他 の 一 部 地 域 からの 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 入 停 止 措 置 が 維 持 されており 輸 出 拡 大 を 図 る 上 での 大 きな 阻 害 要 因 となってい る これらの 国 地 域 に 対 し 国 際 会 議 等 の 機 会 や 在 外 公 館 在 京 大 使 館 等 を 通 じて 重 点 的 に 輸 入 規 制 緩 和 撤 廃 を 働 きかけているところである このうち 台 湾 においては 輸 入 停 止 対 象 地 域 で 生 産 された 日 本 産 食 品 の 産 地 表 示 が 偽 装 されて 輸 入 されているとされ その 事 実 関 係 が 明 らかにされないまま 輸 入 規 制 を 強 化 することが 平 成 27(2015) 年 4 月 15 日 に 公 告 された(30 日 後 に 施 行 予 定 ) この 事 実 関 係 については 日 台 が 協 力 して 調 査 することとし 輸 入 規 制 の 強 化 については 科 学 的 根 拠 に 基 づかないものとして 台 湾 に 対 し 撤 回 するよう 強 く 申 し 入 れているところで ある( 平 成 27(2015) 年 4 月 23 日 現 在 ) また 韓 国 については 平 成 25(2013) 年 9 月 青 森 岩 手 宮 城 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 千 葉 の8 県 産 の 水 産 物 を 輸 入 停 止 にする 等 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 に 対 す る 輸 入 規 制 を 強 化 した これを 受 け 我 が 国 は 韓 国 に 対 してこの 輸 入 規 制 の 緩 和 撤 廃 を 強 く 申 し 入 れてきたところである これらの 働 きかけの 結 果 平 成 26(2014) 年 12 月 及 び 平 成 27(2015) 年 1 月 韓 国 の 専 門 家 委 員 会 が 来 日 し 現 地 調 査 を 行 っ たところであり 今 後 も 緩 和 撤 廃 に 向 けて 働 きかけを 続 けていくこととしている 主 な 輸 出 先 国 地 域 における 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 停 止 措 置 ( 平 成 27 年 4 月 10 日 現 在 ) (2) 動 植 物 検 疫 協 議 への 対 応 日 本 産 の 農 畜 産 物 に 対 するニーズがある 国 地 域 や 事 業 者 が 輸 出 したいと 考 える 国 地 域 において 日 本 産 農 畜 産 物 の 輸 入 が 検 疫 上 の 理 由 から 禁 止 されている 場 合 があ る また 輸 入 が 認 められている 国 地 域 でも 品 目 によっては 厳 しい 条 件 が 課 されて いる 場 合 もある これらの 国 地 域 における 日 本 産 農 畜 産 物 の 輸 入 解 禁 や 条 件 緩 和 を 実 現 するためには 輸 入 解 禁 又 は 条 件 緩 和 を 相 手 国 地 域 に 要 請 し 輸 出 条 件 について 協 議 を 行 う 必 要 がある 10
輸 入 解 禁 や 条 件 緩 和 のためには 病 害 虫 や 疾 病 に 関 して 科 学 的 知 見 に 基 づくリスク 評 価 等 が 行 われることから 要 請 から 合 意 に 至 るまで 数 年 以 上 を 要 する 特 に 相 手 国 地 域 で 発 生 がない 病 害 虫 や 疾 病 が 日 本 で 発 生 している 場 合 には 協 議 が 相 当 長 期 に 及 ぶ 場 合 もある 農 林 水 産 省 では 輸 出 戦 略 に 位 置 づけられた 重 点 品 目 重 点 国 地 域 を 中 心 に 動 植 物 検 疫 協 議 を 実 施 し 着 実 に 成 果 を 上 げてきたところであり 今 後 は ジャパンブランド によるマーケティングを 行 う 観 点 から 輸 出 戦 略 実 行 委 員 会 において 優 先 順 位 付 けを 行 い 戦 略 的 に 検 疫 交 渉 を 実 施 していくこととしている 平 成 26(2014) 年 以 降 の 実 績 及 び 今 後 優 先 的 に 対 応 する 国 地 域 及 び 品 目 平 成 26 年 以 降 の 実 績 今 後 優 先 的 に 対 応 する 国 地 域 及 び 品 目 米 国 うんしゅうみかん 輸 出 の 検 疫 条 件 緩 和 タイ かんきつ 類 輸 出 の 検 疫 条 件 緩 和 (2014 年 11 月 ) ヘ トナム りんご 輸 出 解 禁 農 産 物 豪 州 ぶどう 輸 出 解 禁 (2014 年 12 月 ) 米 国 かき 輸 出 解 禁 台 湾 トマト 輸 出 解 禁 メキシコ 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 2 月 ) タイ 牛 肉 輸 出 月 齢 制 限 撤 廃 ニューシ ーラント 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 2 月 ) 台 湾 牛 肉 輸 出 解 禁 フィリヒ ン 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 3 月 ) 中 国 牛 肉 輸 出 解 禁 ヘ トナム 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 3 月 ) 豪 州 牛 肉 輸 出 解 禁 シンカ ホ ール 牛 肉 検 疫 条 件 緩 和 (2014 年 3 月 ) イスラム 圏 (マレーシア サウシ ラヒ ア 等 ) 牛 畜 産 物 EU 牛 肉 輸 出 開 始 (2014 年 6 月 ) 肉 輸 出 解 禁 カタール 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 7 月 ) イント ネシア 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 11 月 ) ロシア 牛 肉 輸 出 解 禁 (2014 年 12 月 ) 香 港 牛 肉 検 疫 条 件 緩 和 (2015 年 1 月 ) (3) 食 品 安 全 に 関 する 規 制 の 強 化 への 対 応 食 品 安 全 に 関 する 規 制 として 主 要 国 地 域 において 食 品 事 業 者 に 対 して HACCP( 危 害 要 因 分 析 重 要 管 理 点 ) 2 に 基 づく 衛 生 管 理 を 義 務 化 する 流 れにある 米 国 においては 一 部 の 食 品 ( 水 産 物 及 びジュースの 加 工 輸 入 食 肉 及 び 食 肉 製 品 ) に HACCP による 衛 生 管 理 が 義 務 化 されている 平 成 23(2011) 年 1 月 に 成 立 した 食 品 安 全 強 化 法 (FSMA)の 一 部 規 則 では その 他 の 品 目 も 含 め 米 国 内 で 消 費 される 食 品 を 製 造 加 工 包 装 保 管 する 全 ての 施 設 について HACCP の 概 念 を 取 り 入 れた 措 置 の 計 画 実 行 等 が 義 務 づけられることになっている( 平 成 27(2015) 年 8 月 から 順 次 施 行 の 見 込 み) 米 国 は 我 が 国 からの 農 林 水 産 物 食 品 輸 出 額 第 2 位 であり この FSMA は 米 国 に 輸 出 される 食 品 の 製 造 事 業 者 等 にも 大 きく 影 響 する(HACCP 義 務 化 日 本 も 含 む 外 国 の 食 品 供 給 業 者 に 対 するアメリカ 食 品 医 薬 品 局 (FDA)による 査 察 の 増 加 等 )ことから 日 本 においては 日 本 貿 易 振 興 機 構 (JETRO)が 開 催 するセミナー 等 を 通 じて 事 業 者 に FSMA に 関 する 情 報 提 供 周 知 を 進 めているところである 2 Hazard Analysis and Critical Control Point の 略 原 料 受 入 から 最 終 製 品 までの 各 工 程 で 微 生 物 による 汚 染 金 属 の 混 入 等 の 危 害 を 予 測 ( 危 害 要 因 分 析 :Hazard Analysis)した 上 で 危 害 の 防 止 につながる 特 に 重 要 な 工 程 ( 重 要 管 理 点 :Critical Control Point)を 継 続 的 に 監 視 記 録 する 工 程 管 理 のシステム 11
EU では 一 次 産 品 を 除 く 全 ての 食 品 の 生 産 加 工 流 通 事 業 者 に HACCP の 概 念 を 取 り 入 れた 衛 生 管 理 を 義 務 づけている( 平 成 18(2006) 年 完 全 適 用 ) その 他 台 湾 では 一 部 の 事 業 者 ( 食 肉 加 工 事 業 者 乳 製 品 加 工 事 業 者 水 産 食 品 事 業 者 )に 対 して HACCP が 義 務 化 されており 韓 国 カナダ オーストラリア ニュージーランド 等 でも 一 部 の 食 品 又 は 事 業 者 に 対 して HACCP に 基 づく 製 造 が 義 務 化 されている また 直 近 では 中 国 において 食 品 安 全 法 の 改 正 が 検 討 されており 平 成 26(2014) 年 12 月 に 示 された 改 正 第 3 次 案 では 現 行 法 に 引 き 続 き 中 国 国 内 に 流 通 する 食 品 を 製 造 する 事 業 者 に 対 して HACCP の 実 施 により 安 全 管 理 水 準 を 向 上 させることを 推 奨 する としているほか 中 国 に 食 品 を 輸 出 する 事 業 者 に 対 して 登 録 を 求 めるなど 輸 入 食 品 を 含 めた 食 品 全 般 に 対 する 規 制 強 化 が 盛 り 込 まれている 韓 国 でも 平 成 27(2015) 年 2 月 に 輸 入 食 品 安 全 管 理 特 別 法 が 制 定 され 韓 国 に 輸 出 される 全 ての 食 品 の 製 造 業 者 に 対 して 登 録 制 を 導 入 するとしているほか 海 外 の 食 品 製 造 事 業 者 に 対 する 現 地 査 察 を 行 うなど 安 全 管 理 を 強 化 する 動 きにある 日 本 においても HACCP に 基 づく 工 程 管 理 を 推 進 しており 大 企 業 の HACCP 導 入 率 は 7~8 割 であるが 中 小 企 業 では3 割 弱 にとどまっている こうした 状 況 を 踏 まえ HACCP の 導 入 を 促 進 するため 食 品 の 製 造 過 程 の 管 理 の 高 度 化 に 関 する 臨 時 措 置 法 等 に よって HACCP を 導 入 しようとする 事 業 者 への 支 援 を 行 っているところである また 食 料 産 業 において 海 外 から 衛 生 管 理 等 の 取 組 が 評 価 される 環 境 を 整 えるため 日 本 発 の 食 品 安 全 のマネジメントに 関 する 規 格 認 証 スキームを 構 築 するとの 方 針 が 平 成 26(2014) 年 8 月 に 食 料 産 業 における 国 際 標 準 戦 略 検 討 会 において 取 りまとめら れ 現 在 その 内 容 の 具 体 化 に 向 けた 検 討 が 進 められているところである さらに 厚 生 労 働 省 においても 食 品 衛 生 法 に 基 づき 都 道 府 県 等 が 営 業 施 設 の 衛 生 管 理 上 講 ずべき 措 置 を 条 例 で 定 める 場 合 の 技 術 的 助 言 として 示 している 食 品 等 事 業 者 が 実 施 すべき 管 理 運 営 基 準 に 関 する 指 針 (ガイドライン) を 平 成 26(2014) 年 5 月 に 改 正 し 新 たに HACCP による 衛 生 管 理 を 設 定 した これにより 食 品 等 事 業 者 が HACCP による 衛 生 管 理 と 従 来 の 衛 生 管 理 のいずれかにより 衛 生 管 理 を 実 施 できるようになっ た また と 畜 場 及 び 食 鳥 処 理 場 についても 関 係 法 令 の 改 正 によって HACCP による 衛 生 管 理 と 従 来 の 衛 生 管 理 のいずれかにより 衛 生 管 理 を 実 施 できることとなった (4) 残 留 農 薬 基 準 への 対 応 農 林 水 産 物 食 品 を 輸 出 するに 当 たっては その 商 品 が 相 手 国 地 域 の 求 める 基 準 を 満 たしていることが 大 前 提 となる 例 えば 食 品 中 の 残 留 農 薬 基 準 値 は 消 費 者 の 健 康 を 保 護 しつつ 各 国 地 域 で 定 める 方 法 で 農 薬 を 使 用 して 農 産 物 中 にそれ 以 上 残 留 する ことが 考 えられない 濃 度 として 設 定 されている 国 地 域 によって 栽 培 される 作 物 発 生 する 病 害 虫 が 異 なるため 使 用 する 農 薬 や 使 用 方 法 が 異 なる 例 えば 茶 は 米 国 EU ではほとんど 栽 培 されないため 使 用 できる 農 薬 の 種 類 が 少 なく 使 用 できる 農 薬 で あっても 日 本 と 基 準 値 が 異 なるものもある このため 日 本 で 通 常 流 通 している 作 物 を 輸 出 したとしても 輸 出 先 国 地 域 での 基 準 に 違 反 する 場 合 がある 12
我 が 国 からの 輸 出 額 第 1 位 である 香 港 では 平 成 26(2014) 年 8 月 から 残 留 農 薬 のポ ジティブリスト 制 3 が 導 入 されたが 日 本 で 青 果 物 や 茶 の 生 産 に 使 用 されている 多 くの 農 薬 について 残 留 農 薬 基 準 値 が 設 定 されておらず また 基 準 値 が 定 められていない 農 薬 については 一 切 検 出 されてはならないという 規 則 になっている また 我 が 国 からの 輸 出 額 第 3 位 である 台 湾 においても 残 留 農 薬 のポジティブリス ト 制 が 導 入 されており 香 港 と 同 様 基 準 値 が 定 められていない 農 薬 については 一 切 検 出 されてはならないこととされている さらに 生 鮮 いちごは 全 ロット 検 査 うんしゅ うみかん マンダリン 類 緑 茶 及 び 茶 類 調 製 品 等 についてはサンプル 頻 度 強 化 (20~50%) 措 置 がとられており 台 湾 での 検 査 の 結 果 残 留 農 薬 基 準 違 反 で 廃 棄 等 の 処 分 を 受 ける 事 案 が 生 じている 輸 出 先 国 地 域 の 残 留 農 薬 基 準 に 沿 った 総 合 的 病 害 虫 雑 草 管 理 (IPM) 等 の 生 産 体 系 の 構 築 等 を 行 うことがまず 必 要 であるが 代 替 農 薬 等 が 無 く 使 用 せざるを 得 ない 農 薬 がある 場 合 には 相 手 国 地 域 に 対 して 当 該 農 薬 に 関 するインポートトレランス 4 を 申 請 していく 必 要 がある なお 輸 出 先 国 地 域 の 残 留 農 薬 基 準 が 変 更 になることがあるため 常 時 関 係 情 報 等 を 収 集 し 生 産 者 等 に 提 供 していく 必 要 がある (5) 知 的 財 産 侵 害 への 対 策 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 の 世 界 的 な 評 価 の 高 まりを 背 景 に 中 国 等 において 我 が 国 の 地 名 等 が 商 標 登 録 出 願 される 事 例 や 市 場 に 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 のブランドイ メージに 便 乗 した 模 倣 品 や 産 地 偽 装 が 疑 われる 商 品 が 流 通 するといった 事 例 が 確 認 さ れている 他 国 地 域 において 我 が 国 の 地 名 等 が 商 標 として 登 録 された 場 合 その 商 標 と 同 一 又 は 類 似 の 地 名 を 付 して 販 売 すると 権 利 者 から 警 告 提 訴 される 可 能 性 がある また 日 本 国 内 で 育 成 品 種 登 録 された 種 苗 が 育 成 者 権 者 に 無 断 で 品 種 保 護 制 度 のな い 国 地 域 や 当 該 植 物 を 保 護 対 象 としていない 国 地 域 に 持 ち 出 され 現 地 で 生 産 され るといった 事 例 も 生 じており 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 促 進 を 図 る 上 で これ らの 知 的 財 産 の 侵 害 が 大 きな 支 障 となる 可 能 性 がある こうした 状 況 を 踏 まえ 農 林 水 産 省 では 海 外 での 知 的 財 産 権 取 得 や 第 三 者 による 商 標 出 願 に 関 する 情 報 把 握 等 を 行 うため 海 外 における 知 的 財 産 制 度 や 我 が 国 農 林 水 産 物 食 品 の 模 倣 品 の 発 生 状 況 等 に 関 する 現 地 調 査 や 食 品 企 業 の 知 的 財 産 担 当 OB 等 を 活 用 した 国 地 域 別 担 当 者 ( 相 談 窓 口 )の 設 置 等 を 含 む 農 林 水 産 食 品 知 的 財 産 保 護 コ ンソーシアム を 立 ち 上 げるなど 知 的 財 産 侵 害 への 対 策 を 強 化 している また 東 南 アジア 諸 国 地 域 の 中 には 植 物 品 種 保 護 制 度 が 十 分 に 整 備 されていない 国 地 域 が 多 いため 平 成 20(2008) 年 より ASEAN+ 日 中 韓 からなる 東 アジア 植 物 品 種 保 護 フォーラム を 設 置 し 植 物 の 新 品 種 の 保 護 に 関 する 国 際 条 約 (UPOV 条 約 )に 準 拠 した 植 物 品 種 保 護 制 度 の 整 備 及 び 円 滑 な 運 営 を 図 るための 協 力 活 動 を 続 けている 3 食 品 中 に 残 留 する 農 薬 等 について 一 定 量 以 上 の 農 薬 等 が 残 留 する 食 品 の 販 売 等 を 禁 止 する 制 度 農 薬 等 は 原 則 禁 止 を 前 提 に 使 用 を 認 めるものについてリスト 化 する(ポジティブリスト) 方 式 4 海 外 で 使 用 が 認 められている 農 薬 等 について 申 請 国 地 域 に 登 録 がなくても 設 定 される 残 留 基 準 のこと 13
(6)ハラール 認 証 の 取 得 への 対 応 世 界 人 口 の4 人 に1 人 がムスリムと 言 われており 世 界 全 体 の 人 口 増 加 スピードより もムスリムの 人 口 増 加 スピードが 速 いことからも イスラム 圏 の 市 場 は 益 々 拡 大 してい くと 見 込 まれる この 巨 大 なイスラムの 食 市 場 に 進 出 していく 上 で ハラール 認 証 に 対 して 注 目 が 集 まっている ハラールとは イスラムの 法 において 合 法 を 意 味 し ハラール 食 品 とは イスラ ムの 法 に 基 づいて 食 べることを 許 された 食 品 を 意 味 する 5 ハラールではない 主 なもの としては 豚 や 犬 牙 を 持 つ 動 物 イスラムの 法 に 基 づくと 畜 法 によらず 死 んだ 動 物 の 肉 酒 などが 挙 げられる ハラール 認 証 とは その 食 品 がハラール 食 品 であることを 確 認 認 証 する 仕 組 み であるが 各 国 地 域 又 は 各 国 地 域 内 の 主 要 なイスラム 団 体 が 定 めた 宗 教 上 の 規 格 で あり 基 本 的 には 輸 入 規 制 ではない 中 東 湾 岸 諸 国 においてはハラール 認 証 の 有 無 に 係 わらず 原 則 的 にハラールでない 食 品 は 市 場 には 流 通 していない 例 えば サウジアラ ビアでは 豚 肉 や 酒 は 輸 入 禁 止 品 目 となっているが 東 南 アジア 等 においては 牛 肉 鶏 肉 等 を 除 き ハラールでない 食 品 も 輸 入 販 売 可 能 となっている 一 方 イスラム 圏 への 牛 肉 輸 出 のためには 家 畜 衛 生 条 件 のみならず 一 般 的 にハラ ール 認 証 取 得 が 条 件 となる 国 地 域 により 基 準 は 異 なるが 周 囲 に 豚 関 連 施 設 がない 等 の 条 件 を 満 たす 食 肉 処 理 施 設 において イスラムの 法 に 基 づいたと 畜 を 行 うといった 条 件 をクリアする 必 要 があり ハラールに 対 応 するための 食 肉 処 理 施 設 整 備 の 支 援 等 を 講 じてきたところである しかし 日 本 の 牛 肉 処 理 施 設 の 大 半 は 豚 の 処 理 も 行 っている ことから ハラール 認 証 取 得 が 困 難 なのが 実 態 である 平 成 26(2014) 年 11 月 には ムスリム 人 口 世 界 最 大 のインドネシア 向 け 牛 肉 輸 出 が 解 禁 され 同 国 の 基 準 でハラール 認 定 された1 施 設 からの 輸 出 が 可 能 となった 今 後 もイスラム 圏 への 輸 出 拡 大 が 期 待 さ れる 前 述 のとおり 牛 肉 鶏 肉 等 由 来 のものを 除 き 加 工 食 品 水 産 加 工 品 の 輸 出 につい ては 必 ずしもハラール 認 証 取 得 が 条 件 ではないが ハラール 認 証 を 取 得 することにより 輸 出 できる 地 域 市 場 の 拡 大 が 期 待 される しかし ハラール 認 証 は 各 国 地 域 ( 各 認 証 機 関 )によって 基 準 制 度 が 異 なっているため ハラール 食 品 として 輸 出 販 売 する ためには それぞれの 国 地 域 ( 認 証 団 体 )ごとに 認 証 を 取 得 する 必 要 がある そのた め 国 地 域 及 び 品 目 ごとに 確 認 と 対 応 が 必 要 となることから 各 国 地 域 のハラール 認 証 制 度 の 調 査 情 報 提 供 等 を 通 じて ハラール 認 証 の 取 得 を 目 指 す 事 業 者 等 を 支 援 し ている ハラール 認 証 のマーク( 例 ) マレーシア JAKIM インドネシア LPPOM-MUI 5 イスラムの 法 とは ムスリムが 従 って 生 きることになっている 神 の 命 令 とされているものであり ムスリ ムの 社 会 生 活 のすべての 領 域 出 生 結 婚 死 亡 など 個 人 の 人 生 の 節 目 に 関 しても イスラムの 法 が 様 々な 規 定 を 与 えている なお ハラール の 規 定 は 基 本 的 には 法 律 ( 世 俗 法 )ではなく 宗 教 上 の 規 定 で あり 成 文 化 されておらず 詳 細 な 内 容 は 国 や 地 域 によって 異 なる 14
(7) 有 機 同 等 性 の 承 認 の 取 得 への 対 応 輸 出 先 国 地 域 における 消 費 者 の 嗜 好 等 を 踏 まえ 有 機 栽 培 等 に 取 り 組 む 生 産 者 が 増 えつつある 原 則 として 有 機 の 名 称 を 表 示 して 海 外 で 商 品 を 販 売 するためには 当 該 国 地 域 の 有 機 規 格 に 適 合 することの 審 査 を 受 け 認 証 を 得 ることが 必 要 となる これは 有 機 食 品 の 輸 出 に 取 り 組 もうとする 事 業 者 の 負 担 となることから 農 林 水 産 省 で は 両 国 地 域 の 有 機 認 証 体 制 が 同 等 である 旨 を 認 める 有 機 制 度 の 同 等 性 に 関 する 協 議 を 諸 外 国 地 域 との 間 で 進 め これまでに EU 米 国 カナダ スイスとの 間 で 同 等 性 を 相 互 に 認 めた これによって これらの 国 地 域 への 輸 出 に 際 しては 日 本 で 有 機 認 証 を 取 得 すれば 商 品 に organic 等 と 表 示 して 輸 出 できることとなっている 有 機 制 度 の 同 等 性 を 活 用 することにより 緑 茶 こんにゃく 梅 加 工 品 ( 梅 干 し 等 ) 大 豆 加 工 品 (みそ 醤 油 ) もち 等 の 有 機 食 品 が 我 が 国 から 輸 出 されている 今 後 も 有 機 農 産 物 等 の 輸 出 促 進 に 向 け 有 機 事 業 者 の 輸 出 ニーズを 踏 まえつつ 諸 外 国 地 域 か らの 有 機 同 等 性 の 承 認 の 取 得 や 既 に 同 等 性 を 取 得 した 国 地 域 への 輸 出 条 件 の 改 善 等 を 図 っていくこととしている (8)その 他 の 取 組 み その 他 の 品 目 横 断 的 な 課 題 として 国 内 外 の 流 通 に 関 する 課 題 がある 一 つ 目 に 卸 売 市 場 について 卸 売 市 場 は 農 水 産 物 の 集 荷 販 売 における 主 要 拠 点 として 輸 出 に 果 たす 役 割 が 期 待 される 一 方 で 代 金 決 済 リスクや 海 外 の 卸 売 市 場 会 社 との 提 携 品 質 管 理 及 び 鮮 度 保 持 のための 施 設 整 備 輸 出 手 続 きの 簡 素 化 などの 課 題 があり これら 課 題 の 実 情 の 把 握 と 対 応 方 向 の 洗 い 出 しを 行 っている 二 つ 目 は 物 流 の 効 率 化 等 で 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 に 係 る 物 流 における 複 数 事 業 者 間 ( 生 産 者 製 造 業 者 物 流 事 業 者 等 )の 情 報 共 有 に 有 益 なマッチングシステムの 構 築 や 物 流 効 率 化 による 海 外 販 路 拡 大 策 について 検 討 を 行 っている また 品 目 横 断 的 に 様 々な 課 題 が 存 在 する 国 がある 例 えば インドネシアでは 加 工 品 については ML 番 号 制 度 青 果 物 食 肉 加 工 品 の 一 部 については 輸 入 ライセンス 制 度 青 果 物 については 輸 入 港 制 限 や 生 産 国 認 定 制 度 等 品 目 毎 に 様 々な 課 題 がある インドネシアは 今 後 更 なる 人 口 増 加 と 経 済 発 展 が 見 込 まれることから このような 課 題 は 我 が 国 の 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 を 拡 大 していく 上 で 大 きな 阻 害 要 因 である 各 課 題 については 優 先 順 位 を 設 定 し 我 が 国 からインドネシア 政 府 に 対 して 働 き 掛 けを 行 っているところである このような 様 々な 輸 出 環 境 課 題 の 解 決 に 向 けた 取 組 を 進 める 一 方 で 輸 出 戦 略 に おける 重 点 国 の 主 要 都 市 に 海 外 連 絡 協 議 会 を 設 置 し 現 地 での 我 が 国 の 食 品 関 連 事 業 者 の 事 業 展 開 を 支 援 するとともに 日 本 産 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 拡 大 の 取 組 及 び 日 本 食 文 化 の 普 及 の 取 組 を 一 体 的 に 行 っているところである 15
4. 重 点 品 目 の 輸 出 環 境 課 題 を 巡 る 状 況 輸 出 戦 略 においては 日 本 食 を 特 徴 付 けるコンテンツである1 加 工 食 品 2 水 産 物 3コメ コメ 加 工 品 4 林 産 物 5 花 き 6 青 果 物 7 牛 肉 8 茶 の8 品 目 を 重 点 品 目 として 位 置 づけ 品 目 ごとに 重 点 国 地 域 を 定 め 輸 出 環 境 の 整 備 や 商 流 の 拡 大 を 図 っていくこととしている このうち 輸 出 環 境 の 整 備 については 重 点 国 地 域 への 輸 出 拡 大 を 図 る 上 で 支 障 に なっている 又 は 今 後 支 障 になると 想 定 される 課 題 について その 課 題 の 重 要 度 や 難 易 度 を 踏 まえつつ 優 先 順 位 を 付 して 解 決 に 向 けて 取 り 組 んでいくこととしている (1) 加 工 食 品 1 輸 出 実 績 加 工 食 品 ( 調 味 料 類 菓 子 類 清 涼 飲 料 水 等 )は 1,780 億 円 (2014 年 )と 対 前 年 比 +18.6% 増 加 し 農 林 水 産 物 食 品 の 輸 出 額 の 全 体 の 約 3 割 を 占 めている 主 要 な 輸 出 先 は 米 国 香 港 台 湾 等 の 日 本 食 市 場 がある 程 度 確 立 した 国 地 域 となっており 輸 出 額 を 増 やすためには 輸 出 できる 加 工 食 品 の 種 類 の 拡 大 と 新 規 市 場 の 開 拓 がカギ となっている 加 工 食 品 の 輸 出 額 の 推 移 ( 国 地 域 別 ) ( 億 円 ) 2,000 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 +18.6% 1,780 1,464 1,502 1,286 1,299 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 その 他 中 国 韓 国 台 湾 香 港 米 国 加 工 食 品 の 品 目 別 輸 出 額 (2014 年 ) 16
2 輸 出 戦 略 上 の 位 置 づけ 加 工 食 品 のカテゴリーには 様 々な 種 類 の 食 品 が 含 まれるため 主 な 品 目 ごとに 目 標 と 方 向 性 を 定 めている 加 工 食 品 全 体 として 平 成 32(2020) 年 までに 5,000 億 円 に 拡 大 することを 目 標 としており これは 農 林 水 産 物 食 品 全 体 の 目 標 額 (1 兆 円 )の 半 分 を 占 める 額 である 重 点 国 地 域 については 品 目 ごとに 異 なるが 米 国 台 湾 韓 国 香 港 等 の 安 定 市 場 に 加 え インドネシア マレーシア ベトナム タイ シンガポール フィリピン 等 の 東 南 アジア 地 域 を 新 興 市 場 と 位 置 づけている 品 目 調 味 料 類 菓 子 類 ( 米 菓 以 外 ) 清 涼 飲 料 水 レトルト 食 品 植 物 性 油 脂 めん 類 健 康 食 品 牛 乳 乳 製 品 ア ルコール 飲 料 ( 日 本 酒 除 く) その 他 重 点 国 地 域 新 興 市 場 :EU ロシア インドネシア マレーシア ベトナム タイ シンガポール フィリピン 中 国 中 東 ブラジル 安 定 市 場 : 米 国 台 湾 韓 国 香 港 豪 州 新 興 市 場 :インドネシア マレーシア ベトナム タイ シンガポール フィリピン インド 安 定 市 場 : 香 港 台 湾 米 国 韓 国 新 興 市 場 <レトルト 食 品 等 >EU ロシア インドネシア ベトナム タイ マレ ーシア シンガポール フィリピン 中 国 中 東 ブラジル インド <アルコール 飲 料 >EU ロシア ベトナム タイ フィリピン 中 国 シンガポール 3 重 点 国 地 域 における 輸 出 環 境 課 題 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 中 国 香 港 台 湾 加 工 食 品 の 主 要 な 輸 出 先 である 中 国 香 港 台 湾 においては 福 島 県 等 の 一 定 地 域 からの 輸 入 が 停 止 されており 加 工 食 品 の 輸 出 拡 大 上 の 大 きな 支 障 となっている 科 学 的 データの 提 供 等 により 規 制 措 置 の 緩 和 撤 廃 に 向 けた 働 きかけを 行 っている 既 存 添 加 物 の 使 用 許 可 米 国 EU 既 存 添 加 物 (クチナシ 色 素 ベニコウジ 色 素 ベニバナ 色 素 )は 我 が 国 のインス タント 食 品 や 菓 子 等 多 くの 加 工 食 品 に 着 色 料 として 使 用 されているが 欧 米 において は 食 品 への 使 用 が 認 められていない そのため 食 品 製 造 業 者 は 輸 出 しようとする 国 地 域 の 基 準 に 適 合 した 添 加 物 を 使 用 することで 対 応 しているが 既 存 添 加 物 の 使 用 が 輸 出 先 国 地 域 においても 認 められれば 日 本 に 流 通 する 既 存 添 加 物 を 使 用 した 食 品 を 輸 出 しやすくなると 考 えられる 既 存 添 加 物 を 使 用 できるようにするためには 多 種 類 の 安 全 性 試 験 データをもって 事 業 者 ( 添 加 物 製 造 事 業 者 等 )が 相 手 国 地 域 に 申 請 し 承 認 を 得 る 必 要 があるが この 試 験 データの 取 得 は 多 額 の 費 用 と 期 間 を 要 するものであり 承 認 に 向 けた 難 易 度 は 高 い 平 成 26(2014) 年 度 より 添 加 物 製 造 事 業 者 や 食 品 事 業 者 への 意 向 調 査 申 請 に 必 要 な 試 験 データ 等 を 含 む 相 手 国 地 域 の 制 度 調 査 等 を 行 い 輸 出 拡 大 見 込 みや 承 認 に 向 けた 難 易 度 を 踏 まえ 優 先 的 に 対 応 する 既 存 添 加 物 を 検 討 しているところであり その 結 果 に 基 づき 申 請 しようとする 事 業 者 等 を 支 援 していくこととしている 17
畜 肉 エキス( 豚 鶏 )の 使 用 許 可 米 国 我 が 国 のインスタント 食 品 等 には 豚 鶏 等 から 製 造 された 畜 肉 エキスが 多 く 使 用 されている このような 食 肉 由 来 の 原 料 を 使 用 した 加 工 食 品 を 米 国 に 輸 出 するために は 食 肉 生 産 上 の 衛 生 管 理 システムについて 米 国 との 同 等 性 認 定 を 受 けた 上 で 米 国 農 務 省 食 品 安 全 検 査 局 (FSIS)に 登 録 された 施 設 ( 認 定 施 設 )で 製 造 されたものであ る 必 要 がある 我 が 国 は 豚 肉 鶏 肉 について 同 等 性 認 定 を 受 けておらず また 認 定 施 設 もないことから 豚 又 は 鳥 由 来 の 国 産 畜 肉 エキスを 含 む 食 品 を 米 国 に 輸 出 する ことはできない 状 況 となっている なお 牛 については 9つの 認 定 施 設 (と 畜 場 ) で 生 産 された 生 鮮 牛 肉 は 米 国 への 輸 出 が 可 能 となっているが エキスの 製 造 施 設 につ いては 認 定 を 受 けていないため 米 国 向 け 食 品 に 使 用 できる 国 産 牛 エキスはない 認 定 施 設 となるためには 畜 肉 エキスの 製 造 施 設 や 原 料 となる 食 肉 の 処 理 施 設 が FSIS の 基 準 (HACCP 等 )を 満 たすことが 必 要 となる このため 平 成 26(2014) 年 度 米 国 への 輸 出 に 向 けた 課 題 の 整 理 や 日 本 産 畜 肉 エキス 及 びそれを 使 用 した 食 品 の 輸 出 を 希 望 する 事 業 者 の 意 向 調 査 等 を 行 った 牛 乳 乳 製 品 の 輸 入 停 止 の 解 除 中 国 中 国 は 平 成 22(2010) 年 に 我 が 国 で 口 蹄 疫 が 発 生 したことを 契 機 として 日 本 か らの 牛 乳 乳 製 品 の 輸 入 を 停 止 している 中 国 における 日 本 産 牛 乳 乳 製 品 特 に 粉 ミルクの 需 要 は 大 きく ピーク 時 (2009 年 )の 輸 出 額 は 約 17 億 円 となっていたことか ら 輸 入 停 止 が 解 除 されれば 大 幅 な 輸 出 拡 大 が 期 待 できると 考 えられ 現 在 輸 出 再 開 に 向 けて 動 物 衛 生 及 び 食 品 衛 生 に 関 する 衛 生 証 明 書 について 協 議 を 進 めている ところである また 牛 乳 乳 製 品 を 含 め 中 国 は 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 (10 都 県 からの 輸 入 停 止 10 都 県 以 外 からの 放 射 性 物 質 検 査 証 明 書 )を 課 していることから 輸 出 再 開 のため 衛 生 証 明 書 に 関 する 協 議 に 加 え 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 の 緩 和 撤 廃 ( 放 射 性 物 質 検 査 証 明 書 の 様 式 についての 協 議 )を 働 きかけている 18
(2) 水 産 物 1 輸 出 実 績 水 産 物 の 輸 出 額 は 平 成 25(2013) 年 に 対 前 年 比 +30.5%と 大 幅 に 増 加 したが 平 成 26(2014) 年 は 対 前 年 比 +5.4%の 2,337 億 円 となった 品 目 別 ではホタテの 輸 出 額 が 447 億 円 と 特 に 大 きく 国 地 域 別 では 香 港 米 国 中 国 タイ ベトナム 台 湾 の 上 位 6カ 国 地 域 で 輸 出 額 全 体 の8 割 を 占 めており 各 国 地 域 とも 増 加 してい る 水 産 物 の 輸 出 額 の 推 移 ( 国 地 域 別 ) ( 億 円 ) 2,500 1,955 2,000 1,741 1,500 1,000 1,700 2,216 +5.4% 2,337 その 他 台 湾 ベトナム タイ 中 国 500 米 国 香 港 0 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 水 産 物 の 品 目 別 輸 出 額 (2014 年 ) 2 輸 出 戦 略 上 の 位 置 づけ 平 成 32(2020) 年 までに 3,500 億 円 に 拡 大 することを 目 標 としており 資 源 量 に 余 裕 がある 魚 種 国 際 競 争 力 のある 水 産 加 工 品 ホタテ 等 の 国 際 商 材 を 重 点 品 目 と 位 置 づけ 東 アジアや 米 国 といった 安 定 市 場 に 加 え EU ロシア 東 南 アジア アフリカ 中 東 といった 新 興 市 場 の 開 拓 を 図 ることとしている 19
3 重 点 国 地 域 における 輸 出 環 境 課 題 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 韓 国 中 国 香 港 台 湾 ロシア 等 我 が 国 の 水 産 物 に 対 しては 多 くの 国 地 域 において 原 発 事 故 に 伴 う 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 が 導 入 されており これらの 輸 入 規 制 の 緩 和 撤 廃 が 最 も 優 先 度 の 高 い 課 題 である 特 に 平 成 25(2013) 年 9 月 に8 県 産 の 水 産 物 を 輸 入 停 止 とする 等 輸 入 規 制 を 強 化 した 韓 国 について 規 制 の 緩 和 撤 廃 を 重 点 的 に 働 きかけていくことと している HACCP の 取 得 EU 米 国 EU 米 国 への 水 産 物 の 輸 出 のためには 水 産 加 工 施 設 について HACCP 認 定 を 受 ける ことが 必 要 となっている 対 米 国 HACCP については 厚 生 労 働 省 ( 地 方 自 治 体 衛 生 部 局 ) 及 び( 一 社 ) 大 日 本 水 産 会 等 が 認 定 を 行 っており 日 本 国 内 の 約 260 施 設 が 認 定 を 受 けているが 米 国 への 水 産 物 の 輸 出 拡 大 のため 対 米 国 HACCP 認 定 加 工 施 設 数 を 増 加 させることが 重 要 である また 対 EU HACCP については 認 定 を 受 けている 日 本 国 内 の 水 産 加 工 施 設 は 40 施 設 程 度 と 諸 外 国 地 域 に 比 べて 極 めて 少 ない 状 況 にある 対 EU HACCP 認 定 の 加 速 化 を 図 るため これまでの 厚 生 労 働 省 ( 地 方 自 治 体 衛 生 部 局 )に 加 え 水 産 庁 でも 2014 年 10 月 から 認 定 業 務 を 開 始 し 2015 年 3 月 には 第 1 号 の 認 定 が 行 われたところである 厚 生 労 働 省 とあわせて 今 後 5 年 間 で 新 たに 100 施 設 を 認 定 することを 目 標 として 認 定 施 設 数 の 拡 大 に 取 り 組 んでいくこととしている かつお 節 の 輸 出 EU 我 が 国 の 一 般 的 な 製 法 で 製 造 されたかつお 節 は EU の 基 準 値 を 超 える PAHs 6 ( 燻 製 等 により 生 成 される 化 学 物 質 で 一 部 には 発 がん 性 がある)を 含 んでいること 等 から 現 状 では EU への 輸 出 はできないが 我 が 国 等 の 要 請 に 基 づき かつお 節 に 対 する PAHs の 特 例 措 置 ( 旧 基 準 値 の 適 用 :PAHs 全 体 で 12 30 ベンゾ(a)ピレンで2 5μg/kg) が3 月 10 日 に 採 択 されたところである なお 実 際 にかつお 節 を EU に 輸 出 するため には PAHs 規 制 を 満 たした 上 で かつお 節 製 造 施 設 について 対 EU HACCP の 認 定 を 受 ける 必 要 がある 現 時 点 では 日 本 国 内 に 対 EU HACCP 認 定 を 受 けているかつお 節 製 造 施 設 はない が 海 外 に 製 造 工 場 を 建 設 し PAHs に 対 応 した 製 法 で EU 向 けかつお 節 を 製 造 して いる 企 業 がある 6 Polycyclic Aromatic Hydrocarbons の 略 炭 素 と 水 素 原 子 から 成 る 2 つ 以 上 の 縮 合 芳 香 環 を 含 む 多 くの 種 類 の 有 機 化 合 物 食 品 を 焼 くなどの 調 理 の 過 程 や 乾 燥 加 熱 などの 製 造 過 程 で 生 成 されるので 肉 魚 介 類 の 燻 製 直 火 ( 食 品 と 炎 が 接 触 )で 調 理 した 肉 ( 網 焼 き 等 ) 植 物 油 穀 物 製 品 などに 多 く 含 まれる 20
(3)コメ コメ 加 工 品 1 輸 出 実 績 コメ 及 びコメ 加 工 品 ( 米 菓 日 本 酒 )の 輸 出 額 は 169 億 円 (2014 年 )と 対 前 年 比 +12.2% 増 加 している このうち コメについては 輸 出 額 自 体 は 14 億 円 (2014 年 ) と 少 ないものの 対 香 港 や 対 シンガポールを 中 心 として 対 前 年 比 +38.6%と 大 きく 輸 出 額 を 伸 ばしている 米 菓 (あられ せんべい)については 東 日 本 大 震 災 の 影 響 による 落 ち 込 みから 回 復 し 震 災 前 を 超 える 金 額 (39 億 円 )まで 増 加 している 日 本 酒 については 米 国 や 香 港 向 けを 中 心 として 着 実 に 増 加 し 115 億 円 となっている コメ コメ 加 工 品 の 輸 出 額 の 推 移 ( 国 地 域 別 ) +12.2% ( 億 円 ) 180 169 160 150 140 124 122 126 120 100 80 60 40 20 0 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 その 他 オーストラリア 中 国 シンガポール 韓 国 台 湾 香 港 米 国 コメ コメ 加 工 品 の 輸 出 額 の 推 移 ( 品 目 別 ) ( 億 円 ) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 150 169 124 122 126 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 コメ 米 菓 日 本 酒 2 輸 出 戦 略 上 の 位 置 づけ コメだけでなく 包 装 米 飯 や 米 菓 日 本 酒 を 含 めたコメ 加 工 品 の 輸 出 に 力 を 入 れ コメ コメ 加 工 品 全 体 で 平 成 32 (2020) 年 までに 600 億 円 とすることを 目 標 としている 21
品 目 コメ( 包 装 米 飯 含 む) 米 菓 日 本 酒 重 点 国 地 域 新 興 市 場 : 台 湾 豪 州 EU ロシア 中 国 米 国 等 安 定 市 場 : 香 港 シンガポール 新 興 市 場 : 中 東 中 国 EU 安 定 市 場 : 台 湾 香 港 シンガポール 米 国 新 興 市 場 :EU 台 湾 中 国 ブラジル ロシア 韓 国 安 定 市 場 : 米 国 香 港 3 重 点 国 地 域 における 輸 出 環 境 課 題 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 韓 国 中 国 台 湾 EU 我 が 国 からの 輸 出 額 上 位 5カ 国 地 域 に 入 る 韓 国 中 国 台 湾 や EU において 輸 入 停 止 や 放 射 性 物 質 検 査 証 明 書 の 要 求 といった 放 射 性 物 質 に 係 る 輸 入 規 制 が 措 置 されて おり これらの 規 制 の 緩 和 撤 廃 がコメ コメ 加 工 品 の 輸 出 拡 大 を 図 る 上 で 最 も 優 先 順 位 の 高 い 課 題 である 精 米 燻 蒸 施 設 の 認 定 取 得 中 国 中 国 向 けに 輸 出 されるコメについては 指 定 精 米 工 場 における 精 米 と 登 録 燻 蒸 倉 庫 における 燻 蒸 が 必 要 となっている 現 状 日 本 国 内 で 指 定 されている 精 米 工 場 は1か 所 登 録 されている 倉 庫 は2か 所 のみである 新 たな 施 設 が 認 定 されるよう 中 国 側 の 検 討 に 必 要 な 施 設 の 情 報 を 提 供 しているところであり 今 後 中 国 当 局 による 検 討 が 終 了 した 場 合 には 現 地 視 察 等 が 行 われる 予 定 となっている また 委 託 精 米 の 受 け 入 れ 等 により 指 定 されている 精 米 工 場 等 の 効 率 的 効 果 的 な 活 用 を 進 めていくこ とも 重 要 である 包 装 米 飯 の 製 造 工 程 に 関 する 承 認 米 国 我 が 国 に 流 通 している 包 装 米 飯 (パックご 飯 )については 冷 蔵 であれば 米 国 への 輸 出 が 認 められているが 常 温 での 輸 出 は 認 められていない 酸 味 料 を 添 加 し ph を 4.6 以 下 にした 商 品 であれば 常 温 でも 輸 出 可 能 であるが 事 業 者 によれば 日 本 で 流 通 する 包 装 米 飯 とは 食 味 が 異 なってしまうとのことである 常 温 での 輸 出 を 可 能 とするためには 製 造 施 設 を 米 国 医 薬 食 品 局 (FDA)に 登 録 する とともに 製 造 工 程 においてボツリヌス 菌 が 死 滅 する 管 理 措 置 等 が 採 られていること を 証 明 し 製 造 工 程 について FDA の 承 認 を 得 る 必 要 がある 現 在 酸 味 料 による ph 調 整 を 行 わない 包 装 米 飯 を 常 温 で 米 国 に 輸 出 したいとの 意 向 を 有 する 事 業 者 と 協 力 しながら FDA から 承 認 を 得 られるよう 取 り 組 んでいるところで ある 22
(4) 林 産 物 1 輸 出 実 績 林 産 物 の 輸 出 額 は 219(きのこ 類 (はらたけ 属 除 く) 等 を 含 む) 億 円 (2014 年 )と 対 前 年 比 +38.8% 増 加 している 丸 太 の 輸 出 額 が 対 前 年 比 +119.6%の 69 億 円 と 大 き く 伸 びており そのうち 中 国 向 けの 輸 出 が 53.5%(37 億 円 )を 占 めている 林 産 物 の 輸 出 額 の 推 移 ( 国 地 域 別 ) ( 億 円 ) 250 +38.8% 219 200 158 その 他 150 109 127 123 米 国 フィリピン 100 台 湾 韓 国 50 中 国 0 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 林 産 物 の 品 目 別 輸 出 額 (2014 年 ) 2 輸 出 戦 略 上 の 位 置 づけ 住 宅 建 設 が 拡 大 傾 向 にある 中 国 や ヒノキ 材 への 人 気 が 高 い 韓 国 を 重 点 国 地 域 と し 平 成 32(2020) 年 までに 250 億 円 に 拡 大 することを 目 標 としている 23
3 重 点 国 地 域 における 輸 出 環 境 課 題 木 構 造 設 計 規 範 への 対 応 中 国 中 国 の 木 構 造 設 計 規 範 ( 日 本 における 建 築 基 準 法 に 該 当 するもの)では 中 国 国 内 の 木 造 建 築 の 構 造 や 構 造 材 に 使 用 可 能 な 樹 種 原 産 国 等 が 規 定 されている 現 行 の 規 範 では 日 本 産 木 材 や 日 本 で 広 く 用 いられている 軸 組 工 法 についての 規 定 が 無 く 日 本 からの 輸 出 木 材 の 用 途 が 限 られている 日 本 側 からの 働 きかけや 情 報 提 供 の 結 果 平 成 25(2013) 年 10 月 に 了 承 された 改 正 案 では 日 本 産 スギ ヒノキ カラマツや 軸 組 工 法 に 関 する 規 定 が 盛 り 込 まれており 改 正 案 の 告 示 施 行 待 ちの 状 況 となっている 木 材 の 燻 蒸 処 理 条 件 中 国 日 本 から 中 国 への 木 材 ( 皮 付 き 丸 太 )の 輸 出 条 件 として 臭 化 メチル 又 はフッ 化 ス ルフリルによる 常 圧 燻 蒸 処 理 の 実 施 が 求 められている 輸 出 前 に 燻 蒸 処 理 をする 必 要 があるが 民 家 等 への 影 響 を 考 慮 する 必 要 があり 燻 蒸 処 理 の 場 所 及 び 一 度 に 処 理 で きる 数 が 限 られていること 等 もあり 燻 蒸 処 理 及 びそれに 付 随 して 必 要 なコストが 高 くなる 一 因 となっている 燻 蒸 処 理 施 設 の 現 状 を 把 握 し 取 り 得 る 対 応 を 検 討 してい くことが 重 要 である (5) 花 き 1 輸 出 実 績 植 木 盆 栽 鉢 物 切 り 花 を 合 わせた 花 き 全 体 の 輸 出 額 は 85 億 円 (2014 年 )と 対 前 年 比 11.6% 減 少 している 全 体 の9 割 以 上 を 占 める 植 木 等 ( 植 木 類 盆 栽 類 鉢 物 類 )の 輸 出 額 が 対 前 年 比 13.7%の 81 億 円 となったことが 全 体 輸 出 額 の 減 少 に 影 響 し ている 輸 出 先 は 中 国 ベトナム 香 港 の 上 位 3カ 国 地 域 が 全 体 の 83%を 占 めて いる また 切 り 花 は3 億 円 と 輸 出 額 自 体 は 少 ないが 対 前 年 比 +104.1% 増 加 しており 米 国 中 国 香 港 の 上 位 3カ 国 地 域 の 輸 出 が 全 体 の 86%を 占 めている 花 きの 輸 出 額 の 推 移 ( 国 地 域 別 ) ( 億 円 ) 120 100 80 60 40 20 0 11.6% 96 83 85 63 68 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 その 他 米 国 イタリア 台 湾 香 港 ベトナム 中 国 2 輸 出 戦 略 上 の 位 置 づけ 植 木 盆 栽 鉢 物 切 り 花 を 合 わせた 花 き 全 体 として 平 成 32(2020) 年 までに 150 億 円 に 拡 大 することを 目 標 としている 品 目 ごとの 重 点 国 地 域 は 以 下 のとおり 24
品 目 植 木 盆 栽 鉢 もの 切 り 花 重 点 国 地 域 新 興 市 場 :EU ロシア トルコ 安 定 市 場 : 中 国 新 興 市 場 :シンガポール ロシア トルコ 安 定 市 場 : 中 国 香 港 新 興 市 場 :シンガポール カナダ EU ロシア トルコ 安 定 市 場 : 米 国 香 港 3 重 点 国 地 域 における 輸 出 環 境 課 題 植 物 品 種 保 護 のための 法 制 度 の 整 備 及 び 運 用 の 強 化 中 国 シンガポール 植 物 の 品 種 の 保 護 に 関 する 条 約 として 植 物 の 新 品 種 の 保 護 に 関 する 国 際 条 約 (UPOV) があるが 花 きの 重 点 国 としている 中 国 は 旧 UPOV 条 約 7 の 締 結 国 であるため 一 部 の 植 物 のみが 保 護 対 象 となっている 同 じく 花 きの 重 点 国 であるシンガポールについ ては UPOV 条 約 を 締 結 後 10 年 が 経 過 した 平 成 26 年 7 月 に 全 植 物 が 保 護 対 象 となった ものの 審 査 や 制 度 運 用 の 経 験 が 浅 く 今 後 実 効 ある 植 物 品 種 保 護 制 度 の 運 用 とな るよう 注 視 することが 重 要 である 平 成 20 年 に ASEAN+ 日 中 韓 からなる 東 アジア 植 物 品 種 保 護 フォーラムを 設 置 し UPOV 条 約 に 準 拠 した 法 律 の 整 備 及 び 円 滑 な 運 営 のため の 協 力 活 動 を 実 施 しており 引 き 続 きこの 活 動 を 進 めていくこととしている 7 UPOV には 新 旧 の 条 約 が 併 存 しており 旧 条 約 は 保 護 対 象 が 限 定 的 であるなど 保 護 のレベルが 異 なる 25