全 日 制 単 位 制 高 校 のあり 方 と 他 課 程 併 置 の 現 状 総 括 教 頭 黑 木 加 代 子 1 はじめに 単 位 制 高 校 は, 学 校 教 育 法 施 行 規 則 の 一 部 改 正 によって 学 年 による 教 育 課 程 の 区 分 を 設 けない 高 校 として 昭 和 63 年 に 定 時 制 と 通 信 制 で 導 入 され, 平 成 5 年 から 全 日 制 へ 拡 大 された 開 陽 高 校 は 鹿 児 島 県 唯 一 の 公 立 単 位 制 高 校 として, 平 成 12 年 4 月 に 定 時 制 ( 普 通 科,オフィス 情 報 科 )と 通 信 制 ( 普 通 科, 衛 生 看 護 科 )で 開 校 した 平 成 15 年 4 月 には 全 日 制 ( 普 通 科, 福 祉 科 )を 設 置 し, 全 日 制 定 時 制 通 信 制 の 三 課 程 がひとつの 学 校 に 併 置 されることになった 今 回, 総 括 教 頭 として 全 日 制 定 時 制 通 信 制 の 三 課 程 の 業 務 に 携 わる 立 場 となり, 三 課 程 が 併 置 さ れている 単 位 制 高 校 として,それぞれの 課 程 の 特 性 を 活 用 することはできないかと 考 えるようになった しかし, 鹿 児 島 県 は 公 立 の 定 時 制 や 通 信 制 の 高 校 が 他 府 県 に 比 べて 少 なく, 県 内 では 比 較 検 討 の 対 象 が ない そこで, 他 県 の 単 位 制 高 校 で, 全 日 制 に 他 の 課 程 を 併 置 している 学 校 にアンケート 調 査 を 行 うこ とによって,それぞれの 学 校 のシステムや 他 課 程 との 連 携 のあり 方, 併 置 による 利 点 や 問 題 点 などにつ いて 調 査 し, 本 校 に 活 かせるヒントを 得 たいと 考 えた 今 回 の 調 査 による 結 果 を 分 析 し, 考 察 してみた ので 皆 様 の 御 助 言 をいただきたいと 思 う 2 アンケート 調 査 の 実 施 (1) 調 査 対 象 の 選 定 単 位 制 高 校 の 設 置 状 況 については, 文 部 科 学 省 が 行 っている 高 等 学 校 教 育 に 関 する 推 進 状 況 で 把 握 した この 調 査 の 最 新 は 平 成 25 年 度 版 であり, 平 成 25 年 4 月 1 日 の 調 査 時 点 で 単 位 制 高 校 の 数 は974 校 である 私 立 を 除 く 国 公 立 808 校 のうち, 複 数 課 程 を 併 置 している 学 校 は92 校 あり, 定 通 併 置 が 最 も 多 く50 校, 次 いで 全 定 併 置 で37 校, 本 校 と 同 じ 全 定 通 の 三 課 程 併 置 は 本 校 を 含 めて3 校, 全 通 併 置 が2 校 であった そこで, 本 校 では 毎 年 40 名 近 くの 生 徒 が 全 日 制 から 通 信 制 へ 転 籍 している 現 状 を 鑑 み, 全 日 制 に 他 課 程 を 併 置 した42 校 のうち, 通 信 制 を 併 置 している5 校 に 焦 点 を 絞 り, 転 籍 入 学 のあり 方 や 他 課 程 との 連 携 等 について 比 較 検 討 した (2) 調 査 方 法 及 び 内 容 ア 通 信 制 を 併 置 する 公 立 全 日 制 単 位 制 高 校 4 校 に, 郵 送 によるアンケート 調 査 を 実 施 イ 対 象 校 関 東 地 区 1 校, 中 国 地 区 1 校, 九 州 地 区 2 校 ウ 対 象 校 の 併 置 の 状 況 全 定 通 の 三 課 程 併 置 2 校, 全 通 の 二 課 程 併 置 2 校 エ 調 査 内 容 1 全 日 制 課 程 の 概 要 について 2 全 日 制 から 他 課 程 への 転 籍 入 学 について 3 併 置 されている 他 課 程 ( 定 時 制 通 信 制 )との 連 携 について 4 他 課 程 を 併 置 していることによる 利 点 問 題 点 と,その 改 善 方 法 について - 1 -
(3) 調 査 結 果 と 分 析 ア 全 日 制 課 程 の 概 要 について 三 課 程 併 置 校 をA 校,B 校, 二 課 程 併 置 校 をC 校,D 校 とした 項 目 学 校 名 本 校 A 校 B 校 C 校 D 校 併 置 する 課 程 全, 定, 通 全, 定, 通 全, 定, 通 全, 通 全, 通 設 置 学 科 普 通, 専 門 普 通 普 通, 専 門 普 通 普 通, 専 門 学 期 の 分 け 方 2 学 期 制 2 学 期 制 2 学 期 制 3 学 期 制 3 学 期 制 単 位 修 得 の 認 定 時 期 9 月,3 月 9 月,3 月 3 月 3 月 3 月 新 入 学 の 受 入 時 期 4 月,10 月 4 月 4 月 4 月 4 月 転 編 入 学 の 受 入 時 期 4 月,10 月 4,9,1 月 4 月,10 月 4 月 4,9,1 月 転 編 入 学 の 受 入 条 件 転 編 入 学 定 転 編 入 学 定 一 家 転 住 や 条 件 無 し 一 家 転 住 や 員 42 人 設 定 員 10 人 設 定 いじめ 避 難 いじめ 避 難 転 籍 入 学 の 受 入 の 有 無 転 入 学 同 様 転 入 学 同 様 転 入 学 同 様 受 入 不 可 受 入 不 可 過 去 3 年 間 の 転 入 学 あり あり あり あり 無 し 入 学 の 実 際 編 入 学 あり あり 無 し 無 し 無 し 転 籍 入 学 あり 無 し 無 し 受 入 不 可 受 入 不 可 卒 業 の 時 期 9 月,3 月 9 月,3 月 3 月 3 月 3 月 過 去 3 年 間 の 他 校 へ 転 学 あり あり あり あり あり 転 出 の 実 際 通 信 へ 転 籍 あり あり あり あり あり 定 時 へ 転 籍 あり あり 無 し 在 籍 年 数 の 制 限 無 し 6 年 原 則 3 年 6 年 6 年 教 育 課 程 の 編 成 方 法 学 年 区 分 無 し 学 年 区 分 無 し 学 年 進 行 型 学 年 進 行 型 学 年 進 行 型 原 級 留 置 に 相 当 する 制 度 無 し 無 し 無 し あり 無 し 未 修 得 単 位 を 有 する 生 徒 の 次 の 年 次 に 次 の 年 次 に 次 の 学 年 に 留 置 ま た は 次 の 学 年 に 進 路 進 む 進 む 進 む 転 学 転 籍 進 む 別 室 登 校 を 認 めるか 不 可 不 可 不 可 不 可 1 年 間 のみ 可 授 業 形 態 90 分 3 90 分 3 50 分 6 50 分 6 50 分 6 時 間 割 の 決 め 方 生 徒 個 々 生 徒 個 々 クラスごと クラスごと クラスごと 制 服 の 有 無 無 し 標 準 服 指 定 標 準 服 指 定 制 服 あり 制 服 あり 常 時 着 用 1/2 常 時 着 用 2/3 1 結 果 学 期 の 分 け 方 は,2 学 期 制 が3 校,3 学 期 制 が2 校 であった 通 年 で 授 業 を 行 っている 学 校 が3 校 あり, 単 位 修 得 の 認 定 や 卒 業 の 時 期 は,3 月 のみであった 半 期 完 結 型 で 授 業 を 行 っている2 校 は, 秋 卒 業 を 認 めていた 通 年 で 授 業 を 行 っている3 校 は, 教 育 課 程 が 学 年 進 行 型 で 編 成 されていた また,この3 校 は 時 間 割 もクラスごとに 決 められており,50 分 授 業 であるなど, 学 年 制 の 学 校 に 近 い 形 態 を 取 っ ていた 転 編 入 学 の 受 入 時 期 を 複 数 回 設 定 している 学 校 は4 校 あったが,そのうち2 校 は 受 入 に 関 し て 一 家 転 住 やいじめによる 緊 急 避 難 のみ という 条 件 を 設 けていた 他 課 程 からの 転 籍 入 学 の 受 入 を 不 可 とする 学 校 が2 校 あった また, 受 入 制 度 がある3 校 も, 本 校 を 除 く2 校 は 過 去 3 年 間 転 籍 入 学 者 がいなかった つまり, 他 課 程 を 併 置 する5 校 のうち, - 2 -
本 校 を 除 く4 校 は 他 課 程 から 全 日 制 への 転 籍 入 学 者 の 受 入 は 行 われていない 現 状 であった 5 校 全 てで, 他 校 への 転 学, 他 課 程 への 転 籍 ともに 過 去 3 年 間, 対 象 者 がいた 本 校 を 除 く4 校 は, 在 籍 年 数 に 制 限 を 設 けていた そのうち3 校 は, 学 校 教 育 法 で 定 められた 全 日 制 の 修 業 年 限 3 年 の 倍 である6 年 までとしていた 本 校 を 除 く4 校 は, 制 服 または 標 準 服 を 指 定 していた 2 まとめ 考 察 単 位 制 高 校 は 学 年 による 教 育 課 程 の 区 分 を 設 けない 高 等 学 校 となっているが, 今 回 調 査 し た4 校 のうち3 校 は, 学 年 進 行 型 の 教 育 課 程 表 を 用 いて 通 年 で 授 業 を 行 っており, 転 編 入 学 や 転 籍 入 学 に 制 限 を 設 けているため, 在 校 生 はほとんど 中 学 校 からの 入 学 生 のみと 考 えられた ま た, 単 位 認 定 の 時 期 や 卒 業 の 時 期 なども 含 めて, 学 年 制 との 違 いはあまり 見 られなかった 教 育 課 程 表 を 比 較 すると,この3 校 は 学 年 ごとに 履 修 する 科 目 を 定 めており, 学 年 制 と 同 じような 形 をとっていた そのうち1 校 は2 年 次 か3 年 次 のどちらでも 選 択 できる 科 目 を 複 数 設 定 しており, 単 位 制 としての 特 性 も 活 かしていた 単 位 制 の 特 性 をどう 捉 え,どう 活 かすかは 学 校 によって 異 なっていることがわかった 本 校 の 全 日 制 は, 学 年 による 教 育 課 程 の 区 分 を 設 けていないため, 多 様 な 学 科 からの 転 入 学 生 や, 中 途 退 学 後 の 学 び 直 しを 希 望 する 編 入 学 生, 他 課 程 からの 転 籍 入 学 生 などを 受 け 入 れており, さまざまな 経 緯 をたどった 生 徒 たちに 広 く 門 戸 を 開 くシステムをとっている しかし, 上 述 した 国 公 立 の 単 位 制 高 校 808 校 のうち, 総 合 学 科 の 単 科 校 は291 校 (36.0%)を 占 めており, 鹿 児 島 県 においても 総 合 学 科 の 枕 崎 高 校, 鶴 翔 高 校, 徳 之 島 高 校, 川 薩 清 修 館 高 校, 霧 島 高 校 の 5 校 が 含 まれている この5 校 が 学 年 制 としての 教 育 課 程 を 用 いていることや, 今 回 調 査 した 普 通 科 の3 校 が 学 年 進 行 型 の 教 育 課 程 を 用 いていることから, 単 位 制 高 校 とされる 高 校 の 中 で も, 本 校 と 同 様 に 学 年 の 区 分 けがない 教 育 課 程 表 を 用 いている 学 校 は 多 くはないと 考 えられる イ 全 日 制 から 他 課 程 への 転 籍 入 学 について 項 目 学 校 名 本 校 A 校 B 校 C 校 D 校 併 置 する 課 程 全 定 通 全 定 通 全 定 通 全 通 全 通 転 籍 の 条 件 原 則 認 める 病 気, 経 済 面 原 則 認 める 原 則 認 める 病 気, 経 済 面 全 日 制 から 等 の 条 件 あり 等 の 条 件 あり 通 信 制 への 選 抜 の 有 無 募 集 定 員 なし あり 募 集 定 員 なし あり 募 集 定 員 なし 転 籍 方 法 書 類 面 接 or 作 文 面 接 面 接 面 接 書 類 主 な 転 籍 理 由 不 登 校 不 登 校 学 校 生 活 へ 不 登 校, 不 登 校, の 不 適 応 環 境 不 適 応 経 済 的 理 由 転 籍 の 条 件 原 則 認 める 病 気, 経 済 面 認 めない 全 日 制 から 等 の 条 件 あり 定 時 制 への 選 抜 の 有 無 あり あり 転 籍 方 法 学 科 面 接 面 接 主 な 転 籍 理 由 不 登 校 不 登 校 - 3 -
1 結 果 全 日 制 から 通 信 制 への 転 籍 については,5 校 とも 認 めていた 転 籍 入 学 にあたっては, 本 校 を 除 く4 校 の 通 信 制 は 募 集 定 員 の 有 無 にかかわらず, 面 接 を 実 施 していた 全 日 制 からの 転 籍 理 由 は, 不 登 校 とするものが 多 かった 全 日 制 から 定 時 制 への 転 籍 については, 定 時 制 を 有 する3 校 のうち1 校 は 認 めていなかった 2 まとめ 考 察 5 校 とも, 不 登 校 や 学 校 生 活 への 不 適 応 のため, 通 信 制 へ 転 籍 する 生 徒 がいると 答 えていた 学 年 進 行 型 の 教 育 課 程 表 を 用 いて 通 年 で 授 業 を 行 っている3 校 だけでなく,5 校 全 てにおいて 通 信 制 へ 転 籍 する 生 徒 がいるということは, 単 位 制 であっても 登 校 する ことや 集 団 で 学 校 生 活 を 送 る ことへの 不 適 応 を 感 じる 生 徒 はおり, 通 信 制 がそれらの 生 徒 の 受 入 先 になっていると 考 えられる また, 通 信 制 から 全 日 制 への 転 籍 を 認 めていない2 校 についても, 全 日 制 から 通 信 制 への 転 籍 は 認 めており, 本 校 を 除 く4 校 では, 生 徒 の 異 動 が 全 日 制 から 通 信 制 への 一 方 向 のみ になっていることがわかった ウ 併 置 されている 他 課 程 ( 定 時 制 通 信 制 )との 連 携 について 項 目 学 校 名 本 校 A 校 B 校 C 校 D 校 併 置 する 課 程 全 定 通 全 定 通 全 定 通 全 通 全 通 学 校 行 事 ( 入 学 式, 文 化 祭 別 々に 実 施 一 部 合 同 実 別 々に 実 施 別 々に 実 施 別 々に 実 施 など) 施 ( 文 化 祭 ) 運 営 委 員 会 や 職 員 会 議 別 々に 実 施 一 部 合 同 実 別 々に 実 施 別 々に 実 施 別 々に 実 施 施 ( 運 営 会 議, 推 薦 会 議 ) 校 務 分 掌 の 係 会 等 別 々に 実 施 一 部 合 同 実 別 々に 実 施 別 々に 実 施 別 々に 実 施 施 ( 文 化 祭 ) 普 通 教 室 の 使 用 一 部, 他 課 原 則 共 用 一 部, 他 課 一 部, 他 課 原 則 共 用 程 と 共 用 程 と 共 用 程 と 共 用 特 別 教 室 や 体 育 館 の 使 用 原 則 共 用 原 則 共 用 一 部, 他 課 原 則 共 用 原 則 共 用 程 と 共 用 教 室 や 体 育 館 使 用 に 関 する 年 度 や 学 期 年 度 や 学 期 年 度 や 学 期 年 度 や 学 期 年 度 や 学 期 課 程 間 での 調 整 当 初 に 調 整 当 初 に 調 整 当 初 に 調 整 当 初 に 調 整 当 初 に 調 整 1 結 果 5 校 のうち4 校 は, 併 置 されている 他 課 程 とは 学 校 行 事 や 会 議 等 を 別 々に 実 施 しており, 基 本 的 に, 同 じ 施 設 を 共 用 している 別 個 の 組 織 として 運 営 されていた 残 りの1 校 についても, 入 学 式 や 文 化 祭 は 三 課 程 合 同 で 開 催 していたが,ほとんどの 行 事 は 別 々に 実 施 していた 施 設 については, 特 に 特 別 教 室 や 体 育 館 は 原 則 共 用 されており, 年 度 や 学 期 の 当 初 に 課 程 間 で 調 整 を 行 っていた 2 まとめ 考 察 5 校 とも, 施 設 の 共 用 については 調 整 に 苦 慮 していることがわかった 各 課 程 で, 生 徒 の 授 業 時 間 や 職 員 の 勤 務 時 間 等 が 異 なるため, 学 校 行 事 や 会 議 等 を 合 同 で 実 施 することは 困 難 であり, 別 々での 実 施 を 余 儀 なくされている 現 状 であった しかし, 複 数 の 課 程 が 同 じ 施 設 を 共 用 し,そ - 4 -
れぞれの 学 校 行 事 を 円 滑 に 行 っていくためには 課 程 間 の 連 携 が 欠 かせないので, 本 校 でも 定 期 的 に 行 っているような 教 務 担 当 者 会 での 調 整 が 重 要 であると 考 えられる エ 他 課 程 を 併 置 していることによる 利 点 問 題 点 と,その 改 善 方 法 について 他 課 程 への 転 籍 の 際, 連 携 が 図 りやすい 利 課 程 間 の 協 力 が 可 能 ( 特 別 な 行 事 や 緊 急 事 態 の 時 教 科 研 究 会 の 研 修 開 催 など) 点 課 程 間 併 修 を 行 っているため, 多 様 な 科 目 を 選 択 できる 多 様 な 生 徒 に 対 応 するためにスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが 配 置 されており, 活 用 しやすい 校 長 の 業 務 が 多 忙 を 極 める ( 判 断 すべき 事 柄 が 多 様 かつ 膨 大 ) 特 色 が 異 なる 課 程 を 併 置 するため,スクールアイデンティティの 確 立 が 難 しい 問 施 設 共 用 による 支 障 ( 学 校 行 事 や 部 活 動 が 制 限 される 教 室 に 余 裕 がない 課 程 間 で 題 の 日 程 調 整 が 常 に 必 要 ) 点 課 程 間 の 情 報 共 有 を 行 いたいが,タイムラグができてしまう 生 徒 の 登 校 時 間 が 異 なるため, 地 域 との 連 携 が 取 りにくい 複 数 課 程 の 生 徒 がいるため, 部 外 者 の 侵 入 を 把 握 しにくい 併 修 が 可 能 だが, 課 程 間 で 履 修 方 法 に 違 いがあるため, 履 修 指 導 が 困 難 である 改 分 散 型 意 志 決 定 の 推 進 ( 意 志 決 定 すべき 事 項 の 一 部 を 部 下 の 管 理 職 員 に 委 譲 するなど) 善 学 校 経 営 方 針 の 職 員 への 周 知 と, 方 針 に 基 づいた 学 校 運 営 方 課 程 間 の 情 報 共 有 や 調 整 ( 管 理 職 の 朝 の 打 合 せ 定 期 的 な 教 務 担 当 者 の 連 絡 会 ) 法 全 日 制 定 時 制 で, 不 定 期 であるが 清 掃 活 動 や 交 通 安 全 指 導 を 行 い, 連 携 を 図 る 課 程 間 の 交 流 の 機 会 として, 文 化 祭 を 三 課 程 合 同 で 開 催 している 1 まとめ 考 察 他 課 程 を 併 置 していることに 関 しては, 利 点 よりも 問 題 点 の 方 が 多 く 記 載 されていた 特 に, 施 設 の 共 用 により 業 務 に 支 障 が 発 生 することが 最 大 の 問 題 点 としてどこの 学 校 でもあげられてい たが, 改 善 方 法 としては 課 程 間 の 調 整 を 密 に 行 うことしか 無 く, 各 校 が 対 応 に 苦 慮 していること が 伺 えた また, 校 長 の 多 忙 や, 単 一 校 としてのスクールアイデンティティを 確 立 しにくいなど の 点 は 本 校 においても 同 様 の 課 題 である 複 数 課 程 併 置 校 はさまざまな 面 で 共 通 の 悩 みを 抱 えて いるが, 有 効 な 改 善 方 法 が 見 つからない 中 で 何 とか 円 滑 な 運 営 ができるように 模 索 している 状 況 であることがわかった (4) その 他 の 情 報 ~ 各 校 の 学 校 要 覧 から~ ア フレキシブル スクール 全 日 制 定 時 制 を 合 わせた6コマ12 時 間 の 授 業 時 間 帯 に 加 えて, 通 信 制 での 学 習 を 含 めた 学 習 形 態 を 選 択 できる 在 籍 する 課 程 を 中 心 として, 他 課 程 での 併 修 を 行 うことで, 生 活 スタイルや 進 路 希 望 に 応 じて 柔 軟 (フレキシブル)に 学 び 方 をデザインできる 学 校 という 考 え 方 三 課 程 一 体 の 単 位 制 高 校 という 考 えに 基 づき, 入 学 式 や 文 化 祭 を 三 課 程 合 同 で 行 い, 月 1 回 は 三 課 程 合 同 の 運 営 会 議 を 行 うなど, 三 課 程 の 一 体 化 と 情 報 の 共 有 化 を 模 索 している ( 合 同 防 災 訓 練, 履 修 指 導 研 修 会 などの 三 課 程 合 同 実 施, 部 活 動 の 他 課 程 との 合 同 実 施 など) - 5 -
イ 三 課 程 合 同 研 修 の 実 施 指 導 力 向 上 生 徒 理 解 研 修 (いじめ 防 止, 面 接 指 導, 小 論 文 指 導 等 ), 不 祥 事 防 止 研 修 ( 飲 酒 運 転 防 止, 不 適 正 経 理, 体 罰 防 止 等 )などの 研 修 を 三 課 程 合 同 で 実 施 している 3 考 察 とまとめ 単 位 制 高 校 は, 生 徒 の 幅 広 いニーズにこたえる 多 様 な 履 修 形 態 を 可 能 にすることを 目 的 として 制 度 化 された 学 校 である 今 回, 通 信 制 を 併 置 する 全 日 制 の 単 位 制 高 校 にアンケート 調 査 を 行 ったが, 単 位 制 高 校 の 多 様 性 を 痛 感 する 結 果 になった 今 回 の 調 査 対 象 校 のうち2 校 は 進 学 重 視 型 単 位 制 高 校 であ り,1 校 はスーパーグローバルハイスクール(SGH)の 指 定 校 でもあった そこで, 国 公 立 の 単 位 制 高 校 808 校 のうち, 普 通 科 をおく 全 日 制 高 校 219 校 (27.1%)の 中 から, 各 県 2 校 ずつを 無 作 為 に 抽 出 して 調 べたところ,その 多 くが 進 学 重 視 型 単 位 制 高 校 もしくはそれに 近 いタイプの 学 校 で あった スーパーグローバルハイスクールやスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の 指 定 を 受 け ている 学 校 もあり, 単 位 制 のシステムが 進 学 に 特 化 した 形 で 活 かされている 学 校 が 多 いことがわかった この 調 査 を 行 う 前 には, 単 位 制 高 校 だからこそ 学 級 や 学 年 の 枠 にとらわれずに, 生 徒 へのより 柔 軟 な 指 導 対 応 や, 併 置 の 他 課 程 との 協 働 ができるのではないかと 考 え, 他 校 の 取 組 を 取 り 入 れたいと 考 え ていた しかし, 本 校 のように 学 年 の 区 分 けが 全 くない 教 育 課 程 を 編 成 している 学 校 の 方 が 単 位 制 高 校 の 中 では 少 数 であることがわかり, 驚 きを 感 じた 確 かに, 単 位 制 高 校 は 学 年 による 教 育 課 程 の 区 分 を 設 けない ことが 定 められているだけであるから, 例 えばAという 科 目 を2 年 次 3 年 次 のどちらか で 選 択 できるようにしていれば 学 年 による 区 分 を 設 けたことにはならず, 単 位 制 のシステムであるとい うことができる 単 位 制 高 校 設 置 の 目 的 は 生 徒 の 幅 広 いニーズにこたえる 多 様 な 履 修 形 態 を 可 能 にす るため であるから,そのニーズが 希 望 する 進 学 先 に 応 じて 焦 点 を 絞 った 学 習 を 行 う ことであって も 良 いと 言 える このようなことから, 今 回 の 調 査 対 象 のうち3 校 は 進 学 に 特 化 した, 学 年 制 の 中 に 単 位 制 のシステムを 取 り 入 れた 学 校 であると 考 えられ, 教 育 課 程 や 入 学, 卒 業 などの 点 で 本 校 とは 異 なる 部 分 が 大 きいことが 理 解 できた また, 他 課 程 併 置 による 利 点 欠 点 や 連 携 の 面 については 本 校 と 共 通 する 点 が 多 かったが,どの 学 校 も 併 置 によるさまざまな 業 務 への 支 障 をできるだけ 小 さくすることに 苦 慮 しており, 併 置 の 有 効 活 用 に まで 至 っていない 現 状 であることがわかった 4 おわりに 単 位 制 が, 学 校 教 育 法 施 行 規 則 第 103 条 第 1 項 によって 制 度 化 されてから29 年 目 を 迎 えたが,そ の 運 用 の 仕 方 は 学 校 によって 多 種 多 様 である 本 校 のように 学 年 の 区 分 けが 全 くない 教 育 課 程 を 編 成 し て, 不 登 校 や 発 達 障 害 などを 含 めた 多 様 な 生 徒 がその 特 長 を 伸 ばし, 個 々の 進 路 実 現 を 目 指 して 一 人 ひ とり 異 なる 学 習 ルートを 選 択 できるというシステムは 全 国 の 単 位 制 高 校 の 中 でも 少 数 であった また, 定 時 制 との 連 携 の 面 では,フレキシブルスクールとしての 取 組 をしている 学 校 や, 全 日 制 定 時 制 という 別 組 織 を 多 部 制 ( 三 部 制 ) 定 時 制 というくくりに 変 更 した 学 校 もある 多 部 制 にすることに よって, 生 徒 は 午 前 部 午 後 部 夜 間 部 の6コマの 中 から 自 由 に 科 目 を 選 択 できるという 利 点 も 生 まれ ている 今 回 の 調 査 研 究 によって 得 られたことをもとに,これからの 本 校 全 日 制 がどのような 方 向 を 目 指 していけばよいか,また, 三 課 程 併 置 の 利 点 を 有 効 活 用 できる 方 策 はないかを 今 後 も 考 えていきたい - 6 -