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1 補助の対象 耐震診断の補助を受けるには 次のいずれにも該当しなければなりません (1) 木造の戸建住宅 ( 併用住宅で床面積の1/2 以上が居住用のものを含む ) で昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工した地上 2 階建てまでのものであること (2) 所有者自らが居住していること (3)

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木造住宅耐震診断費の補助 申込み期限 1 月 3 1 日 1 補助の対象 耐震診断の補助を受けるには 次のいずれにも該当しなければなりません (1) 木造の戸建住宅 ( 併用住宅で床面積の1/2 以上が居住用のものを含む ) で昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工した地上 2 階建てまでのもの

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平成15年度

表 1: フラット35 S( 金利 Bプラン ) の基準省エネルギー性 1 断熱等性能等級 4の住宅 2 一次エネルギー消費量等級 4 以上の住宅 すまい給付金の申請については 従前の省エネルギー対策等級 4により H までに申請した証明書で申請可能です 耐久性 可変性 3 劣化対策等

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構造番号質疑回答 3 講習会資料 P5 判定事例の対応集 横補剛材について屋根ブレース等により水平移動が拘束された大梁に対して 例えば図 1 のよう下図 a 又は b 又は a b 材共に ( 梁に ) 対する横補剛材として c の火打ち材をに大梁せいの中心位置に横補剛材を設け 補剛材

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地震応答 建物の架構はそれぞれ独自の幾つかの固有周期 を有し 地震波動中の共振する波と一緒になって 振動が 増大する 特に建物の持つ1次固有周期の影響が大きい 固有周期と地震応答 建物高さと応答の増大 13

1 建築基準法の1981年施行の新耐震設計法と耐震診断 1 耐震基準の変遷 第1世代 1970年以前 旧基準 第2世代 1971 1980年 部分改善 粘り強さ 剪断補強 第3世代 1981年以降 新耐震基準 偏心率 剛性率 保有耐力 2 新耐震設計法の目標 建物に適切な強度と粘り強さをもたせ 建物の生涯に一度ある かないかの大地震 関東大地震クラス に対して 少なくとも 倒壊などによる人命の損失が無いようにすること 3 耐震診断 新耐震設計法の施行に伴い 既に在る構造規定上の既存不適格 の建物をどうすればよいかという問に応えるために用意された 耐震強度の度合いを判定するための診断法 14

2 耐震診断 1 現状調査 建設データ 設計図 計算書 竣工年 設計者 施工者 施工 記録 メンテナンス状況 社会状況 時代背景等 劣化損傷 変形 亀裂 火災 中性化 鉄筋露出 沈下等 改変 耐震壁撤去 柱欠損 梁貫通等 施工関係状況 コンクリート強度 配筋状態 杭 地盤その他 2 IS値 その建物固有の耐震指標 の算定 IS(構造耐震指標) EO(保有性能基本指標) SD(形状指標) T(経年指標) EO C(強度指標) F(靱性指標) 診断のグレード 1次 3次の順で高度 信頼性高い 1次診断 壁率 柱率から強度を略算 壁の多い建物の簡便法 2次診断 壁 柱の終局強度 破壊形式 靱性等から算定 3次診断 梁降伏等も考慮して終局強度を算定 最も精度の高い診断法 15

3 ISO値 耐震判定指標 の算定 ISO ES(耐震判定基本指標) Z(地域指標) G(地盤指標) U(用途指標) ES値 1次診断用 0.8 2次 3次診断用 0.6 4 判定 計算上の判定 IS ISOであれば 補強必要 総合判定 上記を基に諸条件を加味し総合的に判断する 5 診断上の問題点 設計図と現物の性能の差をどの程度正確に調査 把握できるか 配筋状態 杭など コンクリートの強度試験 中性化試験の必要性 試験用試料を採取し試験場に試験を委託するので費用がかかる 杭の耐震性能をどう判定するか 建物形状が複雑な場合の計算結果の信頼性はどの程度か 共同住宅が耐震改修促進法の指標を満たすことは容易でない 16

3 構造補強 1 マンションの構造上の特徴 梁間方向は戸境壁があるため壁型 桁行方向は開口があり軸組型 下階に施設 ピロティが入ると上下階の剛性が極端に異なる 2 補強目標値の設定 崩壊防止 3 補強可能性の検討 機能上 施工上 費用上 4 合意に基づく補強設計 補強工事 強くする 壁を増やす 柱を大きくする ブレースを設けるなど 粘り強さを与える 余計な壁をとる 柱に鉄板を巻くなど 地震力を低減する 重量低減 階数減 免震化 制振機構組込 損傷集中をなくする 振動特性改善 極脆性部材解消 5 補強に際しての問題点 必要な箇所に必要な補強がどの程度出来るか 廊下側帳壁は壊れないように出来るか 補強の保証ができるか 居住者の合意形成は可能か 17

耐震診断と耐震改修のフロー 地 耐 震 診 震 現 状 調 査 建物データ 中性化 劣化 損傷 改変 施工性 耐 震 計 算 IS値 ISO値 1次診断 2次診断 3次診断 補 強 不 能 基 本 計 画 断 基本的対策法 前 耐震改修 設 改 修 建 替 詳細検討 耐震計算 計画案 工法 費用 計 工 事 18

構造耐震指標 Is

基本補強方法 耐震補強工法の例 20

柱の補強 21

22 メーカーカタログより

23 メーカーカタログより

耐震診断の手順の概要 耐震診断前の業務として ①対象建築物に関る保存設計図書 建築確認済書とそれに添付さ れている設計図 構造計算書等 の有無 在れば記載内容の確認 工事監理関係書類の調査 等を行う ②保存図書類と既存建築物の状況を照合し 建物維持状況を把握するため立ち入り 調査を行う ③ ①と②の状況を踏まえて委託者等から聞き取りを行い記録をする 耐震診断に用いる部材材料の強度が仕様の通りであるか確認するため④コンクリート強度 中 性化の状況を調査するため コンクリートコア試料を採取し 第三者機関に試験を委託する ⑤ 耐震診断に用立てるため 建物部材の亀裂や不等沈下等の状況を調査し整理する 耐震診断業務として ⑥耐震診断をし 建物の状況を記録する為の作図や作表を行う ⑦既往 の構造計算書から耐震診断に用立てる部材や諸数値の収集 数値等が再利用可能かの判断 や 不足分の追加構造計算を行う ⑧架構の適切なモデル化を行い耐震診断用入力データを 作成する ⑨耐震診断計算を試行錯誤して妥当な結論を得るまで繰り返す ⑩ ④及び⑤の結 果と⑨の計算結果を総合して耐震診断報告書を作成する 耐震診断の結果 耐震性が劣る場合には耐震改修設計を行って補強をしなければならない 補強設計を行う者は 建築物の機能 外観 維持管理機能等の面と 改修に要する費用の面か ら マンション区分所有者や管理組合と折衝しながら 最適な解を模索立案し マンション関係者 の合意形成のもとに設計しなければならない 耐震診断にかかる適切な費用の見積も困難であ るが 改修の場合はより困難である 24

耐震診断には少なくとも構造に関する図面が必要 建築の図面には 先ず 建物の配置図 間取りを示す平面図 床の面積表 姿や立体の様 子を示す立面図 断面図 仕上表や使用材料を示す仕様書等から成る建築意匠図がある 建 築の構造部材が如何いう材料を用いてどの様に作られ配置されるか を示す構造図面があり 給排水 衛生設備 電気設備 空気調和設備 消防設備など設備専門の図面がある 耐震 診断には 建築意匠図では平面図と断面図 構造図面の提示を受けないと着手不可能である 新築の際に建築主事から交付された確認申請書の副本と添付図書 構造計算書を含む が 保存されていることが望ましい 何も無い場合は建物全体にわたって 実測を行い 鋼材の仕 様とそれらの配置状況を調査するため 部材の切除や復旧を行ったりするので 過大な費用 がかかり 文化財的価値のあるもの以外では実際的でない 耐震診断費用の見当 前述の耐震診断の手順の概要で① ③と⑥ ⑩にかかる費用は 建物新築の場合には延 べ床面積当り幾らとしての相場で費用の見当をつけることもあるが 耐震診断にかかる手間は 建物形状や複雑さによって千差万別なので一概には言えない ただ 公的物件の委託費用の 事例では建築物の延べ床面積当り 700円 程度と聞いている 又 前述の④ ⑤の費用 は試験報告書作成込みで 1階当り試料1ロット 3ピース採取の場合 13万5千円 15万円 ロット程度かかるようである 5階建RC造の事例では 67万5千円 75万円の試料採取 試験 費が診断費用に加算されよう この費用も需給関係によって上下する このほか 耐震診断 報告書の耐震強度の程度を示す内容が妥当であるか 又 耐震改修の耐震強度の程度を示 す内容が適切であるか などを東京都が指定する評価判定機関の判定を得る必要があり そ の機関等の評定の費用が必要となる なお 東京都指定評価判定機関の費用はホームページ で公開されている 25

耐震改修事例 1996年 26

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29

NPO法人耐震総合安全機構監修 耐震改修実例50より 住環境や資産価値を維持する外付け補強 30

空き地利用の簡易なバットレス補強 ピロティや開放廊下に壁を増設 31

耐震診断 耐震改修に役に立つ資料 耐震診断等に専門的に用いる 財 建築防災協会発行の基準指針類 適用対象範囲外の建築物は原則として現行法令の構造基準に従うことになる ①2001年改定版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同改修 設計指針 各解 説付き 同耐震診断基準 同改修設計指針適用の手引き (対象は5 6階建以下の中低層 鉄筋コンクリート造建築物が原則 ②改定版既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同改修設計指針 各解説付 き 同耐震診断基準 同改修設計指針適用の手引 (対象は高さ40m以下のSRC造建築物で SRCを含む混合構造も含まれる ③耐震改修促進法のための既存鉄骨建築物の耐震診断および耐震改修指針 同解説 1996 対象は高さ45m以下のS造建築物で 著しい経年劣化 著しい被災損傷の無い場合 ④既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断指針 (対象は5階建以下 ⑤既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法 対象は5階建以下 ⑥木造住宅の耐震診断と補強方法 対象は3階建以下 日本建築防災協会は マンション耐震化マニュアル 国土交通省編集 を発行 平成19年6月 ホームページよりダウンロード可能 URL: http://www.kenchiku-bousai.or.jp そのほか マンション再生協議会監修 マンション管理組合のためのQ&A よくわかる耐震改修 平成19年6月 ぎょうせい発行 が参考になろう 32