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消 化 器 外 科 (4) 診 療 実 績 214 年 1 月 ~214 年 12 月 の 消 化 器 外 科 手 術 件 数 は724 件 で うち 鏡 視 下 手 術 は376 件 です 疾 患 別 の 内 訳 は 以 下 の 通 りです 悪 性 : 食 道 癌 22 胃 癌 13 大 腸 癌 185 肝 胆 道 系 悪 性 腫 瘍 42 膵 臓 癌 18 件 ほか 良 性 : 胆 石 症 169 虫 垂 炎 33 ヘルニア116 件 ほか * 過 去 5 年 間 (21~214 年 )の 総 手 術 件 数 は5,722 件 ( 局 所 麻 酔 手 術 は 含 む) 全 身 麻 酔 下 手 術 の 割 合 は76%で そのうち 悪 性 腫 瘍 が6%を 占 めます 外 科 手 術 件 数 < 領 域 別 > < 悪 性 腫 瘍 > 総 数 :5,722 件 総 数 :2,613 件 Ⅰ. 悪 性 腫 瘍 に 対 する 診 療 概 要 と 治 療 成 績 過 去 の 累 積 症 例 ( 手 術 症 例 )の 治 療 成 績 等 を 記 載 する 生 存 率 は 他 病 死 非 治 癒 切 除 例 縮 小 手 術 症 例 を 含 む 記 載 疾 患 : 1. 食 道 癌 2. 胃 癌 3. 大 腸 癌 4. 肝 癌 胆 道 癌 膵 癌 Ⅱ. 良 性 疾 患 に 対 する 診 療 概 要 と 治 療 成 績 1

Ⅰ. 悪 性 腫 瘍 に 対 する 診 療 概 要 と 治 療 成 績 1. 食 道 癌 (1) 治 療 方 針 食 道 癌 治 療 ガイドラインに 沿 った 形 で 現 時 点 での 最 適 と 考 えられる 治 療 を 施 行 している 食 道 癌 手 術 は 現 在 でも 重 篤 な 合 併 症 の 起 こりうる 手 術 であるため 手 術 療 法 に 関 しては 術 前 より 口 腔 外 科 により 口 腔 内 ケアを 行 い 周 術 期 は 集 中 治 療 部 を 中 心 に 他 科 のサポートを 得 て また 回 復 期 においては 耳 鼻 科 による 嚥 下 リハビリ リハビリ 科 によるリハビリを 行 い 術 後 合 併 症 の 低 減 を 最 重 要 視 している 症 例 によっては 低 侵 襲 化 を 目 的 とした 鏡 視 下 手 術 を 導 入 している さらに 胸 部 食 道 癌 手 術 で 胃 管 再 建 ができない 症 例 においては 血 管 吻 合 を 追 加 する 小 腸 再 建 を 行 い 術 後 合 併 症 の 低 減 を 目 指 している Stage 深 達 度 m2 以 下,2/3 周 以 下 EMR,ESD StageI,II,III(T1b-T3) 手 術 療 法 放 射 線 治 療 化 学 療 法 StageIII(T4),IVa 放 射 線 治 療 化 学 療 法 StageIVb 放 射 線 治 療 化 学 療 法 また 早 期 食 道 癌 症 例 に 対 しては 消 化 器 内 科 との 合 同 カンファレンスを 行 い 年 齢 全 身 状 態 合 併 症 を 考 慮 し 適 応 拡 大 の ESD も 行 っているが 最 終 病 理 結 果 を 検 討 し 症 例 に よっては 放 射 線 ( 化 学 ) 療 法 もしくは 手 術 療 法 を 追 加 している 手 術 症 例 では 術 後 再 発 の リスクを 軽 減 させることを 目 的 とし 術 前 化 学 療 法 ( 臨 床 試 験 )を 施 行 している 切 除 不 能 進 行 食 道 癌 再 発 食 道 癌 症 例 に 対 しては 日 本 医 療 薬 学 会 がん 専 門 薬 剤 師 がん 化 学 療 法 認 定 看 護 師 との 合 同 カンファレンスを 行 い さらに 放 射 線 科 医 消 化 器 内 科 との 連 携 の 下 症 状 緩 和 のための 放 射 線 治 療 や 狭 窄 解 除 を 目 的 としたステント 留 置 を 含 め 最 適 な 治 療 を 施 行 している 臨 床 試 験 にも 積 極 的 に 取 り 組 んでおり 希 望 される 症 例 に 対 しては 臨 床 試 験 でのプロトコ ール 治 療 を 施 行 している (2) 手 術 症 例 25 年 から 211 年 までの 7 年 間 に 食 道 癌 に 対 し 行 われた 手 術 件 数 211 21 29 28 27 26 25 頸 部 食 道 癌 2 1 胸 部 食 道 癌 開 胸 9 11 5 8 6 12 9 VATS 3 2 2

(3) 化 学 療 法 ( 化 学 療 法 放 射 線 治 療 ) 211 年 度 に 食 道 癌 に 対 して 初 回 の 化 学 療 法 放 射 線 治 療 が 行 われた 症 例 数 術 前 化 学 療 法 6 例 放 射 線 治 療 5 例 放 射 化 学 療 法 8 例 (4) 手 術 成 績 211 年 度 における 術 後 3 日 以 内 死 亡 は 在 院 死 亡 も であった また 合 併 症 については 縫 合 不 全 2 例 リンパ 漏 1 例 肺 炎 1 例 であった (5)5 年 生 存 率 25 年 から 211 年 までの 7 年 間 に 食 道 癌 に 対 し 治 療 が 行 われた 症 例 の 5 年 生 存 率 (Stage は UICC6 版 ) 11 8.8 累 Stage 積 生 存 Ⅰ 率 (Ⅰ) 打 ち 切 り 例 (Ⅰ) 累 Stage 積 生 存 Ⅱ 率 (Ⅱ) 打 ち 切 り 例 (Ⅱ) 累 Stage 積 生 存 Ⅲ 率 (Ⅲ) 打 ち 切 り 例 (Ⅲ) 累 Stage 積 生 存 Ⅳ 率 (Ⅳ) 打 ち 切 り 例 (Ⅳ) 累 積 累 生 積 存 生 率 存 (%) 率 6.6 4.4.2 2 365 1 73 2 195 3 146 4 1825 5 時 間 ( 時 年 間 ) 病 期 症 例 数 1 年 生 存 率 (%) 5 年 生 存 率 (%) StageI 9 88.2 88.2 StageII 15 93.3 65 StageIII 19 67.6 27 StageIV 1 7 2 3

2. 胃 癌 (1) 治 療 方 針 胃 癌 治 療 ガイドラインに 沿 った 形 で 現 時 点 での 最 適 と 考 えられる 治 療 を 施 行 している 手 術 療 法 に 関 しては 低 侵 襲 化 を 目 的 とした 腹 腔 鏡 下 手 術 を 積 極 的 に 導 入 している ct1a(m),cn,cm, 分 化 型,2cm 以 下,UL(-) EMR,ESD ct1a(m),cn,cm, 上 記 以 外 腹 腔 鏡 下 手 術 (D1+ 郭 清 ) ct1b(sm),cn,cm 腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 (D1+ 郭 清 ) ct1,n1 以 上, ct2 以 上, cm 開 腹 手 術 (D2 郭 清 ) M1 化 学 療 法 また 早 期 胃 癌 症 例 に 対 しては 消 化 器 内 科 との 合 同 カンファレンスを 行 い 年 齢 全 身 状 態 合 併 症 を 考 慮 し 適 応 拡 大 の ESD も 行 っているが 最 終 病 理 結 果 を 検 討 し 症 例 によ っては 腹 腔 鏡 下 の 手 術 を 追 加 している 手 術 療 法 のみでは 予 後 不 良 な 症 例 に 対 しては 術 後 化 学 療 法 に 加 え 術 前 化 学 療 法 ( 臨 床 試 験 )を 施 行 している 切 除 不 能 進 行 胃 癌 再 発 胃 癌 症 例 に 対 しては 日 本 医 療 薬 学 会 がん 専 門 薬 剤 師 がん 化 学 療 法 認 定 看 護 師 との 合 同 カンファ レンスを 行 い 最 適 な 治 療 を 施 行 している さらに 手 術 症 例 化 学 療 法 症 例 ともに 栄 養 状 態 の 改 善 にも 取 り 組 んでおり 術 後 早 期 や 化 学 療 法 中 に 栄 養 剤 の 投 薬 の 検 討 も 行 っている 臨 床 試 験 にも 積 極 的 に 取 り 組 んでおり 希 望 される 症 例 に 対 しては 臨 床 試 験 でのプロトコ ール 治 療 を 施 行 している 他 の 特 徴 としては 循 環 器 科 呼 吸 器 科 腎 臓 内 科 精 神 科 等 の 強 力 なサポートがあるた め 他 施 設 では 管 理 困 難 な 併 存 疾 患 をもつ 症 例 の 手 術 も 施 行 している (2) 手 術 症 例 25 年 から 211 年 までの 7 年 間 に 胃 癌 に 対 し 行 われた 手 術 件 数 211 21 29 28 27 26 25 審 査 腹 腔 鏡 16 17 幽 門 側 胃 切 除 開 腹 36 33 37 41 42 4 57 腹 腔 鏡 下 24 25 16 12 9 6 7 胃 全 摘 開 腹 21 14 12 19 42 31 21 腹 腔 鏡 下 1 7 5 6 1(HALS) 噴 門 側 胃 切 除 開 腹 2 3 腹 腔 鏡 下 1 残 胃 全 摘 3 5 1 4 4

(3) 化 学 療 法 25 年 から 211 年 までの 7 年 間 に 胃 癌 に 対 して 初 回 の 化 学 療 法 が 行 われた 症 例 数 211 21 29 28 27 26 25 切 除 不 能 症 例 29 22 14 8 2 8 8 再 発 症 例 12 9 1 7 6 3 1 術 後 ( 補 助 ) 症 例 19 14 4 4 9 2 3 術 前 症 例 4 5 (4) 手 術 成 績 211 年 度 における 術 後 3 日 以 内 死 亡 は 在 院 死 亡 1 例 であった また 合 併 症 については 縫 合 不 全 11 例 創 部 感 染 1 肺 炎 5 腸 閉 塞 1 であった (5)5 年 生 存 率 25 年 から 211 年 までの 7 年 間 に 胃 癌 に 対 し 治 療 が 行 われた 症 例 の 5 年 生 存 率 (Stage は 胃 癌 取 扱 い 規 約 14 版 ) 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率 11 8.8 6.6 4.4 2.2 累 Stage 積 生 存 ⅠA 率 (ⅠA) 打 ち 切 り 例 (ⅠA) 累 Stage 積 生 存 ⅠB 率 (ⅠB) 打 ち 切 り 例 (ⅠB) 累 Stage 積 生 存 ⅡA 率 (ⅡA) 打 ち 切 り 例 (ⅡA) 累 Stage 積 生 存 ⅡB 率 (ⅡB) 打 ち 切 り 例 (ⅡB) 累 Stage 積 生 存 ⅢA 率 (ⅢA) 打 ち 切 り 例 (ⅢA) 累 Stage 積 生 存 ⅢB 率 (ⅢB) 打 ち 切 り 例 (ⅢB) 累 Stage 積 生 存 ⅢC 率 (ⅢC) 打 ち 切 り 例 (ⅢC) 累 Stage 積 生 存 Ⅳ 率 (Ⅳ) 打 ち 切 り 例 (Ⅳ) 365 1 73 2 195 3 146 4 1825 5 時 間 時 ( 年 間 ) 5

病 期 症 例 数 1 年 生 存 率 (%) 5 年 生 存 率 (%) Stage IA 156 97.3 91.1 Stage IB 44 1 93.7 Stage IIA 36 1 96.2 Stage IIB 29 77.8 65.2 Stage IIIA 29 96.4 82.6 Stage IIIB 32 9.5 46.1 Stage IIIC 21 8 35.2 Stage IV 99 69.3 2.7 6

3. 大 腸 癌 (1) 治 療 方 針 Stage ~III 大 腸 癌 の 治 療 方 針 早 期 癌 進 行 癌 内 視 鏡 摘 除 可 能 内 視 鏡 摘 除 不 可 能 化 学 療 法 放 射 線 療 法 内 視 鏡 摘 除 + 病 理 診 断 リンパ 節 郭 清 を 伴 う 外 科 的 切 除 腹 腔 鏡 手 術 / 開 腹 手 術 経 肛 門 的 切 除 ( 下 部 直 腸 癌 のみ) 経 過 観 察 補 助 化 学 療 法 7

Stage IV( 同 時 性 ) 大 腸 癌 の 治 療 方 針 転 移 巣 切 除 可 能 転 移 巣 切 除 不 能 原 発 巣 ( 腸 管 ) 切 除 可 能 原 発 巣 ( 腸 管 ) 切 除 不 能 症 状 や 全 身 状 態 により 判 断 原 発 巣 切 除 + 転 移 巣 切 除 原 発 巣 切 除 人 工 肛 門 作 成 もしくは 姑 息 手 術 化 学 療 法 / 放 射 線 化 学 療 法 /その 他 の 処 置 / 緩 和 療 法 再 発 大 腸 癌 の 治 療 方 針 再 発 巣 切 除 可 能 再 発 巣 切 除 不 能 症 状 や 全 身 状 態 により 判 断 外 科 的 切 除 局 所 療 法 (RFA, PEIT) 放 射 線 療 法 化 学 療 法 化 学 療 法 対 症 療 法 / 緩 和 療 法 8

(2) 手 術 症 例 25 211 年 手 術 症 例 数 :1,23 例 ( 大 腸 癌 取 扱 い 規 約 第 7 版 に 準 拠 ) 結 腸 癌 直 腸 癌 9

(3) 化 学 療 法 術 後 化 学 療 法 大 腸 癌 の 術 後 補 助 化 学 療 法 Stage IIの 一 部 とStage III 症 例 では 補 助 化 学 療 法 を 施 行 することとしている FOLFOX 外 来 での 点 滴 (3 時 間 )+ 自 宅 での 点 滴 (46 時 間 );ポートが 必 要 2 週 間 1コースとし て12コース 施 行 XELOX 外 来 での 点 滴 (2.5 時 間 )+ 自 宅 での 内 服 ゼローダ(14 日 間 ) 3 週 間 1コースとして8 コース 施 行 ユーエフティー+ユーゼル ユーエフティー 3~6mg(1 日 量 ) ユーゼル75mg(1 日 量 )を4 週 間 内 服 1 週 間 休 薬 5 週 間 1コースとして5コース 施 行 ゼローダ ゼローダ24~36mg(1 日 量 )を2 週 間 内 服 1 週 間 休 薬 3 週 間 1コースとして8コー ス 施 行 切 除 不 能 進 行 再 発 大 腸 癌 の 化 学 療 法 FOLFOX+アバスチン* もしくは 抗 EGFR 抗 体 ** 外 来 での 点 滴 (3 時 間 )+ 自 宅 での 点 滴 (46 時 間 );ポートが 必 要 2 週 間 1コースとし て 繰 り 返 す XELOX+アバスチン* 外 来 での 点 滴 (2.5 時 間 )+ 自 宅 での 内 服 ゼローダ(14 日 間 ) 3 週 間 1コースとして 繰 り 返 す FOLFIRI+アバスチン* もしくは 抗 EGFR 抗 体 ** 外 来 での 点 滴 (3 時 間 )+ 自 宅 での 点 滴 (46 時 間 ) ;ポートが 必 要 2 週 間 1コースとし て 繰 り 返 す IRIS+アバスチン* 外 来 での 点 滴 (2.5 時 間 ;1 日 目 と15 日 目 )+ 自 宅 での 内 服 TS-1(21 日 間 ) 5 週 間 1コースとして 繰 り 返 す SOX+アバスチン* 外 来 での 点 滴 (2 時 間 )+ 自 宅 での 内 服 (14 日 間 ) 3 週 間 1コースとして 繰 り 返 す ユーエフティー+ユーゼル ユーエフティー3~6mg(1 日 量 ) ユーゼル75mg(1 日 量 )を4 週 間 内 服 1 週 間 休 薬 5 週 間 1コースとして 繰 り 返 す ゼローダ ゼローダ24~36mg(1 日 量 )を2 週 間 内 服 1 週 間 休 薬 3 週 間 1コースとして 繰 り 返 す イリノテカン+ 抗 EGFR 抗 体 ** 抗 EGFR 抗 体 ** 1

アービタックスは1 週 毎 ベクティビックスは2 週 毎 の 点 滴 *アバスチン: 合 併 症 併 存 症 によっては 使 用 できない 場 合 もある ** 抗 EGFR 抗 体 : アービタックス ベクティビックスは 腫 瘍 のKRAS 遺 伝 子 変 異 がない 場 合 に のみ 使 用 している 上 記 以 外 にも 臨 床 試 験 として 新 規 プロトコール 治 療 を 実 施 中 抗 癌 剤 治 療 は 何 らかの 副 作 用 が 出 現 し 時 間 も 経 費 もかかります それに 対 する 処 置 対 策 も 必 要 になります また 継 続 することが 重 要 で 効 果 と 副 作 用 を 考 慮 して 適 宜 休 薬 や 減 量 あるいはプロトコール( 薬 剤 )の 変 更 を 行 っていきます (4) 手 術 成 績 211 年 度 手 術 成 績 結 腸 癌 在 院 死 亡 :1( 原 病 死 ) 術 後 3 日 以 内 死 亡 : 合 併 症 : 縫 合 不 全 4 例 直 腸 癌 在 院 死 亡 : 術 後 3 日 以 内 死 亡 : 合 併 症 : 縫 合 不 全 2 例 11

(5)5 年 生 存 率 結 腸 癌 生 存 率 (25 211 年 ) 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率 1 1 8.8.6 6 4.4 Stage Ⅰ 累 積 生 存 率 (Ⅰ) 打 ち 切 り 例 Stage 累 積 生 存 Ⅱ (Ⅰ) 率 (Ⅱ) 打 ち 切 り 例 (Ⅱ) Stage 累 積 生 存 Ⅲa 率 (ⅢAB) 打 ち 切 り 例 (ⅢAB) Stage 累 積 生 存 Ⅲb 率 (ⅢC) 打 ち 切 り 例 (ⅢC) Stage 累 積 生 存 Ⅳ 率 (Ⅳ) 打 ち 切 り 例 (Ⅳ) 2.2 365 1 73 2 195 3 1464 1825 5 219 時 間 時 ( 年 間 ) 病 期 5 年 生 存 率 (%) Stage Ⅰ 96.1 Stage Ⅱ 92. Stage Ⅲa 83. Stage Ⅲb 5.2 Stage Ⅳ 35.5 12

直 腸 癌 生 存 率 (25 211 年 ) 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率 11 8.8.6 6 4.4 累 Stage 積 生 存 Ⅰ 率 (Ⅰ) 打 ち 切 り 例 (Ⅰ) 累 Stage 積 生 存 Ⅱ 率 (Ⅱ) 打 ち 切 り 例 (Ⅱ) 累 Stage 積 生 存 Ⅲa 率 (ⅢAB) 打 ち 切 り 例 (ⅢAB) 累 Stage 積 生 存 Ⅲb 率 (ⅢC) 打 ち 切 り 例 (ⅢC) 累 Stage 積 生 存 Ⅳ 率 (Ⅳ) 打 ち 切 り 例 (Ⅳ) 2.2 365 1 73 2 195 3 146 4 1825 5 219 時 間 時 ( 年 間 ) 病 期 5 年 生 存 率 (%) Stage Ⅰ 96.2 Stage Ⅱ 84.7 Stage Ⅲa 71.4 Stage Ⅲb 8. Stage Ⅳ 29.4 13

4. 肝 癌 胆 道 癌 膵 癌 4.-1) 肝 癌 (1) 治 療 方 針 当 科 における 治 療 方 針 として 1. 切 除 2. 肝 動 脈 塞 栓 術 3.エタノール 注 入 マイクロウェーブ 凝 固 療 法 ラジオ 波 熱 凝 固 療 法 を 行 っています 2.の 肝 動 脈 塞 栓 術 :TAE(カテーテルを 用 いた 治 療 )については 画 像 診 断 科 が 2.ラジオ 波 などの 針 を 用 いた 局 所 療 法 は 消 化 器 内 科 が 担 当 しています そのため 外 科 と 消 化 器 内 科, 画 像 診 断 科 の3 診 療 科 において 肝 細 胞 癌 の 治 療 方 針 について 検 討 を 行 っています 肝 切 除 術 肝 切 除 は 腫 瘍 数 が2ないし3 個 以 下 が 適 応 ですが 肝 機 能 が 良 いことが 絶 対 条 件 です 周 囲 の 肝 組 織 を 含 めて 病 巣 を 摘 出 するので 最 も 確 実 な 治 療 法 といえます また 非 常 に 大 きながんや 肝 臓 の 外 側 にとび 出 した 形 のがんの 場 合 も 手 術 の 適 応 となります ラジオ 波 治 療 など 通 常 エコーを 用 いてがんを 穿 刺 するので エコーでがんが 見 えないと 治 療 ができません 他 の 治 療 法 に 比 し 肝 機 能 が 不 良 な 症 例 でも 治 療 が 可 能 です エタノール 注 入 療 法 (PEI) マイクロ 波 凝 固 療 法 (MCT)ラジオ 波 熱 凝 固 療 法 (RFA)などがあります 当 院 では 消 化 器 内 科 にて 施 行 します 肝 動 脈 塞 栓 術 ( 肝 臓 の 動 脈 に 抗 がん 剤 を 入 れて 栓 をする 方 法 ) 肝 動 脈 塞 栓 療 法 は 肝 臓 の 血 管 ( 動 脈 )に 薬 剤 を 注 入 する 治 療 法 です 一 般 的 に 手 術 や 経 皮 的 治 療 の 適 応 とはならない 腫 瘍 の 数 が 多 い 場 合 に 適 応 となります 当 院 では 画 像 診 断 科 にて 施 行 します (2) 手 術 症 例 肝 細 胞 癌 肝 内 胆 管 癌 転 移 性 肝 癌 26 5 7 27 5 1 9 28 3 3 11 29 5 5 21 7 7 14

211 7 2 8 (3) 化 学 療 法 当 センターにおける 肝 癌 に 対 する 化 学 療 法 については 当 センター 消 化 器 内 科 にて 施 行 し ている (4) 手 術 成 績 211 年 度 手 術 成 績 在 院 死 亡 : 術 後 3 日 以 内 の 死 亡 : 合 併 症 : 胆 汁 漏 1 例 (5)5 年 生 存 率 肝 細 胞 癌 1 1.8 8 累 積 累 生 積 存 生 率 存 (%) 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 間 間 ( 月 ) 15

肝 内 胆 管 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率 6.6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 間 間 ( 月 ) 転 移 性 肝 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 間 間 ( 月 ) 4.-2) 胆 道 癌 (1) 治 療 方 針 胆 道 癌 に 対 する 根 治 的 治 療 として 確 立 しているのは 手 術 療 法 のみです したがって 遠 隔 転 移 がない 場 合 には 手 術 が 第 一 選 択 となります 一 方 遠 隔 転 移 がある 場 合 や 癌 が 胆 管 周 囲 の 主 要 な 血 管 にまで 広 がり 手 術 で 取 りきることが 不 可 能 な 場 合 は 化 学 療 法 が 選 択 されます 胆 管 がんに 対 する 手 術 療 法 肝 門 部 上 部 胆 管 がんではがんが 肝 内 胆 管 にまで 広 がること が 多 いため 肝 臓 を 同 時 に 切 除 します 一 方 中 部 下 部 胆 管 がんでは 多 くの 場 合 膵 臓 の 一 部 と 十 二 指 腸 を 同 時 に 切 除 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が 必 要 となります 胆 嚢 がんに 対 する 手 術 療 法 胆 嚢 がんに 対 する 手 術 術 式 は がんの 進 行 度 によって 大 きく 異 なってきます 病 変 が 胆 嚢 の 粘 膜 内 に 留 まっているような 初 期 の 場 合 には 胆 嚢 を 切 除 す 16

るだけで 根 治 性 が 得 られます 一 方 がんが 粘 膜 を 越 えて 肝 臓 に 広 がることがあります このような 場 合 胆 嚢 に 加 えて 胆 管 肝 臓 を 同 時 に 切 除 することになります 乳 頭 部 がんに 対 する 手 術 療 法 乳 頭 部 がんに 対 しては 一 般 的 には 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 が 選 択 されます (2) 手 術 症 例 胆 嚢 癌 胆 管 癌 26 年 4 3 27 年 3 3 28 年 1 6 29 年 4 1 21 年 5 2 211 年 2 5 (3) 化 学 療 法 胆 道 がんに 対 する 抗 がん 剤 としては 近 年 保 険 適 応 となったジェムシタビン TS-1 など の 効 果 が 期 待 されますが 標 準 的 な 治 療 法 は 未 だ 確 立 されていません 当 科 では 切 除 不 能 と 判 断 した 症 例 に 対 してジェムシタビン TS-1 による 化 学 療 法 を 行 い 生 存 期 間 の 延 長 を 目 指 して 取 り 組 んでいます ジェムシタビン 胆 嚢 癌 胆 管 癌 26 年 1 27 年 1 2 28 年 1 3 29 年 3 3 21 年 2 3 211 年 TS-1 胆 嚢 癌 胆 管 癌 26 年 1 27 年 1 3 28 年 5 29 年 4 17

21 年 1 4 211 年 1 2 (4) 手 術 成 績 211 年 度 手 術 成 績 在 院 死 亡 : 術 後 3 日 以 内 死 亡 : 術 後 合 併 症 : 膵 液 漏 2 例 縫 合 不 全 2 例 (5)5 年 生 存 率 胆 道 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 間 間 ( 月 ) 胆 嚢 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 時 間 間 ( 月 ) 18

4.-3-3) 膵 臓 癌 (1) 治 療 方 針 膵 臓 癌 の 基 本 的 な 治 療 は 癌 組 織 の 外 科 的 切 除 です しかし 膵 臓 癌 患 者 の7 割 から8 割 は 診 断 時 に 既 に 切 除 不 可 能 な 進 行 癌 で 診 断 されており その 場 合 は 姑 息 的 な 症 状 改 善 を 目 指 した 手 術 や 処 置 とともに 抗 癌 剤 治 療 や 放 射 線 治 療 が 選 択 されます 根 治 手 術 の 手 術 方 法 は 癌 の 存 在 する 部 位 によって 異 なり 癌 が 膵 頭 部 にある 場 合 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が 体 部 や 尾 部 に 存 在 する 場 合 は 体 尾 部 切 除 が 行 われます 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 は 消 化 器 の 手 術 の 中 で 最 も 複 雑 な 技 術 を 要 する 手 術 で 手 術 時 間 も7~12 時 間 以 上 かか ります なお 術 後 の 合 併 症 も 重 篤 なものがあり 早 期 のものとして 膵 液 漏, 膵 胃 吻 合 部 の 縫 合 不 全 などの 消 化 管 縫 合 不 全 が 長 期 的 なものとして 糖 尿 病 や 消 化 吸 収 障 害 があります 根 治 的 な 手 術 が 不 可 能 な 場 合 や 手 術 の 後 に 再 発 が 認 められた 場 合 は 抗 癌 剤 による 治 療 が 行 われます 近 年 保 険 で 認 可 された 抗 癌 剤 としてジェムシタビンとTS-1 という 薬 があり ます 膵 臓 癌 による 疼 痛 などの 症 状 を 和 らげる 効 果 が 優 れ 治 療 成 績 ( 生 存 率 )を 延 長 する 効 果 が 認 められています 外 来 にて 化 学 療 法 を 施 行 しています (2) 手 術 症 例 膵 頭 部 癌 膵 体 尾 部 癌 膵 臓 癌 26 年 2 1 3 27 年 1 2 3 28 年 2 2 4 29 年 2 2 4 21 年 3 3 211 年 5 5 1 (3) 化 学 療 法 ジェムシタビン TS-1 26 年 6 4 27 年 11 2 28 年 12 3 29 年 18 7 21 年 11 6 211 年 16 7 19

(4) 手 術 成 績 211 年 度 手 術 成 績 在 院 死 亡 : 術 後 3 日 以 内 死 亡 : 合 併 症 : 膵 液 漏 1 例 仮 性 動 脈 瘤 1 例 縫 合 不 全 2 例 (5)5 年 生 存 率 膵 頭 部 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 時 間 ( 月 ) 膵 体 尾 部 癌 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 間 間 ( 月 ) 2

膵 癌 姑 息 手 術 例 1 1.8 8 累 積 生 存 率 (%) 累 積 生 存 率.6 6.4 4.2 2 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 時 時 間 間 ( 月 ) 21

Ⅱ. 良 性 疾 患 に 対 する 診 療 概 要 と 治 療 成 績 記 載 疾 患 : 1. 大 腸 の 良 性 疾 患 2. SILS 治 療 3. 鼡 径 ヘルニア 1. 大 腸 の 良 性 疾 患 癌 ( 悪 性 疾 患 ) 以 外 で 手 術 が 必 要 になることもあります 1.-1) 炎 症 性 腸 疾 患 大 腸 及 び 小 腸 の 粘 膜 に 慢 性 の 炎 症 または 潰 瘍 をひきおこす 原 因 不 明 の 疾 患 の 総 称 を 炎 症 性 腸 疾 患 (Inflammatory Bowel Disease:IBD)といいます これには 潰 瘍 性 大 腸 炎 とクロー ン 病 があります I 潰 瘍 性 大 腸 炎 潰 瘍 性 大 腸 炎 は 大 腸 の 粘 膜 ( 最 も 内 側 の 壁 )にびらんや 潰 瘍 ができる 大 腸 の 炎 症 です 症 状 は 下 血 下 痢 と 頻 回 の 腹 痛 です 病 変 は 直 腸 から 連 続 的 に 口 側 に 広 がる 特 徴 があり 直 腸 から 盲 腸 まで 大 腸 全 体 に 拡 がることもあります 1) 病 変 の 範 囲 による 分 類 : 直 腸 炎 左 側 大 腸 炎 全 大 腸 炎 2) 重 症 度 による 分 類 : 軽 症 中 等 症 重 症 激 症 原 因 は 明 らかになっていません 遺 伝 的 要 因 候 補 となる 遺 伝 子 はあるものの 病 因 の 特 定 には 至 っていない 免 疫 機 構 の 異 常 本 来 反 応 しないものに 対 して 過 剰 反 応 を 示 してしまう 食 生 活 などの 環 境 因 子 と 腸 内 細 菌 の 関 与 世 界 中 の 臨 床 家 研 究 者 が 病 因 の 特 定 に 注 力 していますが 現 時 点 では 上 記 の 三 者 が 複 雑 に 絡 み 合 って 発 病 するものと 考 えられています 治 療 1) 内 科 的 治 療 潰 瘍 性 大 腸 炎 を 完 治 に 導 く 治 療 はありませんが 大 腸 粘 膜 の 異 常 な 炎 症 を 抑 え 症 状 をコ ントロールすることを 目 標 に 下 記 の 薬 物 治 療 を 行 います 1 5-アミノサリチル 酸 薬 (5-ASA) 製 薬 サラゾスルファピリジン(サラゾピリン) メサラジン(ペンタサやアサコール)が 該 当 し ます 経 口 や 直 腸 から 投 与 され 炎 症 を 抑 えます 5-ASA 製 薬 は 軽 症 から 中 等 症 の 潰 瘍 性 大 腸 炎 に 有 効 で 治 療 の 基 本 になります 2 副 腎 皮 質 ステロイド 薬 22

プレドニゾロン(プレドニン)が 代 表 です 経 口 や 直 腸 からあるいは 注 射 ( 点 滴 )で 投 与 さ れます この 薬 剤 は 中 等 症 から 重 症 の 患 者 さんに 用 いられ 強 力 に 炎 症 を 抑 えますが 再 燃 を 予 防 する 効 果 は 認 められていません また 副 作 用 の 観 点 から 漫 然 と 使 い 続 けるには 問 題 が あります 3 血 球 成 分 除 去 療 法 血 液 透 析 のような 回 路 を 用 いて 血 液 中 から 異 常 に 活 性 化 した 白 血 球 を 取 り 除 く 治 療 法 で LCAP( 白 血 球 除 去 療 法 :セルソーバ) GCAP( 顆 粒 球 除 去 療 法 :アダカラム)があります ステロイドで 効 果 が 得 られない 患 者 さんの 活 動 期 の 治 療 に 用 いられます 4 免 疫 調 節 薬 これらの 薬 剤 には アザチオプリン(イムラン)や 6-メルカプトプリン(ロイケリン) 最 近 ではシクロスポリン(サンディミュン)やタクロリムス(プログラフ)があります これ らの 薬 はステロイドが 無 効 の 患 場 合 や ステロイドが 中 止 できない 患 者 さんの 治 療 に 用 いら れます 5 抗 TNFα 受 容 体 拮 抗 薬 インフリキシマブ(レミケード)は TNFα という 炎 症 を 起 こすサイトカインをブロックす る 抗 体 です TNFα だけが 潰 瘍 性 大 腸 炎 を 重 篤 化 せしめる 要 因 ではありませんが 症 状 緩 和 には 期 待 が 持 てます 効 果 がみられて 寛 解 導 入 できると8 週 おきに 投 与 を 継 続 ( 維 持 投 与 ) します 2) 外 科 的 治 療 潰 瘍 性 大 腸 炎 で 手 術 が 必 要 になるのは 下 記 のケースがあります 概 して 言 うと 内 科 治 療 で コントロールできない 場 合 手 術 対 象 となることがあります 1 大 量 出 血 2 中 毒 性 巨 大 結 腸 症 ( 大 腸 が 拡 張 し 菌 血 症 ~ 敗 血 症 を 引 き 起 こした 状 態 ) 3 穿 孔 4 内 科 的 治 療 に 反 応 しない 重 症 例 5 副 作 用 のためステロイドなどの 薬 剤 を 使 用 できない 場 合 6 癌 化 通 常 の 大 腸 癌 とは 異 なり 炎 症 を 素 地 として 発 生 する 癌 (Colitic cancer) がある 全 大 腸 炎 型 の 患 者 さんでは 1 年 の 経 過 で 大 腸 がんの 危 険 が 増 えてくるため 定 期 的 な 内 視 鏡 検 査 が 必 要 です 手 術 方 法 大 腸 全 摘 回 腸 嚢 (J 型 パウチ: 小 腸 で 便 を 貯 める 袋 ) 作 成 肛 門 ( 管 ) 吻 合 を 行 う 当 方 では 大 腸 全 摘 + 回 腸 嚢 肛 門 間 吻 合 を HALS( 小 切 開 併 用 の 腹 腔 鏡 手 術 )で 行 うことを 基 本 と しています 一 時 的 人 工 肛 門 は 症 例 に 応 じて 作 ります 術 後 は 炎 症 の 母 地 である 大 腸 がなくなりますが 回 腸 嚢 にも 潰 瘍 性 大 腸 炎 に 似 た 潰 瘍 炎 症 がおこる( 回 腸 嚢 炎 )がおこることがあります 23

II クローン 病 (Crohn's Disease) 病 状 病 因 クローン 病 は 主 として 若 年 者 にみられ 口 腔 にはじまり 肛 門 にいたるまでの 消 化 管 のどの 部 位 にも 炎 症 や 潰 瘍 ( 粘 膜 が 欠 損 すること)が 起 こりえますが 小 腸 のおわり( 回 腸 末 端 )が 好 発 部 位 で 非 連 続 性 の 病 変 ( 病 変 と 病 変 の 間 に 正 常 部 分 が 存 在 すること)が 特 徴 です そ れらの 病 変 により 腹 痛 や 下 痢 血 便 などが 生 じる 病 気 です 潰 瘍 性 大 腸 炎 と 同 様 に 遺 伝 的 な 要 因 免 疫 細 胞 の 異 常 反 応 外 来 の 抗 原 ( 食 事 腸 内 細 菌 病 原 体 など)の 侵 入 とそれに 対 する 免 疫 系 の 反 応 異 常 が 想 定 されていますが 特 定 には 至 っていません 症 状 病 変 部 位 による 分 類 : 小 腸 型 ; 小 腸 大 腸 型 ; 大 腸 型 特 徴 的 な 症 状 : 腹 痛 と 下 痢 下 血 腹 部 腫 瘤 ( 炎 症 性 腫 瘤 ) 体 重 減 少 ( 低 栄 養 吸 収 不 良 ) 全 身 倦 怠 感 貧 血 腸 管 合 併 症 : 瘻 孔 狭 窄 膿 瘍 腸 管 外 合 併 症 : 関 節 炎 虹 彩 炎 結 節 性 紅 斑 肛 門 部 病 変 : 肛 門 の 狭 窄 肛 門 周 囲 膿 瘍 痔 瘻 (じろう) 裂 肛 肛 門 潰 瘍 治 療 クローン 病 は 原 因 が 不 明 であるため 根 本 的 な 治 療 法 もありません 症 状 を 抑 えること(= 寛 解 )に 至 らせ それを 維 持 することが 肝 要 です また クローン 病 の 症 状 は 多 彩 で 病 状 は 時 期 により 変 化 します 下 記 の 治 療 を 複 数 組 み 合 わせて 行 うのが 一 般 的 です 内 科 治 療 1 栄 養 療 法 : 栄 養 状 態 の 改 善 だけでなく 腸 管 の 安 静 と 食 事 からの 刺 激 を 取 り 除 くことで 腹 痛 や 下 痢 などの 症 状 の 改 善 が 認 められます 経 腸 栄 養 (EN)と 完 全 中 心 静 脈 栄 養 (TPN)があ ります 経 腸 栄 養 を 基 本 としますが 腸 管 に 高 度 な 狭 窄 がある 場 合 広 範 囲 な 小 腸 病 変 が 存 在 する 場 合 など 経 腸 栄 養 療 法 を 行 えない 場 合 には TPN が 用 いられます 25-アミノサリチル 酸 薬 (5-ASA) 製 薬 サラゾスルファピリジン(サラゾピリン: 大 腸 病 変 ) メサラジン(ペンタサ)を 用 います 3 副 腎 皮 質 ステロイド 薬 プレドニゾロン(プレドニン)が 代 表 です 強 力 に 炎 症 を 抑 えるため 中 等 症 以 上 の 寛 解 導 入 に 使 用 されますが 寛 解 維 持 には 不 向 きで 早 期 に 他 の 薬 剤 に 切 り 替 える 必 要 があります 4 血 球 成 分 除 去 療 法 血 液 透 析 のような 回 路 を 用 いて 血 液 中 から 異 常 に 活 性 化 した 白 血 球 を 取 り 除 く 治 療 法 で GCAP( 顆 粒 球 除 去 療 法 :アダカラム)を 行 います 他 の 薬 物 治 療 では 不 十 分 な 大 腸 病 変 を 有 する 場 合 に 併 用 されます 24

5 免 疫 調 節 薬 ステロイドの 減 量 離 脱 が 難 しい 場 合 にアザチオプリン(イムラン)や 6-メルカプトプリ ン(ロイケリン)が 用 い 寛 解 維 持 にも 用 いられます 6 抗 TNFα 受 容 体 拮 抗 薬 インフリキシマブ(レミケード)やアダリムマブ(ヒューミラ)が 用 いられます は TNFα という 炎 症 を 起 こすサイトカインをブロックする 抗 体 です 効 果 がみられて 寛 解 導 入 できる と8 週 おきに 投 与 を 継 続 ( 維 持 投 与 )しますが 効 果 が 減 弱 するのが 問 題 です 手 術 治 療 腸 管 に 対 する 外 科 的 処 置 狭 窄 形 成 ( 狭 いところを 広 げる) 狭 窄 部 位 が 短 い 場 合 この 術 式 を 第 一 選 択 とする 切 除 狭 窄 部 位 が 長 い 場 合 膿 瘍 や 炎 症 性 腫 瘤 内 瘻 外 瘻 に 対 しては 切 除 を 行 う 原 則 一 期 吻 合 を 行 うが 穿 孔 症 例 など 腹 膜 炎 が 著 しい 場 合 は 吻 合 を 避 けるて 人 工 肛 門 を 作 成 す る 肛 門 病 変 に 対 する 外 科 的 処 置 肛 門 ブジー( 拡 張 ) 軽 度 の 肛 門 狭 窄 に 対 してはブジ を 行 って 狭 窄 の 進 行 を 抑 える Seton ドレナージ 膿 瘍 難 治 性 痔 瘻 にたいし 膿 瘍 や 瘻 孔 にチューブを 入 れて 持 続 的 な 排 膿 を 促 す 炎 症 が 落 ち 着 くまで( 半 年 ~ 数 年 )チューブを 留 置 ( 入 れ 替 え)する 人 工 肛 門 作 成 肛 門 狭 窄 が 著 しい 場 合 重 度 の 肛 門 周 囲 膿 瘍 痔 瘻 孔 に 対 しては 上 流 で 人 工 肛 門 を 作 って 肛 門 に 便 を 通 さないようにする 肛 門 機 能 が 廃 絶 すれば 直 腸 切 断 を 行 う こともある クローン 病 の 長 期 問 題 点 術 後 : 再 発 クローン 病 術 後 再 手 術 率 は 約 3%/5 年 6%/1 年 前 回 手 術 操 作 部 位 以 前 炎 症 のなかったところに 新 たに 発 生 する 場 合 といずれもありうる 炎 症 の 繰 り 返 しによる 小 腸 の 短 縮 ; 吸 収 障 害 栄 養 障 害 : 短 腸 症 候 群 癌 化 潰 瘍 性 大 腸 炎 ばかりでなく クローン 病 においても 癌 化 が 問 題 となっています 1.-2) 大 腸 憩 室 炎 憩 室 炎 は 憩 室 症 のある 人 に 起 こります 憩 室 は 大 腸 の 中 でも 上 行 結 腸 と 下 行 ~S 状 結 腸 に 多 くみられます 若 年 者 で 憩 室 が 存 在 する 人 は 稀 ですが 高 齢 者 では 珍 しくありません 憩 室 が 存 在 するだけでは 問 題 になることはありませんが そこに 炎 症 が 生 じる(= 憩 室 炎 )と 様 々な 症 状 を 呈 し 治 療 を 要 することがあります 症 状 憩 室 から 出 血 することがありますが 憩 室 があるだけで 炎 症 がなくても 出 血 は 起 こりえま す 25

典 型 的 な 憩 室 炎 は 痛 みが 起 こり 発 熱 します 炎 症 を 何 度 か 繰 り 返 した 結 果 その 部 分 が 硬 くなり 通 過 障 害 ( 便 秘 腸 閉 塞 )を 生 じる こともあります それ 以 外 にも 炎 症 のおこり 方 繰 り 返 し 方 で 下 記 のような 合 併 症 を 生 じることがあります 合 併 症 1 瘻 孔 (ろうこう) 慢 性 持 続 的 な 憩 室 の 炎 症 により 大 腸 と 他 の 臓 器 との 間 に 瘻 孔 が 形 成 されます 大 腸 膀 胱 大 腸 子 宮 膣 大 腸 小 腸 の 間 に 瘻 孔 ができることが 多 いです 原 則 的 に 手 術 が 必 要 になりますが 多 くは 抗 生 物 質 などで 炎 症 を 抑 えてからの 予 定 手 術 になります 2 膿 瘍 憩 室 炎 が 比 較 的 急 激 に 起 こり 憩 室 の 近 傍 に 膿 瘍 ( 感 染 症 による 膿 がたまった 状 態 )を 作 ることがあります 腸 間 膜 の 中 や 腸 と 腸 の 間 腸 と 腰 背 部 の 筋 肉 の 間 にできることがありま す 3 穿 孔 憩 室 の 炎 症 が 急 激 におこる 場 合 憩 室 が 破 れて 広 範 囲 に 腹 膜 炎 を 起 こすことがあります >>> 緊 急 手 術 が 必 要 になります 治 療 1 保 存 的 治 療 軽 度 の 場 合 は 安 静 食 事 制 限 抗 生 物 質 の 内 服 より 重 度 の 場 合 は 絶 食 点 滴 ( 入 院 ) 抗 生 物 質 の 注 射 ( 点 滴 ) 憩 室 出 血 の 場 合 内 視 鏡 的 止 血 カテーテルによる 塞 栓 術 をまず 第 一 に 行 います 膿 瘍 がある 場 合 皮 膚 から 細 い 管 (ドレーン)を 入 れて 膿 を 体 外 に 出 す(ドレナージ)を 行 うこともあります 2 手 術 治 療 原 則 は 炎 症 の 強 い 部 分 を 切 除 してその 前 後 で 吻 合 する 方 法 です 憩 室 がある 部 分 をすべて 切 除 するわけではないので 残 った 憩 室 が 炎 症 を 起 こすことがあります 出 血 症 例 では 保 存 的 治 療 がうまくいかなかった 場 合 に 腸 管 切 除 を 行 います 瘻 孔 がある 場 合 は 瘻 孔 を 切 除 します 相 手 方 臓 器 も 一 部 切 除 する 必 要 があります 穿 孔 や 大 きな 膿 瘍 を 形 成 して 腹 膜 炎 が 強 い 場 合 人 工 肛 門 (Stoma)を 作 る 手 術 をおこない 消 化 管 吻 合 を 避 けることもあります(= 縫 合 不 全 の 危 険 性 が 高 いため) 1.-3) 虫 垂 炎 虫 垂 ( 大 腸 の 始 まりである 盲 腸 から 出 ている 4-5cm の 突 起 物 )が 炎 症 を 起 こします 右 下 腹 26

部 痛 が 特 徴 的 ですが 最 初 は 嘔 気 嘔 吐 や 上 腹 部 痛 を 自 覚 することも 少 なくありません 1 軽 症 ~ 中 等 度 の 炎 症 に 対 しては 抗 生 物 質 での 治 療 を 先 行 します 2 重 症 の 虫 垂 炎 あるいは 抗 生 物 質 での 治 療 が 効 かなかった 中 等 症 に 対 しては 手 術 が 行 わ れます 虫 垂 を 切 除 するだけで 済 む 場 合 が 大 半 ですが 盲 腸 切 除 や 回 盲 部 切 除 ( 小 腸 の 終 わ りから 大 腸 のはじめを 切 除 する)が 必 要 になる 場 合 もあります 一 旦 は 抗 生 物 質 で 軽 快 しても2 度 3 度 と 炎 症 を 繰 り 返 すことがあります その 場 合 は 手 術 治 療 を 行 うことが 増 えてきます 2.SILS 治 療 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 手 術 は 29 年 度 から 急 速 に 広 がってきた 最 新 の 腹 腔 鏡 手 術 です 当 科 で は 29 年 7 月 に 第 1 例 目 を 行 ないました 当 科 での 従 来 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 臍 上 部 (12mm) 心 窩 部 (5mm) 右 季 肋 部 (5mm) 左 側 腹 部 (12mm)の 4 カ 所 を 切 開 していまし た 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 では 臍 の 中 を 縦 に 約 2cm 切 開 し そこから 全 ての 手 術 操 作 を 行 います しかしこの 手 術 は 従 来 の 腹 腔 鏡 下 手 術 より 手 術 器 具 の 使 用 に 制 限 があるため 全 ての 胆 嚢 摘 出 術 の 患 者 さんに 行 なえるわけではありません 当 科 では 3D-DIC-CT( 点 滴 静 注 胆 嚢 造 影 の 3 次 元 コノピューター 断 層 撮 影 )で 胆 嚢 が 描 出 されないような 高 度 の 炎 症 がある 場 合 や 開 腹 術 の 既 往 があり 腹 腔 内 に 高 度 の 癒 着 が 疑 われる 患 者 さんは 手 術 を 完 遂 するのが 難 しく 現 在 適 応 外 とし 従 来 法 もしくは 開 腹 術 を 施 行 しています 従 来 法 に 比 べ 手 術 時 間 も やや 長 く 技 術 的 難 度 は 決 して 低 いとは 言 えませんが 傷 はお 臍 の 窪 みに 隠 れ 術 後 ほとんど 見 えず 目 立 たないため 美 容 上 の 大 きな 利 点 があり 多 くの 患 者 さんに 満 足 して 頂 いています 27

従 来 法 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 3. 鼡 径 ヘルニア 鼡 径 ヘルニア 手 術 は 年 間 約 1 例 に 行 っています 再 発 が 少 ないメッシュを 用 いた 術 式 を 採 用 しています 入 院 期 間 は 基 本 的 には 3-5 日 間 ですが 患 者 さんの 個 々の 病 態 によりますの で 詳 しくは 担 当 医 とご 相 談 ください 鼡 径 ヘルニア 手 術 数 H19 H2 H21 H22 H23 63 99 15 91 14 28