2013 年 10 月 23 日 海 外 ビジネス 知 的 財 産 セミナー ~ チャンス を 失 敗 に 終 わらせない!~ 中 国 ASEAN 進 出 における 法 務 知 財 リスク 防 衛 策 青 山 法 律 事 務 所 弁 護 士 青 山 隆 徳 イントロダクション 設 例 1
本 講 義 全 体 のテーマ 1. 契 約 の 役 割 について 確 認 する 2. 知 的 財 産 について 理 解 する 3. 国 をまたいだ 取 引 ( 契 約 )の 大 まかな 仕 組 みを 知 る 1. 契 約 の 役 割 について 確 認 する ビジネスにおいて 最 も 身 近 に 法 律 を 利 用 する 場 面 は 契 約 です 契 約 書 を 一 から 作 る 契 約 を 巡 る 法 律 関 係 を 全 て 理 解 するのは 難 しく 一 般 には 法 務 総 務 担 当 者 と 顧 問 弁 護 士 などが 二 人 三 脚 で 確 認 していきます しかし 現 場 で 条 件 交 渉 をするのは 営 業 の 方 が 多 く 専 門 担 当 者 が 来 たときには 手 遅 れ のことも 経 営 者 が 身 につけるべき 最 低 限 の 契 約 知 識 を 伝 授 2
2. 知 的 財 産 について 理 解 する 中 国 では 知 財 紛 争 が 急 増 模 倣 品 の 問 題 有 田 焼 等 の 商 標 先 行 出 願 ( 抜 け 駆 け 商 標 )の 問 題 IPAD 商 標 特 許 権 等 を 中 国 国 内 で 権 利 行 使 をされ 賠 償 義 務 を 課 されるケースも 一 番 の 対 策 は 海 外 でも 知 財 を 確 保 すること 日 本 での 出 願 を 行 うことが 前 提 国 際 出 願 を 積 極 的 に 活 用 する 3. 国 をまたいだ 取 引 ( 契 約 )の 大 まかな 仕 組 みを 知 る 日 本 の 会 社 と 外 国 の 会 社 との 契 約 は 渉 外 契 約 になる ため 以 下 のような 難 しさがある 言 語 の 問 題 適 用 する 法 律 ( 準 拠 法 )の 問 題 渉 外 契 約 においては 国 を 超 えることから 裁 判 による 強 制 的 な 解 決 ができるとは 限 らない 専 属 的 合 意 管 轄 仲 裁 条 項 相 互 保 証 と 執 行 3
設 例 A 社 は 独 自 の 金 属 加 工 技 術 を 活 かして 美 しい 曲 面 のス マートフォンの 部 品 を 製 造 している 現 在 の 顧 客 は 日 本 企 業 だけであるが 今 後 は 海 外 ( 特 に 中 国 台 湾 シンガ ポール)のスマートフォンメーカーにも 販 売 を 行 いたいと 考 えている ただし 昨 今 の 円 高 もあり 場 合 によっては 中 国 やASEAN 諸 国 で 生 産 することも 考 えている 技 術 のポイントは 1 材 料 への 金 属 の 配 合 比 率 2 金 属 の 研 磨 方 法 である 1については 製 品 を 検 査 すれば 誰 でもわかるが 2は 企 業 秘 密 であり 口 外 していない A 社 の 営 業 部 長 Bは まずは8 月 上 旬 の 上 海 シンガ ポールでの 展 示 会 に 自 社 の 製 品 を 持 参 し 顧 客 や 提 携 先 を 探 すことにした 商 品 を 発 表 する 4
場 面 1 展 示 会 会 場 にて A 社 は 今 年 の4 月 に 金 属 の 配 合 を 変 更 して 従 前 のもの よりさらに 薄 型 の 部 品 を 製 作 し smartiron と 名 付 けて 日 本 国 内 で 販 売 を 開 始 した 販 売 に 際 して 日 本 国 内 で の 名 称 の 商 標 登 録 は3 月 31 日 に 実 施 同 部 品 の 材 料 の 配 合 についても 同 日 に 特 許 出 願 をしている 問 :Bは 今 度 の 展 示 会 で smartiron のパンフレットを 作 成 し 発 表 したいと 考 えているが どのような 点 に 気 をつけるべきか 1 サンプルの 提 供 を 求 められた 場 合 はどうすべきか 2 パンフレット 記 載 の 名 称 はどのようにすべきか ポイント1 特 許 出 願 商 標 登 録 は 発 表 前 商 談 前 に! 会 社 名 商 品 名 は 商 標 登 録 ( 国 際 出 願 )を 必 ず 行 う 形 態 は 模 倣 される 可 能 性 が 高 い 特 許 意 匠 等 での 保 護 を 検 討 サンプルは 安 易 に 渡 さない パンフレットの 配 布 も 安 易 に 行 わない 説 明 に 際 して ノウハウとして 秘 匿 すべき 技 術 情 報 ( 営 業 秘 密 )を 開 示 しないよう 注 意 5
商 標 権 の 基 本 属 地 主 義 : 国 ごとの 付 与 国 を 超 えると 商 標 権 の 効 力 が 及 ばない 先 願 主 義 : 先 使 用 < 先 出 願 先 に 販 売 等 を 実 施 しても 出 願 が 遅 ければ 負 ける 外 国 での 登 録 があっても 対 抗 できない( 例 外 あり) 独 占 権 登 録 者 以 外 が 同 一 類 似 の 名 称 を 利 用 することを 禁 ずる 著 名 商 標 の 冒 認 出 願 外 国 で 有 名 ( 馳 名 )なブランド 名 地 名 キャラクター 等 を 予 め 商 標 として 出 願 されていることがある 先 に 登 録 されてしまうと その 国 でブランド 名 を 利 用 した 販 売 等 ができなくなってしまう 6
クレヨンしんちゃん 13 14 7
ルイヴィトン 15 16 8
有 田 焼 有 田 焼 も 表 記 不 可? 中 国 商 標 登 録 問 題 上 海 万 博 では 日 本 有 田 産 ARITA JAPAN 悩 ましい 現 象 有 田 焼 と 表 記 できない? 佐 賀 県 が9 月 30 日 から 上 海 万 博 関 連 イベントとして 上 海 市 の 百 貨 店 で 開 く 佐 賀 県 産 品 展 でこんな 問 題 が 浮 上 出 展 企 業 など 関 係 者 を 悩 ませてい る 中 国 で 有 田 焼 が 商 標 登 録 されているためで 今 回 は 日 本 有 田 産 ARITA JAPAN と 表 記 する 苦 肉 の 策 でし のぐ 考 え 今 後 の 中 国 市 場 開 拓 の 支 障 になるのは 間 違 いな く 根 本 的 な 解 決 策 が 必 要 になっている 県 流 通 課 によると 中 国 で 日 本 の 地 名 や 商 品 が 商 標 登 録 さ れていることが 問 題 化 しているため 調 べたところ 日 本 の 特 許 庁 にあたる 中 国 商 標 局 に 有 田 焼 が 登 録 されていた 20 02 年 11 月 に 中 国 の 個 人 が 申 請 04 年 11 月 に 登 録 され 1 4 年 11 月 が 期 限 になっている 9
佐 賀 県 産 品 展 は9 月 30 日 から10 月 6 日 まで 上 海 梅 龍 鎮 (メイロンチェン) 伊 勢 丹 で 開 く 計 画 で 有 田 焼 商 社 メーカーなど6 社 も 参 加 する 中 国 市 場 開 拓 の 足 がかり にしたいが 肝 心 の 有 田 焼 という 名 前 は 使 えな い 対 策 としては 不 服 申 し 立 てや3 年 間 不 使 用 取 り 消 し 申 請 などがあるほか 期 限 切 れになった14 年 11 月 以 降 に 改 めて 申 請 登 録 するという 方 法 が 考 えられるとい う 2010 年 08 月 30 日 更 新 何 でもあり? 外 国 の 地 名 有 名 なブランドは 登 録 できない というルー ルは 日 中 ともにある しかし 現 実 には 日 本 で 有 名 でも 中 国 に 知 られていない 場 合 審 査 が 緩 く 登 録 されてしまう 現 状 では 日 中 で 著 名 商 標 についての 実 務 協 議 はされ ていない 模 様 10
IPAD 商 標 問 題 中 国 北 京 近 郊 で 商 標 侵 害 を 理 由 に ipad が 販 売 停 止 へ 2012 年 2 月 13 日 ( 現 地 時 間 ) 中 国 の 北 京 市 近 郊 にある 河 北 省 石 家 荘 市 内 にある 商 店 に 対 して すべての ipad の 販 売 禁 止 令 が 出 された 同 件 を 報 じた 英 Financial Timesによれば 中 国 において ipad 商 標 権 を 保 持 するという 企 業 がアップルの 権 利 侵 害 を 主 張 しており 地 元 新 華 区 政 府 機 関 (State Administration for Industry and Commerce)が 販 売 差 し 止 め 令 を 出 し 少 なくとも 同 地 区 での 販 売 が 停 止 されて いるようだ 11
中 国 での ipad 商 標 権 訴 訟 6000 万 ドルで 解 決 2012.7.4 10:23 産 経 ニュース アップルは 中 国 での ipad の 商 標 権 を 持 つ 台 湾 の Proview Electronics( 唯 冠 科 技 ) 社 に 6,000 万 ドル (48 億 円 )を 支 払 って 商 標 権 を 確 保 することに 同 意 した これ により ついに 中 国 でiPadが 発 売 される 可 能 性 が 出 てき た 中 国 の 裁 判 所 の 判 決 によると アップルは 台 湾 のパソ コンメーカーProview Electronics( 唯 冠 科 技 ) 社 に 対 し 中 国 における ipad の 商 標 権 を 確 保 するために6,000 万 ド ルを 支 払 うことに 同 意 したという これにより 第 3 世 代 のiPadの 販 売 が 中 国 で 開 始 される 可 能 性 が 出 てきた ipadは 当 局 からの 販 売 認 可 を 受 け ているにもかかわらず 中 国 ではまだ 発 売 されていない これは 冒 認 出 願? NO! 2009 年 アップル 社 は 唯 冠 台 湾 に3 万 5000ポンド( 約 420 万 円 )を 支 払 い ipad の 商 標 権 を 購 入 しかし 中 国 国 内 における 商 標 権 は 唯 冠 グループの 別 会 社 唯 冠 深 センが 唯 冠 台 湾 とは 別 に2001 年 に 取 得 し ていた その 結 果 アップルは 中 国 国 内 の 商 標 権 については 購 入 していないこととなった 調 査 ミスにより48 億 円 + 販 売 機 会 の 損 失 が 発 生 商 標 調 査 の 重 要 性 12
展 示 会 カタログにおける 模 倣 品 実 態 調 査 1. カタログ 上 での 模 倣 品 実 態 調 査 の 概 要 カタログの 収 集 はJETROを 通 じ 現 地 調 査 会 社 へ 委 託 ( 費 用 はJETROが 全 額 支 援 ) 対 象 展 示 会 : 第 103 回 中 国 文 化 用 品 商 品 交 易 会 開 催 地 : 中 国 上 海 会 期 :2009 年 6 月 29 日 ~7 月 1 日 出 展 社 数 :472 社 カタログ 収 集 対 象 : 出 展 業 者 全 ブース 過 去 に 第 100 回 同 展 示 会 での 実 態 調 査 実 績 あり(2007 年 ) 25 JETRO 資 料 より 引 用 展 示 会 カタログにおける 模 倣 品 実 態 調 査 2. 実 態 調 査 の 集 計 結 果 ( ) 内 は 前 回 調 査 結 果 模 倣 件 数 :77 件 (73 件 ) 模 倣 業 者 数 :31 社 (43 社 ) 模 倣 業 者 率 :6.6%(10.0%) 26 Tab.1 模 倣 種 別 内 訳 模 倣 種 別 103 回 100 回 形 態 模 倣 40 31 意 匠 37 30 商 標 10 21 特 許 1 2 周 知 表 示 1 0 著 作 物 0 0 Tab.2 商 品 別 内 訳 商 品 名 ( 一 般 名 称 ) 数 量 ゲルインキボ-ルペン 21 シャープペンシル 16 替 芯 8 油 性 マーカー 6 水 性 インキボールペン 5 ステープラー 4 修 正 液 3 その 他 13 JETRO 資 料 より 引 用 13
本 件 での 想 定 トラブル 展 示 会 開 催 後 の9 月 1 日 B 営 業 部 長 がコンタクトを 取 っ た 中 国 の 企 業 に 商 談 を 申 し 入 れた すると 同 社 からは smartiron という 名 称 の 商 品 が 8 月 下 旬 に 他 社 から 販 売 されているとの 情 報 を 得 た Bが 確 認 したところ 別 の 中 国 の 会 社 Dが smartiron の 商 標 登 録 をしていることが 発 覚 した その 後 DはA 社 に 対 し 商 標 の 買 取 を 打 診 してきた 商 標 を 購 入 するか 販 売 名 を 変 えるか? 外 国 への 特 許 商 標 の 出 願 方 法 直 接 出 願 登 録 希 望 国 の 代 理 人 を 通 じて 直 接 希 望 国 の 特 許 庁 に 出 願 する 方 法 国 際 登 録 出 願 マドリッド 協 定 議 定 書 (マドプロ)と いう 国 際 条 約 を 利 用 し 日 本 の 特 許 庁 を 通 じて 各 国 に 出 願 する 方 法 14
国 際 登 録 出 願 (マドプロ)の 手 続 特 許 庁 : 国 際 登 録 出 願 の 手 続 ( 平 成 24 年 度 ) 特 許 庁 国 際 商 標 出 願 室 編 より 引 用 国 際 登 録 出 願 (マドプロ)のメリット メリット1 手 続 の 簡 素 化 本 国 官 庁 ( 日 本 国 特 許 庁 )に1 通 の 出 願 書 類 を 提 出 すること により 複 数 国 に 同 日 に 出 願 した 場 合 と 同 等 の 権 利 を 得 られ る メリット2 容 易 な 書 類 作 成 議 定 書 出 願 では 言 語 が 異 なる 国 に 対 しても 出 願 等 の 手 続 書 類 は 英 語 のみで 可 能 各 国 言 語 への 翻 訳 は 必 要 ない メリット3 権 利 管 理 の 簡 便 化 国 際 登 録 簿 により 権 利 関 係 は 一 元 管 理 各 国 毎 に 存 続 期 間 の 更 新 等 の 手 続 を 行 う 必 要 なし 特 許 庁 : 国 際 登 録 出 願 の 手 続 ( 平 成 24 年 度 ) 特 許 庁 国 際 商 標 出 願 室 編 より 引 用 15
メリット4 経 費 の 削 減 各 国 の 代 理 人 の 報 酬 や 翻 訳 等 の 費 用 が 不 要 ( 拒 絶 理 由 が 発 見 されずに 登 録 になる 場 合 に 限 る) メリット5 迅 速 な 審 査 ( 拒 絶 通 報 期 間 の 制 限 ) 指 定 国 官 庁 が 拒 絶 理 由 を 発 見 した 場 合 の 国 際 事 務 局 への 通 報 期 間 を1 年 ( 又 は18ヶ 月 ) 以 内 に 制 限 メリット6 締 約 国 の 事 後 指 定 による 保 護 の 拡 張 事 後 指 定 の 手 続 により 出 願 時 未 指 定 国 新 加 盟 国 にも 保 護 の 拡 張 が 可 能 一 定 の 範 囲 内 で 指 定 商 品 ( 役 務 )の 追 加 も 可 能 中 小 企 業 が 商 標 を 取 るには 最 適 アジアにおけるマドプロ 締 結 国 16
アジアにおけるマドプロ 締 結 国 香 港 は 対 象 外 ASEAN 諸 国 のうち タイ インドネシア マレーシア カン ボジア ラオス ミャンマーは 対 象 外 対 象 外 の 国 は 直 接 出 願 が 必 要 マドプロの 注 意 点 デメリット 締 結 国 締 結 国 でないと 使 えない 基 礎 出 願 日 本 の 国 内 での 出 願 登 録 商 標 と 同 一 でなければならない 各 国 毎 に 標 章 指 定 役 務 を 変 える 場 合 各 国 で 個 別 の 出 願 が 必 要 ( 例 ) 日 本 の 商 標 が 英 語 +フリガナで 構 成 されている 場 合 で 外 国 で 保 護 を 求 めるものが 英 語 のみの 場 合 には そのまま 国 際 登 録 を 求 めることができない Fujisan(フジサン) Fujisan セントラルアタック 日 本 の 商 標 が 無 効 となると 世 界 中 の 商 標 登 録 が 無 効 に 17
直 接 出 願 全 てマドプロ 出 願 の 真 逆 翻 訳 等 が 必 須 ( 中 国 なら 中 国 語 ) 現 地 代 理 人 費 用 が 必 ず 必 要 各 国 の 実 情 に 応 じた 商 標 を 登 録 する 場 合 には この 手 続 によらざるを 得 ない 各 国 の 法 制 度 に 則 した 権 利 取 得 が 可 能 な 点 はメリット 最 低 限 登 録 すべき 商 標 ハウスマーク( 会 社 のロゴ 名 称 等 ) 海 外 での 販 売 を 打 診 している 商 品 のロゴ 名 称 等 登 録 を 検 討 することが 望 ましい 商 標 シリーズもの 18
商 標 登 録 後 の 注 意 登 録 した 名 称 マークを そのまま 使 うこと( 違 う 図 柄 に してしまうと 登 録 した 商 標 の 使 用 とならず 他 社 の 模 倣 行 為 を 排 除 できない) ライセンス 販 売 代 理 契 約 の 際 にも 商 標 の 使 用 につい て 注 意 喚 起 をすること 商 品 の 情 報 を 交 換 する 19
場 面 2 工 場 視 察 展 示 会 でCを 見 たスマートフォンメーカーX 社 の 社 長 は その 完 成 度 に 驚 き 商 談 を 申 し 入 れたが 前 提 としてA 社 の 工 場 の 視 察 を 申 し 入 れてきた 問 :BがX 社 の 視 察 を 受 け 入 れる 際 に いかなる 点 に 注 意 をす べきか 1 特 許 出 願 済 の 金 属 の 配 合 を 説 明 して 良 いか 2 研 磨 工 程 を 見 せても 良 いか 3 工 場 に 来 たときに X 社 社 員 に 何 らかの 文 書 を 書 いてもら うか トラブル 事 例 引 合 いが 有 り 技 術 資 料 を 渡 したが その 後 進 展 がな い 秘 密 保 持 契 約 をしないで 技 術 資 料 を 渡 すと 戻 って 来 な いケースがあるので 注 意 営 業 秘 密 管 理 を 徹 底 する ノウハウの 流 出 を 懸 念 して 日 本 にだけ 特 許 出 願 した が 海 外 にノウハウが 流 れた 日 本 にだけ 特 許 出 願 しても 海 外 から 自 由 に 閲 覧 できる ので ノウハウは 出 願 せずに 秘 密 に 管 理 する 20
特 許 と 営 業 秘 密 特 許 公 開 と 引 換 えに 技 術 の 独 占 を 認 める 審 査 期 間 制 限 がある 他 社 の 利 用 を 禁 止 できる 営 業 秘 密 非 公 開 として 情 報 を 利 用 さ れないようにする 審 査 不 要 無 期 限 他 社 の 利 用 を 禁 止 できない 外 国 への 特 許 の 出 願 方 法 直 接 出 願 登 録 希 望 国 の 代 理 人 を 通 じて 直 接 希 望 国 の 特 許 庁 に 出 願 する 方 法 国 際 登 録 出 願 特 許 協 力 条 約 (PCT)を 利 用 し 日 本 の 特 許 庁 を 通 じて 各 国 に 出 願 する 方 法 21
PCT 出 願 の 流 れ 特 許 意 匠 の 場 合 PCT 出 願 の 特 徴 1. 日 本 の 特 許 庁 への 出 願 2. 日 本 語 の 書 類 で 出 願 可 能 ( 追 って 翻 訳 は 必 要 ) 3. 日 本 特 許 庁 への 出 願 後 12か 月 以 内 に 行 う 4. PCT 出 願 手 続 時 に 優 先 日 に 遡 って 全 ての 指 定 国 に 優 先 権 が 発 生 し 各 国 で 国 内 特 許 出 願 を 提 出 したのと 同 様 の 効 果 が 得 られる 5. 予 備 審 査 があり その 結 果 を 見 て 各 国 の 個 別 審 査 を 受 けるかを 決 めることができる 6. 費 用 が 出 願 時 点 では 安 価 で 済 む 22
直 接 出 願 の 場 合 商 標 同 様 日 本 弁 理 士 経 由 で 海 外 弁 理 士 に 依 頼 する 事 も 可 能 翻 訳 の 正 確 性 などに 疑 問 なしとしない 事 例 もあり 依 頼 先 の 選 択 は 重 要 なお 国 によっては 出 願 情 報 が 漏 洩 するおそれもあるた め 注 意 を 要 する 外 国 の 専 門 家 の 知 り 合 いがいない 出 願 は 地 元 でもできます!( 特 に 商 標 ) マドプロ PCT 出 願 を 利 用 すれば 地 元 の 弁 理 士 を 通 じ て 特 許 庁 経 由 で 世 界 の 国 々への 出 願 が 可 能 です 直 接 出 願 の 場 合 でも 各 国 の 弁 理 士 同 士 のネットワーク を 通 じて 地 元 九 州 の 弁 理 士 を 経 由 しての 出 願 は 可 能 です インターネット 出 願 を 行 いますので 依 頼 者 の 方 が 遠 方 でも 大 きな 問 題 はありません 23
気 になる 費 用 は 手 続 費 用 (マドプロ) WEB 公 表 版 では 割 愛 します 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さい 手 続 費 用 ( 商 標 直 接 出 願 ) WEB 公 表 版 では 割 愛 します 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さい PCT: 手 続 費 用 で40~60 万 円 程 度 弁 理 士 費 用 別 途 外 国 出 願 については 各 種 助 成 制 度 あり 営 業 秘 密 保 護 の 為 にすべきこと 商 談 会 展 示 会 で 不 用 意 に 現 物 を 公 開 しない 引 き 合 い 前 の 現 物 提 示 や 工 場 視 察 を 行 う 場 合 にも 事 前 に 秘 密 保 持 契 約 を 締 結 する 取 引 開 始 時 に 必 ず 秘 密 保 持 契 約 を 締 結 する 従 業 員 とも 秘 密 保 持 誓 約 書 を 締 結 重 要 な 情 報 を 授 受 する 際 は 授 受 を 記 録 に 取 る 24
秘 密 保 持 契 約 の 主 な 検 討 点 ( 秘 密 保 持 契 約 書 サンプル 参 照 ) 秘 密 情 報 の 定 義 情 報 の 利 用 目 的 他 目 的 利 用 の 禁 止 第 三 者 への 開 示 禁 止 開 示 対 象 者 の 限 定 子 会 社 関 連 会 社 取 引 先 等 の 取 扱 複 製 の 許 可 禁 止 が 現 実 的 でない 場 合 の 対 応 不 正 行 為 の 差 止 め 損 害 賠 償 準 拠 法 裁 判 管 轄 海 外 取 引 特 有 の 問 題 点 英 文 契 約 の 作 成 修 正 が 必 要 取 引 に 不 慣 れな 場 合 多 くの 場 合 先 方 ひな 型 を 提 示 さ れ 先 方 が 修 正 には 応 じない 傾 向 準 拠 法 裁 判 管 轄 等 については 本 体 契 約 の 交 渉 の 前 哨 戦 となる 25
秘 密 保 持 契 約 を 巡 る 創 意 工 夫 WEB 公 表 版 では 割 愛 します 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さ い 英 文 NDA(Non-Disclosure-Agreement: 秘 密 保 持 契 約 )のキーワード Purpose( 目 的 ) 目 的 外 使 用 の 禁 止 目 的 の 具 体 的 説 明 があるか Affiliate, subsidiary,agent,contractor( 提 携 先 子 会 社 代 理 人 契 約 当 事 者 請 負 人 ) NDAでは 第 三 者 提 供 は 原 則 禁 止 ですが 大 企 業 の 場 合 開 示 範 囲 を 広 く 取 る 場 合 がありますので 注 意 Copy( 複 製 ) 複 製 を 無 制 限 に 許 容 していないか Term( 期 間 ) survive( 存 続 ) 契 約 終 了 後 も 一 定 期 間 秘 密 保 持 義 務 を 存 続 26
商 品 を 販 売 する 代 理 店 契 約 を 結 ぶ 場 面 3 製 品 の 継 続 的 納 入 の 商 談 をする X 社 は 工 場 見 学 後 品 質 工 程 に 納 得 し 継 続 的 に 商 品 を 購 入 したい 旨 申 し 入 れてきた ただし 直 接 購 入 するのではなく 販 売 は 自 社 の 利 用 す る 貿 易 会 社 であるY 社 を 通 して 欲 しいこと Y 社 をA 社 の 製 品 販 売 の 特 約 店 にして 欲 しいとの 申 入 れがあった その 後 Y 社 が 販 売 特 約 店 契 約 を 送 付 してきた 問 販 売 特 約 店 契 約 について 検 討 して 下 さい 27
販 売 特 約 店 契 約 書 骨 子 1. Yは Aの 商 品 全 ての 中 国 での 販 売 の 独 占 的 販 売 代 理 権 を 有 す るものとする 2. Yは 販 売 のためにA 及 びAの 商 品 の 名 称 につき 中 国 での 商 標 出 願 手 続 を 行 い 商 標 権 を 取 得 する 3. Yは Aの 販 売 する 商 品 を 預 かり 中 国 国 内 で 販 売 するものとし 代 金 は 同 月 に 販 売 された 分 のみ 翌 月 末 日 までに 手 形 にてAに 支 払 う 通 貨 は 中 国 人 民 元 とする 4. 商 品 の 価 格 は AとYとの 間 で 協 議 して 都 度 決 する Yの 販 売 先 への 価 格 はYが 自 由 に 定 める 5. AはYに 対 し 商 品 に 欠 陥 がないことを3 年 間 保 証 すると 共 に 販 売 先 の 苦 情 に 対 応 するものとする 6. AはYに 対 し 商 品 が 他 人 の 特 許 権 等 を 侵 害 していないことを 保 証 する 仮 に 権 利 を 侵 害 していた 場 合 には AはYが 負 担 する 損 害 一 切 ( 対 応 費 用 弁 護 士 費 用 を 含 む)を 補 償 する 義 務 を 負 う 7. 本 契 約 に 関 し 紛 争 が 生 じた 場 合 上 海 に 所 在 する 中 級 人 民 法 院 を 管 轄 裁 判 所 とする 国 際 取 引 に 関 する 契 約 締 結 の ポイント 28
基 本 的 問 題 そもそもどうやって 契 約 書 を 作 成 するか? 中 国 やシンガポール 企 業 と 英 語 で 契 約 書 を 作 る 場 合 日 本 の 弁 護 士 に 依 頼 するメリットはあるのか? 九 州 の 弁 護 士 でも 対 応 できるのか? 大 規 模 の 事 務 所 でないと 対 応 できないのでは? 現 地 の 弁 護 士 に 依 頼 する 場 合 に 気 をつけるべき 点 は? 海 外 企 業 との 取 引 は 必 ず 海 外 の 弁 護 士 に 確 認 をして 貰 う 必 要 があるか? センシティブな 内 容 であるためWEB 公 表 版 では 割 愛 しま す 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さい 29
日 本 側 の 弁 護 士 の 選 択 センシティブな 内 容 であるためWEB 公 表 版 では 割 愛 しま す 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さい 和 訳 英 訳 について 法 律 事 務 所 に 依 頼 する 方 法 翻 訳 会 社 を 利 用 する 社 内 の 人 材 を 利 用 する 法 律 英 語 は 特 殊 であること 法 律 用 語 の 意 味 自 体 を 理 解 しないと 正 確 な 訳 が 難 しいことから 少 なくとも 翻 訳 会 社 を 利 用 することが 望 ましい 締 結 契 約 書 の 和 訳 は 社 内 での 共 通 理 解 のために 必 ず 作 成 するべき 30
契 約 作 成 の 方 法 1. 相 手 方 から 提 示 されたひな 型 を 修 正 して 完 成 させる 方 法 2. 一 般 的 なひな 型 を 当 方 で 修 正 して 提 示 する 方 法 3. 1から 作 り 上 げる 方 法 一 般 的 には 先 方 が 大 手 であれば1を 選 択 することに なる 但 し 当 方 のサービスで 汎 用 的 に 用 いる 場 合 には ひな 型 を 早 めに 作 っておくことが 有 益 日 本 人 の 契 約 に 関 する 意 識 不 利 な 条 項 がある 場 合 の 日 本 人 の 対 応 ビジネスパーソンのための 契 約 の 教 科 書 福 井 健 策 弁 護 士 アメリカ 人 は 交 渉 する 日 本 人 は 真 意 を 問 い 合 わせ 悪 意 がないことを 知 ろうとする 不 利 な 条 項 でも 悪 いようにしないといわれ 納 得 する 日 本 の 依 頼 者 にとって 最 も 重 要 なのは 自 分 たちも 相 手 方 も 善 意 で 誠 実 であって 一 方 的 に 見 える 条 文 にもそれなりに 事 情 があること の 確 認 であるかのように 感 じる 場 面 に 出 会 い ます いわば 契 約 書 は 信 頼 関 係 を 補 完 するための 儀 礼 の ような 発 想 です 契 約 条 項 の 不 利 益 な 部 分 を 指 摘 することが 相 手 方 への 不 信 感 の 表 明 として 嫌 われる 面 がある 31
グローバルな 意 識 との 相 違 欧 米 中 国 では 日 本 式 (= 相 手 方 が 自 分 に 悪 いようには しないだろうという 一 方 的 な 信 頼 )は 通 用 しない 後 に 譲 歩 することを 想 定 して 敢 えて 高 いボールを 投 げ てくることもあるため まずはこちらも 希 望 を 明 確 に 伝 え る 必 要 がある スピードを 意 識 する 中 国 人 の 法 律 契 約 に 関 する 意 識 譲 らない 交 渉 は 強 気 売 掛 金 なども 請 求 がないと 払 わない 傾 向 上 に 政 策 あれば 下 に 対 策 あり 法 令 を 上 手 く 利 用 しようとの 意 識 が 強 い 長 期 的 関 係 にない 場 合 の 帰 属 意 識 は 希 薄 度 重 なる 転 職 など 訴 訟 を 躊 躇 しない 模 倣 への 意 識 の 違 い 32
販 売 代 理 契 約 のチェックポイント 前 提 として 輸 出 取 引 の 場 合 の 選 択 肢 1. 日 本 企 業 Aが 直 接 相 手 国 ユーザーに 販 売 する( 直 販 ) 2. 日 本 企 業 Aが 海 外 子 会 社 を 設 立 し 子 会 社 経 由 で 販 売 する( 子 会 社 ) 3. 日 本 企 業 Aが 海 外 の 販 売 代 理 店 (パートナー)を 通 じ て 販 売 する( 代 理 店 ) 1. 国 毎 に 独 占 権 を 付 与 する 2. 各 国 に 複 数 の 販 売 代 理 店 を 設 けて 販 売 4. 日 本 企 業 Aが 日 本 国 内 の 販 売 代 理 店 を 通 じて 海 外 に 輸 出 を 行 う( 商 社 ) 33
各 選 択 肢 のメリット デメリット メリット デメリット 直 販 収 益 率 は 高 い 商 品 の 欠 陥 等 の 問 題 が 日 本 の 本 社 を 直 撃 する 営 業 流 通 が 上 手 く 確 保 できる か 子 会 社 代 理 店 商 社 収 益 率 は 高 い 子 会 社 を 設 立 維 持 するコスト 子 会 社 で 法 的 責 任 が 切 断 され がかかる 日 本 の 本 社 に 波 及 しない 国 業 種 によっては 独 資 では できず 合 弁 が 必 要 となる 代 理 店 による 販 売 業 績 拡 大 契 約 によっては 法 的 責 任 を 切 断 してリスクの 限 定 が 可 能 海 外 取 引 の 知 識 がなくても 輸 出 が 可 能 契 約 によってはリスクの 限 定 が 可 能 利 益 率 が 低 下 する 代 理 店 ( 特 に 独 占 的 代 理 店 ) が 熱 心 でないと 販 売 が 困 難 となるおそれがある 一 般 に 利 益 率 が 低 い 商 社 も 販 売 先 を 確 保 する 必 要 があるため 営 業 の 成 果 が 商 社 任 せになるおそれがある 販 売 代 理 を 選 択 する 場 合 のポイント 当 該 地 域 の 独 占 権 を 付 与 するか 最 低 販 売 数 量 を 定 め るか 現 地 でのブランディングをどうするか 等 契 約 で 柔 軟 に 対 応 できる 逆 に 言 うと 契 約 で 適 切 に 定 めておか ないと 失 敗 しやすい パートナー としての 活 動 をする 分 関 係 解 消 に 至 った 場 合 には 顧 客 ( 情 報 )やアフターメンテナンス 役 務 の 継 続 等 をどうするのか 事 前 に 定 めておく 必 要 がある 商 標 その 他 の 利 用 権 を 付 与 することもあるため それら の 権 利 の 帰 属 利 用 条 件 等 を 明 確 にしておく 必 要 がある 34
販 売 代 理 契 約 のチェックポイント 独 占 的 (exclusive) 専 属 的 契 約 か 否 か 販 売 費 用 (costs)の 負 担 販 売 代 金 の 定 め 方 代 金 の 支 払 い 方 法 販 売 商 品 の 保 証 いわゆる 知 財 補 償 (indemnification) 商 標 等 の 管 理 ライセンス 損 害 賠 償 の 規 定 準 拠 法 管 轄 裁 判 所 英 文 販 売 代 理 契 約 (Distribution Agreement)のキーワード Territory( 領 域 ) 販 売 権 を 付 与 した 国 地 域 Exclusive,non-exclusive( 独 占 的 非 独 占 的 ) 販 売 権 の 付 与 条 件 が 大 きく 異 なる Trademark( 商 標 ) 代 理 店 が 無 断 で 標 章 ロゴと 同 一 類 似 する 商 標 の 登 録 をし ないこと 商 標 登 録 通 りの 標 章 を 利 用 すること 等 Warranty( 保 証 ) 保 証 ( 瑕 疵 担 保 )の 期 間 を 必 ず 限 定 する Limitation of liability( 損 害 賠 償 額 の 制 限 ) 損 害 賠 償 金 額 について 上 限 を 定 める 35
他 人 に 製 造 を 委 託 許 可 する 場 面 4 製 造 を 委 託 する ( 場 面 3は 無 視 して 検 討 下 さい) XはA 社 の 製 品 の 購 入 を 継 続 していたが 発 注 先 を 複 数 にしたいこと 円 高 の 影 響 もあることから Aに 対 し 製 品 Cの 製 造 方 法 を 子 会 社 のZに 対 して 教 えZが 作 れるよう にして 欲 しいとの 要 請 があった その 中 には 技 術 者 を1 名 派 遣 することも 含 まれていた Aは Xの 意 向 でもあり 受 け 入 れざるを 得 ないと 考 えてい るが 技 術 の 流 出 を 懸 念 している 問 A 社 が 技 術 を 守 るためには どのような 方 法 が 良 いか どのような 種 類 の 契 約 を 締 結 すべきか 36
ライセンス 契 約 海 外 企 業 に 製 造 を 委 託 して 収 益 を 上 げる 方 法 1. 製 造 委 託 を 行 い 全 量 を 買 い 上 げる 方 法 (OEM) 2. 製 造 技 術 をライセンス 提 供 し ライセンス 料 (ロイヤリ ティ)を 取 得 する 方 法 (ライセンス) 3. 海 外 パートナーとの 合 弁 企 業 を 設 立 する 方 法 ( 合 弁 ) 4. 海 外 に 子 会 社 を 設 立 し 工 場 を 開 設 する 方 法 ( 現 地 法 人 ) 37
各 選 択 肢 のメリット デメリット OEM ライセンス 合 弁 現 地 法 人 メリット 自 社 でのコントロールを 維 持 し 易 い 広 く 製 造 を 行 わせることで の 収 益 拡 大 が 見 込 める 規 模 の 大 きな 企 業 との 提 携 が 可 能 となる 自 社 でのコントロールを 維 持 し 易 い ノウハウ 等 の 保 護 に 最 も 資 する デメリット 生 産 拡 大 に 限 界 が 生 じる 模 倣 品 知 財 侵 害 品 等 が 発 生 する 危 険 性 が 高 まる ロイヤリティの 正 確 な 監 査 が 難 しい 合 弁 会 社 設 立 維 持 にコス トを 要 する 合 弁 相 手 方 の 意 向 に 沿 っ た 経 営 を 強 いられることも 投 資 雇 用 等 のリスクが 生 じる ライセンス 契 約 の 検 討 ポイント ロイヤリティの 算 定 方 法 販 売 数 量 によるか 定 額 か 最 低 額 を 設 けるか 独 占 ライセンスか 非 独 占 か 販 売 実 績 額 等 の 検 証 が 可 能 か ノウハウ 等 の 他 目 的 利 用 を 禁 ずる 措 置 ライセンス 料 に 関 する 源 泉 徴 収 税 の 処 理 ( 国 によっては) 契 約 の 承 認 登 記 等 の 手 続 38
ライセンス 契 約 (License Agreement)の キーワード Sublicense( 再 許 諾 ) 第 三 者 に 技 術 を 再 度 提 供 できるかを 規 定 ( 原 則 禁 止 とする) Royalty(ロイヤルティ ライセンス 料 ) 業 績 連 動 の 場 合 基 礎 となるのが 販 売 価 格 (sales price)か 利 益 (profit)かを 明 確 にする 最 低 販 売 数 量 minimum royaltyを 設 けることも 検 討 Audit( 監 査 ),record( 記 録 の 保 持 ) 販 売 数 量 等 の 把 握 のために 必 要 Warranty( 保 証 ) Limitation of liability( 損 害 賠 償 額 の 制 限 ) IP Indemnification( 知 財 補 償 ) 紛 争 を 処 理 する( 契 約 者 間 ) 39
場 面 5 模 倣 品 が 出 てきた 場 合 場 面 4の 続 き Zが 製 造 するようになってからまもなく C 製 品 と 類 似 して いるが 価 格 が 極 めて 安 価 な 模 倣 品 / 類 似 品 が 市 場 に 出 回 っているとの 噂 が 広 まった Z 社 の 工 場 を 確 認 すると 既 に 退 職 者 が 相 当 数 おり 工 場 ラインの 図 面 データがコピーされた 形 跡 があった なお C 製 品 については 特 許 権 商 標 権 をそれぞれA 社 が 取 得 している 問 模 倣 品 / 類 似 品 への 対 応 を 検 討 して 下 さい 場 面 6 Z 社 への 損 害 賠 償 請 求 AはZとライセンス 契 約 を 締 結 し 製 造 する 製 品 C1つにつき1 000 人 民 元 を 支 払 うとの 約 束 をしていた Zから 製 品 Cの 製 造 数 量 が 毎 月 報 告 されることとなっている が 報 告 される 製 造 数 量 がAがZに 納 入 している 原 材 料 と 比 して 非 常 に 少 なかった 疑 念 に 思 い BがZ 社 を 訪 問 するが 在 庫 が 積 み 上 がってい る 様 子 もないことから 調 査 すると Zが 製 造 数 量 を40% 近 く 過 小 報 告 していることが 確 認 された そこで AはZに 追 加 のロイヤリティを 請 求 したが Zは 支 払 う 意 思 を 示 さない 問 Aがとりうる 手 段 を 検 討 して 下 さい なお 次 頁 の 契 約 があると いう 前 提 で 検 討 下 さい 40
ライセンス 契 約 書 骨 子 1. AはZに 対 し Cの 製 造 のうち 研 磨 方 法 研 磨 に 用 いる 機 器 の 情 報 その 他 原 材 料 を 加 工 して 製 品 にするため の 情 報 を 伝 える 2. AはZに 対 し C 製 品 を 製 造 するための 金 型 を 製 作 し 貸 与 する 3. ZはAに 対 し C 製 品 1つを 販 売 する 毎 に1000 人 民 元 を 支 払 う 4. この 契 約 の 義 務 に 違 反 した 場 合 契 約 を 解 除 できる 5. この 契 約 に 関 し 紛 争 が 生 じた 場 合 は 日 本 国 法 に 従 い 佐 賀 地 方 裁 判 所 の 訴 訟 手 続 で 解 決 する 国 際 取 引 のルール 41
中 国 の 実 情 アジア 諸 国 の 企 業 間 取 引 の 実 態 に 関 する 調 査 報 告 書 より 決 済 の 遅 延 実 情 中 国 では 売 掛 金 回 収 の 遅 延 は 恒 常 的 に 発 生 しており 特 に 中 国 に 進 出 した 日 系 企 業 が 中 国 の 地 場 企 業 と 取 引 をする 際 の 大 きな 問 題 となっている 日 本 貿 易 振 興 機 構 の 中 国 進 出 日 系 企 業 における 代 金 回 収 問 題 に 関 する 実 態 報 告 書 によると 中 国 における 平 均 的 な 契 約 上 の 支 払 期 間 は53.6 日 であるが そのうち 約 15%が 支 払 遅 延 となるため 遅 延 を 含 む 実 質 的 な 平 均 的 な 支 払 期 間 は64.8 日 となっている ( 図 表 II-9 参 照 ) 42
国 有 企 業 の 方 が 支 払 い 遅 延 率 が 高 い! 43
国 際 取 引 において 特 に 注 意 するポイント 準 拠 法 どの 国 の 法 律 ルールで 裁 判 等 を 行 うか 管 轄 裁 判 所 訴 訟 等 の 法 的 措 置 をどの 国 の どこの 裁 判 所 で 行 うか 仲 裁 合 意 訴 訟 に 変 わる 仲 裁 手 続 で 紛 争 を 解 決 するか よくある 誤 解 他 国 の 法 律 や 運 用 はよくわからないから 準 拠 法 とか 裁 判 管 轄 とかは 全 て 自 国 ( 日 本 )にしておけば 問 題 ない のではないか? 44
強 制 執 行 ができない! 日 本 国 裁 判 所 提 訴 日 本 国 裁 判 所 判 決 日 本 国 裁 判 所 強 制 執 行 判 決 は 出 る ここで 初 めて 強 制 できる 中 国 の 裁 判 所 は 強 制 執 行 を 認 めない 逆 も 同 様 日 本 国 内 に 財 産 がないと 空 振 りに なぜ 強 制 執 行 ができないのか? 相 互 承 認 相 互 に 判 決 の 効 力 を 認 め 合 う 状 況 になければ 他 国 の 判 決 による 差 押 えを 認 めないという 考 え 方 アジアでは 相 互 保 証 が 認 められない 国 が 多 数 ある 45
日 本 の 判 決 の 強 制 執 行 が 可 能 な 国 韓 国 原 則 として 日 本 判 決 の 執 行 力 あり 台 湾 原 則 として 執 行 可 能 但 し 正 式 な 国 交 がないため 訴 状 の 送 達 が 難 しい 場 合 がある 公 示 送 達 で 被 告 未 応 訴 の 場 合 は 否 定 される 可 能 性 が 高 い タイ 執 行 力 が 認 められないのが 原 則 ベトナム 事 実 上 困 難 ( 制 度 が 整 っていない) ミャンマー 原 則 としてそのままでは 執 行 は 困 難 インドネシア 事 実 上 困 難 ( 制 度 が 整 っていない) マレーシア 原 則 としてそのままでは 執 行 は 困 難 シンガポール 原 則 として 執 行 可 能 但 し 例 外 はある インド 原 則 としてそのままでは 執 行 は 困 難 46
ではどうする? 1 仲 裁 手 続 による 解 決 外 国 仲 裁 判 断 の. 承 認 及 び 執 行 に 関 する 条 約 ( 通 称 ニューヨーク 条 約 ) 他 国 での 仲 裁 判 断 に 基 づき 強 制 執 行 を 認 めるもので 日 本 中 国 とも 加 入 仲 裁 判 断 であれば 日 本 で 実 施 しても 相 手 国 で 強 制 執 行 できる ニューヨーク 条 約 の 加 盟 国 一 覧 47
強 制 執 行 が 可 能 日 本 国 仲 裁 手 続 開 始 日 本 国 仲 裁 裁 定 相 手 国 裁 判 所 強 制 執 行 判 決 に 代 わる 効 力 控 訴 等 できない 仲 裁 判 断 の 通 り 強 制 執 行 できる 相 手 国 内 の 財 産 にも 執 行 可 能! 48
いかなる 場 合 に 仲 裁 ができるか 仲 裁 合 意 が 必 要 契 約 書 に 紛 争 解 決 を 訴 訟 ではなく 仲 裁 にする 旨 明 記 する 必 要 あり 各 仲 裁 機 関 でひな 型 が 用 意 されている 仲 裁 はどこでするの? 各 国 に 仲 裁 機 関 がある アジアでよく 使 われているのは 中 国 本 土 (CIETAC) 香 港 (HKIAC) シンガポール(SIAC)の 仲 裁 機 関 日 本 の 商 事 仲 裁 協 会 (JCAA)は 余 り 利 用 されていない 香 港 シンガポールは 英 米 法 系 の 国 であり 証 拠 開 示 手 続 等 が 充 実 している 日 本 以 外 での 仲 裁 の 場 合 英 語 による 手 続 が 一 般 的 49
契 約 書 に 明 記 すべき 仲 裁 条 項 日 本 商 事 仲 裁 協 会 の 場 合 シンガポール 仲 裁 (SIAC)の 場 合 Any dispute arising out of or in connection with this Agreement, including any question regarding its existence, validity or termination, shall be referred to and finally resolved by arbitration in Singapore in accordance with the Arbitration Rules of the Singapore International Arbitration Centre ( SIAC Rules ) for the time being in force, which rules are deemed to be incorporated by reference in this clause. The Tribunal shall consist of 1(one) arbitrator. The language of the arbitration shall be English. 50
仲 裁 に 必 要 なコスト 割 に 合 う 事 件 センシティブな 内 容 であるためWEB 公 表 版 では 割 愛 しま す 詳 細 は 当 事 務 所 までお 尋 ね 下 さい 準 拠 法 裁 判 管 轄 選 択 の 難 しさ 請 求 をする 側 に 立 つか 受 ける 側 に 立 つか 売 り 手 側? 買 い 手 側? 商 品 サービスはBtoB? BtoC? 知 的 財 産 に 関 する 侵 害 を 受 ける 側? 疑 われる 側? 相 手 方 の 財 産 は 日 本 国 内 にあるか 損 害 額 はどの 程 度 の 金 額 が 見 込 まれるか 金 銭 請 求 以 外 に 差 止 め 等 が 必 要 となるか 裁 判 所 への 信 頼 度 は 英 語 への 習 熟 相 手 国 の 代 理 人 とのコンタクト 可 否 51
各 場 面 における 準 拠 法 裁 判 管 轄 選 択 売 掛 金 請 求 が 日 本 の 裁 判 所 逆 に 損 害 賠 償 請 求 や 知 財 侵 害 を 訴 えられるリスクが 高 い 場 合 日 本 の 裁 判 所 として 先 方 の 提 訴 コストを 高 め る 方 が 良 い 知 財 侵 害 などでは 準 拠 法 も 日 本 法 の 方 が 無 難 ( 中 国 でも3 倍 までの 懲 罰 的 賠 償 規 定 の 新 設 予 定 台 湾 等 に も 同 様 の 規 定 あり) 消 費 者 向 けの 製 品 販 売 等 では 直 販 だと 消 費 者 との 紛 争 については 外 国 での 訴 訟 等 に 巻 き 込 まれる 可 能 性 が 高 い 販 売 代 理 店 を 経 由 してリスク 軽 減 が 必 要 最 後 に 完 全 はありえない 世 界 販 売 購 入 する 製 品 金 額 に 照 らし 手 堅 い 取 引 を 選 択 する 方 が 長 期 間 継 続 する 当 初 は 海 外 パートナーを 見 つけることが 重 要 難 しい 場 合 は 日 本 の 商 社 経 由 も 一 考 だが いつかは 自 ら 販 路 を 開 拓 するべき 海 外 だからと 言 って 全 て 特 殊 ではない 日 本 国 内 でやる べきことをやり 持 つべき 知 識 を 持 っていれば 専 門 家 の 若 干 の 支 援 で 進 出 も 可 能 知 財 の 取 得 には 十 分 に 配 慮 する 52